JP3939193B2 - ピペラジン−2,3−ジオン骨格を有する有機重合体、及びその単量体 - Google Patents
ピペラジン−2,3−ジオン骨格を有する有機重合体、及びその単量体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピペラジン−2,3−ジオン骨格を有する高親水性有機重合体及びその単量体となる新規な化合物、該化合物を含有する重合性組成物、該化合物の中間体、及び−ピペラジン−2,3−ジオン骨格を有する高親水性有機重合体からなる成形体及び成形体の用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、様々な環境問題が顕在化し、全ての分野に於いて環境を汚さないクリーンな製品・プロセスが要求されてきている。
【0003】
例えば、樹脂及び塗装材料の硬化システムも例外ではなく、従来の熱硬化システムから新しい放射線硬化システム等に移行することによって、より省エネルギー化、短時間化、簡素化、脱VOC(低揮発性有機化合物)化、低触媒・低添加剤化を図り、環境への負荷を低減する動きが活発化している。
【0004】
脱VOC化の動きを例に挙げると、1960年代、米国に於ける大気汚染問題に端を発したVOC問題は、カナダから始まったRC(レスポンシブル・ケア)活動によって活性化され、現在、有機溶剤の排出規制という形で、世界的規模で推し進められている。
【0005】
現在の全世界のVOC総排出量は凡そ2000万トン/年と推算され、その内自動車から1000万トン/年(主にディーゼル車)、塗装から350万トン/年にも達していると言う{ 工業材料,48(5),28-35 ( 2000年 )}。塗装からのVOCを減らす方法としては、溶剤の代わりに水を用いる水性塗装材料、溶剤も水も使わない紛体塗装材料への変換が極めて効果的で、現在、材料の高親水化による水性塗装材料への移行、及び高融点化による紛体塗装材料への移行が急ピッチで進んでいる{工業材料,48(5),28-35 ( 2000年 )}。
【0006】
材料の親水性の指標となる代表的な物性値として、水接触角が広く知られ(ぬれ技術ハンドブック,テクノシステム出版,2001年)、水接触角が0°に近づくほど親水性が高い、即ち水がよく濡れる材料(親水性材料)であるといわれている。
【0007】
上記の脱VOC化塗装材料、建築物外壁に親水性材料を用いることにより、これらの塗装面あるいは外壁に付着した汚れ(外気疎水性物質等)が降雨及び散水等によって除去される防汚染性(セルフクリーニング性)を向上させることができ{高分子,44(5),307、化工日報,2001年8月24日記事}、親水性の向上に伴って防汚染性も向上し、水接触角で凡そ50°以下になると汚れなくなると報告されている{未来材料,2(1),36−41}。
【0008】
特に、水接触角が20°以下になると、窓ガラス、鏡、建築内装材料、農業用ビニールシート、眼鏡レンズ、カメラレンズ等で見られる曇り・結露もほぼ防止できることが報告されている(ぬれ技術ハンドブック,テクノシステム出版,2001年)。
【0009】
さらに、高い親水性は、冷却フィン等で起こる液滴形成及び汚染物質付着による熱交換効率低下を抑制し(特開平07−18458号公報)、コンタクトレンズの装着感も向上させる{SEED Co.,Ltd 商品名シードS−1(医療用具承認番号21100BZZ00557000)パンフレット}ことも報告されている。
【0010】
ところで、これらの用途に於いては、大型であったり、構造が複雑であったり、精度が要求されたり、生産性、操作性、製品の柔軟性及び安全性が必要だったり、透明性、光沢が必要だったり、さらに着色または染色が好まれたりする等、無機材料ではこれらの要求を満足させることは困難な場合が多く、有機材料への要求が高まっている。
【0011】
親水性を有する有機重合体としては、ポリビニルアルコール(水接触角36°、超親水超撥水化技術,技術情報協会出版,2001年)、ポリイソプロピルアクリルアミド(水接触角約44°、Langmuir,11,2301,1995年)、ポリアクリロニトリル(水接触角53°、Desalination,72,263,1989年)等のポリマー、一風変わったものとしては、寒天ゲル(水接触角約20°、Langmuir,10,2435,1994年)が知られている。
【0012】
しかしながら、これら公知の有機重合体は、親水性が不充分で、リニアー構造であるために、機機械的強度、耐熱性、耐水・耐薬品性等の物理的・化学的な性質も充分であるとは言えず、更なる改良の余地があった。
【0013】
一方、有機材料の表面に親水性を付与する方法として、材料の表面に酸化チタンの光触媒反応層を設ける方法(特開平11−58629号公報、特開平11−1659号公報)、シラノール基を利用した塗剤を塗布する方法(特開平9−40907号公報、特開平9−40908号公報、特開平11−21826号公報)、コロナ放電処理後、シリル基及びイオン性親水基(カルボキシル基)とポリビニルアルコールの層を設ける方法(特開平9−76428号公報)、モルホリル基含有フルオロシリコンリニアーオリゴマーを塗付する方法(特開平09−241331号公報)、4級アンモニウム塩基を利用した層を設ける方法(特開平10−296895号公報)、エッチング処理によって表面に微細な窪みを多数形成する方法(特開平7−198290号公報)、グラフト共重合によってアミド基、カルボキシル基、水酸基等の活性水素基、またはスルホン酸ナトリウム等のイオン性官能基等を表面に導入する方法(J.polym. Sci.,part A:polym.chem.,32,1569,1994年、Macromlecules,25,6842,1992年)、表面を塩素酸−塩素酸カリウム混合液で処理する方法(Polymer(Korea), 24,877,2000年)等が知られている。
【0014】
しかしながら、有機材料の表面に親水性を付与する方法においては、確かに高い水濡れ性を実現できる場合があるが、活性酸素放出による材料界面の分解、光強度不足(室内、暗所等)による水濡れ性の喪失、干渉縞の発生、コート層及び処理表面の強度及び耐久性の不足、アルコキシシリル基の加水分解によるアルコールの生成、活性水素基及びイオン性基等が引き起こす反応による性能・品質低下等の様々な問題を起こし易い。
【0015】
また、これらの表面改質法は、通常、特別な工夫と特別な装置を必要とする場合が多く、さらに一旦成形物を製造し、前処理等を行う必要があり、生産が効率的とは言えず、コスト的に高くなる傾向にあり、場合によっては安全性にも疑問が残る提案であった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述の公知の親水性化方法が有する問題点の解決に有用な有機重合体に親水性を付与し得る新規な化合物、該化合物を用いた重合体組成物及び該重合性組成物を重合して得られる有機重合体を提案することを目的とする。
【0017】
本発明者らは、親水性を有する有機重合体を得るべく種々検討する過程で、双極子モーメントが高い(凡そ3Debye以上)非プロトン性極性構造と重合性官能基を併せもつ反応性化合物を重合して得られる重合体が、水酸基等のプロトン性極性構造を持つ重合体よりも高い親水性を有することを見出した(特願2001−332611号)。本発明者らは、この知見に基づき、従来にない新たな高い親水性を有する有機重合体を見出すべく種々検討する過程で、ピペラジン−2,3−ジオン骨格を分子内に有する化合物を用いて得られる有機重合体が高い親水性を有することを見出した。この知見をもとに本発明者らは鋭意検討した結果、該有機重合体が前述の親水性材料の用途に適した性質を有することをも見出し、本発明を完成するに至った。
【0018】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、
〔1〕部分構造式(1)
【0019】
【化5】
【0020】
(R1〜R4は、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表す。)
で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格を分子内に有する水接触角が30°以下の有機重合体。
〔2〕前記〔1〕記載の有機重合体からなる成形体。
〔3〕前記〔1〕記載の有機重合体からなる膜。
〔4〕1分子内に少なくとも1個以上の部分構造式(1)、
【0021】
【化6】
【0022】
(R1〜R4は、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表す。)
表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び少なくとも1個以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物。
〔5〕一般式(2)
【0023】
【化7】
【0024】
(R1〜R10は、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表す。但し、R5〜R8は、水素原子またはメチル基の一部または全部が、ヒドロキシ基で置換されてもよい。X1〜X2は、それぞれ独立して、O、S、NH、またはNCH3を表す。a、bは、それぞれ独立して、0または1の整数を表す。c、dは、それぞれ独立して、2〜6の整数を表す。e、fは、それぞれ独立して、0〜3の整数を表す。)で表される前記〔4〕記載の化合物。
〔6〕一般式(3)
【0025】
【化8】
【0026】
(R1〜R8は、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表す。但し、R5〜R8は、水素原子またはメチル基の一部または全部が、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。Y1、Y2は、それぞれ独立して、OまたはSを表す。c、dは、それぞれ独立して、2〜6の整数を表す。g、hは、それぞれ独立して、1〜3の整数を表す。)で表される化合物。
〔7〕前記〔4〕または前記〔5〕記載の化合物を含有する重合性組成物。
〔8〕前記〔4〕または前記〔5〕記載の化合物、または前記〔7〕の重合性組成物を重合して得られる有機重合体。
〔9〕水接触角が30°以下である前記〔8〕記載の有機重合体。
〔10〕前記〔8〕または前記〔9〕の有機重合体からなる成形体。
〔11〕前記〔8〕または前記〔9〕記載の有機重合体からなる膜。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の有機重合体は、部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格を分子内に有することを特徴とする。したがって、本発明の有機重合体は、部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格を分子内に有する水接触角30°以下の有機重合体であれば、如何なる重合体であってもよい。部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格を有機重合体に導入することにより、有機重合体に高い親水性を付与することができる。
【0028】
部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格を分子内に有する有機重合体は、同一分子内に少なくとも1個以上の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び少なくとも1個以上の反応性基を有する化合物を用いて得ることができる。
【0029】
反応性基としては、制限されないが、反応性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、(チオ)エポキシ基、イソ(チオ)シアネート基、炭素−炭素不飽和二重結合、メルカプト基、アミノ基、ヒドロキシル基、アリルカーボネート基等が挙げられる。これらの反応性基は、同一分子内に少なくとも1個以上の同一又は異なるものが存在していてもよい。
【0030】
有機重合体を製造する際に、同一分子内に少なくとも1個以上の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び少なくとも1個以上の上述の反応性基を有する化合物は、これに属する化合物を単独で用いることができるが、2種以上の化合物を併用することもできる。また、同一分子内に存在する反応性基が異なる反応性基を有する化合物を併用することもできる。
【0031】
同一分子内に少なくとも1個以上の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び少なくとも1個以上の上述の反応性基を有する化合物を用いることにより、部分構造(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格が導入された種々の有機重合体を得ることができる。例えば、同一分子内に少なくとも1個以上の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び少なくとも1個以上の反応性基を有する化合物として、その反応性基として(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いることでポリ(メタ)アクリレート系重合体、同様に反応性基として(チオ)エポキシ基を有する化合物を用いることで(チオ)エポキシ樹脂系重合体、反応性基として炭素−炭素不飽和二重結合を有する化合物を用いることでポリオレフィン系重合体、反応性基としてイソ(チオ)シアネート基を有する化合物を用いることでポリ(チオ)ウレタン系重合体、反応性基として炭素−炭素不飽和二重結合及びメルカプト基を有する化合物を用いることでポリエン−ポリチオール系重合体、反応性基として炭素−炭素不飽和二重結合及びアミノ基を有する化合物を用いることでポリエン−ポリアミン系重合体等の種々の有機重合体に部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格を導入することができる。なお、後述するように、同一分子内に少なくとも1個以上の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び少なくとも1個以上の上述の反応性基を有する化合物を用いて有機重合体を得るに際し、これと反応して有機重合体を与える反応性化合物を併用することもできる。
