JP3932526B2 - スプリント材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は人や動物の患部に当てがって固定又は支持するためのスプリント材に関する。特には、人や動物の骨折、捻挫、矯正などの治療や予防に、またスポ−ツ等において転倒、衝撃から身体を保護するためのスプリント材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、水硬化性樹脂を使用したスプリント材が、骨折、捻挫、脱臼の治療や予防のために患部に当てて固定したり、支持したり、保護したりすることが手軽にできるために多用されている。こうしたスプリント材は、水硬化性樹脂を含浸させた基布を緩衝性を有する被覆材で包み、防湿、気密性の袋に密封している。
【0003】
このスプリント材は、密封した袋から取出し、水を張ったバケツなどの中に全体を浸して基布に保持されている水硬化性樹脂に水を供給するようにする。そして、水の中から引上げて軽く搾り、バスタオルなどに包んで上から軽く押さえ、被覆材が保持している水分をできるだけ取除くようにする。
その後、スプリント材を患部に当てて沿わせるようにし、その上から弾性包帯を巻いて水硬化性樹脂が硬化するまで待つ。水硬化性樹脂が硬化したら弾力包帯を取り除き、スプリント材が患部の形状に合うように仕上っているかどうかを確認して、スプリントを完成させる。
こうして作られたスプリントは、患部に当てがい弾力包帯などによって固定する。
【0004】
このようなスプリント材は、上記したように被覆材に包まれている基布に保持された水硬化性樹脂に対して、水が万遍なく接触して硬化反応が円滑に進むようにバケツに溜めた水等に全体を浸ける必要があって何かと煩雑であるし、水が周りに飛び散って治療室が汚れたりすることもあった。また、バケツから引上げたスプリント材は、その被覆材が多量の水を含んでいるので、そのままでは患部の皮膚表面に当てることができないから、上記したようにバスタオルなどによって被覆材が保持している水を吸い取らねばならないし、それでも充分には水を除去することができない。従って、未だ濡れて湿ったスプリント材を皮膚に接するようにして型取りしなければならず、患者は何かと不快に感じることが多かったし、皮膚の弱い人や患部に傷がある場合には更に問題を有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、水を張ったバケツなどを用意する必要もなく、スプリント材を水に浸けたりせずに、患部表面には乾燥した状態のスプリントを適用することによって、簡便でかつ患者にとっても心地よい成形ができるようにする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、固定、支持等をしようとする患部に当接する当接材の上に、水によって硬化する水硬化性樹脂を保持した支持材を載置し、この支持材の上をカバ−材で覆い、当接材とカバ−材によって上記支持材を開閉可能に包むようにする。当接材又はカバ−材を開いて支持材を露出させ、この支持材に噴霧等によって必要量の水を供給して閉じ、当接材側を患部に当てて弾性包帯などを巻いて患部に沿うようにしながら水硬化性樹脂を硬化させて、スプリント材の成形ができるようにする。
【0007】
【発明の実施の形態】
患部側に当接する当接材1は、下記する支持材が保持する水硬化性樹脂と非反応性であって、この樹脂が患部の皮膚に接触することがないように透過して行かないようなものであり、更に患部に対する緩衝性と適度の通気性があると好ましい。
こうした当接材には、ポリエステル繊維とポリエチレン繊維を併用した不織布、ポリプロピレン繊維の不織布、ポリエステル繊維とポリエチレン繊維を併用した嵩高の立体編物、ポリプロピレン繊維の嵩高の立体編物、ウレタンフォ−ム、ポリエチレンフォ−ムなどの発泡シ−ト、これらを積層等した組合せ体などを使用することができる。この当接材は材料の性質によって適宜の厚さにされるが、通例、約2〜12mm程度、好ましくは約3〜10mm程度の厚さにするとよい。
また、この当接材にはシリコ−ン、ポリテトラフロロエタンなどによって撥水処理をすると好ましく、更に下記支持材に接する側から処理すると好ましいことが多い。
