JP3934889B2 - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピュータのハードディスク等の磁気記録媒体、特に磁気記録媒体面に対して垂直な方向に磁化を記録するいわゆる垂直磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
計算機の記録容量の増大に伴い、磁気記録装置の記録容量はますます大容量化される傾向にある。面記録密度を向上させるためには、磁気ヘッドから発生する信号磁界によって形成される磁気記録層中の記録磁区列をいかに微細化できるかがポイントとなる。
【0003】
従来より用いられている、いわゆる長手記録方式においては、磁気ヘッドの走行方向に磁化を安定して存在させるために、記録がなされる磁気記録層としては、走行方向に高い保磁力、大きな角型比を持つことが要求される。記録磁区列の微細化に伴い、この要求は一段と大きくなっている。
【0004】
しかしながら、ハードディスクの面記録密度の上昇が年率200%以上といわれる現在、線記録密度の上昇に伴い、記録磁化の減磁が顕著になるとともに、1つの磁気粒子(磁気クラスター)の大きさの微細化に伴う活性化体積の低下により、熱揺らぎによる磁化反転の影響が無視できなくなり、これまで以上の超記録密度においては、長手方式の記録は不可能と言われている。
【0005】
そこで、このような長手記録方式に替わり、より高密度記録に適用可能な方式として、いわゆる垂直記録方式が提案されている。この方式は、記録層面内に記録磁化を書き込む長手方式に対し、記録層面に対して垂直方向に磁化させることによって記録することを特徴とする方式である。
【0006】
この垂直記録方式により、上述したような線記録密度の上昇に伴う記録磁化の減磁を抑えることができるだけでなく、密度が高くなるほど反磁界が減り、記録磁化をより安定化させることができる。また、記録層の膜厚を小さくしなければ面内方向に磁化させることが困難である長手方式に対し、垂直記録方式ではある程度膜厚を持たせた方が、形状異方性の効果で記録に有利となる。さらに、垂直記録方式は、熱揺らぎによる磁化反転の影響も大幅に低減できるという利点がある。
【0007】
しかしながらそれでも、100Gbit/in2以上の超記録密度となると、ヘッド側面から発生するサイドフリンジングによって、隣接トラックへの書き込みの問題が生じてしまう。そのため、現行の連続膜(単なるベタ膜)への記録では、それ以上の記録密度の実現は不可能となってしまう。
【0008】
そこで、提唱されているのが、記録層の円周方向に非磁性体の列を形成し、磁性体部分のみ記録していく、いわゆるディスクリートトラック媒体である。非磁性体部分の存在により、上述した隣接したトラックへの書き込みの問題を回避でき、良好な記録再生特性を得ることができる。
【0009】
このようなディスクリートトラック媒体の従来例として、例えば、特開平4−310621号公報、特開平7―129953号公報には、記録層を直接エッチングすることにより凹部を設け、この凹部にガードバンドとなる非磁性体を埋め込み、しかる後、平滑化処理をすることによりトラック方向に並んだ磁性体列を形成してなる媒体を提案している。しかしながら、これらの媒体は、記録層そのものを直接エッチングしており、エッチング時の熱履歴による記録層(磁性体)へのダメージが発生し、磁気記録層の磁気特性が劣化するおそれがある。
【0010】
また、特開昭56−119934号公報や特開平2−201730号公報では、非磁性体(基板)表面にエッッチングにより凹部を形成し、その凹部に磁性体を埋め込んだ後、平坦化処理をすることによりトラック方向に並んだ磁性体列を形成してなる媒体を提案している。しかしながら、これらの媒体において、微細な溝の中に良好な結晶配向性および垂直異方性を保持したまま磁性体を形成させることは不可能に近いと言える。
【0011】
また、上記いずれの方法においても、CMP(chemical mechanical polishing)等による表面平滑化処理過程における磁性層(記録層)表面の研磨によって、磁気記録層の磁気特性が劣化するおそれがある。
【0012】
また、平滑・平坦化処理を行っても、記録層あるいは非磁性層のディッシング等により、媒体表面に凹凸が残り、その上にダイアモンドライクカーボン等の保護膜やパーフルオロポリエーテル等の潤滑膜の形成が均一にできないことがある。
【0013】
