JP3932412B2 - マスカラ等の塗布具 - Google Patents
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そのため、現在市販されているマスカラブラシの多くは、ブラシ軸を中心にして放射状に直線状の硬いブラシ毛を植毛したタイプのものである。このタイプのブラシは、ブラシ軸からブラシ毛の先端に向って、ブラシ毛とブラシ毛の間隔が開いた形となっており、タワシやビンの内側を洗浄するブラシと同様に、マスカラ墨などの液体の保持性が悪く、更にはブラシの使用方法によってブラシ毛の先端が一度睫に付けたマスカラ墨を引っ掻き、睫でマスカラ墨がダマになりやすいなどの問題を生じていた。
上記のことから、塗布部が単に平面的な円弧状のブラシでは均一な塗布が難しいため、立体形状の睫に容易に塗布できる塗布具が望まれている。
本発明のマスカラ等の塗布具は、塗布部を3次元の空間曲線状にしたことを特徴とするものである。
3次元の空間曲線状とは、好ましくは、塗布部の形状が塗布部の長さ方向に対して、緩やかな螺旋形状、より好ましくは半螺旋形状のものである。
更に本発明は、輪状のブラシ毛の2以上を対ないしは組として輪面を対向させてブラシ軸上に配置してマスカラ墨等の液体のブラシへの保持量を改善したブラシである。
ブラシ毛を円又は楕円等の輪状のものとしたとき、ブラシ毛の輪が睫にあたるため従来の針状のブラシ毛のようにブラシ毛の先端で睫を強く擦ることがなく、輪状のブラシ毛の外側で睫の上のマスカラ墨に圧力をかけて、マスカラ墨を睫に押さえ付けて接着し、大量のマスカラ墨を睫に塗ることができる。マスカラ墨を睫に載せやすくしたことで、現在マスカラの市場トレンドのボリューム、ロングおよびカールを簡単にして、マスカラ墨を睫に塗布できる。
塗布部は、ブラシ軸にはブラシ毛を設けたもののほかに、塗布部材としてスポンジ状のゴム又はプラスチック、不織布、綿塊などの繊維の塊で作られたもの、及びこれらの類似品などで構成しても良い。
ブラシ軸は、プラスチックや金属の細い棒や線(ワイヤー)で構成されるが、ブラシ軸を三次元の曲線状に加工することや、ブラシ毛を挟んで捻ることでブラシ毛を固定することから、好ましくは針金などの金属線が用いられる。これらの軸部材は特に限定されないが、ステンレススチール線の場合、0.05〜2mm程度、好ましくは0.3〜1mm程度の太さのものを2〜4本撚りあわせてブラシ毛を軸とすると良い。
塗布部の長さは特に限定されないが、マスカラブラシの場合には、15〜40mm程度、好ましくは15〜35mm、より好ましくは15〜30mm程度とすると良く、螺旋の径としては、ブラシ軸の中心点が描く螺旋形状の径として、2〜10mm程度、好ましくは4〜8mm、より好ましくは6〜8mm程度とすると良い。
塗布部を支持する塗布棒はこの種のブラシで通常用いられているものが使用される。
輪状のブラシ毛を用いたブラシとしては下記のものがある。
円又は楕円等の輪状のブラシ毛を作り、ブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、ブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにしてブラシ毛をブラシ軸に植毛し、ブラシ毛を植毛したブラシ軸を空間曲線状にして、ブラシの塗布部を空間曲線状にしたことを特徴とするマスカラ等のブラシ。
輪状のブラシ毛のブラシ軸への植毛方法については種々の方法があるが、一例としてはステンレス線等の軸部材に予め輪状に作成したブラシ毛を適当な間隔で所要数配列し、このようにした軸部材を2〜3本撚りあわせることによって作成しても良い。
輪状のブラシ毛は、弾力性又は保形性のあるプラスチック繊維、合成繊維、金属線を輪状にブラシ軸に植毛するか、プラスチックフィルムや金属箔から輪状に作成したものを用いても良い。ブラシ毛の長さ、輪状のブラシ毛の輪の軸からの高さ等は、通常マスカラブラシで用いられて範囲で用いることができ、2〜10mmの範囲で選択使用される。
参考例1
図1において、図1(B)に示すような平面曲線の円の輪状のブラシ毛Aを耐熱性のあるプラスチックで作り、熱可塑性プラスチックで細い棒状のブラシ軸Pを作り、ブラシ毛Aの平面曲線の面がブラシ軸Pの長手方向に対して90°になるようにしてブラシ毛Aをブラシ軸Pに植毛してブラシの塗布部を作成した(図1(A))。このようにして作成した塗布部を加熱してブラシ軸を三次元の曲線状に加工し、塗布棒(柄)を付けてマスカラ等のブラシとした。
