JP3930600B2 - 廃棄物等の貯留施設に用いられる面状排水材の接合方法及びそれに用いられる面状排水材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、面状排水材の接合方法及びそれに用いられる面状排水材に関し、特に、廃棄物処分場に埋め立てた廃棄物から染み出る汚染水や液体貯留場に貯留した液体により周囲の環境が汚染されるのを防止するために適用される面状排水材の接合方法及びそれに用いられる面状排水材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、産業廃棄物や一般廃棄物を焼却した残滓、その他の廃棄物を埋め立てにより処分する廃棄物処分場や各種の液体を貯留する液体貯留場(本明細書において、「廃棄物等の貯留施設」又は「貯留施設」という。)では、廃棄物処分場に埋め立てた廃棄物から染み出る汚染水や液体貯留場に貯留した液体により周囲の環境が汚染されないように、廃棄物処分場に遮水工を施すようにしている。
この遮水工としては、施工性、経済性、確実性、安全性等の観点から、従来より、貯留施設の底部及び斜面にポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等の合成樹脂製の遮水シート又はゴム製の遮水シートを敷設する方式の遮水構造が広く用いられている。
【0003】
ところで、廃棄物等の貯留施設の底部及び斜面に遮水シートを敷設する遮水構造の場合、埋め立てられた廃棄物自体の重量や埋め立てられた廃棄物に含まれる鋭利な物体等により遮水シートが損傷を受けることがある。
そして、遮水シートが損傷を受けると、この損傷箇所から汚染水等が漏出し、周囲の環境を汚染することとなるため、遮水シートの損傷箇所の有無を速やかに検知するとともに、検知した損傷箇所に適当な補修を施す必要があり、このための検知方法及び補修方法が多数提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法によっても、遮水シートの損傷箇所の補修が完了するまでに一定の時間を要することから、汚染水等の漏出による周囲の環境の汚染を完全には防止できない事態が発生するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記の廃棄物等の貯留施設の有する問題点を解決し、遮水シートが損傷を受けた場合に、損傷箇所から漏出する汚染水等の絶対量を低減することにより、周囲の環境の汚染を確実に防止することができる廃棄物等の貯留施設に用いられる面状排水材の接合方法及びそれに用いられる面状排水材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の廃棄物等の貯留施設に用いられる面状排水材の接合方法は、廃棄物等の貯留施設において、遮水シートの下に敷設して用いられる面状排水材の接合方法であって、表面に多数の凹凸を形成することにより連続した通水空間を有する合成樹脂製面状部材の両面に、不織布フィルタ部材を固着し、面状排水材の一方の接続端部を、各部材の外方への延出長さを順に変えて、階段状に形成するとともに、この一方の接続端部と対向する他方の接続端部を、各部材の外方への延出長さを前記一方の接続端部と逆順に変えた階段状に形成し、該面状排水材の階段状に形成した一方の接続端部の上面に、隣接する他の面状排水材の階段状に形成した他方の接続端部を重ね合わせるとともに、隣接する面状排水材の対応する部材同士を溶着、その他の方法により接合することにより、隣接する面状排水材を一体化することを特徴とする。
【0007】
また、上記接合方法に用いられる面状排水材は、廃棄物等の貯留施設において、遮水シートの下に敷設して用いられる面状排水材であって、表面に多数の凹凸を形成することにより連続した通水空間を有する合成樹脂製面状部材の両面に、不織布フィルタ部材を固着し、面状排水材の一方の接続端部を、各部材の外方への延出長さを順に変えて、階段状に形成するとともに、この一方の接続端部と対向する他方の接続端部を、各部材の外方への延出長さを前記一方の接続端部と逆順に変えた階段状に形成し、該面状排水材の階段状に形成した一方の接続端部の上面に、隣接する他の面状排水材の階段状に形成した他方の接続端部を重ね合わせるとともに、隣接する面状排水材の対応する部材同士を溶着、その他の方法により接合することにより、隣接する面状排水材を一体化するようにしたことを特徴とする。
【0008】
この場合において、面状排水材の面内方向の通水能は、10−2cm3/sec/m(1m幅当たりの1秒間の通水量)以上であることが望ましい。
【0009】
これにより、遮水シートが損傷を受けた場合に、損傷箇所から漏出する汚染水等を、遮水シートの間に配設した面状排水材を介して速やかに排出し、損傷箇所から周囲の地盤に漏出する汚染水等の絶対量を大幅に低減することができる。
