JP3931978B2 - 棟、隅棟用面戸付き台のし瓦 - Google Patents

棟、隅棟用面戸付き台のし瓦 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、棟、隅棟用面戸付き台のし瓦に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、面戸付き台のし瓦(面戸付き棟瓦)に関する技術としては、次に挙げるような文献があるので、以下に説明する。
【0003】
文献(1)は、特開2000−328722の面戸付のし瓦であり、内容は、長辺と短辺とでなる本体と、棧瓦の上面に対応した先端曲線形状を備えた面戸部とでなり、本体及び面戸部の一端面に設けた突部と、他端面に設けた突部を受け入れるための切欠部とを設けた構成であり、棧瓦の配列ピッチのばらつきに対応し、面戸付きのし瓦相互間の隙間発生と、相互間の干渉回避を図ることを意図した面戸部付のし瓦である。
【0004】
また文献(2)は、実用新案登録第3067603号の隅棟面戸瓦であり、隣接する隅棟面戸瓦の継ぎ目が棧瓦の棧峠部に配置される構成であり、内容は、隅棟面戸瓦の瓦本体の長手方向中心部に切条、また端面に削ぎ面を設け、その面戸の略曲面端部長手方向の一端に切欠き部、及び端縁にカット用の肉薄部を設け、この隅棟面戸瓦は、棧瓦葺き合わせ段差に合致し曲線形状に対応するカット仕上げの便を意図する隅棟面戸瓦である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
文献(1)は、突部と切欠との重なりの範囲内で、棟の妻方向の寸法調整を図る面戸付のし瓦であるが、配列ピッチの調節範囲は、切欠と突部の重なり長さ分に限定され、棧瓦のきき幅寸法差、屋根の勾配変化に対応しきれない課題と、さらに本体の表面に、突条を形成しない構造であり、葺き土との馴染み手段がなく面戸瓦のズレ落ち防止が図れない課題とがある。
【0006】
また文献(2)は、隅棟の棧瓦の表面曲線に接して葺設する面戸瓦ではあるが、形状を考えた場合、隅棟用に限定される虞がある。また棧瓦の棧部において、瓦本体を突合せ葺設する構成であるので、葺き合わせ有効長調節の問題、台のし部仕上げ面の平坦度、安定性確保が図れない課題と、さらに表、裏面にズレ止め手段がない課題とがある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、台のし瓦の台のし部表面の他方端側に設けた被葺き合せ縁部と、他の台のし瓦の台のし部の一方端側とを被嵌する葺き合わせで、棟、隅棟の葺上げの耐震効果、耐風雨効果が確保できる棟、隅棟用面戸付き台のし瓦、また棧瓦の表面形状及び/又は葺き上げ形態に整合できる面戸部を備えた耐震効果、耐風雨効果が確保できる棟、隅棟用面戸付き台のし瓦、又はのし瓦積み上げ基盤の安定化、葺き合わせ調整代を広範囲で確保できる棟、隅棟用面戸付き台のし瓦、等を提供する。また漆喰、手間等を要さない棟、隅棟用面戸付き台のし瓦を提供する。
【0008】
請求項1は、棟、隅棟の長手方向に葺設された、この棟、隅棟の一方側と、その他方側の棧瓦の棧部に、それぞれ整合する一方の窪み部、及び他方の窪み部と、この一方の窪み部、及び他方の窪み部の左右に設けた一方側の第1の棧瓦及び他方側の第1の棧瓦、及び隣接する一方側の第1の棧瓦及び他方側の第2の棧瓦の谷面にそれぞれ整合する一方の面戸部及び他方の面戸部と、この一方の面戸部及び他方の面戸部の各面戸部間に設けた台のし部とで構成した棟、隅棟用面戸付き台のし瓦であって、
