JP3940538B2 - グランドパッキン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体機器の軸封などに好適なグランドパッキンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、流体機器の軸封部などに用いられるグランドパッキンとして、所定幅の膨張黒鉛テープ1に幅方向の間隔を隔てて複数本の補強繊維2,2が長手方向に埋設されている編み糸基材6(図6)よりなる編み糸3を複数本用いて編組(例えば8打ち角編み)したグランドパッキン4がある(図7)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図6に示す編み糸基材6は、所定幅に切断した膨張黒鉛テープ1の幅方向両端1a,1bあるいは片端から補強繊維2,2が長くはみ出ていることがある。このような編み糸基材6よりなる編み糸3を複数本用いて編組されたグランドパッキン4においては、編組後も、膨張黒鉛テープ1の幅方向両端1a,1bあるいは片端から補強繊維2,2がはみ出している。
この場合において、補強繊維2,2のはみ出ている2本の編み糸3が、例えば図8に示すように、編み糸3Aの一端1aからはみ出ている補強繊維2Aと編み糸3Bの他端1bからはみ出ている補強繊維2Bが互いに重なって、この重なった補強繊維2A,2B同士が、隣接する編み糸3A,3Bの膨張黒鉛テープ1同士間の全域に亘って介在しさらに隣接する編み糸3A,3Cの膨張黒鉛テープ1同士間の全域にまで及んでいると、大きな漏れ流路5Aが形成されることになる。
また、編み糸3Cの他端1bからはみ出ている補強繊維2Cと編み糸3Dの一端1aからはみ出ている補強繊維2Dが互いに重なって、この重なった補強繊維2C,2Dが、隣接する編み糸3C,3Dの膨張黒鉛テープ1同士間の全域に亘って介在しさらに編み糸3D,3Hの膨張黒鉛テープ1同士間の全域にまで及んでいると、大きな漏れ流路5Bが形成されることになる。
【0004】
このような漏れ流路5A,5Bが形成されたグランドパッキン4は、当然のことながら封止性能の大幅な低下をきたすことになる。また、編み糸3の本数が12本、16本、或いはそれ以上の本数に増加すればするほど、漏れ流路の形成される確率が高くなったり、漏れ流路の数が増加したりし易い。このことは、前記複数本の編み糸3を編組したグランドパッキン4のみに限らず、複数本の編み糸をひねり加工したグランドパッキン4にもいえることである。
【0005】
そこで、本発明は、隣接する編み糸の端からはみ出ている補強繊維同士が互いに重なって、この重なった補強繊維が、膨張黒鉛テープ同士間の全域に亘って介在し、漏れ流路が形成されてしまうのを減少できる構造のグランドパッキンを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明に係るグランドパッキンは、膨張黒鉛テープに補強繊維が膨張黒鉛テープの長手方向に埋設された編み糸が複数本存在し、前記編み糸の膨張黒鉛テープ同士を直接当接させる編組構造のグランドパッキンにおいて、上記補強繊維が埋設された編み糸の幅方向の両端がその編み糸の幅方向の内側に向けられ、かつこれら内側に向けられた部分が互いに対向するように谷折りにされていることを特徴としている。
【0007】
また、請求項2に記載の発明に係るグランドパッキンは、膨張黒鉛テープに補強繊維が膨張黒鉛テープの長手方向に埋設された編み糸が複数本存在し、前記編み糸の膨張黒鉛テープ同士を直接当接させるひねり構造のグランドパッキンにおいて、上記補強繊維が埋設された編み糸の幅方向の両端がその編み糸の幅方向の内側に向けられ、かつこれら内側に向けられた部分が互いに対向するように谷折りにされていることを特徴としている。
【0008】
請求項1及び2に記載の発明によれば、編み糸の幅方向の端から補強繊維が長くはみ出ていても、編み糸の幅方向の端がその編み糸の幅方向の内側に向けられているため、上記長くはみ出た補強繊維を編み糸の内側に指向させたり封じ込めたりすることができる。このため、隣接する編み糸の幅方向の端からはみ出ている補強繊維同士が互いに重なって、その補強繊維同士が、隣接する編み糸の膨張黒鉛テープ同士間に全域に亘り介在され、大きな漏れ流路が形成されるのを減少ないしは防止することができる。
