JP3932272B2 - 多重t細胞エピトープポリペプチドの酢酸塩組成物 - Google Patents

多重t細胞エピトープポリペプチドの酢酸塩組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、スギ花粉症の予防または治療剤として有用な多重T細胞エピトープポリペプチドの溶解性および安定性を向上させた酢酸塩組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
スギ花粉症は、スギ花粉をアレルゲンとする即時型アレルギー疾患である。鼻炎、結膜炎が主たる症状であり、死に至る病ではないので軽視されがちであるが、患者にとってはまことに不愉快な症状である。スギ花粉の飛散期には国民の1割以上、都市部においては2割以上がこのスギ花粉症にかかるといわれており、経済的損失も大きい。
【0003】
スギ花粉症の治療には、抗ヒスタミン薬、ステロイド剤だけでなく、抗アレルギー剤も登場しているが、これらはすべて対症薬である。スギ花粉アレルゲン抽出液を繰り返し投与する減感作療法は、臨床的にアレルギー症状を改善する有効な治療法である。しかしながら、アレルゲン抽出液は、患者のアレルゲン特異的IgE抗体と反応するB細胞エピトープを含んでいるために、時としてアナフィラキシーなどの副反応が問題となる。
長期に減感作療法を受けた患者末梢血のT細胞はスギ花粉に対する反応性が減弱していることから、減感作療法の標的細胞はT細胞であると考えられている。最近、動物モデルにおいて、アレルゲン特異的T細胞エピトープペプチドが、T細胞に不活性化を誘導し、また、患者のアレルゲン特異的IgE抗体とほとんど結合しないことが明らかにされた。
【0004】
そこで、これまでのアレルゲン抽出液を用いた減感作療法に代わるものとして、スギ花粉の主要アレルゲンタンパク質Cry j 1およびCry j 2由来のアレルゲン特異的T細胞エピトープペプチドの混合物を用いたペプチド免疫療法が考案されている(WO 94/01560)。この方法は、上記のようなアナフィラキシーなどの副反応を回避でき、また、人工的に作製可能なため標準化しやすい、という利点があるが、このような混合物を医薬品として開発する場合、個々のT細胞エピトープについて物性・安全性試験などを実施する必要があり、製品規格などの点で問題がある。
【0005】
この問題を解決するために、Cry j 1およびCry j 2のアミノ酸配列から、MHCクラスII拘束分子の差異に基づいて選択されたいくつかのメジャーおよびマイナーなT細胞エピトープペプチドを、ペプチド結合を介して直鎖状に結合した多重T細胞エピトープポリペプチドが考案され(WO 97/32600)、その有効性が検討されている。
【0006】
一般に、タンパク質医薬品を注射剤として開発する場合、溶液状態では安定性などに問題があるため、凍結乾燥法により用時溶解型注射剤として製品化される場合が多い。しかし、保存期間中にタンパク質が凝集を示し、医薬品の品質として問題となる場合がある。このようなタンパク質の凝集現象について、種々の糖類を添加した場合の分子運動性を評価し、その安定性を予測する試みが報告されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、溶解性および安定性を向上させた多重T細胞エピトープポリペプチド(以下、「エピトープポリペプチド」、あるいは「ポリペプチド」ということもある)を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、多重T細胞エピトープポリペプチドを封入体として保持する大腸菌から該封入体を取り出し、塩酸グアジニン/尿素で可溶化し、その上清に該ポリペプチドを抽出した。この粗抽出物を、銅キレートクロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、および逆相クロマトグラフィーの順のクロマトグラフィーにより、該ポリペプチドを高純度に精製した。そして、この精製エピトープポリペプチドの安定性および溶解性を向上させる酢酸含量を決定した。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1) 酢酸を5〜15(重量)%含有する配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有する多重T細胞エピトープポリペプチド酢酸塩組成物、
(2) 酢酸を約7〜13(重量)%含有する、前記(1)記載の多重T細胞エピトープポリペプチド酢酸塩組成物、
(3) 酢酸を約9〜10(重量)%含有する、前記(1)記載の多重T細胞エピトープポリペプチド酢酸塩組成物、
(4) 配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有する多重T細胞エピトープポリペプチド1に対し、酢酸を約4〜20(重量)%含有してなる組成物、
(5) 配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有する多重T細胞エピトープポリペプチド1に対し、酢酸を約5〜18(重量)%含有してなる組成物、
(6) 配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有する多重T細胞エピトープポリペプチド1に対し、酢酸を約7〜15(重量)%含有してなる組成物、
(7) 配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有する多重T細胞エピトープポリペプチド1に対し、酢酸を約9〜12(重量)%含有してなる組成物、
(8) 前記(1)〜(7)のいずれか1項記載の組成物を含有してなる凍結乾燥製剤、
に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。本発明の多重T細胞エピトープポリペプチドは、化学合成あるいは遺伝子組換え技術により合成できる。ペプチドの化学合成は、ここ数年来急激な勢いで利用されている。それに伴い、初心者でも操作できるようなペプチド合成機が普及し、ペプチドの受注合成も国内外で盛んに行われている。100個以上のアミノ酸残基からなる長鎖のポリペプチドも化学合成されている。例えば、最近、ヘパリン結合性の成長因子であり121個のアミノ酸残基からなるミッドカイン(midkine)が化学合成された(Inui, T. et al.: J. Peptide Sci., 2: 28-39, 1996 )。したがって、本発明のエピトープポリペプチドも同様にして化学合成することができる。
【0011】
遺伝子組換え技術を用いれば、エピトープポリペプチドをコードする遺伝子を適当なベクターに組み込んで細胞に導入し、該遺伝子を発現させることにより、ポリペプチドを大量に合成することが可能である。エピトープポリペプチド遺伝子の発現系として、大腸菌発現系、酵母発現系、昆虫細胞発現系、および動物細胞発現系が挙げられるが、エピトープポリペプチドは翻訳後修飾を必要としない一本鎖の単純ポリペプチドであるので、大腸菌の単独発現システムを用いるのがよい。
【0012】
大腸菌のタンパク合成系を利用すると、エピトープポリペプチドを大量に、かつ低コストで得ることが可能である。スギ花粉アレルゲンCry j 1(Sone, T. et al.: Biochem. Biophys. Res. Commun., 199: 619-625, 1994)およびCry j 2(Komiyama, N. et al.: Biochem. Biophys. Res. Commun., 201: 1021-1028, 1994)をコードする遺伝子はすでにクローン化され、推定アミノ酸配列が明らかとなっている。配列番号:1のアミノ酸配列で示されるエピトープポリペプチドを構成する6つのT細胞エピトープ領域(Argダイマーで仕切られている)の、Cry j 1およびCry j 2のアミノ酸配列中に占める部位は、WO97/32600公開公報の図1(Cry j 1)および図2(Cry j 2)から容易に確認できる。そして、この6つのT細胞エピトープペプチド領域をコードするDNA配列は、前記Soneら、およびKomiyamaらの文献から知ることができる。そこで、6つのT細胞エピトープペプチドをコードするDNA配列に対するPCRプライマーを化学合成する。クローン化されたCry j 1およびCry j 2をコードする遺伝子を鋳型としてPCRでエピトープポリペプチド領域をコードするDNAを増幅後連結し、さらにPCRで増幅するといった操作を繰り返し、途中および最終の配列をpUCプラスミドにクローニングして塩基配列の確認を適宜行う。このようにしてエピトープポリペプチド(配列番号:1)の全長をコードする遺伝子(配列番号:2)を構築することができる。
【0013】
