JP2003344314A - X線顕微鏡用試料スライド - Google Patents

X線顕微鏡用試料スライド

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JP2003344314A JP2002152132A JP2002152132A JP2003344314A JP 2003344314 A JP2003344314 A JP 2003344314A JP 2002152132 A JP2002152132 A JP 2002152132A JP 2002152132 A JP2002152132 A JP 2002152132A JP 2003344314 A JP2003344314 A JP 2003344314A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光電変換面に試料を近接して配置し透過X線
を電子像に変換して観察するX線顕微鏡に使用する試料
スライドおよび試料の保持挿入機構を提供することであ
る。 【解決手段】 表側に格子11を付着させた透明膜12
の裏側に光電変換材料の薄膜層を形成して試料スライド
を作成し、試料2を格子11の間の透明膜12表面に付
着して使用するようにする。また、水を含む生物試料な
どを観察するときは、凹み部とその凹み部を覆う蓋部を
設けた試料収納箱を、上記と同じように形成された試料
スライドの格子の前面に配置して、試料収納箱の凹み部
に含水試料を挿入し蓋をしてからX線顕微鏡にセットし
て観察することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線を照射して形
成される陰影に対応して発生する電子線を観察するよう
にしたX線顕微鏡において対象とする試料を観察位置に
固定するための試料スライドに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、X線顕微鏡は、波長が短く透過力
の強いX線を光源として物体の高分解能透過像を得るこ
とができる測定器として重用されてきた。しかし、像を
拡大するためフレネル・ゾーンプレートや斜入射ミラー
などのX線結像素子を用いてX線ビーム自体を拡大収束
させる方式では、収束力が小さくX線拡大光学系の焦点
距離が長くなるため装置が大きくなったり、像拡大率を
任意に調整できないため対象物の観察位置を特定する光
学顕微鏡などを併用する必要があるなどの問題があっ
た。また、集光効率が悪いため放射光のような強力なX
線光源を必要とする。
【0003】一方、点光源の近くに試料を置いて光源か
ら発散して試料を透過したX線の投影像を観察する投影
拡大法では、X線源の大きさによる半影ぼけと試料によ
る回折ぼけを避けることができないため、分解能の実用
的な限界は0.1〜0.2μm程度とされる。なお、感
光板に試料を密着させてX線を照射し、現像後の画像を
光学系で拡大して観察する密着法では、X線拡大光学系
を使用しないので収差が無く試料と感光板が密着してい
るためぼけが小さいので、原理的に容易に高分解能画像
を得ることができるが、現状では感度が極めて低いため
強力なX線源が必要となる。また、X線像を拡大して観
察するためには、真空容器から感光板を取り出し現像し
た上で、さらに別の光学顕微鏡などで観察するので、繁
雑な作業を必要とする。
【0004】このような従来のX線顕微鏡の欠点を克服
するものとして、本願出願人は既に特願2001−23
5678により、光電変換面に試料を密着させて背後か
らX線を照射し光電変換面から発生する電子を引き出し
拡大して電子検出素子面に結像させて可視像として提示
する新しい形式のX線顕微鏡装置を開示している。開示
されたX線顕微鏡は、試料を透過したX線を光電変換素
子により電子に変換し、光電変換素子の裏側から放出さ
れる電子流を電磁コイルを用いた電子イメージ拡大装置
により拡大して蛍光面やCCD素子面など電子線検出素
子面に投影し、撮像して可視像化するものである。この
ようにして、現像などの手間をかけずに、リアルタイム
で高分解能のX線透過画像を得ることができる。開示装
置は、収束力の弱いX線光学系を利用するものと異な
り、十分収束力のある電子イメージ拡大装置を使用する
ため装置全体が小型になり、試料を光電変換面に密着し
