JP3939526B2 - コンクリート片の剥落防止構造およびその方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明はコンクリート片の剥落防止構造およびその方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート構造物はひび割れが発生しやすく、このひび割れから水や空気、あるいはこれらに混じって種々の化学物質が浸入して、鉄筋の腐食やコンクリートの中性化などによるコンクリートの劣化が進行する。このような劣化にあわせてコンクリート片が剥落して大きな事故が発生するおそれがある。そこで、従来は以下のような対策を施している。
(1)劣化したコンクリート部分を剥離して、そこに新しいコンクリートやモルタルを塗る。
(2)劣化部分を鋼板で覆ってアンカーボルトで固定する。
(3)繊維メッシュシートをコンクリート表面に接着する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記(1)の方法は工期が長く、コンクリートをはつる際にほこりが発生する他、新しいコンクリートと既存コンクリートとの接着強度に問題があった。また(2)の方法は、鋼板を取り付けるための多くの作業員や作業空間を必要とする他、取付後の鋼板の錆止め工の発生や、アンカーボルトの突起が施工後の空間を狭くしていた。さらに(3)の方法は、広範囲なコンクリート片が剥落した場合、繊維メッシュシートが垂れ下がってしまうといった問題があった。
【0004】
本発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、確実にコンクリート片の剥落を防ぎ、かつアンカーボルトの突起をなくし、外部からのコンクリートの劣化因子が抑制できるコンクリート片の剥落防止構造およびその方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するための本発明のコンクリート片の剥落防止構造は、コンクリート構造物の表面を覆うようにして貼り付けられた繊維メッシュシートの上面に、放射状に広げた繊維アンカーの下部が貼り付けられ、該繊維アンカーの上部がコンクリート構造物に差し込まれたことを特徴とするものである。
【0006】
またコンクリート片の剥落防止方法は、コンクリート構造物の表面を覆うようにして繊維メッシュシートを貼り付け、該繊維メッシュシートが貼り付けられたコンクリート構造物にアンカー孔を開け、該アンカー孔に接着剤を充填するとともに、繊維アンカーを差し込んだ後、コンクリート構造物の表面から突出した繊維アンカーの下部を放射状に広げた状態で繊維メッシュシートの上面に貼り付けることを特徴とすることである。
【0007】
コンクリート構造物の表面を覆うようにして繊維メッシュシートを貼り付けたことにより、外部からのコンクリートの劣化因子を抑制しつつ、鉄筋の錆による爆裂で発生する小さなコンクリートの剥落を防ぐことができる。また繊維メッシュシートの上面に、引き裂いて放射状に広げた繊維アンカーの下部が貼り付けられたことにより、大きなコンクリートの剥落を防ぐことができる。また大規模な機械を必要とせず、施工規模や施工空間に左右されずに確実にコンクリートの剥落を防ぐことができる。熟練工を必要とせずに均質な施工をすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のコンクリート片の剥落防止構造およびその方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。はじめにコンクリート片の剥落防止構造(以下、剥落防止構造という)の実施の形態について説明し、その後にコンクリート片の剥落防止方法(以下、剥落防止方法という)について説明する。この場合、各実施の形態において同じ構成は同じ符号を付して説明し、異なった構成にのみ異なった符号を付して説明する。
【0009】
図1は剥落防止構造の実施の形態を示したものである。このコンクリート構造物1は地下鉄などのコンクリート製のトンネルを対象とするものであり、トンネル内面のコンクリート2を覆うようにして、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアミド繊維などの糸3からなる三層構造の繊維メッシュシート4が接着剤5で貼り付けられ、この繊維メッシュシート4がコンクリート2に打ち込まれた繊維アンカー6で保持・固定されている。この繊維アンカー6も炭素繊維、ガラス繊維、ポリアミド繊維などの高強度、高弾性繊維製であり、縦方向に引き裂かれた放射状の下部7が繊維メッシュシート4の上面に接着剤11で貼り付けられ、上部が構造鉄筋9のかぶりと該構造鉄筋9の直径を加えた寸法よりも深く開けられたアンカー孔10に差し込まれて接着剤8で固定されている。このように繊維アンカー6が構造鉄筋9のかぶりと該構造鉄筋9の直径を加えた寸法よりも深く差し込まれたため、被りコンクリート12の剥落を防ぐことができる他、下部7がコンクリート2の表面に放射状に接着されたことにより、施工後の空間を大きく取ることができる。