真核生物由来の外来遺伝子を大腸菌で高発現させると、しばしば、産生タンパク質が菌体内で凝集し、生理的に不活性な封入体を形成する。この封入体形成は、産生したタンパク質を菌体内のプロテアーゼから隔離し、プロテアーゼによる分解を抑え、しかも多くの菌体由来の可溶性夾雑タンパク質からの目的遺伝子産物の分離を可能とする。そこで、ポリペプチドは、大腸菌の菌体内に封入体として生成させるのが、その後の精製の面から望ましい。
【0014】
タンパク質遺伝子の大腸菌発現系に関しての文献は枚挙にいとまがないが、例えば、[続生化学実験講座 II, 組み換えDNA技術, 日本生化学会編, p126, 東京化学同人(1986); 新生化学実験講座1, タンパク質VI, 合成および発現, 日本生化学会編, p155, 東京化学同人(1992)など]などを参考にして、当業者は、ポリペプチドの大腸菌発現系を構築することが容易にできる。
また、大腸菌の単独発現システムが市販されており、例えば、転写能力が強いT7ファージRNAポリメラーゼを利用するpETシステム(Novagen, STRATAGENE)や、同様なT7ファージRNAポリメラーゼを利用したpRSETシステム(Invitrogen)などを試みることもできる。
【0015】
発現プラスミドを導入する宿主大腸菌としては、一般に用いられる HB101, C600 などの種々の K-12 の誘導体を用いることができるが、菌株による発現量の差が大きい。実施例では、増殖力が強く、発現量も多い K802 株(ATCC から入手)を宿主として使用したが、他の菌株を使用する場合は培養条件(培養時間、添加するトリプトファンの濃度等)の最適化が必要であるが、そのような最適化は、当業者にとって実験条件の設定範囲にある。
【0016】
エピトープポリペプチド遺伝子を保持する形質転換体の発現培養条件の設定は、当業者であれば、文献[例えば、タンパク実験プロトコール2, 構造解析編, 細胞工学別冊, 秀潤社(1997)]を参考に実施することができる。
【0017】
ポリペプチドを封入体として保持する菌体を遠心して集め、緩衝液に懸濁し、超音波処理あるいはホモジナイザー処理で菌体を破砕する。この破砕液を遠心して不溶性画分を得る。そして、この不溶性画分を緩衝液に懸濁し遠心して封入体画分(あるいは不溶性の封入体状画分)を得る。この封入体の可溶化には、高濃度のタンパク質変性剤(6 M 塩酸グアニジンや6〜8 M の尿素)を用いるのが一般的である(Biochemistry, 26: 3129, 1987; J. Biotechnol., 1: 307, 1984; Bio/Technology, 3: 990, 1985 )。この可溶化物を遠心して上清にポリペプチドを抽出する。このポリペプチド粗抽出液を、銅キレートクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、および逆相クロマトグラフィーの順のクロマトグラフィーに供することにより、エピトープポリペプチドを高純度に精製することができる。以下、精製工程を詳細に述べる。
【0018】
培養後、大腸菌を遠心して集菌する。菌体を緩衝液、例えば、50 mMトリス酢酸緩衝液(pH 5.0)に懸濁し、超音波処理あるいはホモジナイザー処理して菌体を破砕する。次に、遠心(例えば、10,000 × g、20分間)して不溶性画分を得る。この不溶性画分を、界面活性剤を含む緩衝液、例えば2%トリトンX-100を含む50mM トリス酢酸緩衝液(pH 5.0)に懸濁し、遠心(例えば、10,000 × g、30分間)して封入体画分を得る。この封入体画分を、タンパク質変性剤、例えばグアニジン塩を含む抽出緩衝液、例えば、6M塩酸グアニジンを含む緩衝液(pH4.0)、あるいは0.5M〜1M塩酸グアニジンと5.5M〜5Mの尿素を含む緩衝液(pH4.0)で1.5〜3時間室温で攪拌して溶解する。溶液を遠心(例えば、10,000 × g、20分間)するとポリペプチドは上清に抽出される。
【0019】
さらに、この粗抽出液を、中性あるいは弱アルカリ性の緩衝液(例えば、50 mM炭酸緩衝液 pH 9.8 )で10〜20倍に希釈し、37℃前後で1時間放置すると、エピトープポリペプチドは沈澱する。一方、大腸菌由来の低分子量(分子量2万以下)のタンパク質のほとんどは変性状態から容易に巻き戻しされて高次構造を再生するので、可溶であり、除去される。エピトープポリペプチドを含む沈澱は、再度6 M塩酸グアニジンを含む緩衝液(pH 4.0)、あるいは0.5〜1 M塩酸グアニジンおよび5.5M〜5M尿素を含む緩衝液(pH 4.0)に懸濁し、1.5〜3時間攪拌して溶解する。溶液を遠心(例えば、10,000×g、20分間)して上清にポリペプチドを抽出する。この希釈、沈澱の操作を省略して上記最初の粗抽出液を、直接、以下のクロマトグラフィーに供しても十分な精製度でエピトープポリペプチドが得られる。
【0020】
今日タンパク質の分離精製はほとんどクロマトグラフィーによる。イオン交換クロマトグラフィーは概して分離能が高く、タンパク質精製の早い段階に用いられることが多い。イオン交換クロマトグラフィーでは、一般に等電点がpH 7以下のタンパク質は陰イオン交換体で、pH 7以上では陽イオン交換体で分離する。
【0021】
本発明のエピトープポリペプチドは、等電点がpH 11と強塩基性であることから、クロマトグラフィーによる精製の第1段階として、まず、陽イオン交換クロマトグラフィーが考えられる。しかし、カオトロピック剤(塩酸グアニジン/尿素)非存在下でのエピトープポリペプチドは、Hi-trap Q(陰イオン交換樹脂)およびHi-trap SP(陽イオン交換樹脂)の双方に部分的に吸着した。そこで、カオトロピック剤が存在しない状態でのイオン交換クロマトグラフィーは、エピトープポリペプチドの精製の最初の工程に用いることができないと判断した。
【0022】
金属イオンとアミノ酸の親和性に基づく金属キレートクロマトグラフィーは塩酸グアニジン/尿素のようなタンパク質変性剤を多量に含む溶媒でも適用できる。タンパク質の銅キレート樹脂への結合は、His、Cys、Trp残基の関与が知られている(Trends in Biotechnology, 3: 1-7, 1985 )。多重エピトープポリペプチドは、医薬品として品質管理上問題となる二量体、あるいは多量体の形成を避けるため、Cys残基を含まないエピトープペプチドを選択している。Trp残基と銅イオンの相互作用はHisに比較して弱く、1〜2個のTrp残基を含むタンパク質は銅キレート樹脂に結合することはできない。これに対し、His残基の銅キレート樹脂との相互作用は強く、1個のHis残基を含むタンパク質は銅キレート樹脂に結合することができる。エピトープポリペプチドは2〜3個のHis残基を有する。一方、ほとんどの大腸菌タンパク質は分子内に平均して4個以上のHis残基を含んでいるため銅キレート樹脂にエピトープポリペプチドより強く吸着する。このようなことから、精製の第1段階に、銅キレートクロマトグラフィーを用いれば、大腸菌由来のタンパク質はエピトープポリペプチドよりも強く銅キレートカラムに吸着し、その大部分が除かれることが期待される。
【0023】
上記粗抽出液を、例えば、8M 尿素/ 0.2M 塩化ナトリウム/ 50mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0)緩衝液と1:1(容量比)と混合し、pH7.0に調整後、銅キレートクロマトグラフィー、例えば銅キレートストリームライン(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社)に供する。銅をキレートする樹脂としては、例えば、イミノジ酢酸アガロースやニトリロトリ酢酸アガロースが挙げられる。イミノジ酢酸アガロースは文献記載の方法(J. Porath. et al.: Nature, 258: 598, 1975)により調製できる。銅を結合したニトリロトリ酢酸アガロースは、Ni-NTAアガロース(Qiagen)から容易に調製できる。ニトリロトリ酢酸アガロースは、イミノジ酢酸アガロースに比較して銅イオンの漏れが少なくエピトープポリペプチドの精製に適している。POROS MC(アプライドバイオシステム社)、キレーティングセファロースFF(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社)、キレートセルロファイン(生化学工業)などを試みてもよい。
【0024】
粗抽出液添加後、銅キレートストリームラインを、例えば、8M 尿素/ 0.2 M 塩化ナトリウム / 50mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0)3カラム容量で洗浄し、非吸着物を除去する。溶離緩衝液のpHを下げてHisのプロトン化により溶出する場合、ポリペプチドは多数のHis残基をもつ多くの大腸菌タンパク質よりも高いpHで溶出する。8M 尿素/ 0.2 M 塩化ナトリウム / 50mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.0)で溶出することにより、ポリペプチドは純度約70%程度まで精製される。
【0025】