てセットするのでぼけのないX線透過像を得ることがで
きる。
【0005】また、従来のX線顕微鏡では硬X線を用い
たコントラストの明確な像しか得られなかったが、開示
装置では試料を透過したX線を光電変換素子で電子に変
換するので、X線吸収能の差を反映した濃淡画像を作成
することができ、また軟X線による観察も可能である。
このため、取得するX線像の情報量が格段に増大し、ま
た生物の生体観察を行うこともできるようになった。さ
らに、電子イメージ拡大装置は、電磁コイルの電流を調
整することにより画像倍率を連続的に変更することがで
きるので、微細な対象を観察する場合にも低い倍率で目
標位置を確認してから倍率を上げて目的の画像を得るよ
うにすれば小さな対象を的確にとらえて観察することが
できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記開示X線顕微鏡で
は試料を光電変換面にできるだけ近づけてセットしなけ
ればならないので、従来電子顕微鏡などで試料の保持お
よび光軸上の位置設定に用いられる試料支持具(以下試
料スライドという)を利用することができない。そこ
で、本発明が解決しようとする課題は、透過X線を光電
子に変換して観察するX線顕微鏡に使用する試料スライ
ドを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明のX線顕微鏡用試料スライドは、表側に格子
を付着させた透明膜の裏側に光電変換材料の薄膜層を形
成し、試料を透明膜の表面に付着して使用することを特
徴とする。なお、たとえば水を含む微生物など含水試料
を観察するためには、凹み部とその凹み部を覆う蓋部を
設けた試料収納箱を、上記と同じように形成された試料
スライドの格子の前面に配置して、試料収納箱の凹み部
に含水試料を挿入し蓋をしてからX線顕微鏡にセットし
て観察するようにすることができる。
【0008】本発明の試料スライドは、試料搭載面のす
ぐ後ろに密着して本X線顕微鏡における主要な要素であ
る光電変換膜を備えるので、光電変換面上に試料の影が
正確に形成され、鮮明でぼけのないX線像を得ることが
できる。本発明の試料スライドを用いることにより、顕
微鏡の外で試料を光電変換面に置いた試料スライドを調
製してからセットすることができるので、最適の位置に
試料を置いてX線像を観察することができる。また、含
水試料を扱うときにも、ごく近傍に試料室を配置するこ
とにより液体内に存在する細菌や微生物、生体構造物な
どの目的物を比較的鮮明に捕えることができる。
【0009】なお、格子を付着する透明膜は、X線を透
過するベリリウムやプラスチックなどを使用して作成す
ることができるが、特にコロジオン膜を採用すると、ア
ルコール性溶媒に硝酸セルロースを溶かしたコロジオン
溶液の表面に形成されるコロジオン膜を格子で掬い上げ
ることにより格子上にほぼ均厚のコロジオン膜が載った
試料スライドの基板が簡単に製造できるので便利であ
る。格子は、コロジオン膜の支持母材として比較的細か
いメッシュを持つようにすることが好ましい。また、格
子として金網など導電性物質で形成したものを用いても
よい。なお、グリッド付きコロジオン膜が市販されてい
るのでこれを利用してもよい。また、コロジオン膜と同
様の方法で作成でき機械的強度が高い熱可塑性ポリビニ
ルホルマールの膜を使用することもできる。さらに、透
明膜に付着させる格子を導電性材料で形成した場合は、
X線顕微鏡にセットしたときに格子に高電圧を供給し
て、光電子の加速電界を形成するための陰極の一部とす
る場合は、光電変換面が確実に電界内に位置するように
することができるので、電子加速能率が向上し像の拡大
倍率が増大する。
【0010】また、光電変換膜は、光電変換能の高い物
質で形成すればよいが、金薄膜とヨウ化セシウムまたは
ヨウ化銅の薄膜からなる2層膜であることが好ましい。
光電変換面は、光電子の発生量が大きいことが好まし
く、さらに顕微鏡としての収差をできるだけ小さくする
ためには光電子のエネルギー幅が小さいことが好まし
い。ヨウ化セシウムやヨウ化銅はこの2つの条件に対し
て適合する。なお、ヨウ化セシウムは水に対する溶解度
が大きく潮解性もあるので、含水試料に対しては溶解度
が極めて小さいヨウ化銅を使用することが好ましい。ま
