JP3939218B2 - 鉄道先頭車両用車体及びこれを用いた鉄道先頭車両 - Google Patents

鉄道先頭車両用車体及びこれを用いた鉄道先頭車両 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、高速走行する新幹線等の鉄道先頭車両用車体及びこれを用いた鉄道先頭車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、新幹線などの高速の鉄道車両がトンネルに突入する場合には、その先頭車両によって、トンネル内の限られた空間に存在する空気を押し込むように前記空気が圧縮される。この圧縮された空気が圧縮波となってトンネル内をほぼ音速に等しい速度で前方へ伝播される。そして、この圧縮波はトンネルの出口に到達したときには出口で反射されるが、それの一部はパルス状の圧力波となってトンネル出口から外部へ放射される。このパルス状の圧力波を、微気圧波(トンネル微気圧波)という。この微気圧波(パルス状の圧力波)が外部へ放射されることにより、トンネルの出口付近では爆発音とともに微振動等が生じ、周辺の環境に影響を及ぼす場合がある。
【0003】
そのため、高速性能が要求される鉄道車両では、先頭車両の車体先頭部の形状に、いわゆる高速走行時の走行抵抗を減少させるだけでなく、前述したところのトンネルに突入した際に生じる微気圧波を低減させることができる形状とすることが必要とされる。
【0004】
近年、そのような微気圧波を低減させる先頭車両の車体形状がいくつか提案されている。
(1)例えば特開平7−89439号公報には、横断面積が一定の胴部に接合する接合部から最先端に至る先頭領域を尖らせ、先頭領域の上面側へ突出する運転室窓部(キャノピー)の前後の長さを、先頭領域の前後長さより短くし、運転室窓部の突設根元部に連接する上方肩部の横断面積を、上方肩部に隣接する隣接肩部の横断面積より小さくし、前記先頭領域における最先端寄りの横断面積急変域を除く領域のスカート部または仮想スカート部を含む横断面積を、接合部から最先端へ向かっていく程に正比例に減少させた構造に先頭部の車体を構成するものが記載されている。
(2)例えば特開平8−198105号公報には、車体先端から車体前後方向における車体横断面積が増大する先頭部を有した鉄道車両において、先頭部を先端領域と中間領域とから構成し、先端領域は最大車体横断面積の半分の断面積に相当する位置よりも先端側とし、中間領域は該先端領域よりも車体長手方向他端側とし、前記中間領域は一定の断面積変化率によって車体横断面積が変化し、かつ前記先端領域の断面積変化率を中間領域の断面積変化率よりも大きくするものである。この技術においては、前記中間領域に運転室を配置しており、この運転室部前面窓の傾斜角度を前方注視に支障のない角度としており、前記運転室前面窓の両側方部分より下方に凹み部を形成するものが記載されている。
【0005】
しかしながら、前記公報に記載の両技術は、次の点で大きな課題を有する。すなわち、
第1に、いずれの技術も先頭部の横断面積の変化が先頭車両の車体先端から後方の接合部(一般断面部あるいは最大横断面積部との接合部)にかけて車体横断面積が連続して緩やかに増大するように、先端から後方にかけてやや上方に傾斜する曲面形状に形成するとともに、その傾斜曲面部分が車体前後方向にできるだけ長くなるように先端部をノーズ状に延ばしている。このため、実際の車体形状の製作に際しては、骨組みに溶接等により張り付ける板金を、ハンマー等で打ち出すことによって凹凸部などの複雑な形状を形成しているので、作業に熟練を要することはもとより、多大な時間がかかって生産性が非常に低く、製造コストが極めて高くなるうえに、車体先頭部の車体前後方向において占める長さが長くなるため、車室が制限され、乗車定員が減少する。
【0006】
第2に、いずれの発明も先頭部の横断面積の変化が先頭車両の車体先端から後方の接合部にかけて直線的(正比例)に連続している。このため、鉄道車両がトンネル内に突入したときの、トンネル内のある位置における圧力変化は、圧力勾配が緩やかになっているとしても漸次高くなっている。一方、トンネル内を伝播する圧縮波の速度(音速に近い)は、圧力が上昇するのにしたがって速くなるから、トンネルの距離がある程度長くなると、せっかく車体の先頭部形状を工夫したことによって圧縮波の圧力を分散したにも拘わらず、分散された圧力がトンネルの出口では集合されて一度に大きな圧力のパルス状圧力波(微気圧波)となって外部へ放射され、トンネルの出口周辺において大きな爆発音が発生したり、振動等が生じたりするおそれがある。
【0007】
そこで、出願人は、鉄道車両がトンネル内に突入する場合に、トンネルと車両によって発生する微気圧波を分散させて低減するための鉄道先頭車両の車体形状を先に提案している(特開平11−321640号公報参照)。具体的には、車体の先端部分をやや後方に傾斜させて上方に立ち上げることにより第1段目の横断面積増加領域を形成した後、横断面積をほぼ一定に保ってほぼ水平に後方に延設した後、再びやや後方に傾斜させて上方に立ち上げることにより第2段目の横断面積増加領域を形成し、前記第1段目の横断面積/前記第2段目の横断面積の面積比が0.6以上で、前記第1段目と第2段目の横断面積増加領域の間隔を15m以上にしたものである。