【0009】
なお、編み糸の幅方向の内側に向ける編み糸の幅方向の端は、両端が好ましいが、片端であっても、大きな漏れ流路が形成される確率が大幅に減少され、不良品の発生が大幅に減少される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、請求項1に記載の発明に係るグランドパッキンの一実施の形態を示す斜視図、図2は図1の拡大断面図であり、これらの図において、グランドパッキン4には、8本の編み糸3A,3B,3C,3D,3E,3F,3G,3Hが存在している(8打ち角編み)。これら各編み糸3A〜3Hは、図6で示した編み糸基材6の幅方向両端部1A,1Bを図3(a)のように幅方向内方に向くように折り曲げ、これらを図3(b)のように互いに対向するように長手方向に谷折りに折り畳んだのち捻り加工して編み糸を形成し、この編み糸を複数本(8本)集束して編組したものである。
【0011】
上記補強繊維2としては、木綿,レーヨン,フエノール,アラミド,PBO,PBI,PTFE,PPS,PEEKなどの有機繊維の中から選択された1つもしくはガラス繊維,炭素繊維,セラミック繊維などの無機繊維の中から選択された1つ、またはステンレス,インコネル,モネルなどの金属線の中から選択された1つが使用される。勿論、前記有機繊維、無機繊維および金属線を適宜選択して複合使用してもよい。
【0012】
このように、複数本集束して編組されている編み糸3A〜3Hの幅方向の端1a,1bが幅方向の内側に向けられ、かつこれら内側に向けられた部分が互いに対向するように谷折りにされていることにより、たとえ、全ての編み糸3A〜3Hの幅方向の端1a,1bから補強繊維2A,2B,2C,2D,2E,2F,2G,2Hが長くはみ出ていても、これら端1a,1bからはみ出ている補強繊維2A〜2Hは、図2から明らかなように、編み糸3A〜3Hの内側に封じ込められる。このため、編み糸3の一端1a或いは他端1bからはみ出ている補強繊維(2A〜2F)が互いに重なって、その重なった補強繊維同士が、隣接する編み糸3,3の膨張黒鉛テープ1同士間の全域に亘って介在したりすることが防止されるのは勿論のこと、膨張黒鉛テープ1同士間の一部に介在することも有効に防止される。
【0013】
図4は、請求項2に記載の発明に係るグランドパッキンの一実施の形態を示す斜視図であり、請求項1に記載の発明と同一もしくは相当部分には同一符号を付して説明する。この図において、グランドパッキン4は、8本の編み糸3A〜3Hをひねり加工したものである。また、編み糸3A〜3Hは、請求項1に記載の発明と同様に、膨張黒鉛テープ1の幅方向両端1a,1bが幅方向内側に向くように折り曲げたのち、これを長手方向に谷折りに折り畳んだのち捻り加工して編み糸を形成し、この編み糸を複数本(8本)集束してひねり加工したものである。したがって、グランドパッキン4の断面形状は、図2の断面形状と略同じになるので、請求項1に記載の発明に係るグランドパッキン4と同様に、編み糸3の一端1a或いは他端1bからはみ出ている補強繊維が互いに重なって、その重なった補強繊維同士が、隣接する編み糸3,3の膨張黒鉛テープ1同士間の全域に亘って介在したりすることが防止されるのは勿論のこと、膨張黒鉛テープ1同士間の一部に介在することも有効に防止される。
【0014】
なお、前記実施の形態では、全ての編み糸3A〜3Hについて膨張黒鉛テープ1の幅方向端1a,1bを幅方向内側に向けているが、編み糸の端からはみ出ている補強繊維同士が重なり合って、その重なり合った補強繊維同士が、隣接している編み糸の膨張黒鉛テープ1,1同士間の全域に介在されないようにしておけばよいので、全ての編み糸3A〜3Hについて膨張黒鉛テープ1の幅方向両端1a,1bを幅方向内側に向ける必要はない。例えば図5に示すように、2本の編み糸3B,3Cにおける膨張黒鉛テープ1の幅方向両端1a,1bが幅方向内側に向いておれば、補強繊維2B,2Cは編み糸3B,3Cの内側に封じ込められるので、図8に示されている漏れ流路5A,5Bは形成されない。
