JP3938478B2 - 電子写真用トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷等に於ける静電荷像を現像する為の現像剤に使用されるトナーの製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、直接又は間接電子写真現像方式を用いた複写機、レーザープリンター及び、普通紙ファックス等に使用される電子写真用トナーの製造方法に関する。更に、本発明は、直接又は間接電子写真多色画像現像方式を用いたフルカラー複写機、フルカラーレーザープリンター及び、フルカラー普通紙ファックス等に使用される電子写真トナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真、静電記録、静電印刷等に於いて使用される現像剤は、その現像工程において、例えば、静電荷像が形成されている感光体等の像担持体に一旦付着され、次に転写工程において感光体から転写紙等の転写媒体に転写された後、定着工程において紙面に定着される。その際、潜像保持面上に形成される静電荷像を現像する為の現像剤として、キャリアとトナーから成る二成分系現像剤及び、キャリアを必要としない一成分系現像剤(磁性トナー、非磁性トナー)が知られている。二成分系現像剤の場合はキャリアとの接触によって、一成分系現像剤の場合は現像スリーブへトナーを供給するための供給ローラとの接触や、現像スリーブ上でトナー層を均一化するための層厚規制ブレードなどとの接触によって摩擦帯電が行われる。感光体等の像担持体上の静電荷像を忠実に再現するためにはトナーの帯電特性は重要であり、そのための帯電制御剤の種類やトナーに組み込む方法が種々検討されている。
【0003】
特に帯電制御剤は高価な場合が多く、トナー粒子表面で機能することからトナー粒子表面に少量配置する試みが行われている。特開昭63−104064号公報、特開平5−119513号公報、特開平9−127720号公報、特開平11−327199号公報にはトナー粒子表面に帯電制御剤を付着させてトナーに帯電性を付与しようとしているが、その帯電性は十分でなく、表面から脱離しやすいものであり、その製造法も目的とする帯電性を提供できるものではなかった。特にトナーの初期の帯電速度については何ら考慮されているものではなかった。
【0004】
また、いわゆるローターと呼ばれる高速で回転する羽根とステーターと呼ばれる容器の器壁に固定された突起片の間隙に発生する衝撃力を利用してトナー粒子表面に帯電制御剤を付着、固定化する製造方法が特開昭63−244056号公報に記載されている。内壁に突起があり滑らかでないと高速気流に乱流が生じ易く、粒子の余分な粉砕や、粒子表面の局所的融解、帯電制御剤の表面への埋没、粉体への処理が不均一になり易い。これは、粒子間に与えられるエネルギーのばらつきによるものと考えられる。すなわち、このような狭いギャップを介して処理を行うと、気流中での衝撃力による発熱が多量に発生し、トナー粒子が変形したり、トナー粒子の粉砕が進行して、平均粒径や粒度分布が所望のものから外れてしまったりする弊害があった。また粒子表面より内部に帯電制御剤が埋没することによりその性能が十分に発揮できないこともあった。さらに実際の製造性に関して、紛体の処理量はその発熱や過粉砕のせいで処理空間に比べて極端に少なく効率的な製造には適していなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、帯電制御剤粒子と着色剤と樹脂を含む粒子と混合することによってトナーに適正な帯電能力を与える手法において、上記の問題点を解決するためにトナー補給された時や現像スリーブ上に乗せられた時の帯電速度が速く、トナー粒子間で、帯電性のばらつきの少ない、粒子の変形や過粉砕のない高品位の画像が表現できる電子写真用トナーの製造方法を提供しようとするものである。
また、本発明は、さらに簡便な工程でしかも処理容積に占める処理紛体の量が多い効率的な電子写真用トナーの製造方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような課題が、着色剤と樹脂を含む粒子と少なくとも帯電制御剤粒子からなる粒子同士を容器中で回転体を用いて混合して子写真用トナーを製造する方法において、容器内壁より突出した固定部材が存在しない容器中で、回転体の周速が40〜150m/sec(好ましくは100〜140m/sec)で混合する工程を含ませることにより解決できることを見出した。
【0007】
また、その容器が円筒形の内壁を有しない略球体である時にその効果がさらに発揮できることも見出した。この容器とは円筒形や平面の内壁を有しない略球体であり、連続した曲面を形成したものである。この連続した曲面には、粉体排出装置や、気体排出口、覗き窓などは含まれない。このような連続した曲面は安定した乱れのない高速気流を生み出し、処理する着色剤と樹脂を含む粒子間に与えるエネルギーの均一性を生み出す。
【0008】
その際、用いる帯電制御剤粒子が着色剤と樹脂を含む粒子に対して0.01〜2重量%である時にその効果が発揮できることも見出した。
したがって、本発明によれば、着色剤及び樹脂を含む粒子と、少なくとも帯電制御剤粒子とからなる粒子同士を、容器中で回転体を用いて混合して電子写真用トナーを製造する方法であって、該容器として、該容器内壁より突出した固定部材が存在することなく、かつ円筒形及び平面の内壁を有しない略球体の容器を用い、該帯電制御剤粒子が、該着色剤及び樹脂を含む粒子100重量部に対して0.01〜2重量部で添加され、該回転体の周速が100〜140m/secであり、かつ得られたトナーの帯電立ち上がり率が88〜96%であることを特徴とする電子写真用トナーの製造方法が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、上記の方法において、更に外添剤粒子を混合して電子写真用トナーを製造する方法が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明における実施の形態を詳細に説明するが、本発明は無論これらに制限されるものではない。
