JP3938887B2 - シートベルト用リトラクター - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両緊急時における初期段階のウエビングの引き出しを抑えて乗員の移動を抑制し、乗員に作用するエネルギーを吸収するエネルギー吸収機構を備えたシートベルト用リトラクターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車両等の座席に備えられるシートベルト装置は、ウエビングが緊急ロック機構を備えたリトラクターに巻き取られるように構成されている。そして、衝突時等においては、その衝撃力による加速度変化を感知して緊急ロック機構が作動し、ウエビングが巻装された巻取ドラムの回転を阻止することによりウエビングの引き出しを阻止し、乗員を拘束して保護するように構成されている。
【0003】
また、ウエビングに作用する引出力が予め設定された所定値を越えた場合には、トーションバーのねじれ変形等を利用して、ウエビングを所定荷重下で引き出させることにより乗員に生じる衝撃エネルギーを吸収するエネルギー吸収機構を備えたシートベルト用リトラクターも提案されている。
【0004】
この種のシートベルト用リトラクターとして、例えば、特開2002−53007号公報に開示のものがあり、ウエビングが巻装される巻取ドラムと、巻取ドラムに挿通されその一端側が巻取ドラムに一体的に結合されたトーションバーと、トーションバーの他端側に一体的に結合されたロッキングベースと、車両緊急時にロッキングベースと係合してウエビング引出方向への回転を阻止する緊急ロック機構と、緊急ロック機構作動後のウエビングに所定の荷重を付加しながらウエビングの引き出しを許容するエネルギー吸収機構とを備えた構造とされている。
【0005】
そして、車両緊急時の緊急ロック機構作動後、所定値以上の引出力がウエビングに作用した場合には、エネルギー吸収機構におけるトーションバーのねじれ変形と、巻取ドラムとロッキングベースとの相対回転の際、巻取ドラムとロッキングベースとの双方に係合する線材の屈曲路からの引出抵抗とにより、ウエビングに所定の荷重を付加しながらウエビングの引き出しを許容し、衝撃エネルギーの吸収を行う構造とされていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、トーションバーのねじれ変形による衝撃エネルギーの吸収特性としては、一般に、図21に示される如く、ねじれ変形開始直後のエネルギー吸収荷重は小さく、ねじれ変形量の増加に伴って徐々にエネルギー吸収荷重が大きくなっていく。
【0007】
一方、線材を屈曲路から引き出す際の屈曲路と線材との摩擦抵抗および屈曲路を通過する線材の屈曲抵抗との引出抵抗による衝撃エネルギーの吸収特性としては、図22に示される如く、常に一定のエネルギー吸収荷重となっている。
【0008】
そして、衝突時等におけるエネルギー吸収機構による開始直後のエネルギー吸収荷重を上げるべく、上記両者を組み合わせると、図23に示されるような衝撃エネルギーの吸収特性となる。この際、エネルギー吸収荷重が乗員に悪影響を与えない範囲の荷重の限界、いわゆる最大荷重限界F1を越えないように設定する必要がある。
【0009】
この場合の初期段階においても徐々にエネルギー吸収荷重が大きくなるため、組み合わされたエネルギー吸収荷重が最大荷重限界F1を越えないように、初期のエネルギー吸収荷重をある程度小さく設定する必要があり、最大限のエネルギー吸収効率が発揮できなかった。
【0010】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、初期段階において、より効率よくエネルギー吸収が行えるシートベルト用リトラクターを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決する為の手段】