【0015】
また、前記実施の形態では、8本の編み糸3A〜3Hを集束して編組またはひねり加工することによってグランドパッキン4を構成しているが、編組またはひねり加工される編み糸の数は8本のみに限定されるものではなく、8本以上の編み糸(たとえば、12本または16本)を集束して編組またはひねり加工することによってグランドパッキン4を構成してもよいのは勿論である。
【0016】
さらに、前記実施の形態では、グランドパッキン4を構成している編み糸3の幅方向の端1a,1bを編み糸3の幅方向の内側に向けるために、図6で示した編み糸基材6の幅方向両端部1A,1Bを幅方向内方に向くように折り曲げ、これを長手方向に谷折りに折り畳んだのち捻り加工して編み糸を形成し、この編み糸の複数本を集束して編組またはひねり加工したが、このような方法に限られないのは勿論である。すなわち、グランドパッキン4を構成している編み糸3の幅方向の端1aまたは1bが編み糸3の幅方向の内側に向けばよいのであって、例えば、編み糸基材6の少なくとも幅方向一端部1A,1Bをカール状、渦巻き状、斜め内向き状、その他の状態にして、編組またはひねり加工した時に、編み糸3の少なくとも幅方向の端1a,1bを編み糸3の幅方向の内側に向くようにしてもよく、要するに、編組またはひねり加工した後の編み糸3の少なくとも幅方向の端1a,1bが編み糸3の幅方向の内側に向くようにしていればよいものである。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1,2に記載の発明は、補強繊維を埋設して編み糸の膨張黒鉛テープ同士を直接当接させるタイプのグランドパッキンにおいて、隣接する編み糸の端からはみ出ている補強繊維同士が互いに重なって、この重なった補強繊維が、膨張黒鉛テープ同士間の全域に亘って介在し、漏れ流路が形成されてしまうのを減少させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1に記載の発明に係るグランドパッキンの一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】 図1の拡大断面図である。
【図3】 本発明に係るグランドパッキンの編組またはひねり加工に使用される編み糸の斜視図である。
【図4】 請求項2に記載の発明に係るグランドパッキンの一実施の形態を示す斜視図である。
【図5】 本発明に係るグランドパッキンの他の実施の形態を示す拡大断面図である。
【図6】 編み糸基材と従来のグランドパッキンの編組またはひねり加工に使用される編み糸の斜視図である。
【図7】 従来のグランドパッキンの一例を示す斜視図である。
【図8】 図7の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 膨張黒鉛テープ
1a 膨張黒鉛テープの幅方向一端面(編み糸の幅方向の端面)
1b 膨張黒鉛テープの幅方向他端面(編み糸の幅方向の端面)
2 補強繊維
2A〜2H 編み糸の幅方向の端面から出ている補強繊維
3 編み糸
3A〜3H 編組またはひねり加工されている編み糸
4 グランドパッキン
Claims (2)
- 膨張黒鉛テープに補強繊維が膨張黒鉛テープの長手方向に埋設された編み糸が複数本存在し、前記編み糸の膨張黒鉛テープ同士を直接当接させる編組構造のグランドパッキンにおいて、上記補強繊維が埋設された編み糸の幅方向の両端がその編み糸の幅方向の内側に向けられ、かつこれら内側に向けられた部分が互いに対向するように谷折りにされていることを特徴とするグランドパッキン。
- 膨張黒鉛テープに補強繊維が膨張黒鉛テープの長手方向に埋設された編み糸が複数本存在し、前記編み糸の膨張黒鉛テープ同士を直接当接させるひねり構造のグランドパッキンにおいて、上記補強繊維が埋設された編み糸の幅方向の両端がその編み糸の幅方向の内側に向けられ、かつこれら内側に向けられた部分が互いに対向するように谷折りにされていることを特徴とするグランドパッキン。
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