た、これらヨウ化金属薄膜とコロジオン膜の接合性があ
まり良好でないため、2つの膜の間に金薄膜を介在させ
て接合を保持させることが好ましい。なお、金膜はヨウ
化金属膜より光電子発生能が小さいが、ヨウ化金属膜と
接触させると仕事関数が低くなり光電子がより一層出や
すくなる効果も有する。
【0011】金薄膜とヨウ化金属薄膜は、通常用いられ
る蒸着法により形成することができる。なお、金薄膜層
の厚みは5nmから20nm、ヨウ化セシウムまたはヨ
ウ化銅などヨウ化金属薄膜層の厚みは40nmから20
0nmであることが好ましい。光電変換膜が薄すぎると
入射X線が光電子を発生させる前に膜を透過してしまう
ため光電子が十分発生せず、一方、膜が厚すぎると一旦
生成した電子が膜内で拡散し消滅して膜の表面から放出
される割合が減少するため、最も効率よく光電子を発生
させる厚さが上記の範囲であることが分っている。な
お、生物試料を観察するときには、タンパク質による吸
収率と水による吸収率の差が大きい280eVから53
0eVの水の窓と呼ばれる領域のX線を使用することが
好ましく、この領域のX線に対して最も効率よく光電子
を発生する厚さを選択することが好ましい。この領域で
最も効率が高いのは、金で8nmから15nm、ヨウ化
セシウムで80nmから100nmである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下実施例を用いて本発明を詳細
に説明する。図1は、本実施例のX線顕微鏡用試料スラ
イドの構成を表す斜視図である。図2は金薄膜の表面に
現れる二次電子の収率を表す図表、図3はヨウ化セシウ
ム薄膜の二次電子収率を表す図表、図4は本実施例の試
料スライドを適用するX線顕微鏡の構成概念図、図5は
試料スライドを保持する部分の断面図、図6はスライド
保持ピースの組立て分解図、図7はスライド保持ピース
の本体部を先端部から見た側面図、さらに図8は本実施
例の試料スライドにより含水試料を扱うときの組立て断
面図である。
【0013】図1に示すように、本実施例の試料スライ
ド1は、格子11の裏側にコロジオン膜12が付着した
基板の表側の面に蒸着法で金の薄膜13を形成し、さら
にその上にヨウ化セシウム薄膜14を蒸着して得られた
ものである。試料スライドとしての剛性は格子11によ
り与えられる。なお、基板部分11,12は市販の電子
顕微鏡用試料スライドを利用してもよい。試料スライド
の形状と寸法はX線顕微鏡の試料ホルダに合わせて任意
に決めることができ、たとえば図に示したような径3m
m程度の円盤であってもよい。
【0014】ヨウ化セシウム薄膜14は光電変換能が極
めて高いが、コロジオン膜12に対する接合性能が悪い
ため、金薄膜13を介在させることにより接合力を改善
する。また、金薄膜13をヨウ化セシウム膜14に接触
させることにより、仕事関数が低下し光電子の放出を促
進させる効果がある。なお、光陰極素子の光電変換能は
薄膜の厚さにより変化する。また、膜厚と変換能の関数
は照射するX線エネルギーにより変化する。図2には、
金を光電変換面としてX線を透過させたときの光電変換
効率を示し、図3にはヨウ化セシウムを透過式光電変換
面としたときの効率を示す。いずれの図も、横軸に膜の
厚さをとり、縦軸に変換効率をとって、X線エネルギー
をパラメータとして関数をプロットしたものである。
【0015】図2と図3を比較すると、ヨウ化セシウム
の光電子放出能は金より1桁程度高いことが分る。ま
た、いずれの物質も膜厚が増えるに従って急激に電子放
出効率が増加し、ピークを打った後で徐々に放出能が低
下する。金では10nm近くの膜厚で電子放出能のピー
クがあり、ヨウ化セシウムでは100nm近くの膜厚で
ピークが見られる。電子放出能が高い領域は、金では5
nmから20nm、ヨウ化セシウムでは40から200
nmにあることが分る。
【0016】さらに、生物について観察する場合はいわ
ゆる水の窓とされる280から530eVのX線を使用
するが、水の窓の端に近い193eVと525eVのX
線を照射したときの膜厚と電子放出能の関係を見ると、
金では8nmから15nmの厚さで、ヨウ化セシウムで
は80nmから100nmの厚さで高い収率が得られる
ことが分る。そこで、本実施例では、金薄膜の厚さを8
nmから15nm、ヨウ化セシウムの厚さを80nmか
