JP3937587B2 - 液晶素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高画質、特に視野角特性に優れ、かつ高速な液晶素子、特に液晶表示素子及びその駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ネマティック液晶の配向方式としては、液晶セルの上下基板のラビング方向を90度回転させたTN(Twisted Nematic)配向素子が一般に使われているが、同一方向にラビング処理を施した上下二枚の電極基板間にネマティック液晶を挟む配向方式(スプレイ配向)も昔から知られている。また、このスプレイ配向構造に電圧を印加してベンド配向構造に配向変化させることで応答スピードを改善した液晶セル(ベンド配向セルもしくはπセル)が1983年にBosらによって発表されている(SID’83 Digest pp30−31(1983))。
【0003】
さらにベンド配向セルに位相補償を行うことで画質を改善した液晶セル(OCBセル)が1992年に内田等によって発表されている。(SID’93 Digest pp277)。
【0004】
このようなベンド配向型のネマティック液晶は、液晶の応答におけるバックフロー現象を抑制することによって応答性を改善、高速化したものである。
【0005】
上記内田等が発表したOCBセルの概要を図1を用いて以下に説明する。
【0006】
図1(a)はセルの断面構成図、図1(b)は偏光板の偏光軸と配向方向を示す説明図である。
【0007】
かかるOCBセルにおいては、図1(a)に示したベンド配向を保持できる範囲の所定の駆動電圧を印加する。この駆動電圧を上げると液晶層のリタデーション値が小さくなり、下げると大きくなる。したがって、このリタデーション値の変化を光学変調に利用することができる。
【0008】
図1(a)に示した位相差フィルム(位相差補償板)としては2軸のフィルムが用いられ、この2軸性フィルムは以下の2つの機能を有する。
【0009】
[第1の機能]
所定の電圧値の液晶層のリタデーションを打ち消すように、位相差フィルムのリタデーション、すなわち(nx −ny )・d(nx ,ny はそれぞれx、y方向の屈折率、dはフィルムの厚さ)を設定する。この電圧値で、位相差フィルムにより液晶層のリタデーションを相殺し「暗状態」にする。
【0010】
[第2の機能]
液晶層の中央部の液晶分子は、電圧を印加した状態では、基板法線方向の成分が多いため、視野角特性を悪くする原因となる。それゆえ、視野角特性を改善するために、位相差フィルムのz方向の成分を相対的に小さくして、液晶の基板法線方向の複屈折成分を補償し、斜めから見た時の液晶の基板の法線方向の屈折率を補償するようにする。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、表示装置のより一層の大型化・高画質化が求められる状況下にあっては、上記の方式による画質では不十分である。
【0012】
特に視野角特性に関しては、図1(a)のx−z面内方向では、液晶分子軸が液晶層のセル厚方向の中心に対し対称の配置をしているため比較的よい視野角特性が得られるが、y−z面内方向では、x−z面内方向のように配向自体に自己補償的な配置になっていないため視野角特性が悪くなる。
【0013】
本発明は、上記事情を鑑み、高速駆動が可能なベンド配向セルの特に視野角特性(視野角依存性)の改善を図ることを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく成された本発明の構成は、以下の通りである。
【0015】
すなわち、本発明は、一対の基板と、該一対の基板間にベンド配向構造を有する液晶層と、液晶分子を配向させるための配向膜と、一対の電極と、少なくとも一方の基板側に配置された偏光板を有した液晶素子において、
前記液晶層が基板面方向に複数の領域に分割され、
前記配向膜は各領域において2つのドメインを有し、
前記2つのドメインは各々垂直配向部分と一軸配向した水平配向部分とを有し、