上記課題を達成するための技術的手段は、ウエビングが巻装された巻取ドラムと、巻取ドラムに嵌挿されてその一端部が巻取ドラムの一端部に相対回転不能に結合されると共にウエビング巻取方向に回動付勢されたトーションバーと、車両緊急時に作動してトーションバーの他端部のウエビング引出方向の回転を阻止する緊急ロック機構と、巻取ドラムの他端部側面に近接する巻取部を有すると共にトーションバーの他端部に相対回転不能に結合されたプレート体と、プレート体に一端が取り付けられると共にその中間部が巻取ドラムの他端部側面に設けられた屈曲路に沿って配置されたワイヤーとを備え、車両緊急時の緊急ロック機構作動後、所定値以上の引出力が前記ウエビングに作用した際、前記トーションバーのねじれ変形と、前記プレート体と前記巻取ドラムとの相対回転による前記屈曲路からの前記ワイヤーの引出抵抗とによる衝撃エネルギー吸収下、ウエビングの引き出しが許容されるシートベルト用リトラクターにおいて、前記プレート体と前記巻取ドラムとの相対回転により前記屈曲路から引き出された前記ワイヤーを巻き取るプレート体の巻取部の外径が、ワイヤーの前記引出抵抗が減少するように巻き付け開始時よりワイヤーが巻き取られる方向に対して漸次縮小されている点にある。
【0012】
また、前記巻取ドラムの前記屈曲路における前記ワイヤーの引出方向が内向きとされている構造としてもよい。
【0013】
さらに、前記ワイヤーは前記プレート体に一体形成された複数の凸部によって形成された屈曲路に沿って配置され、該屈曲路の曲率半径が前記巻取ドラムにおける前記屈曲路の曲率半径より小さく形成されている構造としてもよい。
【0014】
また、前記プレート体における前記屈曲路を形成する各凸部の対向面に、少なくとも一組の相対向するリブが設けられると共に、そのリブ間距離が、前記ワイヤーの外径より小さい構造としてもよい。
【0015】
さらに、前記プレート体の前記巻取部が螺旋状に形成された構造としてもよい。
【0016】
また、前記プレート体の前記巻取部に巻き付けられる前記ワイヤーを、巻取部の軸方向にずらすための位置ずらし用のガイドテーパ部がプレート体に備えられた構造としてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明すると、図1ないし図6に示される如く、シートベルト用リトラクターは、ウエビングが巻装されるアルミ材等から形成された巻取ドラム2を備え、その軸心方向両端部には径方向に張出形成されたフランジ部2a、2bを有しており、その一方のフランジ部2a側に形成された結合孔部には、スチール材等からなる結合体3が相対回転不能に圧入固定される。
【0018】
そして、第1のエネルギー吸収機構を構成するトーションバー4が巻取ドラム2内に嵌挿されて、その一端部が圧入固定された前記結合体3にスプライン結合され、ここに、トーションバー4と巻取ドラム2とが一端部で互いに相対回転不能に結合された構造とされる。
【0019】
また、トーションバー4の他端部には、車両衝突時等の緊急時にシートベルトの引き出しを阻止するための緊急ロック機構の一部品を構成するラチェットホイール5がスプライン結合されている。
【0020】
前記巻取ドラム2を回転自在に支持するハウジング体6は、車体側に固定される背板6aとその両側縁より互いに対向して延設された側板6bとを備えた平面視略コ字状に構成され、両側板6b間で巻取ドラム2が回転自在に支持される構造とされている。
【0021】
即ち、巻取ドラム2の一端部は、巻取ドラム2に連結固定された結合体3が、一方の側板6bに形成された通孔に貫通状とされて適宜、支持構造を介して回転自在に支持される構造とされている。また、巻取ドラム2の他端部は、他方の側板6bに形成された通孔に貫通状とされるトーションバー4が適宜、支持構造を介して回転自在に支持されることにより、回転自在に支持される構造とされている。
【0022】
そして、前記従来公報にも開示のように、一方の側板6bには、結合体3に常時係合して巻取ドラム2をウエビング巻取方向に常時付勢する巻取バネ機構や、車両緊急時に結合体3に係合して巻取ドラム2を巻取方向に回転させ、ウエビングの緩みを除去するプリテンショナー機構を備え、他方の側板6bには、車両緊急時に図示省略のロック爪がラチェットホイール5に係合してウエビング引出方向の回転を阻止する緊急ロック機構を備える構造とされている。
