JP3938620B2 - 窓開閉装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビル、工場などに設けられた排煙窓等を、遠隔操作によって開閉操作する窓開閉装置に関し、特に、開窓操作において、全開窓操作(排煙用)と半開窓操作(換気用)とを容易に行うように改良されたものである。
【0002】
【従来の技術】
遠隔操作によって開閉される窓は、窓板をばね弾力、ガスステイなどで開窓方向に付勢しておき、閉窓時には、それらの窓板に連結したワイヤーケーブルを巻き取りドラムに巻き取ることによって付勢力に抗して閉窓し、巻き取りドラムと一体に設けた爪車の係止爪を係止することによって巻き取りドラムの逆転を阻止して閉窓状態を保持するとともに、開窓時には、巻き取りドラムの逆転阻止の係止を解除すると、付勢力によってワイヤーケーブルが巻き取りドラムから繰り出され、それによって開窓させることができる。
【0003】
こうした窓では、開窓する場合には、排煙等のために常に全開窓するわけではなく、換気などのために、半開窓などの全開窓に比べて小さな開窓角度だけ開窓させることが望まれるが、上記構成の窓では、全閉窓状態から一旦全開窓状態まで開窓した後に、改めて閉窓操作を行って、希望の開窓角度まで開窓角度を順に小さくさせる必要があり、閉窓状態から希望する開窓角度まで、直接開窓させることができなかった。
【0004】
このため、そうした要求に応えて、従来より、以下に述べるような、幾つかの構成が開発されている。
特開昭59−185276号(従来例a)のものでは、ワイヤー巻き取りドラムと連動する回転板の溝にロック爪が掛かることにより、開窓途中に巻き取りドラムを停止させて、所望の半開窓状態で停止させるようにしている。
また、特開昭61−286483号(従来例b)のものでは、ワイヤー巻き取りドラムと連動した凸状ガイドの切り欠きにピンが入るとロック爪が掛かり、開窓途中に巻き取りドラムを停止させるようにしている。
また、実開平4−47084号(従来例c)、特開昭61−250278号(従来例d)のものでは、ワイヤー巻き取りドラムの回転を、ネジの回転に転換し、ネジの回転により移動するナットを止めることにより、開窓途中に巻き取りドラムを停止させるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の各従来例では、それぞれ、以下のような問題がある。
従来例aのものでは、巻き取りドラムの回転を途中で停止させるための回転板は、巻き取りドラムの回転が歯車によって直接伝えられるため、全開窓と全閉窓との間の任意の開窓位置で窓板を停止させるようにするためには、歯車および回転板の径を大きくする必要があり小型化の障害となるとともに、停止させる半開窓の開度は、回転板に予め形成された溝にロック爪が掛かることによって決定されるため、溝の位置を使用者の要求に応じた開度に合わせて形成しなければならず、巻き取りドラムの回転位置(巻き取り回転数)と回転板の溝の位置とが一義的に決まるため、一旦、溝が形成された後では、開窓角度の調節ができない。
【0006】
また、従来例bのものでも、巻き取りドラムの回転を途中で停止させるためのピンが入り込む切り欠きが設けられた凸状ガイドは、巻き取りドラムの回転が歯車によって直接伝えられるため、任意の開窓位置で窓板を停止させるようにするためには、歯車および凸状ガイドの径を大きくする必要があり小型化の障害となるとともに、停止させる半開窓の開度は、凸状ガイドの切り欠きの位置で決まるため、切り欠きの位置を使用者の要求に応じた開度に合わせて形成しなければならず、巻き取りドラムの回転位置(巻き取り回転数)と切り欠きの位置とが一義的に決まるため、一旦、切り欠きが形成された後では、開窓角度の調節ができない。
【0007】
また、従来例c、dでは、ワイヤー巻き取りドラムの回転に応じたネジの長さが必要となり、ネジ部が小型化できない。また、ワイヤー引き力によりネジがナットに食い込む量が変わるため、換気(半開窓)位置が正確に決められないとともに、ナットの側面を当板面に摺動させることによってネジの回転時に移動させているため、ネジの磨耗等が生じ易く、長期間に亙って安定した作動を確保することが困難である。
【0008】
本発明は、排煙窓の開窓および閉窓を行う窓開閉装置において、全開窓のみでなく、換気などのために窓を全開窓しないで予め設定された中途開度に半開窓させる場合の半開窓角度を任意の角度に容易に設定することができ、長期間に亙って安定した作動を維持できる窓開閉装置(ハンドルボックス)を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、請求項1では、窓孔に窓板を開窓付勢して取り付けた窓を、前記窓板に連結されたワイヤーケーブルを巻き取るために設けられた巻き取りドラムからの前記ワイヤーケーブルの繰り出しおよび前記巻き取りドラムによる巻き取りによって開閉する窓開閉装置において、少なくとも前記巻き取りドラムの前記繰り出し方向への回転を停止させるための回転停止手段と、前記巻き取りドラムの回転速度を複数の歯車により減速伝達する歯車機構と、前記巻き取りドラムの回転を前記歯車機構へ伝達する回転伝達手段であって、前記巻き取りドラムの回転を前記歯車機構へ伝える回転伝達位置と前記巻き取りドラムの回転を前記歯車機構へ伝えない回転非伝達位置とに変移可能に配置された回転伝達制御手段と、前記歯車機構を介して伝達される回転により回動する回動部材を備え、前記巻き取りドラムが前記ワイヤーケーブルの繰り出し方向に回転する場合に、前記回動部材の回動によって前記回転停止手段を作動させて前記巻き取りドラムの回転を停止させる回転停止制御手段とを具備することを技術的手段とする。
【0010】
これにより、本発明では、回転伝達制御手段が回転伝達位置にあるときには、巻き取りドラムがワイヤーケーブルの繰り出し方向に回転すると、その回転が回転伝達制御手段を介して歯車機構へ伝達され、さらに回転停止制御手段の回動部材に伝達されて、回転停止手段を作動させる。この結果、巻き取りドラムの回転が停止して、ワイヤーケーブルの繰り出しが停止され、窓板の開窓動作が全開窓状態に達する前に途中停止する。
【0011】
このとき、巻き取りドラムの回転が窓板の開窓動作中に停止された状態で、回転伝達制御手段を回転非伝達位置に変移させると、巻き取りドラムの回転は歯車機構へ伝達されなくなり、回転停止制御手段の回動部材は、巻き取りドラムを途中停止させる回動位置に停止したままとなる。
この状態で、巻き取りドラムを回転させると、窓板の開窓角度は巻き取りドラムによるワイヤーケーブルの巻き取り回転数に応じて変化する。巻き取りドラムの回転が停止されるのは、巻き取りドラムの回転が伝達される回動部材の回動位置が、回転停止手段を作動させる位置まで回動したときである。従って、回転停止制御手段を、回転停止手段による巻き取りドラムの回転停止状態にしたまま、窓板の開窓角度のみを、所望の開窓角度に変更することができる。
【0012】
窓板の開窓角度を所望の角度に設定し直した後に、回転伝達制御手段を回転伝達位置に戻すと、巻き取りドラムの回転が歯車機構へ伝達される状態に戻すことができる。
その後、巻き取りドラムのワイヤーケーブルの繰り出し中に、回転停止制御手段によって巻き取りドラムの回転を停止させると、設定し直した開窓角度になったとき、巻き取りドラムの回転が停止して、窓板を所望の開度にすることができる。
【0013】
このように、本発明では、回転伝達制御手段を、巻き取りドラムの回転を歯車機構へ伝達する回転伝達位置と回転非伝達位置とに変移可能に配置したので、巻き取りドラムのワイヤーケーブルの繰り出し時に、その回転を停止させる回転停止手段の作動の時期を、ワイヤーケーブルの繰り出し長さに相当する巻き取り回転数に対応させて記憶させることができ、任意の開窓角度を容易に設定することができる。
【0014】
請求項2では、請求項1において、前記回転伝達制御手段は、前記巻き取りドラムに備えられたドラムギヤと前記歯車機構の回転入力用ギヤとに噛み合う回転伝達用歯車を前記回転伝達位置と前記回転非伝達位置との間で変移可能に配した歯車式回転伝達制御手段であることを技術的手段とする。
これにより、請求項2では、巻き取りドラムの回転を歯車機構および回動部材へ伝達するのに、回転伝達用歯車を用いているため、回転停止制御手段の作動が巻き取りドラムの巻き取り回転数に確実に対応するため、開窓角度に変動が生じないとともに、長期間に亙って安定した作動を確保することができる。
【0015】
請求項3では、請求項2において、前記歯車式回転伝達制御手段は、前記回転伝達用歯車を該回転伝達用歯車の回転軸方向に変移可能に配置したことを技術的手段とする。