前記2つのドメインにおいて一方の前記一軸配向した水平配向部分の配向方向と他方の前記一軸配向した水平配向部分の配向方向とが互いに直交している
ことを特徴とする液晶素子ある。
本発明の液晶素子においては、前記液晶素子の暗状態時の印加電圧が5〜8Vであることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明の液晶素子は、ベンド配向構造を有する液晶層を基板面方向で所定の領域に分割し、且つ各領域内に互いに異なる複数の「配向方向」を持たせることによって、視野角特性を飛躍的に向上させたものである。ここで「配向方向」とは、例えば図1(a)のx軸方向を指し、より具体的には、ベント配向の液晶分子のベントが生じている基板法線方向の面における、基板面と平行で且つプレチルトの立ち上がり方向を指す。
【0021】
本発明において液晶層を基板面方向で分割する方法は特に限定されないが、視野角特性の改善を図る目的からすれば例えば1画素、数画素もしくは1表示ラインに対応させて行なうなど、なるべく細かく分割することが好ましい。
【0022】
液晶層を1画素単位で分割し、各画素内に複数の異なる配向方向を持たせた例を図2に示した。なお、図2中の矢印方向が配向方向を表している。
【0023】
図2(a)では1画素内に2種類の配向方向を持たせ、図2(b)及び(c)では1画素内に4種類の配向方向を持たせ、これらの配向方向を互いに90°づつずらしている。このようにすることによって、互いの配向領域が相補的に働き視野角特性が改善されるものである。
【0024】
本発明のように各分割領域内(上記の例では1画素内)でさらに配向領域を分割すると、各配向領域の境界は配向が乱れ良好な画質が得られない場合がある。このような場合には、各配向領域の境界は、例えば図3に示すような画素中央に配置される場合が多い保持容量ラインなどの遮光部材で遮光するのが望ましい。図3は、アクティブマトリクスの1画素の平面的な模式図であり、ソース電極、ゲート電極、ドレイン電極、画素透明電極及び保持容量電極(保持容量ライン)から構成されている。保持容量電極は、絶縁層(不図示)で各電極とは絶縁されており、ゲート電極に平行に画素中心付近に配置されている。このような配置において、図2(a)のように1画素内に2種類の配向方向を持たせた場合には、配向が乱れる場合の多い配向分割境界を上記保持容量ラインで遮光させることができるため、良好な画質を得ることができるものである。
【0025】
本発明のベンド配向セルにおいては、前述のようにx−z方向(図1参照)の視野角特性に関しては、基板面に平行な面に対して鏡面対称を持つ自己補償型の配向構造をとるため、上記のように視野角特性の改善のために液晶層の各領域に互いに異なる複数の配向方向を持たせるに際して、配向方向は2種類で十分である。また、配向方向は2種類に設定することにより、配向膜の製造プロセスの簡略化も図られる。
【0026】
図2(a)のように1画素を2つの配向領域に分割した場合の、本発明のベンド配向セルと一般的なTN配向セル(上下基板の配向方向が90°ずれた配向)の視野角特性の比較結果は以下のようになる。なお、視野角特性は、液晶セルの基板法線方向(正面)から見た時のコントラストに対する基板法線から斜め40°の方向から見た時のコントラストの比率で表しており、分割なしのセルの視野角特性の実験値を基にした簡単なシミュレーションから算出した。
【0027】
[視野角特性の比較結果]
ベンド配向セル(2分割配向) : 約50%
TN配向セル(2分割配向) : 約20%
上記の結果から分かるように、ベンド配向セルは、前述のようにx−z方向(図1参照)の視野角特性に関しては自己補償型の配向構造をとるため、そのような構造を持たないTN配向セルとは、同じ2分割配向を行なっても視野角特性の改善には大きな差がある。
【0028】
以上のように、特に本発明に係るベンド配向セルに対して配向分割を行なうことは、視野角特性の改善に極めて有効であることが理解される。
【0029】
