JP3935349B2 - 廃棄物処理システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃棄物を減容化処理する廃棄物処理システムに関し、特に廃棄物の熱分解処理を行った際に発生する熱分解ガスを高温にて改質した後、冷却することができる廃棄物処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、廃棄物を熱分解処理などにより減容化処理する廃棄物処理システムが知られている。
【0003】
この廃棄物処理システムは、各家庭、各事業所などから収集された廃棄物などの被処理物を破砕し、破砕された被処理物を熱分解処理して減容化および無害化を図るものである。
【0004】
廃棄物を熱分解した際に発生する熱分解ガスは、空気を多量に吹き込むことにより高温にて燃焼し、その際に発生するガスを冷却するために、水管式のボイラが用いられている。
【0005】
ボイラから発生する蒸気により蒸気タービンを稼動して発電を行う場合、蒸気ターピンでの熱落差を大きく取るために、ボイラの蒸気圧設定を高温高圧とする必要があるが、このような場合、高温高圧に耐えうる構造を有する水管式ボイラを採用することが不可欠である。しかしながら、高温高圧に蒸気設定においてボイラを運転すると、ボイラチューブの温度が高温腐食領域に入ってしまうため、ボイラチューブが著しく腐食してしまい、チューブに穴が開くなど重大なボイラ災害につながることがある。
【0006】
一方、熱分解ガスを空気リッチの状態で燃焼させずに、還元雰囲気にて部分燃焼させて高温のガス雰囲気を作り、熱分解ガスを改質して改質ガスを生成させることも考えられている。改質ガスは、その後洗浄されて燃料ガスとして用いられ、その燃焼ガスによりガスエンジン、ガスタービンおよび燃料電池などを作動させて発電している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、廃棄物の熱分解システムにおいて、廃棄物の有する熱量を電気に変化する方法には、廃棄物を熱分解して発生する熱分解ガスを完全燃焼させてその発生熱を蒸気タービンにて回収して電気に変換する方法と、廃棄物を熱分解して発生する熱分解ガスを部分燃焼させてガス改質およびその洗浄を行い、燃料ガスとして取り出して発電を行う方法とがある。
【0008】
廃棄物を熱分解して得られる熱分解ガスを部分燃焼することにより改質ガスを生成したのち、燃料ガスを取り出すシステムにおいては、発生する改質ガスをバグフィルターの耐用温度まで冷却する必要がある。この場合、改質ガスを冷却しすぎてもバグフィルタ内での改質ガスの凝縮成分の結露を生じさせるために、バグフィルタのろ布を濡らしてしまうという問題がある。
【0009】
また、上記のような廃棄物を熱分解して得られる熱分解ガスを部分燃焼することにより改質ガスを生成した後、燃料ガスを取り出すシステムにおいては、改質ガス中に多量のダストが含まれ、このダストが改質ガス流路の澱み部に蓄積したり、ボイラの伝熱チューブへ付着したりして、ガス系統の圧力損失増大や伝熱性能の低下を招く原因となる。
【0010】
また、バグフィルターに流入する改質ガスの温度を、ろ布が溶失せない温度よりも低く、かつろ布において結露が生じる温度よりも高くなるように改質ガス温度を制御する必要がある。
【0011】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、廃棄物を熱分解して得られる熱分解ガスを部分燃焼して改質ガスを生成した後、燃料ガスを取り出すシステムにおいて、耐腐食性を向上させ、かつ改質ガス中に含まれる多量のダストがボイラのチューブへ付着することのない廃棄物処理システムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、廃棄物を加熱して熱分解ガスを生成する熱分解装置と、熱分解装置からの熱分解ガスを高温還元雰囲気中で改質して改質ガスを生成するガス改質装置と、ガス改質装置からの改質ガスを冷却する手段とを備え、改質ガスの冷却手段は、煙管式ボイラからなり、煙管式ボイラは、ケーシングと、ケーシング内に配置され、内部に改質ガスが流入する多数のチューブとを有し、チューブ近傍にチューブ内を蒸気によりブローするスートブローノズルを設けたことを特徴とする廃棄物処理システムである。
【0013】
本発明は、ボイラは、飽和蒸気圧が0.5〜1.5MPaとなる運転圧力で運転されることを特徴とする廃棄物処理システムである。
【0015】
本発明は、ケーシングにケーシング内に水を給水する給水管と、ケーシングからの蒸気を排出する蒸気管とが設けられ、スートブローノズルには蒸気菅からの蒸気が流入することを特徴とする廃棄物処理システムである。
