JP3931489B2 - 有機エレクトロルミネッセンス表示用基板の製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス表示用基板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビおよび高度な情報処理用端末表示装置としての発光型ディスプレイである有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板および有機エレクトロルミネッセンス表示素子に関する。
【0002】
以下の記載において、「エレクトロルミネッセンス」を「EL」と表記する。
【0003】
【従来の技術】
フラットパネル型ディスプレイ装置の一つである有機ELディスプレイ装置は、基本的に、有機EL媒体層を第1電極(陽極または陰極)と第1電極上に設けられた第2電極(陰極または陽極)で挟持した構造を取り、両電極間に所定の電流を流すことにより有機EL媒体層が発光する。有機EL媒体層は、自己発光型であるため、これを用いたディスプレイは、高輝度、高視野角を示し、かつ低電圧で駆動し得るという特徴を有する。通常、第1電極および第2電極は、それぞれ複数の電極ラインにより構成され、これら第1電極ラインと第2電極ラインとを互いに交差させてマトリックス構造とされる。各第1電極ラインと各第2電極ラインとの交点に存在する有機EL媒体層は1つの画素を形成する。
【0004】
このようなマトリックス電極構造を有し、大容量で高精細の有機ELディスプレイ装置を製造するためには、第2電極ラインに非常に微細なパターニング加工が必要となる。
【0005】
第1電極ライン上に形成される有機EL媒体層に悪影響を与えることなく、第2電極ラインを微細にパターニングするための方法として、第1電極ラインが形成された基板上に設けられたオーバーハングを有する隔壁(逆テーパ隔壁またはT字形隔壁)を使用する方法が知られている(特開平8−315981号公報、特開平9−102393号公報参照)。これら先行技術の隔壁法は、基本的に、隔壁の存在により、有機EL媒体と第2電極ラインの蒸着と同時にそれらのパターニングをも可能とするものである。隔壁がオーバーハングを有することにより、基板に垂直な方向における蒸着によってもパターニングが可能となり、従って、基板を回転させながら蒸着を行えるという利点を有する。
【0006】
しかしながら、逆テーパ隔壁を用いた場合には、蒸着ビームの入射角がテーパ角より小さい場合、隔壁の側面にも堆積が生じ、電極の短絡が生じるおそれがあり、大面積の基板に対する蒸着には適さない。また、T字形隔壁は、その形成が複雑である。さらに、T字隔壁と有機EL媒体層や第2電極ラインとの間に隙間が存在するため、これら隔壁を用いて有機EL媒体や第2電極材料の蒸着を行った場合、第2電極材料が有機EL媒体層の側端面上にも堆積し、その結果第2電極と第1電極とが直接接触して、正常な動作を阻害する短絡が生じるおそれがある。短絡が生じない場合でも、第2電極ラインの端縁部等に電界が集中して絶縁破壊やジュール熱による劣化が生じ易くなる。これらを防止するために、隔壁の根本部に電気絶縁層を形成することが提案されているが、工程が複雑となる。さらには、有機EL媒体層/第2電極ラインの端縁が露出している結果、その端縁から劣化が生じ易い。さらには、隔壁と有機EL媒体層/第2電極ラインとの間に隙間が存在するため、あるいは隔壁が光りを透過させるため、基板裏面からの光がその隙間または隔壁内を通って表示面に達し、表示の妨げにもなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、上記先行技術の隔壁法の問題点を解決すべく、本出願人は、ひさしとともにすそをも有する隔壁を利用することを提案している(特願平10−117236号)。この隔壁は、ひさしに加えてすそを有することにより、先行技術の利点を保持したまま、先行技術の問題点を解決することができる。すなわち、有機EL媒体層は、隔壁との間に隙間を生じることなく、隔壁のすそ上までにわたって形成され、その上に形成される第2電極ラインも有機EL媒体層上に隔壁のすそに至るまで形成される。従って、隔壁との間に隙間が存在することによる短絡、絶縁破壊などの問題、さらには光透過の問題が回避される。しかも、蒸着ビームの飛来方向の制限を大幅に緩和することができ、そのため、大面積の基板の使用、蒸着時の基板の回転が可能となる。そして、隔壁に色材を混入させることにより、隔壁内の光透過の問題も回避できる。
【0008】
しかしながら、この方法にも若干の問題があることがわかった。すなわち、特願平10−117236号に開示された隔壁は、ネガ型感光性樹脂を使用し、ひさし部を露光した後、露光されたひさし部以外の未露光部を現像処理してすそ部を形成するものである。従って、ひさし部の幅は、露光幅によって高精度に決定し得るものの、すその幅は現像条件によって微妙に変化してしまう。そのため、画素寸法のばらつきが発生するおそれがある。また、もう1つの問題は、第1電極ライン側端縁における第1電極ラインと第2電極ラインとの短絡である。隔壁のすそにより第2電極側端縁における第2電極ラインと第1電極ラインとの短絡は防止し得るが、第1電極ラインの低抵抗化のため膜厚を大きくするなどの場合には、有機EL媒体層が厚い第1電極ラインの側端縁部で段切れが生じたり、第2電極ラインが当該部位で短絡するおそれがある。これを防止するために、絶縁層を別途形成することも考えられるが、工程が大幅に増加してしまう。
【0009】
