JP3939375B2 - FseI制限エンドヌクレアーゼをコードする単離DNAおよび関連したその製造方法 - Google Patents

FseI制限エンドヌクレアーゼをコードする単離DNAおよび関連したその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、FseI制限エンドヌクレアーゼおよび修飾メチラーゼをコードする組換えDNAならびに組換えDNAからのこれら酵素の製造に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
制限エンドヌクレアーゼは細菌に天然に存在する酵素群である。制限エンドヌクレアーゼが、混入する他の細菌成分から分離して精製されると、実験室で制限酵素を使用することによりDNA分子を精確なフラグメントに切断することができる。この性質を利用すると、DNA分子を他と区別して同定することができ、また、それらの構成遺伝子に分けることができる。制限エンドヌクレアーゼは、現代の遺伝子研究において不可欠な道具であることが分かっている。制限エンドヌクレアーゼは生化学における「はさみ」であり、それによって遺伝子工学および分析が可能となる。
【0003】
制限エンドヌクレアーゼは、DNA分子の特定のヌクレオチド配列(「認識配列」)を認識して結合することにより作用する。制限エンドヌクレアーゼは、いったん結合すると、そのDNA分子を認識配列内、あるいは、認識配列の一端で切断する。異なる制限エンドヌクレアーゼは、異なる認識配列に対して親和性を有する。100種類以上の制限エンドヌクレアーゼが、今日までに調べた何百という細菌種の間で同定されている。
【0004】
細菌は、種ごとにほんの少数の制限エンドヌクレアーゼを有する傾向にある。制限エンドヌクレアーゼは、典型的には、その起源である細菌に従って命名される。すなわち、例えば Neisseria lactamica 種は4種類の制限エンドヌクレアーゼを合成し、それらは、NlaI、NlaII、NlaIII およびNlaIVと命名されている。これらの酵素は、各々、GGCC、GATC、CATGおよびGGNNCCの配列を認識して切断する。他方、大腸菌 Escherichia coli RY13は唯一の酵素EcoRIを合成し、これは、GAATTCの配列を認識する。
【0005】
理論に縛られるつもりはないが、制限エンドヌクレアーゼは、自然界では細菌細胞の自己保護的な役割を果たすと考えられる。制限エンドヌクレアーゼにより、細菌は、そうでなければ破壊しあるいは寄生するであろうウィルスおよびプラスミドなどの外来DNA分子による感染に抵抗することができる。制限エンドヌクレアーゼは、感染性のDNA分子の全長を走査し、認識配列が現れるごとにそのDNA分子を切断することにより、抵抗性を付与する。切断が生じると、多くの感染性遺伝子は無能になり、非特異的ヌクレアーゼによる分解をさらに受けやすいDNAになる。
【0006】
細菌の保護系の第二成分は、修飾メチラーゼである。この酵素は、制限エンドヌクレアーゼに対して相補的であり、細菌自身のDNAを保護し、外来性の感染DNAと区別することができる手段を提供する。修飾メチラーゼは、対応する制限エンドヌクレアーゼと同じヌクレオチド認識配列を認識して結合するが、DNAを切断する代わりに、その配列内のヌクレオチドのどれかをメチル基の付加により化学的に修飾する。メチル化の後、認識配列は、もはや制限エンドヌクレアーゼによる結合または切断を受けることはない。細菌細胞のDNAは、その修飾メチラーゼの活性により完全に修飾され、従って、内因性の制限エンドヌクレアーゼの存在に対して非感受的である。制限エンドヌクレアーゼの認識および切断を受け易いのは、未修飾であり、従って同定可能な外来DNAだけである。
【0007】
遺伝子工学技術の出現により、今日、通常の精製法で得られる場合と比べて、遺伝子のクローン化およびその遺伝子によりコードされる蛋白質の大量生産が可能となる。問題のクローン(制限エンドヌクレアーゼ遺伝子)を単離するための標準的方法は、該クローンが10-3〜10-4という低い頻度で現れるときに、複雑な「ライブラリー」、すなわち「ショットガン」法により誘導されるクローン集団の中から該クローンを同定するための簡単で信頼性のある方法を開発することである。好ましくは、望ましくない大部分のクローンは破壊され、一方、所望の数少ないクローンは生き残るように、その方法が選択的であるようにする。
【0008】
タイプIIの制限−修飾系は、頻度の増加とともにクローン化されている。最初にクローン化された系では、制限エンドヌクレアーゼクローンの同定または選択手段として、バクテリオファージ感染が使用された(EcoRII:Kosykh et al., Molec. Gen. Genet 178:717-719, (1980);HhaII:Mann et al., Gene 3:97-112, (1978);PstI:Walder et al., Proc. Nat. Acad. Sci. 78:1503-1507, (1981) )。細菌中に制限−修飾系が存在すると、細菌はバクテリオファージ感染に対して抵抗することができるので、クローン化された制限−修飾遺伝子を有する細胞は、原理的には、ファージにさらされているライブラリーから生存物として選択的に単離することができる。しかし、この方法の有用性はほんの限られたものであることが分かった。特に、クローン化された制限−修飾遺伝子は、選択的生存を授けるのに十分なファージ耐性を常に明示するとは限らないことが分かっている。
【0009】
別のクローン化法としては、最初にプラスミド由来のものとして特性化された系を大腸菌クローン化用プラスミドに転移するものがある(EcoRV:Bougueleret et al., Nucl. Acid. Res. 12:3659-3676 (1984);PaeR7:Gingeras and Brooks, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:402-406, (1983);Theriault and Roy, Gene 19:355-359, (1982);PvuII:Blumenthal et al., J. Bacteriol. 164:501-509, (1985))。
【0010】
第三の方法は、数が増大している系のクローン化に使用されているが、活性メチラーゼ遺伝子の選択に関与する(例えば、米国特許第.5,200,333号およびBsuRI:Kiss et al., Nucl. Acid. Res. 13:6403-6421, (1985)参照)。制限および修飾遺伝子は、しばしば密接に結合しているので、両方の遺伝子は同時にクローン化されることが多い。しかし、この選択では、常に完全な制限系が得られるわけではなく、むしろ、メチラーゼ遺伝子のみを生じる(BspRI:Szomolanyi et al., Gene 10:219-225, (1980);BcnI:Janulaitis et al., Gene 20:197-204 (1982) ;BsuRI:Kiss and Baldauf, Gene 21:111-119, (1983) ;およびMspI:Walder et al., J. Biol. Chem. 258:1235-1241, (1983) )。
【0011】
メチラーゼおよびエンドヌクレアーゼ遺伝子をクローン化するための別の方法は、DNAの損傷の比色分析法に基づく。メチラーゼをスクリーニングするときは、プラスミドライブラリーをAP1−200などの宿主大腸菌株内に形質転換する。メチラーゼの発現は、大腸菌株中で、McrA+ 、McrBC+ 、またはMrr+ であるSOS反応を誘発する。AP1−200株は、McrおよびMrr系に対して温度感受性であり、大腸菌の損傷誘発dinD遺伝子座に融合したlac−Z遺伝子を含む。メチラーゼまたはエンドヌクレアーゼ遺伝子をコードする組換えプラスミドの検出は、lacZ遺伝子の限定温度での誘発に基づく。メチラーゼ遺伝子をコードする形質転換細胞は、X−galを青色コロニーとして含むLB寒天プレート上で検出される(Piekarowicz, et al., Nucleic Acids Res. 19:1831-1835, (1991)および Piekarowicz, et al., J. Bacteriology 173:150-155 (1991))。同様に、大腸菌株ER1992はdinD1−LacZ融合を含むが、メチル化依存性制限系McrA、McrBCおよびMrrを欠いている。この系(「エンド−ブルー」法と言う。)では、エンドヌクレアーゼが宿主細胞DNAを損傷してSOS反応を誘発すると、同種のメチラーゼの不存在下でエンドヌクレアーゼ遺伝子を検出することができる。SOS誘発細胞は、X−galを補ったLB寒天プレート上に濃青色のコロニーを形成する(Xu et al., Nucleic Acids Res. 22:2399-2403 (1994) )。
【0012】
簡単なメチラーゼ選択法の場合は、種々の障害のために、メチラーゼ(および/またはエンドヌクレアーゼ)クローンが得られない場合がある。例えば、Lunnen, et al., Gene, 74(1):25-32 (1988)参照。制限−修飾遺伝子のクローン化に対して潜在的な障害は、エンドヌクレアーゼ遺伝子を修飾による保護がまだなされていない宿主に導入しようとする際に見られる。メチラーゼ遺伝子およびエンドヌクレアーゼ遺伝子を単一クローンとして一緒に導入する場合は、宿主DNAがエンドヌクレアーゼによって切断される前に、メチラーゼによって保護的に修飾されなければならい。従って、場合によっては、最初にメチラーゼ、次いでエンドヌクレアーゼと逐次遺伝子をクローン化することのみが可能である。
【0013】
