JP3930517B2 - 生体分子の定量分析チップ、及び、定量分析方法、定量分析装置及びシステム - Google Patents
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Description
本発明は、生体分子の検出用チップに関し、特に、高精度の定量分析が可能な定量分析チップに関する。また、該チップを用いた定量分析方法、定量分析装置及び定量分析システムに関する。
近年、核酸やタンパク質をはじめとする生体分子を分析するデバイスとして、マイクロアレイチップが用いられている(例えば特許文献1)。マイクロアレイチップは、ガラス基板等の基体上に多数・多種類の生体分子捕捉用プローブを固定したものであり、既存のデバイスと比較して、一度に複数の項目が分析可能であること、微量サンプルで検査可能であること、取扱いが簡便であることなどの利点から、研究用途をはじめ、食品検査、医療分野など様々な分野での活用が期待されている。
一般に、マイクロアレイチップによって定量分析を行う場合は、予め既知濃度の試料溶液を測定して検量線を作成しておき、検体を測定した結果を検量線に基づいて判定する。
しかし、一つのマイクロアレイチップによって測定可能な濃度範囲が限られているため、マイクロアレイチップは主に相対的な定量分析に用いられている。さらに、測定に供する検体の溶液量を厳密に制御する必要があるなどの理由で、従来使用されているマイクロアレイチップで絶対的な定量分析を行うことは困難である。
よって、試料中の生体分子濃度を厳密に定量する場合には、まずマイクロアレイチップで相対的な定量を行った後、例えばリアルタイムPCRのような他の手法を用いてより詳細な定量を行うというように、複数の異なる解析法を組み合わせる必要があった。
特開平10−146183号公報
上記事情に鑑み、本発明は、高精度の定量分析が簡便に行える定量分析チップ、及び、該チップを用いた定量方法、該チップを用いた定量分析装置及び定量分析システムを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明に従えば、固相基体の表面に設けられた、同一面積を有する二以上のセンサ領域と、これらセンサ領域に隣接してその周囲に設けられた非センサ領域と、前記二以上のセンサ領域のそれぞれの領域内に設けられた、標的生体分子と結合し得る複数分子のプローブが固定可能なプローブ固定化領域とを具備し、前記プローブ固定化領域において固定されたプローブの総分子数が、各プローブ固定化領域によって異なり、前記センサ領域は、前記非センサ領域よりも、前記標的生体分子が含まれる検体溶液と高い親和性を有し、前記標的生体分子を含む検体溶液を前記固相基体表面上で流動させて前記センサ領域上を通過させたとき、該検体溶液が前記それぞれのセンサ領域上で同一容積の液滴を形成する、標的生体分子用の定量分析チップを提供する。
ここで、前記センサ領域は親水性であり、且つ、前記非センサ領域は疎水性である。或いは、前記センサ領域は疎水性であり、且つ、前記非センサ領域は親水性である。
また、前記プローブ固定化領域の面積がそれぞれ異なることによって、該それぞれのプローブ固定化領域に固定されたプローブの総分子数が異なることが好ましい。
さらに、上記定量分析チップは、好ましくは、阻害物質除去領域を、前記検体溶液の流動する方向における前記センサ領域の上流にさらに具備し、該阻害物質除去領域は、前記標的生体分子と前記プローブとの結合を阻害する阻害物質を、捕捉又は分解するための阻害物質用プローブが固定可能な領域である。
またさらに、上記定量分析チップは、好ましくは、前記標的生体分子と可逆的に結合し、適切な条件下で該標的生体分子から解離する、可逆結合プローブが固定可能な可逆結合領域をさらに具備する。
前記標的生体分子は核酸であることが好ましい。
本発明の他の側面に従えば、上記何れかの定量分析チップを用いて、検体溶液中の標的生体分子を定量する方法であって、(i)前記チップ上で前記標的生体分子を既知濃度で含む試料溶液を流動させて、前記各センサ領域上に該試料溶液の液滴を形成させ、前記プローブと前記標的生体分子を結合させる工程と、(ii)前記プローブと結合した標的生体分子数を検出する工程と、(iii)前記工程(i)及び(ii)を、該試料溶液に含まれる標的生体分子濃度を変化させて行い、検出された結果から、前記プローブと結合した標的生体分子数と前記試料溶液濃度との関係を表す検量線を、各センサ領域について作成する工程と、(iv)測定されるべき検体溶液を、前記定量分析チップ上で流動させて、前記各センサ領域上に液滴を形成させ、前記プローブと前記検体溶液に含まれる標的生体分子を結合させる工程と、(v)前記プローブと結合した標的生体分子数を検出する工程と、(vi)前記工程(v)で検出された結果から、前記工程(iii)で作成された検量線に基づいて、前記検体溶液の標的生体分子濃度を決定する工程とを具備する、標的生体分子の定量方法が提供される。
本発明のさらに他の側面に従えば、上記何れかの定量分析チップ、及び、該チップ上で検体溶液を流動可能にさせるための流路を具備する定量分析装置において、前記チップの前記センサ領域が、該流路内に配置されたことを特徴とする定量分析装置が提供される。
また、本発明のさらに他の側面に従えば、上記定量分析装置と、前記検体溶液を流動させるための送液手段と、前記定量分析チップ上のプローブに結合した標的生体分子を検出する測定手段と、前記定量分析装置の温度を制御するための温度制御手段と、前記送液手段、測定手段及び温度制御手段を制御するための制御手段と、前記制御手段を制御し、且つ得られた測定結果に基づいて検体溶液中の標的生体分子濃度を判定するコンピュータとを具備する、標的生体分子の定量分析システムが提供される。
本発明に拠れば、標的とする生体分子の絶対的な定量分析が、高精度且つ経済的に行える定量分析チップが提供される。またさらに、該定量分析チップを用いた定量分析方法、該定量分析チップを用いた定量分析装置及び定量分析システムが提供される。
本発明は、標的とする生体分子を定量するための定量分析チップに関する。本発明のチップを構成する固相基体としては、シリコン基板、サファイア基板、アルミナ基板、ガラス基板、セラミック基板、ガラスエポキシ基板、樹脂基板等を用いることができる。
本発明において生体分子とは、生体に存在し得る分子又はその類似物を表し、特に、核酸、タンパク質、糖鎖、及び、ホルモン等の低分子化合物が意図される。特に好ましくは核酸であり、ここで核酸とは、DNA、RNA、S-オリゴ、メチルホスホネートオリゴ、PNA(即ち、ペプチド核酸)およびLNA(即ち、ロック核酸)などの核酸および核酸類似体、それらの幾つかを共に含む核酸および核酸類似体、並びにそれらの混合物など、一般的にその一部の構造を塩基配列によって表すことができる物質を総括的に示す。
本発明において用いられる生体分子は、天然に存在するものであっても、人工的に合成されたものであっても、またはそれらの混合物であってもよい。
本発明の定量分析チップには、上記標的生体分子と結合し得るプローブが固定可能である。プローブは、標的生体分子が核酸である場合は、その相補的な核酸であってよく、タンパク質の場合は、例えば抗原抗体反応によって抗原物質と結合し得る抗体等であってもよい。また、ホルモン等の場合には、特異的に結合する受容体を用いてもよい。
標的生体分子の検出は、標的生体分子を含む検体溶液をチップ上に供し、チップに固定されたプローブに標的生体分子を結合させ、未反応の標的生体分子を洗浄した後、プローブと結合してチップ上に固定された標的生体分子を検出することによって行う。
この際、生体分子の検出は、蛍光物質等の標識物質で生体分子或いはプローブを予め標識しておき、この標識物質を検出することによって行ってもよい。或いは、生体分子及びプローブが核酸の場合には、例えば二本鎖核酸と特異的に結合する挿入剤を用いてもよい。
