JP3933403B2 - 電解還元水およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解還元水およびその製造方法、ならびにその用途に関し、特に、生物学的活性に関与する有効量の水素ラジカルを含む電解還元水およびその製造方法、ならびに癌、細菌または酸化ストレスを抑制するためのその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
水を電気分解することによって、陽極側および陰極側にそれぞれ電気分解水が得られる。このうち、陰極側において生成される電解還元水(アノード水あるいはアルカリイオン水)は、還元性を有し、生体内の酸化的状態から引き起こされ得る種々の異常や疾患に有利に作用し得ることが期待される。
【0003】
たとえば、特開平10−118653号公報は、DNAの損傷を防止または抑制することができる電解水素溶存水を得るため、純水中にNaClを加えてその電気伝導率を100μS以上に調整し、当該水を電気分解して陰極水を取り出すことを開示する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようにNaClを溶解させた水を電気分解する方法によると、NaCl水溶液の電気分解時に次亜塩素酸や塩素ガスが発生し、これらが電解還元水に溶け込む可能性がある。また、塩素(Cl2)を含む水道水を電気分解する際にも、次亜塩素酸が生成され、電解還元水に溶け込む可能性がある。次亜塩素酸や塩素ガスは、細胞に有害な作用を及ぼし得るものである。したがって、従来では、還元性を有する電解水が得られたとしても、次亜塩素酸や塩素ガスによる作用により、十分に有用な生理学的効果が得られない可能性があった。
【0005】
また、電解還元水のもつ活性酸素消去作用やDNA切断抑制作用は、その中に含まれる還元性物質、たとえば活性水素によるものであると考えられる。しかし、電解還元水中に含まれる還元性物質の量とその生理学的効果との関係は明らかでなかった。
【0006】
本発明の目的は、次亜塩素酸や塩素の影響が十分に排除され、有用な生理学的活性を有し得る電解還元水およびその製造方法を提供するとともに、当該電解還元水の用途を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明により、電解質を含む一方、残留塩素の濃度が0.1mg/l未満でありかつ塩素イオンの濃度が5mg/l以下である水の電気分解によって陰極に生成された電解還元水が提供される。当該電解還元水は、以下の特徴を備える。
(a)残留塩素の濃度が0.1mg/l未満である。
(b)塩素イオンの濃度が5mg/l以下である。
(c)12℃〜14℃において−5〜−1000mVの酸化還元電位を有する。
(d)12℃〜14℃において7〜12のpHを示する。
(e)12℃〜14℃において水素ラジカルを0.01μM〜10μMの濃度で含む。
【0008】
本発明による電解還元水は、12℃〜14℃、101325Pa(1atm)において、典型的に0.1ppm〜10ppm、好ましくは0.1ppm〜5ppm、より好ましくは0.5ppm〜2ppmの溶存水素を含有し得る。
【0009】
一方、本発明による電解還元水において、12℃〜14℃、101325Paにおける溶存酸素量は、10ppm以下であることが好ましく、たとえば1ppm〜6ppmであることがより好ましい。
【0010】
本発明による電解還元水は、7〜8のpHを有するよう、陰極で生成されたアルカリ性の水を中和したものであってもよい。より好ましい態様において、中和後のpHは12℃〜14℃において7.2〜7.8である。中和には、リン酸ナトリウム等の緩衝剤、あるいは電気分解において陽極で得られる酸性水を使用することが好ましい。
【0011】
典型的に、本発明による電解還元水は、電解質としてNaOHを含む水の電気分解により得られたものであり、好ましい態様において、本発明による電解還元水は、純水に0.0001N〜0.02Nの濃度でNaOHを含有させた水の電気分解によって生成されたものである。
【0012】
さらに本発明による電解還元水の製造方法が提供され、当該製造方法は、残留塩素の濃度が0.1mg/l未満でありかつ塩素イオンの濃度が5mg/l以下である純水にNaOHを溶解させる工程と、得られたNaOHを含む水を電気分解する工程とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明による製造方法において、NaOHを含む水中のNaOHの濃度は、典型的に4mg/l〜800mg/lであり、好ましくは50mg/l〜200mg/lである。
【0014】
本発明による製造方法において、残留塩素の濃度が0.1mg/l未満でありかつ塩素イオンの濃度が5mg/l以下である純水は、水道水を逆浸透膜でろ過することにより、あるいは、水道水を蒸留することによって得ることができる。
【0015】
本発明による電解還元水は、癌を治療または予防するために使用することができる。また、本発明による電解還元水は、細菌の増殖を阻害するために使用することができる。さらに、本発明による電解還元水は、細胞または生体を酸化ストレスから保護するために使用することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明による電解還元水は、典型的に純水を使用して製造することができる。純水には、市販のものを使用してもよいし、水道水から含有成分を除去して得られるものを使用してもよい。水道水から含有成分を除去する場合、一般的な逆浸透膜を使用するろ過を行ってもよいし、蒸留を行ってもよい。使用する純水中の残留塩素(Cl2)の濃度は、0.1mg/l未満であり、典型的には0.09mg/l以下であり、好ましくは0.05mg/l以下であり、より好ましくは0.01mg/l以下である。実質的に塩素(Cl2)を含まない純水を使用することはより好ましい。また、使用する純水中の塩素イオンの濃度は、5mg/l以下であり、好ましくは1mg/l以下であり、より好ましくは0.5mg/l以下である。通常の検出法による検出限界以下である、実質的に塩素イオンを含有しない純水を使用することがより好ましい。また、純水中の金属の濃度は、水道水に通常含まれる金属の濃度より小さくなっている。たとえば、使用する純水中に含まれるナトリウムの濃度は、典型的に5mg/l以下であり、好ましくは1mg/l以下である。使用する純水の典型的な抵抗率は1〜10MΩ・cm程度である。
