JP3935307B2 - ω−3ポリ不飽和脂肪酸含有アシルグリセロールを酸化分解に対して安定化する方法、γ−CDとアシルグリセロールとの複合体、およびその使用 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ω−3ポリ不飽和脂肪酸を大量に含有するアシルグリセロールをγ−シクロデキストリンを用いて安定化する方法、そのようにして製造された複合体、およびその使用に関する。
【0002】
シクロデキストリンは環状のオリゴ糖であり、6、7または8α(1−4)−結合性のアンヒドログルコース単位から成る。α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンは、たとえば酵素でんぷん変換により製造され、各々の疎水性の空洞の直径は異なっており、一般的に、多くの親油性物質の包接に好適である。
【0003】
大量のω−3ポリ不飽和脂肪酸、たとえばエイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサンエン酸(DHA)、ドコサテトラエン酸(DTA)、またはドコサペンタエン酸(DPA)を含むアシルグリセロールは食品または栄養補助品分野において必須脂肪酸を提供するために使用され、これらの必須脂肪酸はヒトの健康と良好な状態の全般に関連し、かつ心血管系、炎症性障害、ヒトの発育、健康および行動にまつわる疾患の治療と予防に関連する。
【0004】
これらの物質の広範囲な使用における主な問題点は、その制限された安定性にある。これは、多数の炭素炭素(C−C)二重結合により、酸化分解(たとえば光、大気酸素、熱または微生物への暴露)に対する感受性が強められた結果である。自動酸化はC−C二重結合で起こり、この際、最初に過酸化物の生成が誘起され、次いでアルデヒド、ケトンおよび酸が生成する。二次反応には異性化および重合が含まれる。
【0005】
US5189149には、長鎖ポリ不飽和脂肪酸、魚油や植物油のグリセリドを含むその塩およびエステルとα−、β−、γ−シクロデキストリン(α−、β−、γ−CD)およびヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンとの複合体の製造方法および得られた複合体について記載されている。この特許は得られた複合体の組成、またはその安定性について記載していない。
【0006】
US4831022、US4777162およびUS4775749にはエイコサペンタエン酸とγ−シクロデキストリンとの包接化合物およびこの包接化合物を含有する食品が記載されている。これらの特許は、シクロデキストリンとしてγ−CDを使用する場合に、複合体が最も高いエイコサペンタエン酸含量を有することを示している。さらに、この特許はエイコサペンタエン酸/γ−シクロデキストリン複合体の高い安定性についても記載している。この特許はエイコサペンタエン酸の誘導体または他のω−3ポリ不飽和脂肪酸とγ−CDとの複合体を記載していない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、ω−3ポリ不飽和脂肪酸含有アシルグリセロールを酸化分解に対して安定化する方法を提供することである。
【0008】
この課題は、γ−シクロデキストリンをω−3ポリ不飽和脂肪酸含有アシルグリセロールとバッチ式にまたは連続的に混合してγ−CD/アシルグリセロール複合体を形成することにより解決される。
【0009】
バッチを稠度に応じて激しく混合、すなわち激しく混練または攪拌する。
【0010】
γ−シクロデキストリンの使用により、ω−3ポリ不飽和脂肪酸含有アシルグリセロールの安定性は、α−シクロデキストリンまたはβ−シクロデキストリン使用時より良好になる。
【0011】
濃縮したγ−CD水溶液からの製造が有利である。ω−3ポリ不飽和脂肪酸含有アシルグリセロールをγ−CD水溶液へ添加する。アシルグリセロール添加前の水溶液のCD濃度は、有利に5〜60質量%である。CD濃度10〜40質量%が特に有利である。
【0012】
ω−3ポリ不飽和脂肪酸含有アシルグリセロールのCDに対する質量比は、有利に0.1:1〜5:1、特に有利に0.4:1〜3:1である。
【0013】