ら100nmとするように蒸着を調整することにより、
より効率のよい試料スライドを提供できるようにした。
【0017】乾燥してよい試料2は、上記試料スライド
の格子の隙間にセットしてコロジオン膜表面に密着さ
せ、X線顕微鏡に仕込む。X線顕微鏡は、図4に概念的
に示すように、X線発生装置31と光電変換面32と電
子イメージ拡大装置33と電子線検出素子34と画像処
理装置35を備える。X線発生装置31は、色々な形式
のものを採用することができるが、たとえばターゲット
にレーザを照射してX線を発生させる方式のものでは、
真空室に収めたターゲット36にレーザ光を照射するレ
ーザ装置37からなり、ターゲット36で発生したX線
を光電変換面32に照射する。光電変換面32の表面に
は測定対象の試料38が密着貼付されていて、光電変換
面32に試料38が遮断した部分が陰となったX線像が
形成される。光電変換面32は、X線が入射した位置で
入射X線の強度に対応した量の光電子を表面に放出し、
X線像に対応した電子像を形成する。
【0018】電子イメージ拡大装置33は、加速陽極3
9と、対物レンズと投射レンズおよび偏向レンズとして
機能する電磁コイルを備え、加速陽極39により光電変
換面32の内側表面に放出される光電子を電子イメージ
拡大装置33側に加速し、対物レンズ対応電磁コイル4
0と投射レンズ対応電磁コイル41により拡大して、所
定の距離にある面状の電子線検出素子34上に結像させ
る。偏向レンズとして機能する電磁コイル42は、X線
が入射しないように、軸から外れた位置に設置する電子
線検出素子34に電子線を偏向させて結像させるための
ものである。
【0019】電子線検出素子34は、電子像を可視像化
する機能素子で、たとえばマイクロチャンネルプレート
とその後方に設けられた蛍光面で構成して人が観察でき
る可視像にしたり、さらに、蛍光面の後方に設けられた
リレーレンズを内蔵する光学系とCCDカメラにより電
気信号化するように構成したものである。電子線検出素
子34により電気信号化された画像信号は画像処理装置
35に送られ、適当な画像処理を施すことにより測定の
目的に適った画像としてモニター上に表示することがで
きる。なお、上記構成のX線顕微鏡は透過X線を電子に
変換するため、従来のX線顕微鏡と比較すると、微弱な
X線を使用した場合でも濃淡が明確に表示された明るい
透過X線像を取得することができる。
【0020】本実施例の試料スライドは、光電変換面3
2をX線顕微鏡装置に固定する代りに、光電変換面32
を着脱可能な試料スライドの1面に形成しX線が入射す
る側の面に試料を載せて、装置にセットするようにした
ものである。このように構成することにより、光電変換
面32と試料38の密着性を向上させ、極めて鮮明なX
線像を得ることができるようになった。本実施例の試料
スライドの設置方法を、図5、図6、図7によりさらに
具体的に説明する。図5は、試料スライド1を設置する
部分について説明する断面図である。試料スライド1
は、中心軸に沿ってX線が通る穴を有する円筒状のスラ
イド保持ピース51の先端に取付けられ、スライド保持
ピース51は試料ホルダー52の先端から試料ホルダー
52に挿入固定され、絶縁性材料から製造される試料ス
テージ53に支持された状態で電界室50に挿入され
る。
【0021】電界室50は、平底を持った円筒状の加速
陽極39と陰極を形成するスライド保持ピース51など
に囲まれた部屋である。加速陽極39は接地されてい
て、スライド保持ピース51に負電圧を印加すると、試
料スライド1の面からその面に対向する加速陽極39の
底部に向って電界勾配が発生し、試料スライド1に発生
した電子を加速陽極39に向って加速する。一方、対物
レンズ対応電磁コイル40のポールピース43の先端が
電界室50の側部と底部に当接していて、電界室50内
に電子流を拡大する作用を持つような磁場分布を生成
し、試料スライド1から放出され加速された電子像を拡
大する。
【0022】電子流は、小さな開口を有するアパーチャ
ーピース47を通ることにより軸から離れたノイズ成分
をふるい落してチューブ46に進入し、下流に設けられ
た投射レンズ対応電磁コイル41などを通って電子線検
出素子34に入射する。なお、チューブ46の周囲にス
ティグマコイル44や偏向コイル45を設けて、収差の