【0017】
典型的に本発明では、このような純水に電解質としてNaClではなく水酸化ナトリウム(NaOH)を添加する。NaOHは、得られる水の電気伝導率が100μS/cm以上、典型的には100〜1000μS/cmになるよう、純水に添加することができる。純水へのNaOHの添加量は、典型的に4mg/l〜800mg/lであり、好ましくは10mg/l〜300mg/lであり、より好ましくは50mg/l〜200mg/lである。
【0018】
このようにして得られたNaOHの水溶液は電気分解に供される。たとえば、図1に示すような電解槽において電気分解が行われる。電解槽は、陰極1を含む陰極室2と、陽極3を含む陽極室4とを備える。陰極室2と陽極室4とは隔膜5により分離されている。陰極室2には、陰極水(電解還元水)を取出す管6が接続されており、陽極室4には、陽極水(酸性水)を外部に排出する管7が接続されている。陰極室2および陽極室4のそれぞれには、給水管8が接続されており、NaOHが所定量添加された純水が供給されるようになっている。
【0019】
また、上述した一連の工程を図2に示す電解還元水製造装置において行うことができる。図2に示す装置では、原水(水道水)をポンプで加圧し、逆浸透膜によりろ過し、純水を得る。純水に定量ポンプを介してNaOH溶液を添加し、この溶液の電気伝導率を測定し、所定の濃度になるように定量ポンプを制御する。NaOH水溶液は、流量センサ、電磁弁1を通して、図1に示すような構造の電解槽に供給される。電解槽がNaOH水溶液で満たされると、流水速度が0となり、流量センサから制御回路に停止の信号が送られる。停止信号が送られると、ポンプ、定量ポンプが停止し、電磁弁1が「閉」となる。そしてタイマが起動し、所定の時間、電気分解用の直流電流を電解槽に供給する。タイマがタイムアップすると、電磁弁2、電磁弁3が「開」となり、生成された還元水および酸性水が取出される。生成された水が取出された後、各電磁弁は初期状態となり、次の電気分解用のNaOH水溶液が供給される。
【0020】
水の電気分解では、陽極側に酸素ガスが発生し、陰極側に水素ガスが発生する。水素ガスが発生するのは、電気分解により、水素イオンと陰極電極から供給された電子とが結合し、原子状水素となり、この原子状水素が2つ結合し、水素ガスが生成するためである。得られた電解還元水は、後述するように、所定の濃度範囲で水素ラジカルを含有する。そのような水素ラジカルを含む電解還元水は、たとえば、癌細胞の増殖抑制効果および転移抑制効果を有する。これは、水素ラジカルの強い抗酸化力によって起こる現象と考えられる。水素は、ガス状になる前のラジカルの状態で、水中に多量に溶存することが望ましい。高い電圧による高電流電気分解反応によって得られる陰極水は、水素の大半がガス化し、水素ラジカルの溶存量が減少する傾向が見られる。このような現象を解決するため、水素ガスの気泡が顕著に発生しないよう、電気分解を時間をかけて行なうのが好ましい。したがって、たとえば、低電圧、低電流で、長時間電気分解を行うことが好ましい。そのような電気分解は、たとえば、5V〜100Vの電圧、5mA〜2Aの電流、5分〜120分の電解時間という条件で行うことができる。
【0021】
このようにして得られる電解還元水は、塩素(Cl2)および次亜塩素酸(HClO)を含まないか、含んだとしても極微量しか含まないものである。かくして本発明による電解還元水の残留塩素の濃度は、0.1mg/l未満、典型的には典型的には0.08mg/l以下であり、好ましくは0.05mg/l以下であり、より好ましくは0.01mg/l以下である。実質的に塩素(Cl2)を含まない電解還元水はより好ましい。また、本発明による電解還元水の塩素イオンの濃度は、5mg/l以下であり、好ましくは1mg/l以下であり、より好ましくは0.5mg/l以下である。通常の検出法による検出限界以下である、実質的に塩素イオンを含有しない電解還元水はより好ましい。塩素イオンは、次亜塩素酸の含有指標となる。得られた電解還元水に次亜塩素酸が含まれていれば、その濃度に正に相関して、高い濃度の塩素イオンが検出されるからである。電解還元水中の塩素イオン濃度が低ければ、次亜塩素酸の濃度も低くなる。
【0022】
一方、本発明による電解還元水は、典型的にナトリウムを比較的高い濃度で含有し得る。本発明による電解還元水中のナトリウム濃度は、たとえば2.3mg/l〜460mg/lであり、好ましくは5mg/l〜200mg/lであり、より好ましくは10mg/l〜100mg/lである。一方、典型的に、その他の無機物質、重金属および一般有機化学物質の含有量は、日本国における上水道水の基準を満たすものである。典型的に、本発明による電解還元水は以下の基準を満たす。カドミウム0.01mg/l以下、水銀0.0005mg/l以下、セレン0.01mg/l以下、鉛0.05mg/l以下、ヒ素0.01mg/l以下、六価クロム0.05mg/l以下、シアン0.01mg/l以下、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素10mg/l以下、フッ素0.8mg/l以下、四塩化炭素0.002mg/l以下、1,2−ジクロロエタン0.004mg/l以下、1,1−ジクロロエチレン0.02mg/l以下、ジクロロメタン0.02mg/l以下、シス−1,2−ジクロロエチレン0.04mg/l以下、テトラクロロエチレン0.01mg/l以下、1,1,2−トリクロロエタン0.006mg/l以下、トリクロロエチレン0.03mg/l以下、ベンゼン0.01mg/l以下、クロロホルム0.06mg/l以下、ジブロモクロロメタン0.1mg/l以下、ブロモジクロロメタン0.03mg/l以下、ブロモホルム0.09mg/l以下、総トリハロメタン0.1mg/l以下、1,3−ジクロロプロペン0.002mg/l以下、シマジン(CAT)0.003mg/l以下、チウラム0.006mg/l以下、チオベンカルブ0.02mg/l以下。さらに、本発明による電解還元水の蒸発残留物は、典型的に800mg以下、たとえば10mg〜800mgであり、好ましくは500mg以下、たとえば10mg〜500mgである。
【0023】