請求項3では、回転伝達用歯車の回転伝達位置と回転非伝達位置とを回転軸方向に設けたため、噛み合いの際に、歯先すきまが大きくなって噛み合いが不完全になるなどの不具合を生じないため、開窓角度に誤差が生じることがなく、安定した作動を確保できる。
【0016】
請求項4では、請求項1から3において、前記回転停止手段は、前記巻き取りドラムに備えられた爪車と係合して前記巻き取りドラムの前記繰り出し方向への回転を阻止するためのロック爪を備え、前記ロック爪が前記爪車から離脱する退避位置と前記ロック爪が前記爪車と係合する係合位置との間で揺動可能に配置された爪レバーであることを技術的手段とする。
請求項5では、請求項4において、前記回動部材は、前記巻き取りドラムが繰り出し方向に回転するとき前記爪レバーに当接する爪レバー当接部材を備え、前記回転停止制御手段は、前記巻き取りドラムが繰り出し方向に回転するとき前記爪レバー当接部材により前記爪レバーを前記係合位置側に向かって揺動させ、前記巻き取りドラムによる前記ワイヤーケーブルの巻き取り回転数が所定の回転数に達したとき、前記爪レバーを前記係合位置まで移動させる爪レバー駆動手段であることを技術的手段とする。
【0017】
請求項4、5では、巻き取りドラムの回転を途中停止させるために、巻き取りドラムに爪車を備えて、巻き取りドラムの回転をロック爪を係合させることによって途中停止させるため、巻き取りドラム自体の回転数は大きくてもトルクは小さいため、巻き取りドラムを停止させるための力を、小さくすることができる。
この結果、請求項5のように、爪レバー駆動手段としては、爪レバーを係合位置側に向かって揺動させるための爪レバー当接部材を回動部材に設けるだけでよい。
従って、単純にロック爪を巻き取りドラムの爪車に係合させるための駆動力を確保するだけでよく、回転停止のための部材の強度の向上のために、各部材を大型化するなどの必要がなく、小型の装置とすることができる。
【0018】
請求項6では、請求項5において、前記爪レバー駆動手段は、前記回動部材により前記爪レバーを前記係合位置まで揺動させることが可能な爪レバー駆動位置と、前記回動部材により前記爪レバーを前記係合位置まで揺動させることが不可能な待機位置との間で揺動可能に設けられ、前記爪レバー駆動位置に配された場合のみに前記爪レバーにより前記巻き取りドラムの前記繰り出し方向への回転を停止させて、前記窓板を全開窓へ向かう途中の半開窓位置で開窓を停止させることを技術的手段とする。
これにより、請求項6では、爪レバー駆動手段が駆動位置に配された場合には、巻き取りドラムのワイヤーケーブルの繰り出し方向への回転に応じて回動部材が回動すると、爪レバーをロック爪が巻き取りドラムの爪車に係合する係合位置まで駆動して、窓板の開窓中に巻き取りドラムの回転を停止させて、待機位置に配された場合には、爪レバーを駆動しないため、巻き取りドラムの回転が停止せず、窓板はワイヤーケーブルが繰り出される限界まで開窓する(全開窓)。
従って、爪レバー駆動手段を揺動させて、その配置を司ることによって、窓板の全開窓と半開窓とを切り換えることができる。
【0019】
請求項7では、請求項1から6において、前記歯車機構は、複数組の間欠ギヤであることを技術的手段とする。
請求項7では、複数組の間欠ギヤを用いているため、巻き取りドラムの回転数に対して大きな減速比で回転速度を低下させることができる。従って、間欠ギヤを使わない場合と比較して、同じ大きさのギヤを用いた場合の減速比を大きくすることができるため、小型の装置とすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の窓開閉装置の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
本実施例のハンドルボックス10は、図1に示すように、建物の壁面に横方向に設けられた窓装置1において、複数の窓孔2の窓板3を開閉するために用いられる。各窓板3は、下縁部3aで窓孔2の下辺部2aに対して蝶番(図示なし)によって連結されて、上縁部3b側が回動自在に支持されている。
【0021】
各窓板3の側縁部3cは、各窓板3を開窓方向に付勢するための押圧部材4の一端によりそれぞれ支持されており、各押圧部材4の他端は、各窓孔2の側辺部2cにそれぞれ取付けられている。
押圧部材4は、例えば、シリンダ内部に圧縮コイルばねや圧縮ガスが収容されてシリンダ内のピストンを常時押し出し方向に付勢するもので、ここでは、窓板3を常時開窓方向へ付勢している。
【0022】
各窓孔2の上辺部2bおよび各窓板3の上縁部3bでは、後に詳述するハンドルボックス10に接続されたワイヤーケーブル5が、複数の滑車6に連続して掛け渡されており、ハンドルボックス10によってワイヤーケーブル5が巻き取られると、各押圧部材4がその付勢力に抗して押し縮められながら各窓板3を閉窓方向へ変移させる。
【0023】
また、ハンドルボックス10において、開窓操作が行われて、ワイヤーケーブル5の巻き取り保持状態が解除されると、各押圧部材4の付勢力によって各窓板3が開窓方向へ駆動され、ワイヤーケーブル5をハンドルボックス10から繰り出しながら窓板3が開窓方向へ変移する。
なお、上記の各窓板3では、下縁部3aが回動のための支持位置となっていて、各窓板3の上縁部3b側が開窓変移するようにしているが、上下を逆にして、回動のための支持位置を各窓板3の上縁部3bとし、下縁部3a側を開窓変移するようにしてもよい。
【0024】
ハンドルボックス10は、上記構成のとおり設けられた各窓板3の開閉操作において、窓板3の開窓操作として、排煙などのための全開窓操作のみでなく、特に、換気のために設定された角度まで窓板3を開窓させて途中停止させる半開窓操作ができるように、2段階の開窓操作を簡単な操作で行うことができるとともに、半開窓操作における窓板3の開窓角度を任意の角度に容易に設定することができるように改良されたものである。以下、ハンドルボックス10内の構造を、図2から図12に基づいて説明する。
【0025】
ハンドルボックス10は、図2に示すように、本体ケース11と蓋板12とからなり、蓋板12内には、ワイヤーケーブル5の巻き取り操作を行うための折り畳み式のハンドル13が収納されている。
ハンドル13は、図3に示すとおり、ハンドル13を蓋板12から取り外すと操作握り14が露出して、蓋板12に回転自在に支持された基端部15を中心とした回転によって蓋板12の裏側のハンドル軸(図示なし)が回転し、巻き取り機構20によるワイヤーケーブル5の巻き取り操作が可能となる。
【0026】
本体ケース11内には、図4に示すとおり、ハンドル13のハンドル軸が内側に嵌合されてワイヤーケーブル5を巻き取るための巻き取り機構20と、巻き取り機構20の回転数を低減させるための第1層ギヤ部100、第2層ギヤ部200、第3層ギヤ部300、第4層ギヤ部400の4層のギヤ層からなるギヤ部と、押しボタン18の押し操作に応じて巻き取り機構20における巻き取り保持状態を解除して窓板3を開窓させるとともに、ギヤ部によって伝達される回転によって窓板3の開窓動作を中途位置で停止させて半開窓を行うための開窓制御機構500とが、本体ケース11内に配置された奥フレーム16と手前フレーム17との間に設けられている。
【0027】
巻き取り機構20は、ワイヤーケーブル5を巻き取るための巻き取りドラム21を、窓板3の閉窓時にはハンドル13の回転操作によって回転させるとともに、ワイヤーケーブル5の繰り出し時には、ハンドル13とは関係なく、巻き取りドラム21を自由に回転させるようにしたもので、後述する遊星歯車機構を備えている。
巻き取りドラム21には、奥フレーム16側の端部に、フランジ21Aが一体に形成されており、フランジ21Aの奥フレーム16側には、環状の巻取側爪車22が取り付けられている。
【0028】
巻取側爪車22は、図9に示すように、巻き取りドラム21の図示右回転方向の回転を阻止ための係止歯22Aが外周に形成され、内周には遊星歯車機構の一部を構成する内歯22Bが形成されている。
巻取側爪車22の内側には、遊星歯車機構の一部を構成する2個の遊星ギヤ23が配され、これら2個の遊星ギヤ23の中心軸は、巻き取りドラム21側はフランジ21Aの内側で、奥フレーム16側は、環板状のキャリアとして設けられた遊星側爪車24にそれぞれ回転自在に支持されている。遊星側爪車24の外周には、巻取側爪車22と同様に、右方向の回転を阻止するための係止歯(図示なし)が形成されている。
【0029】
2個の遊星ギヤ23の内側には、遊星歯車機構の太陽歯車となるハンドル軸ギヤ30が、2個の遊星ギヤ23と噛み合わされるように配される。
