JP3936330B2 - 光コネクタおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
ところで、近時、光電複合回路、光電気混載基板の要求が高まるにつれ、光素子の光軸が基板に沿った接続方式の光トランシーバは、光コネクタの取付位置に各種制約があるため、光接続回路や回路基板の設計自由度が制限されてしまい、さらに基板の小型化が困難という問題が生じている。
図6は、この光トランシーバに用いられる光コネクタの一例を示す概略構成図である。この光コネクタ110は、概略、接合面110aに臨んでコネクタ本体111に凹所111cに形成され、位置決め溝111aによって位置決めされた光ファイバ115aの端面115bが前記凹所111cに臨んで配置され、前記凹所111cに接着剤114が充填され、さらにコネクタ本体111の凹所111cおよび該凹所111cに臨む前記光ファイバ115の先端部を覆うように前記コネクタ本体111に接して押さえ板112が取り付けられて構成されている。押さえ板112は、ガラス板などであり、透光性を有する。さらに、凹所111cには、光ファイバ115aの端面115bに対向して反射部111dが形成されている。この光トランシーバは、光コネクタ110を、接合面110aが光素子などの光入出端(図示略)に対向させることにより、反射部111dを介して、光ファイバ115と前記光入出端との間に光路が形成されるようになっている。符号113は、位置決め用のピンである。
ガス抜き経路から接着剤中のガスを脱気することができるので、気泡の混入や発生を効果的に抑制することができ、歩留まりを向上することができる。
このような光コネクタは、前記凹所には、該凹所に配置される前記光ファイバの端面に対向して反射部が形成されており、この反射部を介して、前記光入出端と光ファイバとの間に光路が形成されるように構成することができる。この場合、光ファイバの端面と反射部との間に気泡のない接着剤が充填されることになり、散乱や界面での反射を抑制し、挿入損失を低減することができる。
本発明の光コネクタの製造方法によれば、接着剤の充填時に該接着剤中にガスが混入している場合などでも、ガスを除去して、挿入損失の小さい光コネクタを歩留まり良く、容易に製造することができる。
図1は、本発明の光コネクタの一例を示す(a)平面図、および(b)正断面図である。図2,図3は、図1の光コネクタの凹所近傍の部分拡大図であり、図2は、接着剤および押さえ板を省略した斜視図、図3は、光コネクタを光素子と対向させた状態を示す断面図である。図4は、光コネクタが光電変換モジュールに接続される様子を示す正面図である。
図1〜図4において、符号1は回路基板、符号2は光電変換モジュール、符号3は光素子、符号10は光コネクタ、符号15は光ファイバである。光コネクタ10を光電変換モジュール2に接続したものは、例えば光トランシーバとして用いることができる。
光素子3の光軸は、回路基板1に対して垂直の方向となっており、光素子3の光入出端3aは、光電変換モジュール2の回路基板1と反対側の上方(図4の上方)に向けられている。ここで、光素子3の光入出端3aとは、例えば発光素子では発光面(出射端)であり、受光素子であれば受光面(入射端)である。なお、光入出端3aは、光素子3の発光面または受光面に限定されるものではない。一般に、光の入射端面または出射端面であればよく、例えば、回路基板1に垂直に配置された光ファイバの端面等でありうる。
なお、特に図示しないが、例えば、基板や光電変換モジュール2などから突設させて対向配置された一対のバネ(押さえ込み部材)を設け、該バネ同士が互いに近づいて閉じる方向に弾発するようにし、コネクタ接続の際に、光コネクタ10を前記一対のバネの間に挟み込むようにしてもよい。上記押さえ込み部材が光コネクタ10を押さえ込む位置は、例えば、光コネクタ10の接合面10aと反対側の背面10bや、あるいは側面10sなどの他の面(図1,図4参照)などにおくことが可能である。このように光コネクタ10を光電変換モジュール2に向けて押さえ込む機構を設けた場合、光コネクタ10の接合面10aと光電変換モジュール2の接合面2aとの当接が一層確実になり、光接続の状態を長期的に安定して維持することができる。
この他、光コネクタ10と光電変換モジュール2とを光接続状態に保持する機構は、各種構成が採用可能である。
押さえ板12は、詳しくは後述するように、光ファイバ15の端面と光素子3の光入出端3aとの間に光路4を確保するように、少なくとも光路4が通る部分が、ガラスや透明プラスチックなどの透光性材料からなるものとされる。例えば、押さえ板12の全体がガラス等の透光性材料で形成された構成でもよく、または、光路4が通る部分に透光性材料からなる窓が設けられており、窓以外の部分が不透明である構成であってもよい。ここで透光性材料とは、少なくとも使用波長帯において光の減衰や損失の発生が実用的に問題のない程度に低い材料であればよい。