ここで挿入剤とは、平面的な芳香族色素分子、例えばアクリジンオレンジ、プロフフラビン、臭化エチジウム、アクチノマイシンDなど、二本鎖核酸の形成する塩基対及び立体構造に結合する化合物を意味するが、本発明においては特に、電気化学的活性を有する挿入剤、例えばヘキスト33258を用い、該挿入剤の電気化学的応答を測定してチップ上に形成された二本鎖核酸の存在を検出することによってもよい。
なお、酵素の活性中心のポケットでは、疎水性アミノ酸が基質結合部位を形成していることも多く、この疎水性部分に挿入剤を挿入させて検出することも可能である。
本発明の定量分析チップの第1の態様を図1に示した。チップ10の表面は、二以上のセンサ領域15a〜15dを備える。これらのセンサ領域15a〜15dは全て同じ面積を有する。
これらセンサ領域15a〜15dの周囲には、非センサ領域13が備えられる。非センサ領域13は、センサ領域に隣接して包囲するように設けられ、好ましくはチップ表面におけるセンサ領域外の全てが非センサ領域とされる。
全てのセンサ領域15a〜15dのそれぞれの領域内には、さらに、標的生体分子と結合し得るプローブが固定可能なプローブ固定化領域17a〜17dが備えられる。
本発明の定量分析チップでは、プローブはこのプローブ固定化領域に予め固定されていてもよく、又はチップが測定に使用される際に適宜固定されてもよい。これ以後の説明では、プローブが既に固定されたチップについて記載する。
本発明の定量分析チップにおいて、プローブ固定化領域17a〜17dに固定されるプローブは、同一分子が複数固定され、その総分子数が、それぞれのプローブ固定化領域17a〜17dによって異なるように設定される。
これは例えば、図1に示したように、それぞれのセンサ領域15a〜15dの領域内にあるプローブ固定化領域17a〜17dの面積を変化させることによってプローブの総数を変化させてもよい。また或いは、プローブ固定化領域17a〜17dの面積は一定にし、固定化されるプローブの密度を変化させることによって、プローブの総数を変化させてもよい。また例えば、微小なスポット状にプローブを固定化し、該スポットの集合体によってプローブ固定化領域17を形成してもよく、該スポット数を変化させて、プローブ固定化領域17のプローブ総数を変化させてもよい。
このように、チップ10上に複数のプローブ固定化領域17を備え、それぞれのプローブ固定化領域17において固定されたプローブの総数を変化させることによって、定量分析における検出可能範囲を拡大することができる。
例えば、検体溶液が高濃度で生体分子を含む場合、プローブ数が少ない固定化領域17dにおいては測定可能範囲を超過するが、プローブ数が多い固定化領域17aであれば測定可能である。反対に、検体溶液が低濃度である場合、プローブ数が多い固定化領域17aにおいては測定可能範囲を下回るが、プローブ数が少ない固定化領域17dでは測定可能である。
このように、プローブ総分子数を変化させた複数のプローブ固定化領域17を設けることによって、一つのチップが複数の異なる測定可能範囲を有することができ、結果として、チップ全体の測定可能範囲が拡大される。従って、一度の測定で標的生体分子の精確な定量を行うことができ、簡便且つ経済的である。
しかしながら、実際に定量分析を行う際には、それぞれのプローブ固定化領域17に対して同じ分子数の標的生体分子を反応させる必要がある。即ち、同量の検体溶液を供する必要がある。
このため、厳密な定量的制御を行いながら、微量な検体溶液をチップ上の微小なプローブ固定化領域17に滴下することが必要となり、きわめて複雑又は高価な装置・構造体を構築しなければならないという問題点がある。
そこで、本発明では、前記センサ領域15が、非センサ領域13よりも、標的生体分子が含まれる検体溶液と高い親和性を有する定量分析チップ10を提供する。
これは例えば、標的生体分子を含む検体溶液が水性溶液である場合は、センサ領域15は親水性とし、非センサ領域13は疎水性とする。或いは、検体溶液が有機溶媒などの疎水性溶液である場合は、センサ領域15は疎水性とし、非センサ領域13は親水性とする。
なお、センサ領域の検体溶液との親和性は適宜調節してよい。
本発明の構成を有する定量分析チップ10を用いる際は、検体溶液を該チップ10上で流動させて、それぞれのセンサ領域上を通過させる。検体溶液をチップ10上で流動させると、非センサ領域13上でははじかれるが、センサ領域15上では親和して液滴を形成する。この概念図を図2に示した。
このとき、チップ10上に設けられたセンサ領域15a〜15dは全て同一面積を有するため、各センサ領域15a〜15d上に形成した液滴は、結果として同一容積の検体溶液から形成される。
従って、各センサ領域15a〜15dにおいて、プローブとの反応に供される標的生体分子数を等しくすることができる。
なお、図2に示した模式図のように、センサ領域15a〜15d上に液滴が形成されやすくするために、センサ領域15は円形又はそれに準じる形状にすることが好ましい。
以上記載したように、チップ10上に非センサ領域13、及びセンサ領域15を備える構成によって、検体溶液をチップ上で流動させるだけで、外部から特別な操作を必要とすることなく一定容積の液滴を反応に供することができ、極めて簡便且つ経済的に、厳密な検体量コントロールが可能である。
さらに、センサ領域15上に形成される液滴の総和量に加えて、吸着等による損失分の検体溶液があれば測定可能であることから、定量分析に必要となる検体量を低減することができる。
なお、検体中に2種類以上の異なる標的生体分子が混在している場合、各標的生体分子のためのプローブを用いたプローブ固定化領域をそれぞれ作製することにより、一つの定量分析チップで同時に複数の標的生体分子を測定することができる。
次に、本発明の定量分析チップの第2の態様を説明する。図3に示したように、本発明の第2の態様におけるチップ30は、上記第1の態様におけるチップの構成に加えて、さらに阻害物質除去領域32を具備する。この阻害物質除去領域32は、検体溶液が流動される方向におけるセンサ領域35の上流に備えられる。
阻害物質除去領域32は、標的生体分子とプローブとの結合を阻害する阻害物質を、捕捉又は分解するための阻害物質用プローブが固定可能な領域である。
ここで、標的生体分子とプローブとの結合を阻害する阻害物質とは、例えばプローブと結合しやすく、標的生体分子よりも優先して、或いは標的生体分子と競合してプローブに結合する物質、或いは、標的物質を分解・変性させてしまう物質である。例えば、生体分子がDNAである場合はRNA等が阻害物質となる。また、生体分子がRNAの場合はDNA及びRNase等が阻害物質となる。
阻害物質除去領域32において固定された阻害物質用プローブは、検体中に含まれる阻害物質と結合し、捕捉するか又は分解することによって、該領域を通過した検体溶液中に含まれる阻害物質を低減させることができる。
阻害物質用プローブは、阻害物質と優先的に結合し、これを捕捉するか又は分解するものであれば何れのものでもよい。例えば、阻害物質がRNAの場合は、相補的なRNAを用いてもよく、或いはRNA分解酵素を用いてもよい。阻害物質がDNAの場合は、阻害物質用プローブとしてDNA分解酵素を用いることができる。阻害物質がRNaseの場合は、阻害物質用プローブとしてベントナイト等のRNase吸着物質を用いることができる。標的生体分子がタンパク質の場合、例えば阻害物質はタンパク質分解酵素であり、阻害物質用プローブにはタンパク質分解酵素を特異的に結合する抗体などを用いることができる。
なお、阻害物質除去領域32は、図3に示したように非センサ領域33の上流に隣接して備えてもよいが、任意の間隔をあけて備えてもよい。
次に、本発明の定量分析チップの第3の態様を説明する。図4に示したように、本発明の第3の態様におけるチップ40は、上記第一の態様におけるチップの構成に加えて、さらに可逆結合領域42を具備する。この可逆結合領域42は、検体溶液が流動される方向におけるセンサ領域45の上流に備えられることが好ましいが、これに限定されない。
