JP3939908B2 - 原稿読取レンズ・原稿読取レンズユニット・原稿読取モジュール・原稿読取方法・原稿読取装置・画像情報処理装置 - Google Patents
原稿読取レンズ・原稿読取レンズユニット・原稿読取モジュール・原稿読取方法・原稿読取装置・画像情報処理装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、原稿読取レンズ・原稿読取レンズユニット・原稿読取モジュール・原稿読取方法・原稿読取装置・画像情報処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
原稿読取レンズは、デジタル複写機や各種のスキャナに用いられている。
原稿読取の密度は、300dpi(1インチあたりのドット数)、400dpiから600dpi、さらには1200dpiへと高まってきており、それに伴ない、原稿読取レンズにも高い性能が求められるようになってきている。
原稿読取レンズとして従来から広く知られた「ガウス型」のものは、比較的大口径で高解像度を実現できる。しかし、近来、原稿読取レンズに求められている高性能を実現しようとすると、例えば、特開2000−111794号公報に記載されたもののように、少なくとも6枚のレンズを必要とする。
【0003】
一方、特開平7―56085号公報には、2枚構成で高い性能の実現を意図した原稿読取レンズが記載されている。しかし、2枚構成では達成できる性能に自ずと限界があり、用途も、ファクシミリやイメージスキャナ等、あまり高い読取解像度を要求されないものに限られてしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、3〜5枚構成と、ガウス型のものに比してレンズ枚数が少なく、なおかつ、ガウス型と同等もしくはそれ以上の性能を有する原稿読取レンズの実現を課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、この発明において、原稿読取レンズのレンズ枚数を最小で3枚とし、最も像側に配置されるレンズのパワーを「負」とし、かつ、この負のパワーのレンズを像面の近傍に配置する構成とした。
レンズ枚数を「最小で3枚」とすることにより、諸収差の補正が容易になり、高性能を実現できる。
即ち、この発明の原稿読取レンズは「原稿画像を読取るためのレンズ」であって、物体側に前群、像側に後群を配してなる。
「前群」は、1枚以上の正レンズを含む、2〜4枚のレンズで構成される。
「後群」は、1枚の負レンズにより構成される。
従って、全構成枚数は3〜5枚となる。
実使用状態におけるバックフォーカスは、レンズ全長の10%以下であり、前群と後群との空気間隔は、レンズ全長の50%以上である(請求項1)。
上記前群は、2枚のレンズで構成することもできるし、3枚のレンズで構成することもでき、さらには、4枚のレンズにより構成することもできる。
【0006】
請求項1記載の原稿読取レンズは「全レンズを、球面レンズとして構成する」ことができる。このように全レンズを球面レンズで構成すると、各構成レンズの製造が容易であり、原稿読取レンズを低コストで実現できる。
勿論、上記請求項1記載の原稿読取レンズにおいて、1面以上のレンズ面を非球面とすることができる。この場合、非球面を「後群の入射側面(物体側面)」に採用することもできるし(請求項2)、「後群の像側面」に採用することもできる(請求項3)。即ち、後群は、その物体側面および/または像側面を非球面とすることができる。
上記請求項1〜3の任意の1に記載の原稿読取レンズにおいて「後群をプラスチックレンズとする」ことができる(請求項4)。この発明の原稿読取レンズでは、後群が像面の近くに配置されるため、後群の寸法が、前群に比して大きい。
従って、このような大きいレンズをプラスチックで構成することにより、原稿読取レンズの更なる低コスト化が可能になる。また、後群をプラスチックレンズとすると、その物体側面および/または像側面に非球面を採用する場合に、非球面の形成が容易である。
【0007】
後群は、像面近傍に配置され、像面には、受光素子アレイが配置されるので、後群の外形形状は「光軸に対して回転対称」でなくてよく(請求項5)、この場合、後群の外形形状を「主走査方向に長い短冊形状」とすることができる(請求項6)。ここに、「主走査方向」は、原稿読取レンズと組み合わせられる受光素子アレイにおける受光素子の配列方向を言う。
後群をプラスチックレンズとする場合「位置決め用、もしくは保持用、もしくは固定用の係合部」を後群の一部に形成することができる(請求項7)。上記係合部は、凸部もしくは凹部である。
上記請求項1〜7の任意の1に記載の原稿読取レンズにおいて、実使用状態におけるバックフォーカスは、上記のごとく「レンズ全長の10%以下」である。バックフォーカスは短い方が「収差の補正には有利」である。
なお、請求項5〜7に記載の原稿読取レンズでは、後群の外形形状が光軸に関して回転対称ではないが、前群・後群ともに外形形状を光軸に関して回転対称とし、エリアセンサにより原稿の全画面を同時に読取り得るように構成することもできる。
【0008】
上記請求項1〜7の任意の1に記載の原稿読取レンズにおいて良好な性能を実現するには「前群の焦点距離:fFと後群の焦点距離:fRのバランス」が重要になる。
【0009】
これらの焦点距離:fFとfRは、その絶対値が同程度の大きさを有することが好ましく、両者の比:fR/fFの範囲は、
−1.8<fR/fF<−0.8
であることが好ましい。
【0010】
この発明の原稿読取レンズユニットは、上に説明した請求項1〜7の任意の1に記載の原稿読取レンズと、この原稿読取レンズの各レンズを保持し、原稿読取レンズ全体を一体化する保持手段とを有する(請求項8)。
上記「保持手段」は、前群の各レンズを保持する保持部と、後群を取付けられる後群取付け部とを一体に形成されたものであっても良いし、原稿読取レンズの前群を保持する前群保持手段と、後群を保持する後群保持手段と、これら各保持手段を一体化する連結手段とを有するように構成することもできる。この場合、
前群保持手段を「後群保持手段に対して相対的に、光軸方向へ並進変位可能および/または光軸の回りに回転可能」とすることができる。前群が光軸方向へ並進変位可能であると、前群の光軸方向への変位により、ピント調整を行うことができる。また、前群が光軸の回りに回転可能であると、前群を回転させることにより、偏心等による像面の傾きを調整することができる。
上記請求項8記載の原稿読取レンズユニットは、原稿読取レンズの前群と後群との間に「光路を屈曲させる1以上の折り曲げミラー」を有することができる。このような1以上の折り曲げミラーを用いることにより、原稿読取レンズのレイアウトの自由度が高くなる。
【0011】
上記原稿読取レンズユニットは、原稿読取レンズの前群と後群との間に「像面における主走査方向の像の明るさを補正するためのシェーディング手段」を有することができる。この場合において、シェーディング手段を「所定形状の開口部を有する遮光板」とすることができる。
また、上記折り曲げミラーに所定の反射面形状を持たせることにより、折り曲げミラーが「像面における主走査方向の像の明るさを補正するためのシェーディング手段」を兼ねるようにすることができる。
なお、前述した「エリアセンサを用いて原稿の全画面を一度に読取るような場合には、シェーディング手段は、エリアセンサ上での像の明るさを補正できるようにできる。
【0012】
この発明の「原稿読取モジュール」は、原稿画像を読取って電気信号化するためのモジュールであって、原稿読取レンズと、受光素子アレイとを有する。
「原稿読取レンズ」は、前記請求項1〜7の任意の1に記載の原稿読取レンズである。
「受光素子アレイ」は、原稿読取レンズにより形成される原稿画像の像をサンプリングし、光電変換する(請求項9)。
請求項9記載の原稿読取モジュールは「原稿読取レンズの後群と受光素子アレイとを一体化した構成」とすることができる(請求項10)。
請求項11記載の原稿読取モジュールは、原稿読取レンズの「実使用状態におけるバックフォーカス」が十分に短い場合、後群の像側面が「受光素子アレイのパッケージのシールド材を兼ねる」ことができる(請求項11)。
特に、原稿読取レンズの「実使用状態におけるバックフォーカスが実質的に0」である場合、即ち、後群の像側面が像面と合致する場合「受光素子アレイを後群の像側面に直接貼着」して設けることができる(請求項12)。この請求項12記載の原稿読取モジュールの場合、原稿読取レンズの後群の像側面が非平面であってもよい(請求項13)。
【0013】
上記請求項9〜13の任意の1に記載の原稿読取モジュールにおいては「原稿読取レンズの全体を保持手段により一体化し、原稿読取レンズと保持手段とで、請求項8記載の原稿読取レンズユニットを構成するようにすることができる(請求項14)。この場合、保持手段は「前群の各レンズを保持する保持部と、後群を取付けられる後群取付け部とを一体に形成されたもの」であることも(請求項15)、「原稿読取レンズの前群を保持する前群保持手段と、後群を保持する後群保持手段と、これら各保持手段を一体化する連結手段とを有する」ものであることもでき(請求項16)、後者の場合には「前群保持手段を、後群保持手段に対して相対的に、光軸方向へ並進変位可能とする」こともできるし(請求項17)、「後群保持手段に対して相対的に、光軸の回りに回転可能とする」こともでき(請求項18)、この請求項18記載の原稿読取モジュールにおいては「前群保持手段を、後群保持手段に対して相対的に光軸方向へ並進変位可能とする」ことができる(請求項19)。