【0032】
同一分子内に少なくとも1個以上の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び少なくとも1個以上の反応性基を有する化合物としては、例えば、同一分子内に1個の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び1個の反応性基を有する化合物及び同一分子内に1個の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び2個の反応性基を有する化合物が挙げられる。
【0033】
同一分子内に少なくとも1個以上の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び少なくとも1個以上の反応性基を有する化合物のなかでも、高速重合が容易で、かつポットライフも比較的長い点で、反応性基として(メタ)アクリロイル基を有する化合物は好ましい。特に同一分子内に少なくとも1個以上の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物として、一般式(2)で表される化合物は特に好ましい。
【0034】
一般式(2)で表される化合物は一般式(3)で表される化合物を用いて得ることができるため、一般式(3)で表される化合物は一般式(2)で表される化合物の前駆体として有用である。また、一般式(3)で表される化合物は上述の反応性基を有するため、一般式(3)で表される化合物を用いて部分構造(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格を有機重合体に導入することができる。
【0035】
一般式(2)または一般式(3)で表される化合物において、R1〜R10は、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表す。但し、R5〜R8は、水素原子またはメチル基の一部または全部が、ヒドロキシ基で置換されてもよい。この場合、ヒドロキシ基はメチレンに任意に結合していてもよいが、同一メチレン基に結合するヒドロキシル基は1個以下であることが好ましい。X1、X2は、それぞれ独立して、O、S、NH、またはNCH3を表す。 Y1、Y2は、それぞれ独立して、OまたはSを表す。何れの場合も、コスト的には、Oが比較的に好ましい。a、bは、それぞれ独立して、0または1の整数を表し、c、dは、それぞれ独立して、2〜6の整数を表す。c、dは、それぞれ独立して、2〜4が好ましく、2〜3であればさらに好ましい。c又はdの何れかが1の場合、加水分解を受けやすいヘミアセタール構造となる為、c及びdは2以上であるのが好ましい。e、fは、それぞれ独立して、0〜3の整数を表し、g、hは、それぞれ独立して、1〜3の整数を表す。
【0036】
同一分子内に1個の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び1個の反応性基を有する化合物として、反応性基が(メタ)アクリロイル基である化合物、同一分子内に1個の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び2個の反応性基を有する化合物として、一般式(2)で表される化合物及び一般式(3)で表される化合物に属する化合物を以下具体的に例示する。
【0037】
同一分子内に部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、N−メチル−N’−{(メタ)アクリロイル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{(メタ)アクリロイル}−ピペラジン−4−メチル−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{(メタ)アクリロイル}−ピペラジン−4,5−ジメチル−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{(メタ)アクリロイルオキシ−エチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{(メタ)アクリロイルオキシ−エチル}−ピペラジン−4−メチル−2,3−ジオンN−メチル−N’−{(メタ)アクリロイルオキシ−エチル}−ピペラジン−4,5−ジメチル−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−プロピル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{2−(メタ)アクリロイルオキシ−プロピル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{4−(メタ)アクリロイルオキシ−ブチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ブチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサペンチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサペンチル}−ピペラジン−4−メチル−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサペンチル}−ピペラジン−4,5−ジメチル−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{8−(メタ)アクリロイルオキシ−3,6−ジオキサオクチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサ−1,4−ジメチル−ペンチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{8−(メタ)アクリロイルオキシ−3,6−ジオキサ−1,4,7−トリメチル−オクチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−チアペンチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{8−(メタ)アクリロイルオキシ−3,6−ジチアオクチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−アザペンチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{8−(メタ)アクリロイルオキシ−3,6−ジアザオクチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−アザ−3−メチル−ペンチル}}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{8−(メタ)アクリロイルオキシ−3,6−ジアザ−3,6−ジメチル−オクチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{(メタ)アクリロイルチオ−エチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{3−(メタ)アクリロイルチオ−プロピル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{2−(メタ)アクリロイルチオ−プロピル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{3−(メタ)アクリロイルチオ−プロピル−2−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{4−(メタ)アクリロイルチオ−ブチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{3−(メタ)アクリロイルチオ−ブチル−2−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{5−(メタ)アクリロイルチオ−3−オキサペンチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{8−(メタ)アクリロイルチオ−3,6−ジオキサオクチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{5−(メタ)アクリロイルチオ−3−オキサ−1,4−ジメチル−ペンチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{8−(メタ)アクリロイルチオ−3,6−ジオキサ−1,4,7−トリメチル−オクチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{5−(メタ)アクリロイルチオ−3−チアペンチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{8−(メタ)アクリロイルチオ−3,6−ジチアオクチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{5−(メタ)アクリロイルチオ−3−アザペンチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{8−(メタ)アクリロイルチオ−3,6−ジアザオクチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{5−(メタ)アクリロイルチオ−3−アザ−3−メチル−ペンチル}−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{8−(メタ)アクリロイルチオ−3,6−ジアザ−3,6−ジメチル−オクチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{(メタ)アクリロイルアミノ−エチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{3−(メタ)アクリロイルアミノ−プロピル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{2−(メタ)アクリロイルアミノ−プロピル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{3−(メタ)アクリロイルアミノ−プロピル−2−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{4−(メタ)アクリロイルアミノ−ブチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{3−(メタ)アクリロイルアミノ−ブチル−2−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{5−(メタ)アクリロイルアミノ−3−オキサペンチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{8−(メタ)アクリロイルアミノ−3,6−ジオキサオクチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{5−(メタ)アクリロイルアミノ−3−オキサ−1,4−ジメチル−ペンチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{8−(メタ)アクリロイルアミノ−3,6−ジオキサ−1,4,7−トリメチル−オクチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{5−(メタ)アクリロイルアミノ−3−チアペンチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{8−(メタ)アクリロイルアミノ−3,6−ジチアオクチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{5−(メタ)アクリロイルアミノ−3−アザペンチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{8−(メタ)アクリロイルアミノ−3,6−ジアザオクチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{5−(メタ)アクリロイルアミノ−3−アザ−3−メチル−ペンチル}−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{8−(メタ)アクリロイルアミノ−3,6−ジアザ−3,6−ジメチル−オクチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{(メタ)アクリロイル−N−メチル−アミノ−エチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{3−(メタ)アクリロイル−N−メチル−アミノ−プロピル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{2−(メタ)アクリロイル−N−メチル−アミノ−プロピル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{3−(メタ)アクリロイル−N−メチル−アミノ−プロピル−2−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{4−(メタ)アクリロイル−N−メチル−アミノ−ブチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{3−(メタ)アクリロイル−N−メチル−アミノ−ブチル−2−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{5−(メタ)アクリロイル−N−メチル−アミノ−3−オキサペンチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{