ハンドル軸ギヤ30は、図10に示すように、歯部31の両側にそれぞれ円筒形状部32、34を備え、ハンドル軸ギヤ30の円筒形状部32の内側は、ハンドル軸を差し込むための六角形のハンドル軸差し込み穴33が形成されている。一方、円筒形状部34の奥フレーム16側には、復帰用爪車25の中心と嵌合するために突出した嵌合部35が備えられている。
【0030】
以上の構成からなる巻き取り機構20は、巻き取りドラム21およびハンドル軸ギヤ30が、軸受用の摺動部材36を介して手前フレーム17に対して回動自在に支持されており、遊星側爪車24が摺動部材37を介して奥フレーム16に対して回転自在に支持されている。また、ハンドル軸ギヤ30と一体回転する復帰用爪車25は、摺動部材38を介して奥フレーム16に対して回転自在に支持されている。
【0031】
これによって、遊星側爪車24の係止歯が後述する爪レバー530のロック爪532に係止されている状態で(図13参照)、ワイヤーケーブル5の巻き取り操作として、ハンドル13を巻き取り方向に回転(ここでは右回転)させると、遊星側爪車24に軸支された各遊星ギヤ23が、ハンドル軸ギヤ30との噛み合いにより左方向に回転する。このとき、遊星側爪車24は係止されていて右回転できないため、各遊星ギヤ13が巻取側爪車22の内歯22Bとの噛み合いによって、巻取側爪車22を左回転させる。
【0032】
従って、巻取側爪車22は、ハンドル軸ギヤ30の歯数と巻取側爪車22の内歯22Bの歯数との比に応じて分減速されて左回転方向に駆動される。
この結果、巻き取りドラム21は、巻取側爪車22によって左回転方向に駆動されて、ワイヤーケーブル5を巻き取る。
尚、ここでは、ハンドル軸ギヤ30の歯数と巻取側爪車22の内歯22Bの歯数との比は、14:34に設定されており、巻取側爪車22すなわち巻き取りドラム21の回転数を、ハンドル13の回転数の約1/2.4倍に低減させることができる。
【0033】
ワイヤーケーブル5の巻き取りが完了して、巻き取りドラム21が左回転しなくなると、ハンドル13を回転させることができなくなり、巻き取りの操作を終了すると、巻取側爪車22および遊星側爪車24の係止歯22Aがロック爪532に係止されるため、閉窓状態を保持できる。
【0034】
一方、後述する開窓制御機構によって、巻取側爪車22の係止歯22Aおよび遊星側爪車24の係止歯(図示なし)の係止が解除された場合には、ワイヤーケーブル5の繰り出し力によって巻き取りドラム21は、繰り出し方向(右回転方向)に回転しようとする。このとき、ハンドル軸ギヤ30がハンドル13とともに停止状態にあっても、巻き取りドラム21とともに巻取側爪車22が繰り出し方向(右回転)に回転すると、それに応じて遊星ギヤ23が右回転しながら、ハンドル軸ギヤ30の軸周を右回転方向に公転することになり、このとき、遊星側爪車24も遊星ギヤ23の公転に合わせて右回転する。
従って、ハンドル軸ギヤ30が停止していても、巻き取りドラム21をワイヤーケーブル5の繰り出し方向(右回転)に回転させることができる。
【0035】
以上の作動をする巻き取り機構20において、巻き取りドラム21には、フランジ21Aの反対側の端部に、巻き取りドラム21の回転を第1〜4層ギヤ部100、200、300、400を介して開窓制御機構へ伝達するための多数の歯が外周に形成されたドラムギヤ101が取付けられている。
なお、このドラムギヤ101は、巻き取りドラム21の他端において、巻き取られるワイヤーケーブル5をガイドするためのフランジを兼用している。
【0036】
次に、ドラムギヤ101の回転を、停止アーム510の停止爪520に伝達するためのギヤ部を説明する。
ギヤ部は、図5に示す手前フレーム17の裏側に奥フレーム16側へ向かって、第1層ギヤ部100、第2層ギヤ部200、第3層ギヤ部300、第4層ギヤ部400の4層のギヤ部が配されている。
【0037】
最表層の第1層ギヤ部100には、図6に示すように、アイドラーギヤ110、中間ギヤ120、制動用ギヤ130の3種類のギヤが配されている。
アイドラーギヤ110は、ドラムギヤ101の回転を中間ギヤ120へ伝えるためのものであるが、後述する開窓制御機構における開窓停止の位置を設定するための開窓開度設定手段ともなっている。詳細については、後述する。
【0038】
中間ギヤ120の中心部には、図10に示すように、その回転軸となるメインシャフト102の軸方向の一部を対向した平面状に削除して形成された対向面部102Aに嵌合するように、幅狭部121が備えられた中心穴122が設けられていて、中心穴122はメインシャフト102の対向面部102Aに嵌合されている。
【0039】
一方、アイドラーギヤ110と対向する側で、中間ギヤ120に対して噛み合わされて設けられた制動用ギヤ130は、手前フレーム17の内側に設けられた遠心ブレーキ(図示なし)を回転軸131に外嵌して回転駆動するためのものである。
【0040】
遠心ブレーキは、ばねによって軸心方向に付勢された複数の摺動用部材が、制動用ギヤ130の回転時に、その遠心力によって遠心方向へ変移するように構成された公知のもので、制動用ギヤ130の回転速度が一定速度以上になると、図5に示すように手前フレーム17の裏側に設けられた制動部17Aの制動用摺動面に摺動用部材が摺動して、その摩擦力によって制動用ギヤ130の回転速度を一定速度以上に大きくならないように制動する。
この回転速度の制限によって、ワイヤーケーブル5の繰り出し動作時において、巻き取りドラム21の回転速度が制限されて、急速度での繰り出し動作を防止することができる。
【0041】
以上の構成によって、第1層ギヤ部100では、巻き取りドラム21が回転するとき、ドラムギヤ101の回転がアイドラーギヤ110を介して中間ギヤ120に伝達されて、メインシャフト102を巻き取りドラム21の回転方向と同一方向へ回転駆動する。
【0042】
第1層ギヤ部100の下層側に位置する第2層ギヤ部200には、図7に示すように、第1の間欠ギヤ組となる間欠ギヤ210、220が設けられている。
間欠ギヤ210は、上述の第1層ギヤ部100の中間ギヤ120によって駆動される能動側のギヤとして設けられたもので、周縁の一部のみに2個の歯からなる駆動用歯部211が形成され、周縁の他部は、間欠ギヤ210の半径に応じた円弧形状を呈する円弧形状部212となっている。
【0043】
間欠ギヤ210の中心には、中心穴213が形成され、中心穴213には、図10に示すように、中間ギヤ120と同様にメインシャフト102の対向面部102Aに対応するように幅狭部214が設けられている。間欠ギヤ210は、中心穴213内にメインシャフト102が挿入されて、対向面部102Aと幅狭部214とが整合して、嵌合されている。
これにより、上述の第1層ギヤ部100の中間ギヤ120が回転すると、間欠ギヤ210は、メインシャフト102を介して同回転方向に回転駆動され、中間ギヤ120とともに一体回転する。
【0044】
間欠ギヤ220は、受動側のギヤとして設けられたもので、間欠ギヤ210の駆動用歯部211に整合する受動用歯部221と間欠ギヤ210の円周の円弧形状部212に整合する逆円弧形状部222とが、周縁部に交互に配置されたもので、ここでは、5組の受動用歯部221と逆円弧形状部222とが設けられている。
また、間欠ギヤ220において、その中心部には、略六角形の中心穴223が形成されている。この中心穴223は、サブシャフト201の外側に回転自在に嵌め合わされた外形が六角形の連結軸受202に嵌合するように形成されたものである。
【0045】
以上の構成により、間欠ギヤ210は、中間ギヤ120が1回転するとき、一体に1回転して、駆動用歯部211が間欠ギヤ220の受動用歯部221に当接する間だけ間欠ギヤ220を回転駆動し、円弧形状部212が間欠ギヤ220の逆円弧形状部222に当接している間は円弧形状部212が間欠ギヤ220の逆円弧形状部222を摺動するため、間欠ギヤ210が回転しても間欠ギヤ220を回転しない。従って、中間ギヤ120の回転は、第2層ギヤ部100の間欠ギヤ210、220によって、その回転数が1/5に低減されて間欠ギヤ220に伝達されることになる。
【0046】
第2層ギヤ部220の下層側に位置する第3層ギヤ部300には、図8に示すように、第2の間欠ギヤ組となる間欠ギヤ310、320が設けられている。
間欠ギヤ310は、図10に示すように、連結軸受202を介して上記間欠ギヤ220の回転が伝達される能動側のギヤとして設けられたもので、周縁の一部のみに2個の歯からなる駆動用歯部311が形成され、周縁の他部は、間欠ギヤ310の半径に応じた円弧形状を呈する円弧形状部312となっている。
【0047】
間欠ギヤ310の中心には、上記間欠ギヤ220の中心穴223に嵌合される連結軸受202嵌合するように、六角形の中心穴313が形成されている。
間欠ギヤ310は、中心穴313内に連結軸受202が嵌合されて、間欠ギヤ310は連結軸受202とともに一体回転する。
