JP3932822B2 - 給紙装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積載板に積載される用紙を最上位の用紙から順次送り出して所定の給紙先に供給する給紙装置に係り、特に、用紙に画像を形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ、複合機等に代表される画像形成装置に好適に使用される給紙装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複写機、プリンタ等の画像形成装置に使用される給紙装置としては、積載板に積載される用紙を最上位の用紙から順次送り出して供給するタイプのものが知られている。
【0003】
この種の給紙装置では、積載板を昇降可能に支持したうえで、その給紙に際しては、積載板に積載されている用紙の最上位の用紙が給紙開始位置に保持されるように積載板を所要量ずつ上昇させながら給紙を行うようになっている。一方、その積載板への用紙の補給に際しては、通常、積載板を最下位置に下降させたうえで、その最下位置にある積載板上に所要の枚数の用紙を積載して補給するようになっている。
【0004】
ところで、このような給紙装置にあっては、その用紙の補給作業が案外やりにくいという課題がある。
【0005】
例えば、積載板上に3000枚以上の用紙を積載することができる給紙装置では、最下位置にある積載板上に用紙を補給する際、その積載板に積載する用紙の位置決めを行うためのガイド部材が300mmを超えるような高さで積載板の脇に存在しているため、そのガイド部材が障害となって補給作業がやりにくいのである。また、時には、補給する用紙の角部がガイド部材に触れて折れ曲がった状態のままで積載板に収容されてしまうこともある。
【0006】
そこで、従来においても、このような用紙補給時の作業性を向上させる等の目的で、積載板(トレイ)を下降させる下降スイッチを設け、その下降スイッチを用紙補給時においてユーザが押し続けて操作することにより積載板を任意の位置に停止させることができるように構成した給紙装置が提案されている(特開平4−361925号公報など)。また、用紙給紙時に、用紙が積載されていない積載板(トレイ)を又は積載板に用紙が積載されている場合にはその積載されている用紙の最上位の用紙を給紙レベルよりも下で近傍の用紙補給レベルに保持するスプリングからなる用紙補給レベル保持手段を設け、これにより、用紙補給時において積載板を最下点まで下降させず、スプリングの弾性引張り力で所定の用紙補給レベルに均衡保持させるように構成した給紙装置が提案されている(特許第2635879号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような用紙補給時の作業性向上のための対策が採られた給紙装置にあっても次のような課題がある。
【0008】
すなわち、前者の給紙装置では、用紙補給時に常に下降スイッチを押す操作を行わなければならず煩わしく、また、任意の位置に停止させた積載板上に所定枚数の用紙を複数回に分けて補給する場合には、最初にある程度補給した後に再び下降スイッチを操作して積載板をさらに下降させる必要があり、より一層煩雑になってしまう。また、後者の給紙装置では、積載板がスプリングの弾性引張り力とのバランス関係で均衡したときに位置が保持される仕組みであるため、用紙補給時には積載板が上下方向に変位しやすく、このような不安定な積載板上への用紙補給はやりにくいのである。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、積載板への用紙補給を、煩雑な操作を行う必要がなく常に安定して簡便に行うことができる給紙装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成し得る本発明の給紙装置は、積載板に積載される用紙を最上位の用紙から順次送り出して供給する給紙装置であって、その積載板を昇降可能に支持する支持機構と、この支持機構により支持される積載板をその積載板に積載されている用紙の最上位の用紙が給紙開始位置に保持されるように回転駆動力を利用して上昇させる昇降機構とを備えた給紙装置において、前記積載板を上昇させるにつれてその積載板を下降方向に徐々に強く付勢する付勢手段を設けるとともに、前記積載板上に用紙を補給する際に、前記昇降機構の積載台上昇時における回転駆動力の回転方向とは逆方向への回転を、少なくとも積載板が最上の位置にあるときの前記付勢手段の付勢力と積載板の重力とを合わせた下降方向に向く力よりも大きい制動力で阻止して当該積載板を最上の位置で保持し、その制動力よりも大きな下降方向に向く力が加わった時点で当該積載板の下降を許容するように前記逆方向の回転を許容し得る回転制御手段を設けたことを特徴とするものである。