銅キレートクロマトグラフィーからの溶出画分はイオン強度が低いので、酢酸でpH4に調整後、平衡緩衝液、例えば、8M 尿素/ 0.1 M 塩化ナトリウム / 50mM トリス酢酸緩衝液(pH 4.0)で平衡化した陽イオン交換クロマトグラフィー、例えば、SP-セファロース FFカラム(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社)に溶出画分を添加してエピトープポリペプチドを樹脂に吸着させる。陽イオン交換カラムとしては、この他Mono S(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社)、CMセファロースFF(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社)などが挙げられる。
【0026】
銅キレートクロマトグラフィーからの溶出画分をSP-セファロース FFカラムに添加後、pH 10 の緩衝液、例えば8M 尿素/ 0.1 M 塩化ナトリウム / 50mM 炭酸ナトリウム緩衝液(pH 10.0)で洗浄し、続いてpH 4 の緩衝液、例えば8M 尿素/ 0.2 M 塩化ナトリウム / 50mM トリス酢酸緩衝液(pH 4.0)でカラムを洗浄する。大腸菌由来のタンパク質のほとんどは等電点が 10 以下であるため、この陽イオン交換クロマトグラフィーによりエピトープポリペプチド(とその類縁ポリペプチド)の純度は、ほぼ 100 % となる。ここで類縁ポリペプチドとは、物理的、化学的性質が極めてエピトープポリペプチドに類似しているポリペプチドを意味し、通常、エピトープポリペプチドのアミノ酸が部分的に修飾あるいは置換されたポリペプチドを意味する。例えば、Met残基が酸化されたポリペプチド、Met残基がノルロイシンに置換されたポリペプチド、アセチル化されたポリペプチド、あるいは脱アミド化されたポリペプチドである。
次に溶離緩衝液、例えば、8M 尿素/ 0.4 M塩化ナトリウム / 50mM トリス酢酸緩衝液(pH 4.0)で溶出する。溶出液のA280をモニターし、吸収のある画分を得る。
【0027】
この溶出画分には僅かに強塩基性で分子量が小さいリボソームタンパクが数種類混入しているが、つぎの逆相クロマトグラフィーで容易に除去される。逆相クロマトグラフィーでは、またエピトープペプチドの類縁ポリペプチド、リポポリサッカライドのほとんどが除去される。
【0028】
逆相カラムとしては、一般的な液体クロマトグラフィー用オクタデシル化シリカゲルを充填したカラム、例えば、カプセルパックC18(資生堂)が使用できる。また、ポリマー担体のポアサイズが大きい樹脂、例えばPOROS 50R2(アプライドバイオシステムズ社)、SOURCE 15 RPC(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社)を充填したカラムなどが挙げられる。POROS 50R2カラム ( 25 × 200 mm)を使用した場合、カラムを1 %酢酸で平衡化した後、陽イオン交換クロマトグラフィーの溶出画分を添加する。12% アセトニトリル/1%酢酸で洗浄後、溶離液、例えば22%アセトニトリル/1%酢酸を用いて溶出する。溶出液を凍結乾燥して、ポリペプチドの純度として96〜99%(重量)以上の純度を有する精製ポリペプチドを得ることができる。このポリペプチドの凍結乾燥品は、クロマトグラフィーにより、酢酸が8〜13重量%含まれる酢酸塩組成物として存在する。該酢酸塩組成物中に含有されている酢酸は、多重T細胞エピトープポリペプチドと塩を形成していても、形成していなくてもよい。
【0029】
本発明の多重T細胞エピトープポリペプチド酢酸塩組成物の酢酸含量としては、約5〜15(重量)%が好ましく、なかでも約7〜13(重量)%、特に約9〜10(重量)%が好ましい。
【0030】
また、本発明の多重T細胞エピトープポリペプチド酢酸塩組成物中の酢酸含量は、公知の方法に従って調節することができる。例えば、上記で得られたエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物の凍結乾燥品を、例えば酢酸蒸気に接触させることによって、該酢酸塩組成物中の酢酸含量を増大させることができる。また、上記で得られたエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物の凍結乾燥品を加湿条件下に暴露することにより、あるいはエピトープポリペプチド酢酸塩組成物の凍結乾燥品を適当な溶媒(例えば、水)に溶解させた後、溶液を凍結乾燥に付すことによって、該酢酸塩組成物中の酢酸含量を減少させることができる。
本発明の多重T細胞エピトープポリペプチドと酢酸を含有してなる組成物中の酢酸の含有量としては、本発明の多重T細胞エピトープポリペプチド1に対し、酢酸を約4〜20(重量)%、なかでも約5〜18(重量)%、とりわけ約7〜15(重量)%、特に約9〜12(重量)%が好ましい。
本発明の多重T細胞エピトープポリペプチド酢酸塩組成物には安定化剤として糖類を加えてもよい。
【0031】
また、本発明の多重T細胞エピトープポリペプチド酢酸塩組成物中に存在する多重T細胞エピトープポリペプチド酢酸塩は、自体公知の反応を用いることにより、塩交換を行うことができる。該塩としては、生理学的に許容される塩が挙げられる。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。なかでも塩酸との塩が好ましい。
【0032】
本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物の製剤としては、凍結乾燥製剤であるものが好ましい。該凍結乾燥製剤は、糖類を添加することにより、安定性に優れた製剤とすることができる。
【0033】
該「糖類」としては、単糖類(例えば、グルコース、エリトロース、キシルロース、リブロース、セドヘプツロース、リボース、マンノースおよびそれらの糖アルコール(ソルビトール、リビトール、マンニトールなど)など、なかでもマンニトールが好ましい。)または二糖類(例えば、麦芽糖、セロビオース、ゲンチオビオース、メリビオース、乳糖、ツラノース、ソロホース、トレハロース、イソトレハロース、ショ糖(精製白糖)、イソサッカロースなど、なかでも精製白糖、乳糖、麦芽糖が好ましく、精製白糖が最も好ましい)が挙げられる。該「糖類」は単独で用いてもよいが、2種以上の混合物としても用いてもよい。なかでも、精製白糖を用いるのが好ましい。
【0034】
以下に該凍結乾燥製剤について具体的に示す。
本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物と糖類の双方を水または適当な水性溶媒(たとえば、水とアルコールの混合物)に溶かした水性液に、所望によりpH調整を行い、さらに、たとえば0.22μmのフィルターでろ過することにより無菌製剤とする。その後、凍結乾燥を行うことによって固体状とした製剤が好ましい。また凍結乾燥製剤中の酸化体などの不純物生成を抑制するため、容器内へ窒素ガスなどを封入してもよい。
【0035】
水性液を調製する場合、自体公知の方法に従って、本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物及び糖類の双方を水または水性溶媒(たとえば、水とアルコールの混合物)に溶解すればよい。溶解させる順序はどちらが先でもよい。浸透圧を調節するために、上記の本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物及び糖類の水性液に等張化剤を配合してもよい。該等張化剤としては、例えばグルコースなどの単糖類、マンニトールなどの糖アルコール類、食塩などの塩類など等張化剤として公知のものが挙げられる。pH調整を行うために、塩酸などの無機酸、酢酸などの有機酸などが用いられる。本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物の凍結乾燥製剤は、通常、本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物及び糖類の双方を水または水性溶媒に溶解して水性液とし、所望によりpH調整を行ったのち、これを自体公知の方法により凍結乾燥することにより得ることができる。このとき水性液中における本発明のエピトープポリペプチド(の酢酸塩)の濃度は、通常0.01mg/mL〜10mg/mLであり、糖類の濃度は、通常0.05mg/mL〜100mg/mLである。
【0036】
このようにして得られる本発明の凍結乾燥製剤は、長期間において本発明のエピトープポリペプチド(の酢酸塩)の変質を抑制し、安定に保つことができる。
本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物の凍結乾燥製剤は、通常、単独あるいは薬理学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と混合してなる医薬組成物とし、経口または非経口的に用いることができる。