8−(メタ)アクリロイル−N−メチル−アミノ−3,6−ジオキサオクチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{5−(メタ)アクリロイル−N−メチル−アミノ−3−オキサ−1,4−ジメチル−ペンチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{8−(メタ)アクリロイル−N−メチル−アミノ−3,6−ジオキサ−1,4,7−トリメチル−オクチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{5−(メタ)アクリロイル−N−メチル−アミノ−3−チアペンチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{8−(メタ)アクリロイル−N−メチル−アミノ−3,6−ジチアオクチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{5−(メタ)アクリロイル−N−メチル−アミノ−3−アザペンチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{8−(メタ)アクリロイル−N−メチル−アミノ−3,6−ジアザオクチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{5−(メタ)アクリロイル−N−メチル−アミノ−3−アザ−3−メチル−ペンチル}−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−{8−(メタ)アクリロイル−N−メチル−アミノ−3,6−ジアザ−3,6−ジメチル−オクチル−1−}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−エチル−N’−[3−{(メタ)アクリロイルオキシ}−2−ヒドロキシプロピル]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−エチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイルオキシ}−2−ヒドロキシ(4−オキサヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−エチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイルオキシ}−2−ヒドロキシ(4−チアヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−エチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイルオキシ}−2−ヒドロキシ(4−アザヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−エチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイルオキシ}−2−ヒドロキシ(4−メチル−4−アザヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−エチル−N’−[3−{(メタ)アクリロイルチオ}−2−ヒドロキシプロピル]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−エチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイルチオ}−2−ヒドロキシ(4−オキサヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−エチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイルチオ}−2−ヒドロキシ(4−チアヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−エチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイルチオ}−2−ヒドロキシ(4−アザヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−エチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイルチオ}−2−ヒドロキシ(4−メチル−4−アザヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、
N−エチル−N’−[3−{(メタ)アクリロイルアミノ}−2−ヒドロキシプロピル]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−エチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイルアミノ}−2−ヒドロキシ(4−オキサヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−エチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイルアミノ}−2−ヒドロキシ(4−チアヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、
N−エチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイルアミノ}−2−ヒドロキシ(4−アザヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−エチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイルアミノ}−2−ヒドロキシ(4−メチル−4−アザヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−エチル−N’−[3−{(メタ)アクリロイル−メチルアミノ}−2−ヒドロキシプロピル]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−エチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイル−メチルアミノ}−2−ヒドロキシ(4−オキサヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−エチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイル−メチルアミノ}−2−ヒドロキシ(4−チアヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−エチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイル−メチルアミノ}−2−ヒドロキシ(4−アザヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−エチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイル−メチルアミノ}−2−ヒドロキシ(4−メチル−4−アザヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−イソプロピル−N’−{(メタ)アクリロイルオキシ−エチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−n−プロピル−N’−{(メタ)アクリロイルオキシ−エチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−n−ブチル−N’−{(メタ)アクリロイルオキシ−エチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メトキシエチル−N’−{(メタ)アクリロイルオキシ−エチル}−ピペラジン−2,3−ジオン等のモノ(メタ)アクリレート類、
N−メチル−N’−[2,3−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−プロピル]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−[2,3−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−プロピル]−ピペラジン−4−メチル−2,3−ジオン、N−メチル−N’−[2,3−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−プロピル]−ピペラジン−4,5−ジメチル−2,3−ジオン、N−メチル−N’−[2,6−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−4−オキサヘキシル]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−[2,6−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−4−チアヘキシル]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−[2,6−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−4−アザヘキシル]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−[2,6−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−4−メチル−4−アザヘキシル]−ピペラジン−2,3−ジオン、 N−メチル−N’−[3−{(メタ)アクリロイルチオ}−2−(メタ)アクリロイルオキシ−プロピル]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイルチオ}−2−(メタ)アクリロイルオキシ−(4−オキサヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイルチオ}−2−(メタ)アクリロイルオキシ−(4−チアヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイルチオ}−2−(メタ)アクリロイルオキシ−(4−アザヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイルチオ}−2−(メタ)アクリロイルオキシ−(4−メチル−4−アザヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−[3−{(メタ)アクリロイルアミノ}−2−(メタ)アクリロイルオキシ−プロピル]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイルアミノ}−2−(メタ)アクリロイルオキシ−(4−オキサヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイルアミノ}−2−(メタ)アクリロイルオキシ−(4−チアヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイルアミノ}−2−(メタ)アクリロイルオキシ−(4−アザヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイルアミノ}−2−(メタ)アクリロイルオキシ−(4−メチル−4−アザヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−[3−{(メタ)アクリロイル−メチルアミノ}−2−(メタ)アクリロイルオキシ−プロピル]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイル−メチルアミノ}−2−(メタ)アクリロイルオキシ−(4−オキサヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイル−メチルアミノ}−2−(メタ)アクリロイルオキシ−(4−チアヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイル−メチルアミノ}−2−(メタ)アクリロイルオキシ−(4−アザヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N−メチル−N’−[6−{(メタ)アクリロイル−メチルアミノ}−2−(メタ)アクリロイルオキシ−(4−メチル−4−アザヘキシル)]−ピペラジン−2,3−ジオン等のポリ(メタ)アクリレート類が挙げられる。
【0038】
