JP3932862B2 - 画像処理方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、画像処理方法および装置に関し、特に、画像中の単色部分への混色を防止する画像処理方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、カラー複写機は、特開平8−9172号公報に記載の「カラー画像処理装置」のように、画像を読み取って得たRGB(Red,Green,Blue)の色空間で表現される画像データをデバイスに依存しないLabの色空間で表現される画像データに変換する。そして、Labの色空間で表現される画像データに各種の画像処理を加えた後に、YMCK(Yellow,Magenta,Cyan,Black)の色空間で表現される画像データに変換し、YMCK各色のトナー等の色材を用いて画像を形成している。
【0003】
YMCKの色空間での色再現は、減法混色により行い、図12に示すように、YとMの同量混合でR、YとCの同量混合でG、MとCの同量混合でB、YとMとCの同量混合でKが生成されることとなる。
【0004】
ところで、従来のカラー複写機では、本来ならば、Y、M、C、Kのいずれかのトナーのみで表現できる色(Y、M、C、K)や2色程度のトナーで表現できる色(R、G、B)に対して、他のトナーが混在される場合がある。
【0005】
例えば、複写しようとする原稿が図13に示すようなR、K、Y、C、M、G、Bの各色で表現される円グラフが印刷されたものである場合、複写後の出力は、理想的には図14(a)に示すような値となるが、現状は、同図(b)に示すような出力となり、混色が生じている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の複写機では、その出力に理想的には混在し得ない他の色が少量混在することがあった。この他色の混在は、出力画像の混色の原因となり、特に、Y、M、C、Kの各色を2値出力する場合には、混在した少量の他色がまばらに再現され、混色が目立つこととなっていた。
【0007】
そこで、この発明は、出力色に混在する少量の色成分を除去し、高品質の出力を得ることのできる画像処理方法および装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、請求項1の発明は、画像の色空間を変換する画像処理方法において、入力画像の色空間を変換するとともに、該変換後の画像に含まれる色成分のうち、濃度値が第1の所定値以下の色成分の濃度値を減じることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記変換後の画像に含まれる色成分のうち、濃度値が第1の所定値以下であって第2の所定値を超えている色成分の濃度値を前記入力画像の彩度に比例した値だけ減じ、濃度値が前記第2の所定値以下の色成分の濃度値を0に減じることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明は、画像の色空間を変換する画像処理装置において、第1の色空間で表現される画像を第2の色空間で表現される画像に変換する色変換手段と、前記色変換手段により変換された画像に含まれる色成分のうち、濃度値が第1の所定値以下の色成分の濃度値を減じる色成分除去手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記色成分除去手段は、写真モードで動作することを指定されていた場合には、前記色成分の濃度値を減じないことを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項3の発明において、前記色成分除去手段は、前記色変換手段によって変換された画像に含まれる色成分のうち、濃度値が第1の所定値以下であって第2の所定値を超えている色成分の濃度値を前記入力画像の彩度に比例した値だけ減じ、濃度値が前記第2の所定値以下の色成分の濃度値を0に減じることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る画像処理方法および装置の一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は、この発明を適用した画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、画像形成装置は、画像入力装置1と画像処理装置2、画像出力装置3を具備して構成される。画像入力装置1は、原稿を読み取ってRGBの色空間で表現される画像データを出力する。画像処理装置2は、画像入力装置1から入力された画像データに対して各種の画像処理を施し、YMCKの色空間で表現される画像データを画像出力装置3に出力する。画像出力装置3は、画像処理装置2から入力された画像データに基づいて、用紙上に画像を形成する。
