本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。
以下、図面を参照して本発明における第1実施形態を詳細に説明する前に、本発明の種々の態様について説明する。
本発明の第1態様によれば、ユーザが所持している物品に付された識別タグから、その物品を特定する情報がセンサによって読み取られた情報を基に、上記ユーザが所持している物品のリストを作成するリスト作成手段と、
上記リスト作成手段によってリストが作成される毎に、そのリストを記憶する記憶手段と、
上記記憶手段に記憶されている2以上のリストに基づいて、上記ユーザが物品を紛失したこと及びその紛失した物品を特定する紛失物品特定手段と、
上記紛失物品特定手段によって紛失した物品が特定されたことを受けて、その紛失した物品に関する情報を通知する通知手段と、を備える物品管理システムを提供する。
上記構成において、紛失物品特定手段は、上記記憶手段に記憶されている2以上のリストに基づいて、上記ユーザが物品を紛失したこと及びその紛失した物品を特定する。つまり、センサが少なくとも2回情報を読み取って(同じセンサでも、異なるセンサでもよい)、リストが2以上作成されたときに、上記紛失物品特定手段はユーザが物品を紛失したこと及びその紛失した物品を特定する。
そうして、紛失物品特定手段によって紛失した物品が特定されたことを受けて、通知手段は、その紛失した物品に関する情報を、所定の通知方法で上記ユーザに通知する。
本発明の第2態様によれば、上記リスト作成手段により作成される上記物品のリストは、複数の物品のそれぞれの固有の物品情報を含み、
上記紛失物品特定手段により、上記記憶手段に記憶されている2以上のリストを比較するとき、上記物品の固有の物品情報同士を比較して、上記ユーザが物品を紛失したこと及びその紛失した物品を特定するようにした、第1の態様に記載の物品管理システムを提供する。
本発明の第3態様によれば、上記紛失物品特定手段は、
ある時点で作成されたリストに含まれる各物品について、当該物品を含む、該上記時点よりも過去に作成されたリストであって直近に作成されたリストを抽出し、
上記抽出したリストに含まれる全物品の和集合からなる物品群を特定し、
上記特定した物品群に、上記時点で作成されたリストに含まれる物品以外の物品が含まれるときに、その物品を上記ユーザが紛失した物品であると特定する第1の態様に記載の物品管理システムを提供する。
本発明の第4態様によれば、上記ユーザが移動した経路を特定する経路特定手段をさらに備え、
上記通知手段は、上記紛失した物品に関する情報と共に、上記経路特定手段によって特定された上記ユーザの移動経路を上記ユーザに通知する第1の態様に記載の物品管理システムを提供する。
本発明の第5態様によれば、移動体に伴って環境内を移動して、上記識別タグが付された物品を探索する移動探索手段と、
上記紛失物品特定手段によって紛失物品が特定されたことを受けて、上記移動探索手段にその紛失物品の探索を依頼する探索依頼手段と、をさらに備える第1の態様に記載の物品管理システムを提供する。
本発明の第6態様によれば、上記通知手段は、上記移動探索手段の探索結果を受けて、上記ユーザにその探索結果を通知する第5の態様に記載の物品管理システムを提供する。
本発明の第7態様によれば、移動体に伴って環境内を移動して、上記識別タグが付された物品を探索する移動探索手段と、
上記紛失物品特定手段によって紛失物品が特定されたことを受けて、上記移動探索手段にその紛失物品の探索を依頼する探索依頼手段と、をさらに備え、
上記探索依頼手段は、上記紛失物品の探索を依頼する際に、上記経路特定手段によって特定された移動経路の情報を上記移動探索手段に提供する第4の態様に記載の物品管理システムを提供する。
本発明の第8態様によれば、上記移動探索手段は、上記探索依頼手段から提供された上記移動経路付近において紛失物品の探索を実行し、
上記通知手段は、上記移動探索手段の探索結果を受けて、上記ユーザにその探索結果を通知する第7の態様に記載の物品管理システムを提供する。
本発明の第9態様によれば、ユーザが所持している物品に付された識別タグから、その物品の所有者に関する情報がセンサによって読み取られた情報を基に、上記ユーザが所持している物品のリストを作成するリスト作成手段と、
上記リスト作成手段によって作成されたリストに基づいて、上記ユーザが、所持している物品の正当な所持者であるか否かを判定する本人判定手段と、
上記本人判定手段によって、上記ユーザが、物品の正当な所持者でないと判定されたことを受けて、その物品の所有者に、その物品に関する情報を通知する通知手段と、を備える物品管理システムを提供する。
本発明の第10態様によれば、上記ユーザが所持する物品の内の1つは、難紛失物品に設定され、
上記ユーザが所持する各物品に付された識別タグは、上記難紛失物品の情報を含み、
上記本人判定手段は、上記識別タグの情報に基づいて、リストに含まれる物品に対応付けられた難紛失物品が当該リストに含まれているときに、上記ユーザが当該物品の正当な所持者であると判定し、上記物品に対応付けられた難紛失物品が当該リストに含まれていないときに、上記ユーザが当該物品の正当な所持者でないと判定する第9態様に記載の物品管理システムを提供する。
本発明の第11態様によれば、上記本人判定手段によって上記ユーザが物品の正当な所持者でないと判定されたことを受けて、当該物品の追跡を行う追跡手段をさらに備え、
上記追跡手段は、追跡対象のユーザについて作成されたリストに、上記物品が含まれるか否かを調査することによって、当該物品の追跡を行い、
上記通知手段は、上記追跡手段の追跡結果を上記物品の所有者に通知する第9態様に記載の物品管理システムを提供する。
本発明の第12態様によれば、上記物品に付された識別タグは、その物品に関連する施設の連絡先情報を含み、
上記通知手段は、上記識別タグの情報に基づいて、上記物品に関する情報を当該物品に関連する施設に通知する第1又は9の態様に記載の物品管理システムを提供する。
本発明の第13態様によれば、ユーザが所持している各物品に付された識別タグから、その物品を特定する情報を読み取り、
上記読み取った情報を基に、上記ユーザがその時点で所持している物品のリストを作成し、
上記リストを作成する毎に、そのリストを記憶し、
上記記憶しているリストに基づいて、上記ユーザが物品を紛失したこと及びその紛失した物品を特定し、
上記紛失した物品を特定したときに、その紛失した物品に関する情報を、上記ユーザに通知する、ことを含む物品管理方法を提供する。
本発明の第14態様によれば、ユーザが所持している各物品に付された識別タグから、その物品の所有者に関する情報を読み取り、
上記読み取った情報を基に、上記ユーザがその時点で所持している物品のリストを作成し、
上記作成したリストに基づいて、上記ユーザが、所持している物品の正当な所持者であるか否かを判定し、
上記本人判定時にそのユーザが物品の正当な所持者でないと判定したときに、その物品の所有者に、その物品に関する情報を通知する、ことを含む物品管理方法を提供する。
本発明の第15態様によれば、コンピュータに、
ユーザが所持している各物品に付された識別タグから、その物品の所有者に関する情報を読み取った情報を基に、上記ユーザがその時点で所持している物品のリストを作成する機能と、
上記作成したリストに基づいて、上記ユーザが、所持している物品の正当な所持者であるか否かを判定する機能と、
上記本人判定時にそのユーザが物品の正当な所持者でないと判定したときに、その物品の所有者に、その物品に関する情報を通知する機能とを実現させるための物品管理用プログラムを提供する。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態〜第5実施形態の基本構成)
図1は、後述する第1実施形態〜第5実施形態に係る物品管理システムの基本構成を示すブロック図である。
この物品管理システムは、ユーザ91が街中で、遺失又は盗難等によって所持品90aを紛失したときに、その紛失したことの情報とその紛失した所持品90aに関する情報とを、上記ユーザ91に提供するサービスを行うシステムである。
このシステムは、センサ211によって読み取られた物品に付された識別タグの情報を基に、ユーザ91の所持品リスト(リスト形式の情報)を作成するリスト作成手段1212と、上記リスト作成手段1212によって作成されたリストを記憶する記憶手段1104と、上記記憶手段1104に記憶された2以上のリストに基づいて、紛失した物品(紛失物品)90aを特定する紛失物品特定手段1105と、上記紛失物品特定手段1105によって紛失物品90aが特定されたときに、その紛失物品90aに関する情報をユーザに通知する通知手段1106と、を備える。
本システムでは、ユーザ91が所持する各物品(所持品)には、識別タグ103が付されている。この識別タグ103は、特に紛失しては困る物品に付されていることが望ましい。例えば、携帯電話、PDA、ノートパソコン等を含む端末、財布、クレジットカード、キャッシュカード、定期券、身分証明書、衣服、傘、時計、装飾品等、が識別タグを付すことが好ましい物品の一例として挙げることができる。
この識別タグ103は、非接触タグが望ましく、例えば電子タグ(RFID)等とすることができる。この他にも、上記識別タグ103は、超音波、光等を使って検出可能な物としてもよい。また、タグ自体が電源や自発電機能を有していてもよい。さらに、例えば無線LAN(Local Area Network)や、それに類似するシステムを利用可能なデバイスとすることも可能である。
識別タグ103を電子タグとする場合であって、その識別タグ103が書き換え(又は追記)可能である場合は、例えば物流等の用途で利用されている電子タグを、本システムにおける識別タグ103として流用することが可能である。つまり、ユーザは、物品を入手した時点で、タグライターを用いて、その電子タグに元々記録されている物品情報(従来のバーコードと同様、製造者が記録するものであって物品の固有の情報)に加えて、所有者のユーザ情報等を追加して記録する。そうすることで、その電子タグを本システムにおける識別タグ103として利用することが可能である。また、識別タグ103は、物品情報とユーザ情報をサーバで対応付けていてもよい。
図2に、上記識別タグ103に記録されるデータ構造の一例を示す。この識別タグ103には、物品情報として物品コードが、ユーザ情報としてユーザコードが記録されている。
物品コードは、製造者がその物品に対し固有に割り当てた番号であって、例えば製造者コード・製品コード等の組合せで構成される。これにより、その物品コードから製造者、製造年月日、製品名(商品名)、また、その物品が食品であれば賞味期限等の製品情報が得られる。
ユーザコードは、本システムを利用してユーザに提供されるサービスのサービス提供機関から、サービス提供開始時にそのユーザに割り当てられたユーザID等によって構成される。この場合、複数のサービス提供機関が同様のサービスを提供する可能性があるので、サービス提供機関コードとユーザIDと組み合わせて作成されるコード(例えば、2つのコードを単に並べただけでもよい)をユーザコードとすることができる。
ここまでの構成については、第1実施形態のみならず、他の実施形態にも共用する構成であり、以下は、個々の実施形態特有の構成作用について説明する。
(第1実施形態)
次に、第1実施形態に係る物品管理システムについて具体的な利用シーンに沿って説明する。
(第1の利用シーン)