【0016】
本発明は、ボイラの下流側に、ボイラへ給水源から給水する水を予熱する給水予熱器が設けられていることを特徴とする廃棄物処理システムである。
【0017】
本発明は、給水源からの水を給水予熱器を経てボイラへ送る予熱ラインと、給水源からの水を直接ボイラへ送るバイパスラインとが設けられ、これら予熱ラインとバイパスラインは切換弁により切換自在となっていることを特徴とする廃棄物処理システムである。
【0018】
本発明は、ボイラは堅型の煙管式ボイラからなることを特徴とする廃棄物処理システムである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1乃至図3は、本発明による廃棄物処理システムの一実施の形態を示すシステム構成図である。
【0021】
図1に示すように、廃棄物処理システムは、廃棄物1の熱分解処理を行う加熱処理手段として設けられ熱分解ガスを生じさせる熱分解キルン(熱分解装置)4と、熱分解装置4からの熱分解ガスを高温還元雰囲気中で改質して改質ガスを生成するガス改質装置5と、ガス改質装置5からの改質ガスを冷却する堅型の煙管式ボイラ10と、煙管式ボイラ10へ給水源30から給水される水をボイラ10からの改質ガスを用いて予熱する給水予熱器20とを備えている。
【0022】
また給水予熱器20の下流側には、バグフィルタ9が設けられ、バグフィルタ9の下流側には、改質ガスを洗浄するガス洗浄装置6が設けられている。ガス洗浄装置6により洗浄された改質ガスは、燃料ガス回収装置6aにおいて燃料ガスとして回収され、その後燃料ガスは発電設備7へ送られて燃焼されて発電に供される。
【0023】
この場合、発電設備7としては、ガスエンジン、ガスタービンまたは燃料電池等が考えられる。
【0024】
次に図2により、煙管式ボイラ10および給水予熱器20について詳述する。図2に示すように煙管式ボイラ10は、ケーシング10aと、ケーシング10a内に配置され、ガス改質装置5から送られる改質ガスが流入する多数のチューブ13とを有している。ケーシング10aには、図示しない気水ドラムからの水が給水される給水管11と、ケーシング10a内で生成した蒸気が排出する蒸気菅12とが接続されている。
【0025】
また、ケーシング10a内には、チューブ13内をブローするためのスートブローノズル15が複数配置され、これらスートブローノズル15には蒸気菅12から排出された蒸気が流入するようになっている。さらに、ケーシング10aの下部には、ケーシング10a内のダストを排出するロータリーバルブ16が設けられている。
【0026】
また給水予熱器20は、ケーシング20aと、ケーシング20a内をブローするためのスートブローノズル25とを有している。またケーシング20a下部には、ケーシング20a内のダストを排出するためのサークルフィーダ27およびロータリーバルブ26が設けられている。スートブローノズル25には、ボイラ10の蒸気菅12から排出された蒸気が流入するようになっている。
【0027】
さらに、給水予熱器20のケーシング20aには、給水源30からの水をケーシング20a内へ送って予熱するとともに、煙管式ボイラ10側の汽水ドラムへ送る予熱ライン22が設置されている。給水源30からの水は、給水予熱器20を経ることなく直接煙管式ボイラ10の汽水ドラムへもバイパスライン21を介して送ることができ、バイパスライン21は予熱ライン22に三方弁(切換弁)23を介して接続されている。
【0028】
また、給水予熱器20のケーシング20aには、改質ガスをバグフィルタ9へ送る排出管24が接続され、この排出管24に温度計28が取り付けられている。温度計28からの信号は制御部23aに送られ、この制御部23aにより三方弁23を駆動制御して、バイパスライン21と予熱ライン22への給水量を調整することができる。
【0029】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0030】
まず、図1に示すように、熱分解装置4内で廃棄物1が熱分解して熱分解ガスを発生させる。熱分解ガスは下流側のガス改質装置5に流入し、このガス改質装置5において熱分解ガスが還元雰囲気において部分燃焼して約1100℃の高温となる。このとき熱分解ガスはその中に含まれるタール分やダイオキシンなどを分解して、可燃性成分として水素、一酸化炭素を含む形質の改質ガスに改質される。
【0031】