【0023】
なお、このような緊急ロック機構としては、例えば、本願出願人による実用新案登録第2574488号公報等に開示のような従来の機構を適宜採用すればよく、巻取バネ機構やプリテンショナー機構も従来の機構を適宜採用すればよい。
【0024】
また、巻取ドラム2の他方のフランジ部2bとラチェットホイール5の相互間には、第2のエネルギー吸収機構が備えられており、第2のエネルギー吸収機構は、トーションバー4の他端部に相対回転不能に結合されるプレート体8と、巻取ドラム2の他方のフランジ部2bとプレート体8との間に配置されたステンレス等の金属材からなる線材状のワイヤー9とを備える。
【0025】
即ち、プレート体8は略円形の薄板状に構成され、その中心部に形成されたスプライン孔部8aに、トーションバー4にスプライン結合されたラチェットホイール5のスプライン軸部5aがスプライン結合されて、トーションバー4とプレート体8とが相対回転不能に結合される構造とされている。
【0026】
巻取ドラム2のフランジ部2bに対向するプレート体8の対向面外周部には、図5および図6に示される如く、ワイヤー9の一端部を保持する屈曲路10を構成すべく、複数の凸部11が一体形成されると共に、周方向に沿ってワイヤー9が巻き取られる巻取部12が一体形成されている。
【0027】
また、巻取部12の外径は、屈曲路10に保持されるワイヤー9の延設方向に沿って段階的に漸次縮小(図5に示されるように、R1>R2>R3>R4)された構造とされている。
【0028】
さらに、前記各凸部11の対向面には、図6に示される如く、3組の対向するリブ13が屈曲路10の深さ方向に沿って設けられており、対向するリブ13間距離がワイヤー9の外径よりも小さくなるように構成されている。
【0029】
前記プレート体8に対向する巻取ドラム2のフランジ部2bには、図1ないし図3に示される如く、プレート体8に形成された前記各凸部11や巻取部12を収容する収容凹部15が形成されると共に、外周部には一体形成された複数の凸部16によってワイヤー9が摺動案内される屈曲路17が構成されている。
【0030】
この際、凸部16は3個所とされ、屈曲路17から引き出されるワイヤー9の引出方向が径方向に対して内向きとされ、また、プレート体8における屈曲路10の曲率半径が、フランジ部2bにおける屈曲路17の曲率半径よりも小さい構造とされている。
【0031】
そして、プレート体8の屈曲路10にワイヤー9一端部の屈曲部が収容保持され、ワイヤー9中間部の屈曲部が巻取ドラム2のフランジ部2bにおける屈曲路17に沿って配置された状態で、フランジ部2bの収容凹部15にプレート体8の各凸部11や巻取部12が収容配置され、樹脂等で形成されたリテーナ18によりその組付け状態が保持されている。
【0032】
即ち、リテーナ18の外周部には、周方向に離隔して複数の係止孔18aが形成され、対応するフランジ部2b外周面には係止突部2cがそれぞれ形成されており、リテーナ18の各係止孔18aに各係止突部2cが係止されることにより、リテーナ18がフランジ部2bに取り付けられる構造とされている。
【0033】
また、図1における19や20は、樹脂等で形成された軸受用のブッシュである。
【0034】
本実施形態は以上のように構成されており、その動作について説明すると、通常のシートベルト使用時においては、ウエビングの引き出し時や巻き取り時に、トーションバー4と共に巻取ドラム2やプレート体8が一体に回転される。
【0035】
そして、衝突等の車両緊急時に緊急ロック機構が作動すると、ラチェットホイール5のウエビング引出方向の回転が阻止される。この状態でウエビングに負荷が作用し、所定値以上の引出力がウエビングに作用した場合、トーションバー4のラチェットホイール5と反対側の一端部側が回転され、トーションバー4のねじれ変形が開始され、このトーションバー4のねじれ変形に伴って巻取ドラム2がウエビング引出方向に回転し、第1のエネルギー吸収機構としてのトーションバー4による衝撃エネルギーの吸収がなされる。