アシルグリセロールとγ−CDとの混合は、凝固点よりも高くかつ80℃までの温度範囲で有利に実施する。この工程を、特に有利に10〜60℃、非常に有利に約15〜50℃で実施する。混合時間は温度に依存し、有利に1時間〜数日である。原則として、10〜30時間の混合時間で十分である。
【0014】
複合体形成を有利に常圧下で実施する。複合体形成を有利に保護気体(窒素またはアルゴン)の雰囲気下に実施する。
【0015】
本発明においてω−3ポリ不飽和脂肪酸含有アシルグリセロールは、有利に、モノアシル、ジアシル、トリアシルまたはアルキル変性グリセロールまたはグリセロール一リン酸であり、かつ少なくともひとつのω−ポリ不飽和脂肪酸を有する。
【0016】
ω−3ポリ不飽和脂肪酸とは、有利に、EPA、DHA、DTAまたはDPAから成る群より選択された残基を意味する。
【0017】
ω−3ポリ不飽和脂肪酸含有アシルグリセロールは特に有利に、少なくともひとつのEPAまたはDHA残基を有するモノ−、ジ−、トリアシルグリセロール、またはグリセロール一リン酸である。
【0018】
ω−3ポリ不飽和脂肪酸含有アシルグリセロールは非常に有利に、少なくともひとつのEPA残基を有利に含量5〜30%で、または少なくともひとつのDHA残基を有利に含量5〜30%で含むモノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、トリアシルグリセロールである。
【0019】
アシルグリセロール中のω−3ポリ不飽和脂肪酸の組成は、対応するメチルエステルをガスクロマトグラフィーで分析する公知の方法により測定できる。
【0020】
ω−3ポリ不飽和脂肪酸含有アシルグリセロールは、たとえば煮取りにより、多くの場合それに引き続いて行う油相と水相への遠心分離のような実質的に公知の方法により獲得される。開放液圧プレス、ケージプレス(cage press)および連続スクリュープレスは全て脂肪溶解残分からの油分の最終的な回収に使用され、脂肪溶解残分は多くの場合、圧縮後に溶媒抽出される。
【0021】
【課題を解決するための手段】
意外にも、ω−3ポリ不飽和脂肪酸含有アシルグリセロールをγ−シクロデキストリンと特にEPAおよび/またはDHA濃度15〜40質量%で複合体形成させることにより、優れた方法で安定化できることが見出された。
【0022】
α−シクロデキストリンおよびβ−シクロデキストリンと比較して、不飽和化合物の極めて高い安定化が見出された。ランシマット装置(Rancimat machine)で試験したところ、γ−CD/アシルグリセロール複合体は、α−CDおよびβ−CDを使用して獲得した複合体よりもかなり高い安定性を示した。
【0023】
ω−3ポリ不飽和脂肪酸含有アシルグリセロールとγ−シクロデキストリンとの複合体は、ランシマット装置上において100℃で24時間を超える安定時間(誘導時間)を有する。
【0024】
よって、本発明はまた、γ−CDとω−3ポリ不飽和脂肪酸含有アシルグリセロールとの複合体に関する。
【0025】
本発明の複合体は、ω−3ポリ不飽和脂肪酸含有アシルグリセロールに対し、γ−シクロデキストリンを有利に5〜50質量%含有する。特に有利な含量は、ω−3ポリ不飽和脂肪酸含有アシルグリセロールに対し15〜40質量%である。
【0026】
ω−3ポリ不飽和脂肪酸含有アシルグリセロールは、有利に、少なくともひとつのEPAを有利に5〜30%の含量で、または少なくともひとつのDHA基を有利に5〜30%の含量で含む、モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、トリアシルグリセロールである。
【0027】
水にわずかに溶解するこの複合体は、反応混合物の形で直接使用できる。またこの複合体は、各場合に慣用される方法に合わせて、濾過、遠心分離、乾燥、粉砕、篩い分け、スクリーニング、顆粒化または錠剤化により単離および加工できる。
【0028】
本発明の複合体を、たとえば必須脂肪酸を提供するための食品または栄養補助品分野に使用できる。多くの研究が、ω−3ポリ不飽和脂肪酸と疾患の治療および予防とを関連づけており、特に心血管系および炎症性疾患の治療および予防、たとえば冠動脈心疾患の危険性の減少、トリグリセリドレベルの降下、血圧の降下、関節炎、喘息、クローン病、乾癬の治療および予防と関連づけている。ヒトの発育については、特に脳と網膜の成長および発達、かつ適応および行動の改善、有酸素的持久力および筋力回復の促進と関連づけられる。