【0011】
このような給紙装置において、上記回転制御手段の制動力は、上記逆方向の回転を阻止できる大きさであれば特に限定されるものではないが、その積載板が最上の位置にあるときの上記付勢手段の付勢力と積載台の重力とに加えて、最大許容積載枚数よりも少ない所定枚数の用紙の重力とを合わせた下降方向に向く力が加わった時点で、上記逆方向の回転を許容する大きさに設定するとよい。この場合、その最大許容積載枚数よりも少ない所定枚数は適宜設定すればよく、例えば、最上位置にあるときの積載板に安定して積載することができる用紙の枚数を参考にして設定することができる。
【0012】
また、上記付勢手段は、上記したように積載板を付勢することができるものであれば特に制約されるものではなく、例えば、引っ張りバネの弾性張力を付勢力として使用する機構である。この場合、引張りバネは、積載板の下面側に配置して下面側から積載板を下降方向に付勢するように作用させることができるが、これに限定されない。
【0013】
さらに、上記回転制御手段は、上記した逆方向の回転を阻止するとともに許容するという制御機能を発揮する手段であれば特に制約されるものではなく、例えばトルクリミッタ、ダンパー等である。この回転制御手段は、少なくとも用紙補給時に作動すればよいが、例えば給紙時に作動しても構わない。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
[実施の形態1]
図1及び図2は本発明の実施の形態1に係る給紙装置を示すものであり、図1はその正面側の一部断面図、図2はその正面側の概要図と上面側の一部断面図である。この給紙装置は、例えば、複写機、プリンタ等の画像形成装置における給紙装置として使用されるものである。また、この給紙装置は、その給紙先である画像形成装置の本体に一体的に組み込まれた状態で使用するか、あるいは、その画像形成装置の本体とは別個独立した装置であって画像形成装置に連結接続した状態で使用する構成になっている。
【0016】
図中において、符号1は給紙装置の筐体、2は複数枚の用紙Pを積載する積載板、3は積載板2を昇降可能に支持する支持機構、4は積載板2をその積載されている用紙Pの最上位の用紙が給紙開始位置に保持されるように上昇させるとともに所定の時期に下降させるワイヤ式の昇降機構、5は積載板2上に積載されている用紙Pの最上位の用紙から1枚ずつ順次送り出して給紙先に供給する給紙機構である。また、図中の矢付き1点鎖線Aは、給紙機構5により送り出される用紙Pの給紙経路及び給紙方向を示す。
【0017】
このうち積載板2は、給紙可能な各種サイズの用紙Pを積載することが可能な収容面を有する板状の部材である。この積載板2は、筐体1に対してガイドレール(図示省略)等により引き出し可能に取り付けられた移動台10上に、支持機構3を介して昇降可能に支持されている。
【0018】
支持機構3は、積載板2の周囲をほぼ取り囲むような大きさ及び形態からなる支持枠体31を移動台10上に固定設置し、支持枠体31の相対向する2側面に上下方向に平行して伸びる2本のガイド孔32をそれぞれ開設する一方で、その各ガイド孔32に貫通するように差し入れられる突出部21を積載板2の側端部に形成している。これにより、積載板2は、その各突出部21が支持枠体31のガイド孔32に差し入れられた状態で取り付けられ、その各突出部21がガイド孔32に案内されるようにガイド孔32の長手方向に移動することにより上下方向に昇降できる仕組みになっている。なお、ガイド孔32は、積載板2の昇降するに必要な量に対応した長さに形成されており、このため積載板2はガイド孔32の長さ分だけ昇降移動可能であり、また、ガイド孔32の上端部が積載板2の最上位置となり、ガイド孔32の下端部が積載板2の最下位置となる。
【0019】
昇降機構4は、ワイヤ巻取り用プーリ41に巻きつけたワイヤ42により積載板2を吊り下げるように支持し、その巻取り用プーリ41を回転駆動装置(電動モータのみ又は電動モータと回転伝達機構からなる装置)43からの回転動力を利用して所定の方向に回転させてワイヤ42の繰り出し長さを変化させることによって積載板2をほぼ水平の状態で昇降移動させるようにしている。
【0020】