【0012】
本発明における着色剤と樹脂を含む粒子とは例えば以下に示す構成材料からなるものである。
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0013】
着色剤としては公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレトVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。使用量は一般にバインダー樹脂100重量部に対し0.1〜50重量部である。
【0014】
この他トナー自身に離型性を持たせるために製造される現像剤の中にワックスを含有させることが好ましい。前記ワックスは、その融点が40〜120℃のものであり、特に50〜110℃のものであることが好ましい。ワックスの融点が過大のときには低温での定着性が不足する場合があり、一方融点が過小のときには耐オフセット性、耐久性が低下する場合があるなお、ワックスの融点は、示差走査熱量測定法(DSC)によって求めることができる。すなわち、数mgの試料を一定の昇温速度、例えば(10℃/min)で加熱したときの融解ピーク値を融点とする。
【0015】
本発明に用いることができるワックスとしては、例えば固形のパラフィンワックス、マイクロワックス、ライスワックス、脂肪酸アミド系ワックス、脂肪酸系ワックス、脂肪族モノケトン類、脂肪酸金属塩系ワックス、脂肪酸エステル系ワックス、部分ケン化脂肪酸エステル系ワックス、シリコーンワニス、高級アルコール、カルナウバワックスなどを挙げることができる。また低分子量ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンなども用いることができる。特に、環球法による軟化点が70〜150℃のポリオレフィンが好ましく、さらには当該軟化点が120〜150℃のポリオレフィンが好ましい。
【0016】
着色剤と樹脂を含む粒子はたとえば以下に示す製造方法により製造することができる。
本発明の製造方法は、少なくとも結着剤樹脂、主帯電制御剤及び顔料を含む現像剤成分を機械的に混合する工程と、溶融混練する工程と、粉砕する工程と、分級する工程とを有するトナーの製造方法が適用できる。また機械的に混合する工程や溶融混練する工程において、粉砕又は分級する工程で得られる製品となる粒子以外の粉末を戻して再利用する製造方法も含まれる。
【0017】
ここで言う製品となる粒子以外の粉末(副製品)とは溶融混練する工程後、粉砕工程で得られる所望の粒径の製品となる成分以外の微粒子や粗粒子や引き続いて行われる分級工程で発生する所望の粒径の製品となる成分以外の微粒子や粗粒子を意味する。このような副製品を混合工程や溶融混練する工程で原料と好ましくは副製品1に対しその他原材料99から副製品50に対しその他原材料50の重量比率で混合するのが好ましい。
【0018】
少なくとも結着剤樹脂、顔料等の着色剤、副製品を含む現像剤成分を機械的に混合する混合工程は、回転させる羽による通常の混合機などを用いて通常の条件で行えばよく、特に制限はない。
【0019】
以上の混合工程が終了したら、次いで混合物を混練機に仕込んで溶融混練する。溶融混練機としては、一軸、二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型押出機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、池貝鉄工所社製PCM型2軸押出機、ブス社製コニーダー等が好適に用いられる。
【0020】
この溶融混練は、バインダー樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが重要である。具体的には、溶融混練温度は、結着剤樹脂の軟化点を参考に行うべきであり、軟化点より低温過ぎると切断が激しく、高温過ぎると分散が進まない。
【0021】
以上の溶融混練工程が終了したら、次いで混練物を粉砕する。この粉砕工程においては、まず粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際、ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
この粉砕工程が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中で分級し、もって所定の粒径例えば平均粒径が3〜20μmの現像剤を製造する。
【0022】
この他、樹脂中に着色剤等が分散されたものを加熱、又は溶剤等を利用して、気流中や水系媒体中でトナー粒子サイズに分散して製造する方法、重合性モノマー中に着色剤等が分散されたものを水系媒体中で分散して重合するいわゆる懸濁重合法、水系媒体中で乳化重合してできた微少な重合体粒子を着色剤等とともに集合、凝集させてトナー粒子サイズに成長させる乳化重合凝集法、モノマー溶液中から不溶な粒子を析出させる分散重合法等の粒子化技術によっても着色剤が含まれる樹脂粒子を製造することができる。
【0023】
本発明における帯電制御剤粒子としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415やジルコニウム化合物のTN−105(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。好ましくは結晶性化合物で、応力等により1μmの微細な粒子に解砕されやすいものがより好ましい。これら帯電制御剤粒子は帯電性の補強のために着色剤が含まれる樹脂粒子内部にあらかじめ入れておくこともできる。着色剤が含まれる樹脂粒子とともに攪拌処理する帯電制御剤粒子の量は着色剤が含まれる樹脂粒子100重量部に対し、好ましくは0.01〜2重量部、さらに好ましくは0.05〜1重量部、最も好ましくは0.1〜0.5重量部用いることができる。
