JP3031812B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置

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JP3031812B2
JP3031812B2 JP6027040A JP2704094A JP3031812B2 JP 3031812 B2 JP3031812 B2 JP 3031812B2 JP 6027040 A JP6027040 A JP 6027040A JP 2704094 A JP2704094 A JP 2704094A JP 3031812 B2 JP3031812 B2 JP 3031812B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばワープロ、パソ
コンなどの個人用表示装置、携帯情報端末などの多人数
で使用する表示装置、特に2〜4人で周りを囲んで使用
する表示装置などに使用される液晶表示装置に関する。
具体的には、液晶分子をセル内で多方向に配向させた広
視野角用液晶表示モードであり、表示画面の縦横方向
(左右−上下方向)に視角特性の優れた方向を配し、見
やすい特性の液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の液晶表示素子として、図7に示す
構成のものが知られている。この液晶表示素子は、TN
モードであり、一対の基板2、3の間に挟持された液晶
層4の液晶分子6が一方向に揃っており、また、液晶層
4には電源5により電圧が印加される構成となってい
る。表示状態は、電圧無印加のとき図7(a)に示すよ
うになり、飽和電圧印加のとき図7(b)に示すように
なる。
【0003】このような液晶表示素子においては、両方
の基板上で一方向に互いに直交するように、液晶分子が
配列しているため光学特性に異方性があり、いわゆる反
転現象が生じる。特に、液晶表示素子の中間調状態で
A、B両方向から見た場合に、A、B両方向での見かけ
上のd・△nが異なるためにコントラストが異なり、視
角特性が悪いものとなる。
【0004】そこで、視角特性の改善を図った、図8に
示す液晶表示素子が提案されている。この液晶表示素子
は、一対の基板12、13の間に、液晶領域26と高分
子壁24とからなる表示媒体が挟持されており、液晶領
域26の液晶分子27がその配向方向を、1絵素内で、
かつ少なくとも一方の基板上で少なくとも3以上で異な
らせた広視角モードとなっている。具体的には、液晶分
子27が液晶領域26の中心軸(図の上下方向)の周り
に放射状や渦巻き状になるように向いている。表示状態
は、電圧無印加のとき図8(a)に示すようになり、飽
和電圧印加のとき図8(b)に示すようになる。
【0005】このような配向状態を持つ液晶表示素子で
は、中間調状態でA、B両方向から見た場合、液晶分子
27の見かけ上の屈折率が平均化されて、A、B両方向
からのコントラストが等しくなり、視角特性が図7のT
Nモードに比べて改善されることとなる。なお、飽和電
圧印加状態では、図8(b)に示すように液晶分子27
が電場に沿って配向しており、また、初期配向の状態に
かかわらず同様な配向状態になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この視角特
性を改善できる液晶表示素子に対して偏光板を設ける場
合、図9に示すように、通常どおり偏光板の偏光軸を相
互に直交させ、かつ、液晶表示素子の表示画面の対角方
向にほぼ一致させて両偏光板を貼り合わされる。このこ
とは、後述する多方向に配向した広視角モードの液晶表
示素子の場合にも同様に行われる。
【0007】しかしながら、このようにして作製された
液晶表示装置においては、互いに直交している偏光板の
偏光軸から45゜方向に視角特性の比較的悪い領域が発
生する。その理由を以下に説明する。
【0008】上記広視角モードの液晶表示素子に偏光板
の偏光軸方向から入った光は、液晶層の屈折率楕円体を
横切る時、常光もしくは異常光のみの成分しか有さない