本発明は先願技術の利点を保持しつつ、その上記問題点を解決するためになされたものであり、ひさしとすそを有する隔壁のすその幅をも正確に制御することを第1の課題とする。また、本発明の第2の課題は、第1電極ラインの側端縁における第2電極との短絡を確実に防止し得る手段を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記第1の課題を解決するために、本発明では、互いに離間して設けられた複数の第1電極ライン、および該複数の第1電極ラインと交差するように互いに離間して設けられ、それぞれ上部にひさし、下部にすそを有する複数の隔壁を基板上に有する有機EL表示素子用の基板を製造する際に、第1電極ラインを形成した後、該隔壁を形成するに当たり、第1電極ラインを形成した基板上に、露光用光を吸収する物質(露光光吸収物質)を配合したネガ型フォトレジスト膜を塗布・形成し、このネガ型フォトレジスト膜に対し、ひさしを含む隔壁の頂部に対応する領域に対する第1の露光と、隔壁のすそ先端部または底部に対応する領域に対する第2の露光とを行うこととした。未露光部を現像に供することにより、最終的に、上部にひさしを、下部にすそを有する隔壁が形成される。第1の露光と第1の露光は、その順序に制限はなく、第1の露光を行ってから第2の露光を行うこともできるし、第2の露光を行ってから第1の露光を行うこともできる。さらに、第1の露光および第2の露光を同時に行うこともできる。
【0011】
また、上記第2の課題を解決するために、本発明において、隣り合う第1電極ラインの間に位置して隔壁のすそ同士を連結する複数の連結帯を隔壁と一体に設けることとした。
【0012】
すなわち、本発明によれば、基板上に互いに離間して配置された複数の第1電極ラインと該第1電極ラインと交差する方向に互いに離間して延びる複数の隔壁と、隣り合う第1電極の間に位置して該隔壁のすそ同士を連結する、該隔壁と一体に設けられた複数の連結帯とを備え、該隔壁が、上部にひさし、下部にすそを有する、有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板の製造方法であって、第1電極ラインを形成した基板上に、露光光吸収性物質を含有するネガ型フォトレジスト膜を形成し、該ネガ型フォトレジスト膜について、隔壁のひさしを含む頂部に対応する領域に対する第1の露光と隔壁のすそ先端部および連結帯に対応する領域に対する第2の露光とを同時または相前後して行い、未露光部を現像に供することによって隔壁と連結帯を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板の製造方法が提供される。
【0013】
さらに、本発明によれば、基板上に互いに離間して配置された複数の第1電極ラインと該第1電極ラインと交差する方向に互いに離間して延びる複数の隔壁と、隣り合う第1電極の間に位置して該隔壁のすそ同士を連結する、該隔壁と一体に設けられた複数の連結帯とを備え、該隔壁が、上部にひさし、下部にすそを有する、有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板の製造方法であって、第1電極ラインを形成した基板上に、露光光吸収性物質を含有するネガ型フォトレジスト膜を形成し、該ネガ型フォトレジスト膜について、隔壁のひさしを含む頂部に対応する領域に対する第1の露光と隔壁の底部および連結帯に対応する領域に対する第2の露光とを同時または相前後して行った後、未露光部を現像に供することによって隔壁と連結帯を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板の製造方法が提供される。
【0014】
さらに、本発明によれば、基板上に互いに離間して配置された複数の第1電極ラインと該第1電極ラインと交差する方向に互いに離間して延びる複数の隔壁とを備え、該隔壁が、上部にひさし、下部にすそを有する、有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板の製造方法であって、第1電極ラインを形成した基板上に、露光光吸収性物質を含有するネガ型フォトレジスト膜を形成し、該ネガ型フォトレジスト膜について、隔壁のひさしを含む頂部に対応する領域に対する第1の露光を行った後、未露光部を所定の厚さまで現像し、ついで隔壁のすそ先端部に対応する領域に対する第2の露光を行った後、未露光部を現像に供して隔壁を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板の製造方法が提供される。
【0015】
さらに、本発明によれば、基板上に互いに離間して配置された複数の第1電極ラインと該第1電極ラインと交差する方向に互いに離間して延びる複数の隔壁とを備え、該隔壁が、上部にひさし、下部にすそを有する、有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板の製造方法であって、第1電極ラインを形成した基板上に、露光光吸収性物質を含有するネガ型フォトレジスト膜を形成し、該ネガ型フォトレジスト膜について、隔壁のひさしを含む頂部に対応する領域に対する第1の露光を行った後、隔壁のすそ先端部に対応する領域に対して、該第1の露光と同じ露光面側から、第1の露光より少ない露光量で第2の露光を行った後、未露光部を現像に供して隔壁を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板の製造方法が提供される。
【0016】
本発明において、上記第2の露光を隣り合う隔壁を連結する連結帯に相当する領域に対して行うことも好ましい。
【0017】
また、本発明によれば、複数のカラーフィルターを設けた基板上に互いに離間して配置された複数の第1電極ラインと該第1電極ラインと交差する方向に互いに離間して延びる複数の隔壁とを備え、該隔壁が、上部にひさし、下部にすそを有する、有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板の製造方法であって、基板上に複数のカラーフィルターを互いに離間して行および列として設け、その上に互いに離間してカラーフィルターの行方向に延びる複数の第1電極ラインを形成した後、その上に露光光吸収性物質を含有するネガ型フォトレジスト膜を形成し、該ネガ型フォトレジスト膜について、隔壁のひさしを含む頂部に対応する第1領域に対する第1の露光と、基板裏面からカラーフィルターをマスクとして、カラーフィルターの列間の間隙に相当する隔壁底部に対応する第2領域およびカラーフィルターの行間の間隙に相当する第3領域に対する第2の露光とを同時または相前後して行った後、未露光部を現像に供して、第3領域に対応する連結帯で連結された隔壁を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板の製造方法が提供される。
【0019】
