JP3937326B2 - 拡開アンカー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、中空構造の壁体に器材などを固定するために用いる拡開アンカーに関し、特に、その先端部にオネジと螺合するメネジ部を有し、メネジ部の後方に、軸線方向への圧縮力によって、半径方向へ折れ曲がり拡開する複数の拡開腕部を有し、その後方端部には中央にボルトの貫通を許容する貫通部を有する大径の頭部を有して成る拡開アンカーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4に示す、従来の拡開アンカーにおいては、メネジ部1側から頭部3側に至る拡開腕部2は平板状かやや湾曲した帯部材から成り、そのほぼ中間位置に折れ曲がり位置を定義するための幅の狭い部分や肉薄部分が設けられて構成されるのが一般的であった。(特許文献1、2、3、4、5、6、7、8参照)
【0003】
【特許文献1】
実公昭29−3006号公報
【0004】
【特許文献2】
実公昭37−29318号公報
【0005】
【特許文献3】
実公昭54−38439号公報
【0006】
【特許文献4】
実公昭55−12013号公報
【0007】
【特許文献5】
実公昭56−969号公報
【0008】
【特許文献6】
特公平3−41694号公報
【0009】
【特許文献7】
特公平6−97042号公報
【0010】
【特許文献8】
特願平10−61626号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の拡開アンカーを用いて中空構造の壁体に器材などを固定する場合、壁面に穴をあけてアンカーを挿入し、メネジに螺合したボルトの頭部を外方に引くことによって、軸線方向への圧縮力を生じさせて、拡開腕部2を半径方向へ折れ曲がり拡開して使用する。
【0012】
ボルトの頭部を外方に引くためには、専用のカシメ工具を用いてアンカーの頭部を押さえながら、ボルトを所定の長さ引っ張る方法によることが標準的である。そのようにして拡開腕部を拡開させると、拡開腕部はそのほぼ中間位置に設けられた幅の狭い部分で鋭角に折れ曲がり、図4に示すような態様となる。
【0013】
器材を取り付けるためには、これに続いて、ボルトをいったん逆転して抜き取り、器材のボルト穴に通した後、再びアンカーに螺合させなければならない。
【0014】
このような標準的な手順によると、作業性が悪いために、壁面にアンカーを挿入した後で、アンカーを圧縮させずに器材を通してボルトをアンカーに挿入して螺合し、ボルトを回して締め付ける簡便な手順も行われている。ボルトを締めることによる圧縮力で拡開腕を拡開させることができ、作業性は改善される。
【0015】
しかしながら、拡開腕部を拡開させるために必要な力をボルトの回転トルクで得ようとすると、先に説明した図4の状態からさらに締め込んでしまうことが多く発生する。なぜなら、目視確認のできない壁面の裏側で進む圧縮過程において、適度な「締結感」が得にくくなるからである。
【0016】
そのまま、気づくことなくボルトを締めつづけると、メネジ部1がさらに引き寄せられて、拡開腕部2は図5に示すように腰が折れて湾曲してしまう。この状態になると、拡開腕部2と壁面との接触部位も破壊され、本来の強度は得られないという問題がある。
【0017】
また、先に述べた専用のカシメ工具を用いて、図4に示すようにアンカーを適正に取り付けた場合は、いったん抜き取ったボルトを用いて器材を取り付ける際に、図4の状態を超えて螺合しようとすると、そこに至るまでの指で簡単に回せる程度の無トルク状態と比して明確なトルク差が生じるので、コントロールしやすいが、器材を強固に取り付けようとしてボルトを電動工具などを用いて不注意に強く締め付けると同じ問題が発生する。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記のような課題を解決するため、請求項1の発明は、中空構造の壁体に固定するために用いられ、その先端部にオネジと螺合するメネジ部を有し、メネジ部の後方に、軸線方向への圧縮力によって、半径方向へ折れ曲がり拡開する複数の拡開腕部を有し、その後方端部には中央にボルトの貫通を許容する貫通部を有する大径の頭部を有して成る拡開アンカーで、拡開腕部はメネジ部寄りに位置する第1の腕部分とそれに続いて頭部寄りに位置する第2の腕部分とから成り、第1の腕部分はメネジ部寄りから頭部寄りに連続する帯部と、その帯部の両側縁から軸線側へ向けて折り曲げられた支持壁を有する拡開アンカーにおいて、支持壁はその頭部側の端縁がメネジ部側へ向けて傾斜して壁材に面で当接することを特徴とする、拡開アンカーである。