本発明の液晶素子において、視野角特性のみならずコントラストの改善も図る場合には、次の2つの手法を適用することができる。
【0030】
第1の手法は、液晶層の暗状態に対応する電圧を印加した時のリタデーション値を十分小さくして、前述のOCBセルで用いられている位相差補償板の[第1の機能]である液晶層のリタデーションを相殺する機能をなくす手法である。
【0031】
このリタデーションの相殺機能を削除した場合、すなわち位相差補償板を設けない場合のコントラストは液晶層のリタデーションのみで決定され、正面からの透過率T(%)は、
T∝sin2 (Rπ/λ)
(R:液晶層リタデーション(nm)、λ:入射光波長(nm))
で表される。
【0032】
簡便法として人の視感度の最も高いλ=550nmとして本式を使用しても実用性能を知る上では問題はない。すなわち、
T∝sin2 (Rπ/550)
で表されることから、明状態表示に対応する最大透過率は理想的にはR=275nmの時に得られる。
【0033】
上記の式から、十分なコントラスト比を得る観点から、暗状態表示のリタデーションは小さい方が望ましい。また、上記の式から明状態がR=275nmのリタデーションを持つ場合の「コントラストの暗状態のリタデーション依存性」をグラフ化したものが図4である。図4から、暗状態のリタデーションが50nm以下で急激にコントラストが上昇することが明らかになった。
【0034】
暗状態のレタデーションが50nm以下であれば、実用化可能なコントラスト10以上が得られる。コントラストが10以上であれば、一般的なディスプレイとしては実用上問題はない。更に望ましくは、30nm以下にすることでコントラストが30以上が得られ、高画質なディスプレイが実現できる。なお、暗状態のリタデーションを小さくする具体的な方法としては、例えばベンド配向におけるプレチルト角を大きくすることが挙げられる。
【0035】
コントラストの改善を図る第2の手法は、セルと偏光板の間に、液晶層の配向分割に対応して、互いに異なる方向に光学主軸を有する領域からなる正の屈折率異方性を有する位相差補償板を設ける手法である。具体的には、例えば図5に示すように、前述の配向分割に対応させて、位相差補償板(位相差板層)も領域分割する手法である。
【0036】
図5は、液晶層をラビングなどでxとy方向に90°異なる2つの領域に配向分割した例であり、その上に配置する位相差補償板も同じ領域に光学主軸の方向をyとx方向に一致させ、液晶層と位相差補償板の遅相軸を直交させている。すなわち、液晶層のリタデーションをR、位相差補償板のx,y方向の屈折率をそれぞれnx ,ny 、位相差補償板の厚みをdとしたとき、
(nx −ny )・d=R
となるようにする。こうすることにより、各々の領域は、ある電圧値を印加した時の液晶層のリタデーションを相殺することができ、十分な暗状態を得ることができる。
【0037】
この位相差補償板には、例えば、2枚のガラス基板にネマティック液晶を挟持したセルに対してレジスト膜などを用いてマスクラビングして液晶を配向分割したものや、フォトマスクを用い偏光紫外線で光配向させたものを用いることができる。また、高分子液晶やディスコティック液晶などを上記方法で配向させるなどして、フィルムにして用いることもできる。
【0038】
以上説明したように、本発明の液晶素子において、液晶層が有する最低のリタデーション値を所定の値よりも小さくするか、もしくはセルと偏光板の間に、液晶層の配向分割に対応させて、領域分割した位相差補償板を設けることにより、視野角特性とコントラストの双方の改善を図ることができる。
【0039】
また、本発明の液晶表示素子においても、前述のOCBセルで用いられている位相差補償板の[第2の機能]、すなわち「液晶の基板の法線方向の複屈折率を補償する機能」は、視野角特性を向上するために有用であり、セル基板と偏光板の間に、基板の法線方向(z軸方向)に軸を有する一軸性で負の屈折率異方性を有する位相差補償板(nx =ny >nz )を用いるのは有用である。
【0040】