制限−修飾系のクローン化に対する別の障害は、大腸菌のいくつかの株がシトシンまたはアデニン修飾に対して逆に反応するという発見に見られる。それらの株は、メチル化シトシン(Raleigh and Wilson, Proc. Natl. Acad. Sci., USA 83:9070-9074, (1986))またはメチル化アデニン(Heitman and Model, J. Bact. 196:3243-3250, (1987) ;Raleigh, Trimarchi, and Revel, Genetics, 122:279-296, (1989); Waite-Rees, et al., J. Bacteriology, 173:5207-5219 (1991) )を含むDNAを破壊する系を有する。シトシンに特異的またはアデニンに特異的なメチラーゼ遺伝子は、これらの株の中では、単独でも、対応するエンドヌクレアーゼ遺伝子と一緒でも、容易にクローン化することができない。この問題を避けるために、これらの系が欠けている大腸菌の突然変異株(McrA- およびMcrB- またはMrr- )を使用する必要がある。
【0014】
第三の潜在的な困難性は、起源微生物および大腸菌の転写機構の違い(プロモーターおよびリボソーム結合部位の相違など)により、いくつかの制限エンドヌクレアーゼおよびメチラーゼ遺伝子が大腸菌で発現しない可能性があるということである。メチラーゼ選択法では、メチラーゼが大腸菌で十分に発現し、その遺伝子を有するプラスミドの少なくともいくつかは完全に保護されることが必要である。
【0015】
精製した制限エンドヌクレアーゼおよび(有用性の程度は小さいが)修飾メチラーゼは、実験室でのDNAの特性化および再構成において有用な道具であるため、これらの酵素を多量に合成する細菌株を組換えDNA技術により得るための商業上の誘因がある。そのような株は、精製作業を簡単にするとともに、商業的に有用な量で生産するための手段を提供するので、有用である。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、Frankia species (NRRL 18528)から得ることが可能なFseI制限エンドヌクレアーゼおよび修飾メチラーゼの遺伝子をコードする組換えDNA、ならびに組換えDNAからこれらの酵素を製造するための関連方法に関する。本発明はまた、制限エンドヌクレアーゼFseIを発現する形質転換宿主にも関する。FseIは、DNA配列5’−GGCCGGCC−3’を認識し、認識配列の第二の−GC−対の間を切断して4塩基の3’オーバーハングを残す酵素である(FseI:Nelson et al., Nucl. Acid. Res. 18:2061-2064 (1990) )。本発明に従って得られるFseI制限エンドヌクレアーゼは、実質的に純粋であり、常法によって作られる制限エンドヌクレアーゼ調製物中に通常存在する不純物を含まない。
【0017】
メチラーゼ選択法では、メチラーゼクローンが得られなかったので、FseI制限−修飾系のクローン化を行うための新規方法を立案した。FseI制限−修飾系のクローン化の好ましい方法は、Frankia species 由来のFseIエンドヌクレアーゼを精製してほぼ均一にし、その蛋白質のN−末端のアミノ酸配列を決定し、(1)FseIエンドヌクレアーゼN−末端アミノ酸配列および(2)シトシンメチラーゼの保存アミノ酸配列に基づいて縮重DNAプライマーを合成し、これらのプライマーにより、エンドヌクレアーゼおよびメチラーゼの一部分をゲノムFrankia species DNAから増幅した。FseIエンドヌクレアーゼは次いで、Frankia species DNAから完全遺伝子を増幅し、それをpAII17またはpRRSなどの発現ベクターにクローン化することにより発現させることができる。この構築物を、別の適合するプラスミド上に有する外来メチラーゼ(NlaIなど)またはFseIメチラーゼによってFseI部位を予め修飾した宿主に導入する。
【0018】
FseIメチラーゼをクローン化し、FseIエンドヌクレアーゼを選択的に発現させるために、Frankia species 由来のDNAを含むライブラリーを作製する。メチラーゼおよびエンドヌクレアーゼ遺伝子を含むクローンは、上記で得られた増幅DNAに対してハイブリッド形成することにより同定される。クローン化したDNAは、配列分析を行ってエンドヌクレアーゼおよびメチラーゼのDNA配列を決定し、メチラーゼおよびエンドヌクレアーゼを別々にFrankia species ゲノムDNAから増幅して、適切な発現ベクター中にクローン化する。FseIの産生は、FseIエンドヌクレアーゼおよびFseIまたはNlaIメチラーゼ遺伝子のいずれかを含む宿主を増殖させ、適切な発現条件で誘発し、細胞を採取してFseIエンドヌクレアーゼを精製することにより行う。
【0019】
本発明は、FseI制限エンドヌクレアーゼおよび修飾メチラーゼをコードする組換えDNAならびに該組換えDNAから産生される酵素に関する。
【0020】
Frankia species 由来のFseI制限エンドヌクレアーゼ遺伝子のクローン化は、非常に困難であることが分かった。メチラーゼクローンは、たとえ、多くの異なるライブラリーを作製して大腸菌および Streptomyces の両方の宿主系でスクリーニングを行っても、標準的なメチラーゼ選択法では全く得られなかった。これは、FseIメチラーゼが大腸菌または Streptomyces において保護を与えるレベルで発現できなかったことによると考えられる。
【0021】
従って、FseIエンドヌクレアーゼは新規方法によってクローン化した。エンドヌクレアーゼ蛋白質は、ほぼ均一に精製し、その蛋白質のアミノ末端のアミノ酸配列の決定を行った。N−末端領域のアミノ酸配列に基づく縮重DNAプライマーを合成した。さらに、シトシンメチラーゼのアミノ酸配列の保存アミノ酸モチーフを比較し、これらの保存アミノ酸配列に基づく縮重DNAプライマーを合成した。FseI認識部位はGおよびCの塩基対のみを含むので、FseIメチラーゼは、シトシンメチラーゼでなければならず、シトシンメチラーゼの保存アミノ酸モチーフの何れかを含むべきである。(エンドヌクレアーゼおよびメチラーゼがアデニンおよびシトシン塩基を認識し、それらの塩基のメチル化部位が未知であるとすると、遺伝子のクローン化には同じ方法が有効であるはずであるが、アデニンメチラーゼ保存モチーフに対しても同様に実施しようとするならば、プライマーのより多くの組み合わせが必要である。)FseIメチラーゼおよびFseIエンドヌクレアーゼ遺伝子の一部の増幅を、ある種の縮重シトシンメチラーゼプライマーをFseIエンドヌクレアーゼのN−末端に相補的な縮重プライマーと組み合わせて使用することにより行った。約1650bpの増幅されたDNAフラグメントをpUC19中でサブクローン化し、配列分析を行った。このPCRフラグメントのDNA配列から推定されるアミノ酸配列は、FseIエンドヌクレアーゼのアミノ酸配列とある領域で一致し、別の領域は、シトシンメチラーゼの保存モチーフと一致し、このDNAフラグメントがFseIエンドヌクレアーゼ遺伝子の一部および相接するシトシンメチラーゼ遺伝子を表す(その結果、FseIメチラーゼ遺伝子であることを示す)ことが確認された。
【0022】
FseIエンドヌクレアーゼ遺伝子全体をコードする配列が、最初の5個のアミノ酸コドンを除いて、偶然にも1650bpPCR産物上に存在することが本発明によって初めて明らかにされたので、迅速クローン化法を試みた。合成DNAプライマーを合成し、これは、クローニングを容易にするためにATG開始コドンに制限部位を有し、次いで、FseIエンドヌクレアーゼアミノ酸配列分析により決定された第2〜5番目のアミノ酸に対するコドンを有し(コドンは、大腸菌で高度に発現される遺伝子コドンを主に使用した。)、その後に1650bpPCR産物から決定されるDNA配列に相補的な配列が続く。このプライマーを、FseIエンドヌクレアーゼ遺伝子の3’であることが知られている(蛋白質の大きさに基づく)1650bpPCR産物の配列に相補的なプライマーとともに使用してFseIエンドヌクレアーゼ遺伝子を増幅させた。増幅させた産物をpAII17発現ベクターに結合させ、別の適合するプラスミド上でクローン化したNlaIメチラーゼ遺伝子によりFseI切断に対して予め保護した宿主に導入した。個々のクローンを調べ、FseIエンドヌクレアーゼを発現するクローンをFseIの産生に使用した。
【0023】
FseIエンドヌクレアーゼ遺伝子の最初と終わりをコードする配列の決定および/または確認のために、FseIエンドヌクレアーゼおよびメチラーゼ遺伝子全体を含むクローンを、両方の遺伝子のDNA配列の決定を可能にするために増幅することなくFrankia species DNAから得た。こうすると、FseIおよび他の部位を修飾するメチラーゼを使用するよりも(NlaIメチラーゼは、大腸菌DNAを10,000部位以上でメチル化するが、FseIメチラーゼは10〜20部位でメチル化する。)、保護のためのFseIメチラーゼの発現が可能になり、FseIエンドヌクレアーゼの最初のアミノ酸配列の確認が可能になる。このために、Frankia species DNAのライブラリーをλ’ベクター系で作製して、9〜23kbFrankia species DNA挿入体を含有するクローンを生成した。1650bp増幅産物をプローブとして使用して、エンドヌクレアーゼおよびメチラーゼ遺伝子を含むλ’クローンを同定した。これらのλクローンを精製し、それらのDNAを抽出して制限酵素で消化し、Frankia species DNAとのサザンハイブリッド形成により同定されたフラグメントと同じ大きさのクローンからフラグメントを同定した。共にFseIメチラーゼおよびエンドヌクレアーゼ遺伝子全体を含む2つのKpnIフラグメント(1.8kbのものと7.0kbのもの)および3.6kbのSacIフラグメントをλ’クローンからpUC19中にサブクローン化した。FseIエンドヌクレアーゼおよびメチラーゼ遺伝子をコードするDNAのアミノ酸配列分析を行い、エンドヌクレアーゼ遺伝子のN−末端の正確なヌクレオチド配列を決定した。そのDNA配列は、FseIエンドヌクレアーゼの2番目のアミノ酸残基がトレオニンであって、最初に蛋白質配列データから考えられたヒスチジンではないことを示すことが分かった。ヒスチジンであるという最初のアミノ酸配列の発表は、分析者から疑わしいとして報告されていた。その後の調査でトレオニン残基が示され、このトレオニン残基は、データに曖昧さがあったこの位置に対するアミノ酸配列分析データと一致する。すなわち、FseIエンドヌクレアーゼ活性を発現した第一のクローンのpRMFseR1は、第2番目のアミノ酸が不意に変異していたが、酵素機能には何ら顕著な影響はなかった。従って、たとえ非保存性のアミノ酸変化があっても、機能上活性なFseIエンドヌクレアーゼを生産することができることが分かった。