補正と軸の修正を行っている。また、試料ステージ53
の上流側には、ガラス窓49を備えた試料室48が設け
られていて、ガラス窓49を開閉して試料の入替えや装
置の調整などの作業をすることができる。
【0023】図6は、スライド保持ピースを分解した状
態を示す断面図、図7はスライド保持ピースの本体部を
先端部から見た側面図である。スライド保持ピース51
は、本体部61、抑え板65、キャップ67、抑えナッ
ト69からなる。本体部61は胴部と頭部を持ち、胴部
の外側に雄ねじが切ってあって、軸部にX線が通過する
導孔62が設けられている。また、頭部の側部に雄ねじ
64が切られていて、先端面には、図7に示したよう
な、ほぼ正方形で頂点部に円形の出っ張りを有する浅い
溝63が設けられている。さらに、頭部の先端に近いと
ころに導孔62と外側を連絡する導通孔70が設けられ
ている。
【0024】抑え板65は、本体部61の先端面に設け
られた浅い溝63に嵌め込められるような正方形の薄い
板で、中心に電子が通る穴66が空けられている。この
穴66の径は試料スライド1の外径より小さくなるよう
に形成されている。キャップ67は、前面の中心に小さ
な通孔68が設けられ、内側に本体頭部の雄ねじに適合
する雌ねじが切られている。前面板の内側は平面に形成
され抑え板65に当って抑えるようになっており、外側
は通孔68に向って緩い傾斜を有するロート状に形成さ
れている。
【0025】試料を入替えるときは、スライド保持ピー
ス51と一緒に試料ホルダー52を試料室48の外に取
出して作業する。試料スライド1に試料を貼着したもの
を準備し、試料スライド1をスライド保持ピース51本
体部頭部の浅い溝63に入れて導孔62の位置に合わ
せ、抑え板65を当て、その上からキャップ67をかけ
て本体部61にねじ込む。すると、抑え板65はキャッ
プ67に押されて試料スライド1を溝63の底に押付け
て固定する。このとき、抑え板65は浅い溝63の縁に
沿って軸方向に動くので、試料スライド1は初めの姿勢
を保持して安定する。なお、格子11が導電性物質で形
成された場合は、X線顕微鏡にセットして試料ホルダー
52に高電圧を印加したときに、スライド支持ピース5
1と電気的に導通して格子11が陰極となるので、光電
変換面13,14で発生した光電子を表面に押出して加
速を容易にする効果を有する。
【0026】抑えナット69は、本体部61の胴部に押
込んでおき、スライド保持ピース51を試料ホルダー5
2の先端からねじ込んで所定の深さまで挿入したとき
に、試料ホルダー52の方向に抑えナット69をねじ込
んでスライド保持ピース51を固定する。試料スライド
1の位置を変えるときには、抑えナット69を緩めてス
ライド保持ピース51のねじ込み長を調整すればよい。
こうしてスライド保持ピース51と一緒に組上げられた
試料ホルダー52を、ガラス窓49を開けた試料室48
を使って試料ステージ53の穴に挿入して固定する。
【0027】図7は、本実施例の試料スライドを水を含
む生物など湿式試料に適用した状態を示す断面図であ
る。格子11、コロジオン膜12、金薄膜13、ヨウ化
セシウム薄膜14で構成される試料スライド1の前面に
試料を貼付する代りに、凹み部を有する容器部15とそ
の凹み部を覆う蓋部16を設けた試料収納箱を配置し
て、凹み部に含水試料21を入れ蓋をして密封し、前述
のスライド保持ピース51に組込んで、X線顕微鏡にセ
ットすることができる。なお、試料収納箱はベリリウ
ム、シリコン、合成樹脂などのX線透過物質で形成す
る。
【0028】なお、上記実施例の説明では、光電変換面
14としてヨウ化セシウムを利用したが、ヨウ化銅など
を使用することも可能である。また、光電変換面14と
基板薄膜12の間に介装する薄膜層13に金を使用して
いるが、アルミニウムなど他の金属を利用することも可
能である。また、基板薄膜12はコロジオンを使用して
いるが、ベリリウムやシリコンなど、他の薄膜化が可能
なX線透過性材料を利用することもできる。
【0029】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明のX線顕微鏡
用試料スライドは、観察対象とする試料を変換効率の高
い光電変換面にごく近接してセットすることができるた
