JP3939330B2 - 軌間線寸法測定具および軌間線寸法測定方法 - Google Patents

軌間線寸法測定具および軌間線寸法測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、分岐器の1対の基本レール間の寸法および基本レールの一方と1対のリードレールの一方との間の寸法を測定するための軌間線寸法測定具および軌間線寸法測定方法に関する。
近年、分岐器の管理方法として、軌間線寸法測定の重要性が認識されてきた。図6に示すように、軌間線寸法1a,1bとは、分岐器の1対の基本レール2a,2b間の寸法1aおよび基本レールの一方2aと1対のリードレール3a,3bの一方3aとの間の寸法1bである。この軌間線寸法1a,1bを測定することにより、その測定値と分岐器の設計値とを比較して軌道変位の補修作業を行うことができる。これにより、当初設計に基づく分岐器の保守が可能となり、分岐器の保守精度の向上を図ることができる。
従来、この軌間線寸法の測定は、市販のスケールやメジャーで行われている。
しかしながら、市販のスケールやメジャーを用いた測定では、1対の基本レールのそれぞれの位置に1人ずつ、さらに、一方のリードレールの位置に1人を配置し、スケールやメジャーを押さえて目盛を読むために作業者を少なくとも3人配置する必要があるため、人件費が嵩むという課題があった。また、目盛がゼロの位置をレールに合わせた後、スケールやメジャーをまっすぐに伸ばして測定する必要があるため、測定時間がかかるとともに、作業者によって測定値に誤差が生じやすいという課題もあった。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、人件費の削減、測定時間の短縮および測定精度の向上を図ることができる軌間線寸法測定具および軌間線寸法測定方法を提供することを目的としている。
本発明に係る軌間線寸法測定具は、分岐器の1対の基本レール間の寸法および前記基本レールの一方と1対のリードレールの一方との間の寸法を測定するための軌間線寸法測定具であって、本体と第1基準部材と第2基準部材と第3基準部材と第1表示手段と第2表示手段とを有し、前記本体は細長く伸縮可能に構成され、前記第1基準部材は前記本体の一端にその側部から突出するよう設けられ前記一端の側に第1基準点を有し、前記第2基準部材は前記本体の他端にその側部から前記第1基準部材と同じ側に突出するよう設けられ前記他端の側に第2基準点を有し、前記第3基準部材は前記本体の前記第1基準部材と前記第2基準部材との間に移動可能に設けられ、前記本体の側部から前記第1基準部材と同じ側に突出するよう設けられ前記一端の側に第3基準点を有し、前記第1表示手段は前記第1基準点と前記第2基準点との間の距離を表示する構成を有し、前記第2表示手段は前記第1基準点と前記第3基準点との間の距離を表示する構成を有することを、特徴とする。
本発明に係る軌間線寸法測定方法は、分岐器の1対の基本レール間の寸法および前記基本レールの一方と1対のリードレールの一方との間の寸法を各レールを載せた枕木の位置で測定するための軌間線寸法測定方法であって、本発明に係る軸間線寸法測定具を用い、前記本体を前記枕木の長さ方向に沿った中心線の直上に配置し、前記本体を伸縮させて前記第1基準点を前記基本レールの一方の内側面に、前記第2基準点を前記基本レールの他方の内側面にそれぞれ当接させ、前記第1表示手段により前記第1基準点と前記第2基準点との間の距離を読み取り、前記第3基準部材を前記第1基準部材に近い側のリードレールの内側面に当接させ、前記第2表示手段により前記第1基準点と前記第3基準点との間の距離を読み取ることを、特徴とする。