【0024】
FseIエンドヌクレアーゼおよびメチラーゼ遺伝子全体のDNAアミノ酸配列は、1.8kbおよび7.0kbのKpnIならびに3.6kbのSacIクローンから決定した。FseIメチラーゼは、ベクターpSYX20にクローン化した。FseIメチラーゼ遺伝子を増幅し、pSYX20ベクターでのその発現を容易にするように設計されたオリゴヌクレオチドプライマーを合成し、メチラーゼ遺伝子をFrankia species DNAから増幅し、増幅された産物は適切な制限酵素で切断し、同じ制限エンドヌクレアーゼで予め切断したpSYX20ベクターに連結し、ER2427宿主細胞内に形質転換した。個々の形質転換体を拾い上げ、所望の構築物の有無を分析した。
【0025】
DNAプライマーは、FseIエンドヌクレアーゼ遺伝子全体を増幅するように設計した。前進(forward )プライマーは次の要素を有していた:BamHIクローニング部位、lacZ遺伝子と結合したフレーム内停止コドン、大腸菌認識強力リボソーム結合部位、リボソーム結合部位とFseIエンドヌクレアーゼのATG開始コドンとの間の7ヌクレオチドのスペーサー配列、第2番目の位置の正しいトレオニンコドン、第5番目のアミノ酸のコドンの大腸菌優先コドンへの変更、およびFseIDNA配列とのハイブリッド形成に適合する24個のヌクレオチド。3’(逆進)プライマーは、エンドヌクレアーゼ遺伝子の3’末端でちょうどハイブリッド形成され、メチラーゼクローンとの重複が最小になるように設計された。クローン化を容易にするために、BamHI部位をこのプライマーに導入した。エンドヌクレアーゼ遺伝子は、ゲノムFrankia species DNAから増幅した。増幅したDNAは、BamHIで切断し、予めBamHIで切断して脱リン酸化を行った発現ベクターpRRSに連結した。連結したベクターは、NlaIメチラーゼ遺伝子を有する大腸菌ER2427コンピテント細胞内に形質転換した。所望の大きさの挿入体を含むベクターを、miniprep法により同定した。これらのクローンを対数増殖中期まで増殖させ、IPTGで誘発した。次いで、細胞を遠心により採取し、音波処理緩衝液に再懸濁して、超音波処理により溶解した。抽出物を透明となし、FseIエンドヌクレアーゼ活性を測定した。一つのFseI発現宿主を増殖させ、FseI制限エンドヌクレアーゼの産生に使用した。FseIエンドヌクレアーゼを下記に記載する標準的な蛋白質精製法により精製した。
【0026】
【発明の実施の形態】
本明細書に記載するFseI制限エンドヌクレアーゼおよびメチラーゼ遺伝子を好ましくクローン化し、発現させる方法は、図1で説明するが、下記の工程を含む。
【0027】
1.Frankia species を、富栄養培地を含むフラスコ中で増殖させ、細胞を溶解して、ゲノムFrankia species DNAを精製する。
【0028】
2.FseI制限エンドヌクレアーゼ蛋白を、New England Biolabs で開発された蛋白質精製法を組み合わせることにより、Frankia species 細胞からほぼ均一に精製する(実施例1参照)。精製したエンドヌクレアーゼは、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動においてほぼ均一であり、見掛けの分子量は28,000ダルトンであった。
【0029】
3.エンドヌクレアーゼのアミノ末端配列は、Applied Biosystems470A蛋白質配列分析装置(Brooks, et al., Nucleic Acids Research, 17:979-997,(1989) )を使用して得られ、いくつかの縮重DNAオリゴヌクレオチドプライマーを、その蛋白質アミノ酸配列に基づいて作製する。アミノ酸配列およびそれから誘導されるオリゴヌクレオチドプライマーは、実施例で挙げる。
【0030】
4.シトシンメチラーゼ遺伝子のアミノ酸配列を比較し、ホモロジー領域を同定する(Wilson, Methods in Enzymology, 216:259-279, (1992))。縮重DNAプライマーを各タイプのシトシンメチラーゼ(5−メチルシトシン、α−N4シトシンおよびβ−N4シトシンメチラーゼ)のアミノ酸配列モチーフに基づいて合成する。合成したプライマーを実施例で列挙する。
【0031】
5.シトシンメチラーゼプライマーをFseIエンドヌクレアーゼN−末端プライマーと組み合わせて使用し、Frankia species DNA由来のFseIエンドヌクレアーゼおよびメチラーゼ遺伝子の一部をPCR法により増幅する。エンドヌクレアーゼおよびメチラーゼ遺伝子の一部を増幅するために、シトシンメチラーゼプライマーおよびFseIエンドヌクレアーゼN−末端プライマーの種々の組み合わせをPCR反応で試す。連結したエンドヌクレアーゼおよびメチラーゼ遺伝子は、相対的位置に関する4つの可能な組み合わせで存在しうる。すなわち、相近(convergent)、相離(divergent )、一列でエンドヌクレアーゼ第一(aligned endo first)、および一列でメチラーゼ第一(aligned methylase first )である(Wilson, Nucleic Acids Research, 19:2539-2566, (1991))。シトシンメチラーゼの3つの可能な型と組み合わせると、12個の可能な遺伝子の組み合わせができる。全てを説明するためのプライマーの組み合わせを試す。約1.5kbの顕著な増幅産物が、5−メチルシトシンモチーフ4前進プライマーおよびFseIエンドヌクレアーゼN−末端前進プライマーにより、相近遺伝子位置で認められ、5−メチルシトシンモチーフ1前進プライマーおよび同じN−末端エンドヌクレアーゼプライマーを用いると、1.65kbのあまり顕著でない産物が認められる。1.6kb産物を鋳型として使用すると、1.5kbの産物がモチーフ4プライマーおよび同じFseIN−末端プライマーにより増幅できる。1.65kbおよび1.5kb産物をベクターpUC19にクローン化する。
【0032】
6.工程5のPCR産物の両末端のDNA配列を決定する。DNA配列から推定されるアミノ酸配列は、上記工程3で決定されたFseIエンドヌクレアーゼのアミノ酸配列と一致する。また、増幅されたDNAの他端から推定されるアミノ酸配列は、5−メチルシトシンメチラーゼのアミノ酸モチーフを含み、1.5kb産物が1.65kb産物の内部サブセットであることが分かる。
【0033】
7.FseIエンドヌクレアーゼ遺伝子の過発現:
A.一般的事項:制限遺伝子を過発現させる方法は数多い。DNA配列および詳細な制限地図の情報は、制限エンドヌクレアーゼ遺伝子の過発現のための最良の方法を決定するのに役立つ。過発現の一つの方法は、PCR法を使用してエンドヌクレアーゼ遺伝子全体を増幅するために、制限エンドヌクレアーゼ遺伝子のN−末端およびその遺伝子のいくらか下流(3’)で直接ハイブリッド形成を行うプライマーを設計することを含む。得られるDNAフラグメントは、pAII17などの発現ベクターの誘発プロモーター(T7)のすぐ下流に挿入することができる。あるいは、pAGR3上のPtac (W. Jack, New England Biolabs 製)などの大腸菌が強く認識するプロモーターを制限エンドヌクレアーゼ遺伝子の開始のすぐ前に挿入することにより過発現を行うことができる。これは、制限エンドヌクレアーゼ遺伝子の開始および末端付近の都合のよい制限部位ならびにpAGR3のプロモーター付近の適合する制限部位を見つけ、制限遺伝子をpAGR3に移してPtac プロモーターと結合させることにより行うことができる。使用することができる他の調節されたプロモーターは、pUC19およびpBR322誘導体上のPlacUV5(Fuller, Gene 19:43-54, (1982) )およびlPL(Shimatake and Rosenberg, Nature 254:128, (1981) )である。さらに、強力なリボソーム結合部位(Shine & Dalgarno, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 71:1342-1346, (1974) )をその遺伝子の前において発現を高めることもできる。制限エンドヌクレアーゼを過発現する安定クローンを得るために、宿主は、一般に、予め制限エンドヌクレアーゼ消化から保護する。これは、本発明では、FseIメチラーゼまたは、すべてのFseI部位(および他の多くの部位)を修飾することによりFseI消化から保護する外来メチラーゼ(NlaIなど)のいずれにおいても別のプラスミドにクローン化することにより行う。使用するプラスミドは、発現ベクターに適合するものでなければならない。また、メチラーゼは、宿主のゲノムを過発現された制限エンドヌクレアーゼ遺伝子による消化から保護するレベルで生産されなければならない。
【0034】
前記遺伝子のDNA配列は、大腸菌でより効率的に利用されるコドンを使用するために、部位特異的突然変異誘発または遺伝子自体の再合成により変えることができる(Ikemura, J. Mol. Biol. 151:389-409, (1981))。
