JP3939199B2 - X線顕微鏡用試料スライド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線を照射して形成される陰影に対応して発生する電子線を観察するようにしたX線顕微鏡において対象とする試料を観察位置に固定するための試料スライドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、X線顕微鏡は、波長が短く透過力の強いX線を光源として物体の高分解能透過像を得ることができる測定器として重用されてきた。しかし、像を拡大するためフレネル・ゾーンプレートや斜入射ミラーなどのX線結像素子を用いてX線ビーム自体を拡大収束させる方式では、収束力が小さくX線拡大光学系の焦点距離が長くなるため装置が大きくなったり、像拡大率を任意に調整できないため対象物の観察位置を特定する光学顕微鏡などを併用する必要があるなどの問題があった。また、集光効率が悪いため放射光のような強力なX線光源を必要とする。
【0003】
一方、点光源の近くに試料を置いて光源から発散して試料を透過したX線の投影像を観察する投影拡大法では、X線源の大きさによる半影ぼけと試料による回折ぼけを避けることができないため、分解能の実用的な限界は0.1〜0.2μm程度とされる。
なお、感光板に試料を密着させてX線を照射し、現像後の画像を光学系で拡大して観察する密着法では、X線拡大光学系を使用しないので収差が無く試料と感光板が密着しているためぼけが小さいので、原理的に容易に高分解能画像を得ることができるが、現状では感度が極めて低いため強力なX線源が必要となる。また、X線像を拡大して観察するためには、真空容器から感光板を取り出し現像した上で、さらに別の光学顕微鏡などで観察するので、繁雑な作業を必要とする。
【0004】
このような従来のX線顕微鏡の欠点を克服するものとして、本願出願人は既に特願2001−235678により、光電変換面に試料を密着させて背後からX線を照射し光電変換面から発生する電子を引き出し拡大して電子検出素子面に結像させて可視像として提示する新しい形式のX線顕微鏡装置を開示している。
開示されたX線顕微鏡は、試料を透過したX線を光電変換素子により電子に変換し、光電変換素子の裏側から放出される電子流を電磁コイルを用いた電子イメージ拡大装置により拡大して蛍光面やCCD素子面など電子線検出素子面に投影し、撮像して可視像化するものである。このようにして、現像などの手間をかけずに、リアルタイムで高分解能のX線透過画像を得ることができる。
開示装置は、収束力の弱いX線光学系を利用するものと異なり、十分収束力のある電子イメージ拡大装置を使用するため装置全体が小型になり、試料を光電変換面に密着してセットするのでぼけのないX線透過像を得ることができる。
【0005】
また、従来のX線顕微鏡では硬X線を用いたコントラストの明確な像しか得られなかったが、開示装置では試料を透過したX線を光電変換素子で電子に変換するので、X線吸収能の差を反映した濃淡画像を作成することができ、また軟X線による観察も可能である。このため、取得するX線像の情報量が格段に増大し、また生物の生体観察を行うこともできるようになった。
さらに、電子イメージ拡大装置は、電磁コイルの電流を調整することにより画像倍率を連続的に変更することができるので、微細な対象を観察する場合にも低い倍率で目標位置を確認してから倍率を上げて目的の画像を得るようにすれば小さな対象を的確にとらえて観察することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記開示X線顕微鏡では試料を光電変換面にできるだけ近づけてセットしなければならないので、従来電子顕微鏡などで試料の保持および光軸上の位置設定に用いられる試料支持具(以下試料スライドという)を利用することができない。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、透過X線を光電子に変換して観察するX線顕微鏡に使用する試料スライドを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のX線顕微鏡用試料スライドは、表側に格子を付着させた透明膜の裏側に光電変換材料の薄膜層を形成し、試料を透明膜の表面に付着して使用することを特徴とする。
なお、たとえば水を含む微生物など含水試料を観察するためには、凹み部とその凹み部を覆う蓋部を設けた試料収納箱を、上記と同じように形成された試料スライドの格子の前面に配置して、試料収納箱の凹み部に含水試料を挿入し蓋をしてからX線顕微鏡にセットして観察するようにすることができる。