【0014】
上記請求項9〜19の任意の1に記載の原稿読取モジュールは「原稿読取レンズの前群と後群との間に光路を屈曲させる折り曲げミラーを有する」ことができ(請求項20)、「原稿読取レンズの前群と後群との間に、像面における主走査方向の像の明るさを補正するためのシェーディング手段を有する」こともできる(請求項21)。
この請求項21記載の原稿読取モジュールのシェーディング手段は「所定形状の開口部を有する遮光板」であることもできるし(請求項22)、請求項20記載の原稿読取モジュールのように、折り曲げミラーを有する場合には、折り曲げミラーの反射面を所定の反射面形状とし、像面における主走査方向の像の明るさを補正するためのシェーディング手段を兼ねるようにすることができる(請求項23)。
【0015】
この発明の原稿読取方法は「原稿読取レンズによる原稿画像の像を受光素子アレイ上に結像させ、原稿を走査し、原稿画像を読取って電気信号化する原稿読取方法であって、原稿読取レンズとして請求項1〜7の任意の1に記載の原稿走査レンズを用いることを特徴とする(請求項24)。
請求項24記載の原稿読取方法においては「原稿読取レンズを原稿読取レンズユニットとしてユニット化し、ユニット化された原稿読取ユニットとして、請求項8記載の原稿読取レンズユニットを用いる」ことができる。
また、上記請求項24記載の原稿読取方法においては「原稿読取レンズと受光素子アレイとを原稿読取モジュールとし、この原稿読取モジュールとして、請求項9〜23の任意の1に記載の原稿読取モジュールを用いる」ことができる。
【0016】
上記原稿読取方法における原稿の走査は「定位置に設定された原稿照明部において原稿を照明しつつ、原稿照明部に対して原稿を走行させる」ことにより行うこともできるし、「原稿読取レンズから受光素子アレイまでを固定し、照明手段により原稿を主走査方向に照明し、照明手段により照明された原稿部分からの光束を1群のミラーにより原稿読取レンズへ導光し、照明手段を副走査方向に変位させると共に、上記1群のミラーを、照明ランプによる照明部から原稿読取レンズへの導光の光路長を保って変位させる」ことにより行うこともできる。
【0017】
この発明の原稿読取装置は「原稿読取レンズによる原稿画像の像を受光素子アレイ上に結像させ、原稿を走査しつつ、原稿画像を読取って電気信号化する原稿読取装置」であって、走査手段と、受光素子アレイと、原稿読取レンズと、信号処理手段および画像処理手段を有する(請求項25)。
「走査手段」は、原稿を走査する手段である。
「受光素子アレイ」は、その上に結像される画像をサンプリングして、光電変換する。
「原稿読取レンズ」は、走査される原稿部分からの光束を、受光素子アレイ上に結像させるレンズであり、請求項1〜8の任意の1に記載の原稿読取レンズが用いられる。
「信号処理手段」は、受光素子アレイの出力信号を信号処理する。
「画像処理手段」は、信号処理された信号に対して画像処理を行う。
【0018】
この請求項26記載の原稿読取装置においては「原稿読取レンズを原稿読取レンズユニットとしてユニット化し、ユニット化された原稿読取ユニットとして請求項8記載の原稿読取レンズユニットを用いる」ことができ(請求項26)、あるいは「原稿読取レンズと受光素子アレイとを原稿読取モジュールとし、この原稿読取モジュールとして、請求項9〜23の任意の1に記載の原稿読取モジュールを用いる」こともできる(請求項27)。
上記請求項25または26または27記載の原稿読取装置において、原稿を走査する走査手段を、コンタクトガラスと、走行手段と、照明手段とにより構成することができる(請求項28)。
「コンタクトガラス」は、定位置に設けられる。
「走行手段」は、コンタクトガラスの表面に接して原稿を走行させる。
「照明手段」は、コンタクトガラス上の原稿を、主走査方向にわたって照明する。
【0019】
上記請求項25または26または27記載の原稿読取装置における「原稿を走査する手段」はまた、原稿ガラスと、照明手段と、1群のミラーと、変位手段とにより構成することもできる(請求項29)。
「原稿ガラス」は、原稿を平面的に定置するためのガラス板である。
「照明手段」は、原稿ガラスに定置された原稿を主走査方向にわたって照明する手段である。
「1群のミラー」は、照明手段により照明された原稿部分からの光束を原稿読取レンズへ導光する。
「変位手段」は、照明手段を副走査方向(主走査方向に直交する方向)に変位させると共に、上記1群のミラーを、照明手段による照明部から原稿読取レンズへの導光の光路長を保って変位させる。
上記請求項25〜29の任意の1に記載の原稿読取装置においては「信号処理手段および/または画像処理手段が、読取倍率の調整を電気的に行う機能を有する」ことができる(請求項30)。
【0020】
この発明の画像情報処理装置は「原稿画像を読取って電気信号化する原稿読取装置と、この原稿読取装置により電気信号化された信号情報を出力するための出力手段とを有する画像情報処理装置」であって、原稿読取装置として、請求項25〜30の任意の1に記載の原稿読取装置を用いることを特徴とする(請求項31)。
上記「出力手段」は、画像を表示媒体(CRTや液晶デイスプレイ、液晶プロジェクタの液晶パネル等)上にディスプレイするディスプレイ装置であることもできるし(請求項32)、「画像情報を電子的な記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクや各種光ディスク)に書き込む書込み装置」であることもでき(請求項33)、「画像情報を有線や無線の通信形態で伝送する伝送装置(ファクシミリの伝送部分等)であることも(請求項34)、「画像情報を普通紙やOHPシート(オーバヘッドプロジェクタ用のプラスチックシート等)等の記録媒体にプリント記録する記録装置」であることもできる(請求項35)。
「出力手段としての記録装置」は、インクジェットプリンタであることもできるし、「電気写真方式の光記録装置」であることもできる。
上記請求項31記載の画像情報処理装置は、出力手段として上記のものを2以上有することができる。例えば、出力装置として、上記の伝送装置や、書込み装置、記録装置等を有すると、画像情報処理装置は、原稿を読取って画像情報とし、これをフロッピディスク等の磁気ディスクや光ディスクに書込み記録する読取装置としての機能や、読み取った原稿の画像情報を伝送装置により伝送するファクシミリ機能や、読取った画像情報を記録媒体に形成する画像形成装置としての機能等、多機能をもった情報処理装置となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の原稿読取レンズの実施の1形態を示している。
図1に示す如く、原稿読取レンズは、物体側(図の左方)に前群GF、像側に後群GRを配してなり、前群GFは「1枚以上の正レンズを含む、3枚のレンズ」で構成され、後群GRは「1枚の負レンズ」により構成される。この実施の形態では、前群の構成枚数は3であるが、後述する実施例に示すように、前群の構成枚数を2とすることもできるし、4とすることもできる。
図1における距離:Bは「実使用状態におけるバックフォーカス(後群GRの像側面と像面ISとの間隔)」であり、距離:Aは「レンズ全長」、距離:Cは「前群GFと後群GRとの空気間隔」である。実使用状態におけるバックフォーカス:Bは「レンズ全長:Aの30%以下」であり、上記空気間隔:Cは「レンズ全長:Aの50%以上」である。なお、図1における符号Sは絞りを示す。絞りSは、前群GFの適宜の位置に、適宜の方法で設けられる。
前群GFは、主として結像作用を分担し、後群GRは、所謂「フィールドフラットナ」としての役割を果たす。
【0022】
このような原稿読取レンズに「十分な結像性能」を確保するためには、前群GFは2枚以上のレンズから構成されることが必要である。前群を1枚構成とすると、レンズ面に非球面を導入しても、その収差補正能力は限られており、デジタル複写機や「多機能の画像情報処理装置」等の原稿読取レンズとして用いるのに十分な性能を得ることはできない。
後群GRが「フィールドフラットナ」としての役割を十分に果たすためには、実使用状態におけるバックフォーカス:Bは、レンズ全長:Aの30%以下である必要がある。
前群GFが持つ「像面湾曲」を、後群GRで効率良く補正するには、後群GRにおける「軸外の主光線高さ」をなるべく高くする必要があり、そのために、バックフォーカス:Bは短い方が望ましい。
さらに、前群GRの小型化を図るためには、前群GFと後群GRとの空気間隔:Cが、レンズ全長:Aの50%以上である必要がある。空気間隔:Cがレンズ全長:Aの50%よりも小さいと「前群GFが大型化」してコストアップを招来する。