が、偏光板の偏光軸から45゜傾いた方向から光が入っ
た場合、液晶層の屈折率楕円体を横切る時、常光と異常
光との両成分を有するために(見かけ上、互いに直交し
た偏光板の偏光軸が互いに開いた状態に対応してい
る。)、楕円偏光となり光の漏れが顕著になる。また、
飽和電圧印加時に液晶分子が基板に対してほぼ直立(△
ε>0の場合)しているために、視角特性が観測される
ようになる。
【0009】このような光の漏れと偏光板の視角特性と
の相乗効果により、互いに直交している偏光板の偏光軸
から45゜方向に視角特性の比較的悪い領域が発生する
のである。その結果、液晶表示素子を見るときに気にな
る縦横方向(上下−左右方向)の表示特性が多少悪化す
る。その場合において、特に液晶表示素子の表示画面の
4辺のそれぞれから人が観察する場合、各人の視角特性
は悪いものとなるという問題がある。
【0010】なお、1絵素内で少なくとも一方の基板上
で液晶分子の配向方向が3以上となった広視角モードの
具体例としては、次のものが知られている。
【0011】その1つとして、液晶セル内に高分子壁
を有し、偏光板を有さず、しかも配向処理を不要とする
液晶表示素子として、液晶の複屈折率を利用して透明ま
たは白濁状態を電気的にコントロールする方式のものが
ある。この方式の液晶表示素子は、基本的には液晶分子
の常光屈折率と支持媒体の屈折率とを一致させ、電圧を
印加して液晶の配向が揃うときには、透明状態を表示
し、電圧無印加時には、液晶分子の配向の乱れによる光
散乱状態を表示する。この方式の液晶表示素子の製造方
法としては、液晶と光または熱硬化性樹脂とを混合し、
その後、樹脂を硬化することにより液晶を析出させ樹脂
中に液晶滴を形成させる方法が開示されている(特表昭
61−502128)。
【0012】さらに、上記液晶表示素子の外側に、互い
に直交する偏光板を設けた広視角モードの液晶表示装置
もある(特開平4−338923,4−21292
8)。
【0013】また、他のものとして、一対の基板の間
に、液晶と光硬化性樹脂との混合物を注入し、その混合
物を相分離させて、液晶と高分子材料との複合した表示
媒体を有する非散乱型の液晶表示素子を得、この液晶表
示素子の外側に偏光板を配し、液晶セルの視角特性を改
善した液晶表示装置がある(特開平5−27242)。
【0014】この液晶表示装置においては、生成した高
分子体により液晶ドメインの配向状態がランダム状態に
なり、電圧印加時に個々のドメインで液晶分子の立ち上
がる方向が異なるために、各方向から見た見かけ上の屈
折率が等しくなり、中間調状態での視角特性が改善され
る。
【0015】また、本願発明者らが提案した液晶表示
素子がある(特願平4−286487)。この液晶表示
装置は、一対の基板の間に注入した、液晶と光硬化性樹
脂との混合物を光重合させる時に、ホトマスクなどを用
いて光制御することにより、液晶分子を各絵素領域内で
全方向的な配向状態(渦巻き状)となし、かかる液晶分
子を電圧で制御することにより、渦巻き状配向があたか
も傘が開いたり閉じたりするような動作をさせ、視角特
性を著しく改善したものである。
【0016】また、基板の液晶側表面に、結晶性高分
子であり、かつ、球晶構造を有する軸対称な配向規制手
段を形成し、広視角表示モードとなっている液晶表示装
置がある(特願平5−96289)。
【0017】さらに、基板上に配向膜を形成するもの
の、配向膜に対してラビングなどの配向処理を行わず、
液晶分子をランダム方向に配向させた液晶表示装置があ
る(SID’93 Digest 24(1993)6
22)。
【0018】本発明は、このような従来技術の課題を解
決すべくなされたものであり、縦横方向の視角特性を改
善できる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示装置
は、一対の基板の間に表示媒体が設けられた液晶表示素
子の両側に、2枚の偏光板が各偏光軸を互いに直交さ
せ、かつ、一方の偏光板の偏光軸を該液晶表示素子の表
示画面の縦方向または横方向にほぼ一致させて設けら
れ、前記一対の基板の間に、一つの絵素領域毎に全方位