第1の利用シーンは、ユーザ91が街を歩行中に、所持品90をどこかに置き忘れた(または、落とした)シーンである。図3に、その第1の利用シーンに対応した本システムの構成図を示す。
このシステムは、サーバ100と、ユーザ91の行動環境内に存在する少なくとも1の探査機201(図3の例では、第1及び第2の探査機201a,201bの2個であるが、3個以上であってもよい)と、を含み、両者すなわちサーバ100と探査機201は、ネットワーク31を介して互いに接続されている。
ネットワーク31は、一般的な通信回線であるインターネットとすることが可能である。
上記探査機201は、建物等の出入口に設置されていて、ここでは、第1の探査機201aはユーザ91の自宅92の玄関に、第2の探査機201bはビルや店舗等93の出入口にそれぞれ設置されている。
各探査機201(201a,201b)は、物品に付された識別タグの情報を読み取り可能なセンサ211と、上記センサ211により識別タグ103の情報を読み取った時間を計測する計時部214と、上記センサ211により識別タグ103の情報を読み取った位置(例えば緯度、経度、高度の組)を計測する位置計測部215と、計時部214と位置計測部215とセンサ211に接続されかつセンサ211によって読み取られた、物品に付された識別タグの情報を基に、ユーザ91の所持品リストを作成するリスト作成手段212(図1のリスト作成手段1212に相当。)と、リスト作成手段212に接続されかつネットワーク31を介してサーバ100に接続可能な通信手段213とを含む。
上記センサ211は、上述したように、物品に付された識別タグ103の情報を読み取る。このセンサ211は、識別タグ103の構成に応じてその構成が決定される。識別タグ103が電子タグであるときは、センサ211は、その電子タグに対応したタグリーダとなる。また、識別タグ103が、電源又は自発電機能を有するときは、上記センサ211はタグ103から送信された情報を受信する構成とすればよい。尚、センサ211は、本システムを利用したサービスのサービス提供機関が設置しなくても、インフラストラクチャーとしてセンサ網(センサ211とネットワークとを接続する接続線を含む)が整備されていれば、そのセンサ網を利用してもよい。この場合、リスト作成手段212と、センサ211とは、1つの装置内ではなく、別個に設けてもよい。
上記リスト作成手段212は、識別タグ103が付された物品を所持したユーザがセンサ211を通過した際に、そのセンサ211によって読み取られた情報を基に、上記ユーザ91の所持品のリストを作成する。
上記通信手段213は、ネットワーク31を介した情報の送受信を行う一般的な通信手段であり、本システムでは、特に上記リスト作成手段212によって作成された所持品のリストを、ネットワーク31を介してサーバ100に送信する。
各探査機201には、計時部214による計時機能及び位置計測部215による位置計測機能が具備されており、それらの機能によって、上記識別タグ103の情報を読み取った時間と、その読み取った位置(例えば緯度、経度、高度の組)とを得ることができる。得た情報は、リスト作成手段212によって作成される所持品のリストの情報に含められる。
上記位置計測機能は、例えばGPS(Global Positioning System)を利用することができる。(これは、後述するように、探査機201自身が移動をする場合に有用である。)尚、図3に示すシステムのように、各探査機201が特定の場所に固定的に設置されている場合は、その探査機201を設置する際に、その設置場所の位置情報を探査機201に記憶させておき、リスト作成手段212によって作成される所持品のリストの情報に含めるようにすればよい。
各探査機201は、通信機能を有する一般的なコンピュータシステムに、センサ211を接続することによって構築することが可能である。リスト作成手段212は、コンピュータプログラムとして、記憶装置(ハードディスク等)に記憶させ、そのコンピュータプログラムを一時記憶装置(半導体メモリ等)に読み込んでCPUを用いて実行することにより、後述する各処理を実行することができる。すなわち、例えば、コンピュータに、ユーザが所持している各物品に付された識別タグから、その物品の所有者に関する情報を読み取った情報を基に、上記ユーザがその時点で所持している物品のリストを作成する機能と、上記作成したリストに基づいて、上記ユーザが、所持している物品の正当な所持者であるか否かを判定する機能と、上記本人判定時にそのユーザが物品の正当な所持者でないと判定したときに、その物品の所有者に、その物品に関する情報を通知する機能とを実現させるための物品管理用プログラムとすることができる。
上記サーバ100は、ネットワーク31に接続可能な通信手段107と、通信手段107に接続された記憶手段104(図1の記憶手段1104に相当。)と、記憶手段104に接続された紛失物品特定手段105(図1の紛失物品特定手段1105に相当。)と、紛失物品特定手段105に接続された通知手段106(図1の通知手段1106に相当。)と、を含む。
上記通信手段107は、ネットワーク31を介した情報の送受信を行う一般的な通信手段とすればよい。
上記記憶手段104は、ネットワーク31及び通信手段107を介して得られかつ各探査機201のリスト作成手段212によって作成された所持品のリストを記憶する。
上記紛失物品特定手段105は、詳しくは後述するが、上記記憶手段104に記憶されている2以上のリストに基づいて、ユーザ91が物品90を紛失したこと、及びその紛失物品90aを特定する。
上記通知手段106は、紛失物品特定手段105によって紛失物品90aが特定されたことを受けて、後述する所定の方法でユーザ91に紛失物品90aが発生したことを通知する。
このサーバ100は、通信機能を有する一般的なコンピュータシステムを基礎に構築することができる。上記通知手段106及び紛失物品特定手段105の各手段は、コンピュータプログラムとして、記憶装置(ハードディスク等)に記憶させ、そのコンピュータプログラムを一時記憶装置(半導体メモリ等)に読み込んでCPUを用いて実行することにより、後述する各処理を実行することができる。
尚、サーバ100に搭載した上記紛失物品特定手段105や通知手段106は、各探査機201に持たせ、それによって、本システムは、一以上の探査機201同士で自律分散的に動作するように構成してもよい。
また、本システムでは、上記ネットワーク31にWebサーバ32が接続されており、このWebサーバ32は、後述するように、上記通知手段106によってユーザ91の携帯電話などに通知をする際に利用される。
さらに、本システムでは、上記ネットワーク31に携帯電話公衆網33を介して基地局34が接続されており、携帯電話公衆網33及び基地局34は、後述するように、上記通知手段106によってユーザ91の携帯電話などに通知をする際に利用される。
また、ユーザ91は、通知手段106による通知を受けるために、携帯電話41等の通信端末を所持している。
以下、図4に示すフローチャートを参照しながら、上記の第1の利用シーンに沿って上記物品管理システムの動作(物品管理処理)について説明する。
(ステップS401)
ユーザ91が、自宅92の玄関に設置された第1の探査機201aを通過したか否かが判定され、通過していないときはステップS401が繰り返され、通過したときにはステップS402に移行する。つまり、ユーザ91が自宅92を出たときに、物品管理システムの処理がステップS402に移行する。
(ステップS402、403、404)
第1の探査機201aのセンサ211によって、ユーザ91が所持している各物品に付された識別タグ103の情報が読み取られ(ステップS402)、第1の探査機201aのリスト作成手段212は、上記センサ211が読み取った情報を基に、そのユーザ91の所持品リスト(第1所持品リストという)を作成する(ステップS403)。作成された第1所持品リストは、通信手段213によって第1の探査機201aからサーバ100へ送信される。サーバ100は、その第1所持品リストを記憶手段104に記憶する(ステップS404)。つまり、ユーザ91が自宅を出たときに所持していた物品90などのリストが第1所持品リストとして作成され、作成された第1所持品リストが、サーバ100に記憶される。
ここで、図5Aは第1所持品リストの一例を示している。このリストには、上から順に、ユーザコード(リスト)、位置(探査機の緯度、経度、高度の組)、時刻(時間)、各所持品の物品コード(第1所持品、第2所持品、・・・、第M所持品)、と並んでおり、リストの最後には、リストの終了を示す終了コード(EOF)が付けられる。なお、Mはユーザコードにリストされた所持品の総数である。
「ユーザコード」は、ユーザ91が所持している各物品90に付された識別タグ103に記憶されている情報を読み取ったものである(図2参照)。尚、ユーザ91の所持品90には、例えば家族や知人に借りた物品が含まれる場合があり、その場合は、その借りた物品の識別タグ103から、現在所持しているユーザとは異なるユーザコードが読み取られるが、そのときは、リストの「ユーザコード」にその全てのユーザコード(現在所持しているユーザのユーザコードと、家族や知人のユーザコード)を含め、ユーザコード毎のリスト形式となる。
尚、「位置」は、識別タグ103の情報を読み取った位置、「時刻」は識別タグ103の情報を読み取った時刻である。
(ステップS405)
ユーザ91が、次の探査機(ビルや店舗等93の出入口に設置された第2の探査機201b又は自宅92の第1の探査機201a)を通過したか否か(ビルや店舗等93の出入口又は自宅の玄関を通過したか否か)が判定され、通過していないときはステップS405が繰り返され、通過したときにはステップS406に移行する。ここでは、ユーザ91が移動をして、第2の探査機201bが設置されたビルや店舗93の出入口を通過したとする。
(ステップS406、407、408)
上記第1の探査機201aを通過したときと同様に、第2の探査機201bのセンサ211によって、そのときにユーザ91が所持している各物品に付された識別タグ103の情報が読み取られ(ステップS406)、第2の探査機201bのリスト作成手段212は、そのユーザ91の所持品リスト(第2所持品リストという)を第2所持品リストとして作成する(ステップS407)。作成された第2所持品リストは、第2の探査機201bからサーバ100へ送信され、サーバ100は、その第2所持品リストを記憶手段104に記憶する。
ここで、ユーザ91が第1の探査機201aから第2の探査機201bまで移動する間に、物品コードB0002で表される所持品90aを、置き忘れたとする。この場合に、ステップS407で作成される第2所持品リストを図5Bに示す。第1所持品リスト(図5A参照)と第2所持品リストとを対比すると、第2所持品リストには、第1所持品リストにあった所持品(物品コード:B0002)(財布)90aが無くなっていることがわかる。
(ステップS409)
サーバ100の紛失物品特定手段105は、紛失物品を特定するための紛失物品特定処理を実行する。この処理は、図6に示すフローチャートに従って行われる。
まず、ステップ601で、過去リスト用のメモリを確保しクリアする。この「過去リスト」とは、後述するように、紛失物品を特定する際に必要となるリストである。
続くステップS602で、上記第2所持品リストに含まれる所持品(I)を1つ抽出する。