これにより、上述の第2層ギヤ部200の間欠ギヤ220が回転すると、間欠ギヤ310は、能動側の連結軸受202を介して回転駆動され、間欠ギヤ220とともに一体回転する。
【0048】
間欠ギヤ320は、間欠ギヤ310の駆動用歯部311に整合する受動用歯部321と間欠ギヤ310の円弧形状部312に整合する逆円弧形状部322とが、周縁部に交互に配置された略円形を呈するもので、ここでは、8組の受動用歯部321と逆円弧形状部322とが設けられている。
また、間欠ギヤ320においても、その中心部には、六角形の中心穴323が形成されている。この中心穴323は、メインシャフト102の外側の対向面部102Aより奥フレーム16側に回転自在に嵌め合わされた六角形の連結軸受301に嵌合するように形成されたものであり、間欠ギヤ320はメインシャフト102の軸周で、第1層ギヤ部100の中間ギヤ120および第2層ギヤ部200の間欠ギヤ210とは異なる回転をすることになる。
【0049】
以上の構成により、第3層ギヤ部300では、間欠ギヤ310は、第2層ギヤ部200の間欠ギヤ220が1回転するとき、一体に1回転して、駆動用歯部311が間欠ギヤ320の受動用歯部321に当接する間だけ間欠ギヤ320を回転駆動し、円弧形状部312が間欠ギヤ320の逆円弧形状部322に当接している間は円弧形状部312が間欠ギヤ320の逆円弧形状部322を摺動するため、間欠ギヤ310が回転しても間欠ギヤ320を回転しない。従って、第3層ギヤ部300の間欠ギヤ310、320によって、間欠ギヤ220の回転は、その回転数が1/8に低減されて間欠ギヤ320に伝達されることになる。
【0050】
第3層ギヤ部300の下層側の第4層ギヤ部400との間には、図9に示すように、開窓制御機構の構成の一部をなす停止アーム510が配されている。
停止アーム510は、図10に示すように、メインシャフト102の外側に嵌め合わされた六角形の連結軸受301に外嵌するように六角形の中心穴が形成された円形軸受511(図4参照)に、円形開口512が外嵌されて、メインシャフト102を中心にして回動自在に設けられたものであり、ばね等の付勢部材(図示なし)によって図示左回転方向に付勢されている。
【0051】
停止アーム510の末端には、円形開口512が形成された平面より下層側に、第4層ギヤ部400より更に下層側に位置する段差面513が段部514を介して連続して形成されており、段差面513の先端には、後述する停止アームトリガー70によって係止される角状の係止片部515が備えられている。
なお、停止アーム510において、円形開口512と段部514との中間に形成された丸穴516は、後述する連結軸受401を外嵌させるための支軸402(図9参照)を挿入、支持するためのものである。
【0052】
停止アーム510の下層側に位置する第4層ギヤ部400には、第3の間欠ギヤ組となる間欠ギヤ410、420が配されている。
間欠ギヤ410は、連結軸受301を介して上記間欠ギヤ320の回転が伝達される能動側のギヤとして設けられたもので、周縁の一部のみに2個の歯からなる駆動用歯部411が形成され、周縁の他部は、間欠ギヤ410の半径に応じた円弧形状を呈する円弧形状部412となっている。
【0053】
間欠ギヤ410の中心には、上記間欠ギヤ320の中心穴323に嵌合され、メインシャフト102に外嵌される連結軸受301が嵌合するように、六角形の中心穴413が形成されている。
間欠ギヤ410の中心穴413内に連結軸受301が嵌合されると、間欠ギヤ310は連結軸受301とともに一体回転する能動側のギヤとなる。
これにより、上述の第3層ギヤ部300の間欠ギヤ320が回転すると、間欠ギヤ410は、連結軸受301を介して回転駆動され、間欠ギヤ320とともに一体回転する。
【0054】
間欠ギヤ420は、間欠ギヤ401に対応する受動側のギヤとして設けられたもので、間欠ギヤ410の駆動用歯部411に整合する受動用歯部421と間欠ギヤ410の円弧形状部412に整合する逆円弧形状部422とが、周縁部に交互に配置された略円形を呈するもので、ここでは、5組の受動用歯部421と逆円弧形状部422とが設けられている。
【0055】
また、間欠ギヤ420においても、その中心部には、略六角形の中心穴423が形成されている。この中心穴423は、停止アーム510の丸穴516内に挿入、支持された支軸402の外側に回転自在に嵌め合わされた六角形の連結軸受401に嵌合するように形成されたものであり、間欠ギヤ420は連結軸受401とともに、支軸402の軸周で回動自在に設けられている。
【0056】
間欠ギヤ420の下層側には、開窓制御機構の構成の一部をなす停止爪520が配されている。停止爪520の中心には、上記間欠ギヤ420の中心穴423内に嵌合される連結軸受401が内側に嵌合される中心穴521が形成されている。これにより、停止爪520は、上記連結軸受401を介して間欠ギヤ420ともに支軸402の軸周に回動自在に支持されていることになる。
【0057】
停止爪520には、周端の一か所から突出し、さらに下層側へ向かって略L字形に折れ曲がったL字爪522が一体に形成されている。このL字爪522は、停止爪520が左回転方向に回動したとき、後述する爪レバー530に係止され、爪レバー530の末端側を停止爪520の回動方向である左回転方向へ変位させるためのものである。
【0058】
以上の構成により、第4層ギヤ部400および停止爪520では、間欠ギヤ410は、第3層ギヤ部300の間欠ギヤ320が1回転すると、一体に1回転して、駆動用歯部411が間欠ギヤ420の受動用歯部421に当接する間だけ間欠ギヤ420を回転駆動し、円弧形状部412が間欠ギヤ420の逆円弧形状部422に当接している間は円弧形状部412が間欠ギヤ420の逆円弧形状部422を摺動するため、間欠ギヤ410が回転しても間欠ギヤ420を回転しない。従って、第4層ギヤ部400の間欠ギヤ410、420によって、間欠ギヤ320の回転は、その回転数が1/5に低減されて間欠ギヤ420に伝達されることになる。このとき、停止爪520は、間欠ギヤ420の回動に応じて一体に回動する。
【0059】
上記各ギヤ部200、300、400において、上記能動側の各間欠ギヤ210、310、410の各円弧形状部212、312、412と受動側の各間欠ギヤ220、320、420の各逆円弧形状部222、322、422とは、それぞれ摺動可能に整合するように形成されているため、各間欠ギヤ210、310、410の各円弧形状部212、312、412が受動側の各間欠ギヤ220、320、420の各逆円弧形状部222、322、422に当接、摺動する際には、受動側の各間欠ギヤ220、320、420側からの回転によって能動側の各間欠ギヤ210、310、410が回転駆動されることはなく、常に、能動側の各間欠ギヤ210、310、410側の回転のみが受動側の各間欠ギヤ220、320、420側へ伝えられる。
また、各ギヤ部200、300、400の各間欠ギヤは、それぞれ金属板材を打ち抜き加工によって形成することができるため、通常のギヤを製造する場合に比べて、製造費を大幅に抑制することができる。
【0060】
尚、メインシャフト102は、一方の端部は手前フレーム17に設けられた軸受け穴内に支持され、他方の端部は、後述する爪レバー530の表面に摺動可能に配された軸受摺動部材103に支持されている。
【0061】
第4層ギヤ部400および停止爪520の下層側には、図9に示すように、開窓制御機構の構成の一部をなす爪レバー530が設けられている。
爪レバー530は、回動軸531の軸周で回動自在に支持されており、揺動付勢(図示なし)によって常に図示右回転方向に揺動付勢されている。
回動軸531に近い爪レバー530の巻き取り機構20側には、巻取側爪車22および遊星側爪車24の各係止爪22Aを係止するために、2段のロック爪532が備えられている。
【0062】
ロック爪532は、爪軸533を中心に回動可能に支持されており、爪レバー530に取り付けられた爪ケース534内に配された弾性部材(図示なし)によって、爪ケース534から露出する側へ常に付勢されている。
爪ケース534から露出したロック爪532の辺のうち、滑り辺532Aは爪軸533から放射する方向の向かって形成されているため、滑り辺532Aに対して外部から押圧力が加わる場合には、ロック爪532が弾性部材の付勢力に抗して爪ケース534内へ押し込まれる。
【0063】
逆に、係止辺532Bは爪軸533から放射方向とはほぼ直行する方向の辺となっているため、係止辺532Bに対して外部から押圧力が加わる場合には、弾性部材によって露出したロック爪530を爪ケース534内へ押し込むための力は生じないため、露出状態を維持する。
【0064】