前記一方の面戸部及び他方の面戸部に設けた段付き縁部の長手方向に設けたテーパー部を介して、前記台のし瓦の他方妻側を形成し、この他方妻側は、一方の面戸部及び他方の面戸部に一方の段付き縁部及び他方の段付き縁部と、その台のし部の表面に一段低い上面を有する被葺き合せ縁部とで構成し、そして、この他方妻面は、こののし瓦の一方妻側より肉厚相当寸法分幅狭に形成し、
この他方妻側に、この一方妻側が葺き合されることを特徴とした棟、隅棟用面戸付き台のし瓦である。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の目的を達成し、かつ葺き合せ寸法調整が図れる棟、隅棟用面戸付き台のし瓦を提供する。
【0010】
請求項2は、請求項1に記載の台のし瓦の一方端側の端面裏側に、葺き合せ寸法の調整を意図する切り詰めカットに便利な薄肉部を設けたことを特徴とする棟、隅棟用面戸付き台のし瓦である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を説明すると、図1・2・3・4に示すように、棟の一方棟際(一方棟側)に葺設した第1の棧瓦と隣接する第2の棧瓦(第2の棧瓦とする)の上に、第1の棟用面戸付き台のし瓦(第1の棟用台のし瓦とする)の半截した一方棟側の一方・他方の面戸部(一方等面戸部とする)を整合し、この第1の棟用台のし瓦の台のし部表面が略水平状態を確保するように葺設する。この作業により、第1の棟用台のし瓦の台のし部を、安定用の葺き土を介し棟芯材に、確実かつ固着した状態で葺設できる。この際、第1の棟用台のし瓦の台のし部の一方側を、第1の棧瓦Aの谷芯に配置し、この台のし部の他方側に設けた被葺き合せ縁部を有する台のし部の他方側を第2の棧瓦A1の谷芯に配置する。そして、この台のし部の他方端側に設けた被葺き合せ縁部に重合葺設(被嵌)される第2の棟用面戸付き台のし瓦(第2の棟用台のし瓦とする)の一方側が、第2の棧瓦A1の谷芯に配置されるように葺設する。従って、第1、第2の棟用台のし瓦相互の継ぎ目が第1、第2、第3の棧瓦A、A1、A3の最も安定度が高い谷芯に衝止し、第1・第2の棟用台のし瓦の台のし部表面が略一線のレベル(略同レベルになり)を形成する。また第1の棟用台のし瓦は、上層に施工されるのし瓦の土台となり棟積みの基礎の役割を担う構成である。そして、この場合、棧瓦の棟際曲面と第1・第2の棟用台のし瓦の台のし部とで形成されるカマボコ形空間を面戸部が塞ぎ、例えば、漆喰の塗込、仕上り等を省略して施工の簡略化と、保全性の向上とが図れること、又は棧瓦の表面に面戸部、窪み部等を略当接し、耐震、耐風雨性能の向上に役立つこと、等の効果がある。
【0012】
この第1の棧瓦Aの棧側端と第2の棧瓦A1の袷側表面で形成される段差に、第1の台のし瓦の面戸部の切り上がり端面が衝止するとともに、第1の棧瓦の谷面に第1の棟用台のし瓦の面戸部が整合し、また第2の棧瓦の谷面に第2の棟用台のし瓦の面戸部が整合し、かつこの第2の棧瓦A1の棧側端と第3の棧瓦A−2の袷側表面で形成される段差に、該第2の台のし瓦の面戸部の切り上がり端面が衝止し、またこの第3の棧瓦A−2の谷面に第3の台のし瓦の面戸部が整合する。この葺設等の作業と、平面視して他方端側に搾り部を有する方形状(略方形状とする)の第1の棟用台のし瓦の他方端側(被葺き合せ縁部)に、同形状の第2の棟用台のし瓦の一方端側の裏面が重合するように葺設することで、隣接する第2の棟用面戸付き台のし瓦の有効働き幅の調整が可能になる。