【0036】
この際、ラチェットホイール5とプレート体8とがスプライン嵌合されているため、巻取ドラム2とプレート体8との相互間においても相対回転が生じ、第2のエネルギー吸収機構による衝撃エネルギーの吸収がなされる。
【0037】
即ち、第2のエネルギー吸収機構においては、図7に示される巻取ドラム2とプレート体8との初期状態より、巻取ドラム2がウエビング引出方向Pに相対回転されていく。
【0038】
そして、巻取ドラム2の回転に伴って、図8および図9に示される如く、プレート体8に一端部が固定保持されたワイヤー9が、各凸部16によって構成される屈曲路17から順次しごかれながら引き出されていく。この蛇行状とされた屈曲路17をワイヤー9が変形しながら通過する際、各凸部16とワイヤー9との相互間に摺動抵抗が生じると共にワイヤー9自体による屈曲抵抗が生じ、これら摺動抵抗および屈曲抵抗による引出抵抗によって衝撃エネルギーの吸収がなされる。
【0039】
また、巻取ドラム2の回転に伴って、図10に示される如く、ワイヤー9の他端部が屈曲路17から離脱した時点で、この第2のエネルギー吸収機構による衝撃エネルギーの吸収作用が終了し、以降はトーションバー4のねじれ変形による衝撃エネルギーの吸収のみとなる。
【0040】
以上のように、車両緊急時に緊急ロック機構が作動してラチェットホイール5の回転が阻止された状態で、ウエビング引出方向Pにウエビングに所定値以上の引出力が作用すると、巻取ドラム2がウエビング引出方向Pに回転し、トーションバー4による第1のエネルギー吸収機構とワイヤー9等による第2のエネルギー吸収機構との双方により、車両緊急時における衝撃エネルギーを吸収する。
【0041】
この際、トーションバー4のねじれ変形による衝撃エネルギーの吸収特性は、図21に示される如く、ねじれ変形量の増加に伴って徐々にエネルギー吸収荷重が大きくなっていく。
【0042】
一方、第2のエネルギー吸収機構においては、ワイヤー9が巻き取られる巻取部12の外径が、漸次縮小(R1>R2>R3>R4)されているため、巻取部12にワイヤー9が巻き取られるに連れて、屈曲路17を構成するワイヤー9の引出方向前側に位置する凸部16とワイヤー9との摺動先端位置が、隣接配置された引出方向後側の凸部16方向に漸次移動していくため、引出方向前側に位置する凸部16とワイヤー9との摺動面積が漸次減少する。
【0043】
従って、ワイヤー9の引出抵抗によるエネルギーの吸収特性は、図11に示される如く、ワイヤー9が巻取部12外周面に巻き取られる開始直後のエネルギー吸収荷重が大きく、徐々に小さくなっていくように構成される。なお、図中、仮想線は従来における一定のエネルギー吸収荷重の場合を示している。
【0044】
ここに、双方が組み合わされた本実施形態におけるエネルギー吸収機構によるエネルギーの吸収特性は、図12に示される如く、エネルギー吸収荷重が乗員に悪影響を与えない範囲の荷重の限界となる最大荷重限界F1にできるだけ沿わせることができ、車両緊急時におけるエネルギー吸収機構による衝撃エネルギーの吸収開始直後の初期段階におけるエネルギー吸収を、より効率よく行うことができる。
【0045】
また、ワイヤー9が巻き取られる巻取部12の外径を漸次縮小する簡単な構造であり、容易に製作できる利点もある。
【0046】
さらに、プレート体8における屈曲路10の曲率半径を巻取ドラム2における屈曲路17の曲率半径よりも小さく形成しているため、プレート体8と巻取ドラム2との相対回転時にワイヤー9を巻取ドラム2の屈曲路17から引き出すことができ、別途部材を用いなくても同一平面内での曲率半径の差だけでワイヤー9の固定を容易に行うことができ、構造の簡素化およびコンパクト化が図れる。
【0047】
また、本実施形態においては、各凸部11の対向面にリブ13が形成されその対向するリブ13間距離がワイヤー9の外径より小さくなるように構成されているため、屈曲路10に配置されたワイヤー9は各リブ13によってより強固に挟持されて固定される構造となり、プレート体8の側面に対し垂直方向に抜けにくくなり、組み付け時の初期設定を安定化させることができ、ガタツキ等による異音発生が有効に防止できる。そして、組み付け後は持ち運びや後工程での組立作業を容易に行うことができる利点もある。