以上説明したように、本発明の液晶表示素子において、駆動電圧を印加した場合の液晶層が有する最低のリタデーション値が50nm以下であれば、位相差補償板を設けることなく実用可能なコントラストが得られる。このような構成(位相差補償板を設けない構成)にあっては、低電圧側で明状態、高電圧側で暗状態にせしめる駆動方法がとられる。一方、位相差補償板を設ける場合には任意の駆動方法を選択することができる。
【0041】
なお、本発明の上記液晶素子は、表示素子として好適に用いられる。また、本発明の上記表示素子は、透過型の液晶素子、反射型の液晶素子のいずれとしても用いることができる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0043】
[実施例1]
本実施例に用いた液晶素子(液晶セル)の構成および液晶の特性を以下に示す。
【0044】
(TFT基板)
160×120画素(画素ピッチ0.3mm)
1画素=RGB構成
(配向膜)
配向膜材料:AL0656(JSR社製)
(液晶材料)
KN5030(チッソ社製)
(NI点:81.4℃、Δn:0.130、Δε:10.4)
【0045】
液晶セルの作成手順を以下に示す。
【0046】
上記TFT基板上にスピンナ塗布により上記配向膜AL0656をスピナーにより塗布し、200℃で焼成し、80nmの膜厚を得た。
【0047】
ラビング処理は、まず図6の第1の配向領域の方向に全面にラビングを行った後、パターニングした膜で第1の配向領域を保護し第2の配向領域のみ配向膜を露出させて再びラビングを行う方法で、基板内に2つの異なる配向方向をもつ領域を得た。工程の詳細を以下に示す。
【0048】
まず、上記配向膜を塗布したTFT基板を、コットン植毛布で毛先の基板への押し込み長さを0.3mm、ラビングローラーの径を80mmφとし、ローラー回転数を1000rpm、基板の送りスピードを10mm/secの条件でゲートラインに平行にラビングした。その後レジスト膜(TPAR P101−DA/東京応化(株)製)を塗布し、95℃でプリベーク後、マスクを介してUV露光した。露光マスクは、図6の第2の配向領域が露光されるように、作成されている。なお、配向領域の境界は図3に示す保持容量ラインによって遮光するように設定した。
【0049】
現像液(TPAR DEV−4/東京応化(株)製)により現像し、純粋で洗浄・乾燥後、前回のラビングとは90°ずらした方向(図6に図示)にラビングを先と同様の条件で行った。次に、レジスト剥離液(PEAL−3/東京応化(株)製)によりレジストを剥離した。以上がTFT基板側の2領域の配向方向分割の工程であるが、対向する対向電極基板も、TFT基板とラビングが平行になるように同様のラビング処理をした。
【0050】
上記のラビング処理終了後、スペーサー(4.5μmφ)を対向基板側に散布し表示領域外周に接着剤を塗り張り合わせ後、加熱圧着してセル厚4.5μmのセルを得た。
【0051】
上記ラビング条件でのプレチルト角をクリスタルローテーション法により測定したところ、プレチルトは6°であった。
【0052】
このセルに、上記液晶KN5030を注入し、駆動ドライバーを実装するなど駆動系部品を接続してセルが完成し、ラビング方向に45°に透過軸と吸収軸が合致するようにセルの上下にクロスニコル偏光板を設置した。
【0053】
上記の液晶セルはスプレイ状態をとっているために、ゲート電極にゲート信号を順次印加し、それと同期して±10Vのソース電圧を5分間印加して、ベンド状態に転移させた。ベンド状態を保持できる臨界電圧が2.0Vであり、液晶に印加される駆動電圧を±2.0V〜±15Vでそれぞれ明状態および暗状態を表示した。この時の電圧−透過率曲線を図7に示した。液晶層に15V印加時の液晶層のリタデーション値は20nm程度であり、2V印加時は150nmであった。
【0054】
この状態で正面のコントラスト比は30:1が得られた。また、セル内でコントラストのばらつきの少ない良好な画質が得られた。
【0055】