図2において、ポリアミド系の合成高分子化合物でブラシ毛Bを作り、空間曲線の円の輪状のブラシ毛Bを作り、合成樹脂でブラシ軸Pを作り、ブラシ毛Bの空間曲線の面がブラシ軸Pの長手方向に対して直角にして(ブラシ毛Bの空間曲線の面がブラシ軸Pの長手方向に対して90°になるようにして)、ブラシ毛Bをブラシ軸Pに植毛した塗布部を作成した。得られた塗布部を参考例1と同様に加工してマスカラ等のブラシを得た。
図3において、平面曲線の楕円の輪状のブラシ毛Cを作り、高分子化合物でブラシ毛Cを作り、高分子化合物でブラシ軸Pを作り、ブラシ毛Cの平面曲線の面がブラシ軸Pの長手方向に対して45°になるようにして、ブラシ毛Cをブラシ軸Pに植毛してブラシの塗布部を作った。以下参考例1と同様にしてマスカラ等のブラシを得た。
図4において、平面曲線の円又は楕円等の輪状の第一のブラシ毛Dを作り、第一のブラシ毛Dの内側に平面曲線の円又は楕円等の輪状の第二のブラシ毛Eを作り、合成ゴムで第一のブラシ毛Dおよび第二のブラシ毛Eを作り、第一のブラシ毛Dと第二のブラシ毛Eとを同一平面に組み合わせ、合成ゴムでブラシ軸Pを作り、第一のブラシ毛Dと第二のブラシ毛Eとの平面曲線の面がブラシ軸Pの長手方向に対して80°になるようにして、第一のブラシ毛Dと第二のブラシ毛Eとをブラシ軸Pに植毛してブラシの塗布部を作成した。本例の場合、ブラシ軸Pとして金属線を用い三次元の曲線状に加工し、塗布棒(柄)を付けて本発明のマスカラ等のブラシとした。
図5において、空間曲線の円又は楕円等の輪状のブラシ毛Fを作り、ステンレス針金でブラシ毛Fを作り、ステンレス針金でブラシ軸Pを作り、輪状のブラシ毛Fの一部を変形してブラシ毛Fの空間曲線の面がブラシ軸Pの長手方向に対して85°になるようにして、ブラシ毛Fをブラシ軸Pに植毛した。以下、参考例4と同様にしてマスカラ等のブラシを得た。
図6において、平面曲線の円又は楕円等の輪状のブラシ毛Fを作り、ナイロンでブラシ毛Fを作り、プラスチックでブラシ軸Pを作り、輪状のブラシ毛Fの一部を変形して、ブラシ毛Fの平面曲線の面がブラシ軸Pの長手方向に対して85°になるようにして、ブラシ毛Fをブラシ軸Pに植毛し、ナイロンで真っ直ぐなブラシ毛Gを作り、複数の真っ直ぐなブラシ毛Gをブラシ軸Pに植毛して塗布部を作成した。この塗布部を参考例1と同様に処理してマスカラ等のブラシを得た。
図7において、平面曲線の円又は楕円等の輪状の第一のブラシ毛Dを作り、第一のブラシ毛Dの内側に平面曲線の円又は楕円等の輪状の第二のブラシ毛Eを作り、金属線で第一のブラシ毛Dおよび第二のブラシ毛Eを作り、金属線でブラシ軸Pを作り、第一のブラシ毛Dと第二のブラシ毛Eとを同一平面に組み合わせ、第一のブラシ毛Dと第二のブラシ毛Eとの平面曲線の面がブラシ軸Pの長手方向に対して80°になるようにして、第一のブラシ毛Dと第二のブラシ毛Eとをブラシ軸Pに植毛し、金属線で真っ直ぐなブラシ毛Hを作り、複数の真っ直ぐなブラシ毛Hをブラシ軸Pに植毛して塗布部を作った。以下、参考例4と同様にしてマスカラ等のブラシとした。
図8(A)及び図9(A)は本発明の実施例のブラシの側面図で、図8(B)及び図9(B)は前記(A)のブラシの塗布棒Kをその長手軸を中心に90°回転させた(図中の矢印方向に回転させた)ブラシの側面図を示す。図8はブラシ軸Pが塗布棒Kに付いた状態を示し、図9はブラシ軸Pにブラシ毛Jが植毛されたブラシの形状を示す。
図10は塗布部の螺旋形状を説明するための模式図である。中心線Yに対して塗布部Tが螺旋形状となっている状態を示す。螺旋の曲率は塗布部の全長において均等とし、途中で他と異なる曲率にはならないものとする。図中、Kは塗布棒、K1は図示しないブラシケースのキャップを兼ねた把手を示す。
本発明は更に、ブラシ毛を2次元の平面曲線または3次元の空間曲線の輪状とし、ブラシ毛の植毛状態を特殊な配置とすることによって、ブラシのマスカラ墨の保持性(保液性)も良く、一度の塗布で所望の量のマスカラ墨を転写できるほか、睫に当るのはブラシ毛の輪の部分であるため睫を損なうこともなく、マスカラ墨の睫への載りが数段と良くなり、現在マスカラの市場トレンドのボリューム、ロングおよびカールが数段と良くなるなど多くの利点を有する。
本発明はマスカラブラシを主体に説明したが、マスカラブラシに限定されることなく種々の用途のブラシに利用することができる。
G,H:真っ直ぐなブラシ毛
P:マスカラのブラシ軸
J:ブラシ毛の塗布部
K:塗布棒
M:マスカラ墨
Claims (6)