【0008】
本発明の試料スライドは、試料搭載面のすぐ後ろに密着して本X線顕微鏡における主要な要素である光電変換膜を備えるので、光電変換面上に試料の影が正確に形成され、鮮明でぼけのないX線像を得ることができる。
本発明の試料スライドを用いることにより、顕微鏡の外で試料を光電変換面に置いた試料スライドを調製してからセットすることができるので、最適の位置に試料を置いてX線像を観察することができる。
また、含水試料を扱うときにも、ごく近傍に試料室を配置することにより液体内に存在する細菌や微生物、生体構造物などの目的物を比較的鮮明に捕えることができる。
【0009】
なお、格子を付着する透明膜は、X線を透過するベリリウムやプラスチックなどを使用して作成することができるが、特にコロジオン膜を採用すると、アルコール性溶媒に硝酸セルロースを溶かしたコロジオン溶液の表面に形成されるコロジオン膜を格子で掬い上げることにより格子上にほぼ均厚のコロジオン膜が載った試料スライドの基板が簡単に製造できるので便利である。格子は、コロジオン膜の支持母材として比較的細かいメッシュを持つようにすることが好ましい。また、格子として金網など導電性物質で形成したものを用いてもよい。なお、グリッド付きコロジオン膜が市販されているのでこれを利用してもよい。また、コロジオン膜と同様の方法で作成でき機械的強度が高い熱可塑性ポリビニルホルマールの膜を使用することもできる。
さらに、透明膜に付着させる格子を導電性材料で形成した場合は、X線顕微鏡にセットしたときに格子に高電圧を供給して、光電子の加速電界を形成するための陰極の一部とする場合は、光電変換面が確実に電界内に位置するようにすることができるので、電子加速能率が向上し像の拡大倍率が増大する。
【0010】
また、光電変換膜は、光電変換能の高い物質で形成すればよいが、金薄膜とヨウ化セシウムまたはヨウ化銅の薄膜からなる2層膜であることが好ましい。
光電変換面は、光電子の発生量が大きいことが好ましく、さらに顕微鏡としての収差をできるだけ小さくするためには光電子のエネルギー幅が小さいことが好ましい。ヨウ化セシウムやヨウ化銅はこの2つの条件に対して適合する。なお、ヨウ化セシウムは水に対する溶解度が大きく潮解性もあるので、含水試料に対しては溶解度が極めて小さいヨウ化銅を使用することが好ましい。
また、これらヨウ化金属薄膜とコロジオン膜の接合性があまり良好でないため、2つの膜の間に金薄膜を介在させて接合を保持させることが好ましい。なお、金膜はヨウ化金属膜より光電子発生能が小さいが、ヨウ化金属膜と接触させると仕事関数が低くなり光電子がより一層出やすくなる効果も有する。
【0011】
金薄膜とヨウ化金属薄膜は、通常用いられる蒸着法により形成することができる。なお、金薄膜層の厚みは5nmから20nm、ヨウ化セシウムまたはヨウ化銅などヨウ化金属薄膜層の厚みは40nmから200nmであることが好ましい。
光電変換膜が薄すぎると入射X線が光電子を発生させる前に膜を透過してしまうため光電子が十分発生せず、一方、膜が厚すぎると一旦生成した電子が膜内で拡散し消滅して膜の表面から放出される割合が減少するため、最も効率よく光電子を発生させる厚さが上記の範囲であることが分っている。
なお、生物試料を観察するときには、タンパク質による吸収率と水による吸収率の差が大きい280eVから530eVの水の窓と呼ばれる領域のX線を使用することが好ましく、この領域のX線に対して最も効率よく光電子を発生する厚さを選択することが好ましい。この領域で最も効率が高いのは、金で8nmから15nm、ヨウ化セシウムで80nmから100nmである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
図1は、本実施例のX線顕微鏡用試料スライドの構成を表す斜視図である。
図2は金薄膜の表面に現れる二次電子の収率を表す図表、図3はヨウ化セシウム薄膜の二次電子収率を表す図表、図4は本実施例の試料スライドを適用するX線顕微鏡の構成概念図、図5は試料スライドを保持する部分の断面図、図6はスライド保持ピースの組立て分解図、図7はスライド保持ピースの本体部を先端部から見た側面図、さらに図8は本実施例の試料スライドにより含水試料を扱うときの組立て断面図である。
【0013】
図1に示すように、本実施例の試料スライド1は、格子11の裏側にコロジオン膜12が付着した基板の表側の面に蒸着法で金の薄膜13を形成し、さらにその上にヨウ化セシウム薄膜14を蒸着して得られたものである。