従って、爪レバー530が左回転方向に回動して、ロック爪532が巻取側爪車22および遊星側爪車24の各係止爪22Aに係合した状態においては、巻取側爪車22および遊星側爪車24が左回転する場合には、各爪車22、24が滑り辺532Aを押圧し、ロック爪532が弾性部材の付勢力に抗して爪ケース534内へ押し込まれるため自在に回転するが、巻取側爪車22および遊星側爪車24が右回転方向に回転しようとする場合には、各爪車22、24が係止辺532Bを押圧しても、ロック爪532は露出した状態を維持して各爪車22、24を係止するため、その回転を阻止することができ、各爪車22、24の繰り出し方向の停止手段となる。
【0065】
爪レバー530の末端には、停止アーム510と同様に角状を呈する係止辺部535が設けられている。係止辺部535は、後述する爪レバートリガー80によって係止されるものである。
この係止辺部535と回動軸531との中間部分には逃がし辺536が形成されている。逃がし辺536は、前述の停止爪520が左回転する場合に、L字爪522が係合、摺動して停止爪520を左回転方向に回動させるための滑り部分であるとともに、爪レバー530が爪レバートリガー80による係止を解除されて右回転方向に回動した場合に、後述する復帰レバー60が待機するための空間を形成している。
【0066】
復帰レバー60は、図11に示すように、爪レバー530と同一平面に配されていて、奥フレーム16に固定された支軸61によって長穴62で摺動可能に係止されている。
復帰レバー60には、復帰用爪車25側には鉤爪63が設けられ、復帰用爪車25が右回転方向に回転するときに、復帰用爪車25の角状爪26によって鉤爪63が係止されて、巻き取り機構20側へ引き寄せられる。
【0067】
また、爪レバー530側には、爪レバー530側に突出した傾斜辺64が設けられ、復帰レバー60が復帰用爪車25によって巻き取り機構20側へ引き寄せられるときに、傾斜辺64の先端が爪レバー530の逃がし辺536に当接し、回動軸531側へ移動する際に爪レバー530を押して、左回転方向に駆動する。これによって、爪レバー530の係止辺部535の先端が爪レバートリガー80によって係止されて、ロック状態に復帰させる。
【0068】
停止アームトリガー70及び爪レバートリガー80は、停止アーム510および爪レバー530をそれぞれ係止して保持する保持手段として設けられたもので、ともに巾太のL字形状に折れ曲がった同形状の板状を呈し、所定の間隙を有して2段重ねに配され、その折れ曲がり部分で同一の支軸71によって、それぞれ回動自在に軸支されて、図示右回転方向へ向かって回動するように付勢部材(図示なし)によって常に付勢されている。
【0069】
各トリガー70、80の一方の端部には、停止アーム510の係止辺部515と爪レバー530の係止辺部535を係止するために、支軸71方向に係止辺が形成された鉤爪72、82が備えられている。
【0070】
各トリガー70、80は、支軸71が設けられた折れ曲がり部分の外側が、支軸71よりさらに外側へ突出した膨らみ部73、83となっている。この膨らみ部73、83は、爪レバー530および停止アーム510の各係止辺部515、535が左回転方向に回動して各トリガー70、80の各鉤爪72、82によってそれぞれ係止される際に、爪レバー530および停止アーム510の各係止辺部515、535が各トリガー70、80よりさらに左回転方向へ行き過ぎないように停止させるためのもので、巻き取り機構20のロック状態においては、停止アーム510および爪レバー530は、各係止辺部515、535がこれら膨らみ部73、83と鉤爪72、82との間の部分に形成された凹部74、84内に収容されることになる。
【0071】
各トリガー70、80のもう一方の端部側には、これらトリガー70、80を付勢部材の付勢力に抗して、左回転方向に回動させて、停止アーム510および爪レバー530の係止を解除するためのスライダー90が備えられている。
スライダー90は、奥フレーム16に形成された摺動溝91内でその長手方向に移動可能に配されたもので、各トリガー70、80の反対側には、図12に示すように、各トリガー70、80側へ向かって上昇傾斜した傾斜山部92が形成されている。
【0072】
傾斜山部92は、押しボタン18の押し操作時にその下層側に配された押圧部材18Aからの押圧力を上層側から受けてスライダー90を各トリガー70、80方向へ向かって移動させるための摺動力を発生させるものであり、押しボタン18が押し操作されたとき、その押圧力がスライダー90の摺動方向のみへ安定して伝わるようにするために、摺動方向に沿った尾根を有する山形を呈している。これは、押圧部材18Aの押圧面が傾斜谷形状を呈しているのに対応して形成されたもので、押圧部材18Aの押圧面の形状と相対的に整合するように形成すればよく、例えば、山形の代わりにスライダー90の摺動方向に沿った谷部を有する谷形としてもよい。
【0073】
傾斜山部92とは反対側になるスライダー90の各トリガー70、80側には、各トリガー70、80にそれぞれ単独で当接して各トリガー70、80を回動させる上当接辺93と下当接辺94とが上層側から順に形成されている。
【0074】
これら各当接辺93、94は、下層側の下当接辺94を上層側の上当接辺93より突出させて形成している。これは、スライダー90が押しボタン18の押し操作に応じて摺動する際に、最初は図12(b)に示すように、爪レバートリガー80のみに当接して回動させ、その後、図12(c)に示すように、停止アームトリガー70に当接して回動させるように、各トリガー70、80への当接状態に差を生じさせるためのもので、この構成によって、後述する窓板3の排煙開窓操作(全開窓操作)と換気開窓操作(半開窓操作)とを、単一の押しボタン18によって行うことができる。
【0075】
尚、スライダー90は、各トリガー70、80に備えられた付勢部材の付勢力が各トリガー70、80を介して各当接辺93、94に加えられることによって、元位置へ戻される。このとき、傾斜山部92によって、押しボタン18を押し上げる方向に付勢する。
【0076】
次に、以上の構成からなる本実施例のハンドルボックス10における各状態及びによる窓板3の開閉操作時における各作動を以下に説明する。
[1]閉窓ロック状態(全閉窓状態)
このハンドルボックス10において、窓板3が閉窓されていて、巻き取り機構20がロック状態にある閉窓ロック状態の様子を図13に示す。
閉窓ロック状態では、停止アームトリガー70および爪レバートリガー80は、いずれも付勢力によって右回転方向に付勢されていて、鉤爪72、82によって、爪レバー530および停止アーム510の各係止辺部535、515を係止している。
【0077】
このとき、爪レバー530は、回動軸531の軸周で左回転方向に最大回動した状態であるため、ロック爪532は巻き取り機構20の巻取側爪車22の係止歯22Aおよび遊星側爪車24の係止歯に係合して、巻き取りドラム21の繰り出し方向の回転を停止させている。
従って、窓板3が押圧部材4によって開窓方向へ押圧されることによって、巻き取りドラム21がワイヤーケーブル5の繰り出し方向(右回転方向)の回転力を受けても、巻き取りドラム21は右回転方向には回転しない。
【0078】
[2]半開窓操作(全閉窓→半開窓),換気開窓操作
窓板3が閉窓状態にあるとき、換気のために半開窓状態まで半開窓する場合には、押しボタン18の押し幅を半分にして、半押し操作を行う。この半押し操作によって、図14に示すように、スライダー90の上当接辺93は停止アームトリガー70に当接せず、下当接辺94のみが爪レバートリガー80に当接して、爪レバートリガー80のみを付勢力に抗して左回転方向に回動させる。
【0079】
爪レバートリガー80の回動により、鉤爪82に係止されていた爪レバー530の係止辺部535が外れると、爪レバー530は揺動付勢部材の付勢力によって右回転方向へ回動し、ロック爪532が巻取側爪車22の係止歯22Aから外れるため、巻き取りド21がワイヤーケーブル5の繰り出し方向(右回転方向)に回転可能となる。
このとき、停止アーム510は係止辺部515が停止アームトリガー70の鉤爪72に係止されたままであるため、回動しない。
【0080】
窓板3と窓孔2との間に設けられた押圧部材4の押圧力によって窓板3が開窓方向に付勢されてワイヤーケーブル5が引かれると、巻き取りドラム21が繰り出し方向(右回転方向)に回転し、巻き取りドラム21に巻き取られているワイヤーケーブル5が繰り出され、それとともに窓板3が開窓する。
【0081】
巻き取りドラム21の回転とともにドラムギヤ101が回転すると、その回転が、アイドラーギヤ110、中間ギヤ120へ伝えられ、メインシャフト102を介して第2層ギヤ部200の間欠ギヤ210に伝達される。