本発明による電解還元水は、12℃〜14℃において−5〜−1000mV、好ましくは−20〜−1000mV、より好ましくは−50mV〜−1000mVの酸化還元電位を有する。酸化還元電位は、市販の酸化還元電位計を用いて測定することができる。
【0024】
また本発明による電解還元水は、12℃〜14℃において7〜11のpH、典型的には8〜11のpHを有する。陰極において生成されたアルカリ性の電解還元水を中和することにより得られる電解還元水は、典型的に7〜8のpHを有し、好ましくは7.2〜7.8のpHを有する。中和には、リン酸ナトリウム等の緩衝剤、あるいは電気分解において陽極で得られる酸性水を使用することが好ましい。
【0025】
さらに本発明による電解還元水は、12℃〜14℃において水素ラジカルを0.01μM〜10μM(μMはμmol/l)、好ましくは0.1μM〜10μM、より好ましくは1μM〜10μMの濃度で含む。以下に示すように、本発明者らは、電解還元水中に存在する水素ラジカルを定量する方法を見出すとともに、このような範囲における濃度で水素ラジカルを含有する電解還元水が抗癌(制癌)作用、抗菌作用、あるいは酸化ストレス抑制作用をもたらすことを見出した。
【0026】
[電解還元水に含まれる水素ラジカルの定量法]
本発明者は大量の水試料を中和し、ラジカルトラップ剤である3,5−ジブロモ−4−ニトロソベンゼンスルフォン酸のナトリウム塩(DBNBS)反応させた後、ロータリーエバポレーターで濃縮することを試みた。その結果活性酸素消去活性の認められた電解還元水試料においては橙色の着色が認められた。しかし超純水(Milli Q水)や他のミネラルウォーターや水道水では着色が認められなかった。このことはDBNBSが電解還元水中の活性水素と反応し新たに着色物質を作るからではないかと考えられた。この現象を利用し、水溶液中の水素ラジカルを高精度で検出できる考え、水素ラジカルの検出法および定量分析の開発を行なった。
【0027】
この水素ラジカル検出法では、試料に3,5−ジブロモ−4−ニトロソベンゼンスルフォン酸のナトリウム塩(DBNBS)を添加し、水素ラジカルとの反応によりDBNBSアゾ化合物を生成し、その吸収特性に基く着色によって水素ラジカルを検出する。上記着色は3,5−ジブロモ−4−ニトロソベンゼンスルフォン酸のナトリウム塩(DBNBS)が水素ラジカルと反応し、DBNBSアゾ化合物を生成する着色反応を利用する。そして、着色は波長が450nmの吸収ピークに起因する。より具体的には、水素ラジカルの定量法は、次の(1)〜(3)の工程よりなる。
(1)517nm近傍に吸収を有する1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(DPPH)の溶液に、白金黒存在下で一定の速度で水素ガスを吹込み、517nm近傍の吸光度の減衰と水素ガスの吹込み時間との相関のグラフを求める(検量線Aの作成)。
(2)0〜100μMのシステインとDPPHを反応させ、DPPHの517nm近傍の吸光度の減衰とシステイン濃度との相関のグラフを求める(検量線Bの作成)。システイン1モルが1モルの活性水素を与えると仮定して、活性水素濃度を計算する。
(3)450nm近傍に吸収を有する3,5−ジブロモ−4−ニトロソベンゼンスルフォン酸のナトリウム塩(DBNBS)の溶液に白金黒存在下で一定の速度で水素ガスを吹込み、450nm近傍の吸光度と活性水素濃度との相関のグラフを求める(検量線Cの作成)。
(4)試料に3,5−ジブロモ−4−ニトロソベンゼンスルフォン酸のナトリウム塩(DBNBS)を添加し、(1)と同一条件で白金黒存在下で一定の速度で水素ガスを吹込んだ後、60℃で1時間加熱後の450nm近傍の吸光度を測定し、その吸光度の値から前記検量線Cを用いて水素ラジカルの濃度を読み取る。
【0028】
ここで電解還元水は10〜500倍に濃縮されていることが好ましい。
この水素ラジカルの検出方法は次の反応に基く、光吸収特性を利用するものである。即ち、3,5−ジブロモ−4−ニトロソベンゼンスルフォン酸のナトリウム塩(DBNBS)が水素ラジカルと反応し、DBNBSアゾ化合物を生成する。そしてDBNBSアゾ化合物は波長が450nmの吸収ピークを有するため、その着色によって水素ラジカルを検出できる。
【0029】
【化1】
Figure 0003933403
【0030】
反応式で示すと、DBNBS(式A)は水又は水溶液中の水素ラジカルと反応して、DBNBS−H・(式B)となり、その2分子が反応して二量体(式C)を生成する。その後加熱下で脱水してDBNBSアゾキシ化合物(式D)が生成する。更に2個の水素と2個の酸素がとれて安定なDBNBSアゾ化合物(式E)が生成する。このDBNBSアゾ化合物の450nmの吸収を検出することにより、水素ラジカルの定性分析が可能となる。
【0031】
DPPHは周波数が517nmに特異吸収を有する安定なフリーラジカルである。DPPHは水素ラジカルと定量的に反応し、517nmの吸収が消失する。一方、白金黒(粒状白金)は大きな表面積を有し、ガス状の水素分子を水素ラジカル(原子状水素)に変換してそれを保持する。そのため溶液中で白金黒の存在下で水素ガスを吹込むことにより、容易に水素ラジカルを発生させることができる。そこで白金黒存在下で所定濃度のDPPH水溶液に水素ガスを吹込み、その吹込み時間とDPPHの517nmでの吸光度の減衰の関係を求めることにより、水素ラジカル濃度と水素ガスの吹込み時間との関係の検量線Aが作成できる。
【0032】
一方、前述の如くDBNBS(式A)は水素ラジカルと反応して、式Bの活性水素付加中間体(DBNBS−H・)およびその二量体(式C)を経てDBNBSアゾキシ化合物(式D)を生成する。その後加熱により生じるDBNBSアゾ化合物の450nm近傍の特異吸収を定量分析に使用する。白金黒存在下で水素ガスを吹き込むと水素ラジカルが発生することは前述のとおりであり、したがって、450nm近傍の吸光度と水素ガスの吹込み時間の関係を求めることにより、検量線Aおよび検量線Bを用いて450nm近傍の吸光度と水素ラジカルの濃度の関係を示す検量線Cを求めることができる。
【0033】
そこで試料中の水素ラジカル濃度を求めるには、試料溶液に所定濃度のDBNBSを添加し、DBNBSと水素ラジカルを反応させDBNBSアゾ化合物を生成させた後、その450nm近傍の吸光度を測定し、前記検量線Cから水素ラジカル濃度を測定する。