【0037】
本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物の凍結乾燥製剤は、これを打錠して錠剤に、カプセルに充填してカプセル剤に、またマイクロカプセルに封入し徐放剤とすることができ、また、用時注射用水あるいは輸液(例、生理食塩水、ブドウ糖など)で溶解して、静脈注射剤、皮下注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤、無針注射剤などの注射剤または点鼻剤、点眼剤として用いることもできる。この場合、溶解液中における本発明のエピトープポリペプチド(の酢酸塩)の濃度は例えば約0.01mg/mL〜10mg/mLである。糖類の濃度は約0.05mg/mL〜100mg/mLである。
【0038】
注射剤用の用時溶解製剤とする場合、自体公知の、例えば濾過滅菌などの無菌調製法により上記水性液を調製するのが好ましい。また凍結乾燥製剤を調製する前に、糖類、あるいは糖類とその他の添加物との混合物を予め脱パイロジエン処理して用いることもできる。
【0039】
本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物の凍結乾燥製剤は、注射用の用時溶解製剤であるものが好ましい。
【0040】
本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物は、毒性が低く、例えば、凍結乾燥注射剤、溶液注射剤などの注射剤として、皮内、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内などに成人1回当たり約1ng〜100mgの範囲で選ばれる量を、毎週1〜2回程度約1〜12ヶ月間投与することによって、減感作の目的を達成することができる。
【0041】
さらに、本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物は、例えば、トローチ、舌下錠、パップ剤、クリーム剤、ローション剤などの経皮、経粘皮薬としても製造され、その投与量、投与頻度などを適宜選択することにより、その減感作の目的を有利に達成することができる。また、本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物は、スギ花粉症の予防剤、治療剤のみならず、ヒノキ花粉症の予防剤、治療剤としても有利に使用できる。
【0042】
本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物は、単剤として優れたスギ花粉の予防剤、治療剤およびヒノキ花粉症の予防剤、治療剤として有効な作用を示すが、さらに他の医薬成分(以下、併用薬物と略記する)と併用(多剤併用)することもできる。
【0043】
このような併用薬物としては、例えば、ケミカルメディエーター遊離抑制剤(例えば、クロモグリク酸ナトリウム(インタール)、トラニラスト(リザベン)、アンレキサノクス(ソルファ)、ペミロラストカリウム(アレギサール)等)、ケミカルメディエーター受容体拮抗薬(例えば、(1)d-マレイン酸クロルフェニラミン(ポララミン)、フマル酸クレマスチン(タベジール)、フマル酸ケトチフェン(ザジデン)、塩酸アゼラスチン(アゼプチン)、オキサトミド(セルテクト)、メキタジン(ゼスラン、ニポラジン)、フマル酸エメダスチン(ダレン、レミカット)、塩酸セチリジン(ジルテック)、塩酸レボカバスチン(リボスチン)、フェキソフェナジン(アレグラ)、塩酸オロパタジン(アレロック)等の抗ヒスタミン薬、(2)ラマトバン(バイナス)等のトロンボキサンA2拮抗薬、(3)プランルカスト水和物(オノン)等のロイコトリエン拮抗薬等)、Th2サイトカイン抑制薬(例えば、トシル酸スプラタスト(アイピーディー)等)、ステロイド薬(例えば、(1)プロピオン酸ベクロメタゾン(ベコナーゼ、アルデシン、リノコート)、フルニソリド(シナクリン)、プロピオン酸フルチカゾン(フルナーゼ)等の局所ステロイド薬、(2)セレスタミン(マレイン酸クロルフェニラミン配合剤)等の経口ステロイド薬等)、自律神経作用薬(例えば、(1)硝酸ナファゾリン(プリビナ)、硝酸テトラヒドロゾリン(ナーベル)、塩酸オキシメタゾリン(ナシビン)、塩酸トラマゾリン(トーク)等のα刺激薬、(2)臭化イプラトロピウム(アトロベント)、臭化フルトピウム(フルブロン)等の抗コリン薬等)、生物製剤(例えば、ノイロトロピン、アストレメジン、MSアンチゲン等)等が挙げられる。
【0044】
本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物と併用薬物との併用に際しては、本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物と併用薬物の投与時期は限定されず、本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物と併用薬物とを、投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。併用薬物の投与量は、臨床上用いられている投与量に準ずればよく、投与対象、投与ルート、疾患、組み合わせ等により適宜選択することができる。
【0045】
本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物と併用薬物の投与形態は、特に限定されず、投与時に、本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物と併用薬物とが組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、(1)本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物と併用薬物とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物→併用薬物の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)などが挙げられる。以下、これらの投与形態をまとめて、本発明の併用剤と略記する。
【0046】
本発明の併用剤は、毒性が低く、例えば、本発明のエピトープポリペプチドの酢酸塩組成物または(および)上記併用薬物を自体公知の方法に従って、薬理学的に許容される担体と混合して医薬組成物、例えば、凍結乾燥注射剤、溶液注射剤、トローチ、舌下錠、点眼剤、鼻腔内噴霧剤、パップ剤、クリーム剤、ローション剤、錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、液剤、坐剤、徐放剤等として、経口的又は非経口的(例、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与することができる。
【0047】
【実施例】
以下に、本発明を参考例、実施例、試験例、製剤例および実験例により説明するが、本発明の技術的範囲は、これらに限定されるものではない。
[参考例1] ポリペプチドをコードするDNAの構築
配列番号:1のアミノ酸配列を有するポリペプチドは6つのT細胞エピトープペプチドがArgダイマーを介して連結された105アミノ酸残基からなる。そこで、Cry j 1およびCry j 2のエピトープに対応する各DNA 断片を PCRで増幅後連結し、さらにPCRで増幅するといった工程を繰り返し、最終的にポリペプチドの全長をコードするV-KV-ID-WK-LK-V2(ポリペプチドcDNA)を構築した(図1)。
PCR条件は、Taq DNAポリメラーゼを使用して96℃15秒、55℃30秒、72℃90秒を10〜25サイクルであった。
【0048】
(1) c DNA 断片 K の増幅とクローン化
pCCI2-2 (Sone, T. et al.: Biochem. Biophys. Res. Commun., 199: 619-625, 1994)から 15 アミノ酸残基のエピトープをコードする cDNA 断片 K を KSMK43S(配列番号:3) と KSMK43A(配列番号: 4) をプライマーとする PCR により増幅し、同時に 5′末端に SmaI 認識部位、3′末端に SalI 認識部位を付与した。この DNA 断片を pUC19 上にクローニングし、塩基配列を確認した(pUC19K#3)。
【0049】