【0008】
上記当接材1の上には支持材2を載置しており、この支持材2は、基材3に水硬化性樹脂4を保持させている。この基材は、水硬化性樹脂と非反応性であって、引張弾性率が高いものがよく、約800MPa 以上のものが好ましい。こうした基材には、ガラス繊維、カ−ボン繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維その他を使用した織物、編物、不織布などがある。
【0009】
上記基材3は、保持している水硬化性樹脂に噴霧した水が行き渡るように、開口数を約15〜35個/cm2程度とし、開口率を約12〜48%程度にするとよく、好ましくは開口数を約20〜33個/cm2程度、開口率を約15〜35%程度にするとよい。
上記した1cm2当りの開口数36個以上で開口率が12%未満のものでは噴霧等した水の浸透性が低くなり、開口数が14個以下で開口率が48%を超えるものでは噴霧等した水が保持されず流れ出てしまうため、いずれも水硬化性樹脂を充分に硬化させ難くなる。上記開口率は基材の拡大写真を撮り、一定範囲内における空隙が占める面積の割合であって、写真を画像認識して機械的に求めることができる。
【0010】
上記基材3に保持させる水硬化性樹脂には、水と反応してウレタン樹脂となるポリウレタンプレポリマ−を用いるとよい。このポリウレタンプレポリマ−は、ポリオ−ルとポリイソシアネ−トとを反応させて得られる末端にイソシアネ−ト基を有するものである。
上記ポリオ−ルとしては、ポリエチレングリコ−ル(PEG)、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのランダムまたはブロック共重合体などを用いるとよい。このポリオ−ルの数平均分子量としては約200〜4000程度のものが望ましい。分子量200以下では剛性が大きく、硬くて脆い性質となり、分子量4000以上では剛性が小さく固定材としての強度が不足することがある。
【0011】
また、上記したポリオ−ルと共に公知のポリオ−ルも用いることができ、例えばポリプロピレングリコ−ル(PPG)、ビスフェノ−ル系ジオ−ル(BP、BPE)などを適宜混合して用いることができる。上記ポリオ−ルのエチレンオキサイド成分はポリウレタンプレポリマ−組成物中に約5wt%以上含有することがよく、好ましくは約8wt%以上含有するとよい。4wt%以下だと樹脂の親水性が低くなり初期硬化反応が遅くなることがある。
【0012】
上記ポリイソシアネ−トには、従来公知のポリイソシアネ−トを使用することができ、例えば 4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、 2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネ−ト等(MDI)、p-フェニレンジイソシアネ−ト及びこれらのカルボジイミド変性ポリイソシアネ−トなどがあり、これらは単独または2種以上組合せて使用することができる。好ましくは、 4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、 2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、及びこれらのカルボジイミド変性ポリイソシアネ−トを用いるとよい。
【0013】
末端にイソシアネ−ト基を有するポリウレタンプレポリマ−を得るための、ポリオ−ルとポリイソシアネ−トとの配合比率は、通常ポリオ−ル1当量当りポリイソシアネ−ト2〜5当量、好ましくは2.5〜5当量にする。両者の反応は、通常約30〜100℃、好ましくは約50〜80℃で加熱攪拌することで達成される。ポリウレタンプレポリマ−の粘度は、通常室温23℃で約10〜50Pa・s、好ましくは約15〜40Pa・sにするとよい。
【0014】
上記の反応触媒としては、貯蔵安定性に優れたものを選択使用するとよく、従来からよく知られているものとして、ジモルホリノジエチルエ−テル、ビス(2,6-ジメチルモルホリノ)ジエチルエ−テル、置換モルホリノジエチルエ−テル類などがあり、これらを単独または2種以上混合して用いることができる。