【0010】
なお、この剥落防止構造は地下鉄などのトンネルに限らず、コンクリート片の剥落の可能性のあるその他のコンクリート構造物、例えばコンクリート製の高架橋や鉄筋コンクリート構造物にも適用することができる。
【0011】
また図2は剥落防止方法の実施の形態を示したものである。はじめに、同図の(1)に示すように、コンクリート2の表面における突起物や、亀裂からの漏水にともなう噴出物を削り取るとともに、ブラシなどを用いて水洗い清掃をする。
【0012】
次に、清掃したコンクリート2の表面におけるへこみや剥落部分を、モルタルで補修して平滑にする。そして、この平滑になったコンクリート2の表面にエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂などのプライマー13を塗布し、このプライマー13を塗布した箇所に繊維メッシュシート4を貼り付ける。次に、この繊維メッシュシート4の上からエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂などの接着剤5を塗布して繊維メッシュシート4をコンクリート2の表面に固着する。
【0013】
次に、このような繊維メッシュシート4を貼り付けたコンクリート2に構造鉄筋9のかぶりと該構造鉄筋9の直径を加えた寸法よりも深いアンカー孔10を開け、ここにエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂などの接着剤8を注入する。
【0014】
次に、図2の(2)に示すように、挿入棒14の先端の定着リング15に引っかけた二つ折りの繊維アンカー6をアンカー孔10の接着剤8内に差し込むとともに、残りの部分、すなわちアンカー孔10から飛び出した下部7を縦方向に引き裂いて、放射状に広げて繊維メッシュシート4の上面に接着剤11で接着すると、図1に示すような剥落防止構造になる。よって、コンクリート2の表面に貼り付けられた繊維メッシュシート4は、構造鉄筋9のかぶりと該構造鉄筋9の直径を加えた寸法よりも奥側に差し込まれた繊維アンカー6で保持・固定されて、被りコンクリート12の剥落が防止される。また、前記の挿入棒14はアンカー孔10内に埋め殺しするものとする。
【0015】
なお、コンクリート製の高架橋や鉄筋コンクリート構造物のコンクリート片の剥落防止方法も上記と同じ方法で行い、同じ効果を奏する。
【0016】
【発明の効果】
コンクリート構造物の表面を覆うようにして繊維メッシュシートを貼り付けたことにより、外部からのコンクリートの劣化因子を抑制しつつ、鉄筋の錆による爆裂で発生する小さなコンクリートの剥落を防ぐことができる。
【0017】
繊維メッシュシートの上面に、引き裂いて放射状に広げた繊維アンカーの先端部が貼り付けられたことにより、大きなコンクリートの剥落を防ぐことができる。
【0018】
大規模な機械を必要とせず、施工規模や施工空間に左右されずに確実にコンクリートの剥落を防ぐことができる。
【0019】
熟練工を必要とせずに均質な施工をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(1)は剥落防止構造の断面図、(2)は剥落防止構造の平面図である。
【図2】(1)および(2)は剥落防止方法を示す断面図である。
【符号の説明】
1 コンクリート構造物
2 コンクリート
3 糸
4 繊維メッシュシート
5、8、11 接着剤
6 繊維アンカー
7 繊維アンカーの下部
9 構造鉄筋
10 アンカー孔
12 被りコンクリート
13 プライマー
14 挿入棒
15 定着リング
Claims (2)
- コンクリート構造物の表面を覆うようにして貼り付けられた繊維メッシュシートの上面に、放射状に広げた繊維アンカーの下部が貼り付けられ、該繊維アンカーの上部がコンクリート構造物に差し込まれたことを特徴とするコンクリート片の剥落防止構造。
- コンクリート構造物の表面を覆うようにして繊維メッシュシートを貼り付け、該繊維メッシュシートが貼り付けられたコンクリート構造物にアンカー孔を開け、該アンカー孔に接着剤を充填するとともに、繊維アンカーを差し込んだ後、コンクリート構造物の表面から突出した繊維アンカーの下部を放射状に広げた状態で繊維メッシュシートの上面に貼り付けることを特徴とするコンクリート片の剥落防止方法。
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