また、本発明は、基板上に互いに離間して配置された複数の第1電極ラインと該第1電極ラインと交差する方向に互いに離間して延びる複数の隔壁とを備え、該隔壁は、上部にひさし、下部にすそを有し、かつ隣り合う隔壁は、互いに、該隔壁と一体に設けられた複数の連結帯によりすそ部において連結され、該隔壁および連結帯は同一物質からなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板を提供する。
【0020】
この場合において、連結帯が、隣り合う第1電極ラインの対向側端縁端を覆っていることが好ましい。特に、本発明の基板は、その製造方法故に、隔壁および連結帯が、光吸収性物質を配合したフォトレジストからなり、特に光吸収性物質が、黒色を示すものであるとき、隔壁および連結帯はブラックマトリックスをも構成する。
【0021】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示素子は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示用基板上に有機エレクトロルミネッセンス媒体と第2電極ラインを設けたことを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、基板上に形成された複数の第1電極ラインと交差する方向に延びる隔壁は、上部にひさし、下部にすそを有するものであって、塗布されたネガ型フォトレジスト膜に対して、ひさしを含む隔壁頂部に対応する部分に対する第2の露光を行うことによってひさしばかりでなく、すそもフォトマスクにより正確に制御することができる。第1の露光は、フォトマスクを用い、ネガ型フォトレジスト膜に対し前面から行うことができる。第2の露光は、(1)フォトマスクを用い、基板裏面から行うことにより、または(2)基板上に予め露光光(紫外光等)を選択的に透過させるパターンを形成しておき、このパターンをマスクとして基板裏面全面から行うことができる。あるいは、(3)第1露光後、現像を途中まで行った後、すそ先端部に対応する領域を選択的に基板前面から行うこともできる。この場合、第2の露光後、さらに現像を行う。あるいは、(4)第1の露光後、すそ先端部に対応する領域を第1の露光よりも少ない露光量(例えば、3/5以下)で選択的に基板前面から第2の露光を行い、現像することもできる。
【0023】
上記(2)の手法においては、基板上に、第1電極ラインを形成する前に、カラーフィルターを形成しておき、これらカラーフィルターをマスクとして利用することができる。カラーフィルターとしては、R、G、Bの三色のカラーフィルターを交互に配置することができ、その場合、白色発光の有機EL媒体を用いると、カラーディスプレイとなる。また、第1電極ラインを形成する前に、赤、緑蛍光変換膜を形成し、これら蛍光変換膜をマスクとして利用することもできる。その場合、青色発光の有機EL媒体を用いることにより、フルカラーディスプレイを達成することができる。これらの手法によれば、隔壁のより微細なパターニングを行うことができる。
【0024】
また、本発明によれば、隔壁のひさしとすそに相当する領域に対する露光を別々に行うので、隔壁のひさし相当領域の形状に依存することなく、隔壁のすそ相当領域の形状を規定することができる。従って、好ましくは、隣り合う第1電極ラインの対向する側端縁を覆うように隣り合う隔壁をすそにおいて連結する複数の連結帯を同時に形成することができる。このように連結帯を設けることにより、後に形成される第2電極ラインが第1電極ラインの対向する側端縁において短絡することが確実に防止される。
【0025】
以下、本発明を図1ないし図13を参照してより詳細に説明する。全図を通して、同一部分には、同一符号が付されている。なお、図3ないし図10において、各(a)図は、上面図である各(b)図の線A−Aに沿った断面に対応する。
【0026】
まず、図1を参照して、本発明における一つの典型的な隔壁の構造を説明する。図1(a)は、隔壁を部分的に示す斜視図であり、図1(b)は、隔壁の横断面図である。
【0027】
本発明の隔壁10は、全体として細長いレール様立体形状を有するものであって、一体的なものではあるが、図1(a)に示すように、概念上、ひさし12a,12bを構成するストライプ状の頂部12と、同じくストライプ状の底部13と、頂部12と底部13との間に存在し、すそを構成する断面山形の本体部11とに区分することができる。山形の本体部11は、頂部12の下面におけるひさし12aおよび12bの各基端部から底部13の上面の幅方向の各端縁までに至る凹状になだらかに湾曲するテーパ状側面11a,11bを有する。
【0028】
図1(b)を参照すると、隔壁10の高さaは、好ましくは0.2μmないし100μmであり、さらに好ましくは1μmないし30μmである。山形本体部11の上面の幅(頂部12の幅から2つのひさし12a,12bの幅の合計を引いた部分の幅)bは、好ましくは0.05μm以上であり、さらに好ましくは1μm以上である。各ひさし12a,12bの厚さcは好ましくは0.05μmないし10μmであり、さらに好ましくは0.1μmないし5μmである。各ひさし12a,12bの幅dは、好ましくは0.05μmないし50μmであり、さらに好ましくは0.5μmないし10μmである。すその幅eは、好ましくは0.1μmないし100μmであり、さらに好ましくは1μmないし30μmである。なお、底部13の幅は、頂部12の幅よりも大きいことが好ましい。いいかえると、すそ幅eは、ひさし幅dよりも大きいことが好ましい。
【0029】
また、すその各先端部(底部13の幅方向の各端縁に相当)と水平方向におけるすそ幅の2分の1の点から垂直線が側面11a,11bと交差する点pとを結ぶ直線が底部13の上面となす角(この角を本明細書において、「すその先端角」という)θは、45°以下であることが好ましい。(図1(b)参照)。
【0030】
図2は、隣り合う隔壁10をすそにおいて連結するストライプ状の複数の連結帯を有する複数の隔壁の上面図である。図2に示すように、図1に示す構造の隔壁10が所定の間隔をもって複数配設され、隣り合う隔壁10は、隔壁10のすそ、より正確には、底部13(図1参照)において複数の連結帯21により互いに連結されている。この連結帯21は、後述するように、隣り合う第1電極ライン(図示せず)同士の間の間隙を満たし、かつ隣り合う第1電極ラインの対向側端縁を覆うように配設されることが好ましい。
【0031】
次に、図3ないし図6を参照して本発明による有機EL表示素子用基板の製造方法に係る第1の実施の形態を説明する。
【0032】
まず図3に示すように、石英、ガラス、プラスチック等の透光性材料、好ましくは透明材料で形成された基板31の上に、図示しない複数の端子パッドとともに、複数のストライプ状の第1電極ライン(本例では、陽極ライン)32を形成する。図3では、複数の第1電極ライン32は、相互に一定の間隔をもって離間して配置されているものとして示されている。
【0033】
複数の第1電極ライン32は、基板31の前面全体に第1電極材料を形成し、これを通常のフォトリソグラフィー等の技術によりパターニングすることによって形成することができる。本実施の形態では、上記のように第1電極が陽極を構成するので、電極材料としては、透明な導電性材料、好ましくは、インジウムスズ複合酸化物(ITO)、インジウム亜鉛複合酸化物、亜鉛アルミニウム複合酸化物等を使用することができる。これらの電極材料は、スパッタ法により基板31上に被着させることができる。
【0034】
次に、図4に示すように、基板31の第1電極ライン32側の表面(前面)上に、ネガ型フォトレジスト膜33を全面塗布する。このネガ型フォトレジスト膜33には、露光用の光、特に紫外光を吸収する物質、例えば紫外線吸収剤や色材をあらかじめ配合しておく。ネガ型フォトレジストに配合する紫外線吸収剤としては、通常紫外線吸収剤として使用されているベンゾフェノン系、フェニルサリチル酸系、シアノアクリレート系、ベンゾトリアゾール系、シュウ酸アニリド系等の有機紫外線吸収剤、および/または通常紫外線吸収剤として使用されているガラス粉、酸化セリウム粉等の無機紫外線吸収剤を使用することができる。また、色材としては、隔壁をブラックストライプとしても機能させるためには、黒色顔料、または赤、緑および青の3色混合顔料を用いることが望ましいが、隔壁の形成のためだけならば、単色顔料を用いることができる。いうまでもなく、ネガ型フォトレジスト膜は、電気絶縁性である。
【0035】
光吸収性物質を配合したネガ型フォトレジスト膜33を塗布し、プリベークした後、ネガ型フォトレジスト膜33の表面上に、ひさしを含む隔壁の頂面形状に対応する形状の複数の光透過窓34aを有するフォトマスク34を載置する。そして、紫外光35を照射してひさしを含む隔壁の頂部12(図1参照)の形状に対応する領域121を露光する。このとき、紫外光35は、フォトレジスト膜33の表面から一定の深さまで到達し、その部分を感光させるが、紫外光吸収性物質により吸収され、深部まで到達し得ず、各頂部相当領域121の下側は未露光のまま残る。この露光は、基板31の前面からの露光であるので、表露光ということとする。
【0036】
しかる後、フォトマスク34を除去する。
【0037】
上記のように表露光を行った後、図5に示すように、基板31の裏面に、隔壁の底面形状に対応する複数の光透過窓36aを有するフォトマスク36を載置する。そして、紫外光37を裏面から照射して隔壁の底部(図1の底部13参照)の形状に対応する領域131を露光する。このときも、先に述べたように、紫外光は、光透過性基板31および透明な第1電極ライン32を透過して、フォトレジスト膜33の裏面からフォトレジスト膜33内に一定の深さまで到達し、その部分を感光させるが、紫外光吸収性物質により吸収されるので、深部まで到達し得ず、底部相当領域131の上側は未露光のまま残る。この露光は、基板31の裏面からの露光であるので、裏露光ということとする。
【0038】
しかる後、フォトマスク36を除去する。
【0039】
このようにして頂部相当領域121および底部相当領域131の露光を行ったフォトレジスト膜33を現像液を使用して現像に供する。この現像により、フォトレジスト膜33の未露光部はその表面から溶解し、頂部相当領域121の下側では横方向にも溶解が進行し、底部相当領域131の上面両端に至るなだらかに湾曲して傾斜するテーパ面11a,11b(図1をも参照)を形成しつつ、底部相当領域131以外の底部未露光部も溶解除去される。こうして、上部にひさしを、下部にすそを有する図1に示す形状の隔壁10が複数形成される。なお、図6においては、各隔壁10は、互いに離間して第1電極ラインに直交する方向に延びるものとして示されている。
【0040】
最後に、電子線を照射してからポストベークを行って、有機EL表示素子用基板を完成する。なお、表露光(第1露光)と裏露光(第2露光)とは、上記とは逆の順序で行ってもよいし、同時に行ってもよい。
【0041】
図7および図8は、本発明の有機EL表示素子用基板の製造方法に係る第2の実施の形態を説明するためのものである。この第2の実施の形態では、隣り合う隔壁がすそ部において複数の連結帯により連結された形態を示す(図2をも参照)。
【0042】
この第2の実施の形態においては、まず、第1の実施の形態において図3ないし図4に関して説明したように、基板31上に、第1電極ライン32を形成し、光吸収性物質を含有するネガ型フォトレジスト膜33を塗布した後、表露光を行う。次に裏露光を行うが、用いるフォトマスクが第1の実施の形態で使用したフォトマスクと異なる。
【0043】
すなわち、第2の実施の形態によれば、裏露光を行う際に、図7に示すように、フォトマスクとして、隔壁の底部13に対応する形状の複数の光透過性窓36aに加えて、連結帯21(図2参照)に対応する形状の複数の第2の光透過性窓36bを有するフォトマスク361を使用する。第2の窓36bは、隣り合う第1電極ライン32の間の間隙およびそれら隣り合う第1電極ライン32の対向側端縁部32a,32bに対応する領域が露光されるように設けることが好ましい。
【0044】
上記フォトマスク361を用いて、第1の実施の形態で説明したように裏露光を行うことによって、フォトレジスト膜33の底部相当領域131とともに、連結帯相当領域211をも露光する。
【0045】