【0023】
上記の如き構成を採ることにより、この発明の原稿読取レンズは、例えば、特開2000―111794号公報に記載されたような「6枚構成のガウス型の原稿読取レンズ」と同等もしくはこれを上回る機能・性能を3〜5枚という「より少ない構成枚数」で実現することができ、低コスト化を達成することもできる。
【0024】
また、後群GRをプラスチックレンズとして構成することにより、より一層の低コスト化を図ることができる。
この発明の原稿読取レンズは、後群GRを像面IS近傍に配置するので、後群GRにおける近軸光線高さが小さくなる。このため、後群GRをプラスチック化した場合に「温度変化による後群GRのパワー変動」が大きくなっても、パワー変動の「収差やバックフォーカスへの影響」は小さい。このため、この発明の原稿読取レンズの後群GRはプラスチック化に適している。この発明の原稿読取レンズの「より大口径化・高性能化」のためには、後群GRの少なくとも1面を非球面とすることが望ましい。
【0025】
後群GRは像面ISに近く、像高ごとの光束が十分に分離して通過するため、後群GRに非球面を導入することにより「軸外収差を効果的に補正する」ことができる。特に、後群GRを「プラスチックの成型品」とする場合、比較的容易に非球面を導入でき、コストアップも殆どない。
後群GRは、必要に応じ「光軸に関して回転対称でない形状」とすることができる。原稿読取レンズを1次元の受光素子アレイ(ラインセンサ)と組み合わせて用いる場合、後群GRに必要な光線有効範囲は「主走査方向に長く副走査方向に短い帯状の形状」となる。
このような場合、後群GRの形状は、図2に示すような「円形の一部分を切除した短冊型の外形形状」とすることもできるし、図3に符号GR’で示すもののように「矩形状の外形形状」を有することもできる。このように後群GR、GR’を回転対称でない外形形状とすることは、後群がガラスレンズでも可能であるが、後群をプラスチックの成型品とすることでより容易に実現可能となる。
【0026】
後群をプラスチックの成型品とする場合には、図4に示す後群GRaように、位置決め用の係合部41や保持あるいは固定のための係合部42、43を設けることも容易である(レンズと一体に成形で形成できる)。
なお、図2〜図4において、左図は斜視図、右図は光軸方向から見た図である。上に説明したような原稿読取レンズは、前群GFと後群GRとが保持手段により保持されて全体が一体化されて「原稿読取レンズ」となる。
保持手段を「前群の各レンズを保持する保持部と、後群を取付けられる後群取付け部とを一体に形成されたもの」とする場合の実施の形態については後述することとし、図5に、保持手段が「原稿読取レンズの前群を保持する前群保持手段と、後群を保持する後群保持手段と、これら各保持手段を一体化する連結手段とを有する」場合の実施の形態を示す。
図5において、前群鏡筒50は「前群を保持する前群保持手段」である。後群GRaを保持する後群保持手段51は大略「長方形形状の平板状」であり、長手方向の端部に位置決め用の溝を形成する座部53、55を形成され、また、後群GRaを保持固定するための柱状の係合部57、59が立設されている。
【0027】
後群GRaは図4に示した型のものであり、位置決め用の係合部41を長手方向(主走査方法)の中央部に突設され、長手方向の両側に保持・固定のための係合部42(図示されず)と係合部43とが形成されている。
後群GRaは、上記係合部41を座部53、55の間の溝に嵌め合わせて位置決めされ、保持・固定のための係合部42、43を、係合部57、59に設けられた板ばね57a、59aにより押さえられて、後群保持手段51に固定されている。
【0028】
前群GFを保持する前群鏡筒50は、光軸に対して回転対称な形状に形成され、連結手段52により保持手段51の平面部に係止されている。
即ち、前群鏡筒50は、連結手段52により後群保持手段51に一体化されているわけであるが、前群鏡筒50は、後群保持手段51に一体化された状態で、前群GRの光軸に対して回転可能であり、また上記光軸方向へ変位可能である。このように原稿読取レンズユニットを構成すると、前群GRのみを光軸周りに回転させることにより「レンズ同士の偏心等により発生する像面の傾き」を調整でき、1次元の受光素子アレイ(ラインセンサ)と組み合わせて用いる場合にその効果が大きい。
【0029】
また、前群GFのみを光軸方向に移動させることで「ピント調整」を行うことができる。この場合、後群を移動させないことにより、特に後群が回転対称な形状でない場合に、図のように「取り付け構造」を簡略化できる。なお、図5に示すように、後群保持手段51が座部53、55を有することにより、後群GRaの幅(副走査方向の厚さ)を薄く設定することができている。
原稿読取レンズユニットを構成するに当たって、保持手段の形態は種々のものが可能である。また、原稿読取レンズを保持手段により一体化するに際し、保持される原稿読取レンズの形態にも自由度がある。
例えば、図6(a)の実施形態では、前群GFと後群GRとは光軸直線上に配置され、適宜の保持手段61により一体化されている。図6(b)の実施の形態では、原稿読取レンズの光軸は、前群GFと後群GRとの間において、折り曲げミラーMにより光路を屈曲された状態で、適宜の保持手段62により一体化されている。
【0030】
このように「光路を折り曲げる」ことで、原稿読取装置内におけるレイアウトの自由度が増加する。
【0031】
結像レンズによる像の明るさは、一般にはコサイン4乗則に従い、像の周辺部に行くほど、明るさが減少する。このことは、原稿読取レンズにおいても例外ではなく、受光手段が位置する像面における原稿像の明るさは、光軸上から周辺に向かって次第に減少する。「明るさの不均一な原稿像」をそのまま読取ると、読取った画像情報で画像を再生したときに、再生画像に「濃度むら」が現われてしまう。
上記濃度むらの解消は、読取った画像情報を電気的に補正したり、原稿照明部の照度を、中央部から周辺部へ向かって増大するように照度分布を設定したり、結像光束の光路中に所謂シェーディング手段を設けたり、あるいは、これらの方法の2以上を組み合わせて行うことにより可能である。
この発明の原稿読取レンズは、前群と後群との間が広く空いているので、この部分にシェーディング手段を設けることができ、原稿読取レンズ外の空間部分に、シェーディング手段を設けるための空間を必要としない。
図7は、原稿読取レンズの前群GFと後群GRaとの間に、像面における主走査方向の像の明るさを補正するためのシェーディング手段71を有する原稿読取レンズユニットの実施の1形態を示している。
【0032】
この実施の形態において、シェーディング手段71は、所定形状(画角の小さい光束部分ほど大きく遮光するような形状)の開口部を有する遮光板(シェーディング補正板)であり、後群保持手段51に固定されて設けられている。なお、図7において、シェーディング補正板71を除く部分は、図5の実施の形態と同一である。
また、図6(b)に示した原稿読取レンズユニットのように、前群GFと後群GRの間において、折り曲げミラーMにより光路を折り曲げる場合、この折り曲げミラーMを、例えば図8に示すように反射部MRと、その回りの非反射部NRとで構成し、反射部MRの形状、即ち「反射面形状」を、(画角の小さい光束部分ほど反射面積を小さくするような)所定の形状とすることにより、像面における主走査方向の像の明るさを補正するためのシェーディング手段を兼ねさせることができる。
【0033】
図9は、この発明の原稿読取モジュールの、実施の1形態を説明図的に示している。原稿読取モジュール90は「原稿画像を読取って電気信号化する」ためのモジュールであって、原稿読取レンズと、この原稿読取レンズにより形成される原稿画像の像をサンプリングし、光電変換する受光素子アレイSAとを、適宜の一体化手段91により一体化したものである。原稿読取レンズは、先に説明した請求項1〜7の任意の1に記載の原稿読取レンズであり、図9に示すように、前群GFと後群GRとで構成されている。
受光素子アレイSAとしては、周知のCCDやCMOSセンサ等を用いることができる。これらの受光素子アレイSAは「一般に市販される形態」としては、図10に示すように、基板BSに一体化されたパッケージPK内に設けられ、シールド材であるシールドガラスSGにより、パッケージ内部に封止されている。
【0034】
受光素子アレイSAは、その受光面を原稿読取レンズの像面位置に合致させて設けられるが、この発明の原稿読取レンズは、後群が像面に近い位置に配置されるので、図11に示す実施の形態のように、原稿読取モジュールにおける原稿読取レンズの後群GRと受光素子アレイSAとを一体化することができる。
【0035】
受光素子アレイと後群との一体化の形態には、色々な形態が可能であり、図11に示す実施の形態では、後群GRの像側面をシールド材(シールドガラス)SGの表面に透明な接着剤11Aを用いて接着一体化した例である。
原稿読取レンズの「実使用状態におけるバックフォーカス」が十分に短い場合は、図12に示す実施の形態のように、後群GRの像側面が「受光素子アレイSAのパッケージPKのシールド材」を兼ねるようにすることができる。
