JP3931630B2 - 衣類仕上げ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般家庭で使用する衣類仕上げ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
衣類仕上げ装置の例として、アイロンが考えられる。綿やウールなどの乾いた衣類の繊維は分子レベルでは水素結合によって結合して固定されおり、繊維同士が自由に動かず、しわも取れにくいが、吸湿することによってこの水素結合が解けて、繊維同士の移動が自由になり、しわが取れやすくなる。アイロン掛けでは、ミストやスチームで衣類の繊維に湿気を加える。湿気を与えてしわが取れやすい状態にして、アイロンで衣類を引っ張りながら、押さえつけて、繊維のしわを伸ばし、形を整えるとともに、この整形された状態を保つために、高温で湿気をとばして乾燥させて仕上げる。アイロン掛けは、人が付きっきりで時間と手間がかかり、立体的な面の仕上げは難しく、一般使用者がアイロン掛け作業を敬遠する要因となっている。アイロン掛け作業に代わり、時間と手間と難しさを軽減して、しわを伸ばす衣類仕上げ装置が望まれている。
【0003】
これを実現するものとして、衣類仕上げの一つである乾燥を主に行い、さらに、しわも伸びる衣類乾燥機について記述する。例えば、特開平10−24199号公報に記載されるようなものである。図7は前記公報に記載された衣類乾燥機を示すものである。図において、熱源(図示せず)と送風手段(図示せず)を有する人体形態の乾燥機本体1に、適度の通気性を有する衣類の形状をした衣類袋2を被着し、衣類3をさらに被着して、本体1の首部から吸気した空気を、熱源と送風手段によって温風として、下方から吐出し、衣類袋2を膨らませて、衣類の内側から外側に温風を通すことによって、この衣類3を乾燥させるとともに、衣類袋2の膨らみによって、衣類3の形を整え、そのしわを低減するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の衣類乾燥機では、衣類仕上げの一つである乾燥機能は十分に実現できるが、衣類のしわ伸ばし機能に対しては、衣類をしわなく引っ張り、形を整える機能が不十分であり、十分なしわ伸ばし機能が得られなかった。
【0005】
本発明は、洗濯・脱水後の濡れた衣類あるいは乾いた衣類を対象にして、衣類をしわなく引っ張り、形を整える機能を充実させて、アイロン掛けよりも容易で、上記従来の衣類乾燥機よりもしわ伸ばし機能を向上させた衣類仕上げ装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明の衣類仕上げ装置は、衣類の裾部あるいは袖口に引張力をかける引張手段と、前記袋の裾部を適当な位置で絞るための裾部用絞り手段と、前記袋の袖口を適当な位置で絞るための袖口用絞り手段とを具備し、前記引張手段は、被着衣服の裾部を挟む複数のクリップと伸縮自在な弾性体からなる引張部材とを有して前記裾部用絞り手段に前記引張部材で接続されるものと、被着衣服の袖口を挟む複数のクリップと伸縮自在な弾性体からなる引張部材とを有して前記袖口用絞り手段に前記引張部材で接続されるものとがあり、前記裾部用絞り手段は筒状に形成され、その内側に前記袋の裾部を通してスライド可能に設けられ、前記袖口用絞り手段は筒状に形成され、その内側に前記袋の袖口を通してスライド可能に設けられ、前記送風手段により送風して前記袋を膨張させることにより、前記袋に被着した衣服の裾部と袖口が前記引張手段により引張されるようにしたものである。