(2) cDNA 断片 VF の増幅と、連結した 2 つのcDNA 断片 K-VF のクローン化 pCCI2-2 から 15 アミノ酸残基のエピトープをコードする cDNA 断片 P を PCVF22S (配列番号:5)と PCVF22A(配列番号:6) をプライマーとする PCR により増幅し、同時に 5′末端に SmaI 認識部位、3′末端に SalI 認識部位を付与した。この DNA 断片を SmaI で消化してから SalI で消化した cDNA 断片 K と結合させた。結合した DNA 断片を KSMK43S(配列番号:3) を PCVF22A(配列番号:6) をプライマーとする PCR により増幅した。PCR 産物をポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ 120 bp の DNA 断片 K-P を分離、精製した。 K-P 断片を SalI と SmaI で消化してからポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、DNA 断片を精製してから pUC19 の SalI-SmaI アーム上にクローン化し、 pUC19KP#6-1 を得た。
pUC19KP#6-1 から 13 アミノ酸残基のエピトープを暗号化する cDNA 断片 VF を VFIK22S2 (配列番号:7)と PCVF22A(配列番号:6) をプライマーとする PCR により増幅し、同時に 5′末端に PstI, 3′末端に SalI 認識部位を付与した。PCR 産物をポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ 59 bp の断片を分離、精製した。
この DNA 断片を PstI 消化してから SalI 消化した pUC19K#3 と混合し、クレノウ断片で平滑化してから結合させた。KSMK43S(配列番号:3) と PCVF22A(配列番号:6) をプライマーとする PCR で K-VF の DNA 断片(111 bp)を増幅した。PCR 産物をポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ、DNA 断片を分離、精製した。この DNA 断片を pUC19 にクローニングし、pUC19K-VF とした。
【0050】
(3) cDNA 断片 G の増幅とクローン化
pCC II 1 (Komiyama, N., Sone, T., Shimizu, K., Morikubo, K., and Kino, K.(1994) Biochem. Biophys. Res. Commun. 201, 1021-1028)から 20 アミノ酸残基のエピトープを暗号化する cDNA 断片 G を GIDI37S (配列番号:8)と GIDI37A(配列番号:9) をプライマーとする PCR により増幅し、同時に 5′末端に SmaI 認識部位、3′末端に SalI 認識部位を付与した。この DNA 断片を SmaI と SalI で消化してから pUC19 にクローニングし、pUC19G とし、pUC19G#1 の挿入塩基配列を読んだ。SmaI 末端の繋ぎ目に 1 塩基対の欠失(ACCGGG となっていた)があるが、その他の部分に変異がないことを確認した。
【0051】
(4) cDNA 断片 WK の増幅と、連結した 2 つの cDNA 断片 ID-WK のクローン化
pCC II 1 から 20 アミノ酸残基のエピトープを暗号化する cDNA 断片 WK をリン酸化した WKNN17S (配列番号:10)と(リン酸化されていない)WKNN17A(配列番号:11) をプライマーとする PCR により増幅し、同時に 3′末端に SalI認識部位を付与した。PCR 産物をポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ、71 bp のDNA 断片を分離、精製した。
この DNA 断片を SalI 消化した pUC19G#1 と混合し、クレノウ断片で平滑化してから結合させた。IDIF37S (配列番号:12)と WKNN17A(配列番号:11) をプライマーとする PCR で ID-WK の DNA 断片(141 bp)を増幅した。PCR 産物はポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ DNA 断片を分離、精製した。この DNA 断片を pUC19 にクローニングし、pUC19ID-WK とし、その塩基配列(pUC19ID-WK#1 および #8)を確認した。
【0052】
(5) cDNA 断片 V2 の増幅とクローン化
pCCII1 から 15 アミノ酸残基のエピトープを暗号化する cDNA 断片 V2 を VDGI14S2 (配列番号:13)と VDGI14A2(配列番号:14) をプライマーとする PCRにより増幅し、同時に 5′末端にPstI, 3′末端に終止コドンと Hind III 認識部位を付与した。この DNA 断片を pUC19 にクローニングし、pUC19Vph とし、pUC19Vph#1 の挿入塩基配列を読んだ。VDGI14A2(配列番号:14) プライマーに相補的な配列 GCTGGAAGTAA となるべきところが GCTTAAGTAA となっていたが、その他の部分には変異がなかった。
【0053】
(6) cDNA 断片 LK の増幅と cDNA 断片 LK-V2 のクローン化
クローン化された Cry j 1 の cDNA (pCCI-2-2)から 15 アミノ酸残基のエピトープを暗号化する cDNA 断片 LK を LKMP17S(配列番号:15)と LKMP17A(配列番号:16) をプライマーとする PCR により増幅し、同時に 5′末端に KpnI, 3′末端に SalI 認識部位を付与した。PCR 産物をポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ 65 bp の断片を分離、精製した。この DNA 断片を SalI 消化してから PstI 消化した pUC19Vph#1 とを混合し、クレノウ断片で平滑化してから結合させた。LKMP17S(配列番号:15)と VDGI14A2(配列番号:14) をプライマーとする PCR で LK-V2 の DNA 断片(119 bp)を増幅した。PCR 産物をポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ、DNA 断片を分離、精製した。この DNA 断片を pUC19 にクローニングし、pUC19LK-V2 とし、pUC19LK-V2#8 の塩基配列が正しいことを確認した。
【0054】
(7) cDNA 断片 K-VF-ID-WK のクローン化
pUC19ID-WK から挿入塩基配列を EcoRV/Hind III 消化で切り出し、pUC19K-VF#2の SalI-Hind III アームと結合させ、3 クローン(pUC19K-VF-ID-WK#1, #2, および #4)について接合部の塩基配列が正しいことを確認した。
【0055】
(8) 連結した 6 つの cDNA 断片 K-VF-ID-WK-LK-V2 のクローン化
pUC19K-VF-ID-WK#1, #4 の SalI-Hind III アームに pUC19LK-V2#8 から KpnI/Hind III 消化で切りだした挿入塩基配列を結合させ、3 クローンについて接合部の塩基配列が正しいことを確認した。このようにして得られたプラスミド pUC19F7#2, #3, #4 はポリペプチド の cDNA をクローン化している(図2)。
【0056】
このようにして構築した配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチド の cDNA の組換え体の発現は、種々の大腸菌の宿主ベクター系で可能である。特に大腸菌での発現系は種々の医薬品製造に使用された実績が豊富にあるので、ポリペプチドの生産も大腸菌で行うのが適当である。
【0057】
[参考例2] pQTF7Δcr の構築
本発明者らは、以下の参考例に示すように、trpプロモーターを使用した安枝らの大腸菌発現系(Bio/Technology, 8: 1036-1040, 1990 )を改変し、エピトープポリペプチドを大腸菌の菌体内に著量合成せしめ、不溶性画分(封入体)として蓄積させることに成功した。この発現系は発現誘導剤や抗生物質の使用量を少なくすることが可能である。
(1) trp オペロンプロモーター
大腸菌のプロモーター trp と SD 配列を上記文献を参考に、オリゴヌクレオチドTRPS(配列番号:17)、 TRPA(配列番号:18)、 SDSDS(配列番号:19)、 および SDSDA(配列番号:20)を合成した。TRPA(配列番号:18)とSDSDS(配列番号:19) は 5′-末端を T4 ファージのポリヌクレオチドキナーゼでリン酸化した。
TRPS(配列番号:17) と TRPA(配列番号:18) の 3′-末端の 11 塩基は相補的である。加熱、徐冷して対合させ、クレノウ断片による修復合成を行うことにより前半の 50 塩基対の二本鎖 DNA を得た。SDSDS(配列番号:19) と SDSDA(配列番号:20) の 3′-末端の 10 塩基も相補的である。加熱、徐冷して対合させ、クレノウ断片による修復合成により後半の 47 塩基対の二本鎖 DNA を得た。