さらに、原稿読取レンズの「実使用状態におけるバックフォーカス」が実質的に0であるような場合には、図13に示す実施の形態のように、受光素子アレイSA自体を、後群GRの像側面に、接着剤11Aを用いて直接貼着することができる。
図11〜図13に示す実施の形態では、原稿読取レンズの後群の像側面は「平面もしくは実質的な平面」であるが、後群の像側面に「受光素子アレイを直接貼着する」場合、図14に示す実施の形態のように、後群GRの像側面が「非平面」であっても容易に、後群GRと受光素子アレイの一体化を図ることができる。
なお、図13、図14における下の図は、上の図を主走査方向(上の図の上下方向)から見た状態を示している。
図11〜図14に示す実施の形態では、受光素子アレイの構造が簡単化されるのでコスト低減に有効である。
【0036】
勿論、この発明の原稿読取モジュールは、原稿読取レンズの後群と受光素子アレイとを合体により一体化しない構成も可能である。特にバックフォーカスがある程度大きい場合には、後群と受光素子アレイとを合体させる必要性に乏しい。
このように、原稿読取レンズの後群と受光素子アレイとを合体させない場合には、図15に示す実施の形態のように、原稿読取レンズの後群GRの像側において、受光素子アレイSAを、光軸方向へ変位させることにより「ピント調整」を行うことが可能になる。受光素子アレイSAの変位によりピント調整を行うようにすれば、前群GFのみを光軸方向に変位させてピント調整を行う場合に比して「ピント調整に伴う読取レンズの性能変動を少なくできる」というメリットがある。
特に、バックフォーカスが比較的大きい(原稿読取レンズ全長の10%以上)の場合には、原稿読取レンズの後群GRと受光素子アレイSAとの間の空間部分に、受光素子アレイの変位機構を設けることが可能である。なお、図15において、符号91は、図9におけると同じく「適宜の一体化手段」を表す。
【0037】
上に実施の形態を説明した各原稿読取モジュールにおいて、原稿読取レンズと受光素子アレイを「モジュールとして一体化する」方法は任意であるが、以下に説明する実施の形態のように「原稿読取レンズの全体を保持手段により一体化し、原稿読取レンズと保持手段とで原稿読取レンズユニットを構成する」ことができる。
図16に示す実施の形態では、前群GFと後群GRaとが、保持手段160により保持されて原稿読取レンズユニットを構成し、受光素子アレイSAは専用の保持体170に保持されている。そして、原稿読取レンズユニットにおける保持手段160と保持体170とが互いに一体化されている。この場合、保持体170を保持手段160に対して、原稿読取レンズの光軸方向へ変位可能とすることにより、上述した「受光素子アレイの変位によるピント合わせ」を行うことができる。
保持手段160は、前群GFの各レンズを保持する保持部と、後群GRaを取付けられる後群取付け部とを一体に形成されたものである。
保持手段160は、具体的には、図17に示す如き構成となっている。
【0038】
前群の各レンズは、保持部161の各レンズ受け部に挿入されて保持され、接着材等で保持部161に固定される。また、後群GRaは、図4、図5に即して説明したタイプのものであり、保持手段160に保持させる仕方は、図5に示した実施の形態の場合と同様、板ばねを用いて行っている。
図16、図17に示すような構造で、前群GFおよび後群GRaを保持すれば、図5に示す「前群GFが別体の鏡筒50で保持される場合」に比して、部品数を大幅に減少させることができ、低コスト化が可能となる。
図16、図17に示す実施の形態における保持手段160は、原稿読取レンズユニットの保持手段として「前群GFの各レンズを保持する保持部161と、後群GRを取付けられる後群取付け部とを一体に形成されたもの」の例である。
勿論、原稿読取モジュールにおいて、原稿読取レンズを保持手段で一体化した原稿読取レンズユニットを用いる場合、原稿読取レンズユニットの形態としては、先に図5〜図8に即して説明したような、各種の形態が可能である。
【0039】
例えば、原稿読取モジュールの一部をなす原稿読取レンズユニットの保持手段として、例えば、図5や図7に示した保持手段のように、原稿読取レンズの前群GFを保持する前群保持手段50と、後群GRaを保持する後群保持手段51と、これら各保持手段を一体化する連結手段52とを有するように構成することもできる。この場合、前群保持手段50は、後群保持手段51に対して相対的に、光軸方向へ並進変位可能であることも、光軸の回りに回転可能であることもできるのである。
また、原稿読取レンズユニットとして、図6(b)に示す実施の形態のように、原稿読取レンズの前群GFと後群GRとの間に光路を屈曲させる折り曲げミラーMを有するものを用いることもできるし、図7に示した実施の形態のように、原稿読取レンズの前群GFと後群GRaとの間に、像面における主走査方向の像の明るさを補正するためのシェーディング手段71を有することもできる。シェーディング手段は、この場合のように「所定形状の開口部を有する遮光板」であることもできるし、図8に即して説明したように「折り曲げミラーMが所定の反射面形状を有し、像面における主走査方向の像の明るさを補正するためのシェーディング手段を兼ねる」こともできる。
【0040】
以下、図18及び図19を参照して、原稿読取装置の実施の形態を2例説明する。
原稿読取装置は、原稿読取レンズORLによる原稿画像の像を受光素子アレイSA上に結像させ、原稿ORを走査しつつ、原稿画像を読取って電気信号化する原稿読取装置であって、原稿を走査する走査手段と、受光素子アレイSAと、走査される原稿部分からの光束を、受光素子アレイ上に結像させる原稿読取レンズORLと、受光素子アレイSAの出力信号を信号処理する信号処理手段185および、信号処理された信号に対して画像処理を行う画像処理手段186とを有する。そして、原稿読取レンズORLとしては、前記請求項1〜8の任意の1に記載の原稿読取レンズが用いられる。
図18に実施の形態を示す原稿読取装置は、原稿を走査する走査手段が、定位置に設けられたコンタクトガラス180と、このコンタクトガラスの表面に接して原稿を走行させる走行手段と、コンタクトガラス180上の原稿を主走査方向にわたって照明する照明手段とを有する。
【0041】
搬送ローラ181、182は、図示されないモータにより駆動されて定速回転する。原稿画像を読取られるべき原稿ORは、搬送ローラ181、182により、コンタクトガラス180の上面に接触した状態で矢印方向に搬送され、コンタクトガラス180上を定速度で走行する。符号180Aで示す押さえ板は、走行する原稿ORの原稿面がコンタクトガラス180の上面から浮き上がらないようにする。これら、搬送ローラ181、182と、押さえ板181Aと、図示されないモータとは「走行手段」を構成する。
符号LPで示す照明ランプは「照明手段」であり、コンタクトガラス180上を走行する原稿を主走査方向(図面に直交する方向)にわたって照明する。
即ち、原稿ORの走査は、定位置(コンタクトガラス180上)に設定された原稿照明部において原稿ORを照明しつつ、原稿照明部に対して原稿を走行させることにより行われる。
原稿照明部において、原稿画像面で反射された光束は、反射鏡183により光路を折り曲げられて原稿読取レンズORLに導かれ、受光素子アレイSA上に原稿画像(縮小像)が結像する。受光素子アレイSAは、原稿ORの走行に共ない、光電変換出力を繰り返し出力する。この出力は信号処理手段186において「A/D変換等の信号処理」を受け、画像処理手段186に入力する。画像処理手段186は、入力される画像情報信号を処理して、出力に適した信号形態とする。
【0042】
画像処理手段は、コンピュータ等として実現できる。なお、反射鏡183は、原稿読取装置のレイアウトによっては省略しても良いし、逆にレイアウト次第で2以上の反射鏡を用いて、照明部からの光束を原稿読取レンズORLに導光しても良い。
図19に実施の形態を示す原稿読取装置では、原稿を走査する手段が、原稿ORを平面的に定置する原稿ガラス190と、原稿ガラス190上に定置された原稿を主走査方向(図面に直交する方向)にわたって照明する照明手段LPと、この照明手段LPにより照明された原稿部分からの光束を原稿読取レンズへ導光する1群のミラー191、192、193と、照明手段LPを副走査方向(図の左右方向)に変位させると共に、1群のミラー191、192、193を、照明手段LPによる照明部から原稿読取レンズORLへの「導光の光路長」を保って変位させる変位手段とを有する。
【0043】
照明手段LPは照明ランプである。
原稿の読取を行うときには、原稿ORを、読取るべき原稿画像を有する面を下にして、原稿ガラス190上に平面的に定置する。この状態で読取を指令すると、照明ランプLPが発光して原稿ORを主走査方向に長く照明しつつ、図の右方へ一定速度:Vで移動して、原稿ORを照明走査する。
原稿読取レンズORLから受光素子アレイSAまでは固定されている。照明ランプLPの移動と一体になって、ミラー191が図の右方へ定速度:Vで変位する。
同時に、ミラー192および193は一体となって、図の右方へ一定速度:V/2で変位する。