尚、この有効働き幅は棟際の棧瓦A等の割り付けきき幅寸法に対応するのが望ましく、台のし部表面の被葺き合せ縁部の長さ(他方端側の最端部から被葺き合せ縁部基部まで)の寸法範囲内に於ける一方端側の部分(一方端とする)と被葺き合せ縁部との重なり長さの調整で達成される。またこの有効働き幅の調整は、一方端側の薄肉片の切り詰める方法と、葺き合せ時に他方端の被葺き合せ縁部の基部と一方端との隙き間隔を伸縮(葺き合せ間隔の調整)する方法とが採用できる。即ち、「1」薄肉片の切り詰める方法と、「2」葺き合せ間隔調整方法とが採用でき、「1」、「2」の何れか、又は「1」、「2」の組み合せ等を介して働き長さの調整が、広範囲にできる利点がある。
【0013】
尚、図5は重なり長さを、被葺き合せ縁部の有効長さの範囲内で調節可能な葺き合わせ状態を示し、また図6は平面視略方形状の搾り部及び/又はテーパー部を介して第1の棟用台のし瓦に第2の棟用台のし瓦を被嵌し、この第1の棟用台のし瓦と第2の棟用台のし瓦とを連設した状態を示す。
【0014】
そして、第1の棟用台のし瓦に被嵌された第2の棟用台のし瓦の連接された表面は略同一レベルに揃って(略フラットな表面を確保し)、この一例では(図1の例では、分割して左右に葺設した棟用台のし瓦の上層に)、大のし瓦及び/又はのし瓦が複数段積み重ね葺設された後、冠瓦(棟瓦)が葺設される。また前記第1の棟用台のし瓦の面戸部(他方端側)に設けた段付き縁部には、第2の棟用台のし瓦の面戸部(一方端側)が被嵌されるが、この第2の棟用台のし瓦の面戸部の肉厚は、前記段付き縁部に吸収される。従って、第1の棟用台のし瓦の面戸部のテーパー部を介して面戸部外側面は略々面一に形成される。
【0015】
前記第1の棟用台のし瓦に第2の棟用台のし瓦を被嵌(連設)する構成を総括すると、第1の棟用台のし瓦の被葺き合せ部に第2の棟用台のし瓦の一方端側を被嵌し、この第1の棟用台のし瓦と第2の棟用台のし瓦とを連設することで、当該第1の棟用台のし瓦と第2の棟用台のし瓦の葺設時の幅及び/又は高さの略均等化を達成して美観の向上と、また第1の棟用台のし瓦に被嵌された第2の棟用台のし瓦の葺設時の幅及び/又は高さの一体化を達成して、耐震、耐風雨効果が図れる棟を構築できる。
【0016】
尚、第1の棟用台のし瓦、第2の棟用台のし瓦等(各棟用面戸付き台のし瓦)の一方端側・他方端側の面戸部の継ぎ目(第1の棟用台のし瓦の被葺き合せ縁部に、第2の棟用台のし瓦の一方端側(裏面)を被嵌して形成された継ぎ目)は、第1の棧瓦〜第3の棧瓦等(各棧瓦)A〜A−2等の谷芯(棧瓦の葺設時に下地に密接し安定度が最良)に衝止し、各棟用面戸付き台のし瓦の面戸部に形成された窪みは各棧瓦A等の棧部に整合する。尚、各棧瓦A等の棧部と窪み部との間に、隙間(図示せず)を形成して、各棟用面戸付き台のし瓦の施工時に、仕上り面の安定性、平衡性、直線性を確保し棟積みの基礎として信頼度が高まること等に役立てることも可能である。
【0017】
以後は、原則として、前記作業及び葺設等を、順次繰返することで、この一例の棟が構築される。そして、総合的な調整として、「1」、「2」を介して働き長さの調整ができる。
【0018】
本発明の他の実施形態を、図7にて説明する。この形態は軒先側から正面視して右側の隅棟(右隅棟とする)において、右隅棟際まで葺き詰められた複数の隅棟用棧瓦(略三角形にカットされた棧瓦を云う)の上に、隅棟芯に沿って隅棟用面戸付き台のし瓦を表面視して他方端側上方(棟方向)に向って左側の半截片(右隅棟用とする)を葺設する例である。