このような実情のもとに本発明は創案されたものであり、その目的は、隣接するトラックへの書き込みの問題をより確実に解消でき、さらに良好な記録再生特性を得ることができるとともに、より高密度な記録に対応することができる磁気記録媒体を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、本発明は、平板状の非磁性基板上に、軟磁性裏打ち層と、結晶配向制御層と、垂直磁気記録層とを備える磁気記録媒体であって、該媒体の軟磁性裏打ち層は、記録再生が行われるデータトラックとデータトラックの間に位置する領域、またはサーボ信号が記録される領域にディスクリート作用を発揮させるための欠如凹部を有するとともに、その凹部にはSiO 2 、Al 2 3 、Cのグループから選択された非磁性材が充填されて非磁性層が形成されており、前記結晶配向制御層は、軟磁性裏打ち層の欠如凹部が存在しない箇所の上にのみ存在するように形成されており、前記非磁性層および結晶配向制御層の上部の平面部は、実質的に同一平面を形成するように構成されており、前記垂直磁気記録層は、少なくとも基板の鉛直方向に磁気異方性を有するとともに、意図的に形成された欠如凹部が存在しない平面膜として構成される。
【0015】
また、本発明の好ましい態様として、前記欠如凹部は、それが形成される場所において、軟磁性裏打ち層の厚さ方向の一部を欠如させるように形成される。
【0016】
また、本発明の好ましい態様として、前記欠如凹部は、それが形成される場所において、軟磁性裏打ち層の厚さ方向の実質的全部を欠如させるように形成されてる。
【0018】
また、本発明は、平板状の非磁性基板上に、軟磁性裏打ち層と、結晶配向制御層と、垂直磁気記録層とを備える磁気記録媒体であって、該媒体の軟磁性裏打ち層は、記録再生が行われるデータトラックとデータトラックの間に位置する領域、およびサーボ信号が記録される領域にディスクリート作用を発揮させるための欠如凹部を有するとともに、その凹部にはSiO 2 、Al 2 3 、Cのグループから選択された非磁性材が充填されて非磁性層が形成されており、前記結晶配向制御層は、軟磁性裏打ち層の欠如凹部が存在しない箇所の上にのみ存在するように形成されており、前記非磁性層および結晶配向制御層の上部の平面部は、実質的に同一平面を形成するように構成されており、前記垂直磁気記録層は、少なくとも基板の鉛直方向に磁気異方性を有するとともに、意図的に形成された欠如凹部が存在しない平面膜として構成される。
【0019】
また、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、上記に記載された磁気記録媒体の製造方法であって、該方法は、基板上に軟磁性裏打ち層および結晶配向制御層を順次形成した後に、ディスクリート作用を発揮させるための欠如凹部を形成し、この欠如凹部に非磁性を充填した後に平坦化処理を行い、しかる後、垂直磁気記録層を形成してなるように構成される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
図1(A)には本発明のディスク状の磁気記録媒体1の全体形状を表す概略平面図が示され、図1(B)には、図1(A)の四角で囲まれた微小部分100の部分拡大概略図が示される。特に、図1(B)においては、サーボ信号領域90およびデータ領域80(記録再生のためのデータトラック群)の位置を概念的に現すために、本発明において、これらの上に被着されている垂直磁気記録層は除かれた状態で描かれている。図2(A)および(B)には、それぞれ、本発明の磁気記録媒体の好適な実施の形態を概念的に示す断面図が示され、これらの図は、図1(B)のα−α矢視断面図に実質的に相当する。図3(A)〜(D)および図4(A)〜(H)は、それぞれ、本発明の磁気記録媒体の好適な製造プロセスの一例を経時的に説明するための概略断面図である。
【0022】
図1(A)において、図示されてはいないがディスク基板上には記録再生のための複数のデータトラック群が同心円状に配置・形成されている。また、ディスクの中心から外方に向けて、放射状にサーボ信号領域(図面で線状に描かれている箇所)が形成されている。
【0023】
図2(A)、(B)に示されるように、本発明の磁気記録媒体1は、非磁性基板2上に、軟磁性裏打ち層10と、垂直磁気記録層20とを備える磁気記録媒体である。本発明においては、軟磁性裏打ち層10に欠如凹部10aが形成され、この凹部10aには非磁性材が充填され非磁性層15が形成されている。そして、