この絞り手段で、袋の裾部や袖口を衣類に合わせて適当な位置で絞ることにより、あらゆるサイズの衣類の形を整え、引張手段により衣類をしわなく引っ張ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、衣類を被着させる人体形状の全体あるいは部分を形どった通気性を有する袋と、前記袋に空気を送風する送風手段と、前記送風手段が送風する空気を加熱するための加熱手段と、前記衣類の裾部あるいは袖口に引張力をかける引張手段と、前記袋の裾部を適当な位置で絞るための裾部用絞り手段と、前記袋の袖口を適当な位置で絞るための袖口用絞り手段とを具備し、前記引張手段は、被着衣服の裾部を挟む複数のクリップと伸縮自在な弾性体からなる引張部材とを有して前記裾部用絞り手段に前記引張部材で接続されるものと、被着衣服の袖口を挟む複数のクリップと伸縮自在な弾性体からなる引張部材とを有して前記袖口用絞り手段に前記引張部材で接続されるものとがあり、前記裾部用絞り手段は筒状に形成され、その内側に前記袋の裾部を通してスライド可能に設けられ、前記袖口用絞り手段は筒状に形成され、その内側に前記袋の袖口を通してスライド可能に設けられ、前記送風手段により送風して前記袋を膨張させることにより、前記袋に被着した衣服の裾部と袖口が前記引張手段により引張されるようにしたものであり、衣類に均等に張力を加えるとともに、袋の裾部や袖口を衣類に合わせて適当な位置で絞ることにより、あらゆるサイズの衣類の形を整え、引張手段により衣類をしわなく引っ張ることで、しわ伸ばし機能を向上させており、送風手段と加熱手段による温風によって洗濯・脱水後の濡れた衣類を乾燥させながら衣類を伸ばして仕上げることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、絞り手段の袋との当接面に、滑り止め手段を設けたものであり、絞り手段が前記滑り止め手段によって適切な位置に確実に固定されるため、衣類に対して引張力を確実にかけることができるものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、絞り手段を、金属等の高比重材料で構成したものであり、絞り手段の重量が引張力として加わるため、より大きな引張力を衣類にかけることができ、より一層良好な仕上がりが得られるものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、引張部材を収容する筒状の引張部材カバーを設けたものであり、引張部材カバーにより引張部材が互いに絡み合わないため、使い勝手の良い衣類仕上げ装置を実現できるものである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、クリップの衣類と当接する面を高摩擦係数材料で構成したものであり、クリップの衣類との当接面が平坦でも確実に挟み込むことができるため、クリップ痕が残らない良好な仕上がりを実現できるものである。
【0012】
【実施例】
(実施例1)
以下、本発明の第1の実施例について説明する。図1は本実施例の外観図、図2は本実施例に衣類を被着させた時の外観図、図3は本実施例の構成を示す部分断面図である。従来例と共通の部分は同一の番号を付して詳しい説明は省略する。
【0013】
図において、4は本体、5は通気性を有して衣類3の形状に合わせるとともにそれよりも大きい寸法に形成した人体形状の一部を形どった袋である。6は袋5を膨らませるとともに空気を袋5の内部から外部に向けて送風する送風手段である。7は衣類3を支持するハンガー、8は、一端が送風手段6に接続され、他端が袋5内部に開口した風路兼ハンガー7の支持部材である。9は風路8内に配設され、送風手段6から送られる空気を加熱する加熱手段であり、乾燥仕上げ時には、送風手段6が送風する空気を温風にして袋5の内側に吹き出す。10は各手段をコントロールする制御手段である。
【0014】
送風手段6はモータとシロッコファンからなる。11は袋5の裾部や袖口を絞るための絞り手段であり、筒形状の内側に袋5を通す様に構成されており、衣類3のサイズに合わせて適切な位置で袋5を絞ることができる。この絞り手段11には、衣類の裾部や袖口を挟むためのクリップ12が、ゴム紐やバネ等の弾性体からなる引張部材13を介して接続されている。本実施例ではこれらのクリップ12および引張部材13を合わせて引張手段18としている。また、裾部用の引張部材13は筒状の引張部材カバー14に収容されており、衣類3を引っ張らない時は図1の様に一部が引張部材カバー14の内部に隠れており、衣類3を引っ張っている時は図2の様に伸びて、一部が引張部材カバー14の外部に出てくる。
【0015】
図4は裾部用の絞り手段11の縦断面図であり、図5は同絞り手段11の平面図である。
【0016】