照明ランプLPにより照明された原稿部分からの光束は、ミラー191、192、193により順次に反射され、原稿読取レンズORLへ導光される。このとき、原稿面から原稿読取レンズORLに至る「導光の光路長」は不変である。
原稿読取レンズORLは、原稿像を受光素子アレイSA上に結像する。
照明手段ランプLPと1群のミラー191〜193を「照明ランプLPによる照明部から原稿読取レンズORLへの導光の光路長」を保って変位させる変位手段としては、従来からこの種の現像読取装置に関連して知られた適宜のものを用いることができる。
【0044】
受光素子アレイSAによる読取と信号処理・画像処理のプロセスは、図18に示した実施の形態の場合と同様である。
従って、図18および図19に実施の形態を示す原稿読取装置によれば、原稿読取レンズORLによる原稿画像の像を受光素子アレイSA上に結像させ、原稿ORを走査し、原稿画像を読取って電気信号化する原稿読取方法が、前記請求項1〜7の任意の1に記載の原稿読取レンズを用いて行われることになる。
図18、図19の原稿読取装置における原稿読み取りレンズORLは、前記請求項8記載の原稿読取レンズユニットとしてユニット化してもよいし、さらには、原稿読取レンズORLと受光素子アレイSAとを、前記請求項9〜23の任意の1に記載の原稿読取モジュールとしてモジュール化してもよい。
また、信号処理手段185および/または画像処理手段186が「読取倍率の調整を電気的に行う機能」を有するように構成することができる。このように、読取倍率の調整を電気的に行うようにすると、同調整を光学的に行わなくともよくなるので、ピント調整時に読取倍率を考慮する必要がなくなるため、調整機構や調整工程の簡略化を図ることができる。
【0045】
図20は、この発明の「画像情報処理装置」の実施の1形態を、説明図的に示している。この発明の画像情報処理装置は、原稿画像を読取って電気信号化する原稿読取装置と、この原稿読取装置により電気信号化された信号情報を出力するための出力手段187とを有する画像情報処理装置であって、原稿読取装置として、上に説明した請求項25〜30の任意の1に記載の原稿読取装置を用いることを特徴とするものであり、図20に示す実施の形態においては、原稿読取装置として「図19に実施の形態を示したもの」を用いている。勿論、原稿読取装置として「図18に実施の形態を示したもの」を用いても良いことは言うまでもない。
【0046】
出力手段187としては、前述したように、各種のもの、例えば「画像を表示媒体上にディスプレイするディスプレイ装置」や、「画像情報を電子的な記録媒体に書き込む書込み装置」、さらには、「画像情報を伝送する伝送装置」、「画像情報を記録媒体にプリント記録する記録装置」等であることができ、記録装置は「インクジェットプリンタ」や「電気写真方式の光記録装置」等であることができる。そして、画像情報処理装置は、出力手段187として、これら各種のものの2以上を有していても良い。
【0047】
図21に画像情報処理装置の実施の1形態を示す。
この画像情報処理装置は前述の「多機能型」のものである。先ず、原稿の読取りから説明すると、読取られるべき原稿ORは、原稿ガラス190上に平面的に定置され、照明ランプLPにより主走査方向(図面に直交する方向)に照明されて副走査方向(図の右方)へ照明走査される。照明された原稿部分からの反射光束は、1群のミラー191、192、193により原稿読取モジュール201に導光され、同モジュール201の受光素子アレイにより信号化される。
即ち、原稿の読取を行う部分は、図19に実施の形態を示した原稿読取装置と同じ構成となっている。
原稿読取モジュール201から出力された信号は、コントローラ202に入力する。コントローラ202は、プログラム制御されるマイクロコンピュータを中心として種々の入出力部を有し、原稿読取装置の一部をなす信号処理手段・画像処理手段を有している。コントローラ202はまた装置の各部を制御する。モータ210は、装置内の各動作部の駆動原であるが、原稿読取装置における変位手段の一部として、図示されない変位機構を駆動してミラー191〜193に(図19に即して説明した)変位を行わせる。
【0048】
コントローラ202は、原稿読取りの際、照明ランプLPの点滅の制御も行う。この画像情報処理装置は出力手段として、伝送装置としてのモデム204、書込み装置203、および記録装置として「電子写真方式の光記録装置」を有する。
上記の如き動作で読取った「原稿画像の情報」をファクシミリで送信したい場合には、図示されない操作パネルにより「ファクシミリ送信」を指令すると、コントローラ202は原稿読取モジュール201から入力される画像情報を、伝送に適した信号形態に信号処理・画像処理し、モデム204を介して伝送する。また、読取った画像情報をフロッピディスクFDや光ディスクCDに書き込みたい場合には、上記操作パネルにて「書込み」を指令し、フロッピディスクFPあるいは光ディスクCDを書込み装置203にセットする。コントローラ202は原稿画像情報を、セットされた「電子記録媒体」に適した信号形態に変換する処理を行い、セットされた電子記録媒体(フロッピディスクFDまたは光ディスクCD)に原稿画像情報を書きこむ。
【0049】
また、原稿画像をプリントする場合には、操作パネルで「複写」を選択する。すると、コントローラ202は以下の如くして原稿画像の複写を実行する。
即ち、コントローラ202は、原稿画像情報を光走査装置207による光走査に適した信号形態に変換する処理を行う一方、光導電性の感光体205を矢印方向へ等速回転させ、その周面を帯電手段206(帯電ローラによる接触帯電式のものを示したが、コロナ放電式のものでもよい)により均一に帯電する。
コントローラ202は次いで、光走査装置207に画像情報を印加して光走査による書込みを行う。このようにして形成された静電潜像(ネガ潜像)は、現像装置208により反転現像されてトナー画像として可視化される。このトナー画像は、転写部において、転写手段209(転写ローラによる接触式のものを示したが、転写チャージャを用いる方式のものでも良いし、中間転写ベルト等の中間転写媒体を用いる方式のものでもよい)により転写紙やOHPシート等であるシート状の記録媒体S上に転写される。
【0050】
記録媒体Sは、定着装置211においてトナー画像を定着されて、装置外部へ排出される。トナー画像転写後の感光体205は、クリーニング装置210により残留トナーや紙粉等を除去される。
なお、この画像情報処理装置では、外部からモデム204を介して入力される画像情報を記録媒体S上にプリントすることもできるし、フロッピディスクや光ディスクに書込み記録することもでき、また、フロッピディスクや光ディスクの情報を書き込み装置203で読取って、モデム204を介して外部へ送信したり、あるいは記録媒体Sにプリント記録することもできる。
【0051】
【実施例】
以下、この発明の原稿読取レンズの具体的な実施例をあげる。各実施例とも、収差は十分に補正され、デジタル複写機や上記の如き多機能の画像情報処理装置の原稿読取りに用いるのに十分な性能を有している。
【0052】
なお、実施例3、7、8、9、10は、シールドガラスSG(図11参照)を有する受光素子アレイと組み合わせて用いる場合を想定しており、他の実施例は、シールドガラスを除き、後群で受光素子アレイのパッケージを直接封止する場合(図12参照)を想定している。
各実施例における「記号の意味」は以下の通りである。
f:全系の焦点距離
m:倍率
Fm:倍率mにおける実効Fナンバ
(通常のFNo.×(1+m)×(入射瞳径/射出瞳径))
Y:最大物体高
R:曲率半径
D:面間隔
Nd:屈折率(d線)
νd:アッベ数
K:非球面の円錐定数
A4:4次の非球面係数
A6:6次の非球面係数
A8:8次の非球面係数
A10:10次の非球面係数
ここで用いられる非球面は、近軸曲率半径の逆数(近軸曲率)をC、光軸からの高さをHとして、周知の次式で定義される。
X=CH2/[1+√{(1-(1+K)C2H2)}]
+A4・H4+A6・H6+A8・H8+A10・H10
なお、長さの次元を持つ量の単位は「mm」である。
【0053】
実施例1
レンズ全長:54.9
バックフォーカス:1.01(レンズ全長の1.8%)
前群と後群との間隔:39.91(レンズ全長の72.3%)
fF/fR=-1.56
実施例1は、全てのレンズ面が球面で構成されている。
図22の上図に、実施例1のレンズ構成を示し、下図に収差図を示す。
収差図におけるC、e、Fは、それぞれ、C線、e線、F線を表し、球面収差の図における破線は「正弦条件」を表す。また、非点収差における破線はメリディオナル光線、実線はサジタル光線を表す。以下の各実施例の収差図においても同様である。
【0054】
実施例2
非球面:第9面
K=0.0,A4 = 6.16139×10-5,A6 = -2.39719×10-7,A8 = 6.82553×10-10,
A10 = -6.07709×10-13
レンズ全長:52.7
バックフォーカス:1.00(レンズ全長の1.9%)
前群と後群との間隔:37.70(レンズ全長の71.5%)