ステップS603では、抽出した所持品(I)がリストの終了を示す終了コード(以下、単に「EOF」と称する。)であるか否か、を判定し、YESのときはステップS606に移行する一方、NOのときはステップS604に移行する。
ステップS604では、過去に作成された所持品リストから抽出した所持品(I)を含むリストであって、現時点でのリスト(ここでは第2所持品リスト)に対して直近に作成されたリストを、記憶手段104に記憶されている所持品リストの中から検索する。記憶手段104に記憶されている所持品リストの中にリストが存在したときには、そのリストに含まれる全ての物品を上記の過去リストに追加する。
そして、ステップS605で所持品番号(I)を1だけ増加させて、ステップS602に戻る。
こうして、現時点での所持品リストに含まれる各物品について、その物品を含むリストであって、その現時点でのリストに対して直近に作成されたリストを、記憶手段104に記憶されている所持品リストの中から検索し、そのリストが存在したときには、そのリストに含まれる全物品を過去リストに追加する。但し、過去リストに追加する物品が、既に過去リストに含まれているときには追加はしない。つまり、過去リストに同じ物品が重複して追加されないようにする。その結果、過去リストに含まれる物品は、現時点で作成されたリストに含まれる各物品について、当該物品を含む過去に作成されたリストであって直近に作成されたリストに含まれる全物品の和集合となる。
尚、過去に作成した所持品リストを、記憶手段104に記憶されている所持品リストの中から検索する際に、「直近のリスト」という条件を追加しなくても、「過去リストに含まれる物品を重複させない」という条件のみでも、結果として過去リストの内容は同じになる。但し、「直近のリスト」という条件を追加することによってデータ処理量が少なくなり、処理時間の短縮化が図られる。
このステップS602〜ステップS605までの処理を、図5A及び図5Bを参照しながら、第1所持品リスト及び第2所持品リストにおける処理として具体的に説明する。
先ず、ステップS602では第2所持品リストに含まれる所持品(1)であるB0001(例えば、時計)が抽出される。そうして、ステップS603ではその所持品(1)がEOFであるか否かを判定する。ここではNOであるため、ステップS604に移行し、所持品(1)=B0001(例えば、時計)を含む直近の所持品リストを、記憶手段104に記憶されている所持品リストの中から検索する。ここでは、第1所持品リストが、記憶手段104に記憶されている所持品リストの中から検索され、その第1所持品リストに含まれる全ての物品(B0001〜B000M)が過去リストに追加される。
次にステップS602に戻り、第2所持品リストに含まれる所持品(2)であるB0003(例えば、傘)が抽出され、ステップ604では第1所持品リストが、記憶手段104に記憶されている所持品リストの中から検索されるが、第1所持品リストに含まれる物品は、過去リストに既に含まれているため、過去リストに改めて追加されることはない。第2所持品リストに含まれる所持品(2)〜所持品(M−1){ただし、Mはユーザ91の所持している(所持しかつ物品管理対象となっている)所持品の総数である。}の各物品を含む直近の所持品リストは第1所持品リストであるため、結果として、過去リストは、第1所持品リストと同じ内容になって、ステップS606に移行する。
ステップS606では、作成した過去リストから、現時点でのリストに含まれる物品を削除する。このことにより、過去リストに物品が残らなかった場合は、過去の所持品リストと現在の所持品リストとに差がない、つまり、過去に所持していた物品を現在も所持していることになるため、紛失物品はないと判断することができる。
一方、過去リストに物品が残った場合は、その物品は過去に所持していたものの、現在は所持していないことになるため、その物品は紛失した物品であると推定することができる。
ここでは、過去リストには第1所持品リストに含まれる全物品が含まれ、第2所持品リストにはB0002(例えば、財布)を除く全物品が含まれるため、作成した過去リストから、現時点でのリストに含まれる物品を削除したときに、その過去リストには、B0002の物品が残ることになる。
過去リストに物品が残った場合は、その物品についての紛失物品リストを作成する。図7は紛失物品リストの一例を示している。このリストは、上から順に、ユーザコード、第1所持品リストを得た位置と時間、第2所持品リストを得た位置と時間、紛失物品(図例では紛失物品1の1つだけであるが、複数存在するときにはそれが順に並べられる)と並んでおり、リストの終了を示すコード(EOF)が最後に付けられる。
ここで、紛失物品リストに含まれる各紛失物品には、そのコードの他に、品名を記載することが望ましい。この品名は物品コード(図7の例では物品コードB0002で財布)が、製品情報と一対一に対応していることから、記憶手段104に記憶されかつ物品コードと製品情報とが一対一に対応した関係情報から紛失物品特定手段105により得ることができる。
以上で、ステップS409の紛失物品特定処理を終了して、図4のフローチャートのステップS410に進む。
(ステップS410)
そして、図4のフローチャートのステップS410では、ステップS409において紛失物品リストが作成されたか否か(紛失物品が存在するか否か)が判定され、紛失物品が無ければステップS412に移行する一方、紛失物品があったときにはステップS411に移行する。
(ステップS411)
紛失物品が存在するときには、通知手段106は、紛失物品特定手段105によって作成された紛失物品リストをユーザ91の携帯電話などに通知する。ここでの通知方法としては、いくつかの方法が考えられ、以下にその例を挙げる。
(1)通知手段106は、ユーザ91が所持している携帯電話41に、ネットワーク31、携帯電話公衆網33、基地局34を介して、紛失物品リストをメールで送信する。ユーザのメールアドレスは、ユーザがサービス利用機関に登録したメールアドレス(複数のメールアドレスを登録してもよく、その場合、各メールアドレスに通知すればよい)を用いることができる。ここで、通知先であるユーザ91は、紛失物品リストに含まれるユーザコードによって特定されるユーザである。
(2)通知手段106が、紛失物品リストをWebページとして作成し、そのページをネットワーク31を介してWebサーバ32にアップロードする。これにより、ユーザ91は、ネットワーク31を介して紛失物品リストをブラウザによってどこからでも閲覧可能とする。この際、このWebページのURL(Uniform Resource Locators)をユーザ91の携帯電話41へ送信し、携帯電話41から閲覧可能にしてもよい。さらには、ユーザ91のPC(Personal Computer)にも同時に通知する(例えば自宅等のPCにメールによって通知すればよい)ことによって、携帯電話41を所持していなかったり、携帯電話41を紛失したりした場合でも、ユーザ91は、帰宅後にネットワーク31を介してWebページを閲覧することで紛失物品に気づくことができる。
また、各探査機201にスピーカを取り付け、サーバ100の通知手段106は、紛失物品リストをWebサーバ32に送信すると同時に、紛失物品が特定された探査機201のスピーカから警告音「ポーン」や音声「忘れ物ございませんか」等を発するようにしてもよい。ユーザ91はこの警告音を聞くことによって所持品を紛失したことに気づくことができる。それによって、例えば近くにあるPC、携帯電話等のブラウザを利用して、上記Webページを閲覧し紛失物品の情報を早期に得ることができる。
(ステップS412)
次いで、通過した探査機201が第1の探査機201aであるか否かを判定し、YESのときは処理を終了し、NOのときはステップS405に戻る。言い換えれば、ユーザ91が自宅に帰ってきたとき(上記YESのとき)に物品管理処理は終了し、それ以外のとき(上記NOのとき)は、再び同様の物品管理処理を繰り返す。
以上のように、本物品管理システムでは、ユーザ91がセンサ211を通過する毎に、その時点での所持品リストが作成され、その所持品リストに基づいてユーザ91が所持品90aを紛失したことが特定される。そのため、ユーザ91は所持品90aを紛失したことに気付かなくても、紛失物品90aについての情報が得られる。そうして、ユーザ91は所持品90aを紛失したことを早期に認識することができる。
また、ユーザ91の携帯電話などに通知される紛失物品リストには、紛失した物品90aの情報だけでなくユーザ91が通過した探査機201の情報が含まれるため、ユーザ91がどこで所持品90aを紛失したかという場所情報(上記の例では第1の探査機201aと第2の探査機201bとの間)が得られ、それによってユーザ91は、紛失物品90aの探索がより容易になる。
(第2の利用シーン)
第2の利用シーンは、上記第1の利用シーンにおいてユーザが紛失した物品を、そのユーザ以外の第三者が所持して移動をしているシーンである。これは、ユーザが紛失した物品が、その第三者によって盗まれた物品であった場合、また、ユーザが落とした物品を拾った第三者が警察等に届ける最中である場合、に相当する。ここでは、上記ユーザが盗人99によって所持品を盗まれた場合としてシステムの動作について説明する。
ここで、その盗人99は、盗む前にいずれかの探査機(ここでは第3の探査機とする)201c(図3参照)を通過しており、そのときに盗人99の所持品リスト(第3所持品リスト)が作成され、その第3所持品リストがサーバ100の記憶手段104に記憶されているとする(図8A参照)。そうして、盗まれた後にその盗人99は再び第3の探査機201cを通過し、それによって新たな所持品リスト(第4所持品リスト)が作成され、その第4所持品リストがサーバ100に送信されて記憶手段104に記憶されたとする。
このとき作成されて記憶手段104に記憶された第4所持品リストは、図8Bに示すように、図8Aに示す第3所持品リストと比較して、物品(物品コード0002)(例えば、財布)が増えていることがわかる。
第4所持品リストを受けたのち、サーバ100の紛失物品特定手段105は、図6に示す上記フローチャートに従って、第4所持品リストについて、紛失物品を特定する紛失物品特定処理を開始する。この処理を図9を参照しながら説明する。
先ず、第4所持品リストに含まれる物品コードB0002(財布)が抽出され(ステップS602)、その物品を含む他の所持品リストが、記憶手段104に記憶されている所持品リストの中から検索される。ここでは、物品コードB0002の物品(財布)が盗まれる前に、その物品の正当な所有者について作成された第1所持品リスト(図5A参照)が、記憶手段104に記憶されている所持品リストの中から検索され(図9のS604−1参照)、そこに含まれる全物品(B0001〜B000M)が過去リストに追加される(ステップS603〜ステップS606)(図9のS604−2参照)。
同様に、第4所持品リストに含まれる物品コードB1001の物品が抽出され、その物品を含む第3所持品リスト(盗人99が盗みを行う前に作成された所持品リスト)が、記憶手段104に記憶されている所持品リストの中から検索される(図9のS604−3参照)。そうして、その第3所持品リストに含まれる全物品(B1001〜B100M)が過去リストに追加される(図9のS604−4参照)。