試料スライドとしての剛性は格子11により与えられる。なお、基板部分11,12は市販の電子顕微鏡用試料スライドを利用してもよい。
試料スライドの形状と寸法はX線顕微鏡の試料ホルダに合わせて任意に決めることができ、たとえば図に示したような径3mm程度の円盤であってもよい。
【0014】
ヨウ化セシウム薄膜14は光電変換能が極めて高いが、コロジオン膜12に対する接合性能が悪いため、金薄膜13を介在させることにより接合力を改善する。また、金薄膜13をヨウ化セシウム膜14に接触させることにより、仕事関数が低下し光電子の放出を促進させる効果がある。
なお、光陰極素子の光電変換能は薄膜の厚さにより変化する。また、膜厚と変換能の関数は照射するX線エネルギーにより変化する。
図2には、金を光電変換面としてX線を透過させたときの光電変換効率を示し、図3にはヨウ化セシウムを透過式光電変換面としたときの効率を示す。いずれの図も、横軸に膜の厚さをとり、縦軸に変換効率をとって、X線エネルギーをパラメータとして関数をプロットしたものである。
【0015】
図2と図3を比較すると、ヨウ化セシウムの光電子放出能は金より1桁程度高いことが分る。また、いずれの物質も膜厚が増えるに従って急激に電子放出効率が増加し、ピークを打った後で徐々に放出能が低下する。金では10nm近くの膜厚で電子放出能のピークがあり、ヨウ化セシウムでは100nm近くの膜厚でピークが見られる。電子放出能が高い領域は、金では5nmから20nm、ヨウ化セシウムでは40から200nmにあることが分る。
【0016】
さらに、生物について観察する場合はいわゆる水の窓とされる280から530eVのX線を使用するが、水の窓の端に近い193eVと525eVのX線を照射したときの膜厚と電子放出能の関係を見ると、金では8nmから15nmの厚さで、ヨウ化セシウムでは80nmから100nmの厚さで高い収率が得られることが分る。
そこで、本実施例では、金薄膜の厚さを8nmから15nm、ヨウ化セシウムの厚さを80nmから100nmとするように蒸着を調整することにより、より効率のよい試料スライドを提供できるようにした。
【0017】
乾燥してよい試料2は、上記試料スライドの格子の隙間にセットしてコロジオン膜表面に密着させ、X線顕微鏡に仕込む。
X線顕微鏡は、図4に概念的に示すように、X線発生装置31と光電変換面32と電子イメージ拡大装置33と電子線検出素子34と画像処理装置35を備える。
X線発生装置31は、色々な形式のものを採用することができるが、たとえばターゲットにレーザを照射してX線を発生させる方式のものでは、真空室に収めたターゲット36にレーザ光を照射するレーザ装置37からなり、ターゲット36で発生したX線を光電変換面32に照射する。
光電変換面32の表面には測定対象の試料38が密着貼付されていて、光電変換面32に試料38が遮断した部分が陰となったX線像が形成される。
光電変換面32は、X線が入射した位置で入射X線の強度に対応した量の光電子を表面に放出し、X線像に対応した電子像を形成する。
【0018】
電子イメージ拡大装置33は、加速陽極39と、対物レンズと投射レンズおよび偏向レンズとして機能する電磁コイルを備え、加速陽極39により光電変換面32の内側表面に放出される光電子を電子イメージ拡大装置33側に加速し、対物レンズ対応電磁コイル40と投射レンズ対応電磁コイル41により拡大して、所定の距離にある面状の電子線検出素子34上に結像させる。
偏向レンズとして機能する電磁コイル42は、X線が入射しないように、軸から外れた位置に設置する電子線検出素子34に電子線を偏向させて結像させるためのものである。
【0019】
電子線検出素子34は、電子像を可視像化する機能素子で、たとえばマイクロチャンネルプレートとその後方に設けられた蛍光面で構成して人が観察できる可視像にしたり、さらに、蛍光面の後方に設けられたリレーレンズを内蔵する光学系とCCDカメラにより電気信号化するように構成したものである。
電子線検出素子34により電気信号化された画像信号は画像処理装置35に送られ、適当な画像処理を施すことにより測定の目的に適った画像としてモニター上に表示することができる。
なお、上記構成のX線顕微鏡は透過X線を電子に変換するため、従来のX線顕微鏡と比較すると、微弱なX線を使用した場合でも濃淡が明確に表示された明るい透過X線像を取得することができる。
【0020】
本実施例の試料スライドは、光電変換面32をX線顕微鏡装置に固定する代りに、光電変換面32を着脱可能な試料スライドの1面に形成しX線が入射する側の面に試料を載せて、装置にセットするようにしたものである。このように構成することにより、光電変換面32と試料38の密着性を向上させ、極めて鮮明なX線像を得ることができるようになった。