【0019】
請求項2の発明は、中空構造の壁体に固定するために用いられ、その先端部にオネジと螺合するメネジ部を有し、メネジ部の後方に、軸線方向への圧縮力によって、半径方向へ折れ曲がり拡開する複数の拡開腕部を有し、その後方端部には中央にボルトの貫通を許容する貫通部を有する大径の頭部を有して成る拡開アンカーで、拡開腕部はメネジ部寄りに位置する第1の腕部分とそれに続いて頭部寄りに位置する第2の腕部分とから成り、第1の腕部分はメネジ部寄りから頭部寄りに連続する帯部と、その帯部の両側縁から軸線側へ向けて折り曲げられた支持壁を有する拡開アンカーにおいて、支持壁はその頭部側の端縁がメネジ部側へ向けて傾斜して壁材に面で当接し、拡開腕部は半径方向にほぼ均等に分割配置された3つの腕から成ることを特徴とする拡開アンカーである。
【0020】
請求項3の発明は、中空構造の壁体に固定するために用いられ、その先端部にオネジと螺合するメネジ部を有し、メネジ部の後方に、軸線方向への圧縮力によって、半径方向へ折れ曲がり拡開する複数の拡開腕部を有し、その後方端部には中央にボルトの貫通を許容する貫通部を有する大径の頭部を有して成る拡開アンカーで、拡開腕部はメネジ部寄りに位置する第1の腕部分とそれに続いて頭部寄りに位置する第2の腕部分とから成り、第1の腕部分はメネジ部寄りから頭部寄りに連続する帯部と、その帯部の両側縁から軸線側へ向けて折り曲げられた支持壁を有する拡開アンカーにおいて、その帯部は両側縁から軸線側へ向けて90度から鈍角に折り曲げられた支持壁を有し、支持壁はその頭部側の端縁がメネジ部側へ向けて傾斜して壁材に面で当接することを特徴とする拡開アンカーである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0022】
図1に示す実施形態の拡開アンカーは、中空構造の壁体に固定するために用いられ、その先端部にオネジと螺合するメネジ部11を有し、メネジ部11の後方に、軸線方向への圧縮力によって、半径方向へ折れ曲がり拡開する複数の拡開腕部12を有し、その後方端部には中央にボルトの貫通を許容する貫通部を有する大径の頭部13を有して成る拡開アンカーにおいて、拡開腕部はメネジ部11寄りに位置する第1の腕部分14とそれに続いて頭部13寄りに位置する第2の腕部分15とから成り、第1の腕部分14はメネジ部11寄りから頭部13寄りに連続する帯部16a、16bと、その帯部の両側縁から軸線側へ向けて90度から鈍角に折り曲げられた支持壁17a、17b、17c、17dを有して成ることを特徴とする拡開アンカーである。
【0023】
この発明の拡開アンカーを用いる際は、壁面に穴をあけてまずアンカーのみを挿入し、次に取り付ける器材21のボルト穴を通してボルト20の先端をアンカー先端のメネジ部11に螺合する。
【0024】
アンカーに軸線方向への圧縮力を生じさせて拡開腕部12を拡開させるためには、ボルトへかなりの回転トルクが要求されるため、一般的には電動ドライバーなどが用いられる。
【0025】
拡開腕部12が拡開していくと、第2の腕部分15が壁面に接する。従来のアンカーでは、ここからさらにトルクを継続して加えてしまうと、拡開腕部12は軸方向への圧縮力によって湾曲して変形し、その保持機能を失ってしまったが、この発明による拡開アンカーは第1の腕部分14に設けた支持壁17a、17b、17c、17dがその圧縮力を受けて支持し、変形を防ぐことができる。
【0026】
図1、図2、図3に示したこの発明の拡開アンカーでは、拡開腕部12は2つ設けた例を示しているが、それ以上設けることを妨げない。ボルトに加えられるトルクの大きさの可能性と、それによって生じる圧縮力を考慮すると、拡開腕部12は半径方向にほぼ均等に分割配置された3つから成ることが実用上望ましい。それ以上の多くの拡開腕部を設ける場合は、隣接する支持壁の干渉によって、十分な支持壁を確保することが困難となる。
【0027】
第1の腕部分14に設けた支持壁は、その頭部側の端縁18がメネジ部11側へ向けて傾斜していることが望ましい。これによって、拡開腕部12が拡開した時に、端縁18が壁材に面で当接することができ、壁材の破損を防止することができる。