そして、過去リストから、第4所持品リストに含まれる物品を削除する(図9の斜線参照。すなわち、物品コードB0002、B1001〜B100Mが過去リストから削除される。)。そうすることによって、図10Aに示すように、物品コードB0001、B0003〜B000Mを含む紛失物品リストが作成される(ステップS606)(なお、紛失物品リストには、紛失した物品コードB0002の物品(財布)は含まれていない。)。こうして、紛失物品リストが紛失物品特定手段105により作成されることによって、その紛失物品リストが通知手段106によってユーザ91の携帯電話などに通知される。ここで通知されるユーザ91は、作成された紛失物品リストに含まれる物品コードに対応付けられたユーザである。なお、ユーザ91自分自身が家族又は知人の物品を道中に渡された場合(預かった場合、若しくは、もらったりした場合)にユーザ91が盗人扱いされるのを防ぐため、事前に親しい人(家族及び/又は友人)のユーザコードを相互に関連づけてサーバに予め記憶しておき、上記渡された物品に上記親しい人のユーザコードが付されていた場合は通知を行わないようにするか、上記渡された物品が盗まれたのではないことを示す為に、保持している人(この場合はユーザ91)の名前を提示して通知するようにするのが望ましい。この場合、上記親しい人の間でのユーザコード関連づけに対する双方の承認処理が必要である。
通知を受けたユーザ91は、その紛失物品リストに含まれる物品を全て所持しており、自宅を出たときには所持していた物品(物品コードB0002の物品(財布))がそこに含まれていないことから、その物品(物品コードB0002の物品(財布))を紛失した(盗難にあった)ことを気づくことになる。
ここで、図10Aに示す紛失物品リストでは、どの物品を紛失したかを、すぐに理解することは困難である。そこで、以下のように、ユーザ91の携帯電話などに通知する紛失物品リストを工夫することが好ましい。
つまり、図10Bに示すように、そのユーザ91が、前回、探査機201aを通過した際に作成されたリスト(ここでは第1所持品リスト)を抽出して、そのリストと、紛失物品リストとを紛失物品特定手段105により対比する。そうして、紛失物品リストに含まれる物品、つまり盗まれた物でない物品をリスト上で着色・点滅させたり、文字フォントを変える、又は物品の名称の前に特殊な文字(図10Bの例では「★」)等を表示して目立つように強調表示する。こうすることで、盗まれた物と、盗まれた物でないものとを区別して表示することが可能になる。逆に、盗まれた物のみを、リスト上で着色・点滅させたり、文字フォントを変える、又は物品の名称の前に特殊な文字(例えば「★」)等を表示して目立つように強調表示するようにしてもよい。
図10Bに示すような紛失物品リストの加工は、例えば図10Aの紛失物品リストを受けたユーザ91が、サーバ100に対して携帯電話41等を通じて、そのような加工を行うようにリクエストをしたことに応じて紛失物品特定手段105により行ってもよい。つまり、ユーザ91が紛失物品リストと自身の所持品リストとの対比をサーバ100に要求したときに、上述した紛失物品リストの加工を紛失物品特定手段105によって行ってもよい。
また、所持品リスト含まれるユーザコードの推移に基づいて、紛失物品特定手段105によって、自動的に加工してもよい。つまり、所持品リストに含まれるユーザコードは、上述したように、そこに含まれる物品コードに対応するユーザコードである。このため、盗人99が盗んだ物品を所持して探査機201cを通過すれば、その盗んだ物品に対応付けられたユーザコードが、盗人99のユーザコードと共に第4所持品リストに含まれる。つまり、図8Aの第3所持品リストのユーザコード(例えばU4321)に対して、図8Bの第4所持品リストのユーザコードには、物品B0002に対応するユーザコード(例えばU1234)が追加される。こうしたユーザコードの増加履歴を紛失物品特定手段105によって追跡することによって、盗難の可能性を紛失物品特定手段105によって判断し、それによって、図10Bに示すように、紛失物品リストを紛失物品特定手段105によって加工してもよい。
この第2の利用シーンでは、盗難にあったユーザ(所持品を紛失したユーザ)は、自らが探査機201を通過していないときでも、その物品を所持している第三者が探査機201cを通過することによって、自動的に紛失物品リストがユーザ91の携帯電話などに通知されることになる。つまり、ユーザ91は所持品が盗まれたことを、より早期に認識することが可能になる。
また、紛失物品リストには、盗人99が通過した探査機(第3の探査機)201cの情報が含まれるため、その情報を盗人99の追跡等に利用することも可能である。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る物品管理システムは、ユーザが乗車した乗り物に所持品を忘れたシーンに対応するシステムである。図11に、本システムの構成図を示す。
このシステムは、乗り物(本例ではタクシー51)の出入口に取り付けられた1つの探査機兼物品管理装置201dを備える。
この探査機兼物品管理装置201dは、センサ211、リスト作成手段212、記憶手段224、紛失物品特定手段225、通知手段226を備えている。こうして、本システムに必要な各手段を1つの探査機兼物品管理装置201dに備えることによって、システム構成を最小限に抑えることができる。尚、上述したように、探査機兼物品管理装置201dとは別にネットワーク31を介して接続されたサーバ100を設けてもよい。
上記センサ211、リスト作成手段212、記憶手段224、紛失物品特定手段225は、それぞれ上述した構成(すなわち、第1実施形態のセンサ211、リスト作成手段212、記憶手段104、紛失物品特定手段105)と同じ機能を有している。また、通知手段226には、例えばスピーカ等の報知装置42が接続されており、通知手段226は、このスピーカ42から音を発してユーザ91に対する通知をする構成となっている。具体的に通知手段226は、紛失した物品の情報やユーザ情報に応じて発声する音声データを音声合成技術等を用いて作成し、スピーカ42から発する機能を有する。
次に、第2実施形態に係るシステム全体の動作について説明する。この動作は、基本的に図4及び図6に示すフローチャートで示した動作とほぼ同じである。
先ず、ユーザ91がタクシー51に乗り込むときに、そのタクシー51に取り付けられた探査機兼物品管理装置201dのセンサ211が、ユーザ91の所持品に付された識別タグ103の情報を読み取る(図4のステップS401、ステップS402に対応)。リスト作成手段212は、センサ211が読み取った情報を基に、所持品リストを作成する(ステップS403に対応)。作成したリストは、記憶手段224に記憶される(ステップS404に対応)。
次に、そのユーザ91がタクシー51を降りるときに、上記探査機兼物品管理装置201dは再び識別タグ103の情報を読み取り(ステップS405、ステップS406に対応)、リスト作成手段212は、所持品リストを作成し(ステップS407に対応)、記憶手段224に記憶する(ステップS408に対応。ただし、送信動作は無し。)。紛失物品特定手段225は、こうして作成された、乗車時の所持品リストと降車時の所持品リストとに基づいて紛失物品の特定を行う(ステップS409に対応)。
具体的には、乗車時の所持品リストを上述した過去リストとし、降車時の所持品リストを現在の所持品リストとして、乗車時の所持品リストから、降車時の所持品リストに含まれる物品を削除する(図6のステップS601〜ステップS606に対応)。こうすることで、乗車時の所持品リストに物品が残ったときには、その物品が紛失した物品、つまり、タクシー51にユーザ91が置き忘れた物品であると推定される。
そうして、紛失物品が存在するときには(図4のステップS410でYESに対応)、通知手段106によってスピーカ42からその旨を音又は音声で発する(ステップS411に対応)。例えば、ユーザ91の名前と紛失物品の名前を音声合成し、「松下さん、財布をお忘れですよ。」等と発声してもよい。ユーザ91のプライバシーを保護するために、ユーザ91の名前や物品名を言わずに単に「忘れ物がございます」や「ポーン」という警告音だけでもよい。
このシステムでは、探査機兼物品管理装置201dから直接、音等でユーザ91の携帯電話などに通知をすることによって、ユーザ91は、例えば携帯電話等の通知を受ける機器41を持たなくてもよい。
尚、この第2の利用シーンの場合では、リスト作成手段212はユーザ毎にリストを作成し、紛失物品特定手段225は、ユーザ毎に一組の所持品リスト(乗車時の所持品リスト及び降車時の所持品リスト)から紛失物品を特定するのが望ましい。こうすることで、タクシー51に複数人のお客(ユーザ)が同時に乗車し、同時に降車する場合においても、そのお客(ユーザ)毎に紛失物品の特定を行うことが可能になる。
また、探査機兼物品管理装置201dに通信手段をさらに備える(図3の通信手段213のように備える)ようにして、紛失物品が発生したときに、その通信手段(図3の通信手段213)を介して、例えば図12に示すような紛失物品リストを、ユーザ91の携帯電話などに通知してもよい。この場合の通知方法は、第1実施形態で述べたように(1)のユーザ91が所持している携帯電話41に通知する方法、及び(2)のWebサーバ32に紛失物品リストをアップロードする方法を採用することが可能である。このとき、通知先であるユーザ91のメールアドレスは、各物品に付した識別タグ103に、ユーザ情報として記憶させておいてもよいし、識別タグ103にはユーザを識別するユーザIDだけを記憶させておき、上記ユーザIDに基づいてサーバに問い合わせてメールアドレスを得るようにしても構わない。
上記の紛失物品リストには、上から順に、ユーザコード、交通機関、TEL、ナンバープレート、乗車位置、乗車時間、紛失物品、終了コード、などの情報が含まれる。
上記「交通機関」には、タクシー会社の名称、「TEL」にはタクシー会社の電話番号、「ナンバープレート」には、乗車したタクシーのナンバープレート又は識別番号、「乗車位置」には探査機兼物品管理装置201d(探査機兼物品管理装置201dが位置計測部215を備えている場合にはその位置計測部215の位置計測機能又はタクシーが備える位置計測機能(上述したように、GPSを利用することができる)によって計測された、緯度、経度、高度情報、がそれぞれ記載される。つまり、紛失物品リストには、乗車したタクシーを特定可能な情報を含めるのがよい。これらの情報(乗車位置の情報を除く)は、予め探査機兼物品管理装置201dに記憶させておけばよい。
尚、紛失物品リストには、乗車位置だけでなく、降車位置をも含めてもよい。
また、タクシー51にカーナビゲーションシステムが搭載されているときは、上記紛失物品リストには、そのタクシーの走行経路の情報を含めてもよい。
本システムは、タクシー以外にも、バス、鉄道等を含む交通機関全般に適応することができる。
また、乗り物に限らず、一般の施設・建物(レストラン、喫茶店、遊園地、公共施設等)にも容易に適応することができる。
なお、図11のシステムの探査機兼物品管理装置201dは、例えば、通信機能を有する一般的なコンピュータシステムに、センサ211を接続するとともに、コンピュータシステムに、ユーザが所持している各物品に付された識別タグから、その物品の所有者に関する情報を読み取った情報を基に、上記ユーザがその時点で所持している物品のリストを作成する機能と、上記作成したリストに基づいて、上記ユーザが、所持している物品の正当な所持者であるか否かを判定する機能と、上記本人判定時にそのユーザが物品の正当な所持者でないと判定したときに、その物品の所有者に、その物品に関する情報を通知する機能とを実現させるための物品管理用プログラムとして、記憶装置(ハードディスク等)に記憶させ、そのコンピュータプログラムを一時記憶装置(半導体メモリ等)に読み込んでCPUを用いて実行することにより、上記各処理(機能)を実行するようにすることもできる。