【0008】
しかしながら、このような構成にすると、微気圧波の低減に効果があるとしても、そのために前記第1段目と第2段目の横断面積増加領域の間隔を15m以上にする必要があり、車両の先頭部分の長さが長くなってしまう。
【0009】
そのため、車両の長さをあまり長くすることなく、すなわち前記第1段目と第2段目の横断面積増加領域の間隔をあまり広くすることなく、微気圧波の低減効果を得たいという要求がある。
【0010】
その一方、現在高速走行している車両の一つとして、前記第1段目と第2段目の横断面積増加領域の間隔が9.2m程度で、走行速度が255km/hの性能を有するもの(以下、従来の車体形状という)が知られており、さらに走行速度を30km/h速めて、走行速度285km/hでもって高速走行したいという要求がある。
【0011】
そして、発明者らは、走行速度285km/hでもって高速走行することを検討する際に、前記第1段目と第2段目の横断面積増加領域の間隔をあまり広くすることなく、微気圧波の低減効果を得るべく研究開発を進めたところ、発明者らは、このような車体形状を考える場合に、組み合せが多すぎて解き方がまったく分からない問題でも比較的スムーズに最適解を求めることができる遺伝的アルゴリズム(GA:Genetic Algorithm)が、最適化設計手法として最も適していることを知見した。
【0012】
ここで、遺伝的アルゴリズムとは、ミシガン大学のJ・ホランドによって1975年に提案され発展してきたもので、メンデルの法則やダーウィンの進化論で示されている自然界の自然淘汰(進化)の過程そのもの、すなわち生物が遺伝子を組み換えながら進化する「進化過程」をモデル化し、最適化問題の解法に応用した確率的アルゴリズムである。つまり、遺伝子に見立てた複数の個体(解の候補)からなる集団を用いて、解の候補を次々に組み換えて最適解を探索する計算手法である。GAでは、解の候補をビット列に置き換える。ビット列の解釈を与えるのが適応度関数である。その関数は各ビット列に対して、与えられた問題空間におけるその問題の強さ(適応度)を与える。次にビット列を部分的に入れ替える「交叉」や、確率的に選んだ適当なビットを反転させる「突然変異」の処理を施す。その中から所定の条件を満たす(適応度の高い)解の候補だけを取捨選択して、同様の操作を繰り返す。環境に適応した生物だけが生き残れるように、条件を満たす解の候補が自動的に作成できるようになっている。
【0013】
そこで、発明者らは、理想的な鉄道車両の先頭車体について、最適な車体形状を得るために、従来までの形状設計に関する試行錯誤的な手法から、数値流体解析(CFD解析)と最適化設計手法(遺伝的アルゴリズム)を組み合わせて、数値的に微気圧波が低減する最適先頭形状(最適断面積分布)を研究したところ、車両の長さをあまり長くすることなく、高速車両がトンネルに突入する際に生ずる微気圧波を低減することができる鉄道先頭車両用車体を開発した。具体的には、先頭部分より横断面積が最大でほぼ一様となる一般部分に至るまでに、横断面積が車体前後方向に沿って変化する鉄道先頭車両用車体であって、前記先頭部分と、前記一般部分の直前の部分に、先頭側から後端側に向かって横断面積が大きくなる方向に大きく変化する前側及び後側の断面積増加領域を設け、前記前側の断面積増加領域と後側の断面積増加領域とは、断面積増加率が2.0m2/m程度であり、前記両領域の間の部分は、断面積増加率が0.3m2/m程度であり、かつ前記一般部分の横断面積に対する面積比が0.6程度である中間断面積増加領域としたものである(以下、GAによる車体形状という)。
【0014】
この車体(車体形状)は、従来の形状設計に関する試行錯誤的な手法ではなく、CFDと最適化設計手法(遺伝的アルゴリズム)を組み合わせて、数値的に微気圧波が低減する最適先頭形状(最適断面積分布)を求める設計技術を適用して求めたものである。
【0015】
具体的には、「人口」と呼ばれる解の集団を作り、これを構成する「個体」(設計変数を一組有するもの)と呼ばれる解候補群が「選択」「交叉」、そして「突然変異」というプロセスを繰り返しながら最適解へと収束していくものである。基本的なフローチャートは、図9に示す通りで、まず、設計空間内でランダムに設計変数を発生し(ステップS1)、初期集団内の固体を評価し、成績の善し悪しを判断する(ステップS2)。それから、成績の良いもの(親)を優先的に選択し(ステップS3)、成績の良い2つの”親”から、重み付けを使って”子”を作成し(ステップS4)、”子”に対し、設計空間内で攪乱を付加する(ステップS5)。それから、作成された”子”を評価し、成績の善し悪しを判断し(ステップS6)、評価が最適であれば、最適解とし(ステップS7)、最適でなければ、ステップS3に戻る。