このとき、中間ギヤ120の回転は、制動用ギヤ130へも伝えられ、遠心ブレーキの作動によって、巻き取りドラム21の回転速度は、一定速度に制限される。
【0082】
間欠ギヤ210の回転は、間欠ギヤ220および連結軸受202を介して第3層ギヤ部300の間欠ギヤ310へ減速して伝えられ、その後、間欠ギヤ320および連結軸受301を介して第4層ギヤ部400の間欠ギヤ410に減速して伝えられ、さらに、間欠ギヤ420および連結軸受401を介して停止爪520に減速して伝えられ、停止爪520は左回転方向に徐々に回動する。
【0083】
停止爪520は、停止アーム510に回動自在に軸支されているため、停止爪520が左回転方向に回動すると、係止が解除されている爪レバー530にL字爪522が当接し、停止爪520が回動する毎に爪レバー530を左回転方向に回動させる。
【0084】
L字爪522の回動位置がさらに進んで、図15に示すように、ロック爪532が巻取側爪車22の係止歯22Aを係止する。尚、停止爪520の回動時(各間欠ギヤの歯部が全て当接した状態)は、停止爪520の回転はドラムギヤ101に対して1.7/1と増速される為、ロック爪532は一瞬にして係止歯22Aに当たり、巻き取りドラム21の回転を止める。
この結果、巻き取りドラム21の繰り出し方向への回転が停止し、ワイヤーケーブル5の繰り出し動作が停止するため、窓板3の開窓動作が途中停止して、窓板3は半開状態(換気状態)になる。
【0085】
[3]追加全開窓操作(半開窓→全開窓),排煙開窓操作
窓板3が半開状態にあるときには、上記[2]半開窓操作(全閉窓→半開窓)での説明のとおり、爪レバー530は停止アーム510に備えられた停止爪520の回動によって爪レバートリガー80の係止された状態にある。
このとき、排煙のためにさらに全開窓状態まで追加全開窓させる場合には、押しボタン18の押し幅を半開窓の場合より大きくした全押し操作を行う。この全押し操作によって、図16に示すように、スライダー90の下当接辺94が爪レバートリガー80に当接し、さらに上当接辺93が停止アームトリガー70に当接して、爪レバートリガー80とともに停止アームトリガー70を左回転方向に回動させる。
【0086】
これらトリガー70、80の回動によって、各鉤爪72、82による係止辺部515、535の係止がともに解除され、爪レバー530は、付勢部材の付勢力によって右回転方向へ回動し、これとともに、それまで爪レバー530を左回転方向に付勢させていた停止爪520を介して停止アーム510も右回転方向に回動する。
【0087】
爪レバー530の右回転方向へ回動によって、ロック爪532から巻取側爪車22の係止歯22Aが外れるため、巻き取りドラム21がワイヤーケーブル5の繰り出し方向(右回転方向)に回転可能となり、窓板3と窓孔2との間に設けられた押圧部材4の押圧力によってワイヤーケーブル5が引かれると、巻き取りドラム21に巻き取られているワイヤーケーブル5が繰り出され、巻き取りドラム21が右回転方向に回転し、窓板3は半開窓状態からさらに開窓する。
このとき、遠心ブレーキの作動によって、巻き取りドラム21の回転速度は、一定速度に制限される。
【0088】
巻き取りドラム21の繰り出し方向(右回転方向)の回転にともなって、上述のとおり停止爪520は各間欠ギヤを介して回動し、L字爪522は停止アーム510をさらに左回転方向に回動させるように当接するが、停止アーム510は停止アームトリガー70に係止されていないため、逆に、停止アーム510自体が爪レバー530から右回転方向へ遠ざかるように回動する。
【0089】
押圧部材4の押圧力によって窓板3が開窓され、ワイヤーケーブル5が巻き取りドラム21から繰り出されて窓板3が全開すると、ワイヤーケーブル5が繰り出されなくなり、開窓動作が終了する。
このとき、巻き取りドラム21は、ワイヤーケーブル5の繰り出し力によって回転停止状態が保持されているが、爪レバー530のロック爪532による係止は行われていない。
【0090】
[4]全開窓操作(閉窓→全開窓),排煙開窓操作
窓板3が閉窓ロック状態にあるときには、図13に示したとおり、停止アームトリガー70および爪レバートリガー80は、いずれも付勢力によって右回転方向に付勢されていて、鉤爪72、82によって、爪レバー530および停止アーム510の各係止辺部535、515を係止している。
このとき、爪レバー530は、回動軸531の軸周で左回転方向に最大回動した状態であり、ロック爪532は巻き取り機構20の巻取側爪車22の係止歯22Aおよび遊星側爪車24の係止歯に係合している。
【0091】
このとき、排煙のために全開窓状態まで全開窓させる場合には、押しボタン18の全押し操作を行う。この全押し操作によって、図16に示すように、スライダー90が爪レバートリガー80および停止アームトリガー70に当接して、爪レバートリガー80および停止アームトリガー70を左回転方向に回動させる。これらトリガー70、80の回動によって、停止アーム510および爪レバー530の係止が解除されて、付勢部材の付勢力によって右回転方向へ回動するため、図14、図15の状態を経ることなく、直接、ロック爪532から巻取側爪車22の係止歯22Aが外れる。
【0092】
これによって、巻き取りド21がワイヤーケーブル5の繰り出し方向(右回転方向)に回転可能となり、窓板3と窓孔2との間に設けられた押圧部材4の押圧力によってワイヤーケーブル5が引かれると、巻き取りドラム21に巻き取られているワイヤーケーブル5が繰り出され、巻き取りドラム21が右回転方向に回転し、窓板3は閉窓状態から開窓する。
このとき、遠心ブレーキの作動によって、巻き取りドラム21の回転速度は、一定速度に制限される。
【0093】
巻き取りドラム21の繰り出し方向(右回転方向)の回転にともなって、上述のとおり停止爪520は各間欠ギヤを介して左回転方向に回動する。このとき、停止アーム510は、停止爪520のL字爪522が爪レバー530に当接するまでは、停止アーム510は爪レバー530と重なる位置にあり、L字爪522が爪レバー530に当接した後は、L字爪522が爪レバー530を遠ざけるように押圧するが、停止アーム510は停止アームトリガー70に係止されていないため、爪レバー530を左回転方向へ回動させることはなく、停止アーム510自体が爪レバー530から遠ざかるように右回転方向へ回動する。従って、途中で開窓動作が停止するなどの作動の変化はない。
【0094】
押圧部材4の押圧力によって窓板3が開窓され、ワイヤーケーブル5が巻き取りドラム21から繰り出されて窓板3が全開窓すると、ワイヤーケーブル5が繰り出されなくなり、開窓動作が終了する。
このとき、巻き取りドラム21は、ワイヤーケーブル5の繰り出し力によって回転停止状態が保持されているが、爪レバー530のロック爪532による係止は行われていない。
【0095】
[5]全閉窓操作A(全開窓→閉窓)
全開窓時には、巻き取りドラム21は、ワイヤーケーブル5の繰り出し力によって回転停止状態が保持されているが、停止アーム510および爪レバー530は、右回転方向に回動した状態であるため、爪レバー530のロック爪532による係止は行われていない。
【0096】
この状態で、ハンドル13を右回転方向に回転操作すると、図17に示すように、ハンドル軸と一体に右回転する復帰用爪車25が、角状爪26によって復帰レバー60の鉤爪63を係止して、復帰レバー60を引下げる。
すると、復帰レバー60の傾斜辺64が、爪レバー530の逃がし辺536を摺動しながら爪レバー530をその傾斜角度によって左回転方向に付勢する。
逃がし辺536を摺動した傾斜辺64は、その後、爪レバー530の回動軸531の近傍に移動し、その先端でさらに爪レバー530を左回転方向に回動させる。
【0097】
この結果、爪レバー530は、図11に示したとおり、係止辺部535が爪レバートリガー80の鉤爪82を押し越えて凹部84内へと移動し、係止辺が部535が鉤爪82によって係止されて、爪レバー530が図11に示した復帰状態に戻る。
これによって、爪レバー530のロック爪532が巻取側爪車22の係止歯22Aを係止して、巻き取りドラム21の開放方向(右回転)を阻止する。
このとき、停止アーム510は、爪レバー530より右回転方向に回動した状態にあり、停止アームトリガー70には係止されていない。
【0098】
爪レバー530を復帰させた状態で、さらにハンドル13を右回転方向に回転させると、巻取側爪車22の係止歯22Aがロック爪532を押し込むため、遊星歯車機構を介して巻き取りドラム21が左回転方向に回転して、ワイヤーケーブル5を巻き取ることができる。