さらに、タクシー及びその他の交通機関を降車した後に、その乗り物に関する情報を通知する技術は、紛失物品特定手段225によって、紛失物品の特定を行わない場合においても有効である。
つまり、タクシー及びその他の交通機関を利用したお客に、その乗車した乗り物に関する情報を、例えばメールによってユーザに通知するのである。
こうすることで一般的に、乗り物に忘れ物をしたことを後で気づいたときでも、その乗車した乗り物を特定することは困難であるが、例えばタクシー会社等の連絡先等の情報が通知されていることによって、ユーザ91は忘れ物の問い合わせ等を容易に行うことができ、利便性が高い。
また、本第2実施形態を、時限付きの場所(例えばコインロッカー、ホテル部屋、クローク、駐車場、会議会場など)に適用する場合、ユーザ91が所持品を置いて離れると、紛失物品と誤って判断されて、すぐに通知がユーザ91に来るのは煩わしい。そこで、それぞれの場所で定められた時刻(あるいはサービス終了時刻より予め定めた時間早い時刻)になれば、紛失であることの通知をユーザ91に行うのが望ましい。この場合には、物品管理システムとしては、探査機兼物品管理装置から離れた場所に居るユーザ91の携帯電話などに通知するための図3の通信手段213などの通信システムと、定められた時刻になったか否かを判断する計時部(又は計時手段)214とを備えることが望ましい。
図22は、時限付きの場所に物品をユーザ91が預けた場合の動作を示すフローチャートである。S2201からS2209までは、図4のステップS401からS409と同様の動作なので説明は省略する。ステップS2210(ステップS410に相当)において、紛失物品が存在する場合で、かつステップS2211において所定の時刻を超えていると計時部(又は計時手段)214により判断されれば、S2212(ステップS411に相当)において所有者であるユーザ91に、通知手段226により、図3のネットワーク31、携帯電話公衆網33、基地局34を介してユーザ91の携帯電話41に通知を行う。
なお、この時刻は、通常サービス提供側(コインロッカー、駐車場など)で設定されるが、ユーザ91が、ユーザ91の携帯電話41などにより自由に設定できるようにしても構わない。また、駐車場など預けた時間に応じて課金されるようなサービスの提供をユーザ91が受ける場合、一定間隔おき(たとえば、課金されるのを知るために上記預けた時間間隔毎に)にユーザ91の携帯電話などに通知を行うようにするのが望ましい(例えば30分間隔など)。
また、ホテルの部屋や駐車場のように利用者(ユーザ91)も物品と同時にその場所に立ち入る場合とは異なり、コインロッカーやクロークなどの保管される場所に、利用者(ユーザ91)が物品と同時にその場所に立ち入らない場合は、探査機兼物品管理装置によって2つの所持品リストが生成されない(すなわち、ユーザ91がその場所に入る時と出る時に生成される2つの所持品リストが生成されない)。従って、このような場合は、ユーザ91による探索機兼物品管理装置の通過に代わるトリガー(ステップS2201及びステップS2205に対応)を手がかりに所持品リストをリスト作成手段により生成することが望ましい。例えば、コインロッカーであれば、物品を入れるとき(入る時)のリスト作成用トリガーとしては、ユーザ91がコインロッカーの前の探査機兼物品管理装置の通過(ステップS2201)とし、ユーザ91が物品をコインロッカーに預けて立ち去る時(出る時)のリスト作成用トリガーは、ユーザ91がコインロッカーのドアを閉めて施錠する(ステップS2205に対応)動作とする、などである。
以上のように、本システムでは、乗り物等の出入口に探査機兼物品管理装置を設け、ユーザ91が乗り物等の出入口を通過する毎に所持品リストを作成することによって、乗り物等で所持品を忘れたことを特定することができ、そのことがユーザ91に直ぐに通知される。こうしてユーザ91が乗り物等で忘れ物をすることを未然に防止することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態に係る物品管理システムは、ユーザ91が所持品を紛失したときに、その紛失した物品の属性に応じて定められた、その物品に関連する機関に所定の通知を行うシステムである。図13に、本システムの構成図を示す。ここでいう物品は、例えばクレジットカードやキャッシュカード等の、その物品の所有者本人のみが使用可能であり、他人が使用することを防止すべき物品である。この第3実施形態に係るシステムは、上記第1実施形態に係るシステムと略同じ構成であり、同じ構成要素については同じ符号を付してその説明は省略する。
本システムは、上記したように第1実施形態に係るシステムと略同じ構成であるが、ネットワーク31に関連機関又は施設(クレジットカード会社等)のサーバなど(以下、「関連機関のサーバ」と称する。)35が接続されている点が、第1実施形態に係るシステムと相違する。この関連機関のサーバ35には、クレジットカード又はキャッシュカードが利用可能なATM(automated teller machine)36が接続されていて(図13の例では1つのATM36のみであるが、多数のATMが関連機関のサーバ35に接続される)、ATM36は上記関連機関のサーバ35によって管理される。尚、第3実施形態に係るシステムにおいて、上記第1実施形態に係るシステムと同じ構成要素については同じ符号を付してその説明は省略する。
本システムでは、上述したように、紛失物品が特定されたときに、その紛失物品に関連する関連機関のサーバ35に連絡を自動的に行う。このため、各物品と、それに対応する関連機関のサーバ35とを対応付けておく必要がある。
図14Aは、識別タグ103に記憶されるデータ構造の一例を示す図であって、ここでは、物品情報に、物品コード、連絡先コード、連絡内容コードなどの情報が含まれる。
上記「連絡先コード」は、その物品に関連する機関の連絡先を示すコードであり、図14Bに示すように、連絡先コードと、それに対応する連絡先(名称及びメールアドレス)とを含むテーブル(連絡先コード表)を予め作成し、その連絡先コード表をサーバ100の記憶手段104に記憶しておく。尚、識別タグ103には、連絡先コードを含めるのではなく、関連機関のサーバ35のメールアドレスそのものを含めてもよい。
また、「連絡内容コード」は、その関連機関のサーバ35への連絡内容を示すものであり、その連絡内容には、例えばクレジットカードであれば、少なくとも、一時使用停止、使用停止、等のいずれか1つの連絡内容が含まれる。図14Cに示すように、上記各連絡内容に連絡内容コードを割り当ててテーブル(連絡内容コード表)を作成し、その連絡内容コード表をサーバ100の記憶手段104に記憶しておく。この連絡内容コード表は、連絡先コード表に含まれる各関連機関のサーバ35にも保持させておく。
尚、連絡先コード表及び連絡内容コード表は、サーバ100の記憶手段104に記憶させるのではなく、ネットワーク31上の別のサーバの記憶手段において常に最新の情報となるように管理し、上記サーバ100及び関連機関のサーバ35は、必要に応じてその別のサーバの記憶手段に記憶された情報を参照するようにしてもよい。
次に、本システムの動作について、ユーザ91がクレジットカードを紛失したシーンに沿って説明する。
本システムは、大略、図4及び図6に示すフローチャートに従って動作する。そうして、そのステップS410で紛失物品リスト中で紛失物品(ここではクレジットカード)が存在すると判定されたときに、ステップS411で通知手段106は、関連機関のサーバ35への通知を行う。
具体的には、上記通知手段106は、紛失したクレジットカードの物品情報を参照して、その連絡先コードと連絡内容コードとを取得する。そして、連絡先コード表を参照して、連絡先コードに対応するメールアドレスに、物品情報、ユーザコード、連絡内容コードを送信する。
連絡先コードに対応するメールアドレスを持っておりかつ上記通知手段106から連絡を受けた関連機関のサーバ35は、連絡内容コード表を参照して、ユーザコードに対応するクレジットカードについて連絡内容コードに対応する処理を行う。それによって、ユーザが紛失したクレジットカードについて、一時使用停止、又は使用停止等の処理が行われる。
上記通知手段106は、紛失物品の情報及び上記関連機関のサーバ35へ送った内容のメールを、ユーザ本人にも送信してもよい。この場合、上記通知手段106は、関連機関のサーバ35への連絡とユーザ本人への連絡とを同時に行ってもよいし、又は、上記通知手段106は、関連機関のサーバ35への連絡を行った後にユーザ本人への連絡を行ってもよい。また、上記通知手段106がユーザ本人の携帯電話など41への連絡を行った後に関連機関のサーバ35への連絡を行ってもよい。そのときは、関連機関のサーバ35が、クレジットカードの一時使用停止又は使用停止等の処理を実行してもよいか否かを、ユーザ91の携帯電話など41に確認する通知を行うなどの確認手順を実行してもよい。そうして、そのユーザ91からの返答に応じて、上記通知手段106の関連機関のサーバ35への連絡内容を決定するようにしてもよい。
また、通知手段106は、関連機関のサーバ35に紛失したと推定される場所の情報(上述したように、図7等の紛失物品リストに含まれる探査機201の位置情報)を提供し、それによって関連機関のサーバ35は、その紛失場所付近に存在する施設(クレジットカードが利用可能な店舗、ATM、CD機(cash dispenser)等)に対し、利用の停止処理等を行ってもよい。
尚、ここでは、識別タグ103の物品情報として、物品コード・連絡先コード・連絡内容コードを含めたが、これに限らず、物品情報としては物品コードのみを含み、その物品コードに対して、常に一意の連絡先コード・連絡内容コードを対応づけたコード表を作成して、記憶手段104などに記憶させておいてもよい。
以上のように、本システムでは、紛失物品がクレジットカードやキャッシュカード等の、他人によって悪用される虞のある物品である場合には、ユーザが紛失物品に気づく前に、又は、紛失物品に気づいてユーザ91が関連機関のサーバ35にその連絡を行う前であっても、上記システムがその関連機関のサーバ35に対して自動的に連絡を行うため、クレジットカード等の悪用が未然に防止され、高いセキュリティ性を確保することができる。
(第4実施形態)
第4実施形態に係る物品管理システムは、ユーザ91が所持品を紛失したときに、その紛失した情報に加えて、ユーザ91が物品を紛失するに至るときの移動経路の情報をユーザ91に提供するシステムである。これにより、ユーザ91は紛失物品をより容易に発見することが可能になる。
図15は第4実施形態に係る物品管理システムのブロック図である。この第4実施形態に係るシステムは、上記第1実施形態に係るシステムと略同じ構成であり、同じ構成要素については同じ符号を付してその説明は省略する。
第4実施形態に係るシステムと第1実施形態に係るシステムとの相違点として、第4実施形態に係るシステムでは、サーバ100が経路情報作成手段108をさらに有していると共に、ユーザ91が位置計測装置60を所持している点が挙げられる。