図4において、絞り手段11の筒内面は、ゴムやエラストマー等の高摩擦係数材料や、あるいは絞り手段11の内面自体を凹凸面等の滑りにくい状態に処理した構成の滑り止め手段15を有している。図3の袖口用の絞り手段11内面も同様の構成である。引張部材カバー14内に収容されている引張部材13の端部16はストッパー17によって固定されており、衣類3の裾部を引っ張る時は、この部分を起点に引張部材13が伸びる。また引張部材カバー14は矢印の方向に回転可能であり、衣類3を引っ張る時は上部に持ち上げて使用し、そうでない時は図の様にコンパクトな状態に収納できる。図の向かって右側の引張部材カバー14には、2種類の長さの引張部材13を設けているが、これは例えばYシャツの裾のように一様な形状でない裾に対して適当な長さの引張部材13を選択して使用できるものである。
【0017】
本実施例では、特にYシャツに対応して、脇裾部の引張用にこの構成を使用している。また、クリップ12は、衣類3に当接する面にゴムやエラストマー等の高摩擦係数材料19を用い、当接面を平坦な面で構成している。本実施例では、引張手段18を収容する引張部材カバー14は、図5に示すような位置に配置されている。すなわち、14aが前ボタン裾部用、14bが脇裾部用、14cがサイドベンツ裾部用、14dが後裾部用である。
【0018】
洗濯・脱水後の濡れた衣類またはミストやスチームで吸湿した衣類3を袋5に被着した後、衣類3のサイズに合わせて絞り手段11を袋3に沿ってスライドさせ、適当な位置で固定する。クリップ12で衣類3の裾部および袖口を挟んだ後、送風手段6を作動させる。送風手段6からの空気が加熱手段9で温風となり、袋5を膨らませ、さらに、袋5の内側から外側に抜けて衣類3に当たる。袋5が膨れると、膨張力によって引張部材13が外方向に押しやられて伸ばされ、自動的に引張力が働く。衣類3の各部を手で引っ張りながらしわを伸ばすようにして形を整える。その後は特に手をかけることなく、温風によって衣類3が乾燥すれば、しわが伸びた状態で仕上がる。
【0019】
以上のように構成された衣類仕上げ装置において、衣類3よりも大きなサイズの袋5を使用しており、送風手段によって膨張するとその外容積が衣類の内容積よりも大きく、膨らませることによる引張力と、縫い目などしわが発生し易い箇所を引張手段18で引っ張る引張力によって、しわ伸ばし効果を高めている。また、送風手段6による送風空気が袋5の内側から外側に抜けて衣類3に当たるため、外側からでは当たりにくく、また、しわが残りやすい脇の下などにも空気が当たりしわ伸ばしが衣類3全体に均一に行われる。また、送風空気を温風にすることによって、濡れた(湿った)衣類の乾燥時間を短くしてより短時間に仕上げることができるともに、熱による空気の膨張効果を高めて、より強く袋5を膨らませることができ、熱変形し易い合成繊維に対してはしわ伸ばし効果をより一層高めることができる。
【0020】
また、絞り手段11を設け、この絞り手段11に引張部材13を固定しているため、あらゆるサイズや形の衣類に対応して適切な位置で袋5を絞り、余分な袋の膨らみを防ぐことができるため、裾や袖口のめくれ上がりを防止でき、常に絞り手段11を起点とした引っ張りを行うことにより、適切な引張力を得ることができる。また、引張部材13をゴム、バネ等の弾性体で構成しているため、引張部材13が自由に伸縮し、衣類の裾部や袖口の様々な形状にフレキシブルに対応することができる。また、絞り手段13の袋5との当接面に滑り止め手段15を設けているため、絞り手段11が滑り止め手段15によって適切な位置に確実に固定されるため、衣類3に対して引張力を確実にかける事ができる。
【0021】
また、引張手段18があらかじめ衣類の縫い目に合わせて配置されているため、簡単に縫い目部分にクリップを持っていくことができ、使い勝手が向上する。また、同じ位置に長さの違う複数の引張部材13を設けているため、衣類3の裾部の様々な形状に対して適切な長さの引張部材13を選択できるため、均一な引張力が得られる。また、引張部材13を収容する筒状の引張部材カバー14を設けているため、引張部材13が互いに絡み合うことがない使い勝手の良い衣類仕上げ機を実現できる。さらに、本実施例はクリップ12の衣類13と当接する面を高摩擦係数材料19で構成したものであり、クリップ12と衣類3との当接面が平坦でも確実に挟み込むことができるため、衣類3にクリップ痕が残らない良好な仕上がりを実現できるものである。