本発明に係る軌間線寸法測定具および軌間線寸法測定方法は、本体を伸縮させて第1基準部材の第1基準点を基本レールの一方の内側面に、第2基準部材の第2基準点を基本レールの他方の内側面にそれぞれ当接させ、第1表示手段により第1基準点と第2基準点との間の距離を読み取ることにより、分岐器の1対の基本レール間の寸法を測定することができる。さらに、第1基準点をそのままに、第3基準部材を移動させて第1基準部材に近い側のリードレールの内側面に第3基準点を当接させ、第2表示手段により第1基準点と第3基準点との間の距離を読み取ることにより、分岐器の基本レールの一方と1対のリードレールの一方との間の寸法を測定することができる。このように、本体の伸縮および第3基準部材の移動を行うことにより、1人でも容易に軌間線寸法を測定できるため、人件費の削減を図ることができる。また、目盛を各レールに合わせる手間が不要なため、測定時間の短縮を図ることができるとともに、測定値に個人差が生じにくく測定精度の向上を図ることができる。
軌間線寸法の測定は、主に列車の通過が少ない夜間に、1つの分岐器について枕木の位置毎に数十〜百箇所以上で行われることが多い。この数十〜百箇所以上で測定する場合でも、メジャーなどで測定するのに比べて測定が容易なため、疲労が少なく、疲労による誤差を生じにくい。このため、測定精度の向上を図ることができる。
本発明に係る軌間線寸法測定具で、第1表示手段および第2表示手段は、読み取りを容易にするため、測定値をデジタルで表示する構成から成ることが好ましく、また、夜間でも表示を読み取りやすくするよう、表示を照らすライトを有していることが好ましい。
本発明に係る軌間線寸法測定具で、前記本体は複数の筒状部材から成り、各筒状部材はそれぞれ径が異なり、小径のものをより大径のものに順次に入れ子式に組み入れて伸縮可能に構成され、前記第3基準部材は筒体とベアリングとスプリングと位置合せ部材とを有し、前記筒体は前記本体の長さ方向に移動可能にその周囲に設けられ、前記ベアリングは前記筒体の内側に前記スプリングを介して設けられ前記本体に当接して前記筒体を前記本体から弾力的に離しており、前記位置合わせ部材は前記第3基準点を有し前記筒体の外周に突出して設けられていることが好ましい。
この本体が複数の筒状部材から成る構成では、ベアリングが筒体の内側にスプリングを介して設けられ、本体に当接して筒体を本体から弾力的に離しているため、各筒状部材の間の段差を容易に乗り越えて第3基準部材を本体に沿って移動させることができる。また、本体に当接したベアリングの回転により、第3基準部材を本体に沿ってスムーズに移動させることができる。
本発明に係る軌間線寸法測定具で、前記第1基準部材は第1円筒部を有し、前記第1円筒部は中心軸線が前記本体の長さ方向に対し垂直をなして前記本体の側部から突出しその中心軸線を中心として回転可能に設けられ、前記第1円筒部の側部に前記第1基準点を有し、前記第2基準部材は第2円筒部を有し、前記第2円筒部は中心軸線が前記本体の長さ方向に対し垂直をなして前記本体の側部から突出しその中心軸線を中心として回転可能に設けられ、前記第2円筒部の側部に前記第2基準点を有し、前記位置合わせ部材は円筒状をなし、中心軸線が前記本体の長さ方向に対し垂直をなして前記筒体の外周から突出し、その中心軸線を中心として回転可能に設けられ、側部に前記第3基準点を有することが好ましい。
この第1円筒部や第2円筒部を有する構成では、第1基準部材が第1円筒部を有し、第2基準部材が第2円筒部を有し、位置合わせ部材が円筒状をなしているため、各基準部材を基本レールまたはリードレールに当接したとき、その円周上の一点がそれぞれ第1基準点、第2基準点および第3基準点となって各レールに当接する。このため、本体と各レールとの成す角度にかかわらず、第1基準点、第2基準点および第3基準点を各レールに容易に当接させ、軌間線寸法を測定することができる。また、第1円筒部、第2円筒部および位置合わせ部材が中心軸線を中心として回転可能であるため、それぞれを各レールに当接させた状態で回転させることにより、本体を各レールに沿って容易に移動させることができ、測定位置の調整が容易である。