水硬化性樹脂に水を噴霧して硬化させるので、上記触媒の使用量は、ポリウレタンプレポリマ−の後記ゲルタイムが90秒以下となるようにするとよく、そのために組成物中に約1〜6wt%の量を含有させることが好ましい。触媒量が1wt%未満では上記した初期硬化性において水噴霧後の硬化性が十分上がらず、触媒量が4wt%を超えて6wt%迄は触媒量の4wt%の初期硬化性と変わらず6wt%を超えると初期硬化性は低下する傾向となる。
【0015】
ポリウレタンプレポリマ−には、水に接触(溶解)すると発熱する化合物を含有させて硬化反応を促進させることができる。例えば、塩化カルシウムや塩化マグネシウムなどの金属の塩化物、酸化カルシウムや酸化亜鉛などの金属の酸化物、硫酸カルシウムや硫酸マグネシウムなどの金属の硫酸化物、シリカなどを加えることができる。
【0016】
上記ポリウレタンプレポリマ−には適宜安定剤を含有させるとよく、こうした安定剤としては公知のベンゾイルクロライド、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などを使用することができる。これらの安定剤も単独または2種以上を混合して用いることができる。安定剤の使用量は触媒の使用量によって異なるが、通常ポリウレタンプレポリマ−の約0.005〜1wt%、好ましくは約0.01〜0.5wt%である。0.005 wt%より少ない量では安定効果がなく、1wt%より多いと触媒の活性が損なわれるおそれがある。
【0017】
本発明のポリウレタンプレポリマ−には更に、必要に応じて消泡剤、酸化防止剤、粘度調整剤、粘着力抑制剤、紫外線吸収剤、顔料や染料などの着色剤、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カ−ボンブラック、クレイ等の充填剤などの各種添加剤を使用することができる。
【0018】
ポリウレタンプレポリマ−の調製にあたっては、ポリオ−ルとポリイソシアネ−トとから得られたポリウレタンプレポリマ−に、上記触媒、安定剤、各種添加剤を加えればよいが、上記ポリウレタンプレポリマ−を製造する際にポリオ−ル、ポリイソシアネ−トと共に、あらかじめ触媒、安定剤、塩化カルシウム、各種添加剤の一部または全量を加えておいてもよい。また、塩化カルシウムは、基材にポリウレタンプレポリマ−を塗布後に振りかけて付着させるようにすることもできる。
【0019】
上記基材にポリウレタンプレポリマ−を保持させるには、従来公知の方法でよく、例えば低湿度に調整された室内でポリウレタンプレポリマ−をロ−ルによって基材に塗布する方法を用いることができる。得られたものを保存するには、湿気を遮断できる容器内に密封するとよい。
【0020】
上記水硬化性樹脂を保持させた基材は、一枚で使用することもできるが、通例、適用部位に応じた強度が得られるように複数枚を重ねて支持材にするとよい。上肢など余り強い作用が加わらない場合には少ない枚数でよいが、下肢用などには枚数を増やすとよい。基材にガラス繊維で形成した織布を使用する場合には、約2〜15枚程度の範囲内で選ばれ、汎用品としては約4〜8枚程度重ねたもので支持材にするとよいことが多い。
【0021】
上記支持材2の上にはカバ−材5を掛け、上記当接材1とによって支持材2を包むようにしている。
このカバ−材は、支持材の水硬化性樹脂と非反応性であり、樹脂が透過しないようなものが好ましく、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維その他で形成した不織布やこれらの積層体、ポリエステル、ポリプロピレンその他のフイルムやシ−ト、ポリウレタン、ポリアミドなどで形成した織物、編物、不織布など、及び上記のものを適宜に組合せてもよい。このカバ−材は上記当接材で挙げたような厚味のあるものである必要はないが、同様に厚味の厚いものも使用することができる。また、織物、編物、不織布などでは、シリコ−ン、ポリテトラフロロエタンなどによって撥水処理をするとよく、片面処理する場合には処理面側を支持材側にしている。
【0022】