【0016】
前記最適化手法を用いて得られた車体形状(GAによる車体形状)の最適断面積分布を、図10に二点鎖線で示す従来の車体形状についての断面積分布である初期断面積分布(図10破線参照)と一緒に図10に示す。
【0017】
図10において、一般部分の横断面積がほぼ11m2程度で、先頭部分の緩やかな部分(中間断面積増加領域のほぼ中間点)の横断面積はほぼ6.5m2程度で、その比は0.59であり、0.6程度である。そして、図10より、前記前側の断面積増加領域と後側の断面積増加領域との断面積増加率は2m2/m程度(直線L11,L12参照)であり、前記中間断面積増加領域の断面積増加率は、0.3m2/m程度(直線L2参照)であることがわかる。ここで、断面積増加率は、各増加領域での変化を直線的変化であるとみなして求めたものである。
【0018】
具体的に説明すると、非定常、軸対称、圧縮性および非粘性を仮定した数値流体解析(CFD解析)を用いた。ここで、最適断面積分布形状を求めるための計算条件は、列車速度:285km/h,列車/トンネル断面積比:0.173とした。また、先頭部分(先頭長さ9.2m)における断面積分布のみ変化させ、一般部分の断面積分布は一定とした。
(1)基礎方程式:2次元軸対称圧縮性オイラー方程式
(2)空間離散化:非構造格子法によるセルセンター型有限体積法
(3)収束計算;基本変数のMUSCL+SHUS(Simple High resolutionUpwind Scheme)による高精度風上法
(4)時間積分:MFGS(Mtrix Free Gauss Seidel)陰解法
(5)解析手順
▲1▼非定常計算の初期条件を得るために、障害物のない、いわゆる明かり区間において定常計算による収束解を求める。
▲2▼▲1▼で求めた結果を初期条件に、トンネル突入による非定常計算を行う。トンネルと鉄道車両(以下列車という)の間に相対的な運動が発生するため、計算領域を、図11に示すように、トンネルを含む領域P11、列車を含む領域P12との2つに分類し、それらを相対的に移動させて計算を進めた。
▲3▼圧力変化の観測点×はトンネル入り口から80mの地点のトンネル内壁上とした。
【0019】
図12に、前記最適化手法による微気圧波の低減効果を示す。ここで、従来の車両(前側及び後側の横断面積増加領域の間隔が9.2m程度で、走行速度が285km/hの性能を有するもの、図10の破線参照)を基準の車体形状として、その圧力勾配(dp/dt)の最大値を1とし、指数化して、評価値として表示した。なお、形状の連続性を考慮して、ベジェ曲線で平滑化した。
【0020】
この結果から、CFDと最適化設計手法(遺伝的アルゴリズム)を組み合わせて、数値的に微気圧波が低減する最適先頭形状(最適断面積分布)を求める設計技術を適用して得られた前述したところの先頭車両の車体形状によれば、世代が進むにつれて評価値が下がり、微気圧波の低減の程度が大きくなっているのがわかる。そして、10世代以降の形状であれば、評価値がほぼ0.85となり、微気圧波が、初期形状に比べて約15%程度低減していることがわかる。
【0021】
よって、先頭部分と、前記一般部分の直前の部分に、先頭側から後端側に向かって横断面積が大きくなる方向に大きく変化する前側及び後側の断面積増加領域を設け、前記前側の断面積増加領域と後側の断面積増加領域とは、断面積増加率が2.0m2/m程度であり、前記両領域の間の部分は、前記前側及び後側の断面積増加領域よりも断面積増加率が0.3m2/m程度であり、かつ前記一般部分の横断面積に対する面積比が0.6程度である中間断面積増加領域としたことにより、先頭部がトンネルに突入する際に生じる微気圧波(圧力上昇)は低減されるといえる。
【0022】
続いて、前記横断面積分布の車体について、微気圧波の低減作用が生じる根拠を、計算に基づいて説明する。
【0023】
計算条件について詳しく説明すると、非定常、軸対称、圧縮性および非粘性を仮定した数値流体解析(CFD解析)を用いた。ここで、最適断面積分布形状を求めるための計算条件は、列車速度:285km/h,列車/トンネル断面積比:0.173とした。また、先頭部分(先頭長さ9.2m)における断面積分布のみ変化させ、一般部分の断面積分布は一定とした。
(1)基礎方程式:2次元軸対称圧縮性オイラー方程式
(2)空間離散化:非構造格子法によるセルセンター型有限体積法
(3)収束計算;基本変数のMUSCL+SHUS(Simple High resolution Upwind Scheme)による高精度風上法
(4)時間積分:MFGS(Matrix Free Gauss Seidel)陰解法
(5)解析手順
▲1▼非定常計算の初期条件を得るために、障害物のないいわゆる明かり区間において定常計算による収束解を求める。