【0019】
この場合第1の右隅棟用面戸付き台のし瓦(第1の右隅棟用台のし瓦)の他方側を棟方向に配し、面戸部の窪み部を第1の右隅棟用棧瓦の棧部に載置し、面戸部の切り上がり端面に棧瓦の棧側端を当接する。さらに、面戸部の一方端側が棧瓦の谷心に合致するように第1の右隅棟用面戸付き台のし瓦の有効長さを調整(後述)する。
【0020】
次いで、この第1の右隅棟用台のし瓦の棟方向側に隣接し、次の第2の右隅棟用面戸付き台のし瓦(第2の右隅棟用台のし瓦とする)が隅棟芯に副って葺設される。この際第2の右隅棟用台のし瓦の一方端側が、第1の右隅棟用台のし瓦の被葺き合せ縁部に被さり、同時に第2の右隅棟用台のし瓦の一方側面戸部の一方端側に、第1の右隅棟用台のし瓦の段付き縁部の外側が嵌入される(重なり合い構成)。従って、第2の右隅棟用台のし瓦と第1の右隅棟用台のし瓦の葺設時の幅及び/又は高さの略均等化を達成して美観の向上と、また第1の右隅棟用台のし瓦に被嵌された第2の右隅棟用台のし瓦の葺設時の幅及び/又は高さの一体化を達成して、耐震、耐風雨効果が図れる隅棟を構築できる。前記重なり合い構成(重なり長さの伸縮)がそれぞれの右隅棟用台のし瓦の有効長の調整を可能とする。尚、第2の左隅棟用台のし瓦と、第1の左隅棟用台のし瓦の各構成は、前記第2の右隅棟用台のし瓦と、第1の右隅棟用台のし瓦とに準ずる。
【0021】
またこの構成でそれぞれの右隅棟用台のし瓦の台のし部の連設表面は略フラットな表面を確保し、面戸部の重なりは、前述の例と同様に、葺合せと、テーパー部を介して幅及び/又は高さが略面一に形成される。また面戸部においても同様であり、それぞれ前述の例に準ずる。この場合、第2の右隅棟用台のし瓦の一方軒側を第2の右隅棟用棧瓦の谷芯に配置し、面戸部の窪み部を棧瓦の棧部に載置し、面戸部の切り上がり端面に棧瓦の棧側端を当接するこれまでの一連の葺設施工に際し、隅棟用面戸付き台のし瓦の面戸部窪み部と棧瓦棧部との間に若干の隙間(図示せず)を設ける(必要に応じ窪み部縁薄肉片を抉り調節する)ことにより、曲面構成の棧瓦にあって最も安定する(下地に密接)谷芯に面戸部の両端部(棟全体を担う脚部)が衝止し、各々の台のし部の表面は略フラットな表面を確保することと相俟って、上層に積まれるのし瓦(図1参照)の安定性の向上と、葺設の容易化等に役立つ利点がある。またのし部表裏面に設けた係止突起及び突条は、棟芯を形成する葺き土に喰い込み、隅棟用台のし瓦の外れ止めに有効で、棟全体の強化に寄与する。
【0022】
更に屋根勾配の変化、棧瓦の葺設精度の差異、並びに隅棟用台のし瓦の焼成歪み等で夫々の隅棟用台のし瓦の有効長さ(葺き合わせ寸法)の調整、或いは面戸部下縁曲線端面形状の調整を必要とする場合には、隅棟用台のし瓦の一方端側及び面戸部略曲線裾部に設けた薄肉片を切り詰め、或いは削る、抉る等で対処する構成も可能である。
【0023】
尚、図8にて示す実施の形態は、前述の右隅棟に対称となる左隅棟に、隅棟用台のし瓦の他方棟側を上方(棟方向)に表面視右側の半截片(左隅棟用)を使用した例である。
【0024】
以上で連設された左右の隅棟用台のし瓦で構成された基盤(土台)上に、棟芯を形成する葺き土を介し、左右側にのし瓦を積層、葺設し、最上層に冠瓦を配置し棟芯状に固着し、この一例の隅棟の構築が完成する。そして、前述の前記作業及び葺設等を、順次繰返すことで、この一例の隅棟が構築される。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を、一例を示した図面を参照して説明する。尚、対称関係となる部材は、要部の部材を除いて同じ符合及び名称を使用する。