本実施例の試料スライドの設置方法を、図5、図6、図7によりさらに具体的に説明する。
図5は、試料スライド1を設置する部分について説明する断面図である。
試料スライド1は、中心軸に沿ってX線が通る穴を有する円筒状のスライド保持ピース51の先端に取付けられ、スライド保持ピース51は試料ホルダー52の先端から試料ホルダー52に挿入固定され、絶縁性材料から製造される試料ステージ53に支持された状態で電界室50に挿入される。
【0021】
電界室50は、平底を持った円筒状の加速陽極39と陰極を形成するスライド保持ピース51などに囲まれた部屋である。加速陽極39は接地されていて、スライド保持ピース51に負電圧を印加すると、試料スライド1の面からその面に対向する加速陽極39の底部に向って電界勾配が発生し、試料スライド1に発生した電子を加速陽極39に向って加速する。
一方、対物レンズ対応電磁コイル40のポールピース43の先端が電界室50の側部と底部に当接していて、電界室50内に電子流を拡大する作用を持つような磁場分布を生成し、試料スライド1から放出され加速された電子像を拡大する。
【0022】
電子流は、小さな開口を有するアパーチャーピース47を通ることにより軸から離れたノイズ成分をふるい落してチューブ46に進入し、下流に設けられた投射レンズ対応電磁コイル41などを通って電子線検出素子34に入射する。
なお、チューブ46の周囲にスティグマコイル44や偏向コイル45を設けて、収差の補正と軸の修正を行っている。
また、試料ステージ53の上流側には、ガラス窓49を備えた試料室48が設けられていて、ガラス窓49を開閉して試料の入替えや装置の調整などの作業をすることができる。
【0023】
図6は、スライド保持ピースを分解した状態を示す断面図、図7はスライド保持ピースの本体部を先端部から見た側面図である。
スライド保持ピース51は、本体部61、抑え板65、キャップ67、抑えナット69からなる。
本体部61は胴部と頭部を持ち、胴部の外側に雄ねじが切ってあって、軸部にX線が通過する導孔62が設けられている。また、頭部の側部に雄ねじ64が切られていて、先端面には、図7に示したような、ほぼ正方形で頂点部に円形の出っ張りを有する浅い溝63が設けられている。さらに、頭部の先端に近いところに導孔62と外側を連絡する導通孔70が設けられている。
【0024】
抑え板65は、本体部61の先端面に設けられた浅い溝63に嵌め込められるような正方形の薄い板で、中心に電子が通る穴66が空けられている。この穴66の径は試料スライド1の外径より小さくなるように形成されている。
キャップ67は、前面の中心に小さな通孔68が設けられ、内側に本体頭部の雄ねじに適合する雌ねじが切られている。前面板の内側は平面に形成され抑え板65に当って抑えるようになっており、外側は通孔68に向って緩い傾斜を有するロート状に形成されている。
【0025】
試料を入替えるときは、スライド保持ピース51と一緒に試料ホルダー52を試料室48の外に取出して作業する。
試料スライド1に試料を貼着したものを準備し、試料スライド1をスライド保持ピース51本体部頭部の浅い溝63に入れて導孔62の位置に合わせ、抑え板65を当て、その上からキャップ67をかけて本体部61にねじ込む。すると、抑え板65はキャップ67に押されて試料スライド1を溝63の底に押付けて固定する。このとき、抑え板65は浅い溝63の縁に沿って軸方向に動くので、試料スライド1は初めの姿勢を保持して安定する。
なお、格子11が導電性物質で形成された場合は、X線顕微鏡にセットして試料ホルダー52に高電圧を印加したときに、スライド支持ピース51と電気的に導通して格子11が陰極となるので、光電変換面13,14で発生した光電子を表面に押出して加速を容易にする効果を有する。
【0026】
抑えナット69は、本体部61の胴部に押込んでおき、スライド保持ピース51を試料ホルダー52の先端からねじ込んで所定の深さまで挿入したときに、試料ホルダー52の方向に抑えナット69をねじ込んでスライド保持ピース51を固定する。試料スライド1の位置を変えるときには、抑えナット69を緩めてスライド保持ピース51のねじ込み長を調整すればよい。
こうしてスライド保持ピース51と一緒に組上げられた試料ホルダー52を、ガラス窓49を開けた試料室48を使って試料ステージ53の穴に挿入して固定する。
【0027】
図7は、本実施例の試料スライドを水を含む生物など湿式試料に適用した状態を示す断面図である。