一般式(2)で表される化合物としては、例えば、N,N’−ビス{(メタ)アクリロイル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{(メタ)アクリロイル}−ピペラジン−4−メチル−2,3−ジオン、N,N’−ビス{(メタ)アクリロイル}−ピペラジン−4,5−ジメチル−2,3−ジオン、N,N’−ビス{2−(メタ)アクリロイルオキシ−1−エチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{2−(メタ)アクリロイルオキシ−1−エチル}−ピペラジン−4−メチル−2,3−ジオン、N,N’−ビス{2−(メタ)アクリロイルオキシ−1−エチル}−ピペラジン−4,5−ジメチル−2,3−ジオン、N,N’−ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−1−プロピル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{2−(メタ)アクリロイルオキシ−1−プロピル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ−ブチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{4−(メタ)アクリロイルオキシ−1−ブチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ブチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{5−(メタ)アクリロイルオキシ−1−(3−オキサペンチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{5−(メタ)アクリロイルオキシ−1−(3−オキサペンチル)}−ピペラジン−4−メチル−2,3−ジオン、N,N’−ビス{5−(メタ)アクリロイルオキシ−1−(3−オキサペンチル)}−ピペラジン−4,5−ジメチル−2,3−ジオン、N,N’−ビス{8−(メタ)アクリロイルオキシ−1−(3,6−ジオキサオクチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{5−(メタ)アクリロイルオキシ−1−(3−チアペンチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{8−(メタ)アクリロイルオキシ−1−(3,6−ジチアオクチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{5−(メタ)アクリロイルオキシ−1−(3−アザペンチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{8−(メタ)アクリロイルオキシ−1−(3,6−ジアザオクチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[5−(メタ)アクリロイルオキシ−1−{3−メチル−3−アザペンチル}]−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[8−(メタ)アクリロイルオキシ−1−{3,6−ジメチル−3,6−ジアザオクチル}]−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロピル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{6−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−1−(4−オキサヘキシル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{6−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−1−(4−チアヘキシル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{6−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−1−(4−アザヘキシル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[6−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−1−{4−メチル−4−アザヘキシル}]−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{2−(メタ)アクリロイルチオ−1−エチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{3−(メタ)アクリロイルチオ−1−プロピル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{2−(メタ)アクリロイルチオ−1−プロピル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{(メタ)アクリロイルチオ−ブチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{4−(メタ)アクリロイルチオ−1−ブチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{3−(メタ)アクリロイルチオ−2−ブチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{5−(メタ)アクリロイルチオ−1−(3−オキサペンチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{8−(メタ)アクリロイルチオ−1−(3,6−ジオキサオクチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{5−(メタ)アクリロイルチオ−1−(3−チアペンチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{8−(メタ)アクリロイルチオ−1−(3,6−ジチアオクチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{5−(メタ)アクリロイルチオ−1−(3−アザペンチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{8−(メタ)アクリロイルチオ−1−(3,6−ジアザオクチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[5−(メタ)アクリロイルチオ−1−{3−メチル−3−アザペンチル}]−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[8−(メタ)アクリロイルチオ−1−{3,6−ジメチル−3,6−ジアザオクチル}]−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{3−(メタ)アクリロイルチオ−2−ヒドロキシ−1−プロピル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{6−(メタ)アクリロイルチオ−2−ヒドロキシ−1−(4−オキサヘキシル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{6−(メタ)アクリロイルチオ−2−ヒドロキシ−1−(4−チアヘキシル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{6−(メタ)アクリロイルチオ−2−ヒドロキシ−1−(4−アザヘキシル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[6−(メタ)アクリロイルチオ−2−ヒドロキシ−1−{4−メチル−4−アザヘキシル}]−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{2−(メタ)アクリロイルアミノ−1−エチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{3−(メタ)アクリロイルアミノ−1−プロピル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{2−(メタ)アクリロイルアミノ−1−プロピル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{4−(メタ)アクリロイルアミノ−1−ブチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{3−(メタ)アクリロイルアミノ−2−ブチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{5−(メタ)アクリロイルアミノ−1−(3−オキサペンチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{8−(メタ)アクリロイルアミノ−1−(3,6−ジオキサオクチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[3−{(メタ)アクリロイル−アミノ}−2−ヒドロキシ−1−プロピル]−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[2−{(メタ)アクリロイル(メチルアミノ)}−1−エチル]−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[3−{(メタ)アクリロイル(メチルアミノ)}−1−プロピル]−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[2−{(メタ)アクリロイル(メチルアミノ)}−1−プロピル]−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[4−{(メタ)アクリロイル(メチルアミノ)}−1−ブチル]−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[3−{(メタ)アクリロイル(メチルアミノ)}−2−ブチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[5−{(メタ)アクリロイル(メチルアミノ)}−1−(3−オキサペンチル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[8−{(メタ)アクリロイル(メチルアミノ)}−1−(3,6−ジオキサオクチル)]−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[3−{(メタ)アクリロイル−(メチルアミノ)}−2−ヒドロキシ−1−プロピル]−ピペラジン−2,3−ジオン等のポリ(メタ)アクリレート類が挙げられる。
【0039】
一般式(3)で表される化合物としては、例えば、N,N’−ビス{2−ヒドロキシ−1−エチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{2−ヒドロキシ−1−エチル}−ピペラジン−4−メチル−2,3−ジオン、N,N’−ビス{2−ヒドロキシ−1−エチル}−ピペラジン−4,5−ジメチル−2,3−ジオン、N,N’−ビス{3−ヒドロキシ−1−プロピル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{2−ヒドロキシ−1−プロピル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{ヒドロキシ−ブチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{4−ヒドロキシ−1−ブチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{3−ヒドロキシ−2−ブチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{5−ヒドロキシ−1−(3−オキサペンチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{5−ヒドロキシ−1−(3−オキサペンチル)}−ピペラジン−4−メチル−2,3−ジオン、N,N’−ビス{5−ヒドロキシ−1−(3−オキサペンチル)}−ピペラジン−4,5−ジメチル−2,3−ジオン、N,N’−ビス{8−ヒドロキシ−1−(3,6−ジオキサオクチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{8−ヒドロキシ−1−(3,6−ジオキサオクチル)}−ピペラジン−4−メチル−2,3−ジオン、N,N’−ビス{8−ヒドロキシ−1−(3,6−ジオキサオクチル)}−ピペラジン−4,5−ジメチル−2,3−ジオン、N,N’−ビス{5−ヒドロキシ−1−(3−チアペンチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{8−ヒドロキシ−1−(3,6−ジチアオクチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{5−ヒドロキシ−1−(3−アザペンチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{8−ヒドロキシ−1−(3,6−ジアザオクチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[5−ヒドロキシ−1−{3−メチル−3−アザペンチル}]−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[8−ヒドロキシ−1−{3,6−ジメチル−3,6−ジアザオクチル}]−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシ−1−プロピル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{6−ヒドロキシ−2−ヒドロキシ−1−(4−オキサヘキシル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{6−ヒドロキシ−2−ヒドロキシ−1−(4−チアヘキシル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{6−ヒドロキシ−2−ヒドロキシ−1−(4−アザヘキシル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[6−ヒドロキシ−2−ヒドロキシ−1−{4−メチル−4−アザヘキシル}]−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{2−メルカプト−1−エチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{3−メルカプト−1−プロピル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{2−メルカプト−1−プロピル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{メルカプト−ブチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{4−メルカプト−1−ブチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{3−メルカプト−2−ブチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{5−メルカプト−1−(3−オキサペンチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{8−メルカプト−1−(3,6−ジオキサオクチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{5−メルカプト−1−(3−チアペンチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{8−メルカプト−1−(3,6−ジチアオクチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{5−メルカプト−1−(3−アザペンチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{8−メルカプト−1−(3,6−ジアザオクチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[5−メルカプト−1−{3−メチル−3−アザペンチル}]−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[8−メルカプト−1−{3,6−ジメチル−3,6−ジアザオクチル}]−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{3−メルカプト−2−ヒドロキシ−1−プロピル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{6−メルカプト−2−ヒドロキシ−1−(4−オキサヘキシル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{6−メルカプト−2−ヒドロキシ−1−(4−チアヘキシル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{6−メルカプト−2−ヒドロキシ−1−(4−アザヘキシル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[6−メルカプト−2−ヒドロキシ−1−{4−メチル−4−アザヘキシル}]−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{2−アミノ−1−エチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{3−アミノ−1−プロピル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{2−アミノ−1−プロピル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{アミノ−ブチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{4−アミノ−1−ブチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{3−アミノ−2−ブチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{5−アミノ−1−(3−オキサペンチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{8−アミノ−1−(3,6−ジオキサオクチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{5−アミノ−1−(3−チアペンチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{8−アミノ−1−(3,6−ジチアオクチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{5−アミノ−1−(3−アザペンチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{8−アミノ−1−(3,6−ジアザオクチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[5−アミノ−1−{3−メチル−3−アザペンチル}]−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[8−アミノ−1−{3,6−ジメチル−3,6−ジアザオクチル}]−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{3−アミノ−2−ヒドロキシ−1−プロピル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{6−アミノ−2−ヒドロキシ−1−(4−オキサヘキシル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{6−アミノ−2−ヒドロキシ−1−(4−チアヘキシル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{6−アミノ−2−アミノ−1−(4−アザヘキシル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[6−アミノ−2−アミノ−1−{4−メチル−4−アザヘキシル}]−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{2−(メチルアミノ)−1−エチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{3−(メチルアミノ)−1−プロピル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{2−(メチルアミノ)−1−プロピル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{(メチルアミノ)−ブチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{4−(メチルアミノ)−1−ブチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{3−(メチルアミノ)−2−ブチル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{5−(メチルアミノ)−1−(3−オキサペンチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{8−(メチルアミノ)−1−(3,6−ジオキサオクチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{5−(メチルアミノ)−1−(3−チアペンチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{8−(メチルアミノ)−1−(3,6−ジチアオクチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{5−(メチルアミノ)−1−(3−アザペンチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{8−(メチルアミノ)−1−(3,6−ジアザオクチル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[5−(メチルアミノ)−1−{3−メチル−3−アザペンチル}]−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[8−(メチルアミノ)−1−{3,6−ジ(メチルアミノ)−3,6−ジアザオクチル}]−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{3−メチルアミノ}−2−ヒドロキシ−1−プロピル}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{6−メチルアミノ}−2−ヒドロキシ−1−(4−オキサヘキシル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{6−メチルアミノ}−2−ヒドロキシ−1−(4−チアヘキシル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス{6−メチルアミノ}−2−アミノ−1−(4−アザヘキシル)}−ピペラジン−2,3−ジオン、N,N’−ビス[6−メチルアミノ]−2−アミノ−1−{4−メチル−4−アザヘキシル}]−ピペラジン−2,3−ジオン等が挙げられる。
【0040】
これらの一般式(2)及び一般式(3)で表される化合物に属する化合物は、有機重合体を得るに際して、1種または2種以上を併用することもできる。
【0041】
上述の同一分子内に少なくとも1個以上の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び少なくとも1個以上の反応性基を有する化合物は、Methoden der Organischen Chemie (1971,Vierte Auflage Herausgegeben von Eugen Muller)、及び新実験化学講座(1975,日本化学会)等の有機合成の総書に記載されているような一般的な反応を数多く利用して合成することができる。
【0042】
次に、同一分子内に1個の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び2個の反応性基を有する化合物を具体例としてその代表的な合成方法について説明する。
【0043】
【化9】
【0044】
▲1▼は、ピペラジン−2,3−ジオンの窒素原子にヒドロキシアルキル基を導入する反応である。ヒドロキシアルキル化剤としては、クロロエタノール、ブロモエタノール等のハロゲノエタノール類、アルキレンカーボネート類、アルキレンオキサイド類が代表的である。
【0045】
この反応においては、反応促進剤として塩基が好ましく用いられる。塩基としては、例えば、苛性ソーダ、苛性カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水素化ナトルム、水素化マグネシウム、水素化カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウムメチラート、t‐ブトキシカリウム、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ジメチルアニリン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられ、中でも苛性ソーダ、苛性カリウム、ナトリウムメチラート、t‐ブトキシカリウム、水素化ナトリウム、ナトリウム等の比較的に強い塩基の方が好ましい結果を与え易い。これらの塩基は、これらの塩基は、それぞれ単独で用いることもできるが、併用することもできる。
【0046】
▲2▼は、ピペラジン−2,3−ジオンのエポキシ化反応である。エポキシ化剤としては、エピクロルヒドリン、エポブロモヒドリン等のエピハロヒドリンが好ましく用いられる。この▲2▼の反応も、反応促進剤として、▲1▼と同様の塩基の他に、層間移動触媒が好ましく用いられる。
【0047】
層間移動触媒としては、例えば、テトラエチルアンミニウムハロゲライド、テトラエチルアンミニウムヒドロキシド、テトラブチルアンミニウムハロゲライド、トリメチルベンジルアンモニウムハロゲライド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。これらのなかでも、トリメチルベンジルアンモニウムハロゲライド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等用いた場合、好ましい結果を与え易い。
【0048】
これらの反応促進剤及び層間移動触媒は、単独使用のみならず、問題の無い範囲で、さまざまな種類を必要な量だけ使用してもよい。
【0049】
▲3▼は、アクリル酸またはメタクリル酸、ハロゲノカルボン酸類による、エポキシ基の開環反応である。この開環反応は、鎖延長化反応としても用いられ、例えば、メルカプトアルコール等のメルカプト化合物、或いはアミノアルコール等のアミノ化合物を反応させるといった方法等が用いられる。
【0050】
この反応も、反応促進剤として、▲1▼または▲2▼と同様に、塩基及び層間移動触媒が好ましく用いられる。
【0051】
鎖延長化反応として、例えば、相当するヒドロキシル基、メルカプト基またはアミノ基に、ハロゲノアルコール類、アルキレンカーボネート類、アルキレンオキサイド類を反応させる方法が挙げられる。
【0052】
▲4▼は、エチレンジアミン類にシュウ酸アルキル(アリール)エステル類を反応させて、閉環し、ピペラジン−2,3−ジオン骨格を合成する反応である。例えば、N−(2−ヒドロキシエチル)−N’−メチル−エチレンジアミンを用いれば、N−(2−ヒドロキシエチル)−N’−メチル− ピペラジン−2,3−ジオンが、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンを用いれば、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−2,3−ジオンが、1,2−プロピレンジアミンを用いれば、5−メチル− ピペラジン−2,3−ジオンが合成できる。
【0053】
▲5▼はヒドロキシ基にアクリル酸ハライドまたはメタクリル酸ハライド等を反応させる(メタ)アクリレート化反応で、通常、アクリル酸ハライドまたはメタクリル酸ハライドを、直接反応させる。例えば、前記のN−(2−ヒドロキシエチル)−N’−メチル− ピペラジン−2,3−ジオンは、N−{2−(メタ)アクリロイルオキシ−エチル}−N’−メチル− ピペラジン−2,3−ジオンへ誘導できる。同様にN,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−2,3−ジオンはN,N’−ビス {2−(メタ)アクリロイルオキシ−エチル}ピペラジン−2,3−ジオンへ誘導できる。
