JP3932364B2 - 熱放射源 - Google Patents

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本発明は、熱放射源に係るものであり、更に詳しくは、高効率の加熱を可能とする、波長選択型熱放射材料を用いた暖房加熱装置に関するものである。
本発明は、波長選択型熱放射材料を用いた暖房加熱装置の技術分野において、動作中であるかどうかを容易に識別することを可能とし、また、分光放射率の波長選択性を制御することにより、熱放射面の温度が必要以上に高温となることを抑制することを可能とすることで、安全性及びエネルギー効率を著しく高めることを実現化した、高温状態の赤外線を高波長選択性及び高放射率で放射する熱放射体を利用した新しいタイプの暖房加熱装置を提供するものとして有用である。
一般に、暖房装置は、主に、赤外光の放射による放射型暖房装置、温風の強制循環による温風型暖房装置、及びこれらの両者を利用した対流型暖房装置に分類することができる。また、工場や農場における加熱装置や木材等の乾燥を目的とした加熱装置も、高温物体を目的物に密着させる方法を除いて、原理的に暖房装置の場合と同様であり、放射型、温風型、及び対流型に分類することができる。更に、放射型の一種として、熱放射源を小さくし、パラボラ状の反射板を用いて、熱放射をある一定の方向だけに集中させ、局所的に必要な部分だけを暖房加熱する装置がある。これらのうち、放射型や熱放射を用いる対流型の暖房加熱装置においては、耐熱性と高い赤外放射率が必要とされることから、高温状態で赤外光を放射する熱放射材料として、耐熱性ガラス又はセラミックスが用いられてきた。
一方、地球上の空気は、一般に、赤外光を吸収するが、「大気の窓」と呼ばれる8〜13μmの波長範囲では、赤外光の透過率が高いことが知られている(非特許文献1参照)。また、「大気の窓」以外の波長領域における空気による赤外光の吸収率は、通常の赤外分光光度計を用いて測定することができ、実際に測定したところによれば、湿度30%の時の吸収係数は約1m-1であった。従って、この場合には、約3m以上の距離には「大気の窓」領域以外の赤外光の大部分は到達せず、空気に吸収されることになる。
上記耐熱ガラスやセラミックスを用いた従来の放射型暖房加熱装置や対流型暖房加熱装置の熱放射材料は、近赤外領域から遠赤外領域にわたる広い範囲の赤外光を無選択に放射する。従って、「大気の窓」以外の波長領域では、加熱対象物までの距離に依存して、赤外光の一部を空気が吸収し、更に、間接的に空気から暖房すべき人体もしくは物体に熱を供給し、暖房加熱を実現し、また、「大気の窓」の波長領域では、熱放射材料からの放射を直接人体等が受けて暖房加熱を実現している。従って、パラボラ状の反射板を用いた方向性を重視した暖房加熱装置であっても、近距離であれば、赤外放射を直接受けることによる暖房効果が大部分を占めるが、ある程度の距離がある場合には、暖房加熱装置から人体等の加熱対象物に達する赤外光は、熱放射材料が放射した赤外光の一部だけとなってしまうという問題がある。
これらの問題を解決するための新しい熱放射材料として、金属基板上に一酸化珪素膜等を形成してなる波長選択型熱放射材料が知られており、この材料は、大気が透明な「大気の窓」領域である8〜13μm程度の波長範囲の赤外光を選択的に放射する材料であり、この波長選択型熱放射材料を使用することで、遠距離にある加熱対象物にも効率的に赤外光を照射することが可能となる。
日本太陽エネルギー学会編、太陽エネルギー利用ハンドブック(1985)、p.45