【0034】
水素ラジカルの測定において、電解還元水は10〜500倍に濃縮して使用することが好ましい。例えば電解還元水125mlにDBNBS保存液を200μl添加し、攪拌した後、ロータリエバポレーターで60℃の恒温槽にて濃縮乾固する。これを1mlの超純水(Milli Q水)で濃縮乾固物を溶解して回収する。次に60℃恒温槽にて約1時間保温し、氷上に5分間静置し例えば12,000rpmで遠心分離して上清を得る。
【0035】
測定例1: DBNBSを用いた白金黒−水素による水素ラジカル発生の検出
1−1 試薬
DBNBSはラボテック(株)製を、白金黒は石福金属鉱業(株)製を、水素ガスは大洋サンソ(株)製を使用した。DBNBSは超純水(MilliQ水)に12.5mg/mlの濃度で溶解し4℃に保存し、2週間以内に使い切るようにした。
【0036】
1−2 白金黒−水素による水素ラジカル発生
水素ガスは白金表面上で原子状の水素になる。そこで0.01mg/mlの白金黒を含む2.5mg/mlのDBNBS溶液20mlに45ml/minの吹き込み速度で水素ガスを吹きこんだ。5分、10分、15分、30分、45分、60分後にそれぞれ200μlずつ回収し12,000rpm、5分間遠心分離後、上清を60℃の恒温槽にて1時間保温した。コントロールとしては水素ガスを吹き込ませなかったものを60℃時間保温処理した。
【0037】
1−3 水素ラジカルの検出
反応後のコントロールのDBNBS水溶液をキャリブレーションし、DBNBS自身の吸光度を0とし、各DBNBS試料の350〜600nmの波長をスキャンし差スペクトルを得た。この差スペクトルの測定は白金黒−水素処理によってDBNBSが新たな物質に変化したことを検出するためである。また白金黒−水素処理によって生成する活性水素にDBNBSが特異的に反応するかを調べるために白金黒のみ、水素ガスのみ、窒素ガスのみ、白金黒−窒素ガス処理した試料も行なった。
【0038】
白金黒−水素反応によって得られたDBNBSアゾ化合物の試料の吸収スペクトルは図1(Pt−H2)に示す如く、425nmから450nmにピークを持つなだらかな可視吸収スペクトルを示した。それらの試料はオレンジ色に着色していた。このことは白金黒−水素処理によってDBNBSが新たなオレンジ色の着色物質であるDBNBSアゾ化合物に変化したことを示す。そしてそのピークの高さは図3に示される如く、吹き込んだ水素ガス量に依存して増加していき、45分間吹き込みにおいて最大となり、その後は減少した。
【0039】
また白金黒−水素反応特異性を調べるために行なった白金黒のみ、水素ガスのみ、窒素ガスのみ、白金黒−窒素ガス処理した試料では全く着色が認められず、紫外部吸収においても波形に変化が認められなかった。吸収スペクトルの450nmにおける吸光値を水素ラジカルと反応して得られたものは水素ラジカル反応値(AH値)とした。
【0040】
測定例2: DBNBSを用いた電解還元水中の水素ラジカルの検出
2−1 試薬
測定例1と同じものを用いた。
【0041】
2−2 電解還元水
0.01%NaCl水を日本トリム社製の電解還元水装置TI−8000でレベル4(5A)で電解還元し、陰極側の電解還元水を得た。
【0042】
2−3 水素ラジカルの検出
電解還元水125mlにDBNBS保存液を200μl添加し、攪拌した後、ロータリエバポレーターで60℃の恒温槽にて濃縮乾固した。1mlの超純水(Milli Q水)で濃縮乾固物を溶解し、回収した。次に60℃恒温槽にて1時間保温し、氷上に5分間静置し、12,000rpmで遠心分離し、上清を得た。コントロールとして上記超純水で同様に行なったDBNBS試料をキャリブレーションし、DBNBS試料の350〜600nmの波長をスキャンし差スペクトルを得た。
【0043】
測定例1で求めた吸収スペクトルと同様のスペクトルが電解還元水において認められ(図4:電解還元水)、電解還元水中に水素ラジカルが存在することが確認された。
【0044】
測定例3: 電解還元水の濃度と水素ラジカル反応値の関係、および電解強度と水素ラジカル反応値の関係
電解還元水の濃度と水素ラジカル量の相関関係があるかどうかを試験した。電解還元水を超純水(Milli Q水)で希釈して、それぞれ試料の水素ラジカル反応値を測定した。また電解強度と水素ラジカル反応値との関係を調べるためにNaCl濃度が0.0001%から0.01%までの水を用意し、それぞれを電解還元した水の活性水素反応を測定した。電解還元水は日本トリム社製の電解還元水装置TI−8000でレベル4(5A)で電解還元し、陰極側の還元水を得た。
【0045】
電解還元水の%体積が25、50、75、100%の水を希釈により作成し、水素ラジカル反応値を測定したところ、図5に示す如く電解還元水の濃度とともに水素ラジカル反応値が上昇していたので、この測定系は電解還元水の試料においても定量性があることが明らかとなった。また電気分解で電解還元水を得る際の電解強度を変化させた水溶液を作成するために、水溶液の塩濃度(NaCl濃度)を変えて得られた電解還元水においては図6に示す如く、電解強度(NaCL濃度)とともに水素ラジカル反応値も上昇した。このことは電解強度を強くすることによって水素ラジカルも多く発生することを意味する。
【0046】
測定例4: 水素ラジカルとDBNBSとの反応過程の解析
4−1 試料
DBNBSはラボテック(株)製、白金黒粉末Mタイプは石福金属鉱業(株)、水素ガスは大洋サンソ(株)製のものをそれぞれ用いた。
【0047】
4−2 DBNBSの反応
0.01mg/mlの白金黒を含む2.5mg/mlのDBNBS溶液20mlに45ml/minの吹き込み速度で水素ガスを1時間吹き込み、加熱処理しないものと、60℃で1時間加熱処理したものを氷冷し反応を停止させたものを分析試料に用いた。
【0048】
4−3 分析試料の調整
(1) 高速液体クロマトグラム(HPLC)分析試料
分析試料をそれぞれ0.45μmのフィルタで濾過し、その2000μlを用いた。
【0049】
(2) NMR、TOF−MASS分析における分析試料
HPLCより、分離した非加熱処理である反応中間体は、無水酢酸(和光純薬株式会社製)を用いアセチル化し安定化させたものを用い、加熱処理により分離されたアゾ化合物は、再度HPLC分取することにより分離度を完全なものにして用いた。