また、セルの斜め方向からコントラストを測定し、視野角特性を評価した。その結果、セルの法線から45°の傾き角でコントラスト10以上が確認され良好な視野角特性が得られた。
【0056】
[実施例2]
本実施例では、実施例1よりもさらに視野角特性を良くするために、偏光板と液晶セルとの間に、基板法線方向に軸を有する負の位相差補償フィルムを挿入した。
【0057】
この位相差補償フィルムは、
x =ny
(nx −nz )・d=600nm
である。このフィルムを挿入することで、セルの法線から50°の傾き角でコントラスト10以上が確認され良好な視野角特性が得られた。
【0058】
[実施例3]
本実施例は、以下の液晶材料を用いた点、及び配向処理をラビング処理から配向膜への光偏光配向に変更した点以外は、実施例1と同様である。
【0059】
(液晶材料)
KN5027(チッソ社製)
(NI点:81.4℃、Δn:0.159、Δε:7.9)
【0060】
本実施例における光配向処理は、以下のようにして行った。
【0061】
配向膜材料には、フッ素置換したポリビニルシンナメートを用いた。ポリビニルシンナメートをスピナーで100nmの膜厚に形成した。その後80℃で2分間プリベークを行った。次に第1の配向領域(図6参照)に対応した部分のみにマスクを用いて365nmの偏光紫外線を露光した。露光は、2ステップに分け、最初は基板の法線方向に平行に180秒間(第1露光)、次に斜め45°方向から180秒間(第2露光)、3mWの照度で露光した。この時の照射方向・偏光方向・液晶配向方向は図8のようになる。
【0062】
同様に図6の第2の配向領域の配向処理を行なうため、フォトマスクを用いて、第1の配向領域とは90°異なる角度で偏光紫外線を照射した。
【0063】
次に、実施例1と同様、ベンド化処理電圧±10Vを印加しベンド配向を得た。
【0064】
本実施例のセルでは、ベンド状態を保持できる臨界電圧が3.0Vであり、液晶に印加される駆動電圧を±3.0V〜±15Vでそれぞれ明状態および暗状態を表示した。この状態で正面のコントラスト比は30:1が得られた。また、セル内でコントラストのばらつきが極めて小さい良好な画質が得られた。
【0065】
また、セルの斜め方向からコントラストを測定し、視野角特性を評価した。その結果、セルの法線から45°の傾き角でコントラスト10以上が確認され良好な視野角特性が得られた。
【0066】
[実施例4]
本実施例では、以下の様に混合配向膜で高プレチルトを実現し、表示駆動前のベンド化電圧印加処理をなくしたところが実施例1と異なる。
【0067】
本実施例は、第一の配向膜と、液晶を略水平配向させる第二の配向膜を混合することによって、プレチルト角を水平配向膜のプレチルト角と垂直配向膜のプレチルトの中間の値に制御したことを特徴としている。
【0068】
セル構成は実施例1と同様にTFT基板を用いて上下基板とも同一方向にラビング処理を行なっている。
【0069】
第一の配向膜としては日産化学社製のSE−1211を用い、第二の配向膜としては日本合成ゴム社製のAL−0656を用いた。混合配向膜中の第一の配向膜の割合を1%〜10%の間に設定した。
【0070】
このようにしてベンド化処理が不要なベンド配向が得られる。なお、セル内のプレチルトのムラなどのために電圧無印加状態でベンド配向転移が全面に及ばない場合であっても、下記の駆動電圧の印加によってベンド化を行うことができるため、従来のような長時間のベンド化処理は必要としない。
【0071】
図9に示すように配向膜厚によって適正配合比の割合が異なり、膜厚が30nmでは垂直配向膜の混合比率は2.5%〜7.5%であり、膜厚80nmでは1%〜5%であった。膜厚30nmで垂直配向膜の混合比率を5%にした場合には、液晶のプレチルト角度は約36°〜45°であった。
【0072】
なお、第一の配向膜の焼成前溶液の主溶媒はnBCもしくはNMPであり、第二の配向膜の焼成前溶液の主溶媒はNMPであった。混合配向膜の焼成温度は200℃で1時間行った。
【0073】