【0054】
ヒドロキシル基が、メルカプト基、アミノ基、またはメチルアミノ基に置き換わった化合物の場合、(メタ)アクリロイル−チオ基、(メタ)アクリロイル−アミノ基、(メタ)アクリロイル−メチルアミノ基に変換される。これらの基への変換には、ヒドロキシル基の場合と同様に、直接アクリル酸ハライドまたはメタクリル酸ハライドを反応させてもよいが、通常、マイケル付加による収率低下を抑制するために、一旦、クロロプロピオン酸クロライド等のハロゲノカルボン酸ハライド等を反応させてハロゲノカルボン酸エステルとし、次いで三級アミン等の塩基類を加えて脱ハロゲン化水素を行うといった方法を用いることができる。またアミノ基またはメチルアミノ基の場合、場合によっては、反応性を低下させる目的で、塩酸塩等の鉱酸塩にして反応させたり、アルキル(メタ)アクリレート類とのエステル交換反応を用いたりすることもできる。
【0055】
例えば、(メタ)アクリロイル−チオ基の合成を目的として、メルカプト基を合成する場合、通常、ヒドロキシ基からの変換反応がよく用いられる。例えば、ヒドロキシ基を、塩化チオニル、塩化スルフリル、五塩化リン、三臭化リン、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、メタンスルホニルクロライド、トリフルオロメタンスルホニルクロライド、ベンゼンスルホニルクロライド、トシルクロライド等の試剤と反応させて、ハロゲンまたはスルホネート等の電子吸引基に変換する。
【0056】
次いで、例えば、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、硫化ナトリウム等のアルカリ金属硫化物を反応させたり、チオ尿素を反応させてイソチウロニウム塩とし加水分解したり、チオ硫酸ナトリウム等を反応させてブンテ(Bunte)塩とし加水分解したり、N,N−ジアルキルジチオカルバミン酸アルカリ金属塩を反応させて加水分解したり、ジチオ炭酸O−アルキルアルカリ金属塩を反応させて加水分解したり、グリニャール(Grignard)試薬を反応させた後、硫黄を反応させ、最後に加水分解または還元したり、一旦チオール類を反応させてスルフィド類を合成し、次いでアルカリ金属等によって開裂するといった方法等が用いられる。これらの中では、イソチウロニウム塩を経由する方法が比較的に好ましく用いられる。
【0057】
次に、(メタ)アクリロイル−アミノ基、(メタ)アクリロイル−メチルアミノ基の合成を目的として、アミノ基またはメチルアミノ基を合成する場合、以下のような方法が用いられる。例えば、メルカプト基の場合と同様にヒドロキシ基の電子吸引基変換を行った後、アンモニア、金属アミド、またはメチルアミンを反応させる方法、Gabriel法、Delepine法、或いは変換したアミノ基に、沃化メチル、ジメチル硫酸等のメチル化剤を反応させてメチルアミノ化する方法等が挙げられる。
【0058】
以上で述べた各々の合成反応において、上に記載した塩基、層間移動触媒の他に、硫酸,塩酸、燐酸酢酸、三フッ化ホウ素、塩化アルミ、アルミナ、ジブチル錫ジオキサイド、ジブチル錫ジラウレート、テトラブチル錫等の酸触媒等も、反応促進剤として、単独使用のみならず、問題の無い範囲で、さまざまな種類を必要な量だけ使用してもよい。
【0059】
具体的化合物として、一般式(2)で表される化合物であるN,N’−ビス(2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシ−プロピル)−ピペラジン−2,3−ジオンの合成例を示せば、層間移動触媒の存在下、ピペラジン−2,3−ジオンと大過剰(5〜10倍モル)のエピクロルヒドリンを反応させた後、水酸化ナトリウムを加えて閉環し、N,N’−ジグリシジル−ピペラジン−2,3−ジオンを合成する。
【0060】
次に、得られたN,N’−ジグリシジル−ピペラジン−2,3−ジオンに、層間移動触媒の存在下、クロロプロピオン酸を反応させた後、トリエチルアミンを加えて脱塩酸反応を行い、目的とするN,N’−ビス(2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシ−プロピル)−ピペラジン−2,3−ジオンを合成する。
【0061】
上述の反応を利用して得られる同一分子内に少なくとも1個以上の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び少なくとも1個以上の反応性基を有する化合物は、これを単独で用いて重合させることができるが、同一分子内に少なくとも1個以上の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び少なくとも1個以上の反応性基を有する化合物と反応して有機重合体を与える官能基を有する反応性化合物を併用して重合させることもできる。
【0062】
同一分子内に少なくとも1個以上の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び少なくとも1個以上の反応性基を有する化合物と併用できる反応性化合物としては、例えば、炭素−炭素二重結合を少なくとも一つ以上有する化合物、(チオ)エポキシ化合物、メルカプト化合物、アミノ化合物等が挙げられる。これらのなかでもポットライフの面からは炭素−炭素二重結合を少なくとも一つ以上有する化合物は好ましい。また、ガラス・金属等への塗装時に、一般的に必要とされる接着性を向上させたい場合は、エポキシ化合物が好ましい。
【0063】
反応性化合物について、代表的な化合物を例示するならば、例えば、スチレン、イソプロペニルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−ベンゼン、ビス{(メタ)アクリロイルオキシメチル}−ベンゼン、2,2−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ−エチルオキシ−エチルオキシ−フェニル}−プロパン、2,2−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ−エチルオキシ−フェニル}−プロパン等の芳香族不飽和化合物類、
エチレングリコールジアリルカーボネート、ジエチレングリコールジアリルカーボネート、グリシジルメタクリレート、イソシアナトエチルメタクリレート、3−イソプロペニル−α,α−ジメチル−ベンジルイソシアナート、ビニルアセテート、ビニルアルコール、アリルアルコール、アクリル酸、メタクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビス{(メタ)アクリロイルオキシメチル}−シクロヘキサン、ビス{(メタ)アクリロイルオキシメチル}−トリシクロ [5.2.1.0.26]デカン、トリメチロールプロパントリス{(メタ)アクリレート}、N,N’,N’’−トリス(アリル)−イソシアヌレート、N,N’,N’’−トリス{(メタ)アクリロイルオキシ−エチル}−イソシアヌレート、1−イミダゾリジンプロパン酸−3−メチル−α−メチレン−2,4,5−トリオキソ−ジフェニルメチルエステル等の脂肪族不飽和化合類、
N−ビニル−オキサゾリドン、N−アリル−オキサゾリドン、N−アリルオキシカルボニル−オキサゾリドン、N−(メタ)アクリロイル−オキサゾリドン、N−アリルオキシカルボニルオキシエチル−オキサゾリドン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−オキサゾリドン等のオキサゾリドン系不飽和化合物類、N−ビニル−ピロリドン、N−アリル−ピロリドン、N−アリルオキシカルボニル−ピロリドン、N−(メタ)アクリロイル−ピロリドン、N−アリルオキシカルボニルオキシエチル−ピロリドン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−ピロリドン等のピロリドン系不飽和化合物類、
N−ビニル−N−メチル−アセトアミド、N−アリル−N−メチル−アセトアミド、N−アリルオキシカルボニル−N−メチル−アセトアミド、N−(メタ)アクリロイル−N−メチル−アセトアミド、N−アリルオキシカルボニルオキシエチル−N−メチル−アセトアミド、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N−メチル−アセトアミド、N,N−ジメチル−(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル−ビニルアミド、N,N−ジメチル−アクリルアミド等のアミド系不飽和化合物類、
ジビニルスルホン、ジアリルスルホン等のスルホン系不飽和化合物類、
N,N’−ジメチル−N,N’−ジビニル尿素、N,N’−ジメチル−N,N’−ジアリル尿素等の尿素系不飽和化合物類、
N−メチル−N’−ビニル−エチレン尿素、N−メトキシエチル−N’−ビニル−エチレン尿素、N,N’−ジビニル−エチレン尿素、N−メチル−N’−アリル−エチレン尿素、N−メトキシエチル−N’−アリル−エチレン尿素、N,N’−ジアリル−エチレン尿素、N−アリルオキシカルボニル−N’−メチル−エチレン尿素、N,N’−ビス(アリルオキシカルボニル)−エチレン尿素、N,N’−ビス(2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシ−プロピル)−エチレン尿素、N,N’−ビス{6−(N−メチル−イミダゾリジノニル−N’−)−2−(メタクリロイルオキシ)−4−チアヘキシル}−エチレン尿素、N−メタクリロイルオキシ−N’−メチル−エチレン尿素、N−(アクリロイルオキシ−エチル)−N’−メチル−エチレン尿素、N−(メタクリロイルオキシ−エチル)−N’−メチル−エチレン尿素、N−(アクリロイルオキシ−エチル)−N’−メトキシエチル−エチレン尿素、N−(メタクリロイルオキシ−エチル)−N’−メトキシエチル−エチレン尿素、N−(グリシジル−オキシ−エチル)−N’−メトキシエチル−エチレン尿素、N−(アクリロイルチオ−エチル)−N’−メトキシエチル−エチレン尿素、N−(アリルオキシカルボニルチオ−エチル)−N’−メトキシエチル−エチレン尿素、N,N’−ビス(アクリロイルオキシ−エチル)−エチレン尿素、N,N’−ビス(メタクリロイルオキシ−エチル)−エチレン尿素、N,N’−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ−エチル)−エチレン尿素、N,N’−ビス(アクリロイルチオ−エチル)−エチレン尿素、N,N’−ビス(アリルオキシカルボニルチオ−エチル)−エチレン尿素等のエチレン尿素系不飽和化合物類、
ビス(4−グリシジルオキシ−フェニル)−メタン、ビス(4−グリシジルオキシ−シクロヘキシル)−メタン、2,2−ビス(4−グリシジルオキシ−フェニル)−プロパン、2,2−ビス(4−グリシジルオキシ−シクロヘキシル)−プロパン、ビス(4−グリシジルオキシ−フェニル)−エーテル、4,4’−ビス(グリシジルオキシ)−2,2’,6,6’−テトラメチル−ビフェニル、1,5−ビス(グリシジルオキシ)−ナフタレン、ジグリシジル−1,2−シクロヘキサンジカルボキシレート、トリメチロールプロパン−トリス(グリシジルエーテル)、ネオペンチルグリコール−ビス(グリシジルエーテル)、ブタンジオール−ビス(グリシジルエーテル)、N,N−ジグリシジル−N−フェニル−アミン、N−(グリシジル)−N’−メチル−エチレン尿素、N,N’−ビス(グリシジル−オキシ−エチル)−エチレン尿素、N,N’−ビス(グリシジル−チオ−エチル)−エチレン尿素、N,N−ジグリシジル−パラバン酸等のエポキシ化合物類、
ビス(チオグリシジル)−スルフィド、ビス(チオグリシジル)−ジスルフィド、1,2−ビス(チオグリシジルチオ)−エタン、トリメチロールプロパン−トリス(チオグリシジルエーテル)、ネオペンチルグリコール−ビス(チオグリシジルエーテル)、ブタンジオール−ビス(チオグリシジルエーテル)、N,N’−ビス(チオグリシジル−チオ−エチル)−エチレン尿素等のチオエポキシ化合物類、
エタンジチオール、ブタンジチオール、1,2−ジメルカプト−3−プロパノール、1,2−キシリレンジチオール、1,3−キシリレンジチオール、1,4−キシリレンジチオール、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、1,2,3−トリメルカプトプロパン、4−(メルカプトメチル)−3,6−ジチアオクタン−1,8−ジチオール、4,8−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、エチレングリコール−ビス(チオグリコレート)、ブタンジオール−ビス(チオグリコレート)、トリメチロールプロパン−トリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(チオグリコレート)、エチレングリコール−ビス(3−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオール−ビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパン−トリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)等のメルカプト化合物類、
シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、1,2−エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,3−キジリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)−シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)−メタン、ビス(アミノメチル)−ノルボルナン、N,N−ビス(2−アミノエチル)ピペラジン−2,3−ジオン等のアミン化合物類等が挙げられる。
【0064】
なお、上述の反応性化合物は、有機重合体を得るに際して、2種以上を併用することができる。
【0065】