格子11、コロジオン膜12、金薄膜13、ヨウ化セシウム薄膜14で構成される試料スライド1の前面に試料を貼付する代りに、凹み部を有する容器部15とその凹み部を覆う蓋部16を設けた試料収納箱を配置して、凹み部に含水試料21を入れ蓋をして密封し、前述のスライド保持ピース51に組込んで、X線顕微鏡にセットすることができる。なお、試料収納箱はベリリウム、シリコン、合成樹脂などのX線透過物質で形成する。
【0028】
なお、上記実施例の説明では、光電変換面14としてヨウ化セシウムを利用したが、ヨウ化銅などを使用することも可能である。また、光電変換面14と基板薄膜12の間に介装する薄膜層13に金を使用しているが、アルミニウムなど他の金属を利用することも可能である。
また、基板薄膜12はコロジオンを使用しているが、ベリリウムやシリコンなど、他の薄膜化が可能なX線透過性材料を利用することもできる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明のX線顕微鏡用試料スライドは、観察対象とする試料を変換効率の高い光電変換面にごく近接してセットすることができるため、極めて鮮明なX線像を得ることができる上、比較的簡単に製作することができる。なお、本発明の試料スライドを用いて生体あるいは生物のX線透過像を取得して観察することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例のX線顕微鏡用試料スライドの構成を表す斜視図である。
【図2】金薄膜の表面に現れる二次電子の収率を表す図表である。
【図3】ヨウ化セシウム薄膜の表面に現れる二次電子の収率を表す図表である。
【図4】本実施例を適用するX線顕微鏡の構成を説明する概念図である。
【図5】本実施例の試料スライドを設置する部分について説明する要部断面図である。
【図6】本実施例のスライド保持ピースを分解した状態を示す断面図である。
【図7】本実施例のスライド保持ピースの本体部を先端部から見た側面図である。
【図8】本実施例の試料スライドを湿式試料に適用した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 試料スライド
2 試料
11 格子
12 コロジオン膜
13 金薄膜
14 ヨウ化セシウム薄膜
15 容器部
16 蓋部
21 含水試料
31 X線発生装置
32 光電変換面
33 電子イメージ拡大装置
34 電子線検出素子
35 画像処理装置
36 ターゲット
37 レーザ装置
38 試料
39 加速陽極
40 対物レンズ対応電磁コイル
41 投射レンズ対応電磁コイル
42 偏向レンズ対応電磁コイル
43 ポールピース
44 スティグマコイル
45 偏向コイル
46 チューブ
47 アパーチャーピース
48 試料室
49 ガラス窓
50 電界室
51 スライド保持ピース
52 試料ホルダー
53 試料ステージ
61 スライド保持ピース本体部
62 導孔
63 浅い溝
64 雄ねじ
65 抑え板
66 穴
67 キャップ
68 通孔
69 抑えナット
70 導通孔

Claims (5)

  1. 透過X線を光電子に変換して観察するX線顕微鏡に使用する試料スライドであって、表側に格子を付着させた透明膜の裏側に光電変換材料の薄膜層を形成することで構成され、前記格子の隙間を試料のセット位置とし試料を前記透明膜の表側表面に密着して使用することを特徴とするX線顕微鏡用試料スライド。
  2. 透過X線を光電子に変換して観察するX線顕微鏡に使用する試料スライドであって、表側に格子を付着させた透明膜の裏側に光電変換材料の薄膜層を形成し、含水試料を挿入する凹み部と該凹み部を覆う蓋部を設けた試料収納箱を前記格子の前面に配置することを特徴とするX線顕微鏡用試料スライド。
  3. 前記透明膜がコロジオン膜または熱可塑性ポリビニルホルマールの膜であり、前記光電変換材料の薄膜層が金薄膜とヨウ化セシウムまたはヨウ化銅の薄膜からなる2層膜からなることを特徴とする請求項1または2記載のX線顕微鏡用試料スライド。
  4. 前記金薄膜層の厚みが5nmから20nmであり、前記ヨウ化金属薄膜層の厚みが40nmから200nmであることを特徴とする請求項3記載のX線顕微鏡用試料スライド。
  5. 前記格子が導電性材料で形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のX線顕微鏡用試料スライド。
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