また、面状排水材は、合成樹脂製面状部材の両面に、不織布フィルタ部材を固着して構成するようにしているため、面状排水材の敷設作業を効率的に行うことができるとともに、合成樹脂製面状部材の通水空間に土砂や廃棄物が侵入することを防止して、合成樹脂製面状部材の通水能を長期間に亘って良好に維持することができる。
そして、面状排水材の階段状に形成した一方の接続端部の上面に、隣接する他の面状排水材の階段状に形成した他方の接続端部を重ね合わせるとともに、隣接する面状排水材の対応する部材同士を溶着、その他の方法により接合することにより、隣接する面状排水材を強固に一体化することができ、面状排水材の通水能を良好に維持することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の廃棄物等の貯留施設に用いられる面状排水材の接合方法及びそれに用いられる面状排水材の実施の形態を、廃棄物処分場を例にして、図面に基づいて説明する。
【0011】
面状排水材は、図2(b)に示すように、廃棄物処分場の底部5又は斜面に敷設される下方の遮水シート3aと上方の遮水シート3bとの間に敷設して用いられるもので、表面に多数の凹凸を形成することにより連続した通水空間を有する合成樹脂製面状部材1の両面に、不織布フィルタ部材2a,2bを固着して構成する。
【0012】
この場合、遮水シート3a,3bには、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等の合成樹脂製のシート又はゴム製のシートを用いることができる。
また、廃棄物処分場の底部5又は斜面が、粘土や岩等の不透水層からなる場合には、下方の遮水シート3aを省略することもできる。
【0013】
下方の遮水シート3aと上方の遮水シート3bとの間に敷設される面状排水材は、埋め立てられた廃棄物自体の重量や埋め立てられた廃棄物に含まれる鋭利な物体等により上方の遮水シート3bが損傷を受けた場合に、損傷箇所から漏出する汚染水を廃棄物処分場の外に速やかに排出するために配設するものであるが、この面状排水材は、上記廃棄物に対するクッション機能や上方の遮水シート3bが損傷を受けた場合に下方の遮水シート3aが同時に損傷を受けることを防止する貫通防止機能を併せ持つものである。
【0014】
この面状排水材は、表面に多数の凹凸を形成することにより連続した通水空間を有する高密度ポリエチレン等の合成樹脂製面状部材1の両面に、ポリプロピレン等の不織布フィルタ2a,2bを融着、接着、粘着等により固着し、一体化したものである。
【0015】
この場合、面状排水材は、上方の遮水シート3bが損傷を受けた場合に、損傷箇所から漏出する汚染水を廃棄物処分場の外に速やかに排出することができるように、その面内方向の通水能を10−2cm3/sec/m(1m幅当たりの1秒間の通水量)以上に設定することが好ましい。
また、上記の廃棄物に対するクッション機能や上方の遮水シート3bが損傷を受けた場合に下方の遮水シート3aが同時に損傷を受けることを防止する貫通防止機能を併せ持つことができるように、荷重30tf/m2において、その厚みを10〜30mmと、さらに、合成樹脂製面状部材1の厚みを6〜20mm程度に設定することが好ましい。
【0016】
また、面状排水材は、特に限定されるものではないが、敷設作業を効率的に行うことができるように、その幅を1m以上に設定した長尺体として構成するとともに、図2に示すように、その一方の接続端部Aを、面状排水材を構成する各部材、すなわち、合成樹脂製面状部材1及び不織布フィルタ部材2a,2bの外方への延出長さを順に変えて、階段状に形成するとともに、この一方の接続端部Aと対向する他方の接続端部Bを、面状排水材を構成する各部材の外方への延出長さを一方の接続端部Aと逆順に変えた階段状に形成することが望ましい。
【0017】
これにより、面状排水材の階段状に形成した一方の接続端部Aの上面に、隣接する他の面状排水材の階段状に形成した他方の接続端部Bを重ね合わせるとともに、隣接する面状排水材の対応する部材同士を順次溶着、接着、粘着等により接合41,42a,42bすることにより、隣接する面状排水材を強固に一体化することができ、面状排水材の通水能を良好に維持することができるものとなる。
【0018】
なお、面状排水材を矩形の短尺体として構成した場合には、四辺に同様の接続端部を形成するようにする。
【0019】
また、接続端部の形状は、図2に示すものに限定されず、図3に示すように、両方の接続端部A,Aを、面状排水材を構成する各部材の外方への延出長さを同じ順に変えて、階段状に形成することもできる。この場合、面状排水材の階段状に形成した接続端部Aの上面に、裏返しにした隣接する他の面状排水材の階段状に形成した接続端部Aを重ね合わせ、隣接する面状排水材の対応する部材同士を順次溶着、接着、粘着等により接合するようにする。