的な配向状態を有する構成を具備するので、そのことに
より上記目的が達成される。本発明の他の液晶表示装置
は、一対の基板の間に表示媒体が設けられた液晶表示素
子の両側に、2枚の偏光板が各偏光軸を互いに直交さ
せ、かつ、一方の偏光板の偏光軸を該液晶表示素子の表
示画面の縦方向または横方向にほぼ一致させて設けら
れ、前記一対の基板は、前記表示媒体の配向方向を少な
くとも3以上で異ならせるための配向膜を具備し、前記
配向膜が、結晶性高分子であり、球晶構造を有し、その
ことにより上記目的が達成される。
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【作用】本発明にあっては、図1に示すように、液晶表
示素子に偏光板を貼り合わせる時、偏光板の偏光軸を液
晶表示素子の表示画面の縦方向または横方向にほぼ一致
させ、かつ、2枚の偏光板を互いに直交するように貼り
合わせることに特徴がある。
【0025】このように偏光板を貼り合わせると、広視
角モードの視角特性の優れた方向がほぼ縦横方向とな
り、液晶表示装置を使用者が見やすくなる。特に、液晶
表示装置を4方向から使用者が観察する場合、従来の液
晶表示素子(TNモード)では反転現象により2方向の
人が他の2人と異なる表示を観察することになり、表示
を見ながら議論することができなかったが、それを解消
できることとなる。
【0026】ここで、本明細書で言う、液晶表示装置の
表示画面の縦横方向とは、液晶表示素子の表示画面にお
ける外周の4辺のうち互いに直交する2辺の方向で定義
される。縦方向と横方向は、液晶表示素子の使用方法に
より異なり、通常、長辺側が横方向、短辺側が縦方向に
相当するが、本発明では特に限定しない。
【0027】本発明を適用できる広視角表示モードとし
ては、液晶分子が少なくとも一方の基板上で3以上の方
向に配向している液晶表示モードを使用することができ
る。そのモードとしては、1列として上述したから
の広視角モードのものや、図8に示したものなどを使用
することができる。
【0028】このような液晶表示装置ににおいて、視角
特性が劣る偏光軸から45゜方向における領域が、観察
者が余り気にならない液晶表示素子の対角方向に設定さ
れるため、見やすくなる。
【0029】また、本発明の液晶表示装置は、液晶表示
素子を1組のクロスニコル条件とした偏光板で挟持され
た構成であり、そのため各広視角表示モードであって
も、飽和電圧印加時に液晶分子(△ε>0の場合)が電
場方向に揃った配向となり、ほぼ同じ黒レベルの視角特
性依存性となる。なお、各表示モード毎にコントラスト
は異なるものの、視角特性依存性は同様な傾向を有す
る。
【0030】図2に、広視角表示モードを持つ本発明の
液晶表示装置における視角特性(電圧飽和時の等コント
ラスト曲線)の一例を示す。図2(a)は液晶表示素子
の4辺と直交する方向を0゜、90゜、180゜、27
0゜とし、全方位における視角方向の角度を示してお
り、図2(b)は偏光板の偏光軸をその液晶表示装置に
対してどのように設けたかを示す。
【0031】この図から理解されるように、視角特性
は、偏光板の偏光軸方向から45゜傾いた方向では劣化
するものの、偏光軸方向と同じ方向では比較的広いもの
になっている。
【0032】また、本発明における液晶層のリタデーシ
ョン(d・△n)は、液晶層の屈折率楕円体を横切る時
に楕円偏光となって光漏れが発生するのを防止すべく、
なるべく小さくするのが良い。但し、電圧印加しない時
の透過率T0が、液晶層のリタデーションに影響を及ぼ
すため、650nm以下であることが視角特性の全方位
性とセルの明るさを確保する観点から好ましい。また、
300nm未満では、電圧OFF時の明るさが確保でき
ず暗い表示となる。よって、なるべく小さくするのが良
いが、300nm以上650nm以下の範囲が好まし
い。
【0033】また、本発明のツイスト角は、45〜15
0゜が好ましく、特に、ファーストミニマム条件を満た
す90゜付近が最も明るく好ましい。
【0034】本発明に適用可能な駆動法については、単
純マトリックス駆動や、a−Si・TFT、p−Si・