【0024】
この画像形成装置では、画像処理装置2が混色除去の処理を行う。画像処理装置2は、前段色変換部4と画像処理部5、後段色変換部6を具備して構成される。前段色変換部4は、画像入力装置1から入力される画像データの色空間をRGBからLabに変換する。画像処理部5は、Labの色空間で表現される画像データに対して各種の補正や変倍等の処理を施す。後段色変換部6は、Labの色空間で表現される画像データをYMCKの色空間で表現される画像データに変換するが、この変換に際して画像データ中の混色を除去する。
【0025】
ここで、画像データ中に混色が生じる原因について説明する。画像入力装置1が出力するRGBの色空間と画像出力装置3へ入力するYMCKの色空間では、それぞれ表現できる色の範囲(Gamut)が異なっている。それぞれのGamutは、例えば、図2に示すようなものである。このため、RGBの色空間で表現される画像データをYMCKの色空間で表現される画像データに変換する際に、YMCKの色空間のGamut外の色は、色差最小法によりRGBの色空間とYMCKの色空間での色差が最小となるYMCKの色空間のGamut外郭上にマッピングされる(図3参照、図3は、図2の第3象限の拡大図)。
【0026】
このマッピングにより、色差は最小となるものの、変換後のYMCK色空間では、本来混在すべきでない色成分が混在してしまう場合があり、混色の原因となってしまう。
【0027】
さて、図1に示した画像形成装置では、画像処理部2の後段色変換部6で混色の除去を行うための処理を行う。そこで、後段色変換部6の詳細について説明する。
【0028】
図4は、後段色変換部6の構成を示すブロック図である。同図に示すように、後段色変換部6は、色変換部61と色変換パラメータ62、TRC処理部63−1〜63−4を具備して構成される。
【0029】
色変換部61は、DLUT(Direct Look Up Table)構造となっており、色変換パラメータ62に基づいてLab色空間の画像データをYMCK色空間の画像データに変換する。色変換部61のDLUT構造は、3次元のもので、図5に示す格子点に入力値であるL*、a*、b*に対する出力値を記憶している。この格子点は、L*、a*、b*の各値の一定間隔毎に設定されており、入力値(L*、a*、b*の値で示される)が格子点以外を示した場合には、補間した値を用いる。なお、DLUTについては、特開平10−200772号公報等にその詳細が記されているため、ここでは、概略のみの説明とする。
【0030】
また、TRC処理部63−1〜63−4は、それぞれ、Y、M、C、Kの各色成分に対してTRC(Tone Reproduction Curve:トーン再現曲線)を用いて補正を施す。なお、TRC処理部63−1〜63−4での処理は、従来から行われている処理と同様であるので説明は省略する。
【0031】
色変換部61は、Lab色空間の画像データをYMCK色空間に変換するが、その際に混色の除去を行う。ここでは、まず、混色除去の概念的な方法について説明する。
【0032】
図6は、混色除去の概念的な方法を示した図である。同図に示すように、混色除去は、混色除去前のY、M、C、Kの各色成分の量(値)を入力とした場合に(図中横軸)、混色除去後の各色成分の値が出力(図中縦軸)となるような処理を行う。つまり、各色成分毎に所定量以下のものを除去する。同図では、各色成分のうち、その量(8ビットの値)が「START」以下の場合には、当該成分を完全に除去し、「START」を越えて「END」以下の場合には、一定の割合で当該成分を減少させる。
【0033】
「START」と「END」の値は、処理対象となる色成分の彩度に基づいて、例えば、図7に示すように決定される。色成分の彩度は、これをc*とすれば、Lab色空間でのa*およびb*の値から式1で算出される。
【0034】
【式1】
図7に示した「START」と「END」の値は、彩度(c*)が低い場合には、「START」と「END」の値をともに0に設定し、彩度が高くなるにつれ、「START」と「END」の値を大きくしている。つまり、彩度が低い場合には、混色除去のための処理を行わず、比較的彩度が高い場合にのみ混色除去のための処理を行っている。これは、混色の原因が、上述したようにYMCKの色空間へのマッピングにあるためで、混色が図2に示したトナーGamut(YMCKの色空間のGamut)の外郭上に生じやすいからである。彩度c*は、式1から明らかなように、図2における原点からの距離でもあり、比較的彩度の高い色成分に混色が生じ易いことが図2からも明かであろう。
【0035】
なお、図7では、c*の値の10毎に「START」と「END」の値を設定しているが、c*が設定した値の間となった場合には、「START」と「END」の値は、補間により決定される。もちろん、さらに狭い間隔で「START」と「END」の値を設定するようにしてもよい。