しかる後、第1の実施の形態と同様に現像することによって、図8に示すように、上部にひさし、下部にすそを有し、かつすそにおいて複数の連結帯21により接続された図2に示す形状の複数の隔壁10が得られる。上に好ましいものとして述べたように、各連結帯21は、隣り合う第1電極ライン32の対向する側端縁32a,32bをも覆って形成されるので、後に形成される第2電極ラインが第1電極ラインの側端縁32a,32bにおいて短絡することが完全に防止される。
【0046】
最後に、第1の実施の形態と同様に電子線を照射してからポストベークを行って、有機EL表示素子用基板を完成する。
【0047】
図9および図10は、本発明の有機EL表示素子用基板の製造方法に係る第3の実施の形態を説明するためのものである。この第3の実施の形態では、基板31上にカラーフィルターを形成しておき、裏露光に際し、これらカラーフィルターをフォトマスクとして利用する。
【0048】
すなわち、第3の実施の形態においては、まず、図9に示すように、基板31上に、常法により、それぞれ平面が実質的に矩形のR、G、B三色のカラーフィルター41をそれらの間に格子状の間隙が生じるように、行、列を構成するように形成する。しかる後、カラーフィルター41を覆って基板31の前面全体にオーバーコート層42を形成する。当該分野で知られているように、オーバーコート層42は、表面の平坦化とカラーフィルター41の保護を目的とするものであって、透明樹脂で形成することができる。このオーバーコート層42上に、第1の実施の形態で説明したように、第1電極ライン32を形成する。いうまでもなく、各第1電極ライン32は、図9(b)に示すように、カラーフィルター41の1つの行方向において隣り合う列の各カラーフィルター41を覆い、かつその幅は、カラーフィルター行の幅よりも大きい。したがって、各第1電極ライン32は、カラーフィルターの行間よりも狭い間隔をもって離間して形成される。
【0049】
しかる後、第1の実施の形態と同様に、光吸収性物質を含有するネガ型フォトレジスト層33を塗布し、表露光を行って隔壁の頂部相当領域121を露光した後、図9(a)に示すように、別体のフォトマスクを使用することなく、カラーフィルター41をフォトマスクとして利用して、隔壁の底部相当領域131の裏露光を行う。このとき、紫外光は、カラーフィルター41間の格子状間隙部位を透過するので、フォトレジスト層33における隔壁の底部相当領域131ばかりでなく、連結帯相当領域211も露光される。
【0050】
しかる後、図10に示すように、第1または第2の実施の形態と同様に現像を行って、隔壁10を得る。
【0051】
最後に、電子線照射とポストベークを行って、有機EL表示素子用基板を完成する。なお、第1の露光および裏露光は、上記とは逆の順序で行ってもよいし、同時に行ってもよい。
【0052】
図11は、本発明の有機EL表示素子用基板の製造方法に係る第4の実施の形態を説明するための図である。第4の実施の形態では、2回の露光をいずれも表露光として行う。
【0053】
すなわち、図11(a)に示すように、第1または第2の実施の形態と同様に、基板31上に第1電極ライン32を形成し、その上にネガ型フォトレジスト膜33を塗布形成し、表露光を行って隔壁の頂部相当領域121を露光する。しかる後、このフォトレジスト膜33に対して、現像液による現像を途中まで行う。すなわち、図11(a)に示すように、この現像は、上面から観察して隔壁のすそが、ひさしの先端から突出し、フォトレジスト膜33は隔壁相当領域間で薄膜化されるがなお連続したままであるような状態まで、すなわち連続薄膜部331が残るように行う。
【0054】
ついで、図11(b)に示すように、図11(a)の構造の前面からフォトマスク51を載置する。このフォトマスク51は、それぞれ隔壁の底部13(図1参照)の幅と同じ幅を有するスリット状開口51aを有し、光不透過部51bは、連続薄膜部331上に位置する。好ましくは、このフォトマスク51は、連結帯21(図2参照)に相当する開口(図示せず)をも有する。この場合、連続薄膜部331の中央部の厚さは、連結帯21の厚さになる。このフォトマスク51を用いて基板前面から露光(矢印52)すると、頂部相当領域121もマスクとして作用し得るので、隔壁のすそ先端部に相当する連続薄膜部331の領域331aが選択的に露光されることとなる。
【0055】
しかる後、図11(b)に示す構造を現像に供することにより、図1または図2の構造を有する隔壁10が形成される(図11(c))。
【0056】
図12は、本発明の有機EL表示素子用基板の製造方法に係る第5の実施の形態を説明するための図である。第5の実施の形態では、2回の露光をいずれも表露光として行う。
【0057】
すなわち、図12(a)に示すように、第1または第2の実施の形態と同様に、基板31上に第1電極ライン32を形成し、その上にネガ型フォトレジスト膜33を塗布形成した後、隔壁の頂部相当領域121を露光する(第1の露光)。
【0058】
ついで、図12(b)に示すように、図12(a)の構造の前面からフォトマスク53を載置する。このフォトマスク53は、それぞれ隔壁の頂部12(図1参照)の幅より0〜5μm広い間隔で開口53aを有し、光不透過部53bは、連続薄膜部331上に位置する。好ましくは、このフォトマスク53は、連結帯21(図2参照)に相当する開孔(図示せず)をも有する。この場合、連続薄膜部331の中央部の厚さは、連結帯21の厚さになる。このフォトマスクを用いて基板前面から露光する(第2の露光)。この第2の露光は、第1の露光時の3/5以下の露光量で行うことが好ましい。
【0059】
しかる後、図12(b)に示す構造を現像に供すると、第2の露光を受けた領域は、露光量が不足しているために、第1の露光を受けた領域よりも溶解が進行するので、図1または図2の構造を有する隔壁10が形成される(図12(c))。なお、第1の露光と、第2の露光は、その順序を逆にしてもよい。
【0060】
図13は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示素子をその製造方法とともに説明するための断面図である。
【0061】
図13(a)に示すように、図8に示す構造の有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板60を準備する。
【0062】