【0026】
図1〜図6に示す棟用面戸付き台のし瓦(棟用台のし瓦)について説明する。1は第1の棟用台のし瓦で、この第1の棟用台のし瓦1は棧瓦(例えば、第1の棧瓦A)の棧部Bに整合する窪み部200と、この第1の棟用台のし瓦1に隣接する少なくとも二枚の棧瓦(例えば、第1の棧瓦A、第2の棧瓦A1)の谷面(例えば、第1の棧瓦A、第2の棧瓦A1の谷面C、C−1)に整合する略曲線裾部201、202とを備えた一方の面戸部2と、一方の面戸部2に対峙し、かつ対称関係となる同構成の他方の面戸部20と、この一方の面戸部2と他方の面戸部20間に設けられた台のし部3とで構成されている。図中203は一方の面戸部2(他方の面戸部20)の他方端側Z部位を内方に折曲げ形成した段付き縁部を示す。また204は一方の面戸部2(他方の面戸部20)の切り上がり端面を示す。尚、205は一方の面戸部2(他方の面戸部20)の段付き縁部203の長手方向の内側に形成したテーパー部(テーパー形状)である。
【0027】
そして、第1の棟用台のし瓦1(台のし部3)の一方妻側1a(一方側)の幅100aは、他方妻側1bの幅100bより面戸部2(20)の肉厚相当寸法分大きく構成されており、この台のし部3は平面視して略方形状を呈する。またこの他方妻側1b(他方側)には、被葺き合せ縁部4が設けられている。但し、この被葺き合せ縁部4は、台のし部3の他方端側(Z)の表面3aから台のし部3の肉厚相当寸法分を一段下げて設ける。従って、第1の棟用台のし瓦1の被葺き合せ縁部4の表面4aには、第2の棟用台のし瓦1−1の一方妻側1aの裏面3bが重ね葺きされるとともに、第1の棟用台のし瓦1の一方(他方)の面戸部2(20)の外側2a(20a)に、第2の棟用台のし瓦1−1の一方(他方)の面戸部2−1(20−1)の内側2b−1(20b−1)が重ね葺きされる。従って、第1の棟用台のし瓦1の台のし部3の表面3aは、第2の棟用台のし瓦1−1の台のし部3−1の表面3A1とは略同レベルXになり、また第1の棟用台のし瓦1の一方(他方)の面戸部2(20)の外側表面と、第2の棟用台のし瓦1−1の一方(他方)の面戸部2−1(20−1)との間は略面一に形成される。そして、この第1の棟用台のし瓦1と第2の棟用台のし瓦1−1の一方(他方)の面戸部2−1(20−1)の一方妻側1aの側端1cは、第1、第2の棧瓦の谷心D、D1に配置される。図中400は被葺き合せ縁部4の基部を示す。尚、この被葺き合せ縁部4を、台のし部3の表面3aのみに設ける構成であり、第1の棟用台のし瓦1と、第2の棟用台のし瓦1−1との葺き合せ間より進入した雨水を、一方・他方の段付き縁部203を介し棧瓦の谷面C1に誘導し、雨仕舞の向上に役立つ特徴がある。
【0028】
尚、5は薄肉部で、台のし部3の一方妻側1aの一方端側(Z−1)裏面3bを削いで設けられており、棟用台のし瓦1の葺き合せ寸法を調整(利き幅調整)を図るために、必要時カットする際の容易化に役立つ特徴がある(以下同じ)。図中6は台のし部3の表面3aに設けた突条で、葺き土に喰い込み、棟用台のし瓦1の滑落防止に利用される。また台のし部3の裏面3bに半截用の切条7と、切条7の近傍に滑落防止用の係止突起8を対で設ける。尚、裏面3bには窪み部200近傍に凹部9を形成し、棧部Bとの整合性向上に利用する。
【0029】