【0022】
なお、本実施例では送風手段6はモータだけでなくエンジンでもよく、またシロッコファンだけでなくターボファン、軸流ファン、クロスフローファンなどでもよく、原動機やファンの種類を限定するものではない。また、図では衣類3を上着とした場合を例示しているがズボンやスカートでも同様である。また、本実施例では送風手段6を作動させる前に引張手段18をセットしているが、その順番を限定するものではない。また、加熱手段9は空気を加熱するニクロムヒータやセラミックヒータなどの電気ヒータや、ガスや石油の燃焼を利用したものや、ヒートポンプ方式で加熱する場合にも適用されるものであり、加熱手段9を限定するものではない。
【0023】
(実施例2)
次に本発明の第2の実施例について説明する。図6は本実施例に衣類を被着させた時の外観図である。実施例1と共通の部分は同一の番号を付して詳しい説明は省略する。
【0024】
図において、20は実施例1の絞り手段11を、金属等の高比重材料で構成したものである。従って、絞り手段20の重量が引張力として太矢印方向に加わるため、より大きな引張力を衣類3にかけることができ、より一層良好な仕上がりが得られるものである。
【0025】
【発明の効果】
以上のように、発明の衣類仕上げ装置によれば、洗濯・脱水後の濡れた衣類を乾燥させながら衣類を伸ばして仕上げることができ、サイズの異なる衣類の形を整えながら、衣類をしわなく引っ張ることができ、しわ伸ばし機能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例である衣類仕上げ装置の外観図
【図2】 本発明の第1の実施例である衣類仕上げ装置の衣類を被着させた時の外観図
【図3】 本発明の第1の実施例である衣類仕上げ装置の本体構成を示す部分断面図
【図4】 本発明の第1の実施例である衣類仕上げ装置の絞り手段の構成を示す縦断面図
【図5】 同、絞り手段の構成を示す平面図
【図6】 本発明の第2の実施例である衣類仕上げ装置の衣類を被着させた時の外観図
【図7】 従来の衣類乾燥機を示す図
【符号の説明】
3 衣類
5 袋
6 送風手段
9 加熱手段
11、20 絞り手段
12 クリップ
13 引張部材
14 引張部材カバー
15 滑り止め手段
18 引張手段
19 高摩擦係数材料

Claims (5)

  1. 衣類を被着させる人体形状の全体あるいは部分を形どった通気性を有する袋と、前記袋に空気を送風する送風手段と、前記送風手段が送風する空気を加熱するための加熱手段と、前記衣類の裾部あるいは袖口に引張力をかける引張手段と、前記袋の裾部を適当な位置で絞るための裾部用絞り手段と、前記袋の袖口を適当な位置で絞るための袖口用絞り手段とを具備し、前記引張手段は、被着衣服の裾部を挟む複数のクリップと伸縮自在な弾性体からなる引張部材とを有して前記裾部用絞り手段に前記引張部材で接続されるものと、被着衣服の袖口を挟む複数のクリップと伸縮自在な弾性体からなる引張部材とを有して前記袖口用絞り手段に前記引張部材で接続されるものとがあり、前記裾部用絞り手段は筒状に形成され、その内側に前記袋の裾部を通してスライド可能に設けられ、前記袖口用絞り手段は筒状に形成され、その内側に前記袋の袖口を通してスライド可能に設けられ、前記送風手段により送風して前記袋を膨張させることにより、前記袋に被着した衣服の裾部と袖口が前記引張手段により引張されるようにした衣類仕上げ装置。
  2. 絞り手段の袋との当接面に、滑り止め手段を設けた請求項1記載の衣類仕上げ装置。
  3. 絞り手段を、金属等の高比重材料で構成した請求項1記載の衣類仕上げ装置。
  4. 引張部材を収容する筒状の引張部材カバーを設けた請求項1記載の衣類仕上げ装置。
  5. クリップの衣類と当接する面を高摩擦係数材料で構成した請求項1記載の衣類仕上げ装置。
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