fF/fR=-1.01
図23の上図に、実施例1のレンズ構成を示し、下図に収差図を示す。
【0055】
実施例3
非球面:第9面
K=0.0,A4 = 5.33596×10-5,A6 = -4.97559×10-9,A8 = -3.08944×10-10,
A10 = 2.95608×10-12
レンズ全長:51.81
バックフォーカス:3.66(空気中換算 レンズ全長の7.1%)
前群と後群との間隔:36.82(レンズ全長の71%)
fF/fR=-1.36
図24の上図に、実施例1のレンズ構成を示し、下図に収差図を示す。
【0056】
実施例4
非球面:第3面
K=0.0,A4 = -5.31404×10-5,A6 = -1.84115×10-7,A8= -6.12936×10-10,
A10 = 1.35889×10-12
非球面:第4面
K=0.0,A4 = -4.32140×10-5,A6 = -2.17569×10-7,A8 = 3.50371×10-10,
A10 = 8.11068×10-12
非球面:第7面
K = 0.0,A4 = 6.36218×10-5,A6 = -2.74719×10-7,A8 = 1.09686×10-9,
A10 = -1.03521×10-12
レンズ全長:58.65
バックフォーカス:1.00(レンズ全長の1.7%)
前群と後群との間隔:42.65(レンズ全長の73%)
fF/fR=-0.818
図25の上図に、実施例1のレンズ構成を示し、下図に収差図を示す。
【0057】
実施例5
非球面:第10面
K=0.0,A4 = 3.13841×10-7,A6 = -7.22203×10-10,A8= -4.79523×10-11,
A10 = 1.38768×10-13
非球面:第11面
K=0.0,A4 = 9.80652×10-6,A6 = -1.78814×10-8,A8 = 2.17574×10-11,
A10 = -9.08966×10-15
レンズ全長:107.73
バックフォーカス:1.00(レンズ全長の0.9%)
前群と後群との間隔:70.04(レンズ全長の65%)
fF/fR=-1.03
図26の上図に、実施例1のレンズ構成を示し、下図に収差図を示す。
【0058】
実施例6
非球面:第9面
K=0.0,A4 = 7.50222×10-6,A6 = -7.35149×10-9,A8 = 5.82164×10-12,
A10 = -1.46608×10-15
レンズ全長:120.27
バックフォーカス:1.01(レンズ全長の0.8%)
前群と後群との間隔:89.00(レンズ全長の74%)
fF/fR=-0.95
図27の上図に、実施例1のレンズ構成を示し、下図に収差図を示す。
【0059】
実施例7
非球面:第9面
K=0.0,A4 = -3.76635×10-6,A6 = 6.30996×10-9,A8 = -1.85384×10-12,
A10 = -5.96053×10-16
非球面:第10面
K=0.0,A4 = -4.68601×10-6,A6 = 1.26013×10-9,A8 = 3.19086×10-12,
A10 = -1.87719×10-15
レンズ全長:115.25
バックフォーカス:4.66(空気中換算 レンズ全長の4.0%)
前群と後群との間隔:83.36(レンズ全長の72%)
fF/fR=-1.14
図28の上図に、実施例1のレンズ構成を示し、下図に収差図を示す。
【0060】
実施例8
非球面:第7面
K=0.0,A4 = -3.66708×10-6,A6 = -1.16532×10-8,A8 = 2.14790×10-10,
A10 = -1.33775×10-12
非球面:第9面
K=0.0,A4 = -1.46868×10-5,A6 = 4.32801×10-8,A8 = -5.35630×10-11,
A10 = 2.59883×10-14
非球面:第10面
K=0.0,A4 = -1.60498×10-5,A6 = 3.08020×10-8,A8 = -2.84394×10-11,
A10 = 1.00585×10-14
レンズ全長:101.65
バックフォーカス:4.66(空気中換算 レンズ全長の4.6%)
前群と後群との間隔:67.10(レンズ全長の66%)
fF/fR=-0.92
図29の上図に、実施例1のレンズ構成を示し、下図に収差図を示す。
【0061】
実施例9
非球面:第9面
K = 0.0,A4 = 3.57449×10-5,A6 = 2.01006×10-7,A8 = -1.47522×10-9,
A10 = 8.45052×10-12
レンズ全長:46.47
バックフォーカス:6.66(空気中換算 レンズ全長の14.3%)
前群と後群との間隔:31.47(レンズ全長の68%)
fF/fR=-1.60
図30の上図に、実施例1のレンズ構成を示し、下図に収差図を示す。
【0062】
実施例10
非球面:第9面
K = 0.0,A4 = 2.21483×10-5,A6 = 1.77589×10-7,A8 = -1.30330×10-9,
A10 = 1.08288×10-11
レンズ全長:43.43
バックフォーカス:10.66(空気中換算 レンズ全長の24.5%)
前群と後群との間隔:28.43(レンズ全長の65%)
fF/fR=-1.79
図31の上図に、実施例1のレンズ構成を示し、下図に収差図を示す。
【0063】
上に挙げた実施例1〜10の原稿読取レンズは、原稿画像を読取るためのレンズであって、物体側に前群GF、像側に後群GRを配してなり、前群GFは、1枚以上の正レンズを含む2〜4枚のレンズで構成され、後群GRは、1枚の負レンズにより構成され、実使用状態におけるバックフォーカスがレンズ全長の30%以下であり、前群と後群との空気間隔(図1のC)がレンズ全長(図1のA)の50%以上であることを特徴とする原稿読取レンズ(請求項1)である。
また、実施例4の原稿読取レンズは、前群GFが2枚のレンズで構成されたものであり、実施例1、2、3、6〜10は、前群GFが3枚のレンズで構成されたものであり、実施例5の原稿読取レンズは、前群GFが4枚のレンズにより構成されたものである。
実施例1の原稿読取レンズは、全レンズが、球面レンズであり、実施例2〜10の原稿読取用レンズは、1面以上のレンズ面を非球面としたもので、後群GFの入射側面が非球面である(請求項2)。また、実施例7、8の原稿読取レンズでは、後群の像側面が非球面である(請求項3)。
【0064】
そして、実施例1〜10の原稿読取レンズは何れも、後群GFがプラスチックレンズであり(請求項4)、実施例1〜8の原稿読取レンズは、実使用状態におけるバックフォーカスが、レンズ全長の10%以下である(請求項1)。
また、図2〜図4に示した実施の形態では、後群GF(GFa)の外形形状が、光軸に対して回転対称でなく(請求項5)、後群GF(GFa)の外形形状が、主走査方向に長い短冊形状であり、図4に示す実施の形態では、後群GFaがプラスチックレンズで、位置決め用、もしくは保持用、もしくは固定用の係合部41、42、43を有する(請求項7)。
図7〜図8に示した実施の形態は、原稿読取レンズと、この原稿読取レンズの各レンズを保持し、原稿読取レンズ全体を一体化する保持手段とを有し(請求項8)、図5、図7に示す実施の形態では、保持手段が、原稿読取レンズの前群GFを保持する前群保持手段50と、後群GRを保持する後群保持手段51と、これら各保持手段を一体化する連結手段52とを有し、前群保持手段50が、後群保持手段51に対して相対的に、光軸方向へ並進変位可能および/または光軸の回りに回転可能であり、図6に示す実施の形態は、原稿読取レンズの前群GFと後群GRとの間に光路を屈曲させる折り曲げミラーMを有する原稿読取レンズユニットのものである(請求項8)。
【0065】
図7に示した実施の形態では、原稿読取レンズの前群GFと後群GRとの間に、像面における主走査方向の像の明るさを補正するためのシェーディング手段71を有し、このシェーディング手段71が、所定形状の開口部を有する遮光板である。
また、図8に即して説明した実施の形態では、折り曲げミラーMが所定の反射面形状MRを有し、像面における主走査方向の像の明るさを補正するためのシェーディング手段を兼ねている。
また、図16、17に示す実施の形態の「原稿読取レンズユニットの部分」では、保持手段160が、前群の各レンズを保持する保持部161と、後群GRを取付けられる後群取付け部とを一体に形成されたものである。
図9、図11〜図17に実施の形態を示した原稿読取モジュールは、原稿画像を読取って電気信号化するための原稿読取モジュールであって、原稿読取レンズ(GF,GR)と、この原稿読取レンズにより形成される原稿画像の像をサンプリングし、光電変換する受光素子アレイSAとを有し(請求項10)、図11〜図14に示す実施の形態では、原稿読取レンズの後群GRと受光素子アレイSAとが一体化されている(請求項11)。
【0066】