上記位置計測装置60は、上述したようにユーザ91が所持をしている装置であり、ユーザ91の移動に伴い移動をする。この位置計測装置60は、位置計測手段601、記憶手段602、通信手段603を含む。
位置計測手段601は、自己位置を計測する手段であり、複数の衛星からの電波に基づき自己位置を測定するGPSシステムを利用することができる。
記憶手段602は、後述するように、上記位置計測手段601によって計測された位置(現在地)の情報を逐次記憶するものである。
通信手段603は、ここでは、各探査機201との間で、無線による通信を行う手段であり、上記記憶手段602に記憶されている位置情報を上記探査機201に送信する。ここでの無線による通信には、例えば携帯電話や無線LAN等が考えられる。無線LANの場合、探査機201に無線LANのアクセスポイントの機能を含めておくのが望ましい。
この位置計測装置60としては、例えばGPS受信機を具備した携帯電話とすることができる。
上記経路情報作成手段108は、上記位置計測手段601によって計測され、上記位置計測装置60から探査機201及びネットワーク31を介してサーバ100に送られた位置情報を受けて、ユーザ91が移動した経路を特定し、その経路情報をユーザ91の携帯電話などに通知するためのデータとして加工する。加工された情報は、通知手段106によってネットワーク31を介して、紛失物品の情報と共にユーザ91の携帯電話等に通知される。
第4実施形態に係る物品管理システムは、図16に示すフローチャートに従って動作するが、ここでは、ユーザ91が街中を歩行中に、所持品をどこかに落としたシーンに沿って、本システムの動作について説明する。第1の探査機201aは自宅92の玄関に設置され、第2の探査機201bはビルや店舗等93の出入口に設置されている。
(ステップS1601)
ユーザ91が第1の探査機201aを通過したか否かが判定され、通過していないときはステップS1601が繰り返され、通過したときにはステップS1602に移行する。
(ステップS1602、S1603、S1604)
第1の探査機201aのセンサ211によって、ユーザ91が所持している各物品に付された識別タグ103の情報が読み取られ(ステップS1602)、第1の探査機201aのリスト作成手段212は、上記センサ211が読み取った情報を基に、そのユーザ91の所持品リスト(第1所持品リスト)を作成する(ステップS1603)。作成された第1所持品リストは、通信手段213によって第1の探査機201aからネットワーク31を介してサーバ100へ送信される。サーバ100は、その第1所持品リストを記憶手段104に記憶する(ステップS1604)。
(ステップS1605)
第1の探査機201aが、ユーザ91が所持している位置計測装置60に位置計測・記録の開始要求を送信する。それを受けた位置計測装置60は、位置計測・記録を開始する。例えば所定の時間毎に位置計測手段601によって自己位置を計測し、その計測結果を記憶手段602に記憶する、又はユーザ91が移動することによって自己位置が所定距離以上移動する毎に、その新たな自己位置を計測し、その計測結果を記憶手段602に記憶させる。
(ステップS1606)
ユーザ91が次の探査機(第2の探査機201b又は第1の探査機201a)を通過したか否かが判定され、通過していないときはステップS1606が繰り返され、通過したときにはステップS1607に移行する。ここでは、ユーザ91が移動をして、第2の探査機201bが設置されたビルや店舗93の出入口を通過したとする。
(ステップS1607、S1608)
上記第1の探査機201aを通過したときと同様に、第2の探査機201bのセンサ211によって、そのときにユーザ91が所持している各物品に付された識別タグ103の情報が読み取られ(ステップS1607)、第2の探査機201bのリスト作成手段212は、そのユーザ91の所持品リスト(第2所持品リスト)を作成する(ステップS1608)。
(ステップS1609、S1610)
第2の探査機201bは位置計測装置60に対して位置計測・記録の停止要求を送信し、それを受けた位置計測装置60は、位置計測・記録を停止する(ステップS1609)。そうして、その位置計測装置60は、第2の探査機201bに記憶手段602に記憶されている位置情報(位置情報の履歴)を送信する(ステップS1610)。
(ステップS1611)
第2の探査機201bは、作成した第2所持品リストと、位置計測装置60から送信された位置情報とをネットワーク31を介してサーバ100に送信し、サーバ100はそれらの情報を記憶手段104に記憶する。
ここで、ユーザ91が第1の探査機201aから第2の探査機201bまで移動する間に、物品コードB0002で表される所持品90aを落としたとする。
(ステップS1612、S1613)
サーバ100の紛失物品特定手段105は、紛失物品の特定処理を実行する(ステップS1612)。この処理は、先に述べた図6に示すフローチャートに従って行われる。そうして、紛失物品リストが作成されたか否か、換言すれば紛失物品が存在するか否かを判定し、紛失物品が無ければステップS1616に移行する一方、紛失物品が存在するときにはステップS1614に移行する(ステップS1613)。
(ステップS1614)
紛失物品が存在するときには、サーバ100の経路情報作成手段108は、記憶手段104に記憶されている位置情報に基づいてユーザ91が移動をした経路(ここでは第1の探査機201aから第2の探査機201bまでの経路)の情報を作成する。
具体的には、経路情報作成手段108は、第1の探査機201a及び第2の探査機201bを包含する地図を用意し、その地図上に各位置情報を重ねるようにすることもできる。例えば、経路情報作成手段108により、各位置(緯度・経度・高度)を「・」マーク等によって地図上にプロットしたり、その「・」マークの間を直線で結んだりして、経路情報を作成すればよい(図17A参照)。
また、経路情報作成手段108により、経路情報を文字情報で表すことも可能であり、例えば「自宅〜甲町4丁目〜○×通り〜乙町3丁目〜松下百貨店」といったように作成してもよい。
(ステップS1615)
紛失物品特定手段105によって作成された紛失物品リスト及び経路情報作成手段108によって作成された経路情報を、通知手段106によってユーザ91の携帯電話などに通知する。
ここでの通知方法としては、第1実施形態などで述べた(1),(2)に相当する方法が採用可能である。つまり、ユーザ91の携帯電話(本実施形態では位置計測装置60である)にメールによって通知する場合((1)の方法に相当)、経路情報は、携帯電話の表示解像度を考慮して、上述したように、文字情報として通知するのがよい。つまり、第1の探査機201aから第2の探査機201bまでに、ユーザ91が通過した要所の名称を、その通過順に並べて「自宅〜甲町4丁目〜○×通り〜乙町3丁目〜松下百貨店」という情報である。
一方、Webサーバ32にアップロードしたWebページによって通知をする場合((2)の方法に相当)、経路情報は文字情報としてもよいが、図17Aに示すように、地図情報として通知することが好ましい。
(ステップS1616)
次いで、通過した探査機が第1の探査機201aであるか否かを判定し、YESのときは処理を終了し、NOのときはステップS1605に戻る。
以上のように、本システムでは、ユーザ91が所持品90aを紛失したときには、その紛失物品90aについての情報に加えて、所持品90aを紛失したと推定される場所の情報が得られる。これによって、紛失物品90aの探索をより効率的かつ適切に行うことが可能となる。
(第5実施形態)
第5実施形態に係る物品管理システムは、ユーザ91が所持品90aを紛失したときに、その紛失物品90aの探索を移動探索装置70に依頼して、紛失物品の早期発見を図るシステムである。
図18は第5実施形態に係る物品管理システムのブロック図である。この第5実施形態に係るシステムは、上記第1実施形態に係るシステムと略同じ構成であり、同じ構成要素については同じ符号を付してその説明は省略する。
第5実施形態に係るシステムと第1実施形態に係るシステムとの相違点として、第5実施形態に係るシステムは、移動探索装置70をさらに備えており、サーバ100は、探索依頼手段109をさらに有している点が挙げられる。
上記探索依頼手段109は、紛失物品特定手段105により紛失物品90aが特定されたときに、その紛失物品90aの探索を移動探索装置70に依頼する処理を実行するものである。
上記移動探索装置70は、移動体(人、ロボット、乗り物等を含む)と共に移動をするものであり、センサ701、位置計測手段702、探索手段703、通信手段704を備える。人と共に移動をする移動探索装置70は、人が所持している携帯電話を利用することができる。ここでの「人」は、本システムのサービス提供を受けているユーザ91とすればよい。尚、図18の例では移動探査機70は、1つのみであるが、実際には、環境内に複数存在していることになる。
センサ701は、自宅92の玄関やビルや店舗93に固定的に設置された探査機201a,201bのセンサ211と同じであり、物品に付された識別タグ103の情報を読み取るものである。
上記位置計測手段702は、自己位置を計測する手段であり、自己位置計測にはGPSシステムを利用することができる。
上記通信手段704は、上記探査機201との間で、無線による通信を行う手段である。ここでの無線による通信には、例えば携帯電話や無線LAN等が考えられる。無線LANの場合、探査機201に無線LANのアクセスポイントの機能を含めておくのが望ましい。また、上記通信手段704は、上記探査機201との間で通信を行わなくても、上記ネットワーク31に接続された無線LANのアクセスポイント(ホットスポット)との間で無線による通信を行ってもよい。要は、上記移動探索装置70が上記ネットワーク31に対して接続可能であればよい。
上記探索手段703は、ネットワーク31を介して、上記サーバ100の探索依頼手段109からの依頼を受けて、上記センサ701による物品の探索を行う手段である。
次に、第5実施形態に係るシステムの動作について、ユーザ91が第1の探査機201aから第2の探査機201bまで移動する間に、所持品を紛失したシーンに沿って説明する。このシステムは、図4又は図16に示すフローチャート(図6に示すフローチャートを含む)に従って動作する。そうして、紛失物品特定手段105によって紛失物品リストが作成されて、紛失物品の存在が特定されたとき(ステップS409、S410又はステップS1612、S1613)には、本システムでは、ステップS411又はステップS1615において、ユーザ91にその旨を通知すると共に、探索依頼手段109によって、探査機201を介して移動探索装置70に紛失物品の探索を依頼する。
具体的に、上記探索依頼手段109は、紛失物品が特定された探査機201(ここでは第2の探査機201b)及びユーザ91がその探査機201を通過する前に通過した探査機(ここでは第1の探査機201a)付近に存在する移動探索装置70に対し、紛失した物品90aの物品コードを含む探索依頼を、ネットワーク31及び無線LANを通じて行う。ここで、上記の「探査機付近」とは、探査機201を中心とし所定の半径を有する球(二次元的には、円)の内部とすればよい。これにより、過剰な範囲の探索が防止され、効果的に探索が行われる。