【0036】
次に、混色除去処理の具体的な例について説明するが、ここでは、混色除去処理例として2通りのものを説明する。
【0037】
混色除去処理の1例目は、色変換部61で色変換処理後に混色除去を行う場合の例である。図8は、混色除去処理例1における後段色変換部6の機能的な構成を示したブロック図である。ただし、同図中では、TRC処理部63−1〜63−4に相当する構成を省略している。
【0038】
同図に示すように、混色除去処理例1では、後段色変換部6は、色変換DLUT61−1と混色除去部61−2、色変換パラメータ62−1、色変換パラメータ62−2、セレクタ64を具備して構成される。
【0039】
色変換DLUT61−1は、Lab色空間のL*、a*、b*の各成分を入力値とし、色変換パラメータ62−1に基づいてYMCK色空間のY、M、C、Kの各成分を出力する。色変換パラメータ62−1は、Lab色空間をYMCK色空間に変換するためのパラメータであり、従来と同様のパラメータである。
【0040】
混色除去部61−2は、YMCK色空間のY、M、C、Kの各成分を入力値とし、色変換パラメータ62−2および色変換DLUT61−1への入力前のa*、b*成分に基づいて、混色を除去したY、M、C、Kの各成分を出力する。色変換パラメータ62−2は、彩度に応じて設定された混色除去を行うためのパラメータであり、上述したように比較的彩度の高い色から低量の成分を除去するためのパラメータである。そして、混色除去部61−2は、a*、b*成分に基づいて算出した彩度(c*)に基づいて色変換パラメータ62−2により混色除去を行う。
【0041】
セレクタ64は、色変換DLUT61−1から出力されたY、M、C、Kの各成分と、混色除去部61−2から出力されたY、M、C、Kの各成分のいずれかを選択して出力するための構成である。混色除去部61−2で実行される混色除去は、処理対象となる画像データが文字や図形等のように単色で表現されることが望ましいものの場合には効果的な処理であるが、画像データが写真等のような場合には、その再現性が低下してしまうこととなる。このため、画像形成装置が「文字モード」や「文字写真モード」で動作する場合には、混色除去処理の結果を出力し、「写真モード」で動作する場合には、混色除去処理を行わないものを出力する。
【0042】
なお、セレクタ64は、必ずしも必要な要素ではなく、画像形成装置が「写真モード」で動作する際には、セレクタ64を用いる代わりに混色除去部61−2に入力値をそのまま出力するように動作させればよい。
【0043】
次に、混色除去処理の2例目について説明する。混色除去処理例2は、色変換部61で色変換処理と同時に混色除去を行う場合の例である。図9は、混色除去処理例1における後段色変換部6の機能的な構成を示したブロック図である。ただし、同図中では、TRC処理部63−1〜63−4に相当する構成を省略している。
【0044】
同図に示すように、混色除去処理例2では、後段色変換部6は、色変換DLUT61−3と色変換パラメータ62−3、色変換パラメータ62−4を具備して構成される。
【0045】
色変換DLUT61−3は、Lab色空間のL*、a*、b*の各成分を入力値とし、色変換パラメータ62−3若しくは色変換パラメータ62−4に基づいてYMCK色空間のY、M、C、Kの各成分を出力する。
【0046】
色変換パラメータ62−3は、Lab色空間をYMCK色空間に変換すると同時に混色を除去するためのパラメータであり、上述の色変換パラメータ62−1と色変換パラメータ62−2を併せたパラメータと同様である。この色変換パラメータ62−3は、画像形成装置が「文字モード」や「文字写真モード」で動作する際に用いられる。
【0047】
一方、色変換パラメータ62−4は、Lab色空間をYMCK色空間に変換するためのパラメータであり、従来と同様のパラメータである。この色変換パラメータ62−4は、画像形成装置が「写真モード」で動作する際に用いられる。
【0048】
ここで、色変換パラメータ62について説明する。図10は、色変換パラメータ62を説明するための図である。
【0049】
まず、色変換パラメータ62−1と色変換パラメータ62−4について説明する。これらのパラメータは、Lab色空間をYMCK色空間に変換するためのもので、図中の矢印100で示すように、L*a*b*データが入力された際にYMCK変換変換データを出力する構成となっている。
【0050】
また、色変換パラメータ62−2は、混色除去を行うためのもので、図中の矢印101で示すように、YMCK変換データが入力された際にYMCK混色防止変換データを出力する構成となっている。また、色変換パラメータ62−2は、YMCK変換データとYMCK混色防止変換データの両者を彩度(c*)に関連付けて管理している。