ここで、光ファイバ15aは、多心光ファイバテープ心線である光ファイバ15の先端の一括樹脂被覆の除去により露出(口出し)された光ファイバ(単心の光ファイバ心線、光ファイバ素線、あるいは、裸光ファイバ)である。具体的には、位置決め溝11aは、コネクタ本体11に押さえ板12が取り付けられる取付面11bに複数条、並列に配設されている。これにより、多心光ファイバ15の先端に口出しされた複数本の光ファイバ15aは、それぞれ位置決め溝11aに沿って真っすぐに配列されて精密に位置決めされる。また、押さえ板12で押さえ込まれることにより、光ファイバ15aが反り返るなどして位置決め溝11aからはみ出てしまうなどの不都合が防止される。
なお、位置決め溝11aとしては、V溝、半円状の溝、U溝などである。位置決め溝11aは、光コネクタ10のコネクタ本体11に形成する構成に限定されず、押さえ板12に形成する構成、コネクタ本体11と押さえ板12との両方に向かい合わせの位置に形成する構成も採用可能である。
また、光ファイバ15としては、多心テープ光ファイバ心線に限定されず、例えば、単心の光ファイバ心線等、各種構成が採用可能である。
ここで、「光ファイバ15aの端面15bが凹所11cに臨んで配置されている」とは、光素子3の光入出端3aと光ファイバ15aの端面15bとの間の光路4が、凹所11cを通って形成され得るような配置であることをいう。図3には、光ファイバ15aの端面15bが位置決め溝11aから突出し、凹所11c内に進入しているように図示されているが、特にこれに限定するものではない。例えば、光ファイバ15aの端面15bの位置が、凹所11cと位置決め溝11aの境界部11e付近、または該境界部11eより位置決め溝11a側(図3左側)の位置であっても構わない。
なお、反射部11dとしては、コネクタ本体11の凹所11cの内壁面に直接金属蒸着膜を形成した構成に限定されず、例えば成膜済みのチップを凹所11cに組み込む構成なども採用可能である。また、反射部11dの傾斜角度は、45°に限定されるものではなく、光ファイバ15aの光軸と光素子3の光軸の交差角度により、光ファイバ15aと光素子3とが光接続されるような角度であればよい。
この場合、光ファイバ15aと光素子3との間を通る光、特に、反射部11dと光素子3との間をとおる光は、接着剤14および押さえ板12を透過する必要がある。このため、接着剤14および押さえ板12は、光が散乱や吸収等による損失が殆ど生じることなく透過できるような光学特性(透光性)を有する。ここで透光性とは、少なくとも使用波長帯において光の減衰や損失の発生が実用的に問題のない程度に低いことをいう。
接着剤14としては、例えばエポキシ系などの光学接着剤を用いることができ、その種類も、UV硬化型、熱硬化型など、種々のものが採用可能である。
押さえ板12の材料としては、例えばガラスや透明プラスチックが採用できる。なお、押さえ板12は、その全体が透光性をもつ構成に限定されず、少なくとも、光路4が形成される部分(例えば凹所11cの開口を塞ぐ部分)が透光性を有すればよい。
図1に示すように、ガス抜き経路16の凹所11c側の端16aと反対側の他端16bは、コネクタ本体11上で、押さえ板12が取り付けられる領域17の外側に開口している。
これにより、接着剤14中の気泡(空気などのガス)をガス抜き経路16を介して抜くことができる(ガス抜き手段)。接着剤14の脱気(ガス抜き)を効果的に行うためには、接着剤14を硬化させる前に、組み立てた光コネクタ10を真空などの減圧下におくことが好ましい。
ガス抜き経路16の開口16aが、反射部11dを避けて、その近傍に開口されているので、特に、反射部11d近傍に位置する接着剤14のガスを効率的に除去することができ、光路4の損失増大を抑制する点で効果が大きい。
接着剤14をコネクタ本体11と押さえ板12との間に注入した後、ガス抜き経路16を介して接着剤14を減圧脱気することにより、注入時に接着剤がガスを含んでいる場合などでも、当該ガスを除去して、挿入損失の小さい光コネクタ10を容易に製造することができる。
ガス抜き経路は、凹所に充填された接着剤のガス抜きを効果的に行えるようであれば、その配置や形状や本数などは、特に限定されない。例えば、反射部と光ファイバの端面との間隙を含む空間を光コネクタ外部の外気と連通させる穴や溝等の経路が例示される。
本発明の光コネクタと光接合される光素子などの光入出端は、回路基板に実装されたものである必要はない。また、光コネクタが光入出端と光結合されたときの姿勢は、光コネクタの接合面を下向きにした姿勢に限定されることはなく、例えば接合面が鉛直方向の上向き、あるいは水平方向に向いた姿勢などであっても差し支えない。
Claims (6)
- 光入出端に対して光ファイバをコネクタ接続可能に成端する光コネクタであって、
前記光ファイバの先端部が固定されるとともに該光ファイバの端面が配置される凹所を有するコネクタ本体と、前記コネクタ本体の凹所および該凹所に臨む前記光ファイバの先端部を覆うように前記コネクタ本体に接して配置される押さえ板とを備え、
前記凹所には、該凹所に配置される前記光ファイバの端面に対向して反射部が形成されており、この反射部を介して、前記光入出端と光ファイバとの間に光路が形成されるようになっており、前記反射部は、前記光ファイバの光軸の延長上にあって、かつ該光ファイバの光軸に対して傾斜している反射面であり、前記押さえ板は、少なくとも前記光路が通る部分が透光性材料からなり、