ラビングはこのようにして構成した配向膜を上下基板でラビング方向が同じになるようにラビング処理を行なった。ラビング条件は、コットン植毛布で毛先の基板への押し込み長さを0.3mm、ラビングローラーの径を80mmφとし、ローラー回転数を1000rpm、基板の送りスピードを50mm/secに設定して行った。
【0074】
このラビングにより、実施例1と同様、レジスト膜のパターニングを用いたマスクラビングを用いて配向方向が90°異なる2つの配向領域を得た。
【0075】
この様にして処理した二枚の電極基板を0.6μmφのスペーサーを介して張り合わせることにより液晶セルを構成し、チッソ社製の液晶KN−5030(フッ素系ネマティック液晶)を注入することによって液晶セルを構成した。
【0076】
液晶に印加される駆動電圧を±1.0V〜±15Vでそれぞれ明状態および暗状態を表示した。液晶層に15V印加時(暗状態表示時)の液晶層のリタデーション値は20nm程度であり、1V印加時(明状態表示時)は150nmであった。
【0077】
この状態で正面のコントラスト比は30:1が得られた。また、セル内でコントラストのばらつきが極めて小さい良好な画質が得られた。
【0078】
また、セルの斜め方向からコントラストを測定し、視野角特性を評価した。その結果、セルの法線から45°の傾き角でコントラスト10以上が確認され良好な視野角特性が得られた。
【0079】
[実施例5]
本実施例は、液晶分子の電極基板界面からの変位が容易で電界印加状態でのリタデーションを減少させる配向手法の例である。
【0080】
ベンド配向状態を取りうる最低電圧におけるリタデーションR1 に対して5Vの電圧を印加したときのレタデーションR2 の比率を考える。
【0081】
(比較用セル)
JSR社製のポリイミド配向膜AL−0656を30nmの厚みに形成し、上下基板同一方向にラビングを行った。具体的には、コットン植毛布で毛先の基板への押し込みを0.3mm、ラビングドラムの径を80mmφとし、回転数を1000rpm、基板の送りスピードを50mm毎秒とする処理を行った。
【0082】
セル厚を6μmに設定し、チッソ社製のネマティック液晶KN−5027を注入した。このセルでは、7Vの電圧を印加することによって、初期状態であるスプレイ配向状態からベンドドメインを形成させることができる。このベンド配向状態を電圧をかけて保持するために2.0V必要であるが、この時のリタデーションは340nmであった。さらに5Vを印加したときのリタデーションは150nmであった。したがって、ξ=R1 /R2 =2.13である。
【0083】
(本実施例のセル)
本実施例における光配向膜としてはポリビニルシンナメートにフッ素基を付加したものを用いる。この光配向膜の調整・処理方法は実施例3と同様である。
【0084】
UV照射の時に図10に示すようにストライプ状に露光を行いUVの未照射部分で液晶分子を垂直配向させ垂直配向部分(A部)を形成し、一方、偏光UVを照射して偏光方向と直交方向に液晶分子を一軸配向させる水平配向部分(B部)を形成し、それらをミクロンオーダーの間隔で混在させた場合には水平配向部分の影響で本来垂直配向する部分の配向も垂直から水平方向へ変化している。ここでA部の寸法は1μm以下であり、B部の寸法は2〜3μmとその2倍以上に設定した。この露光パターンはB部面積をA部面積に比べて大きく取ることが比較的有効だが、ストライプ以外の市松など他のパターンも考えられる。
【0085】
このようにすると実施例3と同様にKN−5027を注入して、7Vの電圧を印加することによって、初期状態であるスプレイ配向状態からベンドドメインを形成させることができる。このベンド配向状態を電圧をかけて保持するために2.0V必要であるが、この時リタデーションは280nmであった。さらに5Vを印加したときのリタデーションは約15nmであった。したがって、ξ=R1 /R2 =18.7である。
【0086】