しかしながら、波長選択型熱放射材料は、可視光線を透過せず、また、熱放射時であっても可視光をほとんど放射しないため、不透明であり、熱放射材料が高温状態にあるかどうか、すなわち、暖房加熱装置が動作中であるかどうか、使用者が容易に知ることができず、火傷等の危険があり、安全性の面で不十分であるという問題がある。また、赤外光を無選択に放射する材料と波長選択型熱放射材料に同じ電力を投入した場合、波長選択型熱放射材料の方がはるかに高温となり、そのため、熱放射面の温度が過度に上昇し、人体等が誤って接触した場合に火傷の危険性がより大きいという問題がある。以上より、波長選択型熱放射材料が使われていても、例えば、熱放射材料が動作状態にあるかどうかが一見して判別できる暖房加熱装置、赤外光を無選択に放射する従来型の熱放射材料と比較しても火傷等の危険性が著しく増大することのない波長選択型熱放射材料及び暖房加熱装置が開発できれば、波長選択型熱放射材料の上記諸問題を抜本的に解消することが可能である。
そこで、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、波長選択型熱放射材料を使用し、熱放射材料が高温状態にあるかどうかを容易に識別でき、かつ従来型と比較しても火傷等の危険性が著しく増大することのない暖房加熱装置を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、波長選択型熱放射材料の膜部分の形成方式を変えた暖房加熱装置、及び膜の厚さを調整して分光放射率の波長選択性を制御した暖房加熱装置及び波長選択型熱放射材料を開発することに成功し、本発明を完成した。
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、動作中であるかどうかを容易に識別できるようにした、波長選択型熱放射材料を用いた暖房加熱装置及びこれに使用される波長選択型熱放射材料、及び過度な温度上昇により火傷等の危険性が著しく増大することを防止した暖房加熱装置及びこれに使用される波長選択型熱放射材料を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決する本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)特定の波長領域で高い放射率を有する波長選択型熱放射材料を用いた暖房加熱装置において、該加熱装置が動作中であるかどうかが容易に識別できると共に、熱放射面の温度が過度に上昇することを抑制できるようにした暖房加熱装置であって、1)熱放射体の表面にその一部の領域を残して上記波長選択型熱放射材料の膜を形成したこと、2)形成された上記波長選択型熱放射材料の膜の膜厚を調整することによって、該熱放射材料の分光放射率の波長選択性を制御したこと、を特徴とする暖房加熱装置。
(2)上記波長選択型熱放射材料の膜が、金属基体上に形成した一酸化珪素膜から構成されることを特徴とする、前記(1)記載の暖房加熱装置。
(3)上記波長選択型熱放射材料の一酸化珪素膜の膜厚が、0.5〜2.0μmの範囲で調整されていることを特徴とする、前記(2)記載の暖房加熱装置。
(4)上記波長選択型熱放射材料の膜を、熱放射体の表面に堆積させた耐熱性金属基体上に形成したことを特徴とする、前記(1)又は(2)記載の暖房加熱装置。
(5)上記波長選択型熱放射材料の分光放射率の波長選択性を下げることにより、熱放射面の温度が必要以上に高温となることを抑制したことを特徴とする、前記(1)から(4)のいずれかに記載の暖房加熱装置。
(6)複数の熱放射体の一部の熱放射体の表面に上記波長選択型熱放射材料の膜を形成したことを特徴とする、前記(1)記載の暖房加熱装置。
(7)電気ストーブの熱放射体の表面に上記波長選択型熱放射材料の膜を形成したことを特徴とする、前記(1)記載の暖房加熱装置。
(8)耐熱ガラス基板上に、アルミニウムと一酸化珪素を真空蒸着することにより上記波長選択型熱放射材料の膜を形成したことを特徴とする、前記(1)記載の暖房加熱装置。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
