JP3932652B2 - 電磁継電器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電磁継電器、特に、生産が容易で接触不良が生じない電磁継電器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電磁継電器としては、例えば、実開平3−57850号公報記載のものがある。
すなわち、図8(a)および図8(b)に示すように、固定接点端子1に設けた固定接点2と可動接触片3に設けた可動接点4とを接離可能に対向させた接点機構を有するものである。
そして、この電磁継電器では、固定接点2および可動接点4の各表面に付着した塵埃(例えば、成形粉あるいはガラス繊維屑)を除去すべく、側方からノズル5で圧縮空気を吹き付けて塵埃を吹き飛ばす空気洗浄が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の接点機構を有する電磁継電器では、圧縮空気を側方から吹き付けても、固定接点端子1の垂直部で出口側が遮蔽されているので、塵埃を完全に除去できず、洗浄効率が低い。このため、塵埃を完全に除去するのに手間がかかり、生産性が悪いという問題点があった。
【0004】
本発明は、前記問題点に鑑み、生産性が高く、接触不良が生じない電磁継電器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる電磁継電器は、前記目的を達成するため、正面略Г字形状に屈曲した固定接点端子の水平部に設けた固定接点と可動接触片に設けた可動接点とを接離可能に対向させた接点機構と、ケースを嵌合して形成した密閉空間内に前記接点機構を収納するベースと、を有する電磁継電器において、対向する前記固定接点と前記可動接点との接点間空隙の側方のうち、一方側に位置する前記固定接点端子の垂直面に、第1空気洗浄用貫通孔を設けるとともに、他方側に位置する前記ベースの垂直面に、前記接点間空隙を間にして前記第1空気洗浄用貫通孔に対向する第2空気洗浄用貫通孔を設けた構成としたものである。
また、第1空気洗浄用貫通孔および第2空気洗浄用貫通孔のうち、少なくともいずれか一方を接点ギャップ測定用貫通孔とした構成であってもよい。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に、本発明にかかる実施形態を図1ないし図7の添付図面に従って説明する。
第1実施形態にかかる電磁継電器は、大略、ベース10、固定接点端子20、可動接点端子30、電磁石ブロック40、可動ブロック50、ケース60およびシールプレート70からなるものである。
【0007】
ベース10は、断面略Γ字形の絶縁壁11を一体成形した樹脂成形品である。そして、図2(b)および図7に示すように、前記絶縁壁11の上面には、隠れ面12を形成する絶縁用突条13が一体に形成されている。さらに、ベース10の内側面のうち、前記突条13の近傍から、絶縁用突条14が側方に突出している。この絶縁用突条14は、図5に示すように、ベース10に設けた空気洗浄用貫通孔15から目視可能となっている。
【0008】
固定接点端子20は、上下に端子部21,22をそれぞれ延在したものであり、その中央水平部に固定接点23を設け、その垂直部に空気洗浄用貫通孔24およびカシメ孔25を設けてある。
【0009】
可動接点端子30は、上下に端子部31,32を延在したものであり、その略中央から水平に延在する可動接触片33の先端部に可動接点34を設けてある。この可動接点端子30は、その側面に前記ベース10にカシメ固定するためのカシメ孔35を有している。
【0010】
電磁石ブロック40は、図2(b)に示すように、コイル41を巻回したスプール42の中心孔43に鉄芯44を挿入し、突出する一端部を磁極部44aとする一方、突出する他端部44bに略L字形に屈曲したヨーク45をカシメ固定したものである。なお、前記コイル41の引き出し線は、前記スプール42の鍔部に取り付けたコイル端子46,46にからげてハンダ付けされている(図4)。
【0011】
可動ブロック50は、略く字形に屈曲した可動鉄片51の水平先端部に樹脂製当接部52を固着したものである。そして、この可動ブロック50は、ヒンジばね53を介し、前記ヨーク45の水平先端部に回動可能に支持されている(図2(b))。
【0012】
ケース60は、固定接点端子20等を組み込んだベース10に嵌合可能な箱形状を有している。そして、その天井面には、前記固定接点端子20の端子部21および可動接点端子30の端子部31がそれぞれ突出する端子孔61,62を設けてある。
【0013】
シールプレート70は、その周辺縁部に設けた対向する係止爪71,72を介し、ベース10に嵌合したケース60の開口縁部に係合して密閉するものである。
【0014】
次に、前述の構成部品からなる電磁継電器の組み立て方法について説明する。
まず、ベース10の絶縁壁11の上面に固定接点端子20を側方からスライド嵌合し、固定接点端子20のカシメ孔25から突出するベース10のカシメ突起16をカシメて固定する。ついで、ベース10の絶縁壁11の上面に可動接点端子30を側方からスライド嵌合し、可動接点端子30のカシメ孔35から突出するベース10のカシメ突起17をカシメて固定する。この結果、固定接点23と可動接点34とが接離可能に対向する。このとき、固定接点23および可動接点34の巾方向の側方近傍に空気洗浄用貫通孔15が位置する(図6)。また、固定接点23および可動接点34の長さ方向の側方近傍に絶縁用突条14が位置する(図2(b)および図7)。
【0015】