【0050】
(3) 微量元素分析における分析試料
非加熱処理の反応中間体はHPLCより分離したもの用い、加熱処理により分離されたアゾ化合物はNMR、TOF−MASS分析と同様のものを用いた。
【0051】
4−4 機器測定条件
(1) HPLCはWaters社のWaters600E、移動相はMilli-QWater、流速は5ml/min、注入量は、Waters717のオートサンプラーで採取した2000μl、カラムはWaters社製Nova-Pak C18 19×300mmを用いた。また検出器にはWaters社のWaters996フォトダイオードアレイ検出器を用い200−600nmの波長領域において1.2nm間隔でデータを取込んだ。スペクトルクロマトグラムによる解析は、コンパックV700パーソナルコンピュータを用いミレニアム32(Waters社)で作成したプログラムで行なった。
【0052】
(2) TOF−MASS分析計は、Voyager(パーセプティブ、バイオシステム社)を使用した。Voyagerは、窒素レーザ(337nm)を搭載した、加速電圧20kVのレーザイオン化飛行時間型質量分析装置である。加速電圧は、20kVを使用し、飛行モードはリニアモードで分析を行なった。マトリックスは、2−(4−ヒドロキシ−フェニルアゾ)−安息香酸(HABA)(アルドリッチケミカル社製)1.3mgを、50:50水・アセトニトリル1mlに溶解し使用した。試料スライドに0.5μlの試料を塗布して自然乾燥した後、同量のマトリックス溶液を添加し、再度自然乾燥してイオン源に導入した。
【0053】
(3) NMRは、400MHz NMR(JEOL JNM−GSX400NMRシステムスペクトロメータ)を使用し、1H−NMR測定を行なった。溶媒として、ジメチルスルフォキサイド(DMSO)(和光純薬株式会社製)およびデュートリウムオキシド(D2O)(アルドリッチケミカル社製)を使用した。
【0054】
4−5 解析結果
(A) 高速液体クロマトグラム(HPLC)測定結果
(i) 分析試料(1)
0.01mg/mlの白金を含む2.5mg/mlのDBNBS溶液20mlに45ml/minの吹き込み速度で水素ガスを1時間吹き込み、0.45μmのフィルタで濾過し、その2000μlをフォトダイオードアレイ検出器付きHPLC用いて、非加熱処理の試料を測定した。その測定結果を図7に示す。図7において非加熱処理のDBNBS反応物の保持時間約9.0分に認められるピークは280nmに吸収ピークが認められた。これは式Cに示される二量体に相当する。
【0055】
(ii) 分析試料(2)
0.01mg/mlの白金を含む2.5mg/mlのDBNBS溶液20mlに45ml/minの通気速度で水素ガスを1時間吹き込み、60℃で1時間加熱処理したものを氷冷し反応を停止させたものを0.45μmのフィルタで濾過し、その2000μlをフォトダイオードアレイ検出器付きHPLC用いて、加熱処理の試料を測定した。測定結果を図8に示す。図8において加熱処理のDBNBS反応物の保持時間8.5分に認められるピークは450nmに吸収ピークが認められた。これは式Eで示されるDBNBSアゾ化合物に相当する。
【0056】
(B) マススペクトル(MALDI−TOF−MS)の測定結果
(i)分析試料(1)
上記HPLC測定において得られた、280nmに吸収を有する非加熱処理DBNBS反応物を、マススペクトル(MALDI−TOF−MS)を用いて測定した。
【0057】
アセチル化した280nmに吸収を持つ非加熱処理のDBNBS反応物のマススペクトルは図9に示す如くm/z675.449にイオンピークが示され、これは中間体(式C)よりBrが1つ脱離し、式Cの中間体のヒドロキシル基が1つアセチル化したものと一致した。
【0058】
(ii)分析試料(2)
上記HPLC測定において得られた450nmに吸収を有する加熱処理DBNBS反応物をマススペクトル(MALDI−TOF−MS)を用いて測定した。
【0059】
450nmに吸収を有する加熱処理のDBNBS反応物のマススペクトルが図10に示す如くm/z656.329にイオンピークが示され、Naが2つ脱離したDBNBSアゾ化合物(式E)と一致した。
【0060】
(C) NMR測定結果
(i)分析試料(1)
上記HPLC測定において得られた、280nmに吸収を有する非加熱処理DBNBS反応物を、1H−NMRを用いて測定した結果を図11に示す。図11からアセチル化した280nmに吸収を有する非加熱処理DBNBS反応物のスペクトルが示されている。コントロールとしてアセチル化に用いた無水酢酸を同様にHPLC分取により採取したものを示した。コントロールと比較し、ケミカルシフト2.0ppmにメチル基の存在が示されたことにより、非加熱処理DBNBS反応物のヒドロキシル基と無水酢酸が直接反応が生じたことを示している。
【0061】
(ii)分析試料(2)
上記HPLC測定において得られた、450nmに吸収を有する加熱処理DBNBS反応物を、1H−NMRを用いて測定した結果を図12に示す。
【0062】
450nmに吸収を有する加熱処理のDBNBS反応物のプロトン、ケミカルシフトは6.6〜6.7ppmであり、6.7575ppm,6.634ppmに左右に1本づつの対照なシグナルに分裂している。これはアゾ基の形成にともなって、メタ位のプロトン間にカップリングが生じたことを示している。
【0063】
(D)微量元素分析結果
(i)分析試料(1)
上記HPLC測定において得られた、280nmに吸収を有する非加熱処理DBNBS反応物を、微量元素分析した。炭素含量19.93%(計算値19.35%)、水素含量1.61%(計算値1.61%)、窒素含量3.76%(計算値3.76%)となった。これは中間体より、Naが2つ脱離し、3水和物のものと一致する。
【0064】
(ii)分析試料(2)
上記HPLC測定において得られた、450nmに吸収を有する加熱処理DBNBS反応物を、微量元素分析した。
炭素含量21.53%(計算値21.43%)、水素含量1.73%(計算値1.79%)、窒素含量3.84%(計算値4.17%)となった。これはDBNBSアゾ化合物より、Br、Naが1つづつ脱離し4水和物としたものと一致する。
測定例5:水素ラジカルの定量分析