可逆結合領域42には、標的生体分子と可逆的に結合し、適切な条件下で該標的生体分子から解離する可逆結合プローブが固定される。
この可逆結合プローブには、例えば、標的生体分子がDNAである場合、DNAを可逆的に吸着する微細なシリカビーズ等が用いられ得る。標的生体分子がタンパク質の場合ではイオン交換樹脂等を用いることができ、RNAの場合ではセルロース粒子等を用いることができる。
可逆結合領域42は、標的生体分子を濃縮するため、或いは、阻害物質を除去するために使用される。まず、検体溶液を可逆結合領域42に供し、標的生体分子を可逆結合プローブと結合させ、残渣溶液をそのまま流して除去する。次いで、適切な条件の溶出液を、標的生体分子が結合している可逆結合領域42に供し、生体分子を解離させる。この工程によって、生体分子を濃縮することができる。
またこの工程により、標的生体分子以外の成分、例えば、タンパク質、補酵素、金属イオンなどの、標的生体分子とプローブとの反応を阻害する物質や、標的生体分子の検出を阻害する物質を除去することもできる。
生体分子を解離させた溶出液は、そのままセンサ領域45上に流動され、生体分子とプローブとの反応が行われる。この際、溶出液の条件では生体分子とプローブとの結合反応が生じにくい場合、該結合反応に必要な条件にするための成分を添加してもよい。例えば、可逆結合領域42から流出された溶出液に、所望の成分を含有する添加液を加え、チップ上で混合してから、センサ領域45上に流動させる。
一例として、標的生体分子が核酸である場合、標的生体分子と可逆結合プローブとの結合は、低塩濃度において解離する。従って、溶出液には低塩濃度の溶液を用いる。しかしながら、核酸とプローブとの結合反応には所定の塩濃度が必要であるため、溶出後の溶液に、所望の塩濃度及び他の必要な成分を含む添加液を加えて混合し、センサ領域45上に流す。
以上記載した第3の態様の定量分析チップを用いることによって、検体溶液を極めて簡便に濃縮・精製することが可能であり、従来そのままでは安定な検出が困難であった低濃度の検体溶液であっても、前処理することなく、極めて簡便且つ低コストで測定することが可能である。
なお、本発明の定量分析チップは、上記第2の態様における阻害物質除去領域と、第3の態様における可逆結合領域を共に備えてもよく、これにより阻害物質の除去、並びに、濃縮及び精製を一つのチップ上で行うことができる。
次に、本発明の定量分析チップを用いて、検体溶液に含まれる標的生体分子を定量分析する方法を説明する。
定量分析方法では、分析用チップを用いて検量線を作成する。検量線の作成は、まず(i)チップ上で標的生体分子を既知濃度で含む試料溶液を流動させて、各センサ領域上に試料溶液の液滴を形成させ、プローブと標的生体分子を結合させる。次いで、(ii)プローブと結合した標的生体分子を検出する。
(iii)この(i)及び(ii)の操作を、試料溶液に含まれる標的生体分子濃度を変化させて行う。検出された結果から、検出された結果から、プローブと結合した標的生体分子数と試料溶液濃度との関係を表す検量線を、各センサ領域について作成する。
検量線は、測定に先立って作成しても良いが、予め作成されていたものを用いてもよい。
次に、検体溶液を測定する。まず(iv)測定されるべき検体溶液を、定量分析チップ上で流動させて、各センサ領域上に液滴を形成させ、プローブと検体溶液に含まれる標的生体分子を結合させる。次いで、(v)前記プローブと結合した標的生体分子数を検出する。生体分子数の検出は、上述したように、蛍光標識物質を用いて行ってもよく、或いは挿入剤を用いて電気化学的応答を測定してもよい。
最後に、(vi)検出された結果から、工程(iii)で作成されるか又は予め作成された検量線を用いて、検体溶液の標的生体分子濃度を決定する。
さらに、上記第2及び第3の態様のチップを用いる際には、検体溶液を各センサ領域上に流す前に、阻害物質除去領域又は可逆結合領域に流し、一定時間保持した後にセンサ領域上へ流動させる。
本発明の定量分析チップを用いた定量分析方法において、検体溶液をチップ上で流動させる方法は、手動で行う場合、検体溶液をチップ上に注ぎ、チップを傾けるなどして流動させてもよい。しかし、例えば適切な流路をチップ上に設置し、この流路内に、例えばポンプ又はピペット等を用いて検体溶液を送入してもよい。センサ領域上に液滴を形成させるため、或いは流路内の溶液を排出させるためには、流路内にエアを送入しても良く、または、流路の下流から内部の溶液を吸引してもよい。
本発明の他の側面から、上述したような定量分析チップを用いた定量分析装置、及び定量分析システムを提供することができる。
定量分析装置は、上記記載の定量分析チップ、及び、該チップ上で検体溶液を流動可能にさせるための流路を具備する。ここで、チップ上に備えられるセンサ領域は、流路内に沿って配置される。
チップ上で検体溶液を流動可能にさせるための流路は、例えば流路一体型パッキンとして形成される。該パッキンは、例えば、下面に流路となる溝部を有し、チップ上面に設置される。パッキンの下面においてチップと接する部分は、チップとの密着性を良くして流路内の機密性を高めるために、表面平滑性を上げておくことが望ましい。パッキン材料としては、例えば、シリコンゴムやエラストマーのような弾性材料が好ましい。また、流路を形成している部材は、パッキンではなくポリプロピレンやポリカーボネート、PET等で代表される硬質材として、ノズルと接する部分及びチップと接する部分のみ、密着性を向上させるために、シール部材を備えた構成にしても良い。
図5に、流路一体型パッキンの一実施形態の斜視図を示した。パッキン713は、ほぼ長方形で所定の厚さを有し、その4隅が切欠いて形成されたパッキン本体751と、このパッキン本体751の主面上であって長辺の両端近傍に位置し、かつ短辺の中央近傍に設けられた円筒形状の送入ポート752及び送出ポート753からなる。送入ポート752及び送出ポート753の先端には開口部754及び755が設けられている。この開口部754及び755からパッキン本体751にかけて、送入ポート752及び送出ポート753の軸心には、パッキン本体751の主面に対して垂直な方向に流路756及び757が設けられている。パッキン本体751の裏面には、送入ポート752の形成位置から送出ポート753の形成位置にかけて折れ曲がり形状の溝758が形成されている。パッキン本体751の裏面はほぼ平坦な面を有している。溝758は、流路756及び757と接続している。流路756、流路757及び溝758の断面積はほぼ等しい。
送入ポート752及び送出ポート753は、それぞれ、後述するカセットのノズル差込孔722及び723を通して、定量分析装置に接続される送液手段と接続される。
次に、基板の実施形態を説明する。挿入剤を用いた電気化学的応答を測定することによって標的生体分子を検出する場合、電極に固定した標的生体分子のためのプローブを作用極とする。そして、挿入剤液内で電気化学的応答を測定する必要があるため、流路内に作用極と共に対極及び参照極を配置した3電極系が備えられる。
図6に、基板の一実施形態の上面図を示した。基板714の主面には、3電極系761、パッド762及び763が形成されている。また、3電極系761とパッド762、3電極系761とパッド763は、図示しない配線により接続されている。3電極系の作用極にはDNAプローブが固定されている。また、基板714にはパッキン713の配置を重ねて示してある。764がパッキン配置位置、765は流路形成位置である。
図7に、3電極系の配置の一実施形態を表した流路部分の断面図を示す。図7では、基板714上に作用極501が配置され、流路を構成するパッキン側に対極及び作用極が配置されている。図7では、流路601の底面は基板714により定められ、センサ領域中に設けられたプローブ固定化領域として、作用極501が形成されている。
流路601の側面は、パッキン713の下面に形成された溝部の側面及びシール材24aにより定められる。この流路側面には、流路底面から所定の高さにそれぞれ参照極503が固定される。