本願における発明の要部は、図示のごとく軟磁性裏打ち層10の欠如凹部が存在しない箇所の上にのみ結晶配向制御層7が形成されて、さらにこの上に形成される垂直磁気記録層20が意図的に形成された欠如凹部が存在しない平面膜として構成されている点にある。なお、前記非磁性層15および結晶配向制御層7の上部の平面部は、CMP(chemical mechanical polishing)等の平滑処理手法を用いて実質的に同一平面を形成する形態をとっている。
【0024】
以下、媒体構成について詳細に説明する。
本発明における軟磁性裏打ち層10は、図2に示されるように記録再生が行われるデータトラック22とデータトラック22の間に位置する箇所(いわゆるガードバンド部)に、隣接するデータトラックが磁気的に分離されるごとくディスクリート作用を発揮させるための欠如凹部10aを備えるとともに、その凹部10aには非磁性材が充填され非磁性層15が形成されている。
【0025】
なお、ディスクリート作用を発揮させるための欠如凹部10aは、上記のデータトラック間のみならず、さらに、サーボ信号が記録される領域(図1のサーボ信号領域90)において、その信号が機能する形態に設けてもよい。すなわち、サーボ信号領域90においてサーボ信号パターンに応じた欠如凹が形成されるようにしてもよい。サーボ信号パターンは、通常、直流磁化した後に用いられる。
【0026】
図2(A)、(B)に示されるように、本発明における軟磁性裏打ち層10および非磁性層15の上に形成される垂直磁気記録層20は、少なくとも基板2の鉛直方向に磁気異方性を有するとともに、意図的に形成された欠如凹部が存在しない平面膜として構成される。ここで、「意図的に形成された欠如凹部が存在しない」とは、従来公知の技術である特開平7−129953号公報に開示されているごとく、例えば、リソグラフィー法等によって、意識的に磁性層を欠いて凹部を形成したものを排除する趣旨である。それゆえ、垂直磁気記録層20の成膜により生じる、例えば、ナノメートル(nm)単位の表面凹凸部は意図的に形成されたものではない。
【0027】
図2(A)における欠如凹部10aは、それが形成される場所において、軟磁性裏打ち層10の厚さ方向(図面の上下方向)の一部を欠如させるように形成されている。この態様に限定されることなく、前記欠如凹部10aは、図2(B)に示されるようにそれが形成される場所において、軟磁性裏打ち層10の厚さ方向の実質的全部を欠如させるように形成してもよい。ここで、「実質的全部」とは、本発明の作用効果を逸脱しない範囲で、基板2の一部までをわずかにエッチングして基板の一部に非磁性材が充填されている態様をも含む趣旨である。厳密に軟磁性裏打ち層10のみを完全に除去することは極めて困難であるからである。
【0028】
図2(A)の態様において、実質的なディスクリート作用を働かせるための欠如凹部10aの深さ(非磁性材15の厚さ)Dは、媒体を構成する各部材の材料選定によっても異なるが、軟磁性裏打ち層10の厚さをDsとした場合、D=0.2〜0.9Ds程度とすることが望ましい。また、図2(A)の態様のごとく軟磁性裏打ち層10は下部で繋がっていることが望ましい。使用する単磁極ヘッドと、垂直磁気記録層20、軟磁性裏打ち層10との間で磁束が閉ループを形成しやすく磁束密度の高い良好な記録ができるからである。
【0029】
一方、図2(B)の態様の場合、軟磁性裏打ち層内に磁壁を形成することが困難となり、軟磁性裏打ち層の磁区に起因するノイズを抑制することができるというメリットがある。
【0030】
本願における発明の要部は、前述しかつ図2に示されるように軟磁性裏打ち層10の上にのみ結晶配向制御層7が形成されて、垂直磁気記録層20が上述のごとく意図的に形成された欠如凹部が存在しない平面膜として構成されている点にある。
【0031】
この態様をもう少し詳述すると、記録再生が行われるデータトラック22の部分の垂直磁気記録層20の下部は、結晶配向制御層7と接しているが、データトラック22とデータトラック22の間に位置する箇所(いわゆるガードバンド部)の下部には結晶配向制御層7が存在せず、垂直磁気記録層20は非磁性層15と接している。結晶配向制御層7は、主として、垂直磁気記録層20の成膜時の結晶配向を制御するための膜であり、この結晶配向制御層7の存在によりこの上に形成される垂直磁気記録層20の結晶配向は、適宜コントロールされ、磁気特性の良好な垂直磁気記録層20を形成させることができる。