次に、図13(b)に示すように、有機EL媒体61を少なくとも隔壁10間に形成する。有機発光媒体は、当該分野で知られているように、蛍光物質を含む単層膜、あるいは多層膜として形成することができる。
【0063】
多層膜構造の有機EL媒体は、正孔注入輸送層、電子輸送性発光層または正孔輸送性発光層と電子輸送層からなる2層構造や、正孔注入輸送層、発光層、電子輸送層からなる3層構造等を取ることができる。有機EL媒体は、さらにより多層で形成することも可能であり、各層を基板上に順に形成する。
【0064】
正孔注入輸送材料は、銅フタロシアニン、テトラ(t−ブチル)銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン類および無金属フタロシアニン類、キナクリドン化合物、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン等の芳香族アミン系低分子正孔注入輸送材料や、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリアニリン等の高分子正孔輸送材料、ポリチオフェンオリゴマー材料、その他の既知の正孔輸送材料の中から選ぶことができる。
【0065】
発光材料としては、9,10−ジアリールアントラセン、ピレン、コロネン、ペリレン、ルブレン、1,1,4,4−テトラフェニルブタジエン、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、ビス(8−キノリノラート)亜鉛錯体、トリス(4−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、トリス(8−キノリノラート)スカンジウム錯体、ビス[8−(p−トシル)アミノキノリン]亜鉛錯体およびカドミウム錯体、1,2,3,4−テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、ポリ−2,5−ジヘプチルオキシ−p−フェニレンビニレン、クマリン系蛍光体、ペリレン系蛍光体、ピラン系蛍光体、アンスロン系蛍光体、ポリフィリン系蛍光体、キナクリドン系蛍光体、N,N’−ジアルキル置換キナクリドン系蛍光体、ナフタルイミド系蛍光体、N,N’−ジアリール置換ピロロピロール系蛍光体等を例示することができ、これらを単独、または他の低分子材料や高分子材料と混合して用いることができる。
【0066】
有機電子輸送材料としては、2−(4−ビフィニルイル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、および浜田らの合成したオキサジアソール誘導体(日本化学会誌、1540頁、1991年)やビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウム錯体、特開平7−90360号公報に開示されているトリアゾール化合物等を例示することができる。
【0067】
有機EL媒体は、真空蒸着法により形成することができ、その厚さは、単層または多層のいずれの場合においても1μm以下であることが好ましく、より好ましくは50ないし150nmである。図13(b)において、有機EL媒体の蒸着ビームが矢印611で示されている。この蒸着は、基板31を回転させながら行うこともできる。図13(b)では、蒸着ビーム611は基板31に対してほぼ垂直方向に指向されたものとして示されている。この蒸着により、有機EL媒体61は、隔壁10の間および隣り合う隔壁10の対向すそ部上にも形成されるとともに、隔壁10の頂部上にも形成される。すなわち、有機EL媒体は、隔壁10の存在により、蒸着と同時にパターニングもされる。
【0068】
次に、図13(c)に示すように、少なくとも隔壁10間に第2電極ライン62を形成する。ここでは、第1電極ライン32が陽極であるので、第2電極ライン62は、陰極である。
【0069】
陰極材料としては、電子注入効率の高い物質を用いる。具体的には、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)や、イッテルビウム(Yb)等の金属単体を用いたり、有機EL媒体と接する界面にリチウムや酸化リチウム、フッ化リチウム等の化合物を1nm程度挟んで、安定性、導電性の高いアルミニウムや銅を積層して用いる。
【0070】
あるいは、電子注入効率と安定性を両立させるため、陰極材料として、低い仕事関数の金属(例えば、Li、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb等)の1種以上と、安定な金属(例えば、Ag、Al、Cu等)の1種以上との合金、例えば、Mg/Ag合金、Al/Li合金、Cu/Li等を用いることができる。
【0071】
陰極の形成には、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ法を用いることができる。陰極の厚さは、10nmないし1μm程度が望ましい。図13(c)には、陰極材料のビーム621が示されている。
【0072】
なお、陰極である第2電極ライン62は、基板31を回転させながら行うことが好ましい。
【0073】
基板31を回転させながら陰極材料ビーム621を基板全体に対して指向させることにより、陰極材料ビーム621が基板31に対してやや傾斜した方向から基板31上に到達するので、第2電極ライン62は、隔壁10の間の有機EL媒体61を覆うとともに、各隔壁10のすそ上にわたるまで形成され、かつ隔壁10の頂部上の有機EL媒体61上にも形成される。すなわち、第2電極ライン62は、隔壁10の存在により、被着と同時にパターニングもされる。こうして、第2電極ライン62は、隔壁10の間において、第1電極ライン32から完全に隔離された状態で形成されることとなる。
【0074】
最後に、水分や酸素による陰極や有機EL媒体の劣化を防止するために、通常の封止層63を形成する。基板31を回転させながら封止材料ビーム631を全面照射することにより、この封止層64も被着と同時にパターニングされ、隔壁10間で第2電極ライン62を覆い、隔壁10のすそに至るまで形成されるとともに、隔壁10の頂部において、第2電極ライン63上、および隔壁頂部、有機EL媒体61および第2電極ライン62の側面にも形成される。
【0075】
【実施例】
実施例1