図7〜図12に示す隅棟用面戸付き台のし瓦(第1の隅棟用台のし瓦)について説明する。1000は第1の隅棟用台のし瓦で、この第1の隅棟用台のし瓦1000は棧瓦(例えば、第1の隅棟用棧瓦A1)の棧部B1(B1−1)に整合する窪み部200000と、この第1の隅棟用台のし瓦1000に隣接する少なくとも二枚の棧瓦(例えば、第1の隅棟用棧瓦A1、第2の隅棟用棧瓦A1−1)の谷面(例えば、第1の隅棟用棧瓦A1、第2の隅棟用棧瓦A1−1の谷面C1、C1−1)に整合する略曲線裾部200001、200002とを備えた一方の面戸部2000と、この一方の面戸部2000に対峙し、同構成の他方の面戸部20000と、この一方の面戸部2000と他方の面戸部20000間に設けられた台のし部3000とで構成されている。図中200003は一方の面戸部2000(他方の面戸部20000)の他方端側Z部位を内方に折曲げ形成した段付き縁部を示す。また200004は一方の面戸部2000(他方の面戸部20000)の切り上がり端面を示す。尚、200005は一方の面戸部2000(他方の面戸部20000)の段付き縁部203の長手方向の内側に形成したテーパー部(テーパー形状)である。また図中D1は第1の隅棟用棧瓦A1の谷心、D1−1は第2の隅棟用棧瓦A1−1の谷心を示す。
【0030】
そして、第1の隅棟用台のし瓦1000(台のし部3000)の一方軒側1000a(一方側)の幅100000aは、他方棟側1000b(他方側)の幅100000bより面戸部2000(20000)の肉厚相当寸法分大きく構成されており、この台のし部3000は平面視して略方形状を呈する。またこの他方棟側1000bには、被葺き合せ縁部4000が設けられている。但し、この被葺き合せ縁部4000は、台のし部3000の他方端側(Z)の表面3000aから台のし部3000の肉厚相当寸法分を一段下げて設ける。従って、第1の隅棟用台のし瓦1000の被葺き合せ縁部4000の表面4000aには、第2の隅棟用台のし瓦1000−1の一方軒側1000aの裏面3000bが重ね葺きされるとともに、第1の隅棟用台のし瓦1000の面戸部2000(20000)の外側2000a(20000a)に、第2の隅棟用台のし瓦1000−1の面戸部2000−1(20000−1)の内側2000b−1(20000b−1)が重ね葺きされる。従って、第1の隅棟用台のし瓦1000の台のし部3000の表面3000aは、第2の隅棟用台のし瓦1000−1の台のし部3000−1の表面3000A1と略同レベルX1になり、また第1の隅棟用台のし瓦1000の面戸部2000(20000)の外側2000a(20000a)と、第2の隅棟用台のし瓦1000−1の面戸部2000−1(20000−1)の外側2000a(20000a)とは略面一に形成される。そして、この第1の隅棟用台のし瓦1000と第2の隅棟用台のし瓦1000−1との重ね葺き箇所が、第2の隅棟用棧瓦A1−1の谷面である。図中400000は被葺き合せ縁部400の基部を示す。尚、この被葺き合せ縁部400を、台のし部3000の表面3000aのみに設ける構成であり、第1の隅棟用台のし瓦1000と、第2の隅棟用台のし瓦1000−1との葺き合せ間より進入した雨水を、一方・他方の段付き縁部200003を介し棧瓦の谷面C1に誘導し、雨仕舞の向上に役立つ特徴がある。
【0031】