【0035】
B.FseIの初期の迅速発現:合成オリゴヌクレオチドプライマーを設計・使用してゲノムFrankia species DNAからFseIエンドヌクレアーゼ遺伝子を増幅し、T7発現ベクターであるPAII17にクローン化する。上記の1650bpPCR産物およびFseIエンドヌクレアーゼのアミノ酸配列からのDNA配列情報を使用して、合成オリゴヌクレオチドプライマーをFseIエンドヌクレアーゼ遺伝子のATG開始コドンに位置するNdeI部位(−CATATG−)とともに構築することにより、T7発現ベクターであるPAII17のNdeI部位(その後に、アミノ酸配列から示されるようにFseIの最初の5個のアミノ酸をコードするDNA配列が続く。)でのクローン化を容易にする。コドンの縮重問題のために、上記の1650bp産物の増幅に使用するプライマーをFseIエンドヌクレアーゼ蛋白質配列のアミノ酸6をコードするコドンで開始したので、発現プライマーのベースとなるアミノ酸2〜5に対するDNA配列情報は得られなかった。従って、プライマー配列は、上記工程3において、最初の5個の位置に対するアミノ酸が、発現の高い大腸菌遺伝子で最も頻繁に使用されるコドンを使用して挿入されるように選択する。発現プライマーは、その後に、1650bpPCR産物の配列と合致する21個の塩基対配列が続く。シトシンメチラーゼモチーフ4の領域のDNA配列と合致させるためには、逆向プライマーを選択する。逆向プライマーであれば、エンドヌクレアーゼ遺伝子全体が確実に存在し、Frankia species DNA配列の1個の塩基対を変化させるだけで、都合のよいSalI制限部位をこのプライマーに作り出すことができるからである。増幅されたDNAは、NdeIおよびSalIで切断し、予めNdeIおよびSalIで切断したベクターpAII17に連結する。連結したベクターを、誘発T7ポリメラーゼ遺伝子を有し、適合するベクターpSYX20上にあるNaIメチラーゼ遺伝子の発現によりFseI部位が予め修飾された適する宿主の大腸菌ER2417に導入する。個々の形質転換体を分析し、FseIエンドヌクレアーゼを発現する形質転換体を使用して酵素の産生を行う。
【0036】
8.産生:FseIエンドヌクレアーゼは、NlaIメチラーゼ遺伝子(またはFseIメチラーゼ遺伝子)および過発現したFseI制限エンドヌクレアーゼ遺伝子を有するクローンから、醗酵槽にて、適当な抗生物質選択および誘発剤を含む富栄養培地中で増殖させることにより産生させることができる。その後、細胞を遠心により採取し、超音波処理により破砕して、FseI制限エンドヌクレアーゼ活性を含む粗細胞抽出物を得る。
【0037】
9.精製:FseIエンドヌクレアーゼを含む粗細胞抽出物を、アフィニティークロマトグラフィーまたはイオン交換クロマトグラフィーなどの標準的な蛋白質精製法を組み合わせることにより精製する。
【0038】
FseIエンドヌクレアーゼおよびメチラーゼのさらなる特性化およびそれらの酵素の別の発現:
10.Frankia species DNAを、λ’IIまたは類似ベクター中でクローン化可能で、FseIエンドヌクレアーゼおよび/またはメチラーゼ遺伝子全体を含むフラグメントを生じるように切断するSau3AIまたはそのアイソシゾマーなどの制限エンドヌクレアーゼで完全におよび/または部分的に消化する。
【0039】
11.消化されたDNAをλファージクローニングベクターに連結する。得られる混合物をin vitroパッケージし、大腸菌株ER1458(NEB#401−C)などの適切な宿主の感染に使用する。感染ファージのタイターは、パッケージしたファージの一部を平板培養し、得られるプラークを計数することにより求める。
【0040】
12.in vitroパッケージしたファージは、好ましくは、富栄養培地上でER1458(NEB#401−C)などの適切な大腸菌宿主の軟寒天における密度を変えて平板培養する。インキュベートした後、FseIエンドヌクレアーゼおよびメチラーゼ遺伝子を含むファージを、PCRにより得た1650bpの遺伝子部分をプラークのニトロセルロースフィルターリフトに対するプローブとして使用し、ベントン−デイヴィス・サザンハイブリッド形成により同定する。陽性のプラークをプレートから取り出し、平板培養およびハイブリッド形成を連続して数回行うことにより精製する。陽性クローンを増殖させ、そのDNAを精製する。
【0041】
13.Frankia species DNAのFseIエンドヌクレアーゼおよびメチラーゼ領域における制限フラグメントの地図を、種々の制限酵素で消化したゲノムFrankia species DNAに対する1650bpPCR産物プローブのサザンハイブリッド形成により作る。1800bpおよび7000bpのKpnIフラグメントならびに3600bpのSacIフラグメントはいくつかのλ’クローンに共通であり、Frankia species ゲノム地図は、続く工程での操作を容易にするために、λ’ベクターからpUC19に移してサブクローニングする。
【0042】
14.配列分析:1650bp増幅産物を含むDNAおよびその位置に隣接するDNAの配列分析を行い、エンドヌクレアーゼ遺伝子のN−末端での正確なDNA配列(4個の「欠けた」アミノ酸コドンおよびATG開始コドンならびに最初の増幅産物には無いメチラーゼの開始部分の配列を含む)を決定する。エンドヌクレアーゼの2番目のアミノ酸は、最初の配列分析(工程3)とは異なることが分かった。このアミノ酸は、エンドヌクレアーゼのその後の発現で、正しいトレオニンに変わる。メチラーゼ遺伝子の推定上の開始および停止部分を、エンドヌクレアーゼの末端と同様に同定する。エンドヌクレアーゼおよびメチラーゼ遺伝子は、12個のヌクレオチドが重複することが認められる。
【0043】
15.FseIメチラーゼの発現:FseIメチラーゼを、ベクターpAII17およびpRRSと適合性のあるベクターpSYX20にクローン化する。FseIメチラーゼ遺伝子を増幅し、そのpSYX20ベクターでの発現を容易にするためにオリゴヌクレオチドプライマーを合成し、メチラーゼ遺伝子をFrankia species DNAから増幅し、増幅産物を適切な制限酵素で切断して、同じ制限エンドヌクレアーゼで予め切断したpSYX20ベクターに連結し、ER2427宿主細胞内に形質転換する。個々の形質転換体を拾い上げ、所望の構築物の有無を分析する。正しい構築物を有する一つの形質転換体をpRMFseM1と命名する。
【0044】
16.FseIエンドヌクレアーゼの発現:FseIエンドヌクレアーゼ遺伝子全体を増幅するためのDNAプライマーを設計した。前進プライマーは、BamHIクローニング部位、lacZ遺伝子と結合したフレーム内停止コドン、大腸菌認識強リボソーム結合部位、リボソーム結合部位とFseIエンドヌクレアーゼのATG開始コドンとの間の7ヌクレオチドのスペーサー配列、第2番目の正しいトレオニンコドン、5番目のロイシンに対するコドンの大腸菌優先コドンへの変更、およびハイブリッド形成のためのFseIDNA配列と合致する24個のヌクレオチドを有する。このプライマーは、HinfI発現の例に従う(Skoglund, et al., Gene 88:1-5 (1990))。3’(逆向)プライマーは、エンドヌクレアーゼ遺伝子のちょうど3’端でハイブリッド形成し、メチラーゼクローンとのオーバーラップを最小にする、すなわち宿主における2つのプラスミド間の相同組換えの可能性を最小にするように設計する。BamHI部位は、クローニングを容易にするためにこのプライマーに導入する。エンドヌクレアーゼ遺伝子は、ゲノムFrankia species DNAから増幅する。増幅したDNAは、BamHIで切断し、予めBamHIで切断して脱リン酸化した発現ベクターpRRSに連結し、連結体を、pSYX20上にあるNlaIメチラーゼで予め修飾した大腸菌ER2427などの適切な宿主細胞内に形質転換する。所望の大きさの挿入物を含むベクターを、miniprep法で同定する。これらのクローンを対数増殖中期まで増殖し、0.5mMのIPTGで誘発する。次いで、細胞を遠心により採取して、超音波処理緩衝液に再懸濁し、超音波処理により溶解する。抽出物を透明にし、FseIエンドヌクレアーゼ活性を測定する。pRRS FseIエンドヌクレアーゼ構築物をpRMFseR2と命名する。プラスミドpRMFseR2を含む一つのFseI発現宿主を増殖させ、FseI制限エンドヌクレアーゼの産生に使用する。
【0045】
17.産生:FseIエンドヌクレアーゼは、過発現したFseI制限エンドヌクレアーゼ遺伝子およびNlaIメチラーゼ遺伝子またはFseIメチラーゼ遺伝子のいずれかを有する宿主細胞から、適切な抗生物質選択および誘発剤を含む富栄養培地中で醗酵槽による増殖によって産生させることができる。その後、細胞を遠心によって採取し、超音波処理により破砕して、FseI制限エンドヌクレアーゼ活性を含む粗細胞抽出物を産生する。
【0046】
18.精製:FseIエンドヌクレアーゼを含む粗細胞抽出物をアフィニティークロマトグラフィーまたはイオン交換クロマトグラフィーなどの標準的な蛋白質精製法の組み合わせにより精製する。
【0047】
上記で概説した工程は、本発明を実施するための好ましい態様を表すが、上記の方法は、公知の方法に準じて変更することができることは、当業者であれば明らかである。
【0048】
下記実施例により本発明の実施態様を説明するが、下記実施例は、現在好ましく実施されるものである。理解されるように、この実施例は説明のためのものであり、本発明は、特許請求の範囲で示した範囲を除けば、この実施例に限定されるものではない。
【0049】
なお、表1は、アミノ酸配列の一文字コードの説明である。
【0050】
【表1】
Figure 0003939375
【0051】
実施例1
FseI修飾メチラーゼおよび制限エンドヌクレアーゼ遺伝子のクローン化