従来、例えば、波長選択型熱放射材料を使用した電気ストーブにおいて、その熱放射源の表面に形成した熱放射体、すなわち、熱放射材料は不透明であり、通電した場合に、該熱放射体が通電加熱状態にあることを目視により確認することが困難であったこと、また、熱放射面の温度が必要以上に高温に昇温することを防ぐことができなかったことから、安全性及びエネルギー効率の点で、波長選択型放射材料を電気ストーブ等に適用することが難しいという問題があった。本発明は、これらの問題を抜本的に解消することを可能とするものである。
本発明において、波長選択型熱放射材料としては、上記のように、「大気の窓」の波長領域で高い放射率を与え、それ以外の波長領域では低い放射率を与える波長選択型熱放射材料が用いられる。この波長選択型熱放射材料は、基本的には、金属基体を堆積させたガラス等の基板上に一酸化珪素膜を形成して使用されるが、上記一酸化珪素膜は、「大気の窓」の波長領域内で高い放射率を与え、それ以外の波長領域では放射率が低いものであれば、純粋な一酸化珪素膜に限定するものではなく、他物質と混合したものでも良い。また、上記金属基体としては、赤外領域で反射率が高く、高温に耐えるものであれば、どのような材質でも良いが、好適には、例えば、アルミニウム、銀等が例示される。
本発明において、波長選択型熱放射材料としては、上記したように、好適には、例えば、耐熱性金属基体上に一酸化珪素膜を形成したものが例示されるが、これらと同効のものであれば同様に使用することができる。本発明は、これらの熱放射材料自体に特徴を有するというものではなく、これらの熱放射材料を使用して、例えば、電気ストーブの熱放射体を作製する場合の新技術を提供する点にその特徴を有するものである。
本発明において、上記金属基体及び一酸化珪素膜の形成方法については、スパッタリング法やその他の公知の方法を用いることができ、特に限定されるものではない。また、上記ガラス等の基板としては、形状や寸法等についても特に限定されるものではなく、任意の形態に構成することができる。また、一酸化珪素膜を形成した後の最上面に、赤外領域で透過性の塗装を設け、その意匠性を向上させたり、物理的な保護効果を保有させるようにしても良い。本発明で用いる波長選択型熱放射材料は、8〜13μmの波長領域で特異的に高い放射率を有し、人体等の暖房を目的とした熱放射材料、また、ホール、工場、農場等の大空間における暖房、加熱を目的とした熱放射材料等として有用であるが、これに限らず、同様の目的で適宜使用される。
本発明では、好適には、例えば、ニクロム線等の電気抵抗加熱による熱源をガラス等で包んだものの上に波長選択型熱放射材料の膜を形成するが、この場合、熱放射体の表面にその一部の領域を残して上記膜を形成し、この一部の領域を通して灼熱したニクロム線等の灼熱光が目視できるようにする。膜の成分及び作製方法については、上記の通りであり、それらは、特に制限されるものではない。また、熱放射体の形状についても、例えば、板状、棒状、格子状でも良く、必要に応じて、例えば、裏面に反射板、パラボラ形状、凹面状の反射鏡等を用いても良い。膜が形成されない部分の形状についても、例えば、スリット状、長方形、正方形、円形、楕円形、格子状等、高温で灼熱している熱源が確認でき、しかも、波長選択型熱放射材料の所定の効果が得られるものであれば何でも良く、また、その数についても特に限定されるものではない。本発明は、暖房加熱装置及び熱放射体の形態、大きさ、種類等にかかわらず、上記熱放射体を有するすべての暖房加熱装置に適用される。