【0024】
本発明における外添剤粒子とは、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5mμ〜2μmであることが好ましく、特に5mμ〜500mμであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい.無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
【0025】
この他高分子系微粒子たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
【0026】
このような外添剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシリコーンオイル、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤などが好ましい表面処理剤として挙げられる。
【0027】
また、本発明における外添剤粒子には感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤も含まれる。例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリマー微粒子などの滑剤粒子を挙げることができる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。
【0028】
本発明の製造方法における帯電性付与のための攪拌処理装置とは、容器内壁より突出した固定部材が存在しない容器であり、回転体の周囲に配置された容器内壁より突出したり、凹凸が内壁に存在せず、回転体と突出部材とのギャップを形成していない容器を指す。突出部材の容器内壁面からの突出高さは好ましくは1mm以下、より好ましくは0.5mm以下である。この滑らかな内壁を高速で粉体が流動することにより、粒子のさらなる粉砕も進行せずに均一に着色粒子の表面を処理することができる。内壁に突起があり滑らかでないと高速気流に乱流が生じ易く、粒子の余分な粉砕や、粒子表面の局所的融解、帯電制御剤の表面への埋没、粉体への処理の均一性の欠如(粒子間へ与えられるエネルギーのばらつき)が生じやすい。本発明で言う容器内壁面からの突出部材には、例えば内部温度を測定するためのセンサーや、粉体が内壁に付着したりすることを防止する回転体の軸の方向に突出した部材は含まれない。
【0029】
さらに好ましい処理容器の形態は、その容器が円筒形や平面の内壁を有しない略球体であり、連続した曲面を形成したものが好ましい。この連続した曲面以外に、粉体排出装置や、気体排出口などは含まれない。このような連続した曲面は安定した乱れのない高速気流を生み出し、処理する着色剤と樹脂を含む粒子間に与えるエネルギーの均一性を生み出す。例えばQ型ミキサ(三井鉱山社製)が適当な例として挙げられる。
【0030】
本発明の電子写真用トナーの表面処理方法は着色剤と樹脂を含む粒子と帯電制御剤粒子を前記処理装置に入れ、回転体の周速が好ましくは40〜150m/sec、より好ましくは60〜120m/secで、数秒から数十分の間、処理すれば良い。またこの処理を数回から数十回繰り返してもよい。粒子同士の凝集性が強い場合にはあらかじめ着色剤と樹脂を含む粒子のみを数十m/secの周速で処理して流動性を高めてから処理することもできる。
【0031】
また流動性を高める意味で先に挙げた外添剤を加えて混合することもできる。外添剤を加えるタイミングは着色剤と樹脂を含む粒子へ帯電制御剤粒子を加える前に外添剤を加える方法、同時にすべてを加える方法、帯電制御剤粒子により処理した後に加える方法、例えば一部の流動性向上に効果のある外添剤を着色剤と樹脂を含む粒子と帯電制御剤粒子の処理時に用い、残りの現像性、転写性に効果のある外添剤粒子をその後混合する方法等適宜目的に沿って用いることができる。
【0032】
また、本発明における外添剤粒子には感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤も含まれる。例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリマー微粒子などの滑剤粒子を挙げることができる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。
【0033】
本発明のトナーを2成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良く、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1〜10重量部が好ましい。磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。またポリビニル及びポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂及びスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂及びポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、及びシリコーン樹脂等が使用できる。また必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
【0034】
また、本発明のトナーはキャリアを使用しない1成分系の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。
【0035】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明について具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。また、以下の例おいて、部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