1.DNAの精製:Frankia species のDNAを得るために、5gの細胞ペーストを、20mlの25%ショ糖、0.05Mトリス−HCl、1mMのEDTA(pH8.0)中で10分間静かに攪拌することにより、再懸濁した。10mlの0.25M−EDTA(pH8.0)および新しく調製した6mlの10mg/mlリゾチーム/0.25Mトリス−HCl(pH8.0)を添加し、その溶液を4℃で16時間インキュベートした。溶液を50mlの平衡化フェノールで抽出し、水相を回収して、50mlのクロロホルムで2回抽出した。1/10容の5M−NaClおよび1容の2−プロパノールの添加によりDNAを沈澱させ、遠心により集めた。DNAペレットを1時間風乾した後、11mlのDNA緩衝液(10mMのトリス−HCl、1mMのEDTA(pH8.0))に再懸濁した。10gのCsClをDNA溶液に溶解し、0.5mlの5mg/mlの臭化エチジウム水溶液を添加した。CsCl−DNA溶液を、ベックマンTi70ローターで44,000rpm、36時間遠心した。遠心の後、DNAバンドを17ゲージの針で引き上げ、CsCl−水−飽和2−プロパノールで4回抽出し、4容のDNA緩衝液で希釈し、等量の2−プロパノールで沈澱させた。DNAを遠心によって集め、70%エタノールで2回洗浄し、風乾して2mlのDNA緩衝液に再懸濁した。
【0052】
2.Frankia species (NRRL18528)からのFseI制限エンドヌクレアーゼの精製:Frankia species 細胞を富栄養ブロスを含むフラスコ中で対数増殖中期まで増殖させることにより、FseI制限酵素をNRRL18528から産生させることができる。細胞は、遠心により採取する。続く操作は全て、氷上または4℃で行った。25gの細胞を50mlの緩衝液A(20mMトリス−HCl、1mMのジチオトレイトール(DTT)、0.1mMのEDTA、pH7.6)に再懸濁し、超音波処理により破砕した。抽出物を3mlの5M−NaClの添加により0.2MのNaClにし、4℃、15,000rpmで30分遠心した。上清を、0.2MのNaClを含む緩衝液A(緩衝液A.2)で平衡化した15mlのヘパリン−セファロースカラムにロードした。カラムを45mlの緩衝液A.2で洗浄した後、60mlの緩衝液A.2と1.0MのNaClを含む60mlの緩衝液Aとで形成されるNaClの直線勾配で洗浄した。3mlづつの画分を集めた。制限酵素活性のピークが、0.8および0.9M−NaClの間のカラムから溶離され、それをプールした。このヘパリン−セファロースプールを3容の緩衝液Aで希釈し、緩衝液A.2中で平衡にした1mlのホスホセルロースカラムにかけた。そのカラムを5mlの緩衝液A.2で洗浄した後、緩衝液A中の0.2MのNaCl→1.0MのNaCl40mlの直線勾配で洗浄した。制限酵素活性のピークが0.5MのNaClで溶離され、プールした。ホスホセルロースのプールを Amicon Centricon −10微小濾過装置で0.56mlに濃縮し、5mlの緩衝液Aで希釈した後、0.05MのNaClを含む緩衝液Aで平衡化した1mlのMono−Qカラム(Pharmacia )にかけた。0.05→0.6M−NaClの直線勾配の緩衝液Aを使用すると、FseI活性が0.2MのNaClで溶離された。最も純粋なFseIを含むMono−Q画分を Amicon Centricon −10装置で濃縮した。しかし、この結果、90%以上の可溶性FseI活性の損失があった。従って、Centricon −10装置のフィルター膜を、0.05mlのSDS−蛋白質−ゲルローディング緩衝液中で煮沸して上清を回収し、 Matsudaira の方法(Matsudaira, P., J. Biol. Chem. 262:10035-10038, 1987)に前述した改良(Looney, et al., Gene 80:193-208, (1989) )を加えて、電気泳動および電気ブロット法にかけた。膜をクーマシーブルーR−250で染色し、約28kDの蛋白質のバンドを切り取って逐次分解を行った(Waite-Rees et al., J. Bacteriol. 173:5207-5219, (1991))。
【0053】
3.アミノ末端FseI蛋白質の配列:得られた約28kDの蛋白質のバンドをApplied Biosystems Model 470A 気相蛋白質配列分析器でのアミノ末端蛋白質配列分析にかけた(Brooks, et al., Nucleic Acids Research, 17:979-997,(1989) )。得られた最初の23個の残基の配列は、HDELFPIPEPLVXPVIALPPLLK(配列番号1)であった。FseIエンドヌクレアーゼのアミノ末端から得られるこのペプチド配列データを使用して一連のPCRプライマーを構築した。
【0054】
1)TTY CCN ATH CCN GAR CC 17−マー(配列番号2);
2)GAG CTS TTC CCS ATC CCN GAR CC 23−マー(配列番号3);
3)CCS GTS ATC GCS CTS CCS CC 20−マー(配列番号4);
4)GGC TCS GGG ATS GGR AAN AGY TC 23−マー(配列番号5);
5)GGC TCS GGG ATS GGR AAY AAY TC 23−マー(配列番号6);
[式中、Y=T,C;R=A,G;H=A,T,C;S=G,C;N=A,C,G,Tである。]
プライマー1、2および3は前進プライマー、すなわちコーディング鎖プライマーであり、4および5は逆向プライマー、すなわち非コーディング鎖プライマーである。
【0055】
4.シトシンメチラーゼ保存配列に合致するプライマー:多くのシトシンメチラーゼ遺伝子のアミノ酸配列が決定され、比較されている(Wilson, Methods in Enzymology, 216:259-279, (1992))。シトシンメチル化は、2つの型に区別される。シトシン環の5位の炭素(C5)におけるメチル化と4位の窒素(N4)におけるメチル化である。N4型は、αおよびβの2種類で現れる。それらは、同じモチーフを有するが、モチーフの順序が異なる。シトシンメチラーゼの各タイプの保存配列モチーフのいくつかとハイブリッド形成させるために、縮重DNAプライマーを設計した。以下に示す、いくつかの前進(コード化)方向のプライマーおよびいくつかの逆方向のプライマーである。
【0056】
A.5−メチル−シトシン
5’TTC GCN GGN ATH GGN GG 3’(配列番号7),モチーフ1:FAGIGG(配列番号37)
5’TTC TCN GGN GCN GGN GG 3’(配列番号8),モチーフ1:FSGAGG(配列番号38)
5’TTY TCN GGN TGY GGN GG 3’(配列番号9),モチーフ1:FSGCGG(配列番号39)
5’GCN GGN TTY CCN TGY CA 3’(配列番号10),モチーフ4:AGFPCQ(配列番号40)
5’GGS GGN CCN CCN TGY CA 3’(配列番号11),モチーフ4:GGPPCQ(配列番号41)
5’TG RCA NGG RAA NCC NGC 3’(配列番号12),モチーフ4:AGFPCQ(配列番号42)
5’TG RCA NGG NGG NCC 3’(配列番号13),モチーフ4:GPPCQ(配列番号43)
5’CC YTT NAC RTT YTC 3’(配列番号14),モチーフ6:ENVKG(配列番号44)
5’AR NCC YTT NAC RTT YTC 3’(配列番号15),モチーフ6:ENVKGX(X=ロイシン/フェニルアラニン(配列番号45))
5’AC SGG SAC SGC GTT SCC 3’(配列番号16),モチーフ10:GNAVPV(配列番号46)
B.N−4シトシンメチラーゼ 型
5’GGN TCN GGN AC 3’(配列番号17),モチーフ1:GSGT(配列番号47)
5’TA NGG NGG NGA 3’(配列番号18),モチーフ4:SPPY(配列番号48)
C.N−4シトシンメチラーゼ 型
5’ACN TCN CCN CCN TA 3’(配列番号19),モチーフ4:TSPPY(配列番号49)
5’ACN AGY CCN CCN TA 3’(配列番号20),モチーフ4:TSPPY(配列番号49)
5’TCN CCN CCN TAY TGG 3’(配列番号21),モチーフ4:SPPYW(配列番号50)
5’AA NGG RTC NAG NAC 3’(配列番号22),モチーフ1:VLDPF(配列番号51)
5’GT NGT NCC NGA NCC 3’(配列番号23),モチーフ1:GSGTT(配列番号52)
5’CC CAT RAA NGG RTC 3’(配列番号24),モチーフ1:DPFMG(配列番号53)
5’CC RAA RAA NGG RTC 3’(配列番号25),モチーフ1:DPFFG(配列番号54)
5’CC NGC RAA NGG RTC 3’(配列番号26),モチーフ1:DPFAG(配列番号55)
5.工程4のシトシンメチラーゼプライマーおよび工程3のFseIエンドヌクレアーゼ遺伝子のN−末端領域に相補的なプライマーの種々の組み合わをPCR法で使用して、エンドヌクレアーゼおよびメチラーゼ遺伝子の一部を増幅する。典型的な反応では、親反応混合物を、テストする一つのプライマーを含むように調製し、それをアリコートに分けてもう一つのプライマーを添加する。FseIメチラーゼおよびエンドヌクレアーゼの一部の増幅が成功した反応では、親反応混合物を、40μlの10x Vent(登録商標)反応緩衝液、30μlの4mM dNTP溶液、4μl(800ng)のFrankia species DNA、20μl(10μMのストック)の上記配列番号2のプライマー(FseIエンドヌクレアーゼN−末端プライマー)、286μlのdH2 O、4μlのKlenTaq(登録商標)ポリメラーゼ(25単位/μlストック)および4μlのDeep Ventポリメラーゼ(0.02単位/μlストック)を混合して作った。
【0057】