また、本発明に係る軌間線寸法測定具で、前記第1円筒部は外周に同一高さで突出する第1フランジ部を有し、その第1フランジ部の先端に基本レール表面の変形部分を越えて基本レール側面に当接可能に前記第1基準点を有し、前記第2円筒部は外周に同一高さで突出する第2フランジ部を有し、その第2フランジ部の先端に基本レール表面の変形部分を越えて基本レール側面に当接可能に前記第2基準点を有し、前記位置合わせ部材は外周に同一高さで突出する第3フランジ部を有し、その第3フランジ部の先端にリードレール表面の変形部分を越えてリードレール側面に当接可能に前記第3基準点を有することが好ましい。
基本レールおよびリードレールの表面は、長年に渡る列車の通過により、徐々に変形してレールの幅より突出してくる。この第1フランジ部、第2フランジ部および第3フランジ部を有する構成では、各フランジ部により、第1基準点、第2基準点および第3基準点が各レール表面の突出した変形部分を越えて各レールの側面に当接するため、軌間線寸法を正確に測定することができる。
本発明に係る軌間線寸法測定具で、前記第3基準部材は前記本体の周囲に回転可能に設けられていてもよい。この場合、分岐器の基本レールの一方と1対のリードレールの一方との間の寸法を測定する際、第1基準部材の第1基準点を基本レールの一方の内側面に当接させた状態で、第3基準部材を本体の周囲で回転させて本体の上側に位置付け、リードレールにぶつからないよう本体に沿って移動させることができる。このため、第1基準点と第3基準点との間の軌間線寸法の測定を容易にすることができる。
本発明に係る軌間線寸法測定具で、前記本体は絶縁材から成っていることが好ましい。この場合、軌間線寸法の測定時に、各レール間に電気が流れた状態でも、各レール間の短絡や狭絡を防止することができる。また、移動中に、本体が架線に近づきすぎても通電しないため、架線による感電で人身事故が発生するのを防止することができる。
本発明によれば、人件費の削減、測定時間の短縮および測定精度の向上を図ることができる軌間線寸法測定具および軌間線寸法測定方法を提供することができる。
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図5は、本発明の実施の形態の軌間線寸法測定具および軌間線寸法測定方法を示している。
図1乃至図4に示すように、軌間線寸法測定具10は、本体11と第1基準部材12と第2基準部材13と第3基準部材14と第1表示手段15と第2表示手段16とを有している。
図1および図2に示すように、本体11は、絶縁材であるFRP(繊維強化プラスチック)製で、軽く、強度が大きい。本体11は、細長く、それぞれ径が異なる5つの筒状部材11a,11b,11c,11d,11eから成り、筒状部材11a,11b,11c,11d,11eの小径のものをより大径のものに順次に入れ子式に組み入れて伸縮可能に構成されている。本体11は、最大に伸ばしたとき、一端11fの側が最も径が小さく、他端11gに向かって段階的に径が大きくなるようになっている。
第1基準部材12は、第1載置材21と第1円筒部22とを有している。第1載置材21は、絶縁性のナイロン素材から成り、かまぼこ型に形成されて平坦な第1載置面21aを有している。第1載置材21は、第1載置面21aが本体11の長さ方向に対して平行になるよう、本体11の一端11fに接続されている。第1円筒部22は、中心軸線が本体11の長さ方向に対し垂直をなして本体11の側部から突出するよう、第1載置面21aの本体11側の端部に設けられている。第1円筒部22は、その中心軸線を中心として回転可能に設けられ、先端の外周に同一高さで突出する第1フランジ部22aを有している。第1円筒部22は、第1フランジ部22aの先端の、本体11の一端11fの側に第1基準点22bを有している。
第2基準部材13は、第2載置材23と第2円筒部24とを有している。第2載置材23は、絶縁性のナイロン素材から成り、本体11の他端11gに設けられている。第2載置材23は、本体11の長さ方向に対して平行で、かつ第1載置面21aと同じ面内にある矩形状の平坦な第2載置面23aと、第2載置面23aの両縁に沿って第2載置面23aの反対側に垂直に伸びて設けられた1対の側壁部23bとを有している。第2円筒部24は、中心軸線が本体11の長さ方向に対し垂直をなして本体11の側部から第1円筒部22と同じ側に突出するよう、第2載置面23aの中央に設けられている。第2円筒部24は、その中心軸線を中心として回転可能に設けられ、先端の外周に同一高さで突出する第2フランジ部24aを有している。第2円筒部24は、第2フランジ部24aの先端の、本体11の他端11gの側に第2基準点24bを有している。