本実施例では、図3ないし図6に関して説明した第1の実施の態様に従い有機EL表示素子用基板を作製した。
【0076】
まず、ガラス基板31上にスパッタ法によりITO層を0.1μmの厚さに形成した。さらに透明性と導電性を向上させるために、空気中で加熱処理を行いITOを結晶化させた。
【0077】
次に、フォトリソグラフィーおよびウエットエッチングによってITO層をパターニングし、複数の第1電極ライン32を形成した(図3)。各第1電極ライン32の幅は、270μmであり、その間隔は、30μmであった。
【0078】
その上に、微粒子グラファイトからなる黒色材を5重量%分散させたネガ型フォトレジストを塗布してフォトレジスト膜33を形成し、これをプリベークした。
【0079】
そして、フォトマスク34を用い、表から紫外線露光を行うことによって隔壁の頂部相当領域121を露光した(図4)。各頂部相当領域121の幅は、30μmであった。
【0080】
次に、別のフォトマスク36を用い、裏から紫外線露光を行うことによって隔壁の底部相当領域131を露光した(図5)。各底部相当領域131の幅は、50μmであった。
【0081】
ついで、アルカリ現像液による現像によってひさしとすそを有する隔壁10を形成した(図6)
最後に、電子線照射を行ってからポストベークして有機EL表示素子用基板を完成した。すそ幅はフォトマスク36によって制御され、現像条件によるばらつきは解消された。
【0082】
実施例2
本実施例では、図7ないし図8に関して説明した第2の実施の態様に従い有機EL表示素子用基板を作製した。
【0083】
すなわち、裏露光を図7に示すフォトマスク361を使用して行った以外は、実施例1と同様の手法により有機EL表示素子用基板を作製した。連結帯21の幅は、50μmであった。
【0084】
実施例3
本実施例では、図9ないし図10に関して説明した第3の実施の態様に従い有機EL表示素子用基板を作製した。
【0085】
すなわち、まず、フォトリソグラフィーによってガラス基板上にRGB三色のカラーフィルター41を形成した後、カラーフィルター41の上に透明樹脂からなるオーバーコート層42を形成した。
【0086】
しかる後、実施例1の手法に準じて、オーバーコート層42上に、第1電極ライン32、およびネガ型フォトレジスト層33を形成し、隔壁の頂部相当領域121を露光した。
【0087】
ついで、別体のフォトレジストを用いることなく、カラーフィルター41をマスクとして、基板31の裏面から紫外光を全面照射して、隔壁の底部相当領域131を露光した(図9)。
【0088】
しかる後、実施例1と同様に現像し、電子線照射およびポストベークを行って有機EL表示素子用基板を完成した(図10)。
【0089】
実施例4
本実施例では、図11に関して説明した第4の実施の態様に従い有機EL表示素子用基板を作製した。
【0090】
すなわち、実施例1の手法に準じて、基板31上に、第1電極ライン32、およびネガ型フォトレジスト層33を形成し、隔壁の頂部相当領域121を露光した後、隔壁相当領域間に厚さ0.5μmの連続膜331が残るように現像液で現像した(図11(a))。
【0091】
ついで、図11(a)に示す構造の全面からフォトマスク51を載置し、紫外光を全面照射して、すそ先端部相当領域331aを露光した(図11(b))。
【0092】
次に、図11(b)の構造を現像液による現像に供して、隔壁10を形成した(図11(c))。
【0093】
最後に、実施例1と同様に電子線照射およびポストベークを行って有機EL表示素子用基板を完成した。
【0094】
実施例5
本実施例では、図12に関して説明した第5の実施の態様に従い有機EL表示素子用基板を作製した。
【0095】
すなわち、実施例1の手法に準じて、基板31上に、第1電極ライン32、およびネガ型フォトレジスト層33を形成し、隔壁の頂部相当領域121を露光した(図12(a))。
【0096】
ついで、図12(a)に示す構造の前面からフォトマスク51を載置し、露光量を第1の露光時の3/5として露光した(図12(b))。
【0097】
次に、これを現像液による現像に供して、隔壁10を形成した(図12(c))。
【0098】
最後に、実施例1と同様に電子線照射およびポストベークを行って有機EL表示素子用基板を完成した。
【0099】
実施例6
本実施例では、実施例2で作製した有機EL表示素子用基板を用いて、図13に関して説明した方法により、有機EL表示素子を作製した。
【0100】
すなわち、実施例2で作製した有機EL表示素子用基板60(図13(a))に対して、銅フタロシアニン、N,N−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンおよびトリス(8−キノリノラート)を順次真空蒸着させて有機EL媒体61を形成した(図13(b))。3層構造の有機EL発光媒体61の厚さは、0.1μmであった。
【0101】
次いで、基板31を回転させながら、アルミニウムを真空蒸着して第2電極ライン62を形成した(図13(c))。第2電極ライン62の厚さは、0.5μmであった。
【0102】
最後に、酸化ゲルマニウムをイオンプレーティング法により被着して封止層63を形成して有機EL表示素子を完成した(図13(d))。隣り合う第1電極ライン32の対向側端縁は、連結帯により覆われているので、その部位における第1電極ライン32と第2電極ライン62との短絡は確実に防止できた。
【0103】
以上、本発明の理解を容易にするため、本発明の特徴をいくつかの実施の形態毎に説明したが、これらの特徴は、目的に応じて適宜組合わせることが可能であることは当業者に自明であろう。すなわち、本発明は、その思想の範囲において、図示の実施の形態以外の種々態様で実施することが可能である。例えば、上記各実施の形態では、第1電極ラインは陽極材料で構成され、第2電極ラインは陰極材料で構成されていたが、その逆も可能である。