次いで、その混合物を8個の47.5μlアリコートに分けた。プライマー配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号15および配列番号16を使用して、第1のアリコートには2.5μlのプライマー配列番号8(10μMのストック)を添加し、第2には2.5μlのプライマー配列番号10(10μMのストック)を添加し、以下同様に添加した。第8のアリコートには、コントロール反応として2.5μlのdH2 Oを添加した。PCR増幅条件は、94℃で3分間を1サイクル、続いて、95℃で30秒間、46℃で30秒間および72℃で2分間を25サイクルとした。15μlのPCR反応生成物を、1%アガロースゲル上での電気泳動により分析した。プライマー配列番号8および配列番号16を有する反応物では、種々の第二のプライマーにより多重バンドが認められた。プライマー配列番号2および配列番号11を有する反応物では、約1.5kbの顕著なバンドが認められた。プライマー配列番号2および配列番号10では、同じ大きさで強度の弱い生成物が認められ、プライマー配列番号2および配列番号8では、約1.65kbの中位の強度のバンドが認められた。これらの大きさの生成物は、相近遺伝子配向に対する予想と一致する。
【0058】
これらの生成物がFseIメチラーゼおよびエンドヌクレアーゼに由来するかどうかのテストとして、プライマー配列番号2および配列番号8の1.65kbの生成物をゲル精製し、PCR鋳型として使用した。ゲル精製:配列番号2および配列番号8のPCR反応物30μlを1%LMPアガロースで電気泳動し、1.65kbのバンドをゲルから切り取り、65℃で5分間溶融して5分間40℃に冷却し、アガロースを1μl(1u)のβ−アガロース(New England Biolabs #392)の添加により消化し、40℃で1時間インキュベートした。DNAを沈澱により回収し、70%エタノールで洗浄して風乾し、DNA緩衝液に再懸濁した。PCR反応を上記と同じ条件を使用し、次のプライマーの組み合わせにより行った。配列番号8のみの場合は1.65kbとは異なる大きさで弱いバンドが6本得られ、プライマー配列番号2のみの場合は生成物は得られず、プライマー配列番号2および配列番号8の場合は顕著な1.65kbのバンドが得られ、プライマー配列番号2および配列番号11(内部5−メチルシトシンメチラーゼプライマー)の場合は顕著な1.5kbのバンドが得られ、これらのバンドはFrankia species DNAに由来するものであり、プライマー配列番号4(内部FseIエンドヌクレアーゼN−末端プライマー)および配列番号11の場合は、約1.45kbの顕著なバンドが得られた。これらの結果は、最初に得られた1.65kbの生成物および1.5kbの生成物が恐らくFseIエンドヌクレアーゼおよびメチラーゼ遺伝子に由来することを示した。1.65kbおよび1.5kbの生成物は、上記と同様にゲル精製し、T4ポリヌクレオチドキナーゼでを作用させ、予めSmaIで切断して牛の腸アルカリホスファターゼで脱リン酸化したpUC19ベクターに連結した。次いで、連結混合物を大腸菌株ER2420に形質転換し、個々のコロニーに対して100μg/mlのアンピシリンを含むL−ブロスプレート上で平板培養した。所望の構築物のクローンの同定を、miniprepを行い、精製DNAを消化し、アガロースゲル電気泳動により分析することにより行った。
【0059】
プラスミドクローンの分析:個々の形質転換体を、アンピシリンを含む10mlのL−ブロスに接種し、それに含まれるプラスミドを、BirnboinとDolyの方法(Nucleic Acids Res. 7:1513, (1979) )から採用した下記のminiprepプラスミド精製法により得た。
【0060】
miniprep法:各培養液を8000rpmで5分間遠心した。上清を捨てて、細胞ペレットを、1mg/mlのリゾチームを含む1.0mlの25mMトリス、10mMのEDTA、50mMのグルコース,pH8.0に再懸濁した。室温で10分後、2.0mlの0.2M−NaOH、1%SDSを各チューブに添加し、そのチューブを攪拌して細胞を溶解した後、氷上に置いた。溶液がいったん透明になったら、3Mの酢酸ナトリウム(pH4.8)1.5mlを各チューブに添加して攪拌した。生成した沈澱を15,000rpm、4℃で10分間回転沈降させた。各上清を3mlのイソプロパノールを含む遠心管に注入して混合した。室温で10分後、そのチューブを15,000rpmで10分間回転させて、沈澱した核酸をペレット化した。上清を捨ててペレットを室温で30分間風乾した。乾燥したら、ペレットを50μg/mlのRNaseを含む500μlの10mMトリス、pH8.0、1mM−EDTAに溶解し、37℃で1時間インキュベートしてRNAを消化した。DNAを、50μlの5M−NaCl、次いで350μlのイソプロパノールを添加することにより沈澱させた。室温で10分後、DNAを5分間遠心することにより回転沈降させ、上清を捨ててペレットを乾燥させた後、150μlの10mMトリス、1mM−EDTA、pH8.0の最終溶液に再溶解した。次いで、プラスミドのminiprepを、種々の制限エンドヌクレアーゼによる消化により分析した。
【0061】
6.DNA配列:DNA配列分析を、Circumvent(登録商標)DNA配列分析キット(New England Biolabs )を使用し、製造者の指示に従って行った。miniprep DNA調製物を鋳型として使用した。そのDNA配列は、続く操作で制限エンドヌクレアーゼ遺伝子全体をクローン化し、クローン化した遺伝子を大腸菌で発現させるためのベースとして使用するデータとなった。1.65kbおよび1.5kbの両方のPCR産物の一端におけるDNA配列から推定されるアミノ酸配列は、FseIエンドヌクレアーゼ遺伝子のN−末端の蛋白質配列と密接に一致した。このDNA配列は、5’TTT CCT ATT CCG GAG CCA TTG GTC AGA CCA GTC ATC GCA CTC CCC CCT CAT CTG AAG GAA TTG ATC 3’(配列番号27)であり、これをアミノ酸配列に翻訳すると、FPIPEPLVPVIALPPLKLI(配列番号28)であることが分かった。ここで、下線のアミノ酸は、FseIエンドヌクレアーゼのN−末端アミノ酸配列データの結果と一致する。1.65kbの増幅産物の他端におけるDNA配列から推定されるアミノ酸配列は、5−メチルシトシンメチラーゼの保存モチーフ1および4を含んでおり、DNA配列は、5’TTC TGT GGC GCC GGA GGG ATG ACG TTG GGA TTC ATG CAG GCA GGA TTC CAG CCG ATT CTG TCC ATC GAC CAT GAC CTT CCA TCT ATC GAG ACG CAT CGC GCA AAC TTC CCT GGA ATG TCG ATC TGC ACG GAC ATT CGC GAC TTT GTT CAT TTT CCT TCC GCA GAT GTT GTC GTC GGA GGT CCC CCA TGC CAG GGA TTC AGT CGT CTG GGT 3’(配列番号29)であり、これをアミノ酸配列に翻訳すると、FCGAGGMTLGFMQAGFQPILSIDHDLPSIETHRANFPGMSICTDIRDFVDFPSADVVVGGPCQGFSRLG(配列番号30)であった。
【0062】
7.FseIエンドヌクレアーゼの過発現:FseIエンドヌクレアーゼ遺伝子を、発現ベクターpAII17の誘発プロモーター(T7)のすぐ下流に挿入することによって過発現させると、リボソーム結合部位が強く認識された。これを達成するために、二つのオリゴヌクレオチドプライマーを、DNAおよび蛋白質配列データを使用して作った。前進オリゴヌクレオチドプライマーは、エンドヌクレアーゼのATG開始コドンにNdeIクローニング部位を作る配列を含み、続いて、蛋白質配列によって示される第2、第3、第4および第5アミノ酸をコードするDNA配列を含み(コドンの選択は、発現の高い遺伝子の最も普通に使用される大腸菌コドンに合致するように行った。)、続いて、1.65kb増幅産物から得られるDNA配列に相補的な21個の塩基を含んでいた。すなわち、5’GGA GGT TAA CAT ATG CAC GAC GAA CTG TTT CCT ATT CCG GAG CCA TTG 3’(配列番号31)(CAT ATGはNdeIクローニング部位であり、下線は最初の5個のアミノ酸コドンである。)である。第二のオリゴヌクレオチドプライマーは、FseIエンドヌクレアーゼ遺伝子の3’端に約800ヌクレオチドの配列を含み、一度増幅されたフラグメントのクローニングを促進するためのSalI部位を作るように1個のヌクレオチドを変化させた。すなわち、5’GAT GTT GTC GAC GGA GGT CCC CCA TGC 3’(配列番号32)(下線がSalI部位である。)である。これら二つのプライマーを、 Vent DNAポリメラーゼを使用するPCR反応において、鋳型としてのゲノム Frankia speciesDNAとともに使用して、FseIエンドヌクレアーゼ遺伝子を含む1.5kbのDNAフラグメントを増幅させた。バンドを上記と同様にゲル精製した。精製したDNAを20UのNdeIおよび20UのSalI/1xNE緩衝液3で1時間消化した。インキュベートした後、消化物をフェノール:クロロホルムの1:1混合物で1回、クロロホルムで2回抽出し、2容のエタノールで沈澱させた。DNAを遠心によりペレット化し、70%エタノールで1回洗浄し、脱水して20μlのTEに再懸濁した。精製したフラグメントの3μl(約0.05μg)を、17℃で4時間、400UのT4DNAリガーゼとともに全体積20μlでNdeIおよびSalI(約0.05μg)で消化したT7発現ベクターpAII17(S. Xu, New England Biolabs製)に連結した。〔pAII17は、T7プロモータの4bp下流のlacオペレーター(T7lacという。)