図1乃至図3に示すように、第3基準部材14は、筒体25とスプリング26とベアリング27と位置合わせ部材28とつまみ29とを有している。筒体25は、絶縁性のナイロン素材から成り、内径が本体11の2番目に外径の小さい筒状部材11bの外径よりも大きく、3番目に外径の小さい筒状部材11cの外径よりも小さい。筒体25は、本体11の長さ方向に沿って、1番外径の小さい筒状部材11aおよび2番目に外径の小さい筒状部材11bの範囲で移動可能に、内側25aに本体11が挿入されてその周囲に回転可能に設けられている。図3に示すように、筒体25は、測定用平坦面25bと測定用窓25cとスプリング用穴25dとを有している。測定用平坦面25bは、筒体25の外側25eの一部を中心軸方向に平行な面で切り取った形状に形成されている。測定用窓25cは、測定用平坦面25bの中央に、筒体25の内側25aまで貫通して設けられている。スプリング用穴25dは、筒体25の内側25aに、円周方向に沿って等間隔で3方向に設けられている。各スプリング用穴25dは、筒体25の中心軸に対して垂直に、内側25aから外側25eに向かって貫通しないよう設けられている。
スプリング26は、各スプリング用穴25dにそれぞれ一つずつ、筒体25の中心軸に対して垂直方向に伸縮可能に設けられている。ベアリング27は、各スプリング用穴25dの径よりわずかに小さい径を有し、筒体25の内側25aの各スプリング用穴25dにスプリング26を介して設けられている。ベアリング27は、スプリング26により付勢されて、筒体25の内側25aから突出しており、本体11に当接して筒体25を本体11から弾力的に離している。
図3に示すように、位置合わせ部材28は、円筒状をなし、中心軸線が本体11の長さ方向に対し垂直をなして筒体25の外側25eから突出するよう、筒体25の測定用平坦面25bに対して反対側の外側25eに設けられている。位置合わせ部材28は、その中心軸線を中心として回転可能に設けられ、先端の外周に同一高さで突出する第3フランジ部28aを有している。位置合わせ部材28は、第3フランジ部28aの先端の、本体11の一端11fの側に第3基準点28bを有している。つまみ29は、球形で、筒体25の測定用平坦面25b側の外側25eに固定されている。
図1および図2に示すように、第1表示手段15は、第1表示部30と巻き尺(図示せず)とを有している。第1表示部30は、第2載置材23の第2載置面23aに対して反対側の各側壁部23bの間にネジ31で固定されている。第1表示部30は、第2載置材23の第2載置面23aに対して反対側に、本体11の一端11fの側に傾いて設けられた第1表示窓30aを有している。巻き尺は、本体11の各筒状部材11a,11b,11c,11d,11eの内側を貫通して設けられ、本体11の一端11fの側にゼロの基準点が固定され、第1表示部30の内部で本体11の伸縮に応じて引き出されたり巻き取られたりするようになっている。第1表示手段15は、巻き尺の位置を調整して、第1表示窓30aに第1基準点22bと第2基準点24bとの間の距離を表示するよう構成されている。
図3および図4に示すように、第2表示手段16は、透明表示板32と目盛33とを有している。透明表示板32は、第3基準部材14の筒体25の測定用平坦面25bにネジ34で固定されている。透明表示板32は、筒体25の測定用窓25cを覆っており、測定用窓25cの位置に本体11の長さ方向に垂直な赤い基準線32aが設けられている。図4に示すように、目盛33は、第1載置材21の第1載置面21aに対して反対側の本体11の表面に設けられ、測定用窓25cを通して目視可能である。第2表示手段16は、目盛33の位置を調整して、透明表示板32の基準線32aの位置に第1基準点22bと第3基準点28bとの間の距離を表示するよう構成されている。