この実施の形態では、ワイヤ巻取り用プーリ41に巻きつけたワイヤ42の一端部を、支持枠体31の外周面上端部に取り付けられた固定用プーリ44を経由させて支持枠体31のガイド孔32から突出している積載体2の各突出部21にそれぞれ固定している。また、ワイヤ巻取り用プーリ41は、支持枠体31の外側となる移動台10上に軸受け45により回転自在に配置された回転軸46に固定して取り付けられている。さらに、その回転軸46の一端部は、筐体1に設置された回転駆動装置43の駆動軸47に対し、連結離脱可能な連結具(カップリングなど)48、49を介して連結されている。
【0021】
そして、この昇降機構4は、回転駆動装置43の回転駆動力が回転軸46に伝達されて回転軸46を所定の方向に回転させることにより、積載板2を昇降移動させるようになっている。すなわち、積載板2を上昇させるときには、回転軸46を図中において時計回りと反対方向Bに回転させる。これにより、ワイヤ巻取りプーリ41がワイヤ42を巻き取るようになるため、その巻き取られるワイヤ42により積載板2が吊り上げられるようにして上昇する。一方、積載板2を下降させるときには、積載板2等を搭載する移動台10を筐体1から引出して連結具48、49どうしの連結を解除する。これにより、回転軸46が回転駆動装置43からの連結状態から開放されて図中において時計回りと同じ方向Cに回転する結果、ワイヤ巻取りプーリ41がワイヤ42を繰り出すようになるため、その繰り出されるワイヤ42により積載板2が吊り下げられるようにして下降する。特に、この昇降機構4は、給紙時において、積載板2に積載されている用紙Pの最上位の用紙が給紙開始位置に保持されるように積載板2を徐々に上昇させる。
【0022】
給紙機構5は、下記の各構成部品が給紙ユニットフレームに搭載されて筐体1(給紙装置が画像形成装置に組み込まれる構成の場合にはその装置本体)側に取り付けられているものであり、給紙時になると積載板2上に積載されている上位の用紙Pの表面に圧接して用紙Pを繰り出すピックアップロール(ナジャーロール)51と、ピックアップロール51によって複数枚重なりあった状態で送り出された用紙Pを1枚ずつ捌いて送り出すリタードロール対52(送りロール52aと、トルクリミッタ付の捌きロール52b)と、リタードロール対52によって1枚ずつ送られる用紙Pを送り出す送出ロール対53とで構成されている。また、この給紙機構5におけるピックアップロール51は、積載板2の上昇時に、その積載されている用紙Pの最上位にある用紙により持ち上げられ、その給紙開始位置まで持ち上げられると、その持ち上げ動作が検知センサ(図示省略)により検知され、その検知信号が回転駆動装置43の制御部にフィードバックされて駆動が停止され、もって、その積載板2の上昇も停止するようになっている。
【0023】
また、この給紙装置においては、積載板2に積載される用紙Pのサイズや収納向きに応じて給紙時の基準位置となる給紙基準面に押し当てて位置決めをするためのサイドガイド25やエンドガイド26などが併設されている。この実施形成では、用紙Pの側端部用の給紙基準面27が支持枠体31の内側面部に形成されている。また、支持枠体31の給紙機構5が配置されている内側面部には、用紙Pの給紙開始側用の給紙基準面(図示省略)が形成されている。サイドガイド25やエンドガイド26は、積載板2に開設されたスライド孔28,29を貫通して移動台10上に移動可能に取り付けられている。すなわち、サイドガイド25は用紙Pを側端部用の給紙基準面27に押し付けることができるように移動し、また、エンドガイド26は用紙Pを給紙開始側用の給紙基準面に押し付けることができるように移動し得るようになっている。
【0024】
上記積載板2、支持機構3及び昇降機構4は、その積載板2上に用紙Pを補給するときなどにおいて、図2や図3に示すように、移動台10上に載った状態で筐体1からその外部に引き出される。これにより、積載板2が筐体1の外に露出した状態となるため、その積載板2に用紙Pを補給することが可能となる。また、この引き出し時には、昇降機構4の回転軸46が連結具48、49を介して回転駆動装置43の駆動軸47から切り離された状態となる(図3)。
【0025】
そして、この給紙装置においては、図1〜図4等に示すように、積載板2を下降方向に付勢するための引張りバネ6が設けられているとともに、その積層板2に用紙Pを補給する際に、昇降機構4の回転駆動装置43から回転駆動力が伝達される回転軸46の回転状態を制御するためのトルクリミッタ7が取り付けられている。