この状態ではベンド配向のラビング方向を90度クロスさせた2枚の偏光子の一方の吸収軸から45度ずらした方向に設定することで、2.0Vで明状態、5.0Vで暗状態を表示した場合にはコントラストは約80になった。さらに、オン電圧を8Vまで引き上げると電圧印加時のリタデーションは約10nmになり、コントラストは160のものが得られた。この場合はξ=R1 /R2 =28.0である。この値を前記の比較用セルのような従来のポリイミド配向膜の値と比較すると1桁以上小さくなっており、電圧印加状態でのリタデーションの値が大きく減少していることがわかる。従来のベンド配向に位相差フィルムを用いて消光状態をとる方式の場合でも位相差板の位相差公差とセル厚の分布を考えると電圧印加時のリタデーションが約10nmになれば、位相補償しなくてもコントラストに関して十分な値をとることができる。
【0087】
また、本実施例の素子では、応答速度は0V〜8Vの駆動で10ms以下(室温)の高速性を示した。
【0088】
以上の方法を実施例1などに用いたTFTセルに適用し、配向方向が90°異なる2つのドメインで画素を構成することにより視野角特性を改善することができる。
【0089】
このような配向膜を用いることにより液晶分子が平均的には基板に略平行に配向するが液晶分子と配向膜との相互作用を小さくすることにより電圧印加時になお残留するリタデーション値を少なくすることができ、位相差フィルムによる位相補償を必要としない高速応答素子を構成することができた。また、2つの方向の配向を画素内で造り込むことにより視野角特性の改善された高速応答素子を構成することができる。このように位相差フィルムを用いない場合には位相差フィルムのリタデーションばらつきや、界面による多重反射の影響がないためにコントラストを位相差フィルムを用いたものに比べ改善できる。
【0090】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高速応答性に優れるベンド配向セルの特に視野角特性を極めて効果的に改善することができる。また、液晶層が有する最低のリタデーション値を特定の値よりも小さくするか、もしくはセルと偏光板の間に、液晶層の配向分割に対応させて、領域分割した位相差補償板を設けることにより、視野角特性とコントラストの双方の改善を図ることができる。これにより、液晶セル内のコントラストばらつきを抑えられた良好な画質の液晶表示素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】OCBセルの構成を説明するための模式図である。
【図2】1画素内での配向分割の例を示す図である。
【図3】アクティブマトリクスの1画素の平面的な模式図である。
【図4】液晶層の暗状態時のリタデーションとコントラストの関係を示す図である。
【図5】液晶層における配向分割と、位相差補償板における光学主軸分割の対応を説明するための図である。
【図6】実施例の液晶セルにおける1画素内の配向分割を示す図である。
【図7】実施例1の液晶セルにおける電圧−透過率曲線を示す図である。
【図8】実施例3における光配向処理方法を説明するための図である。
【図9】実施例4における混合配向膜の膜厚による垂直配向膜の最適混合比率を示す図である。
【図10】実施例5における光配向膜の処理方法を説明するための図である。

Claims (2)

  1. 一対の基板と、該一対の基板間にベンド配向構造を有する液晶層と、液晶分子を配向させるための配向膜と、一対の電極と、少なくとも一方の基板側に配置された偏光板を有した液晶素子において、
    前記液晶層が基板面方向に複数の領域に分割され、
    前記配向膜は各領域において2つのドメインを有し、
    前記2つのドメインは各々垂直配向部分と一軸配向した水平配向部分とを有し、
    前記2つのドメインにおいて一方の前記一軸配向した水平配向部分の配向方向と他方の前記一軸配向した水平配向部分の配向方向とが互いに直交している
    ことを特徴とする液晶素子。
  2. 前記液晶素子の暗状態時の印加電圧が5〜8Vであることを特徴とする請求項1に記載の液晶素子。
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