5−1 1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(DPPH)と水素ガス吹込み時間との関係(検量線Aの作成)
0.1Mの酢酸干渉液(pH5.5)1.96mlにエタノールおよび0.5mMのDPPH・エタノール溶液1mlと1.0mg/mlの白金黒・酢酸緩衝液0.05mlを加えて全量を5mlとし、45ml/minの速度で水素ガスを吹込み、一定の時間ごとに200μの試料を採取し、DPPHの特異吸収である517nmの吸光度を測定し、吸光度の減衰と吹込み時間の関係を示すグラフ(検量線A)として図13を得た。
【0065】
5−2 検量線Bの作成
0〜100μMのシステインとDPPHを反応させ、DPPHの517nm近傍の吸光度の減衰とシステイン濃度との相関のグラフを求めた。グラフ(検量線B)として図14を得た。
【0066】
5−3 3,5−ジブロモ−4−ニトロソベンゼンスルフォン酸のナトリウム塩アゾ化合物(DBNBSアゾ化合物)の吸光度と水素ラジカル濃度の関係(検量線Cの作成)
0.01mg/mlの白金を含む2.5mg/mlのDBNBS溶液に45ml/minの速度で水素ガスを吹込み、DBNBSと水素ラジカルを反応させながら、一定の時間ごとに200μlの試料を採取し、DBNBSと水素ラジカルの反応生成物であるDBNBSアゾ化合物の特異吸収である450nmの吸光度を測定し図15に示す検量線Cを作成した。
【0067】
5−4 試料中の水素ラジカル濃度の測定
(1)試料調製
電解還元水をpH7.0に調製し、その製造条件によりレベル1〜レベル4の試料を調製した。ここで電解還元水は隔膜で隔てられた陰極室と陽極室のそれぞれにNaOHを含む水溶液を導入し、陰極と陽極の間に通電し、前記NaOH水溶液を電気分解し、前記陰極室で得られたものである。これらの酸化還元電位(ORP)およびpHを表1に示す。対照例として超純粋(MilliQ水)を用いた。
【0068】
125mlのMilliQ水、レベル1〜4の電解還元水のそれぞれにDBNBSストック溶液(12.、5mg/ml)を200μl加えて、125倍に減圧濃縮した。MilliQ水1mlで濃縮後のナス型フラスコの内壁を洗い、しばらく静置し溶液を回収した。回収後の溶液を60℃湯浴中(遮光)で加熱し、その後氷中で冷却し反応を停止した。回転速度12000rpmで5分間、遠心分離して上澄を採取した。
【0069】
(2)吸光度の測定
上記試料の周波数450nmの吸光度を測定した。測定は同じ試料について、それぞれ三個の試料を用いて測定し、その平均値を求めた。吸光度の測定結果を表1に示す。
【0070】
(3)水素ラジカル濃度の測定
コントロールとして用いたMilliQ水の450nmでの平均吸光度0.0358を各レベルの試料の吸光度を差し引く、その差の吸光度の値から、検量線Cを用いて、水素ラジカル濃度を求めた。なお125倍に濃縮した電解還元水は水素ラジカル濃度がレベル1〜4で0.03mM〜0.12mM(mmol/l)の範囲である。
【0071】
【表1】
Figure 0003933403
【0072】
【実施例】
実施例1
図1および図2に示す装置を使用して電解還元水を製造した。電解還元水の製造プロセスは上述したとおりである。水道水を逆浸透膜でろ過して得られた純水にNaOHを0.01質量%の濃度で添加し、得られたNaOH水溶液を、電圧5V〜100V、電流5mA〜2A、電解時間5分〜120分の条件下、電流密度3.2mA/cm2(電解度1)、6.4mA/cm2(電解度2)、12.9mA/cm2(電解度3)、16.2mA/cm2(電解度4)、25.8mA/cm2(電解度5)でそれぞれ電気分解して、5種類の電解還元水を製造した。得られた電解還元水について、温度、pH、酸化還元電位、溶存酸素量、溶存水素量、および水素ラジカル濃度を測定した。酸化還元電位は、東亜電波工業製「酸化還元電位計」を用い、12℃〜14℃で検体水に測定用電極を漬けることによって測定した。溶存酸素量は東亜電波製溶存酸素計DO−14P型にて測定した。また、溶存水素量は東和電波製溶存水素計DHD1−1型にて測定した。水素ラジカル濃度は上述した方法に従って測定した。
【0073】
得られた電解還元水についての測定結果を、水道水の測定結果とともに表2および表3に示す。表2および表3は同じような結果を示しているが、採取した水を変えて、異なる日に測定したものである。両表を比較参照して、再現性のよいデータが得られることがわかった。また表4に、電気分解の条件(電流密度の値)を示す。水道水は、電気分解を行なっていないので、その電流密度は0.0mA/cm2と表わしている。電気分解の条件で重要なのは、電流密度であり、これを、マイクロコンピュータで制御する。電流密度を決めると、必要な電圧とNaOHの濃度が必然的に決まってくる。
【0074】
【表2】
Figure 0003933403
【0075】
【表3】
Figure 0003933403
【0076】
【表4】
Figure 0003933403
【0077】
実施例2
得られた電解還元水(表2中の電解度5のもの)の、癌転移抑制効果を評価した結果を以下に示す。
【0078】
図16は、高転移性ヒト繊維肉腫細胞株HT1080の、in vitroでの、転移モデル系における電解還元水の抑制効果を示したものである。HT1080は、細胞銀行(例えば、JCRB Cell BankまたはATCC(米国))より入手したものを用いた。
【0079】
HT1080細胞は、10%牛胎児血清添加MEM培地中で37℃、5%CO2/95%air環境下で培養した。ケモタキセルのフィルタ(ポアサイズ8μm)に、マトリゲルを25μg/フィルタとなるようにコートした。サブコンフルエントのHT1080細胞を、0.1%牛血清アルブミン(BSA)を含むMEM培地(最少必須培地Minimum Essential Medium(栄養成分を最小限に留めた培地))に懸濁し、細胞数を4×105/mlに調整した。得られたものの200μlをチャンバ上室に添加した。細胞添加後、直ちに下室(24穴プレート側)に、10μg/mlのフィブロネクチンを含むMEM培地700μを加え、CO2インキュベータ内で培養した。6時間後、チャンバを取出し、フィルタ上面の細胞を綿棒で除いた後、WST−1(生細胞の特異的な代謝能(細胞数)に応じて変色する試薬)の入った24穴プレートに移し、16時間培養後、450nmにおける吸光度を測定した。図中、ctrlは、純水を培地に用いて行なった結果であり、NaOHmixは、表2中の電解度5で得られた電解還元水を培地用いて行なった結果である。NaOXmixの場合は、ctrlの場合に比べて、著しくHT1080細胞の浸潤転移が減少している。これは、電解還元水が、ヒト繊維肉腫細胞の浸潤転移を抑制することを表わしている。