尚、5000は薄肉部で、台のし部3000の一方軒側1000aの一方端側(Z−1)裏面3000bを削いで設けられており、第1の隅棟用台のし瓦1000の葺き合せ寸法(有効長さ)の調整を図るために、必要時カットする際の容易化に役立つ特徴がある。図中6000は台のし部3000の表面3000aに設けた突条で、葺き土の滑落防止と、のし瓦等の安定性の確保、更に潜入雨水の遡上防止等として利用される。また台のし部3000の裏面3000bに半截用の切条7000と、切条7000の近傍に葺き土、支持金具等に係止する係止突起8000を対で設ける。尚、図中2000c(20000c)は、面戸部2000(20000)の下端に設けたカット用の薄肉片であり、この薄肉片2000c(20000c)を、適宜カットすることで、例えば、第1の隅棟用棧瓦A1、第2の隅棟用棧瓦A1−1の棧部B1(B1−1)又は谷面C1、C1−1等に整合する。尚、必要により裏面3000bには窪み部200000近傍に凹部9000を形成し、棧部B1との整合性の向上に利用する。
【0032】
【発明の効果】
請求項1の発明は、棟、隅棟の長手方向に葺設された、棟、隅棟の一方側と、その他方側の棧瓦の棧部に、それぞれ整合する一方の窪み部、及び他方の窪み部と、一方の窪み部、及び他方の窪み部の左右に設けた一方側の第1の棧瓦及び他方側の第1の棧瓦、及び隣接する一方側の第1の棧瓦及び他方側の第2の棧瓦の谷面にそれぞれ整合する一方の面戸部及び他方の面戸部と、この一方の面戸部及び他方の面戸部の各面戸部間に設けた台のし部とで構成した棟、隅棟用面戸付き台のし瓦であって、一方の面戸部及び他方の面戸部に設けた段付き縁部の長手方向に設けたテーパー部を介して、台のし瓦の他方妻側を形成し、他方妻側は、一方の面戸部及び他方の面戸部に一方の段付き縁部及び他方の段付き縁部と、その台のし部の表面に一段低い上面を有する被葺き合せ縁部とで構成し、そして、他方妻面は、のし瓦の一方妻側より肉厚相当寸法分幅狭に形成し、他方妻側に、一方妻側が葺き合されることを特徴とした棟、隅棟用面戸付き台のし瓦である。従って、台のし瓦の台のし部表面の他方端側に設けた被葺き合せ縁部と、他の台のし瓦の台のし部の一方端側とを被嵌する葺き合わせで、棟、隅棟の葺上げの耐震効果、耐風雨効果が確保できる棟、隅棟用面戸付き台のし瓦、また棧瓦の表面形状及び/又は葺き上げ形態に整合できる面戸部を備えた耐震効果、耐風雨効果が確保できる棟、隅棟用面戸付き台のし瓦、又はのし瓦積み上げ基盤の安定化、葺き合わせ調整代を広範囲で確保できる棟、隅棟用面戸付き台のし瓦、等を提供できる。また漆喰、手間等を要さない棟、隅棟用面戸付き台のし瓦を提供できる。
【0033】
請求項2の発明は、請求項1に記載の台のし瓦の一方端側の端面裏側に、葺き合せ寸法の調整を意図する切り詰めカットに便利な薄肉部を設けたことを特徴とする棟、隅棟用面戸付き台のし瓦である。従って、請求項1の目的を達成し、かつ葺き合せ寸法調整が図れる棟、隅棟用面戸付き台のし瓦を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の棟用面戸付き台のし瓦使用の一例を示す断面模式図
【図2】図1の側面図
【図3】本発明の棟用面戸付き台のし瓦を示しており、分割前の表面斜視図
【図4】図3の裏面斜視図
【図5】図3の棟用面戸付き台のし瓦の連繋状態を示す側面図
【図6】図5の裏面図
【図7】本発明の隅棟用面戸付き台のし瓦使用の一例を示す一方側の側面図
【図8】本発明の隅棟用面戸付き台のし瓦使用の一例を示す他方側の側面図
【図9】本発明の隅棟用面戸付き台のし瓦を示しており、分割前の表面斜視図
【図10】図9の裏面斜視図
【図11】図9の隅棟用面戸付き台のし瓦の連繋状態を示す側面図