これらの DNA 断片を T4 ファージの DNA リガーゼで結合反応させ連結したDNA断片TRP-SDSDをリン酸化した SDSDA、(配列番号:20)と(リン酸化しない)TRPS (配列番号:17)をプライマーとして12 サイクルの PCR で増幅した。
pUC19F8#10(pUC19F7の5番目のエピトープをコードするDNAが別のエピトープをコードするDNAで置換されたプラスミド)を鋳型に、リン酸化した KVTV43S (配列番号:21)と(リン酸化しない)VDGI14A2 (配列番号:14)をプライマーとした 15 サイクルの PCR でcDNA 断片 F8 を増幅し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離/精製した。
DNA 断片 TRP-SDSD と F8 を混合し、クレノウ断片と T4 ファージの DNA リガーゼを作用させて結合させた。結合した断片 TRP-SDSD-F8 を TRPS(配列番号:17) と VDGI14A2 (配列番号:14)をプライマーとした 12 サイクルの PCR で増幅し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離/精製した。
DNA 断片 TRP-SDSD-F8 を Hind III で消化し、アガロースゲル電気泳動で約 500 bp の断片を分離/精製した。
Hind III で消化した DNA 断片 TRP-SDSD-F8 を EcoRIで 消化してから pUC119 のEcoRI-Hind III アームに結合させ、大腸菌 TB1 株の形質転換を行った。
X-gal プレートで白色のコロニーを形成した 13 クローンについてプラスミドの微量調製を行い、EcoRI, Hind III の二重消化で約 500 bp の断片が切り出される 2 クローン(pUC119TF8#6 および #7)を選択した。これらのプラスミドの挿入塩基配列をダイデオキシ法で読んだところ、pUC119TF8#6 では Hinc II/HpaIの認識部位の前後が 32 bp, pUC119TF8#7 では DraI の認識部位とその後が 20 bp 欠失していた。pUC119TF8#6 の挿入塩基配列のcDNA 部分は 5´側の 70 bp を読んだが、その範囲にはアミノ酸配列を変えるような変異はなかった。KVTV43S(配列番号:21) の 5´側の 18 bp は縮退コドンの均等な混合物として合成したため 4 つのコドンの 3 文字目がいずれも T に変わっていた(図3および配列番号:23)。
pUC119TF8#6 と #7 の欠失位置は、ずれており、間に ClaI の認識部位が存在する。そこで、これらのクローンを組み換えて目的とする組み換え体を作製することにした。pUC119TF8#6 を ClaI と Hind III で消化し、約 400 bp の DNA 断片をアガロースゲル電気泳動で分離した。pUC119TF8#7 を ClaI, Hind III, ウシ小腸のアルカリフォスファターゼで消化してからアガロースゲル電気泳動にかけ、ベクター側断片(約 3 kbp)を分離した。これらの DNA 断片を T4 ファージの DNA リガーゼで結合させてから大腸菌 GI698 に導入し、10μg/mL のトリプトファンと 100μg/mL のアンピシリンを加えたプレートで組換え体を選択した。
6 クローン(pUC119TF8#6.51-#6.56)についてプラスミド DNA の微量調製を行い、Hae III, EcoRI の二重消化の制限パターンで、意図した DNA の組み換えが起きていることを確認した。
【0058】
(2) 中間体プラスミドpQTF7 の構築
pUC119TF8#6.54 から trp のプロモーターとポリペプチドの N-末端の cDNA を含む約 120 bp の DNA 断片を EcoRI, Eco47I 消化で切りだした。また pUC19F7 から ポリペプチドの C-末端側の cDNA を含む約 290 bp の DNA 断片を Hind III, Eco47I 消化で切りだした。pQE11 の EcoRI-Hind III アーム上で、これらの断片を結合させて大腸菌(GI698 株)に導入した。
アンピシリン耐性の 24 クローン(pQETF7#1-24)からプラスミド DNA を微量調製し、挿入配列の有無を SDSDS(配列番号:19)、 VDGI14A2(配列番号:14) をプライマーとした PCR と Hind III/EcoRI 消化で調べ、pQETF7#12 に期待する長さの挿入塩基配列があることを確認した。pQETF7#4, pQETF7#7, pQETF7#12 の EcoRI, XhoI 消化を行ってからアガロースゲル電気泳動でベクター側 DNA 断片を分離/精製した。
pQETF7#12 の EcoRI-XhoI 断片にクレノウ断片と T4 ファージの DNA リガーゼを作用させて閉環し、大腸菌 GI698 に導入し、10μg/mL のトリプトファンと 100μg/mL のアンピシリンを加えたLB寒天培地プレートで組み換え体を選択した。
組み換え体から調製したプラスミド DNA pQTF7 の制限酵素消化(DraI, Hind III の二重消化)とポリアクリルアミドゲル電気泳動で予定通りの欠失が起きていることを確認した。
pQTF7 では ポリペプチドのcDNA の下流にλファージの転写終結信号配列 t0が連結している。その更に下流にはクロラムフェニコールアセチル基転移酵素(cat)とリボソーム RNA 転写終結信号配列 T1 が連結している。このcatとT1 の部分は不要であるので、それらを除去した発現プラスミド pQTF7Δcr を作製した。
【0059】
(3) pQTF7Δcr の構築
pQTF7 を鋳型に WKNN17S(配列番号:10)と T0XBA(配列番号:22) をプライマーにポリペプチドの cDNA の後半とλファージの転写終結信号 t0 を含む DNA 断片 WK-T0 を 20サイクルの PCR で増幅し、アガロースゲル電気泳動で約 300 bp の断片を分離した。
DNA 断片 WK-T0 を XbaI と Hind III で消化してから QIAEX II で精製し pUC19 の XbaI-Hind III アームと T4 DNA リガーゼで結合させた。
結合反応により生成したプラスミド DNA を大腸菌 MC1061 株に導入した。
アンピシリン耐性の 4 クローン(pUC19t0#1-4)を培養し、プラスミド DNA の微量調製を行った。制限酵素消化(EcoRI, Hind III の二重消化)後のポリアクリルアミドゲル電気泳動で約 150 bp のバンドを確認した。 pUC19t0#1 の塩基配列をダイデオキシ法で確認した。
pUC19t0#1 の約 100 bp の XbaI-Hind III 断片と pQTF7.12#1 の約 2.5 kb の XbaI-Hind III 断片を T4 DNA リガーゼで結合させてから大腸菌 K802 株に導入した。
得られたプラスミド pQTF7Δcr(図4)の構造を制限酵素消化(XbaI, Hind III の二重消化)で確認した。アガロースゲル電気泳動で 121 bp の DNA のバンドが観察された。
【0060】
[実施例1] エピトープポリペプチドの精製
エピトープポリペプチド(配列番号:1)を封入体として保持する大腸菌から封入体画分を分離し、変性剤で抽出後、以下のように、1) 銅キレートカラムクロマトグラフィー、2) 陽イオン交換カラムクロマトグラフィー、そして3) 逆相カラムクロマトグラフィーの順にクロマト操作して精製した。
発現プラスミドpQTF7△cr(図4)で形質転換した大腸菌株K 802をファーメンター培養した。培養後の菌体45 g(湿菌体重量)を400 mLの50mMトリス酢酸緩衝液(pH 5.0)で懸濁しホモゲナイザーで破砕した。この破砕液を遠心(10,000 × g、20分間)して不溶性画分を得た。不溶性画分を400 mLの2%トリトンX-100を含む50mM トリス酢酸緩衝液(pH 5.0)で懸濁し、遠心(10,000 ×g、30分間)して封入体画分78 gを得た。この封入体画分に400 mLの1 M 塩酸グアニジン、5 M 尿素、0.02%酢酸を加え、室温で1時間撹拌溶解した後、遠心(10,000 × g、20分間)して上清を得た。
この上清を8M 尿素/ 0.2M 塩化ナトリウム/ 50mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0)と1:1で混合しpH7.0に調整した後、銅キレートストリームラインカラム(50 ×150 mm)に添加した。同上のバッファー3カラム容量でカラムを洗浄し非吸着物質を除いた後、8M 尿素/ 0.2M 塩化ナトリウム / 50mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.0)で溶出し、溶出液980 mLを得た。