【0080】
図17は、1週間細胞障害性試験を示す図である。HT1080細胞を、純水または電解還元水(電解度5のもの)を用いて調製した10%牛胎児血清添加MEM培地で、1週間培養後、WST−1を添加し、生細胞数を450nmの吸光度で測定した。純水を用いた場合のctrlの場合と電解還元水(NaOHmix)を用いた場合との間には、目立った差はなかった。すなわち、電解還元水は、健康な細胞の増殖に対して、影響を与えないということが見出された。図16と図17の結果より、NaOH電解還元水は、細胞毒性を持つことなく、転移浸潤活性を抑制するということが明らかとなった。
【0081】
癌細胞の転移に重要な役割を果たすマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)に焦点を合わせて、その中でも、特に癌転移と関係が深いことで知られるMMP2およびMMP9について解析した。HT1080細胞を、ケモタキセルチャンバ上で48時間培養した後、その培養上澄みを、遠心装置で浄化後、回収した。上澄み12μlを、1mg/mlゼラチンを含む10%ポリアクリルアミドゲルに添加した。ゲル電気泳動を行なった後、ゲルを2%トリトンX−100で1時間洗浄後、37℃で60時間保温した。その後、ゲルを0.1%Ponceau Sで染色した。この操作により、ゲラチナーゼ活性は、白抜きバンドとして検出された。図18は、ザイモグラフィによるゼラチナーゼ/IV型コラゲナーゼ活性の分析結果を示す図である。図18において、白いバンドの幅が広いほど、癌転移を促進するMMPの活性が強いことを示している。分析の結果、NaOH電解還元水は、MMP2およびMMP9の発現には影響を与えなかったが、MMP2の活性化を顕著に抑制することが見出された。以上の結果から、NaOH電解還元水がMMP2の活性化を抑えることによる癌転移抑制効果を持つことが明らかとなった。
【0082】
癌細胞の転移機構を阻害することは、転移抑制のみならず、癌細胞の浸潤活性による血管新生の抑制と、癌細胞の悪性化を抑える上でも重要である。また、癌転移を抑制する薬剤は、長期間効果を持続し、なお副作用が極力少ないものでなければならない。本発明において、NaOH電解水が細胞に障害を与えることなく、癌細胞の転移を抑制することが証明できた。これは、日常の飲料水として使用することで、癌の進行を予防できる可能性を示唆しており、これからの癌治療法に与える意義は大変大きいと考えられる。
【0083】
実施例3
大腸菌を電解還元水中に放置し、そのコロニー形成への影響を調べた。大腸菌(Esherichia coli JM109)を、Milli-Q(純水)を使用して調製したLB Broth Base(LIFE TECHNOLOGIES)にて、37℃、3〜4時間振とう培養し、ほぼ一定の吸光度(約0.576)まで培養した(約15×107個/ml)。得られた培養液を、電解還元水(上記表2の電解度5のもの)およびMilli-Q(純水)でそれぞれ調製した生理食塩水(0.85%NaCl)によって1/100000に希釈した。この希釈液を、室温で放置し、次いで、Milli-Q(純水)で調製したLB Broth Baseに1.5%寒天を加えた平板培地に0.1ml滴下し、コンラージ棒(日水製薬製)によって、均一に塗布し、培養した。希釈液の室温での放置時間をそれぞれ0、30、60、120および180分とし、それぞれの処理時間のものについて、上述した平板培養を行った。所定の時間培養した後、2つの平板培地上のコロニー数をそれぞれ肉眼で測定し、その平均値を求めた。各放置時間に対して得られたコロニー数の平均値は、表5に示すとおりである。電解還元水で培養液を処理することによって、その後の大腸菌の増殖が阻害されることがわかった。その阻害効果は、電解還元水により処理する時間が長くなるにしたがって、大きくなる傾向が見られた。
【0084】
【表5】
Figure 0003933403
【0085】
実施例4
酸化ストレスを与えた神経細胞の細胞死を電解還元水によって抑制できるかどうか検討した。Neuroblastoma N1E115細胞を2%Dimethyl Sulphoxideを添加した培地で7日間培養し、さらに無血清培地で1日培養し、ニューロンに分化させた。その後、過酸化水素を培地に0、100、200、300μMそれぞれ添加し、24時間培養して酸化ストレスを与えた。酸化ストレスを与えた細胞を、純水を使用して調製した0.01%NaCl水、および上記表2の電解度4の電解還元水を使用して調製した0.01%NaCl水にそれぞれ懸濁し、処理した後、WST−8アッセイを使用して450nmにおける吸光度を測定した。純水を使用したものと、電解還元水を使用したものの結果を比較したところ、過酸化水素0、100および300μM添加の場合には差が認められなかったが、200μM添加の場合、電解還元水による処理を行った方が、吸光度が高く、電解還元水は、細胞の酸化ストレスに対する保護効果あるいは抑制効果を奏し得ることが示唆された。過酸化水素300μM添加の場合に差がでなかったのは、酸化ストレスが強すぎたためであると考えられる。
【0086】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、次亜塩素酸や塩素が十分に排除され、有用な生理学的活性を有し得る電解還元水を提供することができる。
【0087】
本発明による電解還元水は、癌を治療または予防するための水として使用することができる。この場合、癌に対する治療が必要な患者に、本発明による電解還元水をそのまま投与(たとえば、飲用水として経口投与、あるいは静脈経路による非経口投与)することができる。したがって、本発明による電解還元水は制癌剤として機能することができる。さらに、本発明による電解還元水は、癌に対する治療が必要な患者に、他の有効成分(たとえば制癌剤)を投与するための担体として使用してもよい。この場合、他の有効成分と本発明による電解還元水との相乗作用または相加作用を期待することができる。また、本発明による電解還元水を癌の予防のため使用してもよい。この場合、予防を必要とするものは、適当量を必要に応じて、たとえば飲用水として摂取すればよい。