図12に示す実施の形態では、原稿読取レンズの、実使用状態におけるバックフォーカスが十分に短く、後群GFの像側面が、受光素子アレイSAのパッケージPKのシールド材を兼ねており(請求項11)、図13、図14に示す実施の形態では、原稿読取レンズの「実使用状態におけるバックフォーカスが実質的に0」であり、受光素子アレイSAが後群GRの像側面に直接貼着され(請求項12)、図14の実施の形態では、受光素子アレイSAの貼着される後群の像側面が非平面である(請求項13)。
図16、17に示す原稿読取モジュールの実施の形態では、原稿読取レンズの全体が、保持手段160により一体化され、原稿読取レンズと保持手段160とが原稿読取レンズユニットを構成し(請求項14)、保持手段160が、前群の各レンズを保持する保持部161と、後群GRを取付けられる後群取付け部とを一体に形成されたものである(請求項15)。
【0067】
原稿読取モジュールにおける保持手段は、図5、図7の場合のように、原稿読取レンズの前群GFを保持する前群保持手段50と、後群GRを保持する後群保持手段51と、これら各保持手段を一体化する連結手段52とを有する構成とすることができ(請求項16)、このような場合、前群保持手段50を、後群保持手段51に対して相対的に、光軸方向へ並進変位可能とすることも(請求項17)、光軸の回りに回転可能であることもできる(請求項18、19)。
また、原稿読取モジュールにおいても、図6に示したように原稿読取レンズの前群GFと後群GRとの間に「光路を屈曲させる折り曲げミラーM」を有することができ(請求項20)、図7、図8に示したように前群GFと後群GRとの間に、像面における主走査方向の像の明るさを補正するためのシェーディング手段71を有することができ(請求項21)、このシェーディング手段71は、所定の開口形状を有する遮光板である(請求項22)こともできるし、図8に示したように、所定の反射面形状MRを有する折り曲げミラーMが、像面における主走査方向の像の明るさを補正するためのシェーディング手段を兼ねることができる(請求項23)。
【0068】
図18および図19に実施の形態を示した原稿読取装置は、原稿読取レンズORLによる原稿画像の像を受光素子アレイSA上に結像させ、原稿ORを走査しつつ、原稿画像を読取って電気信号化する原稿読取装置であって、原稿を走査する走査手段と、受光素子アレイと、走査される原稿部分からの光束を、受光素子アレイ上に結像させる原稿読取レンズと、受光素子アレイの出力信号を信号処理する信号処理手段185および、信号処理された信号に対して画像処理を行う画像処理手段186とを有し、原稿読取レンズとして請求項1〜7の任意の1に記載の原稿読取レンズが用いられる(請求項25)。
そして、原稿読取レンズは、請求項8記載の原稿読取レンズユニットとしてユニット化することができ(請求項26)、また、原稿読取レンズと受光素子アレイとを、請求項10〜24の任意の1に記載の原稿読取モジュールとしてモジュール化できる(請求項27)。
【0069】
図18の実施の形態では、原稿ORを走査する走査手段が、定位置に設けられたコンタクトガラス180と、このコンタクトガラスの表面に接して原稿を走行させる走行手段181、182等と、コンタクトガラス上の原稿を主走査方向にわたって照明する照明手段LPとを有し(請求項28)、図19に示す実施の形態では、原稿ORを走査する手段が、原稿ORを平面的に定置する原稿ガラス190と、原稿ガラス上に定置された原稿を主走査方向にわたって照明する照明手段LPと、この照明手段により照明された原稿部分からの光束を原稿読取レンズへ導光する1群のミラー191〜193と、照明手段LPを副走査方向に変位させると共に、1群のミラー191〜193を、照明手段による照明部から原稿読取レンズORLへの導光の光路長を保って変位させる変位手段とを有する(請求項29)。
また、図18、図19に示す実施の形態では、信号処理手段185および/または画像処理手段186が「読取倍率の調整を電気的に行う機能」を有する(請求項30)。
【0070】
従って、図18、図19に実施の形態を示した画像読取装置によれば、原稿読取レンズORLによる原稿画像の像を受光素子アレイSA上に結像させ、原稿ORを走査し、原稿画像を読取って電気信号化する原稿読取方法であって、原稿読取レンズとして請求項1〜7の任意の1に記載の原稿読取レンズを用いる原稿読取方法が実施され(請求項24)、原稿読取レンズORLは、請求項8記載の原稿読取レンズユニットとしてユニット化したものを使用でき、原稿読取レンズORLと受光素子アレイSAとを、請求項9〜23の任意の1に記載の原稿読取モジュールとしてモジュール化したものを使用できる。
図18の実施の形態では、原稿ORの走査を、定位置に設定された原稿照明部において原稿を照明しつつ、原稿照明部に対して原稿ORを走行させることにより行う原稿読取方法が実施され、図19の実施の形態では、原稿読取レンズORLから受光素子アレイSAまでを固定し、照明手段LPにより原稿ORを主走査方向に照明し、照明手段LPにより照明された原稿部分からの光束を1群のミラー191〜193により原稿読取レンズORLへ導光し、照明手段LPを副走査方向に変位させると共に、1群のミラー191〜193を、照明手段による照明部から原稿読取レンズORLへの導光の光路長を保って変位させることにより原稿の走査を行う原稿読取方法が実施される。
【0071】
また、図20に実施の形態を示した画像情報処理装置は、原稿画像を読取って電気信号化する原稿読取装置と、この原稿読取装置により電気信号化された信号情報を出力するための出力手段187とを有する画像情報処理装置で、原稿読取装置として、請求項25〜30の任意の1に記載の原稿読取装置を用いるものである(請求項31)。
そして、出力手段186は、画像を表示媒体上にディスプレイするディスプレイ装置であること(請求項32)も、画像情報を電子的な記録媒体に書き込む書込み装置であるも(請求項33)、画像情報を伝送する伝送装置であることも(請求項34)、画像情報を記録媒体にプリント記録する記録装置であること(請求項35)もでき、記録装置が、インクジェットプリンタであることも、電気写真方式の光記録装置であることもできる。
そして、図21に実施の形態を示した画像情報処理装置は、出力手段として、請求項32〜35の任意の1に記載のものを2以上有するものである。
【0072】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば、新規な原稿読取レンズ・原稿読取レンズユニット・原稿読取モジュール・原稿読取方法・原稿読取装置・画像情報処理装置を実現できる。
この発明の原稿読取レンズは、上記の如く、ガウス型のものに比して少ない枚数のレンズで構成でき、ガウス型の原稿読取レンズと同等以上の性能を実現でき、しかも、安価に実現できる。
また、この発明の原稿読取レンズユニットは、上記良好な性能を有する原稿読取レンズを一体としてユニット化でき、この発明の原稿読取モジュールは、この発明の原稿読取レンズと受光素子アレイとをモジュールとしてコンパクトに一体化でき、取り扱いや組み込みを容易にすることができる。
この発明の原稿読取方法・装置は、この発明の原稿読取レンズを用いることにより、良好な性能で原稿画像を読取ることができ、このような原稿読取装置を用いるこの発明の画像情報処理装置は、原稿画像を良好に読取ることにより、良好な書込みや良好な画像形成を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の原稿読取レンズを説明するための図である。
【図2】原稿読取レンズの、後群の形状の1例を説明するための図である。
【図3】原稿読取レンズの、後群の形状の別例を説明するための図である。
【図4】原稿読取レンズの、後群の形状の他の例を説明するための図である。
【図5】原稿読取レンズユニット、実施の1形態を説明するための図である。
【図6】原稿読取レンズユニットの、実施の別形態を説明するための図である。
【図7】原稿読取レンズユニットの、実施の他の形態を説明するための図である。
【図8】シェーディング手段を兼ねた折返しミラーを説明するための図である。
【図9】原稿読取モジュールを説明するための図である。
【図10】受光素子アレイのパッケージを説明するための図である。
【図11】原稿読取モジュールの実施の1形態を特徴部分のみ示す図である。
【図12】原稿読取モジュールの実施の別形態を特徴部分のみ示す図である。
【図13】原稿読取モジュールの、実施の他の形態を特徴部分のみ示す図である。
【図14】原稿読取モジュールの、実施の他の形態を特徴部分のみ示す図である。
【図15】原稿読取モジュールの実施の別形態を特徴部分のみ示す図である。
【図16】原稿読取モジュールの実施の他の形態を特徴部分のみ示す図である。
【図17】図18の実施の形態の斜視図である。
【図18】原稿読取装置の実施の1形態を説明するための図である。
【図19】原稿読取装置の実施の別形態を説明するための図である。
【図20】画像情報処理装置の実施の1形態を説明するための図である。
【図21】複数種類の出力手段を有する画像情報処理装置の実施の1形態を説明するための図である。
【図22】実施例1に関するレンズ構成と収差を示す図である。
【図23】実施例2に関するレンズ構成と収差を示す図である。