【0036】
(比較例1)
ポリエステル樹脂( 酸価:3、水酸基価:25、Mn:45000、Mw/Mn=10.0、Tg:65℃) 100部、フタロシアニングリーン 2部、カーボンブラック(MA60、三菱化学社製) 10部をミキサーで混合後、2本ロールミルで溶融混練し、混練物を圧延冷却した。その後ジェットミルによる衝突板方式の粉砕機(I式ミル;日本ニューマチック工業社製)と旋回流による風力分級(DS分級機;日本ニューマチック工業社製)を行い、着色粒子を得た。
得られた着色粉体 100部、帯電制御剤(オリエント化学社製 ボントロン E−84) 0.2部をQ型ミキサー(三井鉱山社製)に仕込み、タービン型羽根の周速を50m/secに設定し、2分間運転、1分間休止を5サイクル行い、合計の処理時間を10分間とした。さらに、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)を0.5wt%添加し、周速m/secを15m/secとして混合してトナーを得た。このトナーの体積平均径は6.20μmで10.1μm以上が1.0wt%、3.17μm以下が3.10個数%であった。トナーの平均粒径及び粒度分布はコールターカウンターTA−II型あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)等種々の方法で測定可能であるが、本発明においてはコールターマルチサイザー(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。その他に、ISOTON−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、100μmアパーチャーチューブを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出した。それから、本発明に係わる体積分布から求めた体積基準の体積平均粒径及び体積分布から求めた重量基準の粗粉量(10.1μm以上)、個数分布から求めた個数基準の微粉量(3.17μm以下)を求めた。
【0037】
(実施例1〜6及び比較例1〜4)
表1に示した周速と帯電制御剤処理量を変化させた以外は参考例1と同様にしてトナーを製造した。
【0038】
(実施例7)
参考例1と同様に混錬、粉砕、分級処理を行い着色粒子を得た。
得られた着色粉体 100部、帯電制御剤(オリエント化学社製、ボントロン E−84) 0.2部、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製) 0.5部をQ型ミキサー(三井鉱山社製)に仕込み、タービン型羽根の周速を100m/secに設定し、2分間運転、1分間休止を5サイクル行い、合計の処理時間を10分間とし、トナーを得た。
【0039】
(比較例5)
表面処理工程をQ型ミキサーは用いずに、円筒形の処理容器の内部表面(ステーター)に楔型の凹凸の存在するターボミル(ターボ工業社製)を閉回路で処理後戻せるようにして、10分間、実施例2と同様に行いトナーを得た。
【0040】
(比較例6)
表面処理工程をQ型ミキサーは用いずに、横形の円筒形の処理容器であるハイブリダイザー(奈良機械製作所社製)により2分間運転、1分間休止を5サイクル行い、合計の処理時間を10分間とし、トナーを得た。
【0041】
表1にトナー作成条件と得られたトナーの粒子径、微紛含有率を示す。
【表1】
【0042】
表2には、表1に示したトナーの帯電特性、実機での評価結果を示す。
【表2】
【0043】
1)15秒攪拌Q/M
シリコーン樹脂コートフェライトキャリア(平均粒径 50μm) 100部
試験トナー 2.5部
を内容積の3割までステンレス製ポットに入れ、100rpmの攪拌速度で15秒攪拌し、ブローオフ法により求めた。
2)10分攪拌Q/M
1)と同様に10分攪拌した時の帯電量
帯電立ち上がり率(%)
1)の値 /2)の値
4)地肌汚れ
リコー社製イマジオF6550にて専用チャート(5%画像面積)のA4紙を1万枚ランニングした後に、白紙画像を現像中に停止させ、現像後の感光体上のトナーをテープ転写し、未転写のテープの画像濃度との差を938スペクトロデンシトメーター(X−Rite社製)により測定。
5)クリーニング性
リコー社製イマジオMF6550にて専用チャート(5%画像面積)のA4紙を1万枚ランニングした後に、全面黒ベタ画像を10枚連続出力させ、10枚目に現像中に停止させ、感光体上のクリーニングブレード以降のトナーをテープ転写し、テープの汚れ度合いを5段階の段階見本と比較して評価(5がクリーニング不良全くなし、1が最低)
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、従来技術に比較して、少量の帯電制御剤を用いて、実機での適正な帯電特性と高画質を与える、過度の粉砕やトナー形状の変化のない簡便な処理工程の電子写真用トナーの製造方法が提供できる。
Claims (2)
- 着色剤及び樹脂を含む粒子と、少なくとも帯電制御剤粒子とからなる粒子同士を、容器中で回転体を用いて混合して電子写真用トナーを製造する方法であって、
該容器として、該容器内壁より突出した固定部材が存在することなく、かつ円筒形及び平面の内壁を有しない略球体の容器を用い、
該帯電制御剤粒子が、該着色剤及び樹脂を含む粒子100重量部に対して0.01〜2重量部で添加され、
該回転体の周速が100〜140m/secであり、かつ
得られたトナーの帯電立ち上がり率が88〜96%である
ことを特徴とする電子写真用トナーの製造方法。 - 更に外添剤粒子が混合される請求項1に記載の電子写真用トナーの製造方法。
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