前記コネクタ本体には、前記凹所において前記光ファイバの端面に対向する内壁面のうち前記反射部を避けた位置から連通して、前記押さえ板が覆う領域よりも外側に開口したガス抜き経路が設けられているとともに、前記光ファイバと押さえ板との間の光路に接着剤が充填されていることを特徴とする光コネクタ。 - 光入出端に対して光ファイバをコネクタ接続可能に成端する光コネクタであって、
前記光ファイバの先端部が固定されるとともに該光ファイバの端面が配置される凹所を有するコネクタ本体と、前記コネクタ本体の凹所および該凹所に臨む前記光ファイバの先端部を覆うように前記コネクタ本体に接して配置される押さえ板とを備え、
前記凹所には、該凹所に配置される前記光ファイバの端面に対向して反射部が形成されており、この反射部を介して、前記光入出端と光ファイバとの間に光路が形成されるようになっており、前記反射部は、前記光ファイバの光軸の延長上にあって、かつ該光ファイバの光軸に対して傾斜している反射面であり、前記押さえ板は、少なくとも前記光路が通る部分が透光性材料からなり、
前記凹所は、前記押さえ板とコネクタ本体との間に配置された前記光ファイバの先端部の延在方向に対して垂直な方向である光コネクタの幅方向に延在しており、
前記コネクタ本体には、前記凹所をその延在方向に延長して押さえ板が覆う領域よりも外側まで延ばしてなる凹所の延長部として、前記押さえ板が覆う領域よりも外側に開口したガス抜き経路が設けられているとともに、前記光ファイバと押さえ板との間の光路に接着剤が充填されていることを特徴とする光コネクタ。 - 光入出端に対して光ファイバをコネクタ接続可能に成端する光コネクタであって、
前記光ファイバの先端部が固定されるとともに該光ファイバの端面が配置される凹所を有するコネクタ本体と、前記コネクタ本体の凹所および該凹所に臨む前記光ファイバの先端部を覆うように前記コネクタ本体に接して配置される押さえ板とを備え、
前記凹所には、該凹所に配置される前記光ファイバの端面に対向して反射部が形成されており、この反射部を介して、前記光入出端と光ファイバとの間に光路が形成されるようになっており、前記反射部は、前記光ファイバの光軸の延長上にあって、かつ該光ファイバの光軸に対して傾斜している反射面であり、前記押さえ板は、少なくとも前記光路が通る部分が透光性材料からなり、
前記コネクタ本体には、前記凹所において前記光ファイバの端面に対向する内壁面のうち前記反射部を避けた位置から連通して、前記押さえ板が覆う領域よりも外側に開口したガス抜き経路が設けられているとともに、前記光ファイバと押さえ板との間の光路で光が散乱しないようにガス抜き経路を介した脱気でガス抜きされた接着剤が充填されていることを特徴とする光コネクタ。 - 光入出端に対して光ファイバをコネクタ接続可能に成端する光コネクタであって、
前記光ファイバの先端部が固定されるとともに該光ファイバの端面が配置される凹所を有するコネクタ本体と、前記コネクタ本体の凹所および該凹所に臨む前記光ファイバの先端部を覆うように前記コネクタ本体に接して配置される押さえ板とを備え、
前記凹所には、該凹所に配置される前記光ファイバの端面に対向して反射部が形成されており、この反射部を介して、前記光入出端と光ファイバとの間に光路が形成されるようになっており、前記反射部は、前記光ファイバの光軸の延長上にあって、かつ該光ファイバの光軸に対して傾斜している反射面であり、前記押さえ板は、少なくとも前記光路が通る部分が透光性材料からなり、
前記凹所は、前記押さえ板とコネクタ本体との間に配置された前記光ファイバの先端部の延在方向に対して垂直な方向である光コネクタの幅方向に延在しており、
前記コネクタ本体には、前記凹所をその延在方向に延長して押さえ板が覆う領域よりも外側まで延ばしてなる凹所の延長部として、前記押さえ板が覆う領域よりも外側に開口したガス抜き経路が設けられているとともに、前記光ファイバと押さえ板との間の光路で光が散乱しないようにガス抜き経路を介した脱気でガス抜きされた接着剤が充填されていることを特徴とする光コネクタ。 - 前記光ファイバの光軸に対する前記反射面の傾斜角度が45°であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の光コネクタ。
- 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の光コネクタの製造方法であって、
コネクタ本体の凹所に前記光ファイバの端面を配置し、前記凹所に接着剤を充填し、前記コネクタ本体の凹所および該凹所に臨む前記光ファイバの先端部を覆うように前記コネクタ本体に接して押さえ板を取り付け、前記凹所から連通して前記コネクタ本体に形成されたガス抜き経路を介して前記接着剤の脱気を行うことを特徴とする光コネクタの製造方法。
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