、lacIq 遺伝子、アンピシリン耐性およびクローニング用の二つの制限部位NdeIおよびSalI(SalIはBamHIの代わりである。)を含むpBR322由来のT7発現ベクターである。pAII17はまた、標的遺伝子の発現の基底レベルをさらに低下させるために、T7プロモーターの上流にrrnB転写終結因子の4個のコピーを含む。(paII17は、 W. Jackが New England BiolabsでpET−1laから構築した。)(Dubendorff, J. W. and Studier, F. W., J. Mol. Biol. 219:45-59, (1991) )10μlの連結体を使用して、適合するプラスミドpNlaIH14上に有するNlaIメチラーゼ遺伝子で予め修飾したコンピテント大腸菌ER2417を形質転換した。〔NlaIメチル化認識部位GGCCは、FseI制限エンドヌクレアーゼ認識部位毎に2回現れるので、NlaIによるメチル化は、宿主DNAをFseI消化から保護する。pNlaIH14は、kanr およびTcr 遺伝子ならびにpSC101複製起点を有するコピー数が中位のプラスミドであるpSYX20から誘導される。Tcr 遺伝子に挿入されたメチラーゼ遺伝子は、Tcプロモーターから構成的に発現可能である。〕形質転換された細胞は、アンピシリン(100μg/ml)およびカナマイシン(50μg/ml)を含むL−寒天上で平板培養した。プラスミドを、工程5で記載したように、プラスミドminiprep法を使用して、個々のコロニーから単離した。各miniprep5μlのNdeIおよびSalIによる二重消化をpAII17のNdeIおよびSalIによる二重消化と比較した。約1.5kbの挿入物を含むクローンを選択してさらに特性化を行った。これらのクローンを、アンピシリンおよびカナマイシンを含む200mlのL−ブロスでKlett80(対数増殖中期)まで増殖させて、0.5mMのIPTGにより誘導した。誘導の2時間後に、細胞(約0.8g)を遠心により採取し、3mlの超音波緩衝液(20mMのトリス−HCl、pH7.5、1mMのDTT、0.1mMのEDTA)に再懸濁し、氷上で超音波処理した。超音波処理した細胞抽出物を16,000rpmで20分間遠心分離した。各抽出物4.5μlを75μlのDNAアッセイ混合物(1μgの Adeno2DNA/50μlのNE緩衝液1)と混合した。このチューブの25μlを50μlのDNA混合物と別のチューブで混合した(1:2希釈)。別に逐次1:2希釈を3回行った。反応物は30℃で1時間インキュベートした。各反応物20μlを1%アガロースゲルにかけた。テストした全てのクローンが、FseI制限エンドヌクレアーゼ活性を生じた。酵素力価は、1x104 単位/g細胞より大きいと推定された。これらのクローンの一つを選択してさらに特性化を行い、株をNEB#918と命名し、プラスミドはpRMFseR1と命名した。NEB#918の粗抽出物から生じたFseI制限エンドヌクレアーゼ活性の力価を図4に示す。
【0063】
8.産生:FseIエンドヌクレアーゼは、NEB#918をアンピシリン(100μg/ml)およびカナマイシン(50μg/ml)を有する富栄養培地を含む醗酵槽中で対数増殖後期まで増殖させることにより産生させることができる。培養物は、次いで、IPTGを最終濃度0.5mMまで添加することにより誘発し、2〜4時間増殖を続ける。その後、細胞を遠心により採取する。
【0064】
9.FseI制限エンドヌクレアーゼのNEB#918からの精製:FseIエンドヌクレアーゼを含む粗細胞抽出物を、上記工程2と同様に、アフィニティークロマトグラフィーまたはイオン交換クロマトグラフィーなどの標準的な蛋白質精製法を組み合わせることにより精製する。この精製により得られるFseI制限エンドヌクレアーゼは、実質的に純粋であり、非特異的なエンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼは含んでいなかった。
【0065】
FseIエンドヌクレアーゼの詳しい解析およびFseIメチラーゼのクローン化:
10.Frankia species ゲノムDNAの制限エンドヌクレアーゼ切断:Frankia species DNAをSau3AIで切断して、次のように部分消化を行った。NE緩衝液Sau3AI(100mMのNaCl、10mMのビストリスプロパン−HCl、10mMのMgCl2 、1mMのDTT、pH7.0、25℃)における50μg/mlのFrankia species DNA450μlを100μlのアリコート1本および50μlのアリコート7本に分けた。100μlのチューブに5単位のSau3AIを添加して1μgDNAあたり1単位の酵素とした。第一のチューブから50μlを取り出して第二のチューブに移し、0.5単位のSau3AI/μgとし、同様にして、続く各々のチューブのSau3AIが、その前のチューブのSau3AI量の半分になるようにする。それらのチューブを37℃で1時間インキュベートした後、フェノール/クロロホルムで抽出し、2容のエタノールで沈澱させ、乾燥して、30μlのTE(TE=10mMのトリス−HCl、1mMのEDTA、pH8.0)に再懸濁し、各々の3μlをアガロースゲル電気泳動により分析した。9〜23kbの範囲に消化物質を示すチューブをクローニング用のフラグメント源として選択した。個々の反応物を一緒にして、所望の9〜23kbの範囲のフラグメントを上述したように低融点アガロースからゲル精製し、クローンライブラリーの作製に使用した。
【0066】
11.Sau3AIライブラリー:Sau3AIゲノムライブラリーを、ベクターλ’(登録商標)II(Stratagene)を使用して作製した。λ’IIはλ置換ベクターであり、9〜23kbのDNAフラグメントをクローン化するために使用することができる。上述したようにSau3AI部分消化されたFrankia species DNA250ng(2μl)を500ngのBamHI−切断λ’IIアーム(0.5μl)と混合した。1000単位のT4DNAリガーゼを含む2.5μlの2xライゲーション混合物(100mMのトリス、pH7.8、20mMのMgCl2 、20mMのDTT、2mMのATP)を添加し、その混合物を17℃で16時間インキュベートした。2.5μlのライゲーション反応物を、Gigapack II Plus(Stratagene)を使用し、製造者の指示に従って、感染性ファージ粒子にin vitroパッケージした。室温で2時間インキュベートした後、パッケージされたファージを500μlのSM(SM=100mMのNaCl、8mMのMgSO4 、50mMのトリス−HCl、pH7.5、0.01%のゼラチン)および3滴のクロロホルムで希釈した。感染性ファージ粒子の力価を次のように測定した。パッケージされたファージ溶液2μlを198μlのSMで希釈した。その希釈されたファージの1μl、10μlおよび100μlアリコートを、ER1458細胞の新しい懸濁物(10mMのトリス−HCl、pH7.5、10mMのMgCl2 、O.D.600 =2.0における懸濁物)100μlに添加し、室温で15分間インキュベートした後、40℃で3mlのトップアガーと混合し、富栄養プレートに播いた。トップアガーが固まった後、プレートを37℃で一夜インキュベートした。翌日プラーク数を数え、次の実験で使用するファージストックの力価を計算すると、5×104 pfu/mlであった。
【0067】
12.in vitroパッケージしたファージを上記と同様にプレーティングして、大腸菌ER1458の菌叢に十分分離したプラークを形成させた。約250、500および1500ファージのプレートを作った。これらのクローンのλ’IISau3AIライブラリーからのニトロセルロースフィルタープラークリフトを、放射能標識した(Random Priming System I, #1550, New England Biolabs )ゲル精製1.65kbPCR産物(Benton-Davis法、Molecular Cloning, a Laboratory Manual, T. Maniatis, E. F. Fritsch and J. Sambrook, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1982, pp.320ff)をプローブとして行った。陽性の6個のプラークが同定され、全て、精製されたプラークであった。DNAを4個のファージの集密的プレートライセート(トップアガロース中)から調製し、SacI、KpnIおよびSalIで消化した。4個とも、共通して1.8kbのKpnIフラグメントを含み、これに1.65kbのプローブをハイブリッド形成させた。
【0068】
13.サザンハイブリッド形成:サザンブロットを次のように調製した。1μgのFrankia species ゲノムDNAを、ApaI、AscI、BamHI、EagI、HindIII 、KpnI、MscI、NotI、PstI、SacI、SalI、SmaI、SphI、StuI、XbaIまたはXhoIで消化した。消化物を0.7%アガロースゲル上で電気泳動にかけた。ゲルを0.25MのHCl(溶液を2回換える)で15分間、次いで、0.5MのNaOH、1.5MのNaCl(溶液を2回換える)で各15分、最後に1MのNH4 OAc、0.02MのNaOH(溶液を2回換える)で30分間洗浄した。DNAをニトロセルロースに移すために、孔径0.45μmのニトロセルロースのシートを1MのNH4 OAc、0.02MのNaOHで湿らし、ゲルと同じ大きさのものをゲルの一方の側に置いた。これを2インチの高さに積み重ねたペーパータオルの上に置き、別の2インチの高さのペーパータオルの束をその上に置いた。そのペーパータオルの束の上にガラス板を置き、そのガラス板の上に小さい重しを載せた。DNAを一晩トランスファーさせ、ニトロセルロースを80℃で1時間乾熱処理した。
【0069】
