JP3938282B2 - 合成樹脂製壜体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、容易に減容化変形可能で、かつ原形に復元して使用できるように構成した合成樹脂製壜体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
各種の液状内容物の容器として、ブロー成形もしくは2軸延伸ブロー成形手段により成形された合成樹脂製壜体が多用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この合成樹脂製壜体は、軽量であるという利点を有している反面、嵩張って占有スペースが大きいため、容器メーカーで成形されてから商品メーカーに納入され、内容液を充填されるまでの過程において、その保管コストや輸送コストが高くなっており、また、その取り扱いも面倒になっている、と云う問題があった。
【0004】
また、使用後においては、その廃棄処理を容易にするために、通常、手や足で偏平に押し潰して減容化変形させているが、この押し潰しを誰でもが簡単にかつ確実に行なうことができない、と云う問題があった。
【0005】
なお、この廃棄時における壜体の押し潰しを容易にすることを目的とした技術として、実開昭60−75212号公報記載のものがある。
【0006】
この公報記載の合成樹脂製壜体は、胴部の軸対称位置に一対の縦リブを設けると共に、この縦リブに続いて、肩部および胴部下端部に向かう円弧状リブを連設して構成されており、廃棄時には、このリブで囲まれた部分を押圧して陥没変形させることにより、減容化を図るものである。
【0007】
しかしながら、この従来技術にあっては、陥没変形する部分は肩部から胴部下端部までであって、口筒部と底部は原形のままであるため、全体を充分に偏平状に潰れ変形させることができない、と云う問題があり、また、廃棄時の押し潰しを目的としたものであるため、一旦陥没変形した部分を原形に復元させることはほとんど不可能であった。
【0008】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、合成樹脂製壜体を容易に、かつ充分偏平に、そして復元可能に減容化変形できるようにすることを技術的課題とし、もって成形されてから内容液充填までの過程および廃棄処理過程における取扱いを容易で効率の良いものとし、コストを低減させることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決する本発明の内、請求項1記載の発明の手段は、比較的軟質な合成樹脂材で肉薄に成形した壜本体の肩部と胴部と底部の軸対称位置に、縦方向全周に亘って傾斜した段状とした反転ラインを連設すること、この反転ラインから片側半分である平断面形状が円弧状の大径部の肩部部分に口筒部を立設し、この大径部の外面全体に、比較的硬質な合成樹脂から成る外層をインサート成形、若しくは共押し出し成形の手段により積層して、大径部を剛性の高い半殻部に形成すること、反転ラインから他側半分である平断面形状が円弧状の小径部を弾性反転変形可能な反転部とすること、これにより、この反転部全体を、半殻部内に容易に陥没変形可能で、かつ原形に復元可能に構成すること、にある。
【0010】
容器メーカーで成形された壜体は、反転部を内方へ押圧することにより反転ラインから反転させて、反転部全体を半殻部内に陥没減容化変形させる。
【0011】
これにより、肩部、胴部と共に、底部も略半分が陥没変形し、また口筒部は半殻部側に設けてあるので、壜体全体は充分偏平に減容化し、以後、この減容化させた状態で取扱い、商品メーカーに納品する。
【0012】
商品メーカーにおいては、陥没変形している反転部を空圧等により外方へ反転させて、成形時の原形に復元させた後、内容液を充填して商品に供するか、または、減容化している壜体に直接内容液を注入して、陥没変形している反転部を外方へ反転させ、そのまま内容液を充填して商品に供する。
【0013】
また、半殻部は、その高い剛性により安定した“座”機能を発揮するので、反転部の変形の有無に関わりなく、壜体に自立機能を付与することが可能である。
【0014】
壜体の使用後の廃棄時においては、再び反転部を陥没減容化変形させ、廃棄処理を行なう。
【0016】
また、反転ラインが傾斜した段状構造であるので、反転変形がし易く、その分、反転部の陥没および復帰変形がし易いと共に、永久変形を生じることなく反転変形するので、変形により外観体裁が劣化することがない。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明に、壜本体を低密度ポリエチレンで成形し、外層を高密度ポリエチレンで成形した、ことを加えたものである。
【0018】
この請求項2記載の発明においては、剛性の高い半殻部と、弾性反転変形可能な反転部とを、容易にかつ確実に形成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を、図面を参照しながら説明する。