なお、具体的な一例では、軌間線寸法測定具10は、重さが1.76kg、本体11を伸ばした状態の長さが4.092m、本体11を縮めた状態の長さが1.18mである。第1基準点22bと第2基準点24bとの間の距離の最大測定値が3900mm、最小測定値が1044mmである。第1基準点22bと第3基準点28bとの間の距離の最大測定値が1420mm、最小測定値が44mmである。
次に、作用について説明する。
図5に示すように、軌間線寸法測定具10は、分岐器の1対の基本レール間2a,2bの寸法1a、および基本レールの一方2aと1対のリードレール3a,3bの一方3aとの間の寸法1bを、各レール2a,2b,3a,3bを載せた枕木の位置で測定するために、以下のようにして使用される。まず、本体11を枕木の長さ方向に沿った中心線の直上に配置し、本体11を伸縮させて第1基準点22bを基本レールの一方2aの内側面に、第2基準点24bを基本レールの他方2bの内側面にそれぞれ当接させる。このとき、第1基準部材12の第1載置面21aおよび第2基準部材13の第2載置面23aを下にして、各基本レール2a,2bの上面に載せる。第1載置面21aおよび第2載置面23aが平坦であるため、基本レール2a,2bの上に安定して載せることができる。
第1表示手段15により第1基準点22bと第2基準点24bとの間の距離を読み取ることにより、分岐器の1対の基本レール2a,2b間の寸法1aを容易に測定することができる。このとき、第1表示手段15の第1表示窓30aが本体11の一端11fの側に傾いているため、各基本レール2a,2bの間の作業者が測定値を読み取りやすい。
さらに、第1基準点22bをそのままに、第3基準部材14を移動させて第1基準部材12に近い側のリードレール3aの内側面に第3基準点28bを当接させる。このとき、ベアリング27が筒体25の内側25aにスプリング26を介して設けられ、本体11に当接して筒体25を本体11から弾力的に離しているため、各筒状部材11a,11bの間の段差を容易に乗り越えて第3基準部材14を本体11に沿って移動させることができる。また、本体11に当接したベアリング27の回転により、第3基準部材14を本体11に沿ってスムーズに移動させることができる。さらに、第3基準部材14を本体11の周囲で回転させて本体11の上側に位置付け、リードレール3a,3bにぶつからないよう本体11に沿って移動させることができる。
リードレール3aの内側面に第3基準点28bを当接させた後、第2表示手段16により第1基準点22bと第3基準点28bとの間の距離を読み取ることにより、分岐器の基本レールの一方2aとリードレールの一方3aとの間の寸法1bを容易に測定することができる。このとき、第3基準部材14の筒体25の測定用窓25cが真上に向いているため、第3基準部材14を移動させる作業者が測定値を読み取りやすい。
このように、本発明の実施の形態の軌間線寸法測定具10および軌間線寸法測定方法は、本体11の伸縮および第3基準部材14の移動を行うことにより、1人でも容易に軌間線寸法1a,1bを測定できるため、人件費の削減を図ることができる。また、目盛33を各レール2a,2b,3aに合わせる手間が不要なため、測定時間の短縮を図ることができるとともに、測定値に個人差が生じにくく測定精度の向上を図ることができる。
円筒状の第1円筒部22、第2円筒部24、および位置合わせ部材28を基本レール2a,2bまたはリードレール3aに当接したとき、その円周上の一点がそれぞれ第1基準点22b、第2基準点24bおよび第3基準点28bとなって各レール2a,2b,3aに当接する。このため、本体11と各レール2a,2b,3aとの成す角度にかかわらず、第1基準点22b、第2基準点24bおよび第3基準点28bを各レール2a,2b,3aに容易に当接させ、軌間線寸法1a,1bを測定することができる。また、第1円筒部22、第2円筒部24および位置合わせ部材28が中心軸線を中心として回転可能であるため、それぞれを各レール2a,2b,3aに当接させた状態で回転させることにより、本体11を各レール2a,2b,3aに沿って容易に移動させることができ、測定位置の調整が容易である。