ワイヤーケーブル5の巻き取り途中では、常に、ロック爪532が巻取側爪車22の繰り出し方向の回転を阻止するため、任意の位置で、閉窓操作を停止させることができ、窓板3を任意の開度で停止させることができる。
【0099】
巻き取り操作中には、各間欠ギヤを介して停止爪520は右回転方向に回動し、L字爪522が爪レバー530から離れる位置まで回動すると、図15に示した状態を経て停止アーム510は停止アームトリガー70に係止される。
その後、さらに巻き取りが進むと、図13に示した閉窓ロック状態まで達し、全閉窓操作を終了する。
【0100】
[6]全閉窓操作B(半開窓→閉窓)
窓板3が半開窓状態にあるときには、図15に示したとおり、停止アーム510および爪レバー530は、各トリガー70、80に係止されており、爪レバー530のロック爪532によって、巻取側爪車22が係止されているため、巻き取りドラム21は右回転方向(繰り出し方向)の回転が阻止されている。
【0101】
このとき、全閉窓するには、全閉窓操作A(全開窓→閉窓)の場合と同じように、ハンドル13を右回転方向に回転操作する。これによって、図17に示すように、ハンドル軸と一体に右回転する復帰用爪車25が復帰レバー60を引下げるため、復帰レバー60が爪レバー530を左回転方向に回動させようとするが、爪レバー530はすでに爪レバートリガー80によって係止されているため爪レバー530には当接せず、復帰レバー60の引き下げが完了したときに初めて傾斜辺64の先端が爪レバー530に当接する。
【0102】
復帰レバー60の引下げが完了した後に、さらにハンドル13を右回転方向に回転させると、巻取側爪車22の係止歯22Aがロック爪532を押し込むため、遊星歯車機構を介して巻き取りドラム21が左回転方向に回転して、ワイヤーケーブル5を巻き取ることができる。
ワイヤーケーブル5の巻き取り途中では、常に、ロック爪532が巻取側爪車22の繰り出し方向の回転を阻止するため、任意の位置で、閉窓操作を停止させることができ、窓板3を任意の開度で停止させることができる。
【0103】
巻き取り操作中には、各間欠ギヤを介して停止爪520は右回転方向に回動するが、停止アーム510は停止アームトリガー70にすでに係止されているため、停止爪520の回動による作動の変化はない。
その後、さらに巻き取りが進むと、図13に示した閉窓ロック状態まで達し、全閉窓操作Bを終了する。
【0104】
以上のとおり、本発明では、巻き取りドラム21の回転を停止させるためのロック爪532を備えた爪レバー530を、半開窓動作を行う場合には、停止アーム510に備えられた停止爪520によってワイヤーケーブル5の繰り出し中に回動させて巻き取りドラム21に備えられた巻取側爪車22に当接させて停止させるようにし、全開窓動作時には、爪レバー530を巻取側爪車22に当接させないようにしたため、停止アーム510の作動を選択するだけで、全開窓と半開窓とを容易に選択することができる。
【0105】
ここで、停止アーム510に備えられて爪レバー530を回動させる停止爪520へ巻き取りドラム21の回転を伝達するために、複数組の間欠ギヤを用いたため、大きな減速比を簡単な構成で得ることができるとともに、間欠ギヤの製造は、金属板材を打ち抜き加工によって製造できるため、通常のギヤの場合に比べて、大幅に製造費を抑えることができる。
また、巻き取りドラム21の繰り出し中の回転停止は、間欠ギヤの組み合わせ位置によるのではなく、爪レバー530のロック爪532が巻き取りドラム21の巻取側爪車22に係止することによって行われるため、間欠ギヤによって大きなギヤ比を設けているにも拘らず、停止時の機械的衝撃を小さくすることができるため、耐久性に優れ、長期間に亙って使用することができる。
【0106】
以上のように、窓板3の開窓動作のときにワイヤーケーブル5を繰り出す巻き取りドラム21の回転を途中停止させるために複数組の間欠ギヤを使って伝達させているため、巻き取りドラム21の回転数に対して、大きな減速比で低下させた回転数を、停止爪520に伝えることができる。従って、間欠ギヤを使わない場合と比較して、同じ大きさのギヤを用いた場合の減速比を大きくすることができるため、小型の窓開閉装置とすることができる。
【0107】
次に、以上の構成からなるハンドルボックス10において、半開窓動作において、途中停止する窓板3の開窓角度を設定するための構成であるアイドラーギヤ110による設定方法について説明する。
上述したとおり、本実施例のハンドルボックス10では、各間欠ギヤを介して停止アーム510の停止爪520に巻き取りドラム21の回転が伝達され、停止爪520のL字爪522が爪レバー530を回動させることによって、ロック爪532を巻取側爪車22の係止歯22Aに係止させている。
【0108】
ここで明らかなとおり、巻き取りドラム21は、全閉窓状態から半開窓状態までN回転すると、爪レバー530によってその回転が停止される。
一方、停止爪520は、巻き取りドラム21が全閉窓状態にあるときの停止爪522の回動位置を初期位置とした場合、上記の巻き取りドラム21のN回転に対応した回動角度だけ回動すると、停止爪522が先の初期位置からどれだけか回動して、丁度、爪レバー530のロック爪532を巻取側爪車22の係止歯22Aに係止させる停止動作位置まで回動することになる。
従って、窓板3をある開窓角度で途中停止させようとした場合には、窓板3がその開窓角度にあるときに、停止爪520が爪レバー530のロック爪532が巻取側爪車22の係止歯22Aに係止させる停止動作位置になるように、巻き取りドラム21のワイヤーケーブル5の巻き取り状態と停止爪520の停止作動位置とを一致させればよいことになる。
【0109】
そこで、本実施例では、巻き取りドラム21の回転状態と停止爪520の回動位置とが一義的に決定されるのではなく、任意に設定されるように、ドラムギヤ101と中間ギヤ120との間に設けられたアイドラーギヤ110によるドラムギヤ101と中間ギヤ120との噛み合わせを開放させるようにしている。
【0110】
具体的には、図18に示すように、アイドラーギヤ110を、手前フレーム17側の軸方向に摺動可能に設けられたフランジ111付きのアイドラーギヤシャフト112によって回転自在に支持し、手前フレーム17とアイドラーギヤ110との間にアイドラーギヤスプリング113を挿入して、アイドラーギヤ110をフランジ111側へ押圧するようにしておき、アイドラーギヤシャフト112を、フランジ111の奥フレーム16側のシャフト受け部114で軸支しておく。また、アイドラーギヤシャフト112の手前フレーム17の軸心には、めねじ115を形成しておく。
【0111】
以上の構成により、常時は、アイドラーギヤ110がアイドラーギヤスプリング113によってアイドラーギヤシャフト112とともにフランジ111側へ押圧されていて、アイドラーギヤ110はドラムギヤ101と中間ギヤ120とに噛み合わせられて、ドラムギヤ101の回転を中間ギヤ120へ伝達する。
【0112】
開窓角度の設定時には、図19に示すように、手前フレーム17の表面に調節用カラー116を配置して、調節用カラー116の貫通穴116aを通してねじ117をアイドラーギヤシャフト112のめねじ115にねじ込む。
ねじ117がめねじ115にねじ込まれると、アイドラーギヤスプリング113が押し縮められてアイドラーギヤシャフト112が調節用カラー116の高さ分だけ手前フレーム117の外側へ露出して、このとき、フランジ111側へ押しつけられたアイドラーギヤ110がアイドラーギヤシャフト112とともに手前フレーム17側へ引き寄せられる。
この結果、アイドラーギヤ110と中間ギヤ120との噛み合いが外れ、ドラムギヤ101と中間ギヤ120との伝達が不能となる。
【0113】
従って、この状態で,巻き取りドラム21を回転させて、窓板3の開窓状態を変更するために、ワイヤーケーブル5の巻き取り状態を変更し、設定後に、再び、ねじ117を緩めてめねじ115から取り外せば、巻き取りドラム21と停止爪520との関係が変更できる。
【0114】
実際の開窓角度の変更の仕方としては、始めに、閉窓操作を行って、一旦全閉窓状態にする。次に、半開窓操作を行って、窓板3を半開窓状態にする。このとき、停止爪520は、爪レバー530を回動させて、ロック爪532が巻巻取爪車22の係止爪22Aに係合して、半開窓停止状態でなっている。
このとき、調節用カラー116およびねじ117を用いて上記のアイドラーギヤ110によるドラムギヤ101と中間ギヤ120との噛み合いを外し、ハンドル13を回して、窓板3の開窓角度を希望する開度に変更する。
【0115】
開窓角度をそれまでの開窓角度より小さくする場合には、そのまま、ハンドル13を回転させて、ワイヤーケーブル5を巻き取って、希望する開窓角度まで閉窓させる。