この改質ガス中には多量のダストが含まれ、ダストの成分の約90%は炭素からなる。この改質ガス中のダストを取り除くために、後述のように改質ガスは、バグフィルタ9を通ることになる。この場合、バグフィルタ9の耐用温度が一般的に250℃以下であるため、改質ガスの温度を250℃以下にまで下げなくてはならない。さらに、改質ガスはその温度が300〜500℃であると、ガス中に含まれるダイオキシンの分解成分が再合成して、再びダイオキシンを生成してしまう可能性がある。このため、ダイオキシンの再合成の起こりにくい約200℃までガスを冷却する必要がある。
【0032】
このような点を考慮して、ガス改質装置5からの改質ガスは、煙管式ボイラ10へ送られ、改質ガスの温度を下げると共に、改質ガスの保有する顕熱量を蒸気として熱回収を行う。この時、煙管式ボイラ10におけるチューブ13の温度が低温腐食領域と高温腐食領域の間の150℃〜320℃となるように蒸気の発生圧力を選定する必要がある。
【0033】
すなわち、図3に示すように、管壁温度が150℃以下の場合、電気化学的腐食ゾーンとなって炭素銅鋼管からなるチューブ13の電気化学的腐食が進行し、320℃〜480℃の場合、塩化鉄またはアルカリ鉄硫酸塩の生成による腐食が進行する。さらに480℃以上の場合、塩化鉄またはアルカリ鉄硫酸塩の分解により腐食が進行するとともに、ガス層における腐食が進行する。
【0034】
このため、チューブ13の温度は150℃〜320℃に定めることが望ましい。
【0035】
本実施例においては、ボイラー10として煙管式のものを採用し、またダストの排出性やチューブ清掃などのメンテナンス性にも優れた堅型のボイラを用いている。
【0036】
なお、煙管式ボイラ10の運動圧力は、ボイラ10内の飽和蒸気圧が0.5〜1.5MPa(ゲージ圧)となるよう定められている。
【0037】
また、飽和蒸気圧を0.8MPa(ゲージ圧)と定めてチューブの温度を180〜190℃程度とすることが好ましい。蒸発温度をもっと高く設定して飽和蒸気圧を2MPa程度にすると、腐食領域としてはより安全であるが、安価な煙管式ボイラ10を作製することはむずかしい。また飽和蒸気圧を2MPa程度にすると、沸騰温度が約200℃以上となってしまうために、改質ガス温度を200℃まで下げるには、ボイラ10後段の給水予熱器20が大きくなってしまう。しかしながらこの場合、給水予熱器20は低温腐食領域での使用を余儀なくされるため、形状が大きくなると支障が生じる。
【0038】
この間、煙管式ボイラ10においては、チューブ13内にダストが付着することがある。この場合は、チューブ13の流路を狭めて伝熱性能の低下およびガス流れの圧力損失の増大をもたらす。このような場合は、ダストの着いたチューブ13内壁面に向かってスートブローノズル15から蒸気を噴射する。このスートブローノズル15はケーシング10aの入口、チューブ13の1パス目入口、チューブ13の1パス目と2パス目の間、およびチューブ13の2パス目の入口に各々設けられている。
【0039】
煙管式のボイラ10ではチューブ13の内側にダストが付くために、チューブ13の外側にダストが付く水管式ボイラよりもダスト付着による伝熱性能の低下および圧力損失の増加への影響も考えられるが、最小限の蒸気噴射でチューブ13内のダストを確実に除去できる。
【0040】
また水管式のスートブロー(ダストブロー)においては、定置回転式など、チューブ外側に着くダストを払うのにかなりの量の蒸気を必要とするために、熱分解キルンやガス改質器など系統内の圧力が正圧側に振れてしまう危険性がある。系統内での圧力が正圧側に振れると人体に悪いガスが出るばかりでなく、空気と触れて燃焼してしまうという危険性がある。
【0041】
これに対して本発明によれば、最小限の蒸気量でチューブ13内側のダストを除去することができる。
【0042】
なお、図2に示すように、スートブローノズル15から噴射される蒸気は、ボイラ10内で生じ蒸気菅12から排出される蒸気が用いられる。
【0043】
ところでスートブローノズル15から蒸気を噴射すると、負圧に保っているガス系統が正圧側に振れることも考えられる。そこで本発明においては、通常−0.05kPAに制御している熱分解装置4内の圧力を、スートブローノズル15からの蒸気噴射時に−0.2kPaと強めにドラフトすることにより、蒸気噴射により系統内圧力が正圧側に振れても系統が負圧を保つことができる。
【0044】