▲2▼▲1▼で求めた結果を初期条件に、トンネル突入による非定常計算を行う。トンネルと鉄道車両(列車という)の間に相対的な運動が発生するため、計算領域を、図11に示すように、トンネルを含む領域P11、列車を含む領域P12との2つに分類し、それらを相対的に移動させて計算を進めた。
▲3▼圧力変化の観測点×はトンネル入り口から80mの地点のトンネル内壁上とした。
【0024】
図12に、前記最適化手法による微気圧波の低減効果を示す。ここで、従来の車両(前側及び後側の横断面積増加領域の間隔が9.2m程度で、走行速度が285km/hの性能を有するもの、図10の破線参照)を基準の車体形状として、その圧力勾配(dp/dt)の最大値を1とし、指数化して、評価値として表示した。なお、形状の連続性を考慮して、ベジェ曲線で平滑化した。
【0025】
この結果から、CFDと最適化設計手法(遺伝的アルゴリズム)を組み合わせて、数値的に微気圧波が低減する最適先頭形状(最適断面積分布)を求める設計技術を適用して得られた前述したところの先頭車両の車体形状によれば、世代が進むにつれて評価値が下がり、微気圧波の低減の程度が大きくなっているのがわかる。そして、10世代以降の形状であれば、評価値がほぼ0.85となり、微気圧波が、初期形状に比べて約15%程度低減していることがわかる。
【0026】
よって、先頭部分と、前記一般部分の直前の部分に、先頭側から後端側に向かって横断面積が大きくなる方向に大きく変化する前側及び後側の断面積増加領域を設け、前記前側の断面積増加領域と後側の断面積増加領域とは、断面積増加率が2.0m2/m程度であり、前記両領域の間の部分は、前記前側及び後側の断面積増加領域よりも断面積増加率が0.3m2/m程度であり、かつ前記一般部分の横断面積に対する面積比が0.6程度である中間断面積増加領域としたことにより、先頭部がトンネルに突入する際に生じる圧縮波(圧力上昇)は低減されるといえる。
【0027】
そして、具体的には図13〜図16に示すように、そのような鉄道先頭車両の先頭部分における各種機器の配置がなされる。
【0028】
車体1の前側の断面積増加領域Z11’の後側部分に連続する中間断面積増加領域Z2の後側部分付近に運転室風防21’が配設され、この運転室風防21’が、運転室の上側に位置し、運転席31の上側を覆うようになっている。運転席31は、車両中心より若干左側寄りに配設され、ほぼ中央前方に運転情報制御装置32を配置している。運転室の左側部には、高さの低い運転台配電器33が設けられている。なお、運転席31の側部には、運転指令操作盤35が設けられている。
【0029】
前記中間断面積増加領域Z2の後側部分及び前記一般部分Z3の前側部分に、車両左右方向に延びる前側及び後側の横通路22’,23’がそれぞれ形成されている。前記両横通路22’,23’が、車両左右方向に一側において車両前後方向に延びる縦通路24’でもって接続されている。前記前側及び後側の横通路22’,23’の左右両側に乗降用扉25’,26が開閉可能に配設されている。
【0030】
前記縦通路24’の一側部分であって後側の横通路23’の前側部分に、縦通路24’、自動列車制御装置(ATC)47が配設されている。また、後側の横通路23’の後側には、それらの部分の高さに応じて、各種機器が配置されている。すなわち、右側にはデータ伝送装置44が設けられ、左側には中央側から端子架45、データ伝送装置46及び信号制御架43が順に配設されている。
【0031】
また、前側の横通路22’の右前側には総括配電盤42が配設され、それのさらに前側にモニタ中央装置41が配設されている。一方、前側の横通路22’の左前側には送受信架49が配設されている。なお、運転室の前方には、気圧スイッチ34と共に、補助ブレーキパタン発生器51および車内圧開放弁52が設けられている。
【0032】
よって、このようなレイアウトにより、微気圧波を低減することができる形状において、横断面積の変化にもかかわらず、運転室風防21’、モニタ中央装置41、自動列車制御装置47及び総括配電盤42などの各種機器のレイアウトが無理なく実現され、運転士の乗降もスムーズに行える。すなわち、運転室の後側に、左右両側に乗降用扉25’が設けられた前側の横通路22’を設け、それのさらに後側に各種機器を配置するようにしているので、運転士が乗降する際に、十分な通過スペースでもって乗降することができる。
【0033】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、そのような車体形状としても、断面積が必要な運転席近傍(先頭から6m付近)の断面積が小さく、運転室の容積を十分に確保できず、機器の自由な配置のために十分なスペースを確保することはが困難である。
【0034】