め、極めて鮮明なX線像を得ることができる上、比較的
簡単に製作することができる。なお、本発明の試料スラ
イドを用いて生体あるいは生物のX線透過像を取得して
観察することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例のX線顕微鏡用試料スライド
の構成を表す斜視図である。
【図2】金薄膜の表面に現れる二次電子の収率を表す図
表である。
【図3】ヨウ化セシウム薄膜の表面に現れる二次電子の
収率を表す図表である。
【図4】本実施例を適用するX線顕微鏡の構成を説明す
る概念図である。
【図5】本実施例の試料スライドを設置する部分につい
て説明する要部断面図である。
【図6】本実施例のスライド保持ピースを分解した状態
を示す断面図である。
【図7】本実施例のスライド保持ピースの本体部を先端
部から見た側面図である。
【図8】本実施例の試料スライドを湿式試料に適用した
状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 試料スライド 2 試料 11 格子 12 コロジオン膜 13 金薄膜 14 ヨウ化セシウム薄膜 15 容器部 16 蓋部 21 含水試料 31 X線発生装置 32 光電変換面 33 電子イメージ拡大装置 34 電子線検出素子 35 画像処理装置 36 ターゲット 37 レーザ装置 38 試料 39 加速陽極 40 対物レンズ対応電磁コイル 41 投射レンズ対応電磁コイル 42 偏向レンズ対応電磁コイル 43 ポールピース 44 スティグマコイル 45 偏向コイル 46 チューブ 47 アパーチャーピース 48 試料室 49 ガラス窓 50 電界室 51 スライド保持ピース 52 試料ホルダー 53 試料ステージ 61 スライド保持ピース本体部 62 導孔 63 浅い溝 64 雄ねじ 65 抑え板 66 穴 67 キャップ 68 通孔 69 抑えナット 70 導通孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 貞夫 千葉県野田市二ツ塚118番地 川崎重工業 株式会社野田工場内 (72)発明者 室 幹雄 千葉県野田市二ツ塚118番地 川崎重工業 株式会社野田工場内 (72)発明者 矢田 慶治 宮城県仙台市泉区北中山4−25−11 Fターム(参考) 2G001 AA01 AA07 BA08 BA11 CA01 CA03 DA09 GA01 GA06 HA09 HA13 KA01 LA01 MA02 PA01 PA02 QA02 RA01 2G052 AA28 AD54 DA01 DA21 DA33 FA00 GA31 5C001 AA02 CC08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表側に格子を付着させた透明膜の裏側に
    光電変換材料の薄膜層を形成し、試料を該透明膜の表面
    に付着して使用することを特徴とするX線顕微鏡用試料
    スライド。
  2. 【請求項2】 表側に格子を付着させた透明膜の裏側に
    光電変換材料の薄膜層を形成し、含水試料を挿入する凹
    み部と該凹み部を覆う蓋部を設けた試料収納箱を前記格
    子の前面に配置することを特徴とするX線顕微鏡用試料
    スライド。
  3. 【請求項3】 前記透明膜がコロジオン膜または熱可塑
    性ポリビニルホルマールの膜であり、前記光電変換材料
    の薄膜層が金薄膜とヨウ化セシウムまたはヨウ化銅の薄
    膜からなる2層膜からなることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載のX線顕微鏡用試料スライド。
  4. 【請求項4】 前記金薄膜層の厚みが5nmから20n
    mであり、前記ヨウ化金属薄膜層の厚みが40nmから
    200nmであることを特徴とする請求項3記載のX線
    顕微鏡用試料スライド。
  5. 【請求項5】 前記格子が導電性材料で形成されること
    を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のX線顕
    微鏡用試料スライド。
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