【0032】
垂直磁気記録層20の下方で接する構成を上記のごとく構成することにより、データトラック22の部分の垂直磁気記録層20の記録特性と、ガードバンド部の部分の垂直磁気記録層20の記録特性との差別化を図ることができる。すなわち、本願発明によれば、結晶配向制御層7が存在するデータトラック22の箇所には、磁気特性の良好な垂直磁気記録層20を成膜することができ、結晶配向制御層7が存在しない箇所には、それ存在する箇所と比べて良好な垂直磁気記録層20が成膜されない。ガードバンド部に位置する垂直磁気記録層20は実質的に磁気記録に不要といえる膜であり、磁気特性は悪いくらいのほうが望まれるといえる(非磁性に近くなれば近くなるほど良い)。
【0033】
結晶配向制御層7の材質は、その上に形成される垂直磁気記録層20との関係で適宜選定すればよい。一般に、結晶配向制御層7としては、Ti、MgO、Ta、Pt等の材質を単層として用いたり、あるいは、MgOの上にTaを形成した複合層、MgOの上にPtを形成した複合層などとして用いられる。結晶配向制御層7の厚さは、5〜20nm程度とされる。
【0034】
本発明における非磁性基板2としては、アルミニウム、強化ガラス、結晶化ガラス、カーボンプラスチック等、通常この種の磁気記録媒体に使用されるものを用いれば良い。
【0035】
本発明における軟磁性裏打ち層10としては、NiFe,NiFeNb,NiFeMo,FeAlSi,FeTaC等が好適に用いられる。データトラックにおける軟磁性裏打ち層10の厚さは、0.1〜10μm程度とされる。この厚さが0.1μm未満となると、使用する単磁極ヘッドと、垂直磁気記録層20、軟磁性裏打ち層10との間で磁束が閉ループを形成しにくくなり、良好な再生出力を得ることができなくなってしまう。また、10μmを超えると膜の内部応力が増大して、膜にクラックが発生し易くなる傾向が生じてしまう。
【0036】
本発明における垂直磁気記録層20としては、CoCr,CoCrTa,CoPt,CoCrPt,CoPtCrO,TbFeCo等、通常この種の磁気記録媒体の垂直磁気記録層に使用されるものであればいかなるものであっても良い。このような垂直磁気記録層20の厚さは、使用するヘッドや用いられる記録波長等を考慮しつつ適宜選定すれば良い。通常は、10〜100nm程度とされる。厚さが10nm未満となると垂直磁気記録層20に信号が記録された際の残留磁化量が非常に小さくなるために、信号の再生出力が著しく劣化してしまう傾向が生じる。
【0037】
本発明の欠如凹部10aに充填される非磁性材(非磁性層15を構成する材料)としては、SiO2、Al23、C等が好適に用いられる。
【0038】
また、垂直磁気記録層20の上には、磁性層を保護する目的でC、ZrO2、SiO2等を主体とする保護膜を1〜10nm程度の厚さに形成することが望ましい。あまり厚く形成し過ぎるとすると、スペーシングロスの問題が生じる傾向にあり、また、あまりに薄く形成し過ぎると、耐久性等の問題が生じる傾向にある。さらにこの保護膜の上に公知の種々の有機潤滑剤を含有させた潤滑膜を形成してもよい。
【0039】
本発明の磁気記録媒体の製造方法
本発明の磁気記録媒体の製造方法の好適な一例を図3(A)〜(D)、および図4(A)〜(H)に基づいて説明する。図3(A)〜(D)は、製造方法の理解が容易となるように製法の要部のみを簡潔かつ概略的に示したものであり、図4(A)〜(H)は、さらに製造方法を具体的に記載したものである。
【0040】
すなわち、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、図3(A)〜(D)に示されるように、非磁性基板2の上に軟磁性裏打ち層10および結晶配向制御層7を設けた後に(図3(A))、ディスクリート作用を発揮させるための欠如凹部10aを形成し(図3(B))、この欠如凹部10aに非磁性体を充填して非磁性層15を形成した後に平坦化処理が行われる(図3(C))。しかる後、この上に垂直磁気記録層20が成膜され本発明の磁気記録媒体が製造される。
【0041】
より詳細な製造方法の一例を図4(A)〜(H)に基づいて説明する。まず、最初に図4(A)に示されるように非磁性基板2の上に軟磁性裏打ち層10および結晶配向制御層7を順次スパッタ法等により成膜する。
【0042】
次いで、図4(B)に示されるように結晶配向制御層7の上にレジスト層50を形成する。
【0043】