ニトロセルロースブロットを15mlの50x Denhardt (5gのフィコール、5gのポリビニルピロリドン、5gのBSA/500mlのH2 O)、20xSSC(175.3gのNaCl、88.2gのクエン酸ナトリウム/1lのH2 O)、10%のSDSおよび10%の硫酸デキストラン中でプレハイブリッド形成した。室温で1時間、プレハイブリッド形成した後、ラベルしたプローブ(上記と同様にラベルした1.65kb増幅産物)を添加し、ハイブリッド形成の工程を68℃で一夜行った。ブロットを、65℃で1時間かけて、2xSSC(溶液を3回換える)および0.1%のSDSを含む2xSSC(溶液を3回換える)で洗浄した。ブロットをX線フィルムに24時間あてた。
【0070】
このブロットおよびλクローンの消化パターンから、FseIエンドヌクレアーゼ全体およびFseIメチラーゼ遺伝子のカルボキシル末端の一部を含む3.6kbのSacIフラグメントが同定され、λファージの一つをpUC19に入れてサブクローニングを行った。FseIメチラーゼ遺伝子全体およびFseIエンドヌクレアーゼ遺伝子のカルボキシ末端を含む7.0kbのKpnIフラグメントも、FseIエンドヌクレアーゼ遺伝子の残りのアミノ末端部分を含む1.8kbのKpnIフラグメントと同様に、pUC19に入れてサブクローニングを行った。
【0071】
14.DNA配列分析:FseIエンドヌクレアーゼおよびメチラーゼ遺伝子のDNA配列分析を、CircumventDNA配列分析キット(New England Biolabs )および Sequenase2.0配列分析キット(United States Biochemicals)を使用し、製造者の指示に従って行った。種々のサブクローンを作り、合成オリゴヌクレオチドプライマーを合成して、配列分析を行った。miniprepDNA製剤を鋳型として使用した。DNA配列分析により、続く操作でFseIメチラーゼ遺伝子をクローン化し、FseIエンドヌクレアーゼ遺伝子を再クローン化し、これらの遺伝子の大腸菌での発現を誘発するためのベースとして使用するためのデータが得られた。エンドヌクレアーゼの開始におけるDNA配列は、5’ATG ACC GAC GAG TTG TTT CCT ATC CCG GAG CCA TTG GTC 3’(配列番号33)であることが分かった。これは、アミノ酸配列:MTDELFPIPEPLV(配列番号34)に翻訳される。すなわち、エンドヌクレアーゼの2番目のアミノ酸は、工程3のアミノ酸配列データから最初に考えられたヒスチジンではなく、トレオニンであることが分かった。メチラーゼ遺伝子の推定上の開始および停止コドンが、停止コドンがエンドヌクレアーゼの末端であると推定されたと同様に、同定された。エンドヌクレアーゼおよびメチラーゼ遺伝子の読み取り枠は12個のヌクレオチドが重複することが認められた。FseIメチラーゼを適合するベクターで発現させて、宿主ゲノムをFseI切断から保護するためにFseIメチラーゼを使用し、エンドヌクレアーゼを別に発現させて、2番目の位置に適切なトレオニンを挿入し、保護のためにFseIメチラーゼを使用した。
【0072】
15.メチラーゼのクローン化:FseIメチラーゼ遺伝子を増幅してpSYX20でクローン化するために、2個のプライマーを設計した。FseIメチラーゼ遺伝子は、VentDNAポリメラーゼを使用して、Frankia species ゲノムDNAら増幅した。約1100bpの増幅産物を上記と同様にゲル精製し、BamHIおよびSalIで切断し、フェノール−クロロホルム抽出を行い、沈澱させて、予めBamHIおよびSalIで切断したpSYX20ベクターに連結した。連結反応物を大腸菌株ER2427に形質転換し、個々の形質転換体をminiprep法にかけて、BamHIおよびSalIで消化した。正しい挿入物を有する形質転換体を単離した。
【0073】
16.エンドヌクレアーゼのクローン化:制限エンドヌクレアーゼ遺伝子を、発現ベクターpRRSの、強力な誘発プロモーター(PlacUV5)および強く認識されるリボソーム結合部位のすぐ下流に挿入することにより発現させた。これを行うために、DNAおよび蛋白質配列データを使用して二つのオリゴヌクレオチドプライマーを作った。第一のオリゴヌクレオチドプライマーは、BamHI部位、続いてlacZ蛋白質の翻訳を停止するためのlacZ遺伝子と結合したフレーム内停止コドン、強いリボソーム結合部位、7個のヌクレオチドのスペーサー、FseIエンドヌクレアーゼ遺伝子の開始コドン、第2番目のトレオニン(ヒスチジンではない)コドン、5番目のアミノ酸におけるロイシンに対するコドン使用の変更およびハイブリッド形成のためのFrankia species DNAに相補的な配列を含んだ。すなわち、5’TAG GAT CCG GAG GTTTAA AAT ATG ACC GAC GAG CTG TTT CCTATC C 3’(配列番号35)であった。逆向きプライマーは、エンドヌクレアーゼ遺伝子の3’端に位置し、クローニングのためのBamHI部位が加えられ、5’TAA GGA TCC TCT AGA GCA GGT CGG 3’(配列番号36)であった。これら二つのプライマーを使用し、10μlの10x Vent 反応緩衝液、8μlの4mMdNTP溶液、1μl(200ng)のFrankia species DNA、5μl(10μMストック)のプライマー(配列番号35)、5μl(10μMストック)のプライマー(配列番号36)、71μlのdH2 O、0.5μlの Vent ポリメラーゼ(2単位/μlストック)を混合して、95℃1分間、56℃1分間および72℃1分間で25サイクル増幅することにより、Frankia species ゲノムDNAからFseIエンドヌクレアーゼ遺伝子を増幅した。約700bpの増幅産物を上記と同様にゲル精製し、BamHIで切断し、フェノール−クロロホルム抽出を行い、沈澱させ、予めBamHIで切断して脱リン酸化したpRRSベクターに連結した。連結反応物を、適合するプラスミドpSYX20に載せたNlaIメチラーゼ遺伝子で予め修飾した大腸菌株ER2427に形質転換した。個々の形質転換体を分析すると、いくつかの発現FseIエンドヌクレアーゼが認められた。酵素力価は、1×104 単位/g細胞より大きいと推定された。これらのクローンの一つを選択してさらに解析を行い、その株をNEB#943と命名し、プラスミドはpRMFseR2と命名した。NEB#943は、1994年10月18日に受託番号69707でATCCに寄託した。NEB#943の粗抽出物から得られたFseI制限エンドヌクレアーゼ活性の滴定を図5に示す。
【0074】
17.FseI制限エンドヌクレアーゼは、NEB#943を、アンピシリン(100μg/ml)、カナマイシン(50μg/ml)およびクロラムフェニコール(15μg/ml)を有する富栄養培地を含む醗酵槽中で対数増殖後期まで増殖させることにより産生させることができる。次いで、IPTGを最終濃度0.5mMまで添加することによりその培養物を誘発し、2〜4時間増殖を続ける。次いで、細胞を遠心により採取する。
【0075】
18.FseI制限エンドヌクレアーゼのNEB#943からの精製は、上記工程9におけるNEB#918の場合と同様に行う。この精製により得られるFseI制限エンドヌクレアーゼは実質的に純粋であり、非特異的エンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼは含んでいなかった。
【0076】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1A】FseI制限エンドヌクレアーゼをクローン化して産生するための好ましい方法を説明する。クローン化計画に着手するときは、どの方法または条件を使用するとFseI制限−修飾系のクローン化がうまくいくか分からなかった。実際、メチラーゼ選択方法では、FseIメチラーゼ(またはエンドヌクレアーゼ)のクローンは得られなかった。図1および実施例1に記載した蛋白質配列分析、メチラーゼ比較、プライマー設計、DNA増幅およびクローニング結果、ならびにクローンのDNA配列決定、マッピングおよび特性化は、FseI制限−修飾系のクローン化および発現のための、以前には知られていなかった直接方法を示す。
【図1B】図1Aのつづき。
【図2】過発現クローンpRMFseR1を作るためのベクターpAII17に挿入されたDNAの制限地図である。
【図3】過発現クローンpRMFseR2を作るためのベクターpRRSに挿入されたDNAの制限地図である。
【図4】pAII17由来プラスミドpRMFseR1上のFseI制限エンドヌクレアーゼを含有する大腸菌ER2417の細胞抽出物中のFseI制限エンドヌクレアーゼ活性を示すアガロースゲルの写真である。
【図5】pRRS由来のプラスミドpRMFseR2上のFseI制限エンドヌクレアーゼを含有する大腸菌ER2427の細胞抽出物中のFseI制限エンドヌクレアーゼ活性を示すアガロースゲルの写真である。

Claims (5)

  1. 配列番号2を含み、5’−GGCCGGCC−3’の配列を有するオクタヌクレオチドを認識し切断することができる配列番号1のアミノ酸配列を含むFseI制限エンドヌクレアーゼをコードする単離DNAであって、ゲル電気泳動による測定で700bpの長さを有し、受託番号ATCC No.69707のプラスミドpRMFseR2のBamHI切断によって得られる単離DNA。
  2. 請求項1に記載の単離DNAを含む組換えベクター。
  3. 受託番号ATCC No.69707で寄託されたプラスミドpRMFseR2である、請求項2に記載の組換えベクター。
  4. 請求項2または3に記載の組換えベクターで形質転換した宿主細胞。
  5. FseI制限エンドヌクレアーゼの発現に適した条件下で、請求項2または3に記載のベクターで形質転換した宿主細胞を培養することを含む、FseI制限エンドヌクレアーゼの製造方法。
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