【0026】
引張りバネ6は、コイル状に巻かれたバネであり、積載板2と移動台10の間において、その一端部が積載板2の下面に固定されている一方で、その他端部が移動台10に固定されている。また、この引張りバネ6は、積載板2が最下位置HLにあるときに最も縮んだ状態となるように取り付けられている(図7参照)。このときには、積載板2に対する付勢力F(=FMIN)はほとんど付勢力が働かない。また、これにより、引張りバネ6は、積載板2が上昇するにつれて次第に伸びた状態となって積載板2に対する付勢力F(=FN)が徐々に強くなり、最後に、積載板2が最上位置HTにあるときに最も伸びた状態となって積載板2に対する付勢力F(=FMAX)が最も強くなる。
【0027】
トルクリミッタ7は、その回転制動部71が昇降機構4の回転軸46にギア72、73を介して接続された状態で移動台10上に取り付けられている。ギア73は回転軸46側に固定されたギアである。このトルクリミッタ7は、積載板2上に用紙Pを補給する際に、その積載板2をできるだけ最上位置HT側に安定して保持するように回転軸46の回転状態を制御するものである。
【0028】
すなわち、このトルクリミッタ7は、用紙補給時に、回転軸46の積載板上昇時における回転方向Bとは逆方向Cへの回転を、少なくとも積載板2が最上位置HTにあるときの引張りバネ6の付勢力FMAXと積載台2の重力W1とを合わせた下降方向に向く合成力(FMAX+W1)よりも大きい制動力(回転負荷トルク)Eで阻止し、その制動力Eよりも大きな下降方向に向く合成力G(FMAX+W1+α)が加わった時点で前記逆方向Cの回転を許容するように作動するものである。なお、上記下降方向に向く合成力Gがワイヤ42及び巻取りプーリ41を介して回転軸46に実際におよぶ力(トルク)は、厳密には、その巻取りプーリ41の半径R1を考慮し、下降方向にむく合成力Gに当該半径R1を掛け合わせた分の力に相当する。
【0029】
ここで、上記力αは、最大許容積載枚数Mよりも少ない枚数Qの用紙Pにかかる重量W2とする。例えば、最大許容積載枚数Mが3000枚であれば、枚数Qは500枚程度とする。これにより、積載板2に枚数Qの用紙Pが積載されると、積載台2側で発生する下降方向に向かう力G(FMAX+W1+W2)がワイヤ42を介して回転軸46に伝わるが、このときの下降方向に向かう力Gがトルクリミッタ7の回転制動部71による制動力Eを上回るものとなり、回転軸46が前記逆方向Cに回転するようになる。また、トルクリミッタ7の制動力Eは、積載板2に最大許容積載枚数Mの用紙Pが積載された場合における合成力G(=FMIN+W1+最大のW2)よりも小さい値に設定されている。
【0030】
次に、この給紙装置の動作について説明する。
【0031】
まず、給紙時には、昇降機構4の回転駆動装置43がワイヤ巻取りプーリ41を反時計回り方向Bに回転させることにより、積載板2をその積載されている用紙Pの最上位の用紙が給紙開始位置に達するまで上昇させる。このときの積載板2の上昇動作は、支持機構3のガイド孔32にそって上昇移動し、また、その最上位の用紙が給紙機構3のピックアップロール51を所定量持ち上げたことが前記した検知センサで検知された時点で停止する。
【0032】
この状態になった時点で給紙機構5による給紙動作が開始される。すなわち、用紙Pの上位にある用紙が、給紙機構5のピックアップロール51により繰り出されてリタードロール対52で1枚ずつ分離するように捌かれた後、用紙Pが1枚ずつ送出ロール対53により画像形成装置等の給紙先に送り出される。
【0033】
また、この給紙時においては、給紙動作により積載板2上の用紙Pが少なくなると、積載板2に積載されている用紙Pの最上位の用紙が給紙開始位置に達しているように随時積載板2が昇降機構4により上昇させられる。
【0034】
続いて、用紙補給時には、まず移動台10を引き出して積載板2等を外部に出す。このとき、昇降機構4における回転軸46は回転駆動装置43の駆動軸47との連結が前記したように切り離された状態となるが(図3参照)、積載板2は、図5に示すように、最上位置HTのところで保持された状態にある。
【0035】