一酸化珪素膜の膜厚は、例えば、0.5〜1.5μm程度であるが、本発明においては、これに限らず、膜の厚さの調整を行い、これによって分光放射率の波長選択性の増減を制御することができる。また、ガラス等の基板上の金属基体の膜の膜厚を制御することによっても波長選択性の増減を制御することができる。 本発明では、波長選択型熱放射材料の膜を、例えば、耐熱ガラス製の管状の熱放射体の表面に、その全部の領域ではなく、一部の領域を残して形成することが重要である。それにより、熱放射体の一部の領域が赤色に光ることによって通電加熱状態にあることが目視により確認可能となり、また、波長選択型熱放射材料により、熱放射面の温度が必要以上に高温になることを抑制することができる。 この場合、波長選択型熱放射材料の膜の形成領域は、暖房加熱装置における熱放射体の形状、及び種類等に応じて、上記作用効果を十分に発揮されることを考慮して、任意に設計することができる。
本発明では、上記したように、上記波長選択型熱放射材料の膜の膜厚を調節することにより、分光放射率の波長選択性の増減を制御することが可能であり、例えば、上記熱放射材料の膜の膜厚を厚くすることにより、赤外反射率が低く、すなわち放射率が高くなり、その波長選択性を低くすることができ、それにより、熱放射面の温度が必要以上に高くなることを抑制することができる。本発明では、熱放射体における波長選択型熱放射材料の膜を形成する領域及び方式、この熱放射材料の膜の膜厚を調整することで、波長選択型熱放射材料を使用した熱放射体が通電加熱により高温状態にあることを目視により確認することを可能にし、また、熱放射面の温度が過度に昇温することを抑制することを可能にし、それにより、安全、かつ省エネルギーで、しかも、高い放射効率で、熱放射体による暖房加熱効果を得ることができる。本発明では、それらにより、波長選択型熱放射材料を使用して波長選択性を高め、安全性及びエネルギー効率を高めた新しいタイプの暖房加熱装置を提供することを実現する、という先行技術からは全く予期し得ない作用効果が奏される。
本発明により、1)動作中であるかどうかが容易に識別できる、波長選択型熱放射材料を用いた暖房加熱装置を提供することができる、2)上記熱放射材料の膜の膜厚を調整することで、分光放射率の波長選択性を制御することができる、3)それにより、熱放射面の温度が必要以上に高温となること、すなわち熱放射面の温度が過度に上昇することを抑制することができる、4)安全性及びエネルギー効率を高めた暖房加熱装置を提供することができる、5)高い加熱効率を有する波長選択型熱放射材料を用いた暖房加熱装置の実用化を実現することができる、という効果が奏される。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
耐熱ガラス製の管状の熱放射体が水平に高さを変えて平行に2本設置された電気ストーブの熱放射体の1本の表面に、アルミニウムと一酸化珪素を真空蒸着し、波長選択型熱放射材料とした。ただし、両端に何も蒸着しない部分を1cm程度ずつ残した(図1)。両方の熱放射体に通電したところ、波長選択型熱放射材料にしていない熱放射体は、全体が赤色に光ることによって通電加熱状態にあることが確認できた。一方、波長選択型熱放射材料の方も、ガラス管に何も蒸着していない部分が赤色に光ることによって通電加熱状態にあることを確認することができた。
比較例1
耐熱ガラス製の管状の熱放射体が水平に高さを変えて平行に2本設置された電気ストーブの熱放射体の1本の表面に、アルミニウムと一酸化珪素をその熱放射体全体に真空蒸着し、波長選択型熱放射材料とした。両方の熱放射体に通電したところ、波長選択型熱放射材料にしていない熱放射体は、全体が赤色に光ることによって通電加熱状態にあることが確認できた。一方、波長選択型熱放射材料の方は、通電加熱しても目視によっては、通電加熱による高温状態にあることが確認できなかった。
比較例2
ガラス基板上に、アルミニウムと一酸化珪素を真空蒸着し、アルミニウムを200nm、一酸化珪素を1μm堆積させた。この試料の赤外反射率を求めた結果、図2のようになり、8〜13μmの領域で特異的に反射率が低く、この試料が不透明であるために、この波長領域で吸収率、すなわち放射率が高いことがわかった。