【図24】実施例3に関するレンズ構成と収差を示す図である。
【図25】実施例4に関するレンズ構成と収差を示す図である。
【図26】実施例5に関するレンズ構成と収差を示す図である。
【図27】実施例6に関するレンズ構成と収差を示す図である。
【図28】実施例7に関するレンズ構成と収差を示す図である。
【図29】実施例8に関するレンズ構成と収差を示す図である。
【図30】実施例9に関するレンズ構成と収差を示す図である。
【図31】実施例10に関するレンズ構成と収差を示す図である。
【符号の説明】
GF 前群
GR 後群
IS 像面
B バックフォーカス
Claims (35)
- 原稿画像を読取るためのレンズであって、
物体側に前群、像側に後群を配してなり、
上記前群は、1枚以上の正レンズを含む、2〜4枚のレンズで構成され、
上記後群は、1枚の負レンズにより構成され、
実使用状態におけるバックフォーカスが、レンズ全長の10%以下であり、
上記前群と後群との空気間隔が、レンズ全長の50%以上であることを特徴とする原稿読取レンズ。 - 請求項1記載の原稿読取レンズにおいて、
後群の入射側面が非球面であることを特徴とする原稿読取レンズ。 - 請求項1または2記載の原稿読取レンズにおいて、
後群の像側面が非球面であることを特徴とする原稿読取レンズ。 - 請求項1〜3の任意の1に記載の原稿読取レンズにおいて、
後群がプラスチックレンズであることを特徴とする原稿読取レンズ。 - 請求項1〜4の任意の1に記載の原稿読取レンズにおいて、
後群の外形形状が、光軸に対して回転対称でないことを特徴とする原稿読取レンズ。 - 請求項5記載の原稿読取レンズにおいて、
後群の外形形状が、主走査方向に長い短冊形状であることを特徴とする原稿読取レンズ。 - 請求項5または6記載の原稿読取レンズにおいて、
後群がプラスチックレンズであり、位置決め用、もしくは保持用、もしくは固定用の係合部を有することを特徴とする原稿読取レンズ。 - 原稿読取レンズと、
この原稿読取レンズの各レンズを保持し、原稿読取レンズ全体を一体化する保持手段とを有し、
上記原稿読取レンズが請求項1〜7の任意の1に記載の原稿読取レンズであることを特徴とする原稿読取レンズユニット。 - 原稿画像を読取って電気信号化するための原稿読取モジュールであって、
原稿読取レンズと、
この原稿読取レンズにより形成される原稿画像の像をサンプリングし、光電変換する受光素子アレイとを有し、
上記原稿読取レンズが、請求項1〜7の任意の1に記載の原稿読取レンズであることを特徴とする原稿読取モジュール。 - 請求項9記載の原稿読取モジュールにおいて、
原稿読取レンズの後群と受光素子アレイとを一体化したことを特徴とする原稿読取モジュール。 - 請求項10記載の原稿読取モジュールにおいて、
原稿読取レンズの、実使用状態におけるバックフォーカスが十分に短く、後群の像側面が、受光素子アレイのパッケージのシールド材を兼ねていることを特徴とする原稿読取モジュール。 - 請求項10記載の原稿読取モジュールにおいて、
原稿読取レンズの、実使用状態におけるバックフォーカスが実質的に0であり、
受光素子アレイが後群の像側面に直接貼着されていることを特徴とする原稿読取モジュール。 - 請求項12記載の原稿読取モジュールにおいて、
原稿読取レンズの後群の像側面が非平面であることを特徴とする原稿読取モジュール。 - 請求項9〜13の任意の1に記載の原稿読取モジュールにおいて、
原稿読取レンズの全体が、保持手段により一体化され、上記原稿読取レンズと保持手段とが請求項9記載の原稿読取レンズユニットを構成することを特徴とする原稿読取モジュール。 - 請求項14記載の原稿読取モジュールにおいて、
保持手段が、前群の各レンズを保持する保持部と、後群を取付けられる後群取付け部とを一体に形成されたものであることを特徴とする原稿読取モジュール。 - 請求項14記載の原稿読取モジュールにおいて、
保持手段が、原稿読取レンズの前群を保持する前群保持手段と、後群を保持する後群保持手段と、これら各保持手段を一体化する連結手段とを有することを特徴とする原稿読取モジュール。 - 請求項16記載の原稿読取モジュールにおいて、
前群保持手段が、後群保持手段に対して相対的に、光軸方向へ並進変位可能であることを特徴とする原稿読取モジュール。 - 請求項16記載の原稿読取モジュールにおいて、
前群保持手段が、後群保持手段に対して相対的に、光軸の回りに回転可能であることを特徴とする原稿読取モジュール。 - 請求項18記載の原稿読取モジュールにおいて、
前群保持手段が、後群保持手段に対して相対的に、光軸方向へ並進変位可能であることを特徴とする原稿読取モジュール。 - 請求項9〜19の任意の1に記載の原稿読取モジュールにおいて、
原稿読取レンズの前群と後群との間に光路を屈曲させる折り曲げミラーを有することを特徴とする原稿読取モジュール。 - 請求項9〜20の任意の1に記載の原稿読取モジュールにおいて、
原稿読取レンズの前群と後群との間に、像面における主走査方向の像の明るさを補正するためのシェーディング手段を有することを特徴とする原稿読取モジュール。 - 請求項21記載の原稿読取モジュールにおいて、
シェーディング手段が、所定形状の開口部を有する遮光板であることを特徴とする原稿読取モジュール。 - 請求項20記載の原稿読取モジュールにおいて、
折り曲げミラーが所定の反射面形状を有し、像面における主走査方向の像の明るさを補正するためのシェーディング手段を兼ねていることを特徴とする原稿読取モジュール。 - 原稿読取レンズによる原稿画像の像を受光素子アレイ上に結像させ、原稿を走査し、原稿画像を読取って電気信号化する原稿読取方法であって、
原稿読取レンズとして請求項1〜7の任意の1に記載の原稿読取レンズを用いることを特徴とする原稿読取方法。 - 原稿読取レンズによる原稿画像の像を受光素子アレイ上に結像させ、原稿を走査しつつ、原稿画像を読取って電気信号化する原稿読取装置であって、
原稿を走査する走査手段と、
受光素子アレイと、
走査される原稿部分からの光束を、上記受光素子アレイ上に結像させる原稿読取レンズと、
上記受光素子アレイの出力信号を信号処理する信号処理手段および、信号処理された信号に対して画像処理を行う画像処理手段とを有し、
上記原稿読取レンズとして、請求項1〜7の任意の1に記載の原稿読取レンズを用いることを特徴とする原稿読取装置。 - 請求項25記載の原稿読取装置において、
原稿読取レンズが原稿読取レンズユニットとしてユニット化され、ユニット化された原稿読取ユニットが請求項8に記載の原稿読取レンズユニットであることを特徴とする原稿読取装置。 - 請求項25または26記載の原稿読取装置において、
原稿読取レンズと受光素子アレイとが原稿読取モジュールとされ、この原稿読取モジュールとして、請求項9〜23の任意の1に記載の原稿読取モジュールを用いることを特徴とする原稿読取装置。 - 請求項25または26または27記載の原稿読取装置において、
原稿を走査する走査手段が、
定位置に設けられたコンタクトガラスと、
このコンタクトガラスの表面に接して原稿を走行させる走行手段と、
上記コンタクトガラス上の原稿を主走査方向にわたって照明する照明手段とを有することを特徴とする原稿読取装置。 - 請求項25または26または27記載の原稿読取装置において、
原稿を走査する手段が、
原稿を平面的に定置する原稿ガラスと、
原稿ガラス上に定置された原稿を主走査方向にわたって照明する照明手段と、
この照明手段により照明された原稿部分からの光束を原稿読取レンズへ導光する1群のミラーと、
上記照明手段を副走査方向に変位させると共に、上記1群のミラーを、上記照明手段による照明部から上記原稿読取レンズへの導光の光路長を保って変位させる変位手段とを有することを特徴とする原稿読取装置。 - 請求項25〜29の任意の1に記載の原稿読取装置において、
信号処理手段および/または画像処理手段が、読取倍率の調整を電気的に行う機能を有することを特徴とする原稿読取装置。 - 原稿画像を読取って電気信号化する原稿読取装置と、この原稿読取装置により電気信号化された信号情報を出力するための出力手段とを有する画像情報処理装置であって、
原稿読取装置として、請求項25〜30の任意の1に記載の原稿読取装置を用いることを特徴とする画像情報処理装置。 - 請求項31記載の画像情報処理装置において、
出力手段として、画像を表示媒体上にディスプレイするディスプレイ装置を有することを特徴とする画像情報処理装置。 - 請求項31または32記載の画像情報処理装置において、
出力手段として、画像情報を電子的な記録媒体に書き込む書込み装置を有することを特徴とする画像情報処理装置。 - 請求項31または32または33記載の画像情報処理装置において、
出力手段として、画像情報を伝送する伝送装置を有することを特徴とする画像情報処理装置。 - 請求項31〜34の任意の1に記載の画像情報処理装置において、
出力手段として、画像情報を記録媒体にプリント記録する記録装置を有することを特徴とする画像情報処理装置。
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