TFT、MIMなどのアクティブ駆動などの駆動法を適
用できるが、本発明では特に限定しない。
【0035】本発明において用いることができる基板材
料は、ガラス、高分子フィルム、プラスチック基板など
の透明固体や、反射型を狙った金属薄膜つき基板、Si
基板などの非透明固体が利用できる。プラスチック基板
としては、可視光に吸収を持たない材料が好ましく、P
ET、アクリル系ポリマー、スチレン、ポリカーボネー
トなどが使用できる。さらに、これらの基板のうちの2
種類のものを組み合わせて異種基板でセルを作製するよ
うにしてもよく、又、同種異種を問わず基板厚みの異な
った基板を2枚組み合わせて使用することもできる。
【0036】また、プラスチック基板の場合、基板自身
に偏光能を持たせることにより偏光板を一体化した液晶
表示素子を作製することができる。
【0037】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れに限定されるものではない。
【0038】実施例1 本実施例に係る液晶表示装置が得られる製造工程を説明
する。
【0039】先ず、例えば、1.1mm厚のガラス基板
2枚の片面に、ITO(酸化インジュウムおよび酸化ス
ズの混合物)からなる透明電極を厚み50nmに形成す
る。なお、予めそのように構成されたガラス基板2枚を
用いてもよい。
【0040】次に、上記2枚のガラス基板を、透明電極
を内側にして対向させ、間に5μmのスペーサーを介在
させてセル厚を保たせ、セルを構成した。
【0041】次に、作製したセルの上に、図3に示すよ
うに遮光部bと透光部cとを有するホトマスクを絵素部
分が遮光されるように配置し、さらにセル中に表示媒体
形成用の混合物を毛管注入する。混合物としては、例え
ばイソボルニルアクリレート0.40gと、イソボルニ
ルメタクリレート0.40gと、pフェニルスチレン
0.10gと、以下に示す化合物A0.10gと、液晶
材料ZLI−4792(メルク社製:△n=0.09
4)4gと、光開始剤Irugacure6510.0
25gとを均一に混合したものを使用した。これに限ら
ず、他の組成のものを使用できる。
【0042】
【化1】
【0043】なお、ホトマスクの配置と混合物の注入と
は、どちらを先に行ってもよい。
【0044】次に、セルの温度を100℃に保持すると
共に、平行光線が得られる高圧水銀ランプ下10mW/
cm2のところにセルを配置した状態で、透明電極間に
±4Vの電圧を印加しながら、ホトマスク側から5分照
射した。この状態で、紫外線は、セルに対して空間的に
規則性を有したパターンとして照射される。
【0045】次に、電圧を印加したまま、例えば10℃
/hrの冷却速度でセルを徐々に冷却してセル温度を2
5℃(液晶はネマティック状態)にし、さらの3分間連
続で紫外線を照射し樹脂を硬化させた。作製されたセル
を偏光顕微鏡で観察したところ、図4に示すようにホト
マスクどうりの液晶領域gが形成され、かつ、中心軸を
中心に渦巻き状の配向状態になっていることが観察され
た。なお、図4中のdは絵素領域、eは高分子壁、fは
消光模様を示す。
【0046】最後に、図1に示すように、作製したセル
に対し、その画面の縦横方向に偏光板の偏光軸が一致す
るように偏光板を貼り合わせた。
【0047】図5および図6は作製したセルの電気光学
特性(透過率と電圧との関係)を示し、図5は偏光軸方
向の電気光学特性であり、図6は偏光軸から45゜傾い
た方向の電気光学特性である。
【0048】これら両図から理解されるように、偏光軸
から45゜傾いた方向では、飽和電圧印加時に黒レベル
の浮き上がりが観察され、垂直面から40゜以上で表示
の劣化が認められるのに対し、偏光板の偏光軸方向では
視角特性が優れている。
【0049】したがって、本発明のように偏光板の偏光
軸を液晶表示素子の縦横方向に一致するように設定する
と、縦横方向で視角特性が改善され、見やすい表示素子
となる。
【0050】比較例1 実施例1で作製したセルを用い、図7に示すように液晶
表示素子の対角方向に偏光軸がくるように偏光板を貼り
合わせた。
【0051】得られた本比較例1の液晶表示装置におい