この際、積載板2側では、積載板2が空(用紙Pが1枚もない場合)であれば、その積載板2の重力W1と最大に伸びきった引張りバネ6の最大張力FMAXが発生し、これらの合成力G1がワイヤ42を介して巻き上げプーリ41の回転軸46に伝わるが、そのときの合成力G1はトルクリミッタ7の回転制動部71による制動力Eよりも小さい関係にあるため、トルクリミッタ7の制動力Eにより、その回転軸46が時計回り方向Cに回転することが阻止される。このときには、制動力Eが少なくともE≧G1・R1=(FMAX+W1)R1の関係にあるため、回転軸46が時計回り方向Cに回転することはない。この結果、積載板2は前述した通り最上位置HTのところで保持されることになる。なお、この用紙補給時に、積載板2上に用紙Pが残っていた場合であっても、その残っている用紙Pの枚数が前記枚数Qを超えない枚数であれば、その積載板2は同様に最上位置HTのところで保持されることになる。
【0036】
したがって、用紙Pの補給は、最上位置HTにある積載板2に対して行えるので、その作業がしやすい。また、積載板2に枚数Qを超える量の用紙Pを補給しない段階では、積載板2が下降することもないので、これによっても補給作業がし易くなる。さらに、この用紙補給の際、積載板2は、その下降方向への移動がワイヤ42を介してトルクリミッタ7の制動力Eにより確実に阻止されているため、用紙Pを積載しても積載板2が揺れ動くことがなく安定している。このことによっても用紙Pの補給作業がし易くなる。
【0037】
そして、この用紙補給により、積載板2上に枚数Q以上の用紙Pが補給されると、積載板2側で発生する合成力G1(=FMAX+W1+W2)・R1がトルクリミッタ7の回転制動部71による制動力Eを上回る関係になるため、回転軸46が反時計回り方向Bに回転するようになる。これにより、ワイヤ巻取りプーリ41からワイヤ42が繰り出されることになるため、図6に示すように、積載板2は下降するようになる。
【0038】
また、この際、補給する用紙Pの枚数が最大許容積載枚数Mよりも少ない段階では、用紙Pを補給した分だけ積載板10がその用紙の重力W2に応じて下降する一方で引張りバネ6が縮むことになるため、その引張りバネ6の縮んだ分だけ張力FNも前記最大張力FMAX よりも小さいものとなる。そして、このときの積載板2側で発生する合成力G2(=FN+W1+W2)・R1がトルクリミッタ7の制動力E(=FMAX+W1)よりも小さくなって力学的にバランスがとれた関係になった時点で、回転軸46の時計回り方向Cの回転がトルクリミッタ7の制動力Eにより阻止されるため、積載板2の下降動作が停止される。これにより、積載板2は、図6に示すように、再び所定の高さ位置(最上位置HTと最下位置HLの間の位置)で保持された状態となる。
【0039】
このため、積載板2に枚数Qを超える量の用紙Pを補給しても、その枚数が最大許容積載枚数Mよりも少ない段階であれば、積載板2が最下位置HLまで下降してしまうこともないため、所定の高さ位置で保持されている積載板2に積載されている用紙Pの最上面が比較的高い位置に維持される。したがって、その後に続けて補給する用紙の補給作業もし易いものとなる。なお、この時点で用紙補給を止めて、その積載板2を移動台10により筐体1内に押し込んで装着した後に、給紙動作を実行することも可能である。
【0040】
最後に、積載板2に最大許容積載枚数Mの用紙Pが補給されると、回転軸46には合力G3(=FMIN+W1+最大のW2)・R1が及ぶため、トルクリミッタ7による回転軸46の反時計回り方向Bの回転が阻止されることがなくなるため、積載板2が最下位置HLまで下降して停止する。この段階で、通常は、その積載板2を移動台10により筐体1内に押し込んで装着し、次の給紙動作を再開することになる。
【0041】
以上のように、この補給装置では、用紙の補給作業を特に煩わしい特別な操作を行うことなく簡便に行うことができ、補給した用紙Pの端部が折れ曲がった状態で積載されることもない。これにより、用紙補給後における給紙も正確にかつ安定して行うことが可能となる。
【0042】
[実施の形態2]
図8は、本発明の実施の形態2に係る給紙装置を示すものである。この給紙装置は、積載板として一端部側が昇降する方式の積層板20を使用するとともに、昇降機構としてその積載板20の他端部を押上アーム板81で昇降させる方式の昇降機構40を適用した以外は実施の形態1に係る給紙装置と同じ構成からなるものである。このため、実施の形態1に係る給紙装置と共通する構成部分には同じ符号を付し、その説明については省略し、以下に、その異なる点についてのみ説明することとする。
【0043】
この給紙装置における積載板20は、装置筐体1に対して引き出し可能に取り付けれた移動台10上において、その一端部が支持機構3でもある支軸23を中心にして揺動するように支持されている。したがって、この積載板20は、揺動することにより昇降する支持構造になっている。この積載板20では、サイドガイド25およびエンドガイド26は、積載板20自体にスライド移動可能に取り付けられている。