- 円又は楕円等の輪状の第一のブラシ毛を作り、この第一のブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、第一のブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°のいずれかの角度になるようにして第一のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、第一のブラシ毛と同様にして円又は楕円等の輪状の第二のブラシ毛を作り、第一のブラシ毛をブラシ軸に植毛した内側に第二のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、且つ第二のブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°のいずれかの角度になるようにして第二のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、複数の真っ直ぐなブラシ毛をブラシ軸に植毛し、これらのブラシ毛を植毛したブラシ軸を空間曲線状にしてブラシの塗布部を空間曲線状にしたことを特徴とするマスカラ等のブラシ。
- 2又は3個の円又は楕円等の輪状のブラシ毛をブラシ軸上の同じ箇所から角度を変えてブラシ軸に設けて、該ブラシ毛の輪面と輪面の間にマスカラ墨等の液体を保持できるようにしたことを特徴とする請求項1記載のマスカラ等のブラシ。
- 円又は楕円等の輪状のブラシ毛を作り、このブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、ブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°のいずれかの角度になるようにしてブラシ毛をブラシ軸に植毛し、ブラシ毛を植毛したブラシ軸を空間曲線状にして、ブラシの塗布部を空間曲線状にしたブラシであって、この円又は楕円等の輪状のブラシ毛の2又は3個をブラシ軸上の同じ箇所から角度を変えてブラシ軸に設けて、該ブラシ毛の輪面と輪面の間にマスカラ墨等の液体を保持できるようにしたことを特徴とするマスカラ等のブラシ。
- 円又は楕円等の輪状の第一のブラシ毛を作り、この第一のブラシ毛のブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、第一のブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°のいずれかの角度になるようにして第一のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、第一のブラシ毛の内側に第一のブラシ毛と同様にして円又は楕円等の輪状の第二のブラシ毛を作り、第一のブラシ毛をブラシ軸に植毛した内側に第二のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、且つ第二のブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°のいずれかの角度になるようにして第二のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、ブラシ毛を植毛したブラシ軸を空間曲線状にしてブラシの塗布部を空間曲線状にしたブラシであって、上記第一と第二のブラシ毛からなる円又は楕円等の輪状のブラシ毛の2又は3個をブラシ軸上の同じ箇所から角度を変えてブラシ軸に設けて、該ブラシ毛の輪面と輪面の間にマスカラ墨等の液体を保持できるようにしたことを特徴とするマスカラ等のブラシ。
- 円又は楕円等の輪状のブラシ毛を作り、このブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、ブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°のいずれかの角度になるようにしてブラシ毛をブラシ軸に植毛し、且つ、複数の真っ直ぐなブラシ毛をブラシ軸に植毛し、ブラシ毛を植毛したブラシ軸を空間曲線状にしてブラシの塗布部を空間曲線状にしたブラシであって、この円又は楕円等の輪状のブラシ毛の2又は3個をブラシ軸上の同じ箇所から角度を変えてブラシ軸に設けて、該ブラシ毛の輪面と輪面の間にマスカラ墨等の液体を保持できるようにしたことを特徴とするマスカラ等のブラシ。
- 円又は楕円等の輪状のブラシ毛を植設してなるブラシであって、2又は3個の円又は楕円等の輪状のブラシ毛をブラシ軸上の同じ箇所から角度を変えてブラシ軸に設けて、該ブラシ毛の輪面と輪面の間にマスカラ墨等の液体を保持できるようにしたことを特徴とするマスカラ等のブラシ。
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