上記支持材2を包んでいる当接材1とカバ−材5は、支持材2が露出できるように開閉可能にされている。図示するものは、帯状の当接材1の一辺とカバ−材5の一辺を縫付け6、両材1、5の間に一周り小さい支持材2を挿し入れており、当接材1の他辺には、両面粘着テ−プ7が貼付してあり、その表面を剥離紙8で覆っていて、当接材とカバ−材で支持材を包んでいる(図1、図2)。上記カバ−材は、当接材に縫い付けることなく、カバ−材の両縁が当接材の裏面側に達するようにして包んだ状態にしてもよい。こうしたスプリント材10は、気密性の袋(図示略)などに密封して保存することができる。
【0023】
これを使用する場合、気密袋からスプリント材10を取出し(図3・イ)、カバ−材5を開くと当接材1の上に載った状態で支持材2が露出されるので(図3・ロ)、支持材2の上に均一的に水を噴霧11する(図3・ハ)。噴霧された水は支持材の基材3の開口を通じて浸透して行き、水硬化性樹脂の硬化が始まる。次に、開いたカバ−材5を閉じて剥離紙8を取除き(図3・ニ)、カバ−材5の他辺を両面粘着テ−プ7に貼着して支持材2を当接材1とカバ−材5によって包む(図3・ホ)。
【0024】
こうして水硬化樹脂を保持した支持材2に直接的に水を供給したスプリント材10は、当接材1側を患部に当てて沿わせるようにし、弾性包帯等を巻いて固定しておくと、水硬化性樹脂の硬化反応が進行して全体が硬化して行く。硬化が終われば、包帯等を外して成形されたスプリントを得ることができる。こうして出来上ったスプリントは骨折等した患部に当て、包帯等を巻いて取付ければ、患部を確実に固定、支持し、保護することができる。
【0025】
上記した支持材に噴霧等によって供給する水に界面活性剤を加えておくと、樹脂に対する水の浸透が良くなるので好ましいことが多い。この界面活性剤としては、非イオン系、アニオン系、カチオン系、両性系界面活性剤のいずれも使用可能であるが、皮膚刺激性の低いものが望ましい。
上記したものでは、カバ−材5を開いて支持材2を露出させ、この支持材に水を噴霧するようにしたが、当接材1の方を開いて水を供給するようにすることもできる。また、上記両面粘着テ−プ7はカバ−材5の方に設けてもよい。
【0026】
図4に示すものは、カバ−材5として織布、編物、不織布などで、比較的薄くて、水硬化性樹脂が透過するおそれがあるような場合等に特に好ましいものであり、支持材2とカバ−材5の間に、カバ−材へ樹脂が浸透して行くのを防ぐバリア−材9を介在させたものである。このバリア−材9としては、プラスチックフイルムなどを用いることができる。
【0027】
これを使用する場合、上記と同様に密封袋からスプリント材10を取出し(図5・イ)、カバ−材5を開いてからバリア−材9を取除くと(図5・ロ)、支持材2が露出されるので(図5・ハ)、支持材2の上に均一的に水を噴霧11し(図5・ニ)、以下は上記したものと同様にして使用する(図5・ホ・ヘ)。
上記バリア−材9は、水硬化性樹脂を保持している支持材2よりも大きく形成することにより、バリア−材9を取除くときに樹脂に触れることなく素手で取扱うことができる。
【0028】
また、上記バリア−材9に撥水処理をした不織布、織布などの通気性を持っているものを使用すれば、上記カバ−材と共にバリア−材を開けて支持材に水を噴霧し、バリア−材とカバ−材を共に閉じ、バリア−材を支持材とカバ−材の間に介在させて残したままの状態で使用することもできる。
【0029】
図6に示すものは、当接材1と支持材2の間にインサ−ト材12を介在させたものである。上記ポリウレタンプレポリマ−の水硬化性樹脂は、水を噴霧すると硬化を開始するが、その際同時に発熱反応も併うので、患部に接する当接材1が薄くて充分な断熱性が得らない場合には、断熱性を有する材料を使用するとよい。また、当接材が吸水性の強いものである場合には、防水性を有すると共に樹脂の浸透を防止する材料を使用したりすることができる。
上記当接材に薄いものを使用した場合に、このインサ−ト材の厚味を厚くし、これによって患部に対する緩衝性を得るようにすることができる。
更に、このインサ−ト材12は、上記したバリア−材9と併用し、上記支持材2を両側から挟むようにすることもできる。
【0030】