流路601の上面は、パッキン713下面に形成された溝部の底面によって定められる。この流路上面にはそれぞれ対極502が配置される。
図8は、図7に示した実施形態の上面図である。作用極501,対極502及び参照極503からなる3電極は、流路601に等間隔に配置される。本実施手形態では、作用極501、対極502及び参照極503は、それぞれ異なる平面であって、垂直方向における同一面上に三次元配置されているが、これに限定されない。
なお、図8の実施形態では、上面から見て作用極501,対極502及び参照極503の位置関係が流路の方向にかかわらず同じマトリクス状に配置されているが、これに限定されない。隣り合う流路601における流路断面の構造を、溶液の流動方向に沿って左右逆転させてもよい。この場合、いずれの流路601でも対極502は流動方向に向かって流路の同じ側の側面に配置される。これにより、溶液の流動方向にすべて同一形状の3電極配置が実現できる。よって、各3電極で検出される電気化学信号特性の均一性が向上され、検出の信頼性を向上させることができる。作用極501及び対極502についても、断面図において左右対称の位置に配置しない場合には、この参照極503と同じように隣り合う流路601において左右逆転させた位置に配置されるようにできる。
上記実施形態では、対極502、参照極503がそれぞれ対応する作用極501に対して分離されて配置しているが、これに限定されるものではない。対極502もしくは参照極503が、あるいはそれらのいずれもが複数電極連結された構成となっていてもよい。その場合、それぞれの電極における各作用極から最も近傍の領域が対極や参照極として機能する。
図9に、3電極系の配置の他の実施形態を示した。この実施形態では、参照極、作用極、対極をすべてチップ基板上に形成し、流路方向に対して平行に配置している。この場合、参照極、作用極、対極の順番は適宜変更することは可能である。
以上、流路内の電極配置図の一例を示したが、これに限定されず、適宜改良し最適な構成を用いることができる。
次に、カセットに内蔵した定量分析チップの一実施形態を図10に示す。カセット700は、カセット上蓋711、カセット下蓋712から構成されている。カセット上蓋711には、ノズル差込孔722及び723、電気コネクタ用ポート724及び725、電極保護シール750、シール検出孔726が形成されている。
図11及び図12はそれぞれカセット上蓋711側あるいはカセット下蓋712側から見た、図7で記述したカセットの組立完成図である。
まず、カセット上蓋711の内表面729のパッキン位置決め溝732にあわせて、かつノズル差込孔722及び723に送入ポート752及び送出ポート753が挿通されるように、パッキン713をパッキン位置決め溝732に嵌挿する。次に、基板714を、その主面、すなわち3電極系761、パッド762及び763が形成された面がカセット上蓋側に向くように、基板位置決め溝731に位置決め配置する。次に、カセット下蓋712を、その内表面742がカセット上蓋711側に向くように、またねじ孔747a〜747d及びねじ孔727a〜727dの位置が対応するようにカセット上蓋711上に載置する。そして、ねじ孔747a〜747d及びねじ孔727a〜727dにねじ770a〜770dを螺挿する。これにより、カセット上蓋711及びカセット下蓋712が螺着され、かつカセット上蓋711及びカセット下蓋712間にはパッキン713及び基板714が狭着固定され、カセット703が完成する。この完成した状態では、ノズル差込孔722からノズル差込孔723にかけて、開口部754、流路756、溝758、流路757、開口部755の順に連通した流路が形成される。
なお、これら図11及び図12では、ねじ止めによりカセット上蓋711及びカセット下蓋712を固定する例を示したが、これに限定されない。例えば、凹凸の部材を用いた係着方法を用いてもよい。図13は係着固定によるカセット821の構成の一例を示す図である。図13に示すように、カセット上蓋822には、その両側部にその内壁から外壁にかけて3つずつ計6つ係着用孔824が貫通形成されている。一方、カセット下蓋823には、その両側部の内表面上に、爪状の係着用部材825が3つずつ計6つ突設されている。係着用部材825と係着用孔824以外の構成は図11や図12に示したカセット上蓋711及びカセット下蓋712の構成と共通するので詳細な説明は省略する。
次に、定量分析システムについて記載する。定量分析システムは、上記定量分析装置と、検体溶液を流動させるための送液手段と、定量分析チップ上のプローブに結合した標的生体分子を検出する測定手段と、定量分析装置の温度を制御するための温度制御手段と、送液手段、測定手段及び温度制御手段を制御するための制御手段と、制御手段を制御し、且つ得られた測定結果に基づいて検体溶液中の標的生体分子濃度を判定するコンピュータとを具備する。
図14は、本発明の定量分析システムの一実施例を示す概念図である。図14に示すように、定量分析システム300は、定量分析装置311と、この定量分析装置311と電気的に接続される測定系312、定量分析装置311に設けられた流路とインタフェース部を介して物理的に接続される送液系313及び定量分析装置311の温度制御を行う温度制御機構314、及び、これら測定系312、送液系313及び温度制御機構314を制御する制御機構315を具備する。
制御機構315は、コンピュータ316に電気的に接続されており、このコンピュータ316に備えられたプログラムにより、制御機構315が制御される。本実施形態では、定量分析装置311、測定系312、送液系313及び温度制御機構314及び制御機構315を測定ユニット310と称する。
送液系313の具体的な構成の一例を説明すると、送液系313は、定量分析装置の流路の上流側に設けられた供給系統と、流路の下流側に設けられた排出系統に大別される。
上流側には、エア、バッファ、挿入剤等の試薬類等、各種流体の供給源が備えられる。それぞれの供給源には、制御可能な弁が備えられ、流体の供給の切替えを行い、また供給される流体の流量を制御することができる。
下流側には、弁が備えられ、さらにこの下流側に送液ポンプが設けられる。定量分析装置311への流体の供給及び排出を吸引動作により行い、定量分析装置311内部での流体の置換を潤滑に行う。
もちろん、ポンプを定量分析装置311上流側の配管に設け、このポンプにより流体を押し出す構成としてもよい。また、ポンプは、チューブポンプに限ることなく、シリンジポンプ、プランジャポンプ、ダイアフラムポンプ、マグネットポンプ等を用いることもできる。
なお、各弁の間は、テフロン(登録商標)チューブ等の配管で接続してもよいが、定量分析装置311に対してその上流側と下流側でそれぞれ弁と流路を一体型構造としたマニフォールド構造で構成してもよい。これにより、配管内の容量が少なくなることから、必要な溶液量を大幅に削減できる。また、配管内における溶液の流れが安定するため、検出結果の再現性や安定性が向上する。
次に、測定系312の一例を示す。図15は、生体分子を挿入剤の電気化学的応答を用いて測定する場合の測定系の具体的な構成を示す図である。
この図15に示す測定系312は、対極502の入力に対して参照極503の電圧をフィードバック(負帰還)させることにより、電極や溶液などの各種条件の変動によらずに溶液中に所望の電圧を印加する3電極方式のポテンシオ・スタット12aである。
より具体的には、ポテンシオ・スタット12aは、作用極501に対する参照極503の電圧をある所定の特性に設定されるように対極502の電圧を変化させ、挿入剤の酸化電流を電気化学的に測定する。
作用極501は、標的生体分子のためのプローブが固定化される電極であり、反応電流を検出する電極である。対極502は、作用極501との間に所定の電圧を印加して電流を供給する電極である。参照極503は、参照極503と作用極501との間の電圧を所定の電圧特性に制御すべく、その電極電圧を対極502にフィードバックさせる電極であり、これにより対極502による電圧が制御され、各種検出条件に左右されない精度の高い酸化電流検出が行える。