本体11、第1基準部材12の第1載置材21、第2基準部材13の第2載置材23、および第3基準部材14の筒体25が絶縁性の素材から成るため、軌間線寸法1a,1bの測定時に、各レール2a,2b,3a,3b間に電気が流れた状態でも、各レール2a,2b,3a,3b間の短絡や狭絡を防止することができる。また、移動中に、本体11が架線に近づきすぎても通電しないため、架線による感電で人身事故が発生するのを防止することができる。
基本レール2a,2bおよびリードレール3a,3bの表面は、長年に渡る列車の通過により、徐々に変形してレール2a,2b,3a,3bの幅より突出してくる。軌間線寸法測定具10は、第1フランジ部22a、第2フランジ部24aおよび第3フランジ部28aにより、第1基準点22b、第2基準点24bおよび第3基準点28bが各レール2a,2b,3a表面の突出した変形部分を越えて各レール2a,2b,3aの側面に当接するため、軌間線寸法1a,1bを正確に測定することができる。
軌間線寸法1a,1bの測定は、主に列車の通過が少ない夜間に、1つの分岐器について枕木の位置毎に数十〜百箇所以上で行われることが多い。この数十〜百箇所以上で測定する場合でも、メジャーなどで測定するのに比べて測定が容易なため、疲労が少なく、疲労による誤差を生じにくい。このため、測定精度の向上を図ることができる。
なお、第3基準部材14は、筒体25の測定用平坦面25bに対して反対側の外側25eが平坦に形成されていてもよい。この場合、その平坦面を下にして、第3基準部材14をリードレール3aの上に安定して載せ、軌間線寸法1bの測定を行うことができる。
また、第1円筒部22または第2円筒部24は、基本レール2a,2bに対し本体11が垂直をなすように当接するための当て具を有していてもよい。
本発明の実施の形態の軌間線寸法測定具の本体を伸ばした状態を示す(a)平面図、(b)正面図である。 図1に示す軌間線寸法測定具の本体を縮めた状態を示す正面図である。 図1に示す軌間線寸法測定具の第3基準部材を示す(a)平面図、(b)左側面図、(c)正面図である。 図1に示す軌間線寸法測定具の第3基準部材および第2表示手段を示す平面図である。 図1に示す軌間線寸法測定具の使用状態を示す正面図である。 分岐器の軌間線寸法を示す(a)断面端図、(b)平面図である。
符号の説明
1a,1b 軌間線寸法
2a,2b 基本レール
3a,3b リードレール
10 軌間線寸法測定具
11 本体
11a,11b,11c,11d,11e 筒状部材
11f 一端
11g 他端
12 第1基準部材
13 第2基準部材
14 第3基準部材
15 第1表示手段
16 第2表示手段
21 第1載置材
21a 第1載置面
22 第1円筒部
22a 第1フランジ部
22b 第1基準点
23 第2載置材
23a 第2載置面
23b 側壁部
24 第2円筒部
24a 第2フランジ部
24b 第2基準点
25 筒体
25a 内側
25b 測定用平坦面
25c 測定用窓
25d スプリング用穴
25e 外側
26 スプリング
27 ベアリング
28 位置合わせ部材
28a 第3フランジ部
28b 第3基準点
29 つまみ
30 第1表示部
30a 第1表示窓
32 透明表示板
32a 基準線
33 目盛

Claims (7)

  1. 分岐器の1対の基本レール間の寸法および前記基本レールの一方と1対のリードレールの一方との間の寸法を測定するための軌間線寸法測定具であって、
    本体と第1基準部材と第2基準部材と第3基準部材と第1表示手段と第2表示手段とを有し、
    前記本体は細長く伸縮可能に構成され、
    前記第1基準部材は前記本体の一端にその側部から突出するよう設けられ前記一端の側に第1基準点を有し、