ところで、微気圧波の数値シミュレーション解析により、微気圧波の大きさの指針となる圧力勾配指数(圧力勾配dp/dtと基準となる圧力勾配dp0/dt0との比)は、ほぼ断面積分布の増減率に比例するものと考えられる。即ち、GAによる形状では、先頭部分の立ち上がり(後述の図6の▲1▼参照)、一般部分への立ち上がり(図6の▲2▼参照)に対応して、2つの山(ピーク値)が発生する。また、この圧力勾配指数のピーク値が最大値を決めると考えられ、断面積増加領域を2つ設けたGAによる形状で、そのような断面積増加領域が1つである従来の形状よりもピーク値自体も低下している。
【0035】
そこで、発明者は、前述した断面積増加領域を2つよりもさらに数を増せば、圧力勾配指数のピーク値の数も増え、そのピーク値自体もさらに低下するものと予測されることから、前側および後側の断面積増加領域の間に、もう一つの断面積増加領域を運転室に対応する部位に設ければ、微気圧波に影響を与える圧力勾配指数のピーク値を下げることができる共に運転室の容積も大きくすることができるとの着想に基づき、微気圧波を低減できるだけでなく、運転室の容積を確保して機器配置上も好ましい本発明を開発するに至ったものである。
【0036】
本発明は、微気圧波の低減効果を維持して、運転室の容積を余裕を持って確保することができる鉄道先頭車両の車体構造及びこれを用いた鉄道先頭車両を提供するものである。
【0037】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、先頭部分より、横断面積が最大でほぼ一様となる一般部分に至るまでに、横断面積が車体前後方向に沿って変化する鉄道先頭車両の車体構造であって、前記先頭部分から前記一般部分に至るまでの間に、先頭側から後端側に向かって横断面積が大きくなる方向に大きく変化する前側及び後側の断面積増加領域を備え、それらの領域の間に、前記前側および後側の断面積増加領域よりも断面積増加率が小さい中間断面積増加領域を設け、前記前側、中間および後側の断面積増加領域がなめらかに連続するように接続し、さらに、前記中間断面積増加領域の前半部分の断面積増加率が後半部分のそれより大きくするとともに、前記後半部分に運転室を配設する構成とし、前記前側および後側の断面積増加領域の断面積増加率がそれぞれ6.0m2/mおよび2.0m2/mであり、
前記中間断面積増加領域は、前半部分の断面積増加率が1.0m2/mであり、後半部分の断面積増加率が0.5m2/mであり、前記前側断面積増加領域から前記中間断面積増加領域にかけて、車体幅が徐々に広くなって前記一般部分の車体幅とほぼ等しい幅となり、前記前側断面積増加領域から前記中間断面積増加領域まではほぼ同じ高さで、前記中間断面積増加領域から後側断面積増加領域にかけて徐々に高くなる形状とされることを特徴とする。
【0038】
このようにすれば、先頭側から後端側に向かって横断面積が大きくなる方向に大きく変化する前側及び後側の断面積増加領域を、車体前後方向に沿って間隔を存して設け、それらの間に、前半部分の断面積増加率が後半部分のそれより大きい中間の断面積増加領域を設けることで、微気圧波の低減効果を維持して、運転席近傍(運転室)の断面積、すなわち運転室の容積が余裕を持って確保される。よって、運転室での機器配置の自由度が高められ、無理のない機器配置が実現される。
また、微気圧波を低減することができる形状において、車体幅方向中央部にほぼ運転室の幅に相当する幅を有する突部を設けることで、前述した断面積増加率の関係を達成できる形状を無理なく形成することができる。
【0040】
また、請求項2に記載のように、前記前側、中間および後側の断面積増加領域は、前記一般部分の横断面積に対する面積比がそれぞれ0〜0.28、0.47〜0.75、0.83〜1.0の範囲で変化するように構成することで、請求項1に記載の車体形状が無理なく実現される。
【0041】
特に、前記前側、中間および後側の断面積増加領域の断面積増加率がそれぞれほぼ6.0m2/m、ほぼ1.0m2/m(前半部分)、ほぼ0.5m2/m(後半部分)、ほぼ2.0m2/mであり、前記前側、中間および後側の断面積増加領域は、前記一般部分の横断面積に対する面積比がそれぞれ0〜0.28、0.47〜0.75、0.83〜1.0の範囲であるようにしているので、従来の車両に比べて、微気圧波の目安となる圧力勾配指数が30%程度低減される。
【0044】
請求項に記載のように、請求項1または2に記載の鉄道先頭車両用車体を用いた鉄道先頭車両であって、前記後側断面積増加領域に、車両左右方向に延びる前側及び後側の横通路を形成し、前記両横通路を、車両左右方向に一側において車両前後方向に延び前記運転室に連通する縦通路でもって接続し、前記前側及び後側の横通路の左右両側に乗降用扉を配設し、前記縦通路の左右両側部分及び横通路の前後側部分に、各種機器を配置した構成とすることができる。ここで、「前記縦通路の左右両側部分及び横通路の前後側部分に、各種機器を配置した」とは、縦通路の左右両側部分及び横通路の前後側部分のすべての部分に各種機器を配置するという意味ではなく、それらの部分のうち各種機器が配置されていない部分がある場合も含まれる。
【0045】