ガラス基板上に、アルミニウムと一酸化珪素を真空蒸着し、アルミニウムを200nm、一酸化珪素を1.2μm堆積させた。この試料の赤外反射率を求めた結果、図3のようになり、8〜13μmの領域で特異的に反射率が低く、この試料が不透明であるために、この波長領域で吸収率、すなわち放射率が高いものの、15μm付近の波長領域でも、図2よりも反射率が低く、すなわち放射率が高くなっており、図2と比較すると、その波長選択性が低くなっていることがわかった。
ガラス基板上に、アルミニウムと一酸化珪素を真空蒸着し、アルミニウムを200nm、一酸化珪素を1.5μm堆積させた。この試料の赤外反射率を求めた結果、図4のようになり、8〜13μmの領域で特異的に反射率が低くなっているが、図2と図3ほどには低くなっていないことがわかった。また、15μm付近の波長領域でも、図2よりも反射率が低く、すなわち放射率が高くなっており、図2と比較すると、その波長選択性が低くなっていることがわかった。
直径5cmのガラス基板上に、アルミニウムを200nm、一酸化珪素膜を1.5μm真空蒸着し、試料とした。これの熱放射面以外を断熱材(ロックウール)で包み、基板背面からセラミックヒータによって20Wの熱エネルギーを投入した。熱放射面の温度を熱電対によって測定したところ、約220℃であり、一酸化珪素膜の膜厚を厚くすることによって、比較例(比較例3)と比べて、熱放射面の温度上昇を著しく抑制できることがわかった。
また、直径5cmのガラス基板上に耐熱性黒色ペンキを塗装し、試料とした。これの熱放射面以外を断熱材(ロックウール)で包み、基板背面からセラミックヒータによって20Wの熱エネルギーを投入した。熱放射面の温度を熱電対によって測定したところ、約200℃であった。
比較例3
直径5cmのガラス基板上に、アルミニウムを200nm、一酸化珪素膜を1μm真空蒸着し、試料とした。これの熱放射面以外を断熱材(ロックウール)で包み、基板背面からセラミックヒータによって20Wの熱エネルギーを投入した。熱放射面の温度を熱電対によって測定したところ、約250℃であった。
また、直径5cmのガラス基板上に、耐熱性黒色ペンキを塗装し、試料とした。これの熱放射面以外を断熱材(ロックウール)で包み、基板背面からセラミックヒータによって20Wの熱エネルギーを投入した。熱放射面の温度を熱電対によって測定したところ、約200℃であった。
一片1cmの正方形の5枚のガラス基板上に、スパッタリング法によって厚さ200nmのアルミニウム膜を作製し、更にそれぞれのアルミニウム膜上に、スパッタリング法によって一酸化珪素膜を100nm、250nm、500nm、1μm、1.5μm、2μm作製し、試料A、B、C、D、E、Fとした。
これらの試料の赤外分光反射率を測定した結果、図5から10のようになった。
図5と6では一酸化珪素膜が薄すぎ、赤外全体に渡って反射率が高い、すなわち放射率が小さい結果となった。図7では、「大気の窓」において反射率の減少が見られるものの図2ほど波長選択性は顕著ではない。図8においては、作製法の違いに起因すると思われる波長3μm付近での反射率の低減が見られるが、「大気の窓」において反射率が大きく減少し、波長選択性が顕著である。図9と10では、一酸化珪素の膜厚が大きくなるに従って波長選択性が明らかに低下している。
以上の結果より、これらを熱放射源として用い、ある一定の電力を投入した場合、試料A、Bは波長選択型熱放射材料よりもこれらの試料の方がはるかに高温になると容易に予想される、試料Cは「大気の窓」において赤外光が放射されるために、試料AとBほど高温にはならないが、理想的な波長選択型熱放射材料に近い試料Dよりは高温になる、試料EとFは波長選択性が低下すると共に、赤外領域全体での放射率が高くなっており、赤外放射特性が黒体に近いものとなるために、試料Dよりも低温となり危険性が減少する。