ては、偏光板の偏光軸が上下−左右方向に配置している
ために、液晶表示素子の上下−左右方向で視角特性が劣
化しており、見にくい表示であった。
【0052】実施例2 本発明の他の実施例について説明する。
【0053】先ず、例えば1.1mm厚の2枚のガラス
基板各々の片面に、厚み50nmのITO(酸化インジ
ュウムおよび酸化スズの混合物)からなる透明電極を形
成する。
【0054】次に、上記2枚のガラス基板の透明電極の
上に、例えばスピンコート法によりナイロン66をコー
トし、球晶構造を有する基板を作製した。
【0055】次に、作製した2枚の基板を対向配設し、
間に5μmのスペーサーを介在させることによりセル厚
を保たせることにより、セルを構成した。
【0056】次に、該セル内に、液晶材料ZLI−47
92(メルク社製:螺旋ピッチが90゜となるようにカ
イラル剤S−811で調整)を注入した。これにより得
られた液晶表示素子は、内部の液晶分子が基板上の球晶
構造に沿って渦巻き状に配向しており、中間調における
視角特性が優れている。
【0057】次に、かかる中間調における視角特性が優
れた液晶表示素子の両側に、実施例1と同様に、縦横方
向(上下−左右方向)に偏光軸を一致させて偏光板を設
置した。
【0058】このようにして製造された本実施例2に係
る液晶表示装置は、上下−左右に視角特性の優れたもの
であった。
【0059】実施例3 本発明の更に他の実施例について説明する。
【0060】先ず、例えば1.1mm厚の2枚のガラス
基板各々の片面に、厚み50nmのITO(酸化インジ
ュウムおよび酸化スズの混合物)からなる透明電極を形
成する。
【0061】次に、かかる2枚の基板の透明電極の上
に、例えばスピンコート法により配向膜としてのポリイ
ミド膜をコートした。なお、このポリイミド膜はラビン
グ処理を行わないままとした。
【0062】次に、作製した2枚の基板を、ポリイミド
膜を内側にして対向配設し、間に5μmのスペーサーを
介在させて一定のセル厚を持つセルを構成した。
【0063】次に、該セル内に、液晶材料ZLI−47
92(メルク社製:螺旋ピッチが90゜となるようにカ
イラル剤S−811で調整)を注入した。これにより得
られた液晶表示素子は、ポリイミド膜にラビング処理を
施していないため。つまり基板上には配向規制力が少な
いため、液晶分子がランダムな配向状態と成っており、
中間調における視角特性の優れたものとなっている。
【0064】次に、該液晶表示素子の両側に、実施例1
と同様に縦横方向(上下−左右方向)に偏光軸を一致さ
せて偏光板を設置した。
【0065】以上のようにして作製された液晶表示装置
は、上下−左右に視角特性の優れたものであった。
【0066】なお、ここで、本発明において少なくとも
一方の基板上での配向方向が3以上である液晶表示装置
に適用する理由を説明する。
【0067】1方向に液晶材料が配向している場合(例
えば、TNモード)には、基板上の配向方向と偏光板の
偏光軸とを一致させることにより、あたかもねじれた導
波路が形成されたように、入射した光がほぼ通過するよ
うになる。しかし、モード自体に異方性が存在するため
に、この状態から基板上の配向方向と偏光板の偏光軸と
をずらせると、セルの光線透過率が減少し、コントラス
トを低下させる。したがって、基板上の配向方向と偏光
板の偏光軸との間には、一定の最適な関係があり、自由
にこの関係を変更することはできない。
【0068】また、このようなセルは、視角特性にも異
方性を有しており、現在、TNモードのセルは、偏光板
の偏光軸を液晶表示画面の縦横から45゜傾いた方向に
設定し、視角特性が優れた方向を一人の観察者が一人用
としてディスプレーを見た場合に、最も気になる横方向
になるように設定している。偏光軸と基板の配向方向の
セットをそのままにして、45゜方向に回転すると、視
角特性が優れた方向も回転し見にくい表示特性となる。
【0069】また、2方向に配向している場合について
も、液晶分子の配向に関して平均化が十分にされておら
ず、同様の理由により偏光軸の配置方向を変更すること
は難しい。