【0044】
また、この給紙装置における昇降機構40は、積載板20の揺動する自由端部となる下面に当接して揺動する押上アーム板81が移動台10上に回動可能に設置されている。また、この押上アーム板81は、実施の形態1における昇降機構4の回転軸46と同様の回転軸46に固定して取り付けられている。また、その回転軸46は、実施の形態1における昇降機構4の場合と同様に、筐体1に設置された回転駆動装置43の駆動軸47に対し、連結離脱可能な連結具(カップリングなど)を介して連結されている。
【0045】
そして、この給紙装置においても、図8や図9に示すように、積載板20を下降方向に付勢するための引張りバネ60が設けられているとともに、その積層板20に用紙Pを補給する際に、昇降機構40の回転駆動装置43から回転駆動力が伝達される回転軸46の回転状態を制御するためのトルクリミッタ70が取り付けられている。
【0046】
引張りバネ60は、コイル状に巻かれたバネであり、積載板20と移動台10の間において、その一端部が積載板20の揺動先端部側の下面に固定されている一方で、その他端部が移動台10に固定されている。また、この引張りバネ60は、実施の形態1における引張りバネ6と同様に、積載板20が最下位置HLにあるときに最も縮んだ状態となるように取り付けられている。このときには、積載板20に対する付勢力F(=FMIN)はほとんど付勢力が働かない。また、これにより、引張りバネ60は、積載板20が揺動して上昇するにつれて次第に伸びた状態となって積載板2に対する付勢力F(=FN)が徐々に強くなり、最後に、積載板20が最上位置HTにあるときに最も伸びた状態となって積載板20に対する付勢力F(=FMAX)が最も強くなる。
【0047】
トルクリミッタ70は、実施の形態1におけるトルクリミッタ7と同様に、その回転制動部71が昇降機構40の回転軸44にギア72、73を介して接続された状態で移動台10上に取り付けられている。このトルクリミッタ70は、積載板20上に用紙Pを補給する際に、その積載板20をできるだけ最上位置HT側に安定して保持するように回転軸46の回転状態を制御するものである。
【0048】
すなわち、このトルクリミッタ70は、用紙補給時に、回転軸46の積載板上昇時における回転方向Jとは逆方向Kへの回転を、少なくとも積載板2が最上位置HTにあるときの引張りバネ60の付勢力FMAXと積載台2の重力W1とを合わせた下降方向に向く合成力(FMAX+W1)よりも大きい制動力(回転負荷トルク)Eで阻止し、その制動力Eよりも大きな下降方向に向く合成力G(FMAX+W1+β)が加わった時点で前記逆方向Kの回転を許容するように作動するものである。なお、上記下降方向に向く合成力Gが押上アーム板81を介して回転軸46に実際におよぶ力(トルク)は、厳密には、その押上アーム板81の回転中心と積載板20との当接位置との距離である揺動半径R2を考慮し、下降方向にむく合成力Gに当該半径R2を掛け合わせた分の力に相当する。
【0049】
ここで、上記力βは、実施の形態1の場合(α)と同様に、最大許容積載枚数Mよりも少ない枚数Qの用紙Pにかかる重量W2とする。例えば、最大許容積載枚数Mが1000枚であれば、枚数Qは200枚程度とする。これにより、積載板20に枚数Qの用紙Pが積載されると、積載台20側で発生する下降方向に向かう合成力G(FMAX+W1+W2)・R2が押上アーム板81を介して回転軸46に伝わるが、このときの下降方向に向かう合成力Gがトルクリミッタ70の回転制動部71による制動力Eを上回るものとなり、回転軸46が前記逆方向Kに回転するようになる。また、トルクリミッタ7の制動力Eは、積載板2に最大許容積載枚数Mの用紙Pが積載された場合における合成力G(=FMIN+W1+最大のW2)・R2よりも小さい値に設定されている。
【0050】
また、この給紙装置においても、実施の形態1に係る給紙装置と同様に、給紙動作および用紙補給時の動作が行われる。
【0051】
特に、用紙補給時には、積載板20が移動台10によって筐体1から引き出された後に用紙Pの補給が行われることになるが、この際、積載板20は、トルクリミッタ70の制動力Eにより押上アーム板81を支持する回転軸46の逆方向Kへの回転が阻止されるため、最上位置HTに保持された状態にある。このため、用紙の補給作業がしやすい。