【図12】図11の裏面図
【符号の説明】
1 第1の棟用面戸付き台のし瓦
1a 一方妻側(一方側)
1b 他方妻側(他方側)
1c 側端
1−1 第2の棟用面戸付き台のし瓦
100a 幅(広い)
100b 幅(狭い)
2 一方の面戸部
2−1 一方の面戸部
2a 外側
2b−1 内側
200 窪み部
201 略曲線裾部
202 略曲線裾部
203 段付き縁部
204 切り上がり端面
205 テーパー部
20 他方の面戸部
20−1 他方の面戸部
20a 外側
20b−1 内側
3 台のし部
3a 表面
3b 裏面
3−1 台のし部
3a−1 表面
4 被葺き合せ縁部
4a 表面
400 基部
5 薄肉部
6 突条
7 半截用切条
8 係止突起
9 凹部
1000 第1の隅棟用面戸付き台のし瓦
1000a 一方軒側(一方側)
1000b 他方棟側(他方側)
1000−1 第2の隅棟用面戸付き台のし瓦
100000a 幅(広い)
100000b 幅(狭い)
2000 一方の面戸部
2000−1 一方の面戸部
2000a 外側
2000b−1 内側
2000c 薄肉片
200000 窪み部
200001 略曲線裾部
200002 略曲線裾部
200003 段付き縁部
200004 切り上がり端面
200005 テーパー部
20000 他方の面戸部
20000−1 他方の面戸部
20000a 外側
20000b−1 内側
20000c 薄肉片
3000 台のし部
3000a 表面
3000b 裏面
3000−1 台のし部
3000a−1 表面
4000 被葺き合せ縁部
4000a 表面
400000 基部
5000 薄肉部
6000 突条
7000 半截用切条
8000 係止突起
9000 凹部
A 第1の棧瓦
A−1 第2の棧瓦
A−2 第3の棧瓦
B 棧部
C 谷面
C−1 谷面
D 谷心
D−1 谷心
X 略同レベル
Z 他方端側
A1 第1の隅棟用棧瓦
A1−1 第2の隅棟用棧瓦
B1 棧部
B1−1 棧部
C1 谷面
C1−1 谷面
D1 谷心
D1−1 谷心
X1 略同レベル
Z−1 一方端側

Claims (2)

  1. 棟、隅棟の長手方向に葺設された、この棟、隅棟の一方側と、その他方側の棧瓦の棧部に、それぞれ整合する一方の窪み部、及び他方の窪み部と、この一方の窪み部、及び他方の窪み部の左右に設けた一方側の第1の棧瓦及び他方側の第1の棧瓦、及び隣接する一方側の第1の棧瓦及び他方側の第2の棧瓦の谷面にそれぞれ整合する一方の面戸部及び他方の面戸部と、この一方の面戸部及び他方の面戸部の各面戸部間に設けた台のし部とで構成した棟、隅棟用面戸付き台のし瓦であって、
    前記一方の面戸部及び他方の面戸部に設けた段付き縁部の長手方向に設けたテーパー部を介して、前記台のし瓦の他方妻側を形成し、この他方妻側は、一方の面戸部及び他方の面戸部に一方の段付き縁部及び他方の段付き縁部と、その台のし部の表面に一段低い上面を有する被葺き合せ縁部とで構成し、そして、この他方妻面は、こののし瓦の一方妻側より肉厚相当寸法分幅狭に形成し、
    この他方妻側に、この一方妻側が葺き合されることを特徴とした棟、隅棟用面戸付き台のし瓦。
  2. 請求項1に記載の台のし瓦の一方端側の端面裏側に、葺き合せ寸法の調整を意図する切り詰めカットに便利な薄肉部を設けたことを特徴とする棟、隅棟用面戸付き台のし瓦。
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