【0048】
なお、本実施形態では、巻取部12の外径を段階的に漸次縮小する構造としているが、連続的に漸次縮小する構造としてもよく、この場合には、より滑らかにエネルギー吸収荷重を減少させていくことができ、衝撃エネルギーの吸収をより無駄なく最大荷重限界F1に近づけることができる。
【0049】
図13および図14は第2の実施形態におけるプレート体8を示しており、前記第1の実施形態と同様構成部分は同一符号を付し、その説明を省略する。
【0050】
即ち、本実施形態におけるプレート体8の巻取部12は、その外周面における外径が連続状に漸次縮小すると共に巻取部12の軸方向に突出する螺旋状に形成され、ワイヤー9が一周未満でなく、複数回にわたって巻取部12に巻き付けられる構造とされている。そして、巻取ドラム2側等は第1の実施形態と略同様に構成されている。
【0051】
この場合、第2のエネルギー吸収機構におけるワイヤー9の引出抵抗によるエネルギーの吸収特性は、図15に示される如く、ワイヤー9が巻取部12外周面に巻き取られる開始直後のエネルギー吸収荷重が大きく、その後、連続的に徐々に減少する構成とされ、ワイヤー9の巻き取りも複数回にわたるため、長い時間にわたってエネルギーの吸収作用が発揮される。
【0052】
従って、第1の実施形態と同様の効果だけでなく、トーションバー4との組み合わせによるエネルギーの吸収特性は、図16に示される如く、衝撃エネルギーの吸収開始直後から長い時間にわたって最大荷重限界F1でエネルギーの吸収を行うことができ、ここに、最大荷重限界F1でのエネルギーの吸収時間をより長くとることができ、初期段階におけるエネルギー吸収をより一層効率よく行うことができる。
【0053】
図17ないし図19は第3の実施形態におけるプレート体8を示しており、前記第2の実施形態と同様構成部分は同一符号を付し、その説明を省略する。
【0054】
即ち、第2の実施形態におけるプレート体8の巻取部12が巻取部12の軸方向に突出する螺旋状に連続して形成されているのに対し、本実施形態におけるプレート体8の巻取部12は、その外周面における外径が連続状に漸次縮小する点で同じであるが、巻取部12の軸方向に対して段差を有した構造で、螺旋状を形成した構造とされている。また、ワイヤー9も一周未満でなく、複数回にわたって巻取部12に巻き付け可能な長さを有した構造とされている。
【0055】
そして、屈曲路10近傍に位置した各凸部11に、巻取部12に巻き付けられるワイヤー9を巻取部12の軸方向にずらすための位置ずらし用のガイドテーパ部20が備えられた構造とされている。また、その他の巻取ドラム2側等は第1の実施形態と略同様に構成されている。
【0056】
従って、本実施形態によれば、巻取ドラム2とプレート体8との相対回転により、巻取部12にワイヤー9が順次巻き取られ、2周目になる位置でガイドテーパ部20によって段差を有して隣接配置された巻取部12側に案内されるため、2周目におけるワイヤー9の重なりが有効に防止でき、第2の実施形態と同様、ワイヤー9が巻取部12外周面に巻き取られる開始直後のエネルギー吸収荷重が大きく、その後も連続的に徐々に減少する構成とされ、ワイヤー9の複数回にわたる巻き取りによる長い時間にわたってエネルギーの吸収作用が発揮でき、第2の実施形態と同様の効果を奏する。
【0057】
図20は第4の実施形態における巻取ドラム2を示しており、前記第1の実施形態と同様構成部分は同一符号を付し、その説明を省略する。
【0058】
即ち、第1の実施形態における巻取ドラム2のフランジ部2bに形成された凸部16の数が3個所であるのに対し、本実施形態における巻取ドラム2のフランジ部2bに形成された凸部16の数が5個所とされ、屈曲路17が長く形成された構造とされている。
【0059】