このようにすれば、微気圧波を低減することができる形状において、横断面積の変化にもかかわらず、運転室風防、モニタ中央装置、自動列車制御装置及び総括配電盤などの各種機器のレイアウトが無理なく実現され、また、縦通路の左右両側部分及び横通路の前後側部分に、それらの部分の高さに応じて、各種機器を配置するようにしているので、運転士が乗降する際に、各種機器が配置されている部分を通過することなく、乗降することができ、運転士の乗降もスムーズに行える。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0047】
図1は本発明に係る実施の形態の一例である鉄道先頭車両の基本形状を示す側面図、図2は同平面図、図3および図4は図1のA−A線およびB−B線における断面図である。
【0048】
図1及び図2に示すように、車体1の前側の断面積増加領域Z11に続く、断面積変化率の緩やかな前記中間断面積増加領域Z12に運転室風防21が配設され、この運転室風防21が、運転室の上側に位置し、運転席31の上側を覆うようになっている。運転席31は、車両中心より若干左側寄りに配設され、右側前方に運転情報制御装置32を配置している。運転室の左側部には、高さの低い運転台配電器33及び気圧スイッチ34が設けられている。なお、運転席31の側部には、運転指令操作盤35が設けられている。
【0049】
前記中間断面積増加領域Z12の後側部分及び前記一般部分Z2の前側部分に、車両左右方向に延びる前側及び後側の横通路22,23がそれぞれ形成されている。前記両横通路22,23が、車両左右方向に一側において車両前後方向に延びる縦通路24でもって接続されている。前記前側及び後側の横通路22,23の左右両側に乗降用扉25,26が開閉可能に配設されている。
【0050】
前記縦通路24の左右両側部分及び後側の横通路23の前側部分に、それらの部分の高さに応じて、各種機器が配置されている。すなわち、縦通路24の右側にはモニタ中央装置41及び総括配電盤42が、左側には信号制御架43、データ伝送装置44,端子架45及びデータ伝送装置46がそれぞれ配設されている。また、後側の横通路23の前側には、自動列車制御装置(ATC)47が配設され、その前方に構内防護架48及び送受信架49が配設されている。なお、51は補助ブレーキパタン発生器、52は車内圧開放弁である。
【0051】
よって、このようなレイアウトにより、微気圧波を低減することができる形状において、横断面積の変化にもかかわらず、運転室風防21、モニタ中央装置41、自動列車制御装置47及び総括配電盤42などの各種機器のレイアウトが無理なく実現され、運転士の乗降もスムーズに行える。すなわち、運転室の後側に、左右両側に乗降用扉25が設けられた前側の横通路22を設け、それのさらに後側に各種機器を配置するようにしているので、運転士が乗降する際に、各種機器が配置されている部分を通過することなく、乗降することができる。
【0052】
本例の車体1は、平面視では従来の新幹線用先頭車両の車体と同じようなほぼ弾丸形の流線形状からなっており、側面視においては車体1の上側部分が変化し、先頭側から後端側に向かって高さが変化するように横断面積が大きくなる方向に大きく変化する3つの断面積増加領域すなわち前側、中間及び後側の断面積増加領域Z11,Z12,Z13を設けて、横断面積を前後方向において3段階でもって大きく変化させ、横断面積が最大でほぼ一様となる一般部分Z2に至っている。
【0053】
このように、車体1の横断面積が車体前後方向に沿って変化しているが、前記前側、中間および後側の断面積増加領域Z11,Z12,Z13の断面積増加率がそれぞれほぼ6.0m2/m、ほぼ1.0m2/m(前半部分)、ほぼ0.5m2/m(後半部分)、ほぼ2.0m2/mであり、前記前側、中間および後側の断面積増加領域Z11,Z12,Z13は、前記一般部分の横断面積に対する面積比がそれぞれ0〜0.28、0.47〜0.75、0.83〜1.0の範囲とされている。
【0054】
このような断面積分布を満たすために、前記車体1は、前記前側の断面積増加領域Z11から前記中間断面積増加領域Z12の中間部分付近まで、車体幅方向中央部にほぼ運転室の幅に相当する幅を有し徐々に高さが高くなることで横断面積が増加する突部1aが形成され、前記突部1aが、前記中間断面積増加領域Z2の中間部分付近から、後側の断面積増加領域Z12において上方向及び左右方向に膨らむことで横断面積がさらに増加し、前記一般部分Z3の高さ及び幅に等しくなるように形成されている。
【0055】
前述したように、前記車体形状(車体1)は、従来まで用いられていた形状設計に関する試行錯誤的な手法ではなく、CFDと最適化設計手法(遺伝的アルゴリズム)を組み合わせて、数値的に微気圧波が低減する最適先頭形状(最適断面積分布)を求める設計技術を適用して求め、それに修正を加えたものである。
【0056】