同一分子内に少なくとも1個の以上の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び少なくとも1個以上の反応性基を有する化合物を含有する重合性組成物において、同一分子内に少なくとも1個以上の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び少なくとも1個以上の反応性基を有する化合物と反応性化合物を併用する場合、その組成比は、特に制限を設けるものではなく、得られる有機重合体に要求する性質に応じて決定することができる。
【0066】
上述の重合性組成物の重合方法としては、一般的な重合方法を用いることができ、例えば、溶液重合、溶融重合等を用いることができる。
【0067】
重合方式としては、熱重合、放射線重合が代表的で、目的に応じて適時選択される。重合方式は、それぞれの方式を単独で行うことができるが、熱重合と放射線重合を組み合わせて行うことも可能である。
【0068】
重合方式として、例えば、大型の成形物の場合は熱重合が選択され易く、成形物が小型で短時間に製造したい場合は放射線重合が選択される傾向にある。外壁塗装等に代表されるような超大型塗装の場合は、太陽光を用いた放射線重合が選択され易く、比較的小型の塗装等には熱重合と放射線重合が好ましい。
【0069】
熱重合は、同一分子内に少なくとも1個以上の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び少なくとも1個以上の反応性基を有する化合物を含有する重合性組成物の溶融温度以上から、目的とする有機重合体のTg点以上または凡そ300℃以下の範囲で加熱することによって行われるが、室温(25℃)付近から徐々に昇温していってもよい。
【0070】
熱重合を行うに際し、必要に応じて、ラジカル重合触媒、アニオン重合触媒、カチオン重合触媒を用いることができる。これらの重合触媒はそれぞれ単独または組み合わせて用いることができる。重合触媒の選択及びその組み合わせは、重合性組成物中に存在する化合物及び組成比等に応じて適宜決定することができる。
【0071】
例えば、同一分子内に少なくとも1個の以上の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び少なくとも1個以上の反応性基を有する化合物または反応性化合物に、反応性基として(メタ)アクリロイル基及び炭素−炭二重結合が存在する場合は、ラジカル重合触媒を用いることが好ましい。反応性基として(メタ)アクリロイル基及び(チオ)エポキシ基が存在する場合は、ラジカル重合触媒とアニオン重合触媒またはラジカル重合触媒とカチオン重合触媒を併用するのが好ましい。反応性基として(メタ)アクリロイル基及びメルカプト基が存在する場合は、ラジカル重合触媒とアニオン重合触媒を併用するのが好ましい。反応性基として(メタ)アクリロイル基及びアミノ基が存在する場合は、ラジカル重合触媒または、ラジカル重合触媒とアニオン重合触媒を併用するのが好ましい。反応性基として炭素−炭素二重結合、(チオ)エポキシ基、メルカプト基、アミノ基が存在する場合は、ラジカル重合触媒及びアニオン重合触媒を併用するのが好ましい。
【0072】
上述の重合触媒を具体的に例示するとすれば、ラジカル触媒としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5,−トリメチルヘキサノエート、ジクミルパーオキサイド、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。
【0073】
アニオン触媒としては、例えば、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,3−キジリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)−シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)−メタン、ビス(アミノメチル)−ノルボルナン、4−アミノ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N−メチルピロリドン、ピペラジン、トリフェルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、ジメチルアミノ安息香酸エチル、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、2−ジメチルアミノエチル安息香酸イソアミル、2−ジメチルアミノエチル安息香酸−2−エチルヘキシル、酢酸ナトリウム、燐酸カリウム、ナトリウムメトキシド、2−メチル−イミダゾール、2−エチル−イミダゾール、2−フェニル−イミダゾール、ジシアンジアミド、商品名アミキュアーVDH{味の素(株)}、商品名アミキュアーLDH{味の素(株)}、商品名アミキュアーUDH{味の素(株)}、商品名アミキュアーPN−23{味の素(株)}、商品名アミキュアーPN−24{味の素(株)}、商品名アミキュアーMY−24{味の素(株)}、商品名キュアゾールHZ{四国化成工業(株)}、商品名キュアゾールCN{四国化成工業(株)}、商品名キュアゾールAZINE{四国化成工業(株)}、2,4,6−トリス(N,N−ジメチルアミノメチル)−フェノール、ジメチルベンジルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデカン(DBUと略す。)、テトラブチルホスホニウム・ベンゾトリアゾラート{日本化学工業(株)、商品名ヒシコーリンPX−4BT}等が挙げられる。
【0074】
カチオン触媒としては、例えば、硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフロロメタンスルホン酸、燐酸、酢酸、プロピオン酸、ジブチル錫ジオキサイド、ジメチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジラウレート、テトラブチル錫、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素・エチルアミン塩、三フッ化ホウ素・ピペリジン塩、テトラエトキシチタン、チタンオキサイド、酸化アルミ、フッ化アルミ、商品名オプトンCP−66{旭電化工業(株)}、商品名オプトンCP−77{旭電化工業(株)}等が挙げられる。
【0075】
これらの熱重合触媒の添加量は、重合性組成物中に存在する化合物の組成比等により異なるため限定できないが、それぞれの触媒を該重合性組成物に対して凡そ0.0001〜10wt%の範囲で用いるのが好ましい。0.001〜5wt%の範囲で用いればさらに好ましい。
【0076】
放射線重合の場合、重合は極めて早く、僅か数秒で終了することもある。特に、太陽光は屋上等の広い面積の重合を簡便に行うことができるため、工業的にも極めて価値の高い重合方法と言える。
【0077】
放射線重合は、同一分子内に少なくとも1個の以上の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び少なくとも1個以上の反応性基を有する化合物または反応性化合物に存在する反応性基が、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アリルカーボネート基、メルカプト基及びアミノ基である場合に用いることができる。
【0078】
放射線としては、400〜800nmの可視光、400nm以下の紫外線、及び電子線が挙げられ、通常、装置が高価な電子線よりも、比較的に安価な紫外線または可視光線が好ましく用いられる。但し、紫外線または可視光線が透過しない場合等には、電子線が極めて効果的である。
【0079】
電子線重合の場合は、重合触媒を必要としない場合もあるが、問題のない範囲で光重合触媒を加えてもよい。
【0080】
紫外線を用いて重合する場合、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、パルスキセノンランプ、紫外線レーザー、無電極放電ランプ等の光源が好ましく用いられる。
【0081】
放射線重合において、光重合触媒以外に、上記の熱重合で用いられるラジカル重合触媒、アニオン重合触媒、カチオン重合触媒を併用することもできる。
【0082】
光重合触媒としては、光ラジカル発生剤、光アニオン発生剤、光カチオン発生剤等が挙げられるが、光ラジカル発生剤、光カチオン発生剤が好ましい。
【0083】
光ラジカル発生剤としては、例えば、2,2−ジメチル−2−ヒドロキシ−アセトフェノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチルジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルホリルプロパン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アリルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド−3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、1−フェニル1,2−プロパンジオン−2(O−エトキシカルボニル)オキシム、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ジベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、ジベンズスベロン、2−エチルアンスラキノン、4’,4’’−ジエチルイソフタロキノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0084】
光カチオン発生剤は、同一分子内に少なくとも1個の以上の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び少なくとも1個以上の反応性基を有する化合物及び反応性化合物において、その反応性基が(メタ)アクリロイル基または炭素−炭素二重結合である化合物を酸素存在下で放射線重合させる場合に用いるのが好ましい。また、その反応性基がエポキシ基である化合物を放射線重合させる際の光重合触媒として用いることができる。
【0085】
光カチオン発生剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、ブレンステッド酸のオニウム塩または鉄芳香族化合物塩等が挙げられるが、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、ブレンステッド酸の鉄芳香族化合物塩は好ましい。
【0086】
芳香族スルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウム四フッ化ホウ素塩、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスホニウム塩、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアレセニウム塩、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモニウム塩、ジフェニルヨードニウム四フッ化ホウ素塩、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスホニウム塩、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアレセニウム塩、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモニウム塩等が挙げられる。また、フリーラジカルも発生する芳香族スルホニウム塩の改良型として市販されている商品名「Cyracure UVI−6974」(UCC)、「Cyracure UVI−6990」(UCC)、「オプトマー SP150」(旭電化工業)、「オプトマー SP170」(旭電化工業)等も挙げられる。
【0087】
ブレンステッド酸の鉄芳香族化合物塩としては、商品名「CG24−061」(Ciba Geigy)が挙げられる。
【0088】
これらの光重合触媒の添加量は、重合性組成物中に存在する化合物及びその組成比等によって異なるため限定できないが、それぞれの触媒を該重合性組成物に対して凡そ0.0001〜10wt%の範囲で用いるのが好ましい。0.001〜5wt%の範囲で用いればさらに好ましい。
【0089】
光重合触媒と熱重合触媒を併用した可視光重合を行うこともできる。重合速度が遅く所望の重合速度が得られない場合、カンファーキノン等の光増感剤を加えると重合速度を向上させ易い。
【0090】
同一分子内に少なくとも1個以上の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び少なくとも1個以上の反応性基を有する化合物を含有する重合性組成物を種々の形状の鋳型内で熱重合または放射線重合させることにより、鋳型の形状に応じた形状の成形体を得ることができる。また、該重合性組成物を用いた塗料を塗装対象物の表面に塗布し、放射線照射または加熱により重合させて塗装対象物の表面を塗膜で被覆することができる。
【0091】
同一分子内に少なくとも1個以上の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び少なくとも1個以上の反応性基を有する化合物を含有する重合性組成物を用いて得られる有機重合体のなかには、公知の有機重合体よりも親水性が高い、即ち、水接触角が小さい有機重合体が得られるものがあることが明らかとなった。
【0092】
例えば、同一分子内に少なくとも1個以上の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物として、一般式(2)で表される化合物を含有する重合性組成物を用いることにより、水接触角が30°以下の極めて高い親水性を有する有機重合体を得ることができる。
【0093】
本発明の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格を分子内に有する水接触角が30°以下の有機重合体は、公知の親水性を有する有機重合体が使用されている親水性材料への適用が期待できる。
【0094】