    前記第2基準部材は前記本体の他端にその側部から前記第1基準部材と同じ側に突出するよう設けられ前記他端の側に第2基準点を有し、
    前記第3基準部材は前記本体の前記第1基準部材と前記第2基準部材との間に移動可能に設けられ、前記本体の側部から前記第1基準部材と同じ側に突出するよう設けられ前記一端の側に第3基準点を有し、
    前記第1表示手段は前記第1基準点と前記第2基準点との間の距離を表示する構成を有し、
    前記第2表示手段は前記第1基準点と前記第3基準点との間の距離を表示する構成を有することを、
    特徴とする軌間線寸法測定具。
  2. 前記本体は複数の筒状部材から成り、各筒状部材はそれぞれ径が異なり、小径のものをより大径のものに順次に入れ子式に組み入れて伸縮可能に構成され、
    前記第3基準部材は筒体とベアリングとスプリングと位置合せ部材とを有し、
    前記筒体は前記本体の長さ方向に移動可能にその周囲に設けられ、前記ベアリングは前記筒体の内側に前記スプリングを介して設けられ前記本体に当接して前記筒体を前記本体から弾力的に離しており、前記位置合わせ部材は前記第3基準点を有し前記筒体の外周に突出して設けられていることを、
    特徴とする請求項1記載の軌間線寸法測定具。
  3. 前記第1基準部材は第1円筒部を有し、前記第1円筒部は中心軸線が前記本体の長さ方向に対し垂直をなして前記本体の側部から突出しその中心軸線を中心として回転可能に設けられ、前記第1円筒部の側部に前記第1基準点を有し、
    前記第2基準部材は第2円筒部を有し、前記第2円筒部は中心軸線が前記本体の長さ方向に対し垂直をなして前記本体の側部から突出しその中心軸線を中心として回転可能に設けられ、前記第2円筒部の側部に前記第2基準点を有し、
    前記位置合わせ部材は円筒状をなし、中心軸線が前記本体の長さ方向に対し垂直をなして前記筒体の外周から突出し、その中心軸線を中心として回転可能に設けられ、側部に前記第3基準点を有することを、
    特徴とする請求項2記載の軌間線寸法測定具。
  4. 前記第1円筒部は外周に同一高さで突出する第1フランジ部を有し、その第1フランジ部の先端に基本レール表面の変形部分を越えて基本レール側面に当接可能に前記第1基準点を有し、
    前記第2円筒部は外周に同一高さで突出する第2フランジ部を有し、その第2フランジ部の先端に基本レール表面の変形部分を越えて基本レール側面に当接可能に前記第2基準点を有し、
    前記位置合わせ部材は外周に同一高さで突出する第3フランジ部を有し、その第3フランジ部の先端にリードレール表面の変形部分を越えてリードレール側面に当接可能に前記第3基準点を有することを、
    特徴とする請求項3記載の軌間線寸法測定具。
  5. 前記第3基準部材は前記本体の周囲に回転可能に設けられていることを特徴とする請求項1,2,3または4記載の軌間線寸法測定具。
  6. 前記本体は絶縁材から成ることを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載の軌間線寸法測定具。
  7. 分岐器の1対の基本レール間の寸法および前記基本レールの一方と1対のリードレールの一方との間の寸法を各レールを載せた枕木の位置で測定するための軌間線寸法測定方法であって、
    請求項1,2,3,4,5または6記載の軸間線寸法測定具を用い、
    前記本体を前記枕木の長さ方向に沿った中心線の直上に配置し、前記本体を伸縮させて前記第1基準点を前記基本レールの一方の内側面に、前記第2基準点を前記基本レールの他方の内側面にそれぞれ当接させ、前記第1表示手段により前記第1基準点と前記第2基準点との間の距離を読み取り、前記第3基準部材を前記第1基準部材に近い側のリードレールの内側面に当接させ、前記第2表示手段により前記第1基準点と前記第3基準点との間の距離を読み取ることを、特徴とする軌間線寸法測定方法。
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