この溶出液を酢酸でpH 4.0に調整し、8M 尿素/ 0.1M 塩化ナトリウム / 50mM トリス酢酸緩衝液(pH 4.0)で平衡化したSP-セファロースFFカラム( 50 × 100 mm )に添加した。8M 尿素/ 0.1M 塩化ナトリウム / 50mM 炭酸ナトリウム緩衝液 (pH 10.0)と8M 尿素/ 0.2 M 塩化ナトリウム / 50mM トリス酢酸緩衝液(pH 4.0)でカラムを洗浄後、8M 尿素/ 0.4 M 塩化ナトリウム / 50mM トリス酢酸緩衝液(pH 4.0)で溶出した。溶出液のA280を測定し、吸収のある画分720 mL得た。
溶出画分をさらに1%酢酸で平衡化したPOROS 50R2カラム ( 25 × 200 mm)に負荷した。12% アセトニトリル/1%酢酸で洗浄後、22%アセトニトリル/1%酢酸で溶出した。溶出液を凍結乾燥してポリペプチド208 mg(乾燥重量)を得た。この精製ポリペプチドの純度はポリペプチドとして99%だった。純度は逆相HPLC[検出器:紫外吸光光度計(測定波長:215nm)、カラム:CAPCELLPAK C18, SG 300Å 5 μm, 4.6 mm i.d.× 15 cm(資生堂)]で検定した。このポリペプチドには、12.5重量%の酢酸が含まれていた。ロット間の酢酸含有量のバラツキは、およそ8〜13重量%の範囲内と考えらる。
【0061】
【表1】
Figure 0003932272
【0062】
[試験例1] 酢酸含有量の異なるエピトープポリペプチドの安定性比較
1.酢酸含量の異なるエピトープポリペプチドの調製
実施例1で得られた精製エピトープポリペプチドに以下の処理を施して、酢酸含量の異なる6種類(試料1〜6)のエピトープポリペプチドを調製した。調製した各試料は、それぞれ最終の水分含量が異なると考えられるため、25℃50%(相対湿度)RHの湿度条件で6時間試料を調湿した後、保存した。
・ 試料1:無処置のエピトープポリペプチド
・ 試料2:エピトープポリペプチド約250mgに水25mLを加えて溶かし、凍結乾燥した
・ 試料3:エピトープポリペプチド約250mgに水25mLを加えて溶かし、凍結乾燥した。さらに得られた凍結乾燥品に水25mLを加えて溶かし、凍結乾燥した。この操作をさらにもう一度行い、凍結乾燥操作を合計で3回行った。
・ 試料4:エピトープポリペプチド約250mgを25℃13%RHのデシケーター中に5日間保存した。
・ 試料5:エピトープポリペプチド約250mgを25℃75%RHのデシケーター中に1日保存した後、25℃13%RHのデシケーターに4日間保存した。
・ 試料6:エピトープポリペプチド約250mgを酢酸蒸気で飽和したデシケーター中に6時間保存した。
【0063】
2.安定性保存
各試料(試料1〜6)約70mgの透明の気密性ガラス容器(ネジ蓋付き)に入れ、パラフィルムで封をした後、40℃/1週間保存した。
【0064】
3.測定条件
3.1. 酢酸
上記試料(試料1〜6)約10mgを精密に量り、水5mLを正確に加えて溶解し、試料溶液とした。また、酢酸約400mgを精密に量り、水を加えて混和し、正確に20mLとした。この液2mLを正確にとり、水を加えて正確に100mLとし、標準溶液とした。試料溶液及び標準溶液50μLにつき、次の条件で液体クロマトグラム法により試験を行い、それぞれの溶液から得られる酢酸のピーク面積を求め、次式より酢酸含量を算出した。
[計算式]
酢酸含量(%)= (At /As) × (Ws/ Wt) × 0.5
At :試料溶液の酢酸のピーク面積値
As :標準溶液の酢酸のピーク面積値
Wt :試料の秤量値(mg)
Ws :酢酸の秤量値(mg)
[試験条件]
検出器: 紫外吸光光度計(測定波長:210nm)
カラム: Inertsil ODS-3V 5 μm 4.6 mm i.d.×25 cm(GL Sciences Inc.)
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相: A液)0.085%リン酸液
B液)アセトニトリル/0.085%リン酸液混液(9:1)
グラジエントプログラム(リニア)を表2に示す。
【0065】
【表2】
Figure 0003932272
【0066】
流 量: 酢酸の保持時間が約6分になるように調整する(通常約1.0mL/min)
【0067】
3.2. 類縁タンパク質
試料約10mgを精密に量り、水5mLを正確に加えて溶解し、試料溶液とした。
試料溶液40μLにつき、次の条件で液体クロマトグラフ法により試験を行い、面積百分率により類縁物質含量を算出した。
[試験条件]
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:215nm)
カラム:CAPCELLPAK C18, SG 300Å 5 μm, 4.6 mm i.d.× 15 cm(資生堂)
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:A液)水/1 mol/Lリン酸・100 mmol/L過塩素酸ナトリウム混液(9:1)
B液)アセトニトリル/1 mol/Lリン酸・100mmol/L過塩素酸ナトリウム混液(9:1)
グラジェントプログラム(リニア)を表3に示す。
【0068】
【表3】
Figure 0003932272
【0069】
流 量: ポリペプチドの保持時間が約19分付近になるように調整する(通常約1.0 mL/min)
【0070】
3.3. 重合体
試料約10 mgを量り、水5 mLを正確に加え溶解し、この液を水で2倍に希釈し、試料溶液とした。試料溶液20μLにつき、次の条件で液体クロマトグラフ法により試験を行い、面積百分率により総重合体含量を求めた。
[試験条件]
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:215 nm)
カラム:TSK-GEL G4000SWXL,7.8 mm i.d.×30 cm(東ソー社製)
カラム温度:25℃付近の一定温度
移動相:水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸混液(600:400:1)
流量:ポリペプチドの保持時間が約18分付近になるように調整する(通常約0.5 mL/min)
【0071】
3.4. 含量
本品約10 mgを精密に量り(Wt, mg)、水5 mLを正確に加えて溶解し、試料溶液とした。また、ポリペプチド標準物質1バイアルに水2.5 mLを正確に加えて溶解し、標準溶液とした。試料溶液及び標準溶液40 μLにつき、次の条件で液体クロマトグラフ法により試験を行い、次式より本品の含量を算出した。
[計算式]
含量(%) = (At / As) × (Ws / Wt) × 200
At:試料溶液のポリペプチドピーク面積値
As:試料溶液のポリペプチドピーク面積値
Ws:ポリペプチド標準物質のポリペプチド含量値(mg/vial)
Wt:試料の秤量値(mg)
ポリペプチド含量 Ws=Wp×(1 - 0.01×F )
Wp:ポリペプチド標準物質の総タンパク質含量(mg)
F :ポリペプチド標準物質の総類縁タンパク質含量(%)
[試験条件]
3.2. 類縁タンパク質の[試験条件](液体クロマトグラム法)と同じ。
【0072】
[結果および考察]
各種操作を行って調製した試料(試料1〜6)の酢酸含量及び性状を表4に示す。
いずれも性状は「白色の綿状の塊」であったが、凍結乾燥を行って酢酸含量を減少させた試料は、帯電性に富む性質を示した。各種操作により、調製した試料の酢酸含量は6.1%〜17.9%であった。
【0073】
【表4】
Figure 0003932272
【0074】
表4に示した酢酸含量の異なるエピトープポリペプチド(試料1〜6)を40℃/1W保存したときの性状には変化が認められなかった。
エピトープポリペプチド(試料1〜6)中の酢酸含量と、40℃/1W保存後に認められた重合体との関係を(図5)に、類縁ポリペプチドの増加量との関係を(図6)に、そしてエピトープポリペプチドの残存率との関係を(図7)にそれぞれ示した。
重合体の増加量は酢酸含量が6.1%及び17.9%のエピトープペプチドで高い傾向が認められた。重合体の許容増加量を約1.5%と見積もると酢酸含量はおよそ7〜14%の範囲である。
類縁ポリペプチドの増加量は、当該エピトープポリペプチドの前に溶出する成分(低脂溶成分)と後に溶出する成分(高脂溶成分)に分けて評価したところ、酢酸含量が17.9%のエピトープポリペプチドで本体の前後に溶出する成分の増加量が高くなった。類縁ポリペプチドの許容増加量をおよそ3%以下に見積もると、酢酸含量はおよそ11%以下である。
含量(残存率)は、エピトープポリペプチド中の酢酸含量が10%付近で高く、酢酸含量の減少及び増加にしたがって低下することが明らかになった。残存率をおよそ98%と見積もると、酢酸含有量は、およそ9〜13%の範囲である。
以上の結果から、残存率、重合体及び分解生成物の生成量を総合的に考慮すると、エピトープポリペプチドは酢酸含量が9〜10%付近で最も安定であり、酢酸含量が7〜13%では比較的安定であることが示された。
【0075】
[試験例2] 溶解性試験