本発明の有機重合体が有する親水性が高く水に濡れ易いという性質を利用することで、表面に付着して汚れの原因となる水不溶成分、外気疎水性物質、自動車及び工場排気ガス等によるコークス成分、皮脂、蛋白質等の親油性汚染物質等を降雨、散水等によって汚染物質を浮き上がらせて脱離させる(セルフクリーニング)機能、または高湿度条件下での表面における水滴の形成、曇りの発生、結露を抑制する機能を、建物の外壁、部屋の内壁・内装、自動車の外装・内装に付与したり、藤壺付着性を抑制する機能を船底に付与したり、液滴形成及び汚染物質付着による熱交換効率低下を抑制する機能を冷却フィンの表面に付与することが期待できる。
【0095】
このような機能が求められる材料としては、防汚染材料、防曇り材料、結露防止材料、船底塗装材料の他に、例えば、眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、カメラレンズ、ピップアップレンズ、透明フィルム、有機ガラス等の光学材料、脱VOC化を目指した水性塗装材料または粉体塗装材料、さらに具体的に例示すれば、砂漠緑地化または一般的な植物の成長促進等に用いられる保水材料、廃水(液)吸収材料、ガーゼ、救急絆創膏、オムツ等の体液吸収材、シップ等の外用貼付剤、芳香剤等の薬剤含有粘着材料、保冷剤用ゲル材料、道路凍結防止材料、コンクリート添加材料、(光)接着剤用材料、テープ用材料、光硬化歯科材料、ディスプレイ隔壁用材料、整髪剤添加剤、シャンプー・リンス・コンディショナー・ボディー洗浄剤等の界面活性剤用添加材料、界面活性剤、(光硬化)インク、印刷凸版用材料、インクジェット用添加材料、インクジェット用シート・コピー用紙用添加剤、(カラー)トナー用材料、磁気ディスク・磁気テープ用バインンダー、フォトレジスト用材料、フィルムレジスト用材料、超伝導材料マトリックス用材料、血液保存容器、プラスチック成形品用材料等が挙げられる。
【0096】
なお、同一分子内に少なくとも1個以上の部分構造式(1)で表されるピペラジン−2,3−ジオン骨格及び少なくとも1個以上の反応性基を有する化合物を含有する重合性組成物には、所望する物性、特性、目的及び用途等に応じて、鎖延長剤、架橋密度向上剤、硬化剤、光増感剤、遅延剤、重合防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、色素、塗料、顔料、染料、インク、感光剤、発光剤、香料、殺菌剤、バインダー、フィラー、ポリマー、充填剤、ガラス、金属、金属酸化物、有機金属、塩、増量剤、離型剤、界面活性剤、発泡剤、炭酸ガス、空気、不活性ガス、水、溶剤等の有機・無機化合物を添加することもできる。
【0097】
前述の添加剤として、例えば、銀、リチウム等の金属、またはアクリル酸またはメタクリル酸のアルカリ金属塩等の有機金属塩、またはヨウ素及びヨードニウム塩等を加えることによって、透明性は損なわれる場合があるが、殺菌・抗菌性を付与したりする等、本発明の有機重合体の性質を大幅に変化させたり、新たな機能を付与したりすることも可能である。
【0098】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれらに実施例のみに限定されるものではない。ポリマー合成時の一連の操作等は、特に断りがない限り、室温で行った。
【0099】
水接触角の測定は、協和界面科学社製CA−V型を用いて、室温(25℃)で測定し、測定対象材料上の水滴について、任意の5点の測定結果平均値を測定結果とした。
【0100】
実施例1
N,N’−ビス(2−ヒドロキ−エチル)−ピペラジン−2,3−ジオン(以下、「HEPD」と略記する。)の合成
反応フラスコにN,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−エチレンジアミン148g(1.0モル)、シュウ酸エチル146g(1.0モル)、とエタノール3000mlを装入し、加熱還流下(78〜80℃)で10時間反応させた。得られた反応液を減圧濃縮し、残渣をイソプロパノールで再結晶し、減圧乾燥して、純度99%のHEPDを124g(純換収率=61%)得た。
【0101】
HEPDの同定データは以下の通りである。
1H−NMR → 図1参照。
【0102】
実施例2
N,N’−ビス(アクリロイル−オキシ−エチル)−ピペラジン−2,3−ジオン(以下、「AEPD」と略記する。)の合成
純度99%のHEPD100g(0.49モル)、トリエチルアミン103g(1.0モル)、アセトニトリル6000mlの混合液に、冷却しながら、アクリル酸クロライド92.3g(1.0モル)を10〜25℃で2時間以上かけて滴下し、25℃で6時間熟成した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をクロロホルムと飽和食塩水を加えて良く混合し、静置後、有機層を分取し、再び減圧濃縮した。最後に残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、純度98%のAEPDを42g得た(純換収率=27%)。
【0103】
AEPDの同定データは以下の通りである。
1H−NMR → 図2参照。
【0104】
参考例1
N,N−ビス(メタクリロイルオキシ−エチル)−メタンスルホンアミド(以下、「SADM」と略記する。)の合成
反応フラスコにメタノール400mlを装入し、温水浴下、内温を50〜60℃に調節しながらメタンスルホニルクロライド310.0g(2.62モル)を1時間以上かけて滴下した後、加熱して還流下(78〜80℃)で3時間保持した。引き続き、加熱還流下(78〜80℃)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン262.8g(2.50モル)を1時間かけて滴下し、さらにメタノールを留去しながら1時間加熱(80〜130℃)し、さらに130℃で1時間加熱した。加熱後40℃まで冷却し、重合禁止剤として2,6−ジ−t‐ブチル−4−メチル−フェノール0.22gと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−オキシル0.10gを加え、メタクリル酸クロライド565.0g(5.40モル)を内温40〜50℃で3時間かけて滴下し、45℃で3時間保持した。次いで室温まで冷却後、ジクロロエタン1500mlを加え、氷水浴下、K2CO3と10wt%Na2CO3水を徐々に加えて中和(pH試験紙で約7)し、分離した水層を廃棄後、有機層に無水硫酸マグネシウム(乾燥剤)を加えて有機層を乾燥した。
【0105】
次に濾過器を通して乾燥剤を分離した有機層に、2,6−ジ−t‐ブチル−4−メチル−フェノール0.40gと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−オキシル0.40gを加えて減圧濃縮して濃縮液を得た。濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製を行い、目的物を含む画分を得た。目的物を含む画分に2,6−ジ−t‐ブチル−4−メチル−フェノール0.4gと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−オキシル0.04gを添加して減圧濃縮を行った。
【0106】
この濃縮残渣を、トルエン・ヘキサン・クロロホルム混合液で再結晶を行い、濾別し、得られた結晶を減圧乾燥して、純度97%のSADMを177.0g得た(純換収率=22%)。このSADMのDSCによる融点は、85−93℃であった。
【0107】
参考例2
メタクリル酸2−[アセチル−(2−アセチルアミノエチル)−アミノ]−エチルエステル(以下、「DACAM」と略記する。)の合成
反応フラスコに2−(アミノエチルアミノ)エタノール104.2g(1.0モル)を装入し、冷却下、無水酢酸255.2g(2.50モル)を、25〜35℃で1時間以上かけて滴下し、65〜70℃で4時間加熱した。
【0108】
この反応液に、20gの水を滴下して過剰の無水酢酸を分解し、次いで40%水酸化ナトリウム水溶液250gを徐々に加えて中和した。
【0109】
この中和液を減圧濃縮し、残液にアセトニトリル500mlを加えた。濾過にて析出した結晶を分離し、濾液を再び減圧濃縮した。
【0110】
この濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、無色透明で高粘性のN−{2−[アセチル−(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エチル}アセトアミド(以下、「AHEAA」と略記する。)149gを得た。
【0111】
反応フラスコにAHEAA95g(0.50モル)とトリエチルアミン53.6g(0.53モル)及びアセトニトリル100mlを仕込み氷冷下,メタクリル酸クロリド55.4g(0.53モル)を5〜15℃で1時間かけて滴下した。10〜20℃で2時間熟成した後、濾過し、得られた濾液を減圧濃縮した。残液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、淡黄色高粘度の液体メタクリル酸2−[アセチル−(2−アセチルアミノエチル)−アミノ]−エチルエステル「DACAM」95.4gを得た(純度98% 純換収率=72%)。
【0112】
実施例3
重合組成物の調整−1
純度98%のAEPD5.0g、N−ビニル−N’−メチル−エチレン尿素(以下、「MVI」と略記する。)5.0g、水5.0gの混合液に、ラジカル触媒としてt−ブチルパーオクトエート25mg(0.25wt%)とt−ブチルパーオキシ−3,5,5,−トリメチルヘキサノエート25mg(0.25wt%)、内部離型剤としてビス(5−n−ブトキシ−1,4−ジメチル−3−オキサペンチル)リン酸20mg(0.2wt%)を加えて、40〜50℃で溶解して、重合性組成物を調整した。
【0113】
実施例4
重合体の製造−1
実施例3の重合性組成物10.0gを100ml透明サンプル瓶に装入し、40〜120℃で20時間以上かけて徐々に昇温して硬化させ、120℃でアニールした。冷却後、サンプル瓶を割って、成形体を取り出した。得られた樹脂は透明で、水接触角は9°であった。結果を表1に掲載する。
【0114】
実施例5
重合組成物の調整−2
純度98%のAEPD3.0g、SADM3.0g、DACAM3.0g、2,2−ビス(4−グリシジル−シクロヘキシル)−プロパン1.0g、水3.0g、光カチオン発生剤として4,4’−ビス{ジ(3−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ}フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート(旭電化工業、商品名オプトマーSP−170)160mg(1.6wt%)、ラジカル触媒としてt−ブチルパーオキシ−3,5,5,−トリメチルヘキサノエート30mg(0.3wt%)、内部離型剤としてビス(5−n−ブトキシ−1,4−ジメチル−3−オキサペンチル)リン酸30mg(0.3wt%)を加えて、30〜40℃で溶解し、重合性組成物を調整した。
【0115】
実施例6
有機重合体の製造−2
実施例5の重合性組成物10.0gを100ml透明サンプル瓶に装入し、強度50〜120mW/cm2の紫外線を照射して硬化させ、80〜110℃で加熱した。冷却後、サンプル瓶を割って取り出した成形体は、透明で、水接触角は25°であった。結果を表1に掲載する。
【0116】
実施例7
塗膜の形成
実施例5と同様に調整した重合性組成物10.0gに、分散染料 MLP Red−2(三井BASF染料)50mg(0.4wt%)加え、濾過して塗料を調整した。
【0117】
次に、この塗料を木材に塗付し、強度50〜120mW/cm2の紫外線を照射して塗料を硬化させ、60℃でアニールを行った。得られた塗膜は、木材に強固に密着し、赤色透明であった。
【0118】
実施例8
有機重合体の製造−3
純度98%のAEPD7.0g、DACAM3.0g、水15.0gを70〜80℃で溶解し、80〜120℃で60時間加熱して硬化させた。冷却後、サンプル瓶を割って、取り出した成形体は、透明で、水接触角は30°であった。結果を表1に掲載する。
【0119】
比較例1〜4
市販のスライドガラスと汎用樹脂の接触角を測定した。結果を表2に掲載する。
【0120】
比較例5〜7
表1に示したモノマーに、光開始剤として2,2−ジメチル−2−ヒドロキシ−アセトフェノン30mg(0.3wt%)、ラジカル触媒としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート30mg(0.3wt%)、内部離型剤としてビス(5−n−ブトキシ−1,4−ジメチル−3−オキサペンチル)リン酸20mg(0.2wt%)を加えて、実施例6と同様の条件で重合を行った。得られた樹脂の物性を表−2に掲載する。
【0121】
比較例8
アクリル酸を、比較例5〜7と同様の条件で樹脂化を試みたところ、重合はしたが、得られた樹脂は無数のヒビ・割れがあり、発泡していた。接触角は測定できなかった。
【0122】
【表1】
【0123】
【表2】
【0124】
【発明の効果】
本発明により、ピペラジン−2,3−ジオン骨格を有する高親水性有機重合体とその単量体であるピペラジン−2,3−ジオン骨格とアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する新規化合物を提供することができる。さらに、本有機重合体が有する高い親水性を利用して、新規な防汚染材料、防曇り材料、塗装材料、結露防止材料、及び光学材料等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたN,N’−ビス(ヒドロキシ−エチル)−ピペラジン−2,3−ジオン「HEPD」の1H−NMRチャートである。
【図2】実施例2で得られたN,N’−ビス(メタクリロイル−オキシ−エチル)−ピペラジン−2,3−ジオン「AEPD」の1H−NMRチャートである。
Claims (7)
- 請求項1記載の化合物を含有する重合性組成物。
- 請求項1記載の化合物、または請求項3記載の重合性組成物を重合して得られる有機重合体。
- 水接触角が30°以下である請求項4記載の有機重合体。
- 請求項4または請求項5記載の有機重合体からなる成形体。
- 請求項4または請求項5記載の有機重合体からなる膜。
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