以上詳述したように、本発明は、波長選択型熱放射材料を用いた暖房加熱装置に係るものであり、本発明により、動作中であるかどうかが容易に識別できる、波長選択型熱放射材料を用いた暖房加熱装置を提供することができる。上記熱放射材料の膜の膜厚を調整することで、分光放射率の波長選択性を制御することができる。それにより、熱放射面の温度が必要以上に高温となること、すなわち熱放射面の温度が過度に上昇することを抑制することができる。安全性及びエネルギー効率を高めた暖房加熱装置を提供することができる。高い加熱効率を有する波長選択型熱放射材料を用いた暖房加熱装置の実用化を実現することができる。
熱放射体の1本の表面に、アルミニウムと一酸化珪素を真空蒸着した電気ストーブを示す。 一酸化珪素の膜厚が1μmの場合の赤外反射率を示す。 一酸化珪素の膜厚が1.2μmの場合の赤外反射率を示す。 一酸化珪素の膜厚が1.5μmの場合の赤外反射率を示す。 スパッタリング法によって作製したアルミニウム膜上一酸化珪素膜の赤外分光反射率の測定値を示す。ただし、基板はガラス、一酸化珪素膜の膜厚は100nm。 スパッタリング法によって作製したアルミニウム膜上一酸化珪素膜の赤外分光反射率の測定値を示す。ただし、基板はガラス、一酸化珪素膜の膜厚は250nm。 スパッタリング法によって作製したアルミニウム膜上一酸化珪素膜の赤外分光反射率の測定値を示す。ただし、基板はガラス、一酸化珪素膜の膜厚は500nm。 スパッタリング法によって作製したアルミニウム膜上一酸化珪素膜の赤外分光反射率の測定値を示す。ただし、基板はガラス、一酸化珪素膜の膜厚は1μm。 スパッタリング法によって作製したアルミニウム膜上一酸化珪素膜の赤外分光反射率の測定値を示す。ただし、基板はガラス、一酸化珪素膜の膜厚は1.5μm。 スパッタリング法によって作製したアルミニウム膜上一酸化珪素膜の赤外分光反射率の測定値を示す。ただし、基板はガラス、一酸化珪素膜の膜厚は2μm。

Claims (8)

  1. 特定の波長領域で高い放射率を有する波長選択型熱放射材料を用いた暖房加熱装置において、該加熱装置が動作中であるかどうかが容易に識別できると共に、熱放射面の温度が過度に上昇することを抑制できるようにした暖房加熱装置であって、1)熱放射体の表面にその一部の領域を残して上記波長選択型熱放射材料の膜を形成したこと、2)形成された上記波長選択型熱放射材料の膜の膜厚を調整することによって、該熱放射材料の分光放射率の波長選択性を制御したこと、を特徴とする暖房加熱装置。
  2. 上記波長選択型熱放射材料の膜が、金属基体上に形成した一酸化珪素膜から構成されることを特徴とする、請求項1記載の暖房加熱装置。
  3. 上記波長選択型熱放射材料の一酸化珪素膜の膜厚が、0.5〜2.0μmの範囲で調整されていることを特徴とする、請求項2記載の暖房加熱装置。
  4. 上記波長選択型熱放射材料の膜を、熱放射体の表面に堆積させた耐熱性金属基体上に形成したことを特徴とする、請求項1又は2記載の暖房加熱装置。
  5. 上記波長選択型熱放射材料の分光放射率の波長選択性を下げることにより、熱放射面の温度が必要以上に高温となることを抑制したことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の暖房加熱装置。
  6. 複数の熱放射体の一部の熱放射体の表面に上記波長選択型熱放射材料の膜を形成したことを特徴とする、請求項1記載の暖房加熱装置。
  7. 電気ストーブの熱放射体の表面に上記波長選択型熱放射材料の膜を形成したことを特徴とする、請求項1記載の暖房加熱装置。
  8. 耐熱ガラス基板上に、アルミニウムと一酸化珪素を真空蒸着することにより上記波長選択型熱放射材料の膜を形成したことを特徴とする、請求項1記載の暖房加熱装置。
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