【0020】
【発明の効果】
本発明の廃棄物等の貯留施設に用いられる面状排水材の接合方法及びそれに用いられる面状排水材によれば、遮水シートが損傷を受けた場合に、損傷箇所から漏出する汚染水等を、遮水シートの間に配設した面状排水材を介して速やかに排出し、損傷箇所から周囲の地盤に漏出する汚染水等の絶対量を大幅に低減することができ、廃棄物に対するクッション機能や上方の遮水シートが損傷を受けた場合に下方の遮水シートが同時に損傷を受けることを防止する貫通防止機能を併せ持つことと相俟って、周囲の環境の汚染を確実に防止することができる。
また、この面状排水材は、合成樹脂製面状部材の両面に、不織布フィルタ部材を固着して構成するようにしているため、面状排水材の敷設作業を効率的に行うことができるとともに、合成樹脂製面状部材の通水空間に土砂や廃棄物が侵入することを防止して、合成樹脂製面状部材の通水能を長期間に亘って良好に維持することができる。
そして、面状排水材の接続端部を、各部材の外方への延出長さを順に変えて、階段状に形成し、面状排水材の階段状に形成した一方の接続端部の上面に、隣接する他の面状排水材の階段状に形成した他方の接続端部を重ね合わせるとともに、隣接する面状排水材の対応する部材同士を溶着、その他の方法により接合することにより、隣接する面状排水材を強固に一体化することができ、面状排水材の通水能を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の面状排水材の一実施例を示し、(a)は不織布フィルタ部材の一部を切除した平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図2】 本発明の面状排水材の一実施例を示し、(a)はその断面図、(b)はその接合方法の説明図である。
【図3】 本発明の面状排水材の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 合成樹脂製面状部材
2a 不織布フィルタ部材
2b 不織布フィルタ部材
3a 遮水シート
3b 遮水シート
41 接合部
42a 接合部
42b 接合部
Claims (3)
- 廃棄物等の貯留施設において、遮水シートの下に敷設して用いられる面状排水材の接合方法であって、表面に多数の凹凸を形成することにより連続した通水空間を有する合成樹脂製面状部材の両面に、不織布フィルタ部材を固着し、面状排水材の一方の接続端部を、各部材の外方への延出長さを順に変えて、階段状に形成するとともに、この一方の接続端部と対向する他方の接続端部を、各部材の外方への延出長さを前記一方の接続端部と逆順に変えた階段状に形成し、該面状排水材の階段状に形成した一方の接続端部の上面に、隣接する他の面状排水材の階段状に形成した他方の接続端部を重ね合わせるとともに、隣接する面状排水材の対応する部材同士を溶着、その他の方法により接合することにより、隣接する面状排水材を一体化することを特徴とする廃棄物等の貯留施設に用いられる面状排水材の接合方法。
- 廃棄物等の貯留施設において、遮水シートの下に敷設して用いられる面状排水材であって、表面に多数の凹凸を形成することにより連続した通水空間を有する合成樹脂製面状部材の両面に、不織布フィルタ部材を固着し、面状排水材の一方の接続端部を、各部材の外方への延出長さを順に変えて、階段状に形成するとともに、この一方の接続端部と対向する他方の接続端部を、各部材の外方への延出長さを前記一方の接続端部と逆順に変えた階段状に形成し、該面状排水材の階段状に形成した一方の接続端部の上面に、隣接する他の面状排水材の階段状に形成した他方の接続端部を重ね合わせるとともに、隣接する面状排水材の対応する部材同士を溶着、その他の方法により接合することにより、隣接する面状排水材を一体化するようにしたことを特徴とする廃棄物等の貯留施設に用いられる面状排水材。
- 面状排水材の面内方向の通水能が10−2cm3/sec/m以上であることを特徴とする請求項2記載の廃棄物等の貯留施設に用いられる面状排水材。
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JPH10235307A JPH10235307A (ja) | 1998-09-08 |
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1997
- 1997-02-24 JP JP05686897A patent/JP3930600B2/ja not_active Expired - Lifetime
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