電極間を流れる電流を検出するための電圧パターンを発生させる電圧パターン発生回路510が配線512bを介して参照極503の参照電圧制御用の反転増幅器512(OPc)の反転入力端子に接続されている。
電圧パターン発生回路510は、図14の制御機構315から入力されるデジタル信号をアナログ信号に変換して電圧パターンを発生させる回路であり、DA変換器を備える。
配線512bには抵抗Rsが接続されている。反転増幅器512の非反転入力端子は接地され、出力端子には配線502aが接続されている。反転増幅器512の反転入力端子側の配線512bと出力端子側の配線502aは配線512aで接続されている。この配線512aには、フィードバック抵抗Rff及びスイッチSWfからなる保護回路500が設けられている。
配線502aは端子Cに接続されている。端子Cは、チップ上の対極502に接続されている。対極502が複数設けられている場合には、各々に対して並列に端子Cが接続される。これにより、1つの電圧パターンにより複数の対極502に同時に電圧を印加することができる。
配線502aには、端子Cへの電圧印加のオンオフ制御を行うスイッチSW0が設けられている。
反転増幅器512に設けられた保護回路500により、対極502に過剰な電圧がかからないような構成となっている。従って、測定時に過剰な電圧が印加され、溶液が電気分解されてしまうことにより、所望の挿入剤の酸化電流検出に影響を及ぼすことが無く、安定した測定が可能となる。
端子Rは配線503aにより電圧フォロア増幅器513(OPr)の非反転入力端子に接続されている。電圧フォロア増幅器の反転入力端子は、その出力端子に接続された配線513bと配線513aにより短絡している。配線513bには抵抗Rfが設けられており、配線512bの抵抗と、配線512aと配線512bの交点との間に接続されている。これにより、電圧パターン発生回路510により生成される電圧パターンに、参照極503の電圧をフィードバックさせた電圧を反転増幅器512に入力させ、そのような電圧を反転増幅した出力に基づき対極502の電圧を制御する。
端子Wは配線501aによりトランス・インピーダンス増幅器511(OPw)の反転入力端子に接続されている。トランス・インピーダンス増幅器511の非反転入力端子は接地され、その出力端子に接続された配線511bと配線501aとは配線511aにより接続されている。配線511aには抵抗Rwが設けられている。このトランス・インピーダンス増幅器511の出力側の端子Oの電圧をVw、電流をIwとすると、Vw=Iw・Rwとなる。この端子Oから得られる電気化学信号は制御機構315に出力される。作用極501は複数あるため、端子W及び端子Oは作用極501のそれぞれに対応して複数設けられる。複数の端子Oからの出力は後述する信号切替部により切り替えられ、AD変換されることにより各作用極501からの電気化学信号をデジタル値としてほぼ同時に取得することができる。なお、端子W及び端子Oの間のトランス・インピーダンス増幅器511などの回路は、複数の作用極501で共有してもよい。この場合、配線501aに複数の端子Wからの配線を切り替えるための信号切替部を備えればよい。
なお、測定系の構成は、図15に示したものに限らず、適宜変更することができる。
さらに、図14における測定ユニット310に含まれる温度制御機構314には、例えばペルティエ素子が用いられる。これにより、±0.5℃以内の温度制御が可能である。生体分子の反応は、室温に比較的近い温度範囲において行うのが一般的である。従って、加温機のみによる温度制御では安定性に乏しい。また、温度プロファイルにより、生体分子の反応を制御する必要があるため、別に冷却機構が必要である。その点、ペルティエ素子は、電流の向きを変えることにより、加熱・冷却いずれも可能であるため、好適に用いることができる。
温度制御機構314は、チップ基板の裏面に直接接触するように配置されることにより、チップ基板の温度を制御することができる。
コンピュータ316は、複数の指令からなる解析プログラムを実行する。制御機構315の制御には、制御プログラムが設けられている。解析プログラムや制御プログラムは、コンピュータ316に設けられた記録媒体読取装置が記録媒体に格納された解析プログラムを読み取ることにより実行されてもよいし、コンピュータ316に設けられた磁気ディスクなどの記憶装置から読み出されて実行されてもよい。
制御機構315は、コンピュータ316から受信した送液系制御パラメータに基づき送液系313の各構成要素を制御する。また、この送液系313の制御と連動して、温度制御機構制御パラメータに基づき温度制御機構314の温度制御を行う。
また、制御機構315は、この送液工程のタイミングに同期して測定系312に測定指令を行う。測定系312は、この測定指令に基づき例えば電圧パターンを発生させて測定を行い、得られた測定信号は制御機構315に出力される。制御機構315は、受信した測定信号を信号処理し、測定データとしてデータメモリに格納する。この測定データは、コンピュータ316にローカルバスを介して出力され、コンピュータ316はこの測定データを受信する。
このようにして必要な測定データが得られると、コンピュータ316は測定データに基づいて検体溶液中の標的生体分子濃度を判定し、最後に、得られた結果をコンピュータ16に備え付けの表示装置に表示する。
以上、定量分析システムの一例を示したが、これに限定されず、適宜改良し最適な構成によりシステムを構築してよい。
以下、本発明の定量分析チップを用いて標的生体分子を測定した実施例を記載する。
[実施例1]
第1の態様における定量分析チップを用い、既知濃度のDNA溶液を測定した。チップは、センサ領域が親水性であり、非センサ領域が疎水性であり、プローブ固定化領域を電極として形成した。DNAの検出は、二本鎖核酸と特異的に結合する電気化学的活性を有する挿入剤を用い、挿入剤の電気化学的応答を測定することによって行った。
第1の態様における定量分析チップを用い、既知濃度のDNA溶液を測定した。チップは、センサ領域が親水性であり、非センサ領域が疎水性であり、プローブ固定化領域を電極として形成した。DNAの検出は、二本鎖核酸と特異的に結合する電気化学的活性を有する挿入剤を用い、挿入剤の電気化学的応答を測定することによって行った。
(1)定量分析チップの作製
チップの基板にはシリコン基板を用いた(図16a)。まず、Si基板を熱酸化炉中で酸化し、約1μm厚のSiO2膜を表面に形成させた(図16b)。このSiO2膜は親水性であるため、親水性領域として用いることができ、また、後に形成する電極間の絶縁性を保つ効果も有する。続いて、スパッタ法により基板全面にTi膜を50 nm厚で積層し、さらにAu膜を200 nm厚で積層した(図16c)。
チップの基板にはシリコン基板を用いた(図16a)。まず、Si基板を熱酸化炉中で酸化し、約1μm厚のSiO2膜を表面に形成させた(図16b)。このSiO2膜は親水性であるため、親水性領域として用いることができ、また、後に形成する電極間の絶縁性を保つ効果も有する。続いて、スパッタ法により基板全面にTi膜を50 nm厚で積層し、さらにAu膜を200 nm厚で積層した(図16c)。
次に、Au膜の上から全面にフォトレジストを塗布し、これから形成する電極パターン上にフォトレジストが残るように、ガラスマスクパターンに対して、露光・現像を行った(図16d)。
フォトレジストがポジ型である場合には、電極パターン以外の部分が露光されるようなガラスマスクを用い、ネガ型レジストを用いる場合には、その反転パターンのガラスマスクを用い、電極パターン部分が露光されるようにする。
形成すべき電極パターン上にフォトレジストが残っている状態で、Au膜及びTi膜のエッチングを行った(図16e)。Au膜のエッチング液にはI2+KI水溶液を用いた。Ti膜のエッチング液にはNH4OH+H2O2水溶液を用いた。このエッチング液は、TiとSiO2との間にエッチングの選択比が充分にとれるので、制御性良くTiのパターニングを行うことが出来る。