次いで、図4(C)に示されるようにトラック間隙、サーボ信号等の凹凸形状が微細加工された成形金型60を準備して、このものを、レジスト層50の表面に加熱しつつ加圧してインプリント(imprint)する。成形金型60を外す(remove)ことによって図4(D)のインプリント形状(レジストパターン)が形成される。なお、レジストパターンは、電子ビームリソグラフィ等で形成してもよい。
【0044】
次いで、リアクティブイオンエッチング(RIE)等により、結晶配向制御層7および軟磁性裏打ち層10をレジストパターンに沿ってエッチングしていき、図4(E)に示されるごとく複数の欠如凹部10aを形成する。この時、結晶配向制御層7および軟磁性裏打ち層10のエッチング箇所において、深さ方向に一部の軟磁性裏打ち層10を残せば、前述した図2(A)に示される形態となり、また、深さ方向に実質的に全ての軟磁性裏打ち層10を除去すれば、前述の図2(B)に示される形態となる。
【0045】
結晶配向制御層7の上の残余のレジスト(図示していない)を除去した後、図4(F)に示されるように非磁性材をスパッタ堆積させ、結晶配向制御層7および軟磁性裏打ち層10の欠如凹部10aに非磁性層15を形成させる。
【0046】
次いで、CMP(chemical mechanical polishing)等の手法で結晶配向制御層7および非磁性層15の平坦化処理(planarization)をすることにより、表面の平坦化が図られるとともに不要な非磁性層15(非磁性材)が除去され、図4(G)の状態に至る。
【0047】
次いで、図4(H)に示されるように垂直磁気記録層20がスパッタ等で堆積形成される。
【0048】
【実施例】
以下に具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0049】
図4(A)〜(H)に示される製造プロセスに準じて本発明の磁気記録媒体サンプルを作製した。非磁性基板2として、外径65mm、内径20mm、厚さ0.63mmのハードディスク用の結晶化ガラスを用いた。軟磁性裏打ち層10として、NiFeパーマロイを用いて厚さ500nmにスパッタ成膜し、その上に結晶配向制御層7としてTiを用いて、厚さ10nmにスパッタ成膜した。欠如凹部10aの深さは250nmとした。欠如凹部10aに充填する非磁性材としてはSiO2を用いた。垂直磁気記録層20として、CoCrPtを厚さ50nmにスパッタ成膜した。
【0050】
このようにして作製した本発明サンプルについて実際に記録再生特性を評価したところ、データトラックとガードバンド部の記録特性の差別化を図ることができ、隣接するトラックへの書き込みの問題が解消でき、良好な記録再生特性を得ることができると共に、より高密度な記録に対応することができることが確認できた。
【0051】
さらに、本発明サンプルについて磁気特性を実験的に確認したところ、本発明サンプルは、軟磁性裏打ち層10および結晶配向制御層7をエッチングしてディスクリート作用を発揮させるための欠如凹部を設け、垂直磁気記録層20には成膜後、エッチング処理を施さないようにしているので、垂直磁気記録層20の磁気特性の劣化を防止することができることが確認できた。また、本発明のサンプルは、軟磁性裏打ち層10および結晶配向制御層7の欠如凹部10aのみに非磁性材を埋め込み、CMP等により平滑・平坦化処理を行ってから垂直磁気記録層を形成する構造を備えている。そのため、従来技術のように例えば垂直磁気記録層に形成した欠如部に非磁性材を埋め込んでから平滑・平坦化を行うことにより発生し得る垂直磁気記録層へのダメージを回避することができ、この観点からも垂直磁気記録層20の磁気特性の劣化を防止することができることが確認できた。
【0052】
さらに、本発明サンプルについて媒体表面の平滑性(表面粗度)を実験的に確認したところ、本発明サンプルは、従来技術の媒体構成より必然的に発生していた垂直磁気記録層および非磁性層のディッシング等による媒体表面の凹凸を無くすことができる。そのため、本発明では、ダイアモンドライクカーボン等の保護膜層およびパーフルオロポリエーテル等の潤滑膜層を極めて均一に形成できることが確認できた。
【0053】
【発明の効果】