【0051】
色変換パラメータ62−3は、Lab色空間をYMCK色空間に変換すると同時に混色を除去するためのもので、図中の矢印102で示すように、L*a*b*データが入力された際にYMCK混色防止変換データを出力する構成となっている。この色変換パラメータ62−3は、特に、彩度と関連付けて管理する必要はないが、これは、入力値であるa*成分とb*成分により彩度が一意となるからである。
【0052】
最後に、この発明を適用して原稿の複写を行った場合の結果例について、簡単に説明する。原稿が図13に示すようなR、K、Y、C、M、G、Bの各色で表現される円グラフが印刷されたものである場合、複写後の出力は、「写真モード」により混色除去を行わなかった場合に図11(a)に示すような値となり、「文字モード」若しくは「文字写真モード」により混色除去を行った場合には、同図(b)に示すような出力となる。これにより、混色除去を行った場合には、低量の色成分が除去され、高品質な出力となる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、処理対象の画像データの彩度に応じて除去する色成分を設定し、特に、比較的高彩度の画像データに対して低量の色成分を除去するように構成したので文字や図形等のように単色で表現されることが望ましい画像に混色を生じさせることなく、高品質の出力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を適用した画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】各色空間のGamutを示した図である。
【図3】図2における第3象限部分を拡大した図である。
【図4】後段色変換部6の構成を示すブロック図である。
【図5】DLUT構造例を示した図である。
【図6】混色除去の概念的な方法を示した図である。
【図7】色成分の彩度に基づいて決定される色成分の除去量の設定例を示した図である。
【図8】混色除去処理例1における後段色変換部6の機能的な構成を示したブロック図である。
【図9】混色除去処理例1における後段色変換部6の機能的な構成を示したブロック図である。
【図10】色変換パラメータ62を説明するための図である。
【図11】混色除去前の出力および混色除去後の出力の例を示した図である。
【図12】減法混色による色再現を説明するための図である。
【図13】複写対象の原稿例を示した図である。
【図14】理想的な出力および現状の出力の例を示した図である。
【符号の説明】
1 画像入力装置
2 画像処理装置
3 画像出力装置
4 前段色変換部
5 画像処理部
6 後段色変換部
61 色変換部
61−1 色変換DLUT
61−2 混色除去部
61−3 色変換DLUT
62、62−1、62−2、62−3、62−4 色変換パラメータ
63−1、63−2、63−3、63−4 TRC処理部
64 セレクタ
100、101、102 矢印
Claims (5)
- 画像の色空間を変換する画像処理方法において、
入力画像の色空間を変換するとともに、該変換後の画像に含まれる色成分のうち、濃度値が第1の所定値以下の色成分の濃度値を減じることを特徴とする画像処理方法。 - 前記変換後の画像に含まれる色成分のうち、濃度値が第1の所定値以下であって第2の所定値を超えている色成分の濃度値を前記入力画像の彩度に比例した値だけ減じ、濃度値が前記第2の所定値以下の色成分の濃度値を0に減じることを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
- 画像の色空間を変換する画像処理装置において、
第1の色空間で表現される画像を第2の色空間で表現される画像に変換する色変換手段と、
前記色変換手段により変換された画像に含まれる色成分のうち、濃度値が第1の所定値以下の色成分の濃度値を減じる色成分除去手段と
を具備することを特徴とする画像処理装置。 - 前記色成分除去手段は、
写真モードで動作することを指定されていた場合には、前記色成分の濃度値を減じないことを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。 - 前記色成分除去手段は、前記色変換手段によって変換された画像に含まれる色成分のうち、濃度値が第1の所定値以下であって第2の所定値を超えている色成分の濃度値を前記入力画像の彩度に比例した値だけ減じ、濃度値が前記第2の所定値以下の色成分の濃度値を0に減じることを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
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