次にボイラ10からの改質ガスは、給水予熱器20へ送られて更に200℃以下まで冷却される。この給水予熱器20内ではボイラ10を出た改質ガスと給水源30からの50〜70℃の水を熱交換させることにより、改質ガス温度をさらに冷却できるとともに発生蒸気量の増大に寄与することができる。しかしながら、改質ガス量が少なくなるような低負荷運転時やプラント立ち上げ時または立ち下げ時などにおいては、給水予熱器20を必要としなくても十分に200℃程度まで改質ガスを冷却でき、給水予熱器20があることによって改質ガスが冷えすぎるという問題が出てくる。改質ガスが冷えすぎると、バグフィルタ9において改質ガス中の凝縮成分が結露して、ろ布を濡らしてしまうことがある。ろ布が濡れてしまうと、ダストがろ布から落ちなくなるため、改質ガスの流れが閉塞してしまう危険性がある。
【0045】
そこで、本実施例においては、給水を給水予熱器20へ送る予熱ライン22と、給水予熱器20をバイパスするバイパスライン21とが設けられている。そして二つのライン21,22への分岐作用は3方弁23により行われる。
【0046】
すなわち、バグフィルタ9への改質ガスの入口温度が温度計28により測定され、この測定値が設定値より高くなったら、三方弁23の開度を制御部23aにより制御して、予熱ライン22に多く給水が流れるようにする。同様にして、改質ガス温度が低くなると、三方弁23の開度を制御してバイパスライン21に給水を多く導くようにする。上記のような方法によりバグフィルタ9入口の改質ガス温度を制御することができる。
【0047】
また給水予熱器20内において、必要に応じてスートブローノズル25からケーシング20a内に蒸気が噴射される。
【0048】
その後、給水予熱器20からの改質ガスはバグフィルタ9に入ってダストが除去される。ダストが除去された改質ガスは、その後ガス洗浄設備6へ送られて洗浄され、燃料ガス回収装置6aにより燃料ガスとして回収されて発電設備7へ送られる。
【0049】
このように本実施の形態によれば、ガス改質装置5により生成した改質ガスを煙管式ボイラ10において確実に冷却することができる。この場合、ボイラ10として、温度を適宜選定することによりチューブの腐食を生じさせにくい煙管式ボイラを用いることにより、ボイラ10内におけるチューブ13の腐食およびダストの付着を確実に防止することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、廃棄物を熱分解装置において熱分解することにより生じる熱分解ガスを、ガス改質装置において改質して改質ガス生成することができる。その後、この改質ガスを煙管式ボイラで冷却することにより、確実に冷却することができる。この際、煙管式ボイラのチューブ内における腐食およびダストの腐食を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による廃棄物処理システムの一実施の形態を示す概略図。
【図2】煙管式ボイラと給水予熱器とを示す図。
【図3】炭素銅鋼管の管型温度と腐食温度との関係を示す図。
【符号の説明】
4 熱分解装置
5 ガス改質装置
6 ガス洗浄装置
7 発電設備
10 煙管式ボイラ
10a ケーシング
13 チューブ
15 スートブローノズル
20 給水予熱器
20a ケーシング
21 バイパスライン
22 予熱ライン
23 三方弁
23a 制御部
28 温度計
30 給水源

Claims (6)

  1. 廃棄物を加熱して熱分解ガスを生成する熱分解装置と、
    熱分解装置からの熱分解ガスを高温還元雰囲気中で改質して改質ガスを生成するガス改質装置と、
    ガス改質装置からの改質ガスを冷却する手段とを備え、
    改質ガスの冷却手段は、煙管式ボイラからなり、煙管式ボイラは、ケーシングと、ケーシング内に配置され、内部に改質ガスが流入する多数のチューブとを有し、チューブ近傍にチューブ内を蒸気によりブローするスートブローノズルを設けたことを特徴とする廃棄物処理システム。
  2. ボイラは、飽和蒸気圧が0.5〜1.5MPaとなる運転圧力で運転されることを特徴とする請求項1記載の廃棄物処理システム。
  3. ケーシングにケーシング内に水を給水する給水管と、ケーシングからの蒸気を排出する蒸気管とが設けられ、スートブローノズルには蒸気からの蒸気が流入することを特徴とする請求項記載の廃棄物処理システム。
  4. ボイラの下流側に、ボイラへ給水源から給水する水を予熱する給水予熱器が設けられていることを特徴とする請求項1記載の廃棄物処理システム。
  5. 給水源からの水を給水予熱器を経てボイラへ送る予熱ラインと、給水源からの水を直接ボイラへ送るバイパスラインとが設けられ、これら予熱ラインとバイパスラインは切換弁により切換自在となっていることを特徴とする請求項記載の廃棄物処理システム。
  6. ボイラは堅型の煙管式ボイラからなることを特徴とする請求項1記載の廃棄物処理システム。
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