電極パターン形成後、マスク材として用いたフォトレジストをレジスト剥離液で剥離した(図16f)。次に、フォトレジストを再び全面に塗布し(図16g)、形成した電極パターンの周囲が開口するように、露光・現像工程を経てパターニングを行った(図16h)。その後、フォトレジストを約1時間、約200℃のオーブン中で焼成した。最後に、CF4プラズマ中で表面クリーニング処理し、チップ基板を完成させた。
ここで作製したチップは、レジスト部分が疎水性であり、Au電極及び周辺のSiO2膜部分は親水性である(図16h)。本実施例では、チップ上に5つのAu電極を設け、それぞれの径を20μm、50μm、100μm、200μm、及び500μmとした。
本実施例では、基板材料としてSi基板を用いたが、これに限定されず、サファイア基板、アルミナ基板、ガラス基板、セラミック基板、ガラスエポキシ基板、樹脂基板等を用いてもよい。
Si基板は導電性であるため、絶縁層としてSiO2膜を表面に形成する必要があるが、絶縁性の基板の場合には不要である。但し、絶縁性の基板が親水性ではない場合、親水性膜(SiO2膜等)を形成する必要がある。
なお、親水性膜としては、SiO2膜の他にもTiO2膜などを用いることができる。
また、本実施例では電極金属膜として、TiとAuの積層膜を用いたが、Tiの代わりにCrを用いてもよい。さらに、耐熱性を向上させるために、Ti膜とAu膜の間に、Pt、Pd、Mo等の金属膜を挟んでもよい。Ti膜厚は、5 nm〜100 nm程度が好ましく、Au膜厚は、100 nm〜2 μmが好ましいが、これらに限定されない。
また、本実施例では疎水性膜としてフォトレジストを用いたが、他にポリイミド膜、フッ素系樹脂膜、BCB(ベンゾ・シクロ・ブテン)膜等の有機膜、SiN膜等の無機膜を用いてもよい。
疎水性膜の材料が感光性材料である場合には、上記と同様に露光・現像によりパターニングが可能である。
また、疎水性膜の材料が非感光性材料の場合には、図17に示したように、例えばシリコン基板(図17a)の表面に、SiO2膜、Ti膜、及びAu膜を順に積層し、Au膜の上から全面にフォトレジストを塗布して、これから形成する電極パターン上にフォトレジストが残るように、ガラスマスクパターンに対して、露光・現像を行う(図17b)。形成すべき電極パターン上にフォトレジストが残っている状態で、Au膜及びTi膜のエッチングを行い(図17c)、電極パターン形成後、マスク材として用いたフォトレジストをレジスト剥離液で剥離する(図17d)。次いで、全面に疎水性膜を形成し(図17e)、次にフォトレジストを再び全面に塗布し、露光・現像して電極パターンの周囲を開口させる(図17f)。さらに、電極周囲の開口部の疎水性膜をエッチングし(図17g)、その後、フォトレジストを剥離することにより、疎水性領域を形成することができる(図17h)。
この場合、センサ領域以外の領域を保護した状態で、酸素プラズマ処理することによって、センサ領域を親水性をより確実にすることもできる。
上記工程によってチップ基板を完成させた後、プローブを固定化した。プローブには、標的DNAと相補的な配列を有し、且つ、3’末端をSH基で修飾した核酸鎖を合成して用いた。合成したプローブを適切な緩衝液に溶解し、上記で作製したそれぞれの金電極上にスポットした。1時間静置した後、超純粋で洗浄し、次いで風乾し、プローブ固定化電極を完成させた。
なお、ここで用いたプローブの塩基配列は下記の通りである。
5’-ATGCTTTCCGTGGCA-3’
(2)検体溶液の調製
標的DNAを、終濃度1×1010、3×1010、1×1011、3×1011、1×1012、3×1012、1×1013、3×1013、1×1014、3×1014、及び3×1015コピー/mLで含有する2×SSC溶液をそれぞれ調製した。
(2)検体溶液の調製
標的DNAを、終濃度1×1010、3×1010、1×1011、3×1011、1×1012、3×1012、1×1013、3×1013、1×1014、3×1014、及び3×1015コピー/mLで含有する2×SSC溶液をそれぞれ調製した。
なお、ここで用いた標的DNAの塩基配列は下記の通りである。
5’-gtcccatttgttctcactgccacggaaagcatgtttatagtcttccagcagcaacgccaggtgtctaggcacagatgaacccctccttaggatccccactgctcatcatagtgcctacctttgttaaagtactagtcacgcagtgtcacaaggaatgtttacttttccaaatccccagctagaggccagggatgggtcatctatttctatatagcctgcacccagattgtaggacagagggcatgctcggtaaatatgtgttcattaactgagattaaccttccctgagttttctcacaccaaggtgaggaccatg-3’
(3)測定
上記(2)で作製した検体溶液を、チップ上に供し流動させた。各センサ領域上に検体液滴が形成された後、35℃で60分間静置した。その後、核酸を含まない0.2×SSCで2分間洗浄した。
(3)測定
上記(2)で作製した検体溶液を、チップ上に供し流動させた。各センサ領域上に検体液滴が形成された後、35℃で60分間静置した。その後、核酸を含まない0.2×SSCで2分間洗浄した。
本実施例では挿入剤としてヘキスト33258溶液(50μM)を用いた。ヘキスト33258を含むリン酸緩衝液中にチップを5分間浸漬した後、ヘキスト33258分子の酸化電流応答を測定した。
(4)結果
得られた結果を図18に示した。それぞれのプローブ固定化領域につき、標的DNAが全て結合した状態で検出される電流信号値Aから、標的DNAが結合していない状態で検出される電流値B(バックグラウンド)を減算した値を1とし(即ち、A−B=1)、測定値をCとしたとき、C−B/A−Bで与えられる値をグラフに示した。得られたグラフは、検量線として用いることができる。
得られた結果を図18に示した。それぞれのプローブ固定化領域につき、標的DNAが全て結合した状態で検出される電流信号値Aから、標的DNAが結合していない状態で検出される電流値B(バックグラウンド)を減算した値を1とし(即ち、A−B=1)、測定値をCとしたとき、C−B/A−Bで与えられる値をグラフに示した。得られたグラフは、検量線として用いることができる。
図18に示されたように、それぞれのプローブ固定化領域は、該領域面積(即ち、プローブ総分子数)に基づいて異なった測定可能範囲を有している。しかしながら、一つのチップ上に複数のプローブ固定化領域が備えられ、同一条件で測定可能であることから、全ての検量線を総合して用いることができ、結果として、広い測定可能範囲を実現することができる。
次に、濃度未知のサンプルを用いてブラインドテスト形式で測定した。得られた結果を図18のグラフ上にプロットし、標的DNA濃度を算出した結果、全てのサンプルにおいて正しい結果が得られた。
以上から、本実施例における定量分析チップに拠れば、広範囲の測定可能領域を有する絶対的な定量分析が可能であることが示された。
なお、異なる配列や分子種を有する他の任意の標的核酸及びこれに対応するプローブを用いて、同様の検出を行った場合であっても、上記と同様に高い定量性が確認された。
さらに、検体溶液中に2種類以上の異なる標的生体分子が混在している場合でも、それぞれに対応するプローブを用いることにより、個々の標的生体分子に対して高精度な定量分析が可能であった。
なお、本実施例では、金電極上での電気化学的応答を利用した電気化学的検出方法によって測定した結果を示したが、この他、蛍光標識物質でもって標的生体分子を標識し、蛍光強度を測定することでも、同様に定量分析が可能であった。
なお、本実施例では標的生体分子としてDNAを用いたが、RNAやタンパク質を初め、糖鎖、ホルモンなどの低分子化合物のような、DNA以外の生体分子であっても同様に定量分析が可能である。