上記の結果より本発明の効果は明らかである。すなわち、本発明は、非磁性基板上に、軟磁性裏打ち層と、結晶配向制御層と、垂直磁気記録層とを備える磁気記録媒体であって、該媒体の軟磁性裏打ち層は、記録再生が行われるデータトラックとデータトラックの間に位置する領域、またはサーボ信号が記録される領域にディスクリート作用を発揮させるための欠如凹部を有するとともに、その凹部には非磁性材が充填されて非磁性層が形成されており、前記結晶配向制御層は、軟磁性裏打ち層の欠如凹部が存在しない箇所の上にのみ存在するように形成されており、前記垂直磁気記録層は、少なくとも基板の鉛直方向に磁気異方性を有するとともに、意図的に形成された欠如凹部が存在しない平面膜として構成されているので、製造時の磁気記録層の磁気特性の劣化を回避することができるとともに隣接するトラックへの書き込みの問題をより確実に解消でき、さらに良好な記録再生特性を得ることができ、より高密度な記録に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は本発明のディスク状の磁気記録媒体の全体形状を表す概略平面図であり、図1(B)は図1(A)の四角で囲まれた微小部分の部分拡大概略図である。
【図2】図2(A)および(B)は、それぞれ、本発明の磁気記録媒体の好適な実施の形態を概念的に示す断面図である。
【図3】図3(A)〜(D)は、本発明の磁気記録媒体の好適な製造プロセスの一例を簡潔に説明するための概略断面図である。
【図4】図4(A)〜(H)は、本発明の磁気記録媒体の好適な製造プロセスの一例を経時的に説明するための概略断面図である。
【符号の説明】
1…磁気記録媒体
2…非磁性基板
7…結晶配向制御層
10…軟磁性裏打ち層
10a…欠如凹部
15…非磁性層
20…垂直磁気記録層

Claims (5)

  1. 平板状の非磁性基板上に、軟磁性裏打ち層と、結晶配向制御層と、垂直磁気記録層とを備える磁気記録媒体であって、
    該媒体の軟磁性裏打ち層は、記録再生が行われるデータトラックとデータトラックの間に位置する領域、またはサーボ信号が記録される領域にディスクリート作用を発揮させるための欠如凹部を有するとともに、その凹部にはSiO 2 、Al 2 3 、Cのグループから選択された非磁性材が充填されて非磁性層が形成されており、
    前記結晶配向制御層は、軟磁性裏打ち層の欠如凹部が存在しない箇所の上にのみ存在するように形成されており、
    前記非磁性層および結晶配向制御層の上部の平面部は、実質的に同一平面を形成するように構成されており、
    前記垂直磁気記録層は、少なくとも基板の鉛直方向に磁気異方性を有するとともに、意図的に形成された欠如凹部が存在しない平面膜であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記欠如凹部は、それが形成される場所において、軟磁性裏打ち層の厚さ方向の一部を欠如させるように形成されている請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記欠如凹部は、それが形成される場所において、軟磁性裏打ち層の厚さ方向の実質的全部を欠如させるように形成されている請求項1に記載の磁気記録媒体。
  4. 平板状の非磁性基板上に、軟磁性裏打ち層と、結晶配向制御層と、垂直磁気記録層とを備える磁気記録媒体であって、
    該媒体の軟磁性裏打ち層は、記録再生が行われるデータトラックとデータトラックの間に位置する領域、およびサーボ信号が記録される領域にディスクリート作用を発揮させるための欠如凹部を有するとともに、その凹部にはSiO 2 、Al 2 3 、Cのグループから選択された非磁性材が充填されて非磁性層が形成されており、
    前記結晶配向制御層は、軟磁性裏打ち層の欠如凹部が存在しない箇所の上にのみ存在するように形成されており、
    前記非磁性層および結晶配向制御層の上部の平面部は、実質的に同一平面を形成するように構成されており、
    前記垂直磁気記録層は、少なくとも基板の鉛直方向に磁気異方性を有するとともに、意図的に形成された欠如凹部が存在しない平面膜であることを特徴とする磁気記録媒体。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法であって、該方法は、
    基板上に軟磁性裏打ち層および結晶配向制御層を順次形成した後に、ディスクリート作用を発揮させるための欠如凹部を形成し、この欠如凹部に非磁性を充填した後に平坦化処理を行い、しかる後、垂直磁気記録層を形成してなる磁気記録媒体の製造方法。
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