凍結乾燥操作で酢酸含量の異なるエピトープポリペプチドを調製し、GLP毒性試験で投薬溶媒に用いられる5%ブドウ糖溶液(日本薬局方)に対する25℃での溶解度を測定した。
1.操作法
1.1 酢酸含量の異なるエピトープポリペプチドの調製
実施例1と同一の方法で得られたエピトープポリペプチド(未処理試料)約0.5gに水50mLを加えて溶解し、凍結乾燥した(条件:25℃、1psi)。この操作を1回あるいは3回行った。
1.2 試料飽和溶液の調製
試料約50mgをガラス製試験管にとり、5%ブドウ糖溶液(日本薬局方:大塚製薬製)1mLを加えて25℃で泡を立てないように緩やかに振とうして溶解した(5分間隔で30秒振とう→静置)。さらに、試料約25mgずつ加え、振とうで試料が溶けなくなるまで操作を繰返した。試料が溶けなくなったら、さらに試料約25mgを加えて振とう操作(5分間隔で30秒振とう→静置を6回繰返す)を行った。上記の振とう操作で泡が立ち攪拌できなくなったら、遠心して泡を破壊してから振とう操作を行った。
その液を25℃、2000rpm/5分で遠心分離し、液層を0.45μmのメンブランフィルターでろ過して試料の飽和溶液を得た。
1.3 試料濃度の測定
飽和溶液中の試料濃度をUV法により測定した。飽和溶液を0.1mol/L塩酸で200〜400倍に希釈した後、280nmの吸光度(A280)を測定し、下式により試料濃度を算出した。
試料(mg/mL)= MW試料×F×A280/ε試料
ε試料 :エピトープポリペプチドの280nmにおけるモル吸光係数 (=20444)
MW試料:エピトープポリペプチドの分子量 (=12303)
F :希釈率
1.4 酢酸含量の測定
試験例1の「3.1. 酢酸」に記載の測定方法に準じて測定した。
【0076】
2.結果
凍結乾燥により調製した酢酸含量の異なる試料の日本薬局方5%ブドウ糖溶液に対する25℃での溶解度を表5に示す。
【0077】
【表5】
Figure 0003932272
【0078】
凍結乾燥により酢酸含量が13.0%(未処理)〜6.7%の試料が得られた。試料の溶解度は、酢酸含量の減少に伴って低下し、酢酸含量6.7%の試料の溶解度は78mg/mLであった。
今回調製した酢酸含量が13.0%〜6.7%のエピトープポリペプチドはいずれも50mg/mL付近の濃度まで比較的容易に溶解したが、それより高濃度では試料が浮遊して溶解に時間を要し、極めて泡立ち易かった。また、エピトープポリペプチドが100mg/mL以上の5%ブドウ糖溶液は粘性が高く、0.45μmのメンブランフィルターによるろ過操作は困難であり、25℃で1日静置するとゲル状になった。
【0079】
[製剤例1]
表6に示すように、配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有する多重T細胞エピトープポリペプチド(以下、化合物Aと略記する)に対して、精製白糖を含有する水溶液(化合物濃度:0.12mg/mL、2mg/mL)を調製し、塩酸によりpHを調整したのち、除菌ろ過により得られた水溶液1mLをバイアルに分注、ゴムセンを半施栓後、凍結乾燥を行った。凍結乾燥終了後、バイアル空間部を窒素ガスで置換した後、ゴムセンを施栓、キャップで巻締することにより凍結乾燥品を作製した。
【0080】
【表6】
Figure 0003932272
【0081】
[実験例1]
40℃相対湿度75%で2箇月、4箇月および6箇月、25℃相対湿度60%で6箇月保存した。製剤の含量(残存率)、類縁タンパク質、重合体を調べたところ、表7の結果を得た。処方Bについては酢酸を測定した。
【0082】
【表7】
Figure 0003932272
【0083】
[製剤例2]
表8に示すように、化合物A 2mgに対して、マンニトール2mg、20mg含有する水溶液(化合物濃度:2mg/mL)を調製し、除菌ろ過により得られた水溶液1mLをバイアルに分注、ゴムセンを半施栓後、凍結乾燥を行った。凍結乾燥終了後、バイアル空間部を窒素ガスで置換し、ゴムセンを施栓、キャップで巻締することにより凍結乾燥品を作成した。
【0084】
【表8】
Figure 0003932272
【0085】
実験例2
40℃相対湿度75%で1箇月保存した。製剤の含量(残存率)、類縁タンパク質、重合体を測定したところ、表9の結果を得た。
【0086】
【表9】
Figure 0003932272
【0087】
[比較例1]
糖類を加えずに、化合物Aを注射用水で溶解し、表10に示す処方により、各水溶液(化合物濃度:2mg/mL)を調製し、必要に応じて塩酸によりpHを調整したのち、除菌ろ過により得られた各水溶液0.5mLをバイアルに分注、ゴムセンを半施栓後、凍結乾燥を行った。凍結乾燥終了後、バイアル空間部を窒素ガスで置換し、ゴムセンを施栓、キャップで巻締することにより凍結乾燥品を作製した。
【0088】
【表10】
Figure 0003932272
【0089】
実験例3
40℃相対湿度75%で1箇月保存した。製剤の含量(残存率)、類縁タンパク質、重合体を測定したところ、表11の結果を得た。
【0090】
【表11】
Figure 0003932272
【0091】
実験例1および実験例2と実験例3を比較し、本発明のエピトープポリペプチドの凍結乾燥製剤において、精製白糖およびマンニトールを添加することにより、保存による類縁タンパク質および重合体の生成を少なくすることができ、安定性に優れた製剤とできることが分かった。
【0092】
【配列表】
Figure 0003932272
Figure 0003932272
Figure 0003932272
Figure 0003932272
Figure 0003932272
Figure 0003932272
Figure 0003932272
Figure 0003932272
Figure 0003932272
Figure 0003932272
Figure 0003932272
Figure 0003932272
【0093】
【発明の効果】
本発明により、スギ花粉の主要アレルゲンタンパク質Cry j 1およびCry j 2由来のT細胞エピトープからなる、溶解性がよく長期間安定な凍結乾燥品で、5〜15%の酢酸を含む多重T細胞エピトープポリペプチドの酢酸塩組成物が提供された。該多重T細胞エピトープポリペプチド酢酸塩組成物は、スギ花粉症の予防または治療のための注射剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 多重T細胞エピトープポリペプチドをコードするDNAの構築図を示す。
【図2】 多重T細胞エピトープポリペプチドのアミノ酸配列および該ポリペプチドをコードする塩基配列を示す。塩基配列の太字の部分はポリペプチドのアミノ酸配列をコードする領域を示す。配列中下線を付した塩基はプラスミドの構築を容易にする等の理由で変異させてある。小文字はプラスミドあるいはPCRプライマー由来の塩基配列を示す。
【図3】 発現プラスミドpQTF△crのtrpプロモーター周辺の塩基配列(大文字)および多重T細胞エピトープポリペプチドのN末端のアミノ酸配列をコードする塩基配列(小文字)を示す。□で囲った部分は−10領域および−35領域を示し、下線部分はSD配列を示し、そして二重の下線部分は主要な制限酵素認識部位を示す。
【図4】 発現プラスミドpQTF7△crを示す。trpプロモーター、2つのSD配列、多重T細胞エピトープポリペプチドをコードする領域、λファージ由来のターミネーターt0、主要な制限酵素認識部位、およびアンピシリン耐性遺伝子が示されている。
【図5】 多重T細胞エピトープポリペプチドの酢酸含有量(%)と該ポリペプチドの重合体増加量(%)との関係を示す。
【図6】 同上酢酸含有量(%)と該ポリペプチドの類縁ポリペプチド増加量(%)との関係を示す。
【図7】 同上酢酸含有量(%)と残存含有量(%)との関係を示す。

Claims (4)

  1. 配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有する多重T細胞エピトープポリペプチド100重量部に対し、酢酸を4〜20重量部を含有してなる組成物を含む凍結乾燥製剤。
  2. 配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有する多重T細胞エピトープポリペプチド100重量部に対し、酢酸を5〜18重量部を含有してなる組成物を含む凍結乾燥製剤。
  3. 配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有する多重T細胞エピトープポリペプチド100重量部に対し、酢酸を7〜15重量部を含有してなる組成物を含む凍結乾燥製剤。
  4. 配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有する多重T細胞エピトープポリペプチド100重量部に対し、酢酸を9〜12重量部を含有してなる組成物を含む凍結乾燥製剤。
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