[実施例2]
本実施例では、第1の態様における定量分析チップであって、センサ領域が疎水性であり、非センサ領域が親水性であるチップを作製した。本実施例では、このチップを用い、疎水性溶液に含有される疎水性ペプチドを測定した。
本実施例では、第1の態様における定量分析チップであって、センサ領域が疎水性であり、非センサ領域が親水性であるチップを作製した。本実施例では、このチップを用い、疎水性溶液に含有される疎水性ペプチドを測定した。
(1)定量分析チップの作製
チップの基板にはシリコン基板を用いた(図19a)。まず、Si基板を熱酸化炉中で酸化し、約1μm厚のSiO2膜を表面に形成させた(図19b)。このSiO2膜は親水性であるため、親水性領域として用いることができ、また、後に形成する電極間の絶縁性を保つ効果も有する。続いて、スパッタ法により基板全面にTi膜を50 nm厚で積層し、さらにAu膜を200 nm厚で積層した(図19c)。
チップの基板にはシリコン基板を用いた(図19a)。まず、Si基板を熱酸化炉中で酸化し、約1μm厚のSiO2膜を表面に形成させた(図19b)。このSiO2膜は親水性であるため、親水性領域として用いることができ、また、後に形成する電極間の絶縁性を保つ効果も有する。続いて、スパッタ法により基板全面にTi膜を50 nm厚で積層し、さらにAu膜を200 nm厚で積層した(図19c)。
次に、Au膜の上から全面にフォトレジストを塗布し、これから形成する電極パターン上にフォトレジストが残るように、ガラスマスクパターンに対して、露光・現像を行った(図19d)。フォトレジストがポジ型である場合には、電極パターン以外の部分が露光されるようなガラスマスクを用い、ネガ型レジストを用いる場合には、その反転パターンのガラスマスクを用い、電極パターン部分が露光されるようにする。
形成すべき電極パターン上にフォトレジストが残っている状態で、Au膜及びTi膜のエッチングを行った(図19e)。Au膜のエッチング液にはI2+KI水溶液を用いた。Ti膜のエッチング液にはNH4OH+H2O2水溶液を用いた。このエッチング液は、TiとSiO2との間にエッチングの選択比が充分にとれるので、制御性良くTiのパターニングを行うことが出来る。
電極パターン形成後、マスク材として用いたフォトレジストをレジスト剥離液で剥離した(図19f)。
次に、疎水性とすべき領域を開口し、フォトレジストをパターン加工して他の領域をマスキングした(図19g)。なお、マスキングはフォトレジストを用いずにマスキングシートやメタルマスクを用いてもよい。
マスキングした後、トリメチルクロロシランの蒸気に暴露し、100℃で1〜2時間焼成した(図19h)。これにより、暴露面が安定化される。その後、マスキングを剥離し、基板を完成させた(図19i)。ここで作製したチップは、電極を含む領域は疎水性であり、それ以外の領域は親水性である。
本実施例では、基板材料としてSi基板を用いたが、これに限定されず、サファイア基板、アルミナ基板、ガラス基板、セラミック基板、ガラスエポキシ基板、樹脂基板等を用いてもよい。
Si基板は導電性であるため、絶縁層としてSiO2膜を表面に形成する必要があるが、絶縁性の基板の場合には不要である。
更には、表面の平坦性を高めるために、積層基板、基板上に平坦性を高める層(ポリイミド膜やBCB膜等の樹脂膜)を積層してもよい。
また、本実施例では電極金属膜として、TiとAuの積層膜を用いたが、Tiの代わりにCrを用いてもよい。さらに、耐熱性を向上させるために、Ti膜とAu膜の間に、Pt、Pd、Mo等の金属膜を挟んでもよい。Ti膜厚は、5 nm〜100 nm程度が好ましく、Au膜厚は、100 nm〜2 μmが好ましいが、これらに限定されない。
また、疎水化処理方法については、トリメチルクロロシランの蒸気に暴露する方法を記述したが、その限りではない。トリメチルクロロシラン以外に、ジクロロジメチルシラン、メチルシランを初めとした有機シラン、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を用いても良い。また処理方法として、蒸気を発生させて基板表面を暴露させる方法以外に、直接基板を浸漬したり、ヘプタン、クロロホルム、四塩化炭素等の溶媒に溶解して、基板を浸漬したり、表面に塗布したりして実現することも可能である。溶解する場合には、5%前後の濃度にするのが適当である。
また、本実施例では、親水性基板(膜)の特定領域を疎水化処理する方法について記述したが、逆に疎水性基板(膜)の特定領域を親水化処理してもよい。その場合は、ちょうど、相補的な領域をマスキングした状態で、アミノシラン処理をすれば、開口している部分だけ親水性となる。末端がアミノ基の材料に限定されず、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基で修飾された材料により処理することで、同様の効果を得ることも可能である。
さらに、界面活性剤処理を用いれば、親水性基板(膜)の特定領域を疎水性にすることも出来るし、逆に疎水性基板(膜)の特定領域を親水性にすることも可能である。
上記工程によりチップ基板を完成させた後、プローブを固定化した。プローブには、標的ペプチドと高い親和性を持ち、且つ、末端をSH基で修飾した蛋白分子を用いた。プローブを適切な緩衝液に溶解し、上記で作製した金電極上にスポットした。1時間静置した後、超純水で洗浄し、プローブ固定化電極を完成させた。
なお、ここで使用したプローブは、MKNLNKFVSIALCSSLLGGMAFAQのアミノ酸配列を持つペプチド鎖に対するポリクローナル抗体である。
(2)検体溶液の調製
ヘキスト33258で標識した標的ペプチド鎖を、種々の終濃度で含有する30%DMSO溶液をそれぞれ調製した。
ヘキスト33258で標識した標的ペプチド鎖を、種々の終濃度で含有する30%DMSO溶液をそれぞれ調製した。
なお、ここで使用した標的ペプチド鎖のアミノ酸配列は、MKNLNKFVSIALCSSLLGGMAFAQである。
(3)測定
上記(2)で作製した検体溶液を、チップ上に供し流動させた。各センサ領域上に検体液滴が形成された後、35℃で60分間静置した。その後、DMSOを含む洗浄バッファーにて2分間洗浄し、ヘキスト33258分子の酸化電流応答を測定した。
上記(2)で作製した検体溶液を、チップ上に供し流動させた。各センサ領域上に検体液滴が形成された後、35℃で60分間静置した。その後、DMSOを含む洗浄バッファーにて2分間洗浄し、ヘキスト33258分子の酸化電流応答を測定した。
(4)結果
それぞれのプローブ固定化領域につき、標的ペプチドが全て結合した状態で検出される電流信号値Aから、標的ペプチドが結合していない状態で検出される電流値B(バックグラウンド)を減算した値を1とし(即ち、A−B=1)、測定値をCとしたとき、C−B/A−Bで与えられる値をグラフに示した。得られたグラフは、検量線として用いることができる。
それぞれのプローブ固定化領域につき、標的ペプチドが全て結合した状態で検出される電流信号値Aから、標的ペプチドが結合していない状態で検出される電流値B(バックグラウンド)を減算した値を1とし(即ち、A−B=1)、測定値をCとしたとき、C−B/A−Bで与えられる値をグラフに示した。得られたグラフは、検量線として用いることができる。
次に、濃度未知のサンプルを用いてブラインドテスト形式で測定した。得られた結果を上記グラフ上にプロットし、標的ペプチド濃度を算出した結果、全てのサンプルにおいて正しい結果が得られた。
以上から、本実施例における定量分析チップに拠れば、疎水性溶液中の標的生体分子でも高精度の定量分析が可能であることが示された。
なお、本実施例では標的分子としてペプチドを用いたが、他の任意の標的生体分子と、これに対応するプローブを用いて検出を行った場合にも、上記と同様に高い定量性が確認された。
さらに、検体溶液中に2種類以上の異なる標的生体分子が混在している場合でも、それぞれに対応するプローブを用いることにより、個々の標的生体分子に対して高精度な定量分析が可能であった。