そのため、屈曲路17に配置されたワイヤー9が引き出される際の引出抵抗がより大きく構成され、第2のエネルギー吸収機構によるエネルギー吸収荷重がより大きく得られる構造とされている。従って、第1の実施形態における構造では、エネルギー吸収荷重が小さくて希望する最大荷重限界F1が得難い場合に採用すればよい。
【0060】
なお、上記各実施形態におけるワイヤー9の材質としてステンレスを例示しているが、トーションバー4によるエネルギーの吸収特性に応じて最適なエネルギー吸収荷重が得られるように、ステンレスに限らず、鉄や銅等のその他の金属を選択してもよく、また、ワイヤー9の外径においても大径や小径等適宜、選択すればよい。さらには、屈曲路10、17の曲率半径も必要に応じて適宜決定すればよい。
【0061】
【発明の効果】
以上のように、本発明のシートベルト用リトラクターによれば、巻取ドラムの一端部に相対回転不能に結合されたトーションバーと、巻取ドラムの他端部側面に近接する巻取部を有すると共にトーションバーの他端部に相対回転不能に結合されたプレート体と、プレート体に一端が取り付けられると共にその中間部が巻取ドラムの他端部側面に設けられた屈曲路に沿って配置されたワイヤーとを備え、プレート体と巻取ドラムとの相対回転により屈曲路から引き出されたワイヤーを巻き取るプレート体の巻取部の外径が、ワイヤーの引出抵抗が減少するように巻き付け開始時よりワイヤーが巻き取られる方向に対して漸次縮小されているものであり、例えば、巻取ドラムの屈曲路におけるワイヤーの引出方向が内向きとされることによって、ねじれ変形量の増加に伴って徐々にエネルギー吸収荷重が大きくなっていくトーションバーによるエネルギー吸収作用と、開始直後のエネルギー吸収荷重が大きく、徐々に小さくなっていくワイヤーの引出抵抗によるエネルギー吸収作用との組み合わせ作用によって、エネルギー吸収荷重が乗員に悪影響を与えない範囲の荷重の限界となる最大荷重限界にできるだけ沿わせることができ、車両緊急時におけるエネルギー吸収機構による衝撃エネルギーの吸収開始直後の初期段階において、エネルギー吸収をより効率よく行うことができるという利点がある。
【0062】
また、ワイヤーはプレート体に一体形成された複数の凸部によって形成された屈曲路に沿って配置され、該屈曲路の曲率半径が巻取ドラムにおける屈曲路の曲率半径より小さく形成されている構造とすれば、プレート体と巻取ドラムとの相対回転時にワイヤーを巻取ドラムの屈曲路から引き出すことができ、別途部材を用いなくても曲率半径の差だけでワイヤーの固定を容易に行うことができると共にコンパクト化も図れる。
【0063】
さらに、プレート体における屈曲路を形成する各凸部の対向面に、少なくとも一組の相対向するリブが設けられると共に、そのリブ間距離が、ワイヤーの外径より小さい構造とすれば、屈曲路に配置されたワイヤーは各リブによってより強固に挟持されて固定されるため、プレート体の側面に対し垂直方向に抜けにくくなり、組み付け時の初期設定を安定化させることができ、組み付け後は持ち運びや後工程での組立作業を容易に行うことができるという利点がある。
【0064】
また、プレート体の巻取部が螺旋状に形成された構造とすれば、ワイヤーの引出抵抗によるエネルギー吸収荷重を開始直後から滑らかに減少させていくことができ、衝撃エネルギーの吸収をより効率よく行うことができる。
【0065】
さらに、プレート体の巻取部に巻き付けられるワイヤーを、巻取部の軸方向にずらすための位置ずらし用のガイドテーパ部がプレート体に備えられた構造とすれば、巻取部に順次巻き取られるワイヤーがガイドテーパ部によって巻取部の軸方向に案内されるため、ワイヤーの重なりが有効に防止でき、複数回にわたるワイヤーの巻き取りが可能となり、エネルギー吸収時間を長くとることができ、エネルギー吸収をより効率よく行うことができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す要部分解斜視図である。
【図2】同一部組付け状態の一部断面正面図である。
【図3】図2の一部断面側面図である。
【図4】トーションバーとラチェットホイールとの組付け説明図である。