【0052】
また、この積載板20上に用紙Pを補給すると、その用紙Pの枚数が前記枚数Qを超えた場合には、押上アーム板81から回転軸46にかかる合成力G(=FMAX+W1+W2)・R2が制動力Eを上回ることになるため、回転軸46が逆方向Kに回転して押上アーム板81が下降するため、積載板20も下降するようになる。そして、積載板20に補給する用紙Pの枚数が最大許容積載枚数Mよりも少ない段階であれば、実施の形態1の場合と同様に、積載板20で発生する合成力Gがトルクリミッタ70の制動力E以下になった時点で、積載板20が最下位置HLまで下降してしまうこともなく所定の高さ位置で保持されるため、その積載板2に積載されている用紙Pの最上面も比較的高い位置に維持される。したがって、その後に続けて補給する用紙の補給作業もし易いものとなる。
【0053】
したがって、この補給装置においても、用紙の補給作業を特に煩わしい特別な操作を行うことなく簡便に行うことができ、補給した用紙Pの端部が折れ曲がった状態で積載されることもない。これにより、用紙補給後における給紙も正確にかつ安定して行われるようになる。
【0054】
[他の実施の形態]
実施に形態1、2では、トルクリミッタ7、70を昇降機構4、40の回転軸46にギア72、73を介して取り付けた場合について例示したが、そのトルクリミッタ7、70を当該回転軸36に直結させるように取り付けるようにしてもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の給紙装置によれば、積載板への用紙の補給を、煩雑な操作を行う必要がなく常に安定して簡便に行うことができる。特に、大容量の給紙装置に適用すると有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1に係る給紙装置の要部を示す正面側の一部断面図。
【図2】 (a)は図1の給紙装置の要部を示す正面側の概要図、(b)は図1の給紙装置の要部を示す上面側の一部断面図。
【図3】 図1の給紙装置において積載板などを引き出した状態を示す上面側の説明図。
【図4】 図1の給紙装置における積載板とその関連部品との状態および力学的な関係を示す説明図。
【図5】 用紙補給開始時における積載板とその関連部品との各状態を示す説明図。
【図6】 ある一定以上の用紙が補給された段階における積載板とその関連部品との各状態を示す説明図。
【図7】 最大許容積載枚数の用紙が補給された段階における積載板とその関連部品との各状態を示す説明図。
【図8】 実施の形態2に係る給紙装置の要部を示す正面側の一部断面図。
【図9】 図8の給紙装置における積載板とその関連部品との状態および力学的な関係を示す説明図。
【符号の説明】
2,20…積載板、3…支持機構、4,40…昇降機構、6,60…引張りバネ(付勢手段)、7,70…トルクリミッタ(回転制御手段)、P…用紙。
Claims (4)
- 積載板に積載される用紙を最上位の用紙から順次送り出して供給する給紙装置であって、その積載板を昇降可能に支持する支持機構と、この支持機構により支持される積載板をその積載板に積載されている用紙の最上位の用紙が給紙開始位置に保持されるように回転駆動力を利用して上昇させる昇降機構とを備えた給紙装置において、
前記積載板を上昇させるにつれてその積載板を下降方向に徐々に強く付勢する付勢手段を設けるとともに、
前記積載板上に用紙を補給する際に、前記昇降機構の積載台上昇時における回転駆動力の回転方向とは逆方向への回転を、少なくとも積載板が最上の位置にあるときの前記付勢手段の付勢力と積載板の重力とを合わせた下降方向に向く力よりも大きい制動力で阻止して当該積載板を最上の位置で保持し、その制動力よりも大きな下降方向に向く力が加わった時点で当該積載板が下降するように前記逆方向の回転を許容し得る回転制御手段を設けたことを特徴とする給紙装置。 - 前記回転制御手段の制動力は、前記積載板が最上の位置にあるときの前記付勢手段の付勢力と積載台の重力と最大許容積載枚数よりも少ない所定枚数の用紙の重力とを合わせた下降方向に向く力が加わった時点で、前記逆方向の回転を許容する大きさに設定されている請求項1に記載の給紙装置。
- 前記付勢手段が、引っ張りバネの弾性張力を付勢力として使用する機構である請求項1又は2に記載の給紙装置。
- 前記回転制御手段がトルクリミッタである請求項1又は2に記載の給紙装置。
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