開窓角度をそれまでの開窓角度より大きくする場合には、押しボタン18の全押し操作をして、一旦、全開窓状態にし、その後、改めてハンドル13を回転させて閉窓操作を行い、希望する開窓角度まで閉窓する。
【0116】
窓板3を希望する開窓角度に調節したら、ねじ117を緩めてアイドラーギヤシャフト112を元通りの位置に戻し、調節用カラー116およびねじ117を取り除いて、調節作業を終了する。
以上の操作を行うことによって、希望する開窓角度に設定することができる。
【0117】
上記実施例では、押しボタン18を1つだけ用いたものを示したが、押圧部材18Aに対して異なる位置で作用する2つのアームを設ければ、スライダー90等の構成を変更しなくても、図20に示すように、全開窓(排煙)と半開窓(換気)とをそれぞれ別々の押しボタン18a、18bによって操作するようにすることもできる。
【0118】
以上のとおり、本実施例によれば、、押しボタン18の押し操作の押し幅を選択することで、全開窓操作と半開窓操作とをそれぞれ選択することができるため、各開窓操作が簡単である。
また、ドラムギヤ101の回転を間欠ギヤを介して停止爪520に伝達するため、小型のギヤで大きな減速比が得られる。従って、ハンドルボックス10が大型化することがなく、小型の窓開閉装置とすることができる。
また、半開窓操作における半開窓角度の変更を、巻き取りドラム21と間欠ギヤを介して回転が伝えられる停止爪520との相対関係を変更することによって行い、そのために、アイドラーギヤ110によるドラムギヤ101と中間ギヤ120との噛み合わせを一旦取り外すだけでできるため、調節が簡単である。
また、アイドラーギヤ110による上記噛み合わせの取り外しは、アイドラーギヤ110を、調節用の補助部品を用いて、軸方向に移動させるだけでよく、分解や追加部品の組み込みなどの必要がないため、取扱いが簡単である。
上記実施例では、アイドラーギヤ110をその回転軸方向に変移させて、ドラムギヤ101と中間ギヤ120との噛み合いを外すようにしたが、揺動支持されたアームの先端にアイドラーギヤ110の回転軸を支持して、アームの揺動によって、噛み合いを制御するようにしてもよい。この場合には、回転軸あるいはアームにめねじを形成しておき、フレーム等には回転伝達位置にめねじに整合するねじ貫通穴を形成して、ねじの取り外しによって、回転伝達位置と回転非伝達位置との変移を行うようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のハンドルボックスが用いられる窓装置を示す概略構成図。
【図2】実施例のハンドルボックスを示す分解斜視図。
【図3】実施例のハンドルボックスのハンドルを示す斜視図。
【図4】実施例のハンドルボックスの図5におけるA−A断面図。
【図5】実施例のハンドルボックスの本体ケースを示す平面図。
【図6】実施例のハンドルボックスの第1層ギヤ部を示す断面図。
【図7】実施例のハンドルボックスの第2層ギヤ部を示す断面図。
【図8】実施例のハンドルボックスの第3層ギヤ部を示す断面図。
【図9】実施例のハンドルボックスの第4層ギヤ部を示す断面図。
【図10】実施例のハンドルボックスの本体ケース内の構造を示す組付け図。
【図11】実施例の本体ケース内の爪レバーの復帰構造を示す平面図。
【図12】実施例のハンドルボックスにおけるスライダーの構成を示す断面図。
【図13】ハンドルボックスの作動説明のための図で、閉窓ロック状態における第4層ギヤ部、停止アーム、爪レバーおよびトリガーを示す本体ケース内の平面図。
【図14】ハンドルボックスの作動説明のための図で、半開窓操作時における第4層ギヤ部、停止アーム、爪レバーおよびトリガーを示す本体ケース内の平面図。
【図15】ハンドルボックスの作動説明のための図で、半開窓停止時における第4層ギヤ部、停止アーム、爪レバーおよびトリガーを示す本体ケース内の平面図。
【図16】ハンドルボックスの作動説明のための図で、追加開窓操作時における第4層ギヤ部、停止アーム、爪レバーおよびトリガーを示す本体ケース内の平面図。
【図17】ハンドルボックスの作動説明のための図で、閉窓操作時における爪レバー、トリガー、復帰用爪車および復帰レバーを示す。
【図18】ハンドルボックスにおける開窓角度を設定するための構成を示すアイドラーギヤ周辺の断面図。
【図19】ハンドルボックスにおける開窓角度の設定方法を説明するための構成を示すアイドラーギヤ周辺の断面図。
【図20】ハンドルボックスの他の実施例を示す蓋板の斜視図。
【符号の説明】
1 窓装置(窓)
2 窓孔
3 窓板
5 ワイヤーケーブル
10 ハンドルボックス(窓開閉装置)
21 巻き取りドラム
22 巻取側爪車(巻き取りドラムに備えられた爪車)
210,220,310,320,410,420 間欠ギヤ(歯車機構、複数組の間欠ギヤ)
110 アイドラーギヤ(回転伝達用歯車、回転伝達手段、回転伝達制御手段、歯車式回転伝達制御手段)
112 アイドラーギヤシャフト(回転伝達用歯車の回転軸)
510 停止アーム(途中停止制御手段、爪レバー駆動手段)
520 停止爪(回動部材)
522 L字爪(爪レバー当接部材)
530 爪レバー(回転停止手段)
532 ロック爪
Claims (7)
- 窓孔に窓板を開窓付勢して取り付けた窓を、前記窓板に連結されたワイヤーケーブルを巻き取るために設けられた巻き取りドラムからの前記ワイヤーケーブルの繰り出しおよび前記巻き取りドラムによる巻き取りによって開閉する窓開閉装置において、
少なくとも前記巻き取りドラムの前記繰り出し方向への回転を停止させるための回転停止手段と、
前記巻き取りドラムの回転速度を複数の歯車により減速伝達する歯車機構と、
前記巻き取りドラムの回転を前記歯車機構へ伝達する回転伝達手段であって、前記巻き取りドラムの回転を前記歯車機構へ伝える回転伝達位置と前記巻き取りドラムの回転を前記歯車機構へ伝えない回転非伝達位置とに変移可能に配置された回転伝達制御手段と、
前記歯車機構を介して伝達される回転により回動する回動部材を備え、前記巻き取りドラムが前記ワイヤーケーブルの繰り出し方向に回転する場合に、前記回動部材の回動によって前記回転停止手段を作動させて前記巻き取りドラムの回転を停止させる回転停止制御手段とを具備することを特徴とする窓開閉装置。 - 前記回転伝達制御手段は、前記巻き取りドラムに備えられたドラムギヤと前記歯車機構の回転入力用ギヤとに噛み合う回転伝達用歯車を前記回転伝達位置と前記回転非伝達位置との間で変移可能に配した歯車式回転伝達制御手段であることを特徴とする請求項1記載の窓開閉装置。
- 前記歯車式回転伝達制御手段は、前記回転伝達用歯車を該回転伝達用歯車の回転軸方向に変移可能に配置したことを特徴とする請求項2記載の窓開閉装置。
- 前記回転停止手段は、前記巻き取りドラムに備えられた爪車と係合して前記巻き取りドラムの前記繰り出し方向への回転を阻止するためのロック爪を備え、前記ロック爪が前記爪車から離脱する退避位置と前記ロック爪が前記爪車と係合する係合位置との間で揺動可能に配置された爪レバーであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の窓開閉装置。
- 前記回動部材は、前記巻き取りドラムが繰り出し方向に回転するとき前記爪レバーに当接する爪レバー当接部材を備え、前記回転停止制御手段は、前記巻き取りドラムが繰り出し方向に回転するとき前記爪レバー当接部材により前記爪レバーを前記係合位置側に向かって揺動させ、前記巻き取りドラムによる前記ワイヤーケーブルの巻き取り回転数が所定の回転数に達したとき、前記爪レバーを前記係合位置まで移動させる爪レバー駆動手段であることを特徴とする請求項4記載の窓開閉装置。
- 前記爪レバー駆動手段は、前記回動部材により前記爪レバーを前記係合位置まで揺動させることが可能な爪レバー駆動位置と、前記回動部材により前記爪レバーを前記係合位置まで揺動させることが不可能な待機位置との間で揺動可能に設けられ、前記爪レバー駆動位置に配された場合のみに前記爪レバーにより前記巻き取りドラムの前記繰り出し方向への回転を停止させて、前記窓板を全開窓へ向かう途中の半開窓位置で開窓を停止させることを特徴とする請求項5記載の窓開閉装置。
- 前記歯車機構は、複数組の間欠ギヤであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の窓開閉装置。
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- 1997-09-18 JP JP25362697A patent/JP3938620B2/ja not_active Expired - Fee Related
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