【0029】
以下の実施例で本発明を詳細に説明する。
【0030】
実施例では、製造した複合体の安定性をランシマット法により測定した。679ランシマット装置は、酸化および熱に対する安定性を測定する装置である。この装置はメトローム社製である(Metrohm Ltd., CH-9101 Herisau, Switzerland)。油および脂肪または油および脂肪を含む物質の場合に、酸化分解に対する安定性を測定できる。679ランシマットは、制御ユニットおよび3または6個の反応容器と測定容器を含む湿潤域から成る。湿潤域では、サンプルを高温で大気酸素流へ暴露する。油および脂肪の場合、ここで有機酸を生じる。揮発性の分解産物を蒸留水で満たした測定容器へ回収し、電導度セルで連続的に検出する。制御ユニットでは、湿潤域で実施される測定の制御と評価を行う。
【0031】
アシルグリセロール/CD複合体の酸化抵抗性を100℃で測定した。モード1(誘導時間)および2(30μS/cmで設定したΔKでの安定時間)を使用して評価した。一般に、評価モード1(誘導時間)を使用した。空気流20L/hを全てのサンプルに対して適用した。サンプル量は2.0g(固体複合体)および3.5g(液体魚油)を使用した。
【0032】
誘導時間を曲線κ=f(t)から計算した。誘導時間とは、曲線の破断点に到達するのに必要な時間のことである。誘導時間は評定下のサンプルの酸化に対する安定性の指標であり、AOM法での消費時間の結果とほぼ完全に一致する。(脂肪および油の酸化安定性の測定:活性酸素法(AOCS Cd 12〜57)およびランシマット法の比較、JAOCS 63, 792〜795 (1986), Laeubli, M. W. and Bruttel, P. A.)
安定時間を曲線κ=f−(t)から計算する。安定時間とは、予め設定した電導度変化(30μS/cmで設定したΔk)に到達するのに必要な時間のことである。
【0033】
【実施例】
例1:
1lの反応がまに入った、60℃の脱イオン化しかつ脱気した水150mlへ、乾燥γ−シクロデキストリン100.0gを添加した。反応容器を光があたらないように遮へいし、固体が溶解したら直ちに、EPAを約5%およびDHAを最少25%含有するアシルグリセロール溶液22.0gを添加した。混合物を窒素雰囲気下に60℃で24時間攪拌し、次いで周囲温度にまで冷却した。得られたペーストを50℃で48時間真空下に乾燥させた。生成物を白色粉末として収量116.0g(95%)で獲得した。アシルグリセロール含量:18質量%。100℃での酸化誘導時間(IT100):>24時間。100℃での安定時間:>24時間。
【0034】
例2:
1lの反応がまに入った、20℃の脱イオン化しかつ脱気した水150mlへ、乾燥γ−シクロデキストリン100.0gを添加した。反応容器を光があたらないように遮へいし、次いでEPAを約5%およびDHAを最少25%含有するアシルグリセロール溶液22.0gを添加し、混合物を窒素雰囲気下に20℃で24時間攪拌した。固体を除去し、50℃で48時間真空下に乾燥させた。生成物を白色粉末として収量118.3g(97%)で獲得した。アシルグリセロール含量:18質量%。100℃での酸化誘導時間(IT100):>24時間。100℃での安定時間:>24時間。
【0035】
例3:
1lの反応がまに入った、40℃の脱イオン化しかつ脱気した水230mlへ、乾燥γ−シクロデキストリン100.0gを添加した。反応容器を光があたらないように遮へいし、固体が溶解したら直ちに、EPAを約5%およびDHAを最少25%含有するアシルグリセロール溶液43.0gを添加した。混合物を窒素雰囲気下に40℃で24時間攪拌し、次いで周囲温度にまで冷却した。得られたペーストを濾過して水分を除去し、40℃で48時間真空下に乾燥させた。生成物を白色粉末として収量138.2g(97%)で獲得した。アシルグリセロール含量:30質量%。100℃での酸化誘導時間(IT100):>23時間。100℃での安定時間:>20時間。
【0036】
例4:
1lの反応がまに入った、40℃の脱イオン化し脱気した水230mlへ、乾燥γ−シクロデキストリン100.0gを添加した。反応容器を光があたらないように遮へいし、固体が溶解したら直ちに、EPAを約5%およびDHAを最少25%含有するアシルグリセロール溶液67.0gを添加した。混合物を窒素雰囲気下に40℃で24時間攪拌し、次いで周囲温度にまで冷却した。得られたペーストを濾過して水分を除去し、50℃で48時間真空下に乾燥させた。生成物を白色粉末として収量162.2g(97%)で獲得した。アシルグリセロール含量:40質量%。100℃での酸化誘導時間(IT100):>9時間。100℃での安定時間:>9時間。
【0037】
例5:
ステファンミキサー(Stephan Mixer)に入った、40℃の脱イオン化しかつ脱気した水450mlへ、乾燥γ−シクロデキストリン200.0gを添加した。反応容器を光があたらないように遮へいし、固体が溶解したら直ちに、EPAを約5%およびDHAを最少25%含有するアシルグリセロール溶液67.0gを添加した。混合物を窒素雰囲気下に40℃で24時間攪拌し、次いで周囲温度にまで冷却した。得られたペーストを50℃で48時間真空下に乾燥させた。生成物を白色粉末として収量250.4g(94%)で獲得した。アシルグリセロール含量:25質量%。100℃での酸化誘導時間(IT100):>24時間。100℃での安定時間:>11時間。
【0038】
例6:
1lの反応がまに入った、40℃の脱イオン化しかつ脱気した水230mlへ、乾燥γ−シクロデキストリン100.0gを添加した。反応容器を光があたらないように遮へいし、固体が溶解したら直ちに、EPAを約5%およびDHAを最少25%含有するアシルグリセロール溶液25.0gを添加した。混合物を窒素雰囲気下に40℃で24時間攪拌し、次いで周囲温度にまで冷却した。得られたペーストを濾過して水分を除去し、50℃で3日間真空下に乾燥させた。生成物を白色粉末として収量121.3g(97%)で獲得した。アシルグリセロール含量:20質量%。100℃での酸化誘導時間(IT100):>24時間。100℃での安定時間:>24時間。
【0039】
例7:
1lの反応がまに入った、40℃の脱イオン化しかつ脱気した水230mlへ、乾燥γ−シクロデキストリン100.0gを添加した。反応容器を光があたらないように遮へいし、固体が溶解したら直ちに、EPAを約5%およびDHAを最少25%含有するアシルグリセロール溶液17.7gを添加した。混合物を窒素雰囲気下に40℃で24時間攪拌し、次いで周囲温度にまで冷却した。得られたペーストを濾過して水分を除去し、50℃で48時間真空下に乾燥させた。生成物を白色粉末として収量109.0g(93%)で獲得した。アシルグリセロール含量:15質量%。100℃での酸化誘導時間(IT100):>24時間。100℃での安定時間:>24時間。
【0040】
例8:(比較例)
40℃の脱イオン化し脱気した水50mlへ、乾燥β−CD 20.0gを添加した。フラスコを光があたらないように遮へいし、EPAを約5%およびDHAを最少25%含有するアシルグリセロール溶液4.4gをスラリーへ添加した。混合物を窒素雰囲気下に40℃で4時間攪拌し、次いで周囲温度まで一晩冷却した。個体を濾過により回収し、40℃で真空下に乾燥させ、淡黄色粉末として材料24.0g(98%)を得た。アシルグリセロール含量:18質量%。100℃での酸化誘導時間(IT100):3.1時間。100℃での安定時間:4.4時間。
【0041】
例9:(比較例)
40℃の脱イオン化しかつ脱気した水50mlへ、乾燥α−CD 20.0gを添加した。フラスコを光があたらないように遮へいし、EPAを約5%およびDHAを最少25%含有するアシルグリセロール溶液4.4gをスラリーへ添加した。混合物を窒素雰囲気下に40℃で4時間攪拌し、次いで周囲温度まで一晩冷却した。個体を濾過により回収し、40℃で真空下に乾燥させ、淡黄色粉末として材料11.7g(48%)を得た。アシルグリセロール含量:18質量%。100℃での酸化誘導時間(IT100):3.4時間。100℃での安定時間:4時間。
【0042】
例10:(比較例)