前記CFDおよび最適化手法を用いて得られた車体形状に修正を加えた車体形状の最適断面積分布を、図1に二点鎖線で示す従来の車体形状についての断面積分布である初期断面積分布(図5破線参照)と一緒に図5に示し、これを具体化したものが前記図1〜図4に示す車体形状である。
【0057】
図5において、先頭長さが11.5mである先頭部分において横断面積が車体前後方向に沿って変化し、横断面積が最大でほぼ10.5m2程度で一様になる一般部分に至っている。
【0058】
前記先頭部分から前記一般部分に至るまでの間に、図1に示すように先頭側から後端側に向かって横断面積が大きくなる方向に大きく変化する前側及び後側の断面積増加領域Z11,Z13を備えるが、前記前側および後側の断面積増加領域Z11,Z13の断面積増加率がそれぞれほぼ6.0m2/mおよびほぼ2.0m2/mであり、直線L21,L23が対応している。そして、それらの領域Z11,Z13の間であって運転室に対応する部分に、前側および後側の断面積増加領域Z11,Z13よりも断面積増加率が小さく前記前半部分の断面積増加率が後半部分のそれより大きい中間断面積増加領域Z12を設けているが、その中間断面積増加領域Z12の前半部分の断面積増加率がほぼ1.0m2/mであり、後半部分の断面積増加率がほぼ0.5m2/mであり、それぞれ直線L22F,L22Rに対応している。ここで、断面積増加率は、各増加領域での変化を直線的変化であるとみなして求めたものである。
【0059】
そして、前記前側、中間および後側の断面積増加領域Z11,Z12,Z13がなめらかに連続するように接続されている。そのため、前側の断面積増加領域Z11と中間断面積増加領域Z12との間には、緩やかに断面積が増加する接続用の断面積増加領域が形成されている。この接続用の断面積増加領域は、断面積増加率が0.25m2/mであり、直線L21’が対応している。
【0060】
また、前述したように、前記前側、中間および後側の断面積増加領域Z11,Z12,Z13は、前記一般部分Z2の横断面積に対する面積比がそれぞれ0〜0.28、0.47〜0.75、0.83〜1.0の範囲で変化するように構成されるのは、図5に基づく。
【0061】
また、前述したように、3つの断面積増加領域Z11,Z12,Z13を有する車体形状(本発明例)で、微気圧波による影響をシミュレーション解析をしてみると、図6に示すように、GAによる車体形状の場合は微気圧波の影響の目安となる圧力勾配指数のピーク値が2つであるのに対し、本発明例の車体形状では圧力勾配指数のピーク値が3つになり、微気圧それ自体も低減されることが確認できた。すなわち、そのピーク値の最大値を比較すると、従来の車体形状に比べて、GAによる車体形状では22%程度低減されるだけであるが、本発明例の車体形状では28%程度低減されていることが確認される。
【0062】
さらに、これを実験的に確かめるために、トンネル打ち込み試験を実施した。試験装置は、図7に示すように構成される。すなわち、前述したところの先頭車体形状に対応する横断面積分布を持つ円錐形状の列車模型61(縮尺モデル)を発射装置62を用いて、トンネルを模擬した円筒状パイプ63に、列車速度で打ち込み、評価点(図示せず)での圧力値を測定し、圧力勾配(dp/dt)を計測するものである。なお、64は制動装置である。
【0063】
この試験結果を示す図8(a)(b)(c)からも明らかなように、従来の車体形状(図8(a)参照)やGAによる車体形状(図8(b)参照)に比べて、本発明例による車体形状(図8(c)参照)の圧力勾配指数の低減性能が良いことが確認される。また、その試験結果は、具体的には、GAによる車体形状や本発明例による形状は、従来の車体形状に比べて、14%、28%程度低減され、前記シミュレーション解析の結果とも一致している。
【0064】
前述した実施の形態における各種機器の配置は、一例を示したものにすぎず、前記縦通路の両側及び両横通路の間に形成される空間部を、その部分(通路)の高さに応じて、各種機器を自由に配置することができるのはいうまでもない。
【0065】
【発明の効果】
この発明は、以上に説明したように実施され、以下に述べるような効果を奏する。
【0066】
請求項1の発明は、前側及び後側の断面積増加領域の間に、前半部分の断面積増加率が後半部分より大きい中間の断面積増加領域を設けているので、微気圧波の低減効果を維持して、運転席近傍(運転室)の断面積、すなわち運転室の容積を余裕を持って確保することができる。よって、運転室での機器配置の自由度を高め、無理のない機器配置を実現できる。
【0067】
前記中間断面積増加領域の前半部分の断面積増加率後半部分のそれより大きくするとともに、前記後半部分に運転室を配設する構成としているので、微気圧波の低減効果を維持して、運転席近傍(運転室)の断面積、すなわち運転室の容積余裕を持って確保することができる。
また、前記中間断面積増加領域から後側の断面積増加領域にかけて、幅が徐々に狭くなってほぼ運転室の幅に相当する幅となり、それから幅が徐々に大きくなって一般部分の車体幅になる一方、高さが徐々に高くなる突部を形成するようにしているので、前述した断面積増加率の関係を達成できる形状を無理なく形成することができる。