なお、対向する固定接点23および可動接点34の各表面に付着して接触不良の原因となる塵埃(例えば、成形粉およびガラス繊維屑など)を除去すべく、図6に示すベース10の空気洗浄用貫通孔15から固定接点23および可動接点34間に圧縮空気を側方から吹き込んで空気洗浄を行う。これにより、吹き込まれた空気は固定接点23および可動接点34を通過し、塵埃とともに、貫通孔24から外部に流出する。このため、洗浄効率が向上し、接触不良の生じにくい電磁継電器が得られるという利点がある。
また、貫通孔15,24は、楕円である必要はなく、必要に応じて変形できる。特に、貫通孔15,24の少なくともいずれかを接点ギャップの測定に利用する場合には、前記貫通孔15,24を必要に応じて適宜変形できる。
さらに、前記貫通孔15,24には、空気洗浄あるいは測定を容易にするため、その開口縁部を面取りしておいてもよい。
【0016】
一方、電磁石ブロック40にヒンジばね53を介して可動ブロック50を予め回動可能に支持する。そして、この電磁石ブロック40を、前記固定接点端子20等と反対側の位置から前記ベース10にスライド嵌合する。この結果、前記可動ブロック50の当接部52が可動接触片33の下面に位置し、可動接触片33のばね力で可動ブロック50の当接部52が押し下げられるとともに、可動接点34が固定接点23から開離している。
【0017】
電磁石ブロック40を組み込んだベース10にケース60を嵌合し、その天井面の端子孔61,62から端子部21,31を突出させた後、前記ケース60の開口縁部にシールプレート70を嵌合することにより、ケース60が密閉される。
【0018】
次に、前述の構成からなる電磁継電器の動作について説明する。
まず、図2に示すように、電磁石ブロック40のコイル41に電圧が印加されていない場合には、可動接触片33のばね力で可動ブロック50の当接部52が押し下げられ、可動接点34が固定接点23から開離している。
【0019】
そして、前記コイル41に電圧を印加して励磁すると、鉄芯44の磁極部44aが可動鉄片51の下端部を吸引する。このため、可動鉄片51は可動接触片33のばね力に抗して回動し、当接部52が可動接触片33を押し上げる。この結果、可動接点34が固定接点23に接触した後、可動鉄片51の下端部が鉄芯44の磁極部44aに吸着する。
【0020】
ついで、コイル41への電圧の印加を解除すると、可動接触片33のばね力で可動ブロック50が回動し、可動接点34が固定接点23から開離して元の状態に復帰する。
【0021】
本実施形態では、可動接点34が固定接点23に接離する際にアークが生じ、フレミングの左手の法則に基づいて摩耗粉6が側方に位置するベース10の内壁面に飛散,堆積しても(図7)、絶縁用突条13を突設して形成した隠れ面12に前述の摩耗粉6が付着することがない。このため、摩耗粉6の飛散,堆積による絶縁劣化を防止できる。
特に、側方に突設した絶縁用突条14を固定接点23および可動接点34の近傍まで延在しているので、飛散した摩耗粉6が回り込んで隠れ面12に付着することがなく、より一層確実に絶縁劣化を防止できるという利点がある。
【0022】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にかかる請求項1の電磁継電器によれば、固定接点端子に設けた空気洗浄用貫通孔を介して圧縮空気が塵埃とともに、外部に放出される。このため、従来例よりも洗浄効率が良くなり、生産性が向上するとともに、接触不良が生じない電磁継電器が得られる。
また、請求項2によれば、接点ギャップ測定用貫通孔を介して接点ギャップを測定できる。このため、生産ラインにおける測定作業の自由度が大きくなり、生産が容易になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる電磁継電器の第1実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】 図1の電磁継電器を示し、図2(a)は平面図、図2(b)は図2(a)のA−A線断面図である。
【図3】 図1の電磁継電器を示す斜視図である。
【図4】 図3と異なる角度からの斜視図である。
【図5】 図1の電磁継電器を示す正面図である。
【図6】 図5のA−A線断面図である。
【図7】 図2の要部拡大図である。
【図8】 従来例にかかる電磁継電器の要部を示し、図8(a)は正面図、図8(b)は洗浄作業を示す概略断面図である。
【符号の説明】
10…ベース、11…絶縁壁、12…隠れ面、13,14…絶縁用突条、15…空気洗浄用貫通孔、20…固定接点端子、23…固定接点、24…空気洗浄用貫通孔、30…可動接点端子、33…可動接触片、34…可動接点、40…電磁石ブロック、50…可動ブロック、60…ケース、70…シールプレート。

Claims (2)

  1. 正面略Г字形状に屈曲した固定接点端子の水平部に設けた固定接点と可動接触片に設けた可動接点とを接離可能に対向させた接点機構と、ケースを嵌合して形成した密閉空間内に前記接点機構を収納するベースと、を有する電磁継電器において、
    対向する前記固定接点と前記可動接点との接点間空隙の側方のうち、一方側に位置する前記固定接点端子の垂直面に、第1空気洗浄用貫通孔を設けるとともに、他方側に位置する前記ベースの垂直面に、前記接点間空隙を間にして前記第1空気洗浄用貫通孔に対向する第2空気洗浄用貫通孔を設けたことを特徴とする電磁継電器。
  2. 第1空気洗浄用貫通孔および第2空気洗浄用貫通孔のうち、少なくともいずれか一方を接点ギャップ測定用貫通孔としたことを特徴とする請求項1に記載の電磁継電器。
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