【0104】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、有機EL表示素子用基板において、有機EL媒体/第2電極ラインを分離するためのひさしとすそを有する隔壁を形成するに当たり、隔壁のひさし幅ばかりでなく、すその幅をも正確に制御することができる。また、本発明によれば、隣り合う隔壁を連結する連結帯を隣り合う第1電極の対向側端縁を覆うように形成することにより、第1電極ラインの側端縁における第2電極ラインとの短絡を確実に防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により製造される隔壁を説明するための図。
【図2】本発明の連結帯により連結された隔壁の上面図。
【図3】本発明の有機EL表示素子用基板の製造方法の第1の実施の形態を説明するための概略図。
【図4】本発明の有機EL表示素子用基板の製造方法の第1の実施の形態を説明するための概略図。
【図5】本発明の有機EL表示素子用基板の製造方法の第1の実施の形態を説明するための概略図。
【図6】本発明の有機EL表示素子用基板の製造方法の第1の実施の形態を説明するための概略図。
【図7】本発明の有機EL表示素子用基板の製造方法の第2の実施の形態を説明するための概略図。
【図8】本発明の有機EL表示素子用基板の製造方法の第2の実施の形態を説明するための概略図。
【図9】本発明の有機EL表示素子用基板の製造方法の第3の実施の形態を説明するための概略図。
【図10】本発明の有機EL表示素子用基板の製造方法の第3の実施の形態を説明するための概略図。
【図11】本発明に係る有機EL表示素子用基板の製造方法の第4の実施の形態を説明するための概略断面図。
【図12】本発明に係る有機EL表示素子用基板の製造方法の第5の実施の形態を説明するための概略断面図。
【図13】本発明の有機EL表示素子を製造方法とともに説明するための概略断面図。
【符号の説明】
10…隔壁
11…隔壁本体
11a,11b…隔壁側面
12…隔壁頂部
13…隔壁底部
21…連結帯
31…基板
32…第1電極ライン
33…フォトレジスト膜
34,36,51,53,361…フォトマスク
35、37…露光光
41…カラーフィルター
42…オーバーコート層
61…有機EL媒体
62…第2電極ライン
63…封止層
121…頂部相当領域
131…底部相当領域

Claims (5)

  1. 基板上に互いに離間して配置された複数の第1電極ラインと、該第1電極ラインと交差する方向に互いに離間して延びる複数の隔壁と、隣り合う第1電極の間に位置して該隔壁のすそ同士を連結する、該隔壁と一体に設けられた複数の連結帯とを備え、該隔壁が、上部にひさし、下部にすそを有する、有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板の製造方法であって、第1電極ラインを形成した基板上に、露光光吸収性物質を含有するネガ型フォトレジスト膜を形成し、該ネガ型フォトレジスト膜について、隔壁のひさしを含む頂部に対応する領域に対する第1の露光と隔壁の底部および連結帯に対応する領域に対する第2の露光とを同時または相前後して行った後、未露光部を現像に供することによって隔壁と連結帯を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板の製造方法。
  2. 基板上に互いに離間して配置された複数の第1電極ラインと該第1電極ラインと交差する方向に互いに離間して延びる複数の隔壁とを備え、該隔壁が、上部にひさし、下部にすそを有する、有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板の製造方法であって、第1電極ラインを形成した基板上に、露光光吸収性物質を含有するネガ型フォトレジスト膜を形成し、該ネガ型フォトレジスト膜について、隔壁のひさしを含む頂部に対応する領域に対する第1の露光を行った後、未露光部を所定の厚さまで現像し、ついで隔壁のすそ先端部に対応する領域に対する第2の露光を行った後、未露光部を現像に供して隔壁を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板の製造方法。
  3. 基板上に互いに離間して配置された複数の第1電極ラインと該第1電極ラインと交差する方向に互いに離間して延びる複数の隔壁とを備え、該隔壁が、上部にひさし、下部にすそを有する、有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板の製造方法であって、第1電極ラインを形成した基板上に、露光光吸収性物質を含有するネガ型フォトレジスト膜を形成し、該ネガ型フォトレジスト膜について、隔壁のひさしを含む頂部に対応する領域に対する第1の露光を行った後、隔壁のすそ先端部に対応する領域に対して、該第1の露光と同じ露光面側から、第1の露光より少ない露光量で第2の露光を行った後、未露光部を現像に供して隔壁を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板の製造方法。
  4. 第2の露光を隣り合う隔壁を連結する連結帯に相当する領域に対しても行うことを特徴とする請求項またはに記載の製造方法。
  5. 複数のカラーフィルターを設けた基板上に互いに離間して配置された複数の第1電極ラインと該第1電極ラインと交差する方向に互いに離間して延びる複数の隔壁とを備え、該隔壁が、上部にひさし、下部にすそを有する、有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板の製造方法であって、基板上に複数のカラーフィルターを互いに離間して行および列として設け、その上に互いに離間してカラーフィルターの行方向に延びる複数の第1電極ラインを形成した後、その上に露光光吸収性物質を含有するネガ型フォトレジスト膜を形成し、該ネガ型フォトレジスト膜について、隔壁のひさしを含む頂部に対応する第1領域に対する第1の露光と、基板裏面からカラーフィルターをマスクとして、カラーフィルターの列間の間隙に相当する隔壁底部に対応する第2領域およびカラーフィルターの行間の間隙に相当する第3領域に対する第2の露光とを同時または相前後して行った後、未露光部を現像に供して、第3領域に対応する連結帯で連結された隔壁を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板の製造方法。
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