【0068】
また、請求項に記載のように、前記前側、中間および後側の断面積増加領域の前記前側、中間および後側の断面積増加領域は、前記一般部分の横断面積に対する面積比がそれぞれ0〜0.28,0.47〜0.75,0.83〜1.0の範囲で変化するように構成することで、請求項1に記載の車体形状を容易に実現することができる。
【0070】
請求項に記載のように、運転士、車掌の通行に必要とされる通路である縦通路の左右両側部分や、横通路の前後側部分を、その部分の空間高さに応じて、有効に利用することで、各種機器をその大きさ、高さに応じて配置するようにしているので、微気圧波の低減に有効な車体形状としても、各種機器を無理なく配置することができる。特に、縦通路の左右両側部分及び横通路の前後側部分に、それらの部分の高さに応じて、各種機器を配置するようにしているので、運転士が乗降する際に、各種機器が配置されている部分を通過することなく、乗降することができ、運転士の乗降もスムーズに行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施の形態の一例である鉄道先頭車両の基本形状概略側面図である。
【図2】同概略平面図である。
【図3】図1におけるA−A線断面図である。
【図4】図1におけるB−B線断面図である。
【図5】先頭長さと(横)断面積との関係を示す図である。
【図6】微気圧波の指針となる圧力勾配指数を示す説明図である。
【図7】試験装置の説明図である。
【図8】図7の試験装置による試験結果を示し、図7(a)は従来車体形状についての試験結果を、図7(b)はGAによる車体形状についての試験結果を、図7(c)は本発明に係る車体形状についての試験結果をそれぞれ示す図である。
【図9】遺伝的アルゴリズムの原理の説明図である。
【図10】先頭長さと(横)断面積との関係を示す図である。
【図11】先頭車両モデルとトンネルとの関係を示す説明図である。
【図12】遺伝的アルゴリズムによる世代と評価値との関係を示す図である。
【図13】GA形状による鉄道先頭車両の概略側面図である。
【図14】同概略平面図である。
【図15】図13におけるI−I線断面図である。
【図16】図13におけるJ−J線断面図である。
【符号の説明】
Z11 前側の断面積増加領域
Z12 中間断面積増加領域
Z13 後側の断面積増加領域
Z3 一般部分
1, 車体
1a 突部
21 運転室風防
22,23, 横通路
24 縦通路
25,26 乗降用扉
31 運転席
41 モニタ中央装置
42 総括配電盤
47 自動列車制御装置

Claims (3)

  1. 先頭部分より、横断面積が最大でほぼ一様となる一般部分に至るまでに、横断面積が車体前後方向に沿って変化する鉄道先頭車両の車体構造であって、
    前記先頭部分から前記一般部分に至るまでの間に、先頭側から後端側に向かって横断面積が大きくなる方向に大きく変化する前側及び後側の断面積増加領域を備え、それらの領域の間に、前記前側および後側の断面積増加領域よりも断面積増加率が小さい中間断面積増加領域を設け、前記前側、中間および後側の断面積増加領域がなめらかに連続するように接続し、
    さらに、前記中間断面積増加領域の前半部分の断面積増加率が後半部分のそれより大きくするとともに、前記後半部分に運転室を配設する構成とし、
    前記前側および後側の断面積増加領域の断面積増加率がそれぞれ6.0m2/mおよび2.0m2/mであり、
    前記中間断面積増加領域は、前半部分の断面積増加率が1.0m2/mであり、後半部分の断面積増加率が0.5m2/mであり、
    前記前側断面積増加領域から前記中間断面積増加領域にかけて、車体幅が徐々に広くなって前記一般部分の車体幅とほぼ等しい幅となり、前記前側断面積増加領域から前記中間断面積増加領域まではほぼ同じ高さで、前記中間断面積増加領域から前記後側断面積増加領域にかけて徐々に高くなる形状とされることを特徴とする鉄道先頭車両用車体。
  2. 前記前側、中間および後側の断面積増加領域は、前記一般部分の横断面積に対する面積比がそれぞれ0〜0.28,0.47〜0.75,0.83〜1.0の範囲で変化するように構成されている請求項1記載の鉄道先頭車両用車体。
  3. 請求項1または2に記載の鉄道先頭車両用車体を用いた鉄道先頭車両であって、
    前記後側断面積増加領域に、車両左右方向に延びる前側及び後側の横通路を形成し、前記両横通路を、車両左右方向に一側において車両前後方向に延び前記運転室に連通する縦通路でもって接続し、
    前記前側及び後側の横通路の左右両側に乗降用扉を配設し、
    前記縦通路の左右両側部分及び横通路の前後側部分に、各種機器を配置したことを特徴とする鉄道先頭車両。
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