探索依頼を受けた移動探索装置70の探索手段703は、センサ701に、その探索依頼に含まれる紛失物品90aの物品コードの読み取りを実行させる。尚、移動探索装置70が人が所持している携帯電話である場合においては、その人に探索を行っていることを知らせる必要はなく、その携帯電話を持って人は単に環境内を移動すればよい。
そうして、移動探索装置70のセンサ701が、物品コードを読み取ることができたとき、換言すれば紛失物品90aが発見されたときには、位置計測手段702によって自己位置を計測し、その計測した位置と、物品コードを読み取った時刻とを、探索結果として位置計測手段702に記憶する。そうして、その後に通過した探査機201、又はホットスポットにおいて、移動探索装置70は、通信手段704によって、その探索結果を、無線LAN、又は、無線LAN及びネットワーク31を通じてサーバ100に送信する。
探査機201又はホットスポットに送信された探索結果は、ネットワーク31を介してサーバ100に送られ、サーバ100は、その通知手段106によって探索結果をユーザ91の携帯電話などに通知する。この探索結果は、上述したように、紛失物品90aを発見した場所及びその時刻を含む文字情報として、又は地図上に発見した場所をプロットした地図情報として、メールやWebページによってユーザ91の携帯電話などに通知することが可能である。
尚、移動探索装置70から、直接、探索結果をメールによってユーザ91の携帯電話などに送信してもよい。この場合は、紛失物品90aに付された識別タグ103にユーザ91の携帯電話などのメールアドレスを含めておけばよい。
尚、上記第4実施形態に係るシステムのように、ユーザ91の移動経路情報が得られるときには、上記探索依頼手段109は、移動探索装置70に探索依頼を行う際に、その移動経路情報をも送信するのが好ましい。こうすることで、上記移動探索装置70は、その位置計測手段702によって計測された現在地と移動経路情報とを対比させて、その移動経路付近においてのみ探索を行うことが可能になる。それによって、より一層効果的な探索が実現する。
さらに、探索時間を設定してそれを探索依頼に含めてもよい。そうして、移動探索装置70は探索依頼を受けて上記探索時間だけ経過すると探索を打ち切るようにしてもよい。
以上のように、本システムでは、ユーザ91が所持品90aを紛失したときには、環境内を移動する移動探索装置70によって紛失物品90aの探索が行われる。それによって、紛失物品90aの発見までの時間を削減することができる。
また、環境内を移動する移動探索装置70によって紛失物品90aの探索が行われるため、紛失物品90aの探索をする探索機(センサ)を固定的に設置する場合と比べて、システム構成を簡略化することができる。
(第6実施形態)
第6実施形態に係る物品管理システムは、物品とその物品を所持する所持者との関係に基づいて、その所持者がその物品の正当な所持者であるか否かを判定(本人判定という)し、正当な所持者でないときに、その物品の所有者に通知を行うシステムである。これは特に、所持品が盗難にあった場合等において有効なシステムである。
図19は第6実施形態に係る物品管理システムのブロック図である。この第6実施形態に係るシステムは、上記第1実施形態に係るシステムと略同じ構成であり、同じ構成要素については同じ符号を付してその説明は省略する。
この第6実施形態に係るシステムにおいて、第1実施形態に係るシステムと相違する点は、サーバ100が、紛失物品特定手段105及び記憶手段104に代わり、本人判定手段110及び追跡手段111を備えている点である。
また、ユーザ91の自宅92の玄関に設置された第1の探査機201aのセンサ211aは、識別タグ103の情報を読み取ると共に、その識別タグ103に情報を書き込むリーダライタとされている点も、第1実施形態に係るシステムとは相違する。
尚、本システムは、各探査機201とサーバ100とをネットワーク31を介して接続して構成しているが、サーバ100に搭載した上記通知手段106、本人判定手段110、追跡手段111は、各探査機201に持たせ、それによって、本システムは、一以上の探査機201同士で自律分散的に動作するように構成してもよい。
このシステムでは、ユーザ91の所持品の中で、紛失し難い物品を難紛失物品に設定する。そうして、その他の所持品と上記難紛失物品とを対応付けておき、ユーザ91(又は盗人を含む第三者98)が探査機201を通過して所持品リストが作成されたときに、そのリストに、各所持品に対応付けられた難紛失物品が含まれるか否かによって、本人判定を行う。
上記「難紛失物品」は、例えばユーザ91が身につけていて通常は紛失することのない物品であり、具体的には着用している衣服、眼鏡等を難紛失物品に設定することが可能である。この難紛失物品は、ユーザ91がサービス利用時に(外出する時に)決めて登録してもよいし、普遍的な習慣としてシステムに予め記憶させておいてもよい。
各所持品と難紛失物品とを対応付けは、例えばユーザ91が自宅92を出る際に(第1の探査機201aで所持品を検出した際に)、各所持品に付された識別タグ103に各所持品の物品コードと上記難紛失物品のコードと対応づけて記憶させればよい。尚、これとは異なり、各所持品の物品コードと難紛失物品のコードとを対応付けたテーブルを作成し、これをサーバ100の本人判定手段110の記憶手段に記憶させてもよい。この場合は第1の探査機201のセンサ211をリーダライタとする必要はなく、リーダのみとしてもよい。
上記本人判定手段110は、物品の所持している者が、その物品の正当な所持者であるか否かを判定し、詳細は後述するが、物品の所持者が、その物品の正当な所持者でないと判定されたときには、その物品についての紛失物品リストを作成する。
上記追跡手段111は、本人判定手段110によって、物品の所持している者が、その物品の正当な所持者でないと判定されたときに、その物品の移動を追跡する。
上記通知手段106は、本人判定手段110の判定結果を受けて、その判定結果を上記物品の所有者に通知する。また、上記通知手段106は、上記追跡手段111によって物品の位置が検出される毎に、その位置を物品の所有者に通知する。
次に、第6実施形態に係る物品管理システムの動作について、図20に示すフローチャートを参照しながら説明する。ここでは、ユーザ91が街中を歩行中に、所持品90aを盗人98によって盗まれ、その盗人98が街中を移動しているシーンに沿って、本システムの動作について説明する。尚、第1の探査機201aは自宅92の玄関に設置され、第2及び第3の探査機201b,201cはビルや店舗93等の出入口に設置されている。
(ステップS2001)
ユーザ91が第1の探査機201aを通過したか否かが判定され、通過していないときはステップS2001が繰り返され、通過したときにはステップS2002に移行する。
(ステップS2002、S2003、S2004)
第1の探査機201aのセンサ211によって、ユーザ91が所持している各物品に付された識別タグ103の情報が読み取られ(ステップS2002)、そうして検出された所持品の中から難紛失物品を特定する(ステップS2003)。そして、その特定した難紛失物品以外の所持品の識別タグ103に難紛失物品の情報を記憶させる(ステップS2004)。
(ステップS2005)
ユーザ91が次の探査機201(第1の探査機201aを含む)を通過したか否かが判定され、通過していないときはステップS2005が繰り返され、通過したときにはステップS2006に移行する。
(ステップS2006、S2007、S2008)
探査機201のセンサ211によって、そのときにユーザ91が所持している各物品に付された識別タグ103の情報が読み取られ(ステップS2006)、その探査機201のリスト作成手段212は、所持品リストを作成する(ステップS2007)。作成した所持品リストはサーバ101に送信されて、本人判定手段110の記憶手段に記憶される(ステップS2008)。
(ステップS2009)
サーバ100の本人判定手段110は、受信した所持品リストについて本人判定処理を実行する。この処理についての詳細は後述するが、物品の所持者が、その物品の正当な所持者でないと判定されたときには、その物品についての紛失物品リストが作成される。
(ステップS2010、S2011、S2012)
本人判定処理において、まず、紛失物品リストが作成されたか否かを判定し、作成されたときはステップS2011に移行して、通知手段106によって、紛失物品リストをユーザ(物品の所有者)91の携帯電話などに通知すると共に、追跡手段111による物品の追跡を開始する(この追跡についての詳細は後述する)。尚、ユーザ91の携帯電話などへの通知は、その紛失物品(盗難物品)に対応するユーザコードに基づいて行えばよい。一方、紛失物品リストが作成されなかったときには、ステップS2012に移行し、通過した探査機が第1の探査機201aであるか否か(言い換えれば、ユーザ91が自宅に戻ったか否か)を判定し、YESのときは処理を終了し、NOのときはステップS2005に戻る。
次に、図21のフローチャートを参照しながら、本人判定手段110による本人判定処理(ステップS2009)について説明する。
(ステップS2101、S2102)
所持品リストから所持品(I)を抽出する(ステップS2101)。その抽出した物品がEOFであるか否か、を判定し、YESのときは処理を終了し、NOのときはステップS2103に移行する(ステップS2102)。
(ステップS2103)
所持品(I)に対応付けられた難紛失物品が、上記所持品リストに含まれているか否かを判定し(ステップS2103)、含まれているときはステップS2105に移行し、含まれていないときにはステップS2104に移行する。
(ステップS2104)
所持品(I)に対応付けられた難紛失物品が所持品リストに含まれていない場合、その所持品(I)を紛失物品リストに追加する。
(ステップS2105)
物品番号(I)を1だけ増加させて、ステップS2101に戻る。
上記紛失物品リストに含まれる物品は、それに対応付けられた難紛失物品と一緒ではない。このため、その物品の所有者とは異なる者が所持していると推定される。
こうして、本人判定処理において紛失物品リストが作成されれば、その紛失物品リストが追跡手段111に送信され、追跡手段111による紛失物品(盗難物品)の追跡が開始される。
具体的には、上記追跡手段111は、時々刻々とサーバ100に送られる所持品リスト(検索対象のユーザ(例えば全てのユーザ)についての所持品リスト)に対して、上記紛失物品リストに含まれる盗難物品の照合を行う。そして、その盗難物品が含まれる所持品リストが存在したときには、その所持品リストが作成された探査機201の位置情報及び時刻の情報を取得し、通知手段106を介してその情報をユーザ(物品の所有者)91の携帯電話などに通知する。このときに、例えば図17Bに示すように、紛失物品が検出された探査機201の位置をプロットした地図情報を作成し、その情報をユーザ91の携帯電話などに通知してもよい。
各探査機201に、カメラやマイク等の盗人98の特徴を捉える機器を備えてもよい。そうして、紛失物品(盗難物品)が、その探査機201を通過する毎に、その時の映像と音声を記録してもよい。こうすることで、記録した情報を犯罪捜査に役立てることが可能になる。
尚、上記の本人判定手段110は、難紛失物品によって、その物品の所持者が正当な所有者であるか否かを判定しているが、これに限るものではない。本人判定手段110としては、生体情報を用いた認証システムを利用することも可能である。認証システムは、例えば、虹彩認識、顔認識技術、等の非接触で認証が可能な技術が望ましい。あるいは、ユーザ自体にタグを持たせてもよい。例えばタグを体表面に貼ったり、体内に埋め込む等が考えられる。そうして認証された結果と、その人物の所持品のユーザコードとを対比することによって、本人判定が可能である。