1lの反応がまに入った、40℃の脱イオン化しかつ脱気した水230mlへ、乾燥γ−シクロデキストリン100.0gを添加した。反応容器を光があたらないように遮へいし、固体が溶解したら直ちに、EPAを約5%およびDHAを最少25%含有するアシルグリセロール溶液100.0gを添加した。混合物を窒素雰囲気下に40℃で24時間攪拌し、次いで周囲温度にまで冷却した。得られたペーストを濾過して水分を除去し、50℃で48時間真空下に乾燥させた。生成物を黄白色粉末として収量195.07g(97%)で獲得した。アシルグリセロール含量:50質量%。100℃での酸化誘導時間(IT100):6.7時間。100℃での安定時間:6.8時間。
【0043】
例11:
1lの反応がまに入った、45℃の脱イオン化しかつ脱気した水250mlへ、乾燥γ−シクロデキストリン100.0gを添加した。反応容器を光があたらないように遮へいし、固体が溶解したら直ちに、DHAを約25%含有するアシルグリセロール溶液24.0gを添加した。混合物を窒素雰囲気下に45℃で24時間攪拌し、次いで周囲温度にまで冷却した。得られたペーストを濾過して水分を除去し、50℃で48時間真空下に乾燥させた。生成物を白色粉末として収量123.07g(99%)で獲得した。アシルグリセロール含量:20質量%。100℃での酸化誘導時間(IT100):>24時間。
【0044】
例12:
1lの反応がまに入った、45℃の脱イオン化しかつ脱気した水250mlへ、乾燥γ−シクロデキストリン100.0gを添加した。反応容器を光があたらないように遮へいし、固体が溶解したら直ちに、EPAを約25%含有するアシルグリセロール溶液24.0gを添加した。混合物を窒素雰囲気下に45℃で24時間攪拌し、次いで周囲温度にまで冷却した。得られたペーストを濾過して水分を除去し、50℃で48時間真空下に乾燥させた。生成物を白色粉末として収量123.57g(99%)で獲得した。アシルグリセロール含量:20質量%。100℃での酸化誘導時間(IT100):>24時間。
【0045】
結果:
一般的に、γ−CDとアシルグリセロール(25質量%)との複合体は24時間を超えても酸化されなかったが、これに対し、α−CDまたはβ−CDと混合したアシルグリセロール18%の対照サンプルは速やかに酸化された(5時間より短い)。しかし、アシルグリセロールが40%を越えると、複合体は酸化され始める。
【0046】
結果を示すチャート
【0047】
【表1】
Claims (9)
- γ−シクロデキストリンをバッチ式にまたは連続的にEPA、DHA、DTAおよび/またはDPA含有アシルグリセロールと混合し、それによりγ−CD/アシルグリセロール複合体を形成することを特徴とする、EPA、DHA、DTAおよび/またはDPA含有アシルグリセロールを酸化分解に対して安定化する方法。
- EPA、DHA、DTAおよび/またはDPA含有アシルグリセロールをγ−CD水溶液へ添加する、請求項1記載の方法。
- アシルグリセロール添加前の水溶液のCD濃度が5〜60質量%である、請求項2記載の方法。
- EPA、DHA、DTAおよび/またはDPA含有アシルグリセロールのCDに対する質量比が、0.1:1〜5:1である、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
- アシルグリセロールとγ−CDとの混合を、凝固点より高くかつ80℃までの温度範囲で実施する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
- 複合体形成を、保護気体(窒素またはアルゴン)の雰囲気下に実施する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
- EPA、DHA、DTAおよび/またはDPA含有アシルグリセロールが、モノアシル、ジアシル、トリアシルまたはアルキル変性グリセロールまたはグリセロール一リン酸であり、かつEPA、DHA、DTAおよびDPAの群から選択された不飽和脂肪酸を少なくともひとつ有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
- EPA、DHA、DTAおよび/またはDPA含有アシルグリセロールを15〜40質量%で含有する、γ−CDとアシルグリセロールの複合体。
- 食品または栄養補助品分野における、請求項8記載の複合体の使用。
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