上記したものは、当接材1の一辺とカバ−材5の一辺を縫付部6によって一体的にしているが、接着剤で接着したり、溶着したり、粘着テ−プその他の手段によって一体的にすることもできる。また、当接材1とカバ−材5の他辺側に位置する封止用の上記両面粘着テ−プ7の代りに面ファスナ−、クリップその他の固定手段によって封止することができる。さらに、このスプリント材は長い帯状に形成しておき、適用する患部の部位に応じて必要な長さにカットして使用するようにしてもよい。
【0031】
【実施例】
実施例、比較例を作成するために、当接材として、
(1) ポリエステル繊維を使用した不織布で厚さが 2.0mm、目付量200g/m2のものと、
(2) 同じく厚さが 3.0mm、目付量250g/m2のものを用意した。
次に、カバ−材として、
(3) ポリエステル繊維を使用した不織布で厚さが 1.0mm、目付量 80g/m2のものと、
(4) 同じく厚さが 1.5mm、目付量150g/m2のものを用意した。
バリア−材には、ポリエチレンフイルムで厚さ75μmのもの(スズロンL−140・アイセロ化学(株)製)を用意した。
インサ−ト材にはエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)のフォ−ムシ−トで、比重が 0.33 、厚さが 1.5mmのもの(ミツフクフォ−ムVA−3061・ミツフク(株)製)を用意した。
【0032】
支持材には、
(5) ガラス繊維を編んで開口数23個/cm2、開口率22%とした基布に、下記水硬化性ウレタン樹脂(プレポリマ−)を220g/m2の割合で塗布、付着させ、これを7枚重ねたものを用意した。
(6) 同じく開口数8個/cm2、開口率50%の基布に、同じ量の水硬化性ウレタン樹脂を塗布、付着させ、同様に7枚重ねたものを用意した。
上記水硬化性ウレタン樹脂に使用する原料は、図7に示すものを使用し、その配合処方は図8に記載した。
【0033】
(実施例1)
上記当接材(2)とカバ−材(4)を重ね、幅12cm、長さ50cmとなるように長手方向の一側を溶融切断する。この当接材とカバ−材の間に、水硬化性ウレタン樹脂(7)を使用した支持材(5)を幅10cm、長さ50cmにしたものを挿入し、当接材の溶融切断側とは反対側に沿って幅10mmで片面に剥離紙が付いた両面粘着テ−プを貼り付ける。こうしたものを湿気不透過性のアルミニュ−ムラミネ−ト包装袋に窒素封入して密封する。
【0034】
実施例2、実施例3、比較例1も同様にして図9に示す構成によりスプリント材を形成した。
上記実施例2におけるインサ−ト材、実施例3におけるバリア−材は、上記したものを幅11cm、長さ50cmにして、上記支持材に重なるように当接材とカバ−材の間に挿入した。
【0035】
(試験)
上記各実施例、比較例のものを作成7日後に、包装袋から取出し、カバ−材を開き、バリアー材のあるものはこれを除き、支持材を露出させた。該支持材の表面に、アニオン系界面活性剤(サンデットET・三洋化成工業(株)製)を1wt%含有する水15gを均一状態に噴霧する。当接材の両面粘着テ−プの剥離紙を除き、カバ−材を閉じて両面粘着テ−プをカバ−材に貼付ける。こうしたスプリント材を当接材側から上腕部に適用し、上から弾性包帯を巻付けて固定する。
上記スプリント材を上腕部に適用したときに、皮膚に対してスプリント材からの濡れがあるか否か(適用時の濡れ性)、及び10分後に荷重負荷が可能であるか否かの硬化性(10分後の硬化性)について確認した。
その結果を図9の下方部に示す。
【0036】
(支持材の試験)
上記した基材に水硬化性ウレタン樹脂を保持させた支持材の特性について試験を行った。
支持材の実例と対照例の構成は図10に示すとおりであり、この幅10cm×長さ50cmで7層に重ねた支持材に、上記界面活性剤を1%含有する水15gを均一に噴霧し、その上に幅15cm×長さ55cm×厚さ1cmのガラス板を載せて3分間保持し、その後、支点間距離10cm、試験速度 100cm/min の条件でオ−トグラフにより3点曲げ試験を行い、2mm変位したときの強度を、上記水の噴霧後7分、同10分の時点で初期硬化性を測定した。
また、上記水を噴霧し、24時間後(1日後)の圧縮強度を測定した。
上記各測定値は図10の下方部に示すとおりである。
【0037】
(試験結果)