以上のように、本システムでは、物品を所持したユーザ91がセンサ211を通過する毎にそのユーザ91の所持品リストが作成され、その所持品リストに基づいて、当該ユーザ91が所持品の正当な所持者であるか否かが判定される。そのため、ユーザ91が所持品を盗まれた場合には、比較的早期に、その盗難物品についての情報が得られる。
また、盗難物品は追跡手段111によって追跡され、その追跡情報が物品の所有者に通知されるため、盗難物品及び盗人98の発見等の大きな手がかりとして利用することができる。
(他の実施の形態)
尚、上記の各実施の形態では、システムがサーバ100を備えていて、紛失物品の特定処理等を、そのサーバ100において行っているが、ユーザ91が所持する携帯電話等の端末に、サーバ100の機能を持たせたシステムとすることも可能である。この場合、探査機201と上記端末との双方に、通信手段として安価に利用できる無線LANを具備させておくのが望ましい。このシステムでは、各探査機201において作成された所持品リストを、ユーザ91が所持する端末に送信してそこに記憶させ、その端末において紛失物品の特定処理、又は本人判定処理等を行えばよい。
また、上記サーバ100が有する機能を探査機201に持たせたシステムとしてもよい。このシステムでは、各探査機201において作成された所持品リストを、ユーザ91が所持する端末に送信してそこに記憶させ、ユーザ91が次の探査機201を通過する際に、その端末に記憶されている所持品リストを探査機201に送信する。そうして、その探査機201は新たに作成した所持品リストと、端末から送信された過去の所持品リストとに基づいて、上述したように紛失物品の特定を行い、紛失物品リストを上記端末に送信すればよい。また、本人判定を行う場合は、各探査機201が本人判定手段110を含み、ユーザ91が探査機201を通過する毎に、その探査機201において本人判定処理を行えばよい。
以上説明したように、本発明の上記それぞれの実施形態にかかる物品管理システムは、ユーザ91が所持している物品に付された識別タグ103から、その物品を特定する情報がセンサ211によって読み取られ、上記読み取られた情報を基に、上記ユーザ91がその時点で所持している物品のリストを作成するリスト作成手段212と、上記リスト作成手段212によってリストが作成される毎に、そのリストを記憶する記憶手段104と、上記記憶手段104に記憶されている2以上のリストに基づいて、上記ユーザ91が物品を紛失したこと及びその紛失した物品を特定する紛失物品特定手段105と、上記紛失物品特定手段105によって紛失した物品が特定されたことを受けて、その紛失した物品に関する情報を、所定の通知方法で上記ユーザ91に通知する通知手段106と、を備える。
つまり、本発明の上記それぞれの実施形態にかかる物品管理システムは、紛失した物品を捜索するシステムではなく、ユーザ91が物品を紛失したことを特定するシステムである。そのため、識別タグ103の情報を読み取るセンサ211は、ユーザ91が通過する特定の場所に設置すればよい。従って、本発明の上記それぞれの実施形態にかかる物品管理システムを含む全体システムの構成が簡素化する。
また、紛失物品特定手段105によって紛失した物品が特定されたときに、その紛失した物品に関する情報がユーザ91に通知されるため、ユーザ91は所持品が紛失したことに長時間気づかないという事態がなくなる。
さらに、物品に関する情報として、識別タグ103の情報を読み取ったセンサ211(探査機201)の位置情報がユーザ91に通知されるため、ユーザ91は物品を紛失したおおよその場所を特定することができる。
上記紛失物品特定手段105は、所定の時点(基準となる時点であって、現時点及び過去の時点を含む)で作成されたリストに含まれる各物品について、当該物品を含む、該所定の時点よりも過去に作成されたリストであって直近に作成されたリストを抽出し、上記抽出したリストに含まれる全物品の和集合からなる物品群を特定し、上記特定した物品群に、上記所定の時点で作成されたリストに含まれる物品以外の物品が含まれるときに、その物品を上記ユーザ91が紛失した物品であると特定してもよい。
これにより、ユーザ91が物品を紛失したこと及びその紛失した物品を、的確に特定することが可能になる。また、紛失した物品を所持している者(盗人98・拾得者等)について作成されたリストに対して、上記紛失物品特定手段105による処理が実行されたときにも、ユーザ91が物品を紛失したこと及びその紛失した物品を特定することが可能である。
上記システムは、上記ユーザ91が移動した経路を特定する経路特定手段(位置計測手段601及び経路情報作成手段108)をさらに備えてもよく、上記通知手段106は、上記紛失した物品に関する情報と共に、上記経路特定手段によって特定されたユーザ91の移動経路を上記ユーザ91の携帯電話などの端末などに通知してもよい。
これにより、その移動経路の情報を基に、ユーザ91は紛失物品をより容易に発見することが可能になる。
上記システムは、移動体に伴って環境内を移動して、識別タグ103が付された物品を探索する移動探索手段70と、上記紛失物品特定手段105によって紛失物品が特定されたことを受けて、上記移動探索手段70にその紛失物品の探索を依頼する探索依頼手段109と、をさらに備えてもよい。
この場合は、上記通知手段106は、上記移動探索手段70の探索結果を受けて、上記ユーザ91にその探索結果を通知してもよい。
これにより、紛失した物品が、移動探索手段70によって探索されるため、その紛失物品の早期発見が期待できる。また、所持品を紛失したユーザ91は、その紛失物品を探し回る手間を省くことができる。しかも、移動探索手段70は環境内を移動するため、環境内に探索手段を固定的に設置する場合と比べて、システムの構成が簡素化する。
また、上記経路特定手段によってユーザ91の移動経路が特定されているときには、探索依頼手段109は、上記紛失物品の探索を依頼する際に、上記経路特定手段によって特定された移動経路の情報を上記移動探索手段70に提供してもよい。
この場合は、上記移動探索手段70は上記移動経路付近において紛失物品の探索を行えばよい。これにより、紛失物品の探索をより効率的に行うことができる。
本発明の他の実施形態にかかる物品管理システムは、ユーザ91が所持している物品に付された識別タグから、その物品の所有者に関する情報がセンサによって読み取られ、その読み取られた情報を基に物品のリストを作成するリスト作成手段212と、上記リスト作成手段212によって作成されたリストに基づいて、上記ユーザ91が、所持している物品の正当な所持者であるか否かを判定する本人判定手段110と、上記本人判定手段110によって、上記ユーザ91が、所持している物品の正当な所持者でないと判定されたことを受けて、その物品の所有者に、その物品に関する情報を所定の通知方法で通知する通知手段106と、を備える。
このシステムも、紛失した物品を捜索するシステムではなく、ユーザ91が物品を紛失したことを特定するシステムであるため、ユーザ91が通過する特定の場所にセンサ211を設置すればよい。従って、本発明の上記実施形態にかかる物品管理システムを含む全体システムの構成が簡素化する。
また、本人判定手段110によって、物品を所持している者が正当な所持者でないと判定されたときには、その物品に関する情報が物品の所有者に通知されるため、ユーザ(物品の所有者)91が所持品が紛失した(盗まれた)ことに長時間気づかないという事態がなくなる。
上記ユーザ91が所持している物品の内の1つを、難紛失物品に設定し、上記ユーザ91が所持している各物品に付された識別タグ103は、上記難紛失物品の情報を含むようにして、上記本人判定手段110は、上記識別タグ103の情報に基づいて、リストに含まれる物品に対応付けられた難紛失物品が当該リストに含まれているときに、上記ユーザ91が物品の正当な所持者であると判定し、上記物品に対応付けられた難紛失物品が当該リストに含まれていないときに、上記ユーザが物品の正当な所持者でないと判定してもよい。
これにより、本人判定を、簡易なシステムで的確に実行することができる。
上記システムは、上記本人判定手段110によって上記ユーザ91が物品の正当な所持者でないと判定されたことを受けて、当該物品の追跡を行う追跡手段111をさらに備えてもよい。上記追跡手段111は、追跡対象のユーザ91について作成されたリストに、上記物品が含まれるか否かを調査することによって、当該物品の追跡を行い、上記通知手段106は、上記追跡手段111の追跡結果を上記物品の所有者に通知してもよい。
これにより、物品を盗んだ盗人98が移動している場合、紛失した物品を拾った拾得者がそれを所持して移動している場合に、その紛失物品の移動をユーザ91に逐次通知することが可能になる。その結果ユーザ91は、紛失物品の発見の手がかりが得られる。
上記物品に付された識別タグ103は、その物品に関連する施設の連絡先情報を含み、上記通知手段106は、上記識別タグ103の情報に基づいて、上記物品に関する情報を所定の通知方法で当該物品に関連する施設に通知してもよい。
これにより、例えばクレジットカードやキャッシュカード等を紛失したときには、それに関連する施設に、カードを紛失したことの通知がなされるため、ユーザが紛失物品に気づく前に、又は紛失物品に気づいてユーザ91が関連機関のサーバ35にその連絡を行う前であっても、カード等の悪用が未然に防止され、高いセキュリティ性を確保することができる。
本発明の上記実施形態にかかる物品管理方法は、ユーザが所持している各物品に付された識別タグ103から、その物品を特定する情報を読み取る読み取りステップ(ステップS402,S406等)と、上記読み取りステップで読み取った情報を基に、上記ユーザがその時点で所持している物品のリストを作成する作成ステップ(ステップS403,S407等)と、上記作成ステップでリストを作成する毎に、そのリストを記憶する記憶ステップ(ステップS404,S408等)と、上記記憶ステップで記憶しているリストに基づいて、上記ユーザが物品を紛失したこと及びその紛失した物品を特定する特定ステップ(ステップS409等)と、上記特定ステップで紛失した物品を特定したときに、その紛失した物品に関する情報を、所定の通知方法で上記ユーザ91に通知する通知ステップ(ステップS411等)と、を含む。
また、本発明の他の実施形態にかかる物品管理方法は、ユーザ91が所持している各物品に付された識別タグ103から、その物品の所有者に関する情報を読み取る読み取りステップ(ステップS2006)と、上記読み取りステップで読み取った情報を基に、上記ユーザ91がその時点で所持している物品のリストを作成する作成ステップ(ステップS2007)と、上記作成ステップで作成したリストに基づいて、上記ユーザが、所持している物品の正当な所持者であるか否かを判定する本人判定ステップ(ステップS2009)と、上記本人判定ステップでそのユーザが物品の正当な所持者でないと判定したときに、その物品の所有者に、その物品に関する情報を所定の通知方法で通知する通知ステップ(ステップS2011)と、を含む。
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。