【図5】プレート体の側面図である。
【図6】同一部拡大図である。
【図7】動作説明図である。
【図8】動作説明図である。
【図9】動作説明図である。
【図10】動作説明図である。
【図11】同ワイヤーの引出抵抗によるエネルギーの吸収特性図である。
【図12】第1の実施形態におけるエネルギーの吸収特性図である。
【図13】第2の実施形態を示すプレート体の側面図である。
【図14】図13におけるXIV−XIV線断面矢視図である。
【図15】同ワイヤーの引出抵抗によるエネルギーの吸収特性図である。
【図16】第2の実施形態におけるエネルギーの吸収特性図である。
【図17】第3の実施形態を示すプレート体の側面図である。
【図18】図17におけるXIIIV−XIIIV線断面矢視図である。
【図19】図17におけるXIX−XIX線断面矢視図である。
【図20】第4の実施形態を示す巻取ドラムの斜視図である。
【図21】トーションバーのねじれ変形によるエネルギーの吸収特性図である。
【図22】従来例としてのワイヤーの引出抵抗によるエネルギーの吸収特性図である。
【図23】従来のシートベルト用リトラクターにおけるエネルギーの吸収特性図である。
【符号の説明】
2 巻取ドラム
2a、2b フランジ部
4 トーションバー
5 ラチェットホイール
8 プレート体
9 ワイヤー
10 屈曲路
11 凸部
12 巻取部
13 リブ
15 収容凹部
16 凸部
17 屈曲路
20 ガイドテーパ部

Claims (6)

  1. ウエビングが巻装された巻取ドラムと、巻取ドラムに嵌挿されてその一端部が巻取ドラムの一端部に相対回転不能に結合されると共にウエビング巻取方向に回動付勢されたトーションバーと、車両緊急時に作動してトーションバーの他端部のウエビング引出方向の回転を阻止する緊急ロック機構と、巻取ドラムの他端部側面に近接する巻取部を有すると共にトーションバーの他端部に相対回転不能に結合されたプレート体と、プレート体に一端が取り付けられると共にその中間部が巻取ドラムの他端部側面に設けられた屈曲路に沿って配置されたワイヤーとを備え、
    車両緊急時の緊急ロック機構作動後、所定値以上の引出力が前記ウエビングに作用した際、前記トーションバーのねじれ変形と、前記プレート体と前記巻取ドラムとの相対回転による前記屈曲路からの前記ワイヤーの引出抵抗とによる衝撃エネルギー吸収下、ウエビングの引き出しが許容されるシートベルト用リトラクターにおいて、
    前記プレート体と前記巻取ドラムとの相対回転により前記屈曲路から引き出された前記ワイヤーを巻き取るプレート体の巻取部の外径が、ワイヤーの前記引出抵抗が減少するように巻き付け開始時よりワイヤーが巻き取られる方向に対して漸次縮小されていることを特徴とするシートベルト用リトラクター。
  2. 前記巻取ドラムの前記屈曲路における前記ワイヤーの引出方向が内向きとされていることを特徴とする請求項1記載のシートベルト用リトラクター。
  3. 前記ワイヤーは前記プレート体に一体形成された複数の凸部によって形成された屈曲路に沿って配置され、該屈曲路の曲率半径が前記巻取ドラムにおける前記屈曲路の曲率半径より小さく形成されていることを特徴とする請求項2記載のシートベルト用リトラクター。
  4. 前記プレート体における前記屈曲路を形成する各凸部の対向面に、少なくとも一組の相対向するリブが設けられると共に、そのリブ間距離が、前記ワイヤーの外径より小さいことを特徴とする請求項3記載のシートベルト用リトラクター。
  5. 前記プレート体の前記巻取部が螺旋状に形成されたことを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のシートベルト用リトラクター。
  6. 前記プレート体の前記巻取部に巻き付けられる前記ワイヤーを、巻取部の軸方向にずらすための位置ずらし用のガイドテーパ部がプレート体に備えられたことを特徴とする請求項に記載のシートベルト用リトラクター。
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