壜本体1は、低密度ポリエチレン等の比較的軟質な合成樹脂材料のブロー成形等により、肉薄にかつ全体の平面形状が略長円形状になるように成形されていると共に、その長軸を堺にした片側の肩部2部分に、円筒形状の口筒部11が立設されている。
【0020】
壜本体1の軸対称位置である長軸上の位置には、肩部2、胴部3および底部4の縦方向全周に亘って、傾斜段状の反転ライン5が連設されている。
【0021】
この反転ライン5から片側(前側)半分である大径部6の肩部2部分に口筒部11が立設されており、これにキャップ12が着脱可能に取り付けられる。
【0022】
そして、この大径部6の外面全体に、インサート成形や共押し出し成形等の手段により、高密度ポリエチレン等の比較的硬質な合成樹脂材料から成る外層7を積層して、大径部6を剛性の高い半殻部8に形成している。
【0023】
また、反転ライン5から他側(後側)半分である小径部9が、容易に弾性反転変形可能な反転部10を構成している。
【0024】
従って、この反転部10は、内方への押圧により容易に弾性反転して、その全体が半殻部8内に陥没減容化変形し(図中、二点鎖線参照)、また、これに反対方向の力を加えて外方へ反転させることにより、容易に原形へ復元させることができる。
【0025】
また、剛性の高い半殻部8は、良好な座屈強度を有すると共に、把持し易い硬さを持っているので、通常の壜体と同様に把持取扱いをすることができ、従来の減容壜体のように、柔らかくて安定した把持ができない、と云うことがなく、またその高い剛性により安定した“座”機能を発揮するのであるが、必要ならば、脚片を突設しても良い。
【0026】
【発明の効果】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
請求項1記載の発明にあっては、容器メーカーで成形された壜体は、反転部を半殻部内に反転陥没変形させることにより、肩部、胴部、底部の略半分が陥没変形し、また口筒部は半殻部側に設けてあるので、壜体全体を充分偏平に減容化させることができる。
【0027】
また、この充分偏平に減容化変形した状態で取扱うことにより、その占有スペースを大幅に減少させることができ、もって内容液が充填されるまでの過程における保管、輸送等のコストを低減化することができると共に、取扱いを容易に効率良く行なうことができる。
【0028】
そして、反転部を原形に復元させて、容器として使用された後の壜体は、再び反転部を陥没変形させて、充分偏平に減容化して廃棄処理を行なうことができるので、この使用後の壜体の減容化変形を、誰でも簡単にかつ充分偏平な状態に達成することができ、かつその廃棄処理を容易に効率良く行なうことができる。
【0029】
さらに、半殻部が高い剛性を有して把持し易いものとなっているので、壜体の把持による取扱いを安定的に達成することができ、従来の減容壜体のように、柔らかくて、把持しての取扱いが不安定となる、と云うことがない。
【0030】
また、反転部の反転変形が、無理なく適正に達成できるので、永久変形の発生による外観体裁の劣化がなく、安全な変形取扱い処理を得ることができる。
【0031】
請求項2記載の発明にあっては、壜本体と外層との積層結合がきわめて強固となるので、半殻部の強度を充分に高めることができ、これにより安定した減容状態を得ることができると共に、安定した取扱い状態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す、一部を断面にした全体側面図。
【図2】図1に示した実施例の、全体平面図。
【図3】図1に示した実施例の、胴部半分の平断面図。
【符号の説明】
1 ; 壜本体
2 ; 肩部
3 ; 胴部
4 ; 底部
5 ; 反転ライン
6 ; 大径部
7 ; 外層
8 ; 半殻部
9 ; 小径部
10 ; 反転部
11 ; 口筒部
12 ; キャップ
Claims (2)
- 比較的軟質な合成樹脂材で肉薄に成形した壜本体(1) の肩部(2) 、胴部(3) および底部(4) の軸対称位置に、縦方向全周に亘って傾斜した段状とした反転ライン(5) を連設し、該反転ライン(5) から片側半分である平断面形状が円弧状の大径部(6) の肩部(2) 部分に口筒部(11)を立設すると共に、該大径部(6) の外面全体に、比較的硬質な合成樹脂から成る外層(7) をインサート成形、若しくは共押し出し成形の手段により積層して、該大径部(6) を剛性の高い半殻部(8)に形成し、前記反転ライン(5) から他側半分である平断面形状が円弧状の小径部(9) を弾性反転変形可能な反転部(10)とし、これにより、該反転部(10)全体を、前記半殻部(8) 内に容易に陥没変形可能で、かつ原形に復元可能に構成して成る合成樹脂製壜体。
- 壜本体(1) を低密度ポリエチレンで成形し、外層(7) を高密度ポリエチレンで成形した請求項1記載の合成樹脂製壜体。
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2001
- 2001-02-28 JP JP2001053755A patent/JP3938282B2/ja not_active Expired - Lifetime
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