実施例1〜3のものはいずれも、スプリント材から患部の皮膚表面に対する適用時の濡れが見られず、水を噴霧して10分後には荷重を掛けても変形が見られず、適切なものであることが判る。
比較例1のものは、水硬化性ウレタン樹脂のEO含有量が少く、噴霧後10分では充分に硬化しておらず、荷重を掛けると変形するので、荷重をかけることができない。
【0038】
(支持材の試験結果)
支持材の実例1は、実施例2に使用されている支持材である。10分後の初期硬化性は約69N以上が好ましいと考えられており、実例1ではこれを充分に満足している。実例2は、水硬化性ウレタン樹脂(8)を使用したものであり、実例1に比べて初期硬化性の数値が低いが、使用に適するものとなっている。対照例1は、上記比較例1に使用されている支持材であり、また対照例2は支持材(5)を使用したものであるが、いずれも水硬化性ウレタン樹脂のEO含量が少く、充分な初期硬化性が得られていない。1日(24時間)後の圧縮強度については、実例は好適であるが、対照例も294kfg 以上の数値であって一応必要な強度が得られている。
【0039】
【発明の効果】
本発明は上記したように、水硬化性樹脂を保持している支持材に直接的に水を噴霧し、この支持材を当接材とカバ−材によって包み込むようにするので、そのまま当接材を患部側に当てがうようにすることができる。そして、この当接材も乾燥状態にあるので、皮膚表面がむれたり、ふやけたりすることもなく、表面に傷を負っているような場合にも安全に使用することができる。上記支持材には水を直接に噴霧することで、水硬化性樹脂の硬化を確実に行うことができ、支持材は当接材とカバ−材によって包まれているので、このスプリント材を使用する場合に、手袋を嵌めることなく素手で取扱うことができて、操作も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す斜視図である。
【図2】図1のカバ−材を閉じたときの拡大横断面図である。
【図3】図1の使用状態を示す説明図である。
【図4】他の実施例を示す斜視図である。
【図5】図4の使用状態を示す説明図である。
【図6】更に他の実施例を示す斜視図である。
【図7】実施例および比較例の水硬化性ウレタン樹脂の組成物に使用した原料を示す図表である。
【図8】実施例および比較例の水硬化性ウレタン樹脂の組成物の配合組成を示す図表である。
【図9】実施例および比較例の構成および硬化性等の試験の結果を示す図表である。
【図10】支持材の実例および対照例の初期硬化性等の試験の結果を示す図表である。
【符号の説明】
1 当接材
2 支持材
3 基材
4 水硬化性樹脂
5 カバ−材
6 縫付部
7 両面粘着テ−プ
8 剥離紙
9 バリア−材
10 スプリント材
12 インサ−ト材
Claims (5)
- 患部側に当接して緩衝作用を有すると共に下記支持材が保持する水硬化性樹脂が透過しないような材料で形成した当接材と、該当接材の上に載置され水を噴霧により供給することによって硬化して患部を固定することができるように基材に水硬化性樹脂を保持させた支持材と、該支持材を上記当接材とによって包むことができるように上記支持材が保持する水硬化性樹脂が透過しないような材料で形成したカバー材を備え、上記当接材とカバー材はその一側で固定することによって上記支持材に対して水を噴霧するための開放状態を作ることができるように開閉可能とし、上記当接材とカバー材の他側では上記支持材を包んだ状態に固定できるような固定手段を形成したスプリント材。
- 上記当接材とカバー材を固定する固定手段は、上記他側に貼着された剥離紙が仮着されている両面粘着テープである請求項1に記載のスプリント材。
- 上記支持材とカバー材の間に水硬化性樹脂を透過させないプラスチックフイルム製のバリアー材を取外し可能に介在させた請求項1又は2に記載のスプリント材。
- 上記当接材と支持材の間に更にインサート材を介在させた請求項1〜3のいずれかに記載のスプリント材。
- 上記支持材の水硬化性樹脂を保持している基材は、1cm2当たり15〜35個の開口を有し、開口率が12〜48%である請求項1〜4のいずれかに記載のスプリント材。
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