【0070】これに対し、3方向以上に液晶分子が配向
している場合、ツイスト角とd・△nとが最適条件にあ
るとき、明るさは、上述した1または2の方向に配向し
ている場合と殆ど遜色が無くなり、かつ、異方性は均一
化される効果があるため、偏光板の貼り合わせ方向に対
して殆ど明るさが変化しなくなる。但し、偏光軸の軸方
向から45゜方向に視角特性が少し劣る領域が存在する
ために、本発明のように偏光板を貼り合わせることが有
効になってくる。このようなセルの場合、基板状態を考
慮せずに、かつ、表示特性を落とすことなく自由に偏光
板の偏光軸を設定できる。そのために、本発明のよう
に、偏光板の偏光軸を表示画面の縦横方向にすることが
できるのである。
【0071】なお、液晶分子が少なくとも一方の基板上
で3方向以上に配向する状態とは、液晶分子の配向方向
が最低でも3方向あればよく、それ以上であってもよ
い。また、その範囲には、放射状や渦巻き状はもちろん
のこと、ランダム状態や同心円状であってもよい。更に
は、同心円ではなく、大小異なる円がその中心を異なら
せて大の円の中に小の円が入った状態でもよく、また、
円ではなく楕円などでもよい。
【0072】
【発明の効果】本発明による場合には、3方向以上の配
向方向を有する液晶表示素子において、視角特性が劣る
偏光軸から45゜方向における領域が観察者があまり気
にならない液晶表示素子の対角方向に設定することによ
り、液晶表示素子を観察者から見やすくできる。このよ
うな本発明に係る液晶表示装置における特性を生かすこ
とにより、本発明においては大型・高詳細の液晶表示素
子、携帯用情報端末装置などの表示装置として使用する
ことができる。特に、2〜4人で同時に使用する液晶表
示装置において効果があり好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において偏光板の貼り合わせ方向を説明
する図である。
【図2】広視角モードの視角特性(電圧飽和時の等コン
トラスト曲線)を示す図である。
【図3】実施例1で使用したホトマスクを示す平面図で
ある。
【図4】実施例1で作製された液晶表示素子を示す概略
図である。
【図5】実施例1で作製された液晶表示素子の偏光軸方
向での電気光学特性を示す図である。
【図6】実施例1で作製された液晶表示素子の偏光軸か
ら45゜方向での電気光学特性を示す図である。
【図7】従来例の液晶表示素子を示す断面図であり、
(a)は電圧無印加時を示し、(b)は飽和電圧印加時
を示す。
【図8】他の従来例の液晶表示素子を示す断面図であ
り、(a)は電圧無印加時を示し、(b)は飽和電圧印
加時を示す。
【図9】従来例の液晶表示素子に対する偏光板の貼り合
わせ方向を説明する図である。
【符号の説明】
b 遮光部 c 透光部 d 絵素領域 e 高分子壁 f 消光模様 g 液晶領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1337

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の基板の間に表示媒体が設けられた
    液晶表示素子の両側に、2枚の偏光板が各偏光軸を互い
    に直交させ、かつ、一方の偏光板の偏光軸を該液晶表示
    素子の表示画面の縦方向または横方向にほぼ一致させて
    設けられ、 前記一対の基板の間に、一つの絵素領域毎に全方位的な
    配向状態を有する構成を具備することを特徴とする液晶
    表示装置。
  2. 【請求項2】 一対の基板の間に表示媒体が設けられた
    液晶表示素子の両側に、2枚の偏光板が各偏光軸を互い
    に直交させ、かつ、一方の偏光板の偏光軸を該液晶表示
    素子の表示画面の縦方向または横方向にほぼ一致させて
    設けられ、 前記一対の基板は、前記表示媒体の配向方向を少なくと
    も3以上で異ならせるための配向膜を具備し、 前記配向膜が、結晶性高分子であり、球晶構造を有する
    液晶表示装置。
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