【0028】
第1の腕部分14と第2の腕部分15の境界部には、この位置で鋭角に曲がることを誘導するための構造として、例えば幅細部を設けたり、肉薄部を設けたりしてもよい。
【0029】
また第2の腕部分15の両側縁に、第1の腕部分14に設けたような支持壁を設けてもよいが、その場合は第1の腕部分と第2の腕部分の境界部分においては、支持壁を設けない構造とする。
【0030】
第2の腕部分15と頭部13の間に円筒部分を設けることやその長さは、壁面の厚さによって設計上、自由に選択することができる。
【0031】
その製造方法によっては、この円筒部分を2つあるいは3つの半円柱を合わせる構造としてもよい。
【0032】
【発明の効果】
上述の説明の拡開アンカーによれば、中空構造の壁体に器材を取り付ける際の作業性が改善されて、しかも安定した開脚状態が得られ、これによって安定した強度が得られる。また、ボルトを経由してアンカーに加わる力に対しても第1の腕部分に設けた支持壁によって、従来のアンカーに比して強い力に抗することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の拡開アンカーの拡開前を示す正面図
【図2】同、a−a端面図
【図3】同、拡開後の正面図
【図4】従来の拡開アンカーの拡開後の正面図
【図5】同、過剰な締付け後の正面図
【符号の説明】
11.メネジ部
12.拡開腕部
13.頭部
14.第1の腕部
15.第2の腕部
16.帯部
17.支持壁
18.端縁
20.ボルト
Claims (3)
- 中空構造の壁体に固定するために用いられ、その先端部にオネジと螺合するメネジ部を有し、メネジ部の後方に、軸線方向への圧縮力によって、半径方向へ折れ曲がり拡開する複数の拡開腕部を有し、その後方端部には中央にボルトの貫通を許容する貫通部を有する大径の頭部を有して成る拡開アンカーで、拡開腕部はメネジ部寄りに位置する第1の腕部分とそれに続いて頭部寄りに位置する第2の腕部分とから成り、第1の腕部分はメネジ部寄りから頭部寄りに連続する帯部と、その帯部の両側縁から軸線側へ向けて折り曲げられた支持壁を有する拡開アンカーにおいて、支持壁はその頭部側の端縁がメネジ部側へ向けて傾斜して壁材に面で当接することを特徴とする拡開アンカー。
- 中空構造の壁体に固定するために用いられ、その先端部にオネジと螺合するメネジ部を有し、メネジ部の後方に、軸線方向への圧縮力によって、半径方向へ折れ曲がり拡開する複数の拡開腕部を有し、その後方端部には中央にボルトの貫通を許容する貫通部を有する大径の頭部を有して成る拡開アンカーで、拡開腕部はメネジ部寄りに位置する第1の腕部分とそれに続いて頭部寄りに位置する第2の腕部分とから成り、第1の腕部分はメネジ部寄りから頭部寄りに連続する帯部と、その帯部の両側縁から軸線側へ向けて折り曲げられた支持壁を有する拡開アンカーにおいて、支持壁はその頭部側の端縁がメネジ部側へ向けて傾斜して壁材に面で当接し、拡開腕部は半径方向にほぼ均等に分割配置された3つの腕から成ることを特徴とする拡開アンカー。
- 中空構造の壁体に固定するために用いられ、その先端部にオネジと螺合するメネジ部を有し、メネジ部の後方に、軸線方向への圧縮力によって、半径方向へ折れ曲がり拡開する複数の拡開腕部を有し、その後方端部には中央にボルトの貫通を許容する貫通部を有する大径の頭部を有して成る拡開アンカーで、拡開腕部はメネジ部寄りに位置する第1の腕部分とそれに続いて頭部寄りに位置する第2の腕部分とから成り、第1の腕部分はメネジ部寄りから頭部寄りに連続する帯部と、その帯部の両側縁から軸線側へ向けて折り曲げられた支持壁を有する拡開アンカーにおいて、その帯部は両側縁から軸線側へ向けて90度から鈍角に折り曲げられた支持壁を有し、支持壁はその頭部側の端縁がメネジ部側へ向けて傾斜して壁材に面で当接することを特徴とする拡開アンカー。
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- 2002-10-23 JP JP2002346511A patent/JP3937326B2/ja not_active Expired - Fee Related
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