【0088】
また、本発明による電解還元水は、細菌の増殖を阻害するための水として使用することができる。この場合、たとえば、次のような処理を行うことができる。(a)細菌を直接電解還元水にさらす。(b)細菌の増殖を阻害することが必要な製品、たとえば、食品、飲料、化粧品、医薬品などの原料や成分として電解還元水を使用する。(c)細菌の増殖を阻害することが必要な製品、たとえば、野菜、果実、魚、肉類等の生鮮食品、あるいは花卉類などを電解還元水によって洗浄する。(d)細菌による汚染を防ぐため、食器類、容器類、食品製造設備などを電解還元水によって洗浄する。(e)医療や必要な場合に、細菌の増殖した部位や、細菌の増殖を防ぐべき部位を、電解還元水によって洗浄する。これらの処理において、本発明による電解還元水は、抗菌剤として機能し得る。さらに、本発明による電解還元水は、他の有効成分(殺菌剤または抗菌剤)の担体として使用することができ、この場合、他の有効成分と本発明による電解還元水との相乗作用または相加作用を期待することができる。
【0089】
さらに本発明による電解還元水は、細胞を酸化ストレスから保護するための水として使用することができる。この場合、たとえば、酸化ストレスを受けた細胞あるいは生体に電解還元水を供給することにより、酸化ストレスの影響を低減することができる。また、本発明による電解還元水を日常的に摂取することにより、酸化ストレスに起因する顕著な疾患の誘発を阻止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 水の電気分解に使用される電解槽を示す模式図である。
【図2】 本発明に使用される電解還元水製造装置の一例を示す模式図である。
【図3】 450nmにおける水素ガス吹き込み時間と吸光度の関係を示すグラフである。
【図4】 DBNBSアゾ化合物の吸収特性を示すグラフである。
【図5】 電解還元水と水素ラジカル反応値の関係を示すグラフである。
【図6】 塩化ナトリウム濃度と水素ラジカル反応値の関係を示すグラフである。
【図7】 DBNBS非加熱処理反応物のHPLC測定結果を示すチャートである。
【図8】 DBNBS加熱処理反応物のHPLC測定結果を示すチャートである。
【図9】 DBNBS非加熱処理反応物のマススペクトル測定チャートである。
【図10】 DBNBS加熱処理反応物のマススペクトル測定チャートである。
【図11】 DBNBS非加熱処理反応物のNMRスペクトル測定チャートである。
【図12】 DBNBS加熱処理反応物のNMRスペクトル測定チャートである。
【図13】 検量線Aを示すグラフである。
【図14】 検量線Bを示すグラフである。
【図15】 検量線Cを示すグラフである。
【図16】 NaOH電解還元水が癌細胞転移抑制効果を示す図である。
【図17】 NaOH電解還元水の細胞障害性試験の結果を示す図である。
【図18】 ザイモグラフィによるゼラチナーゼ/IV型コラゲナーゼ活性の分析の結果を示す図である。
【符号の説明】
1 陰極、2 陰極室、3 陽極、4 陽極室、5 隔膜。

Claims (11)

  1. 電解質を含む一方、残留塩素の濃度が0.1mg/l未満でありかつ塩素イオンの濃度が5mg/l以下である水の電気分解によって陰極に生成された電解還元水であって、
    残留塩素の濃度が0.1mg/l未満であり、
    塩素イオンの濃度が5mg/l以下であり、
    12℃〜14℃において−5〜−1000mVの酸化還元電位を有し、
    12℃〜14℃において7〜12のpHを示し、かつ
    12℃〜14℃において水素ラジカルを0.01μM〜10μMの濃度で含むことを特徴とする、電解還元水。
  2. 12℃〜14℃、101325Paにおいて0.1ppm〜10ppmの溶存水素を含有することを特徴とする、請求項1に記載の電解還元水。
  3. 12℃〜14℃、101325Paにおける溶存酸素量が、10ppm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の電解還元水。
  4. 中和されることによって7〜8のpHを有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解還元水。
  5. 前記電解質がNaOHである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解還元水。
  6. 純水に4mg/l〜800mg/lの濃度でNaOHを含有させた水の電気分解によって生成されたものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解還元水。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の電解還元水を得るための電解還元水の製造方法であって、
    水道水を蒸留することによって得られた、残留塩素の濃度が0.1mg/l未満でありかつ塩素イオンの濃度が5mg/l以下である純水にNaOHを溶解させる工程と、
    得られたNaOHを含む水を電気分解する工程と
    を備えることを特徴とする、電解還元水の製造方法。
  8. 前記NaOHを含む水中のNaOHの濃度が4mg/l〜800mg/lであることを特徴とする、請求項7に記載の製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電解還元水からなる、癌を治療または予防するための水
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電解還元水からなる、細菌の増殖を阻害するための水
  11. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電解還元水からなる、細胞または生体を酸化ストレスから保護するための水
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