なお、本実施例では、金電極上での電気化学的応答を利用した電気化学的検出方法によって測定した結果を示したが、この他、蛍光標識物質でもって標的生体分子を標識し、蛍光強度を測定することに測定しても、同様に定量分析が可能であった。
また、本実施例では、疎水性の高い生体分子をDMSO溶液に溶解して用いたが、標的生体分子の溶解性とプローブ/標的生体分子の反応を阻害しない溶剤であれば、他の適切な有機及び無機溶剤を適用することも可能である。
なお、ここでは標的生体分子として、疎水性ペプチドを用いたが、蛋白質や糖タンパク、脂質、核酸等のペプチド以外の生体分子であっても同様に定量分析が可能である。
[実施例3]
本発明の第2の態様における、阻害物質除去領域を備えた定量分析チップを用い、標的DNAの測定を行った。標的DNAを含む検体溶液には、阻害物質として標的DNAと相補的なRNAが含まれる。
本発明の第2の態様における、阻害物質除去領域を備えた定量分析チップを用い、標的DNAの測定を行った。標的DNAを含む検体溶液には、阻害物質として標的DNAと相補的なRNAが含まれる。
(1)定量分析チップの作製
上記実施例1に記載の方法に準じ、定量分析チップを作製した。但し、本実施例のチップは、阻害物質除去領域を具備し、該領域は、検体溶液がチップ上で流動する方向におけるプローブ固定化領域の上流に備えられる。
上記実施例1に記載の方法に準じ、定量分析チップを作製した。但し、本実施例のチップは、阻害物質除去領域を具備し、該領域は、検体溶液がチップ上で流動する方向におけるプローブ固定化領域の上流に備えられる。
阻害物質除去領域は、(a)阻害物質であるRNAを捕捉するため、基板表面上に該RNAと相補的なRNA分子を結合させた領域、及び(b)阻害物質であるRNAを分解するため、基板表面上に固定したS・Tag配列を介してSタンパク(RNA分解酵素)を結合させた領域とし、それぞれ異なるチップ上に作製した。
また、比較対照として、(c)特別な処理を施していない領域を有するチップを作製した。
チップ基板を完成させた後、標的DNAのためのプローブを固定化した。プローブには、標的DNAと相補的な配列を有し、且つ、3’末端をSH基で修飾したDNAを合成して用いた。合成したプローブを適切な緩衝液に溶解し、上記で作製したそれぞれの金電極上にスポットした。1時間静置した後、超純水で洗浄し、次いで風乾し、プローブ固定化電極を完成させた。
なお、ここで用いたプローブの塩基配列は下記の通りである。
5’-ATGCTTTCCGTGGCA-3’
(2)検体溶液の調製
標的DNAを、終濃度1×1012コピー/mLで含有し、さらに、阻害物質RNA分子を、終濃度1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、及び1×1014コピー/mLで含有する2×SSC溶液をそれぞれ調製した。
(2)検体溶液の調製
標的DNAを、終濃度1×1012コピー/mLで含有し、さらに、阻害物質RNA分子を、終濃度1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、及び1×1014コピー/mLで含有する2×SSC溶液をそれぞれ調製した。
なお、ここで用いた標的DNA及び阻害物質RNAの塩基配列は下記の通りである。
標的DNA;5’- gtcccatttgttctcactgccacggaaagcatgtttatagtcttccagcagcaacgccaggtgtctaggcacagatgaacccctccttaggatccccactgctcatcatagtgcctacctttgttaaagtactagtcacgcagtgtcacaaggaatgtttacttttccaaatccccagctagaggccagggatgggtcatctatttctatatagcctgcacccagattgtaggacagagggcatgctcggtaaatatgtgttcattaactgagattaaccttccctgagttttctcacaccaaggtgaggaccatg-3’;
阻害物質RNA;5’- gucccauuuguucucacugccacggaaagcauauggacauugaagcauauuuugaaagaauuggcuauaagaacucuaggaacaaauuggacuuggaaacauuaacugacauucuugagcaccagauccgggcuguucccuuugagaaccuuaacaugcauugugggcaagccauggaguugggcuuagaggcuauuuuugaucacauuguaagaagaaaccgggguggguggugucuccaggucaaucaacuucuguacugggcucugaccacaaucgguuuucagaccacaauguuaggaggguauuuuuacaucccuccaguuaacaaa-3’
(3)測定
上記(2)で作製した検体溶液をチップ上の阻害物質除去領域に供し、一定時間保持した後、センサ領域上に流動させた。各センサ領域上に検体液滴が形成された後、35℃で60分間静置した。その後、核酸を含まない0.2×SSCで2分間洗浄した。
阻害物質RNA;5’- gucccauuuguucucacugccacggaaagcauauggacauugaagcauauuuugaaagaauuggcuauaagaacucuaggaacaaauuggacuuggaaacauuaacugacauucuugagcaccagauccgggcuguucccuuugagaaccuuaacaugcauugugggcaagccauggaguugggcuuagaggcuauuuuugaucacauuguaagaagaaaccgggguggguggugucuccaggucaaucaacuucuguacugggcucugaccacaaucgguuuucagaccacaauguuaggaggguauuuuuacaucccuccaguuaacaaa-3’
(3)測定
上記(2)で作製した検体溶液をチップ上の阻害物質除去領域に供し、一定時間保持した後、センサ領域上に流動させた。各センサ領域上に検体液滴が形成された後、35℃で60分間静置した。その後、核酸を含まない0.2×SSCで2分間洗浄した。
本実施例では挿入剤としてヘキスト33258溶液(50μM)を用いた。ヘキスト33258を含むリン酸緩衝液中にチップを5分間浸漬した後、ヘキスト33258分子の酸化電流応答を測定した。
(4)結果
得られた結果を図20に示した。対照チップ(c)では、検体溶液中の阻害物質(RNA)濃度が上昇するにつれて、検出される電流値が減少し、阻害物質によって検出が大幅に阻害されることが示された。一方、阻害物質除去領域(a及びb)を有するチップでは、検出される電流値がほとんど変化せず、標的DNAが安定的に検出可能であることが示された。
得られた結果を図20に示した。対照チップ(c)では、検体溶液中の阻害物質(RNA)濃度が上昇するにつれて、検出される電流値が減少し、阻害物質によって検出が大幅に阻害されることが示された。一方、阻害物質除去領域(a及びb)を有するチップでは、検出される電流値がほとんど変化せず、標的DNAが安定的に検出可能であることが示された。
従って、阻害物質除去領域を備えることによって、標的生体分子の検出を阻害する物質を除去することが可能であり、高精度な定量分析を行うことが可能であることが示された。
なお、上記した(b)阻害物質であるRNAを分解するため、基板表面上に固定したS・Tag配列を介してSタンパク(RNA分解酵素)を結合させた領域は、これに限らず、RNase活性を有する物質を固定した領域であれば何れのものでもよい。
なお、本実施例では標的分子としてDNAを用い、標的分子の検出を阻害する物質として、標的DNAと相補的なRNAを用いたが、標的分子及び阻害物質が他の生体分子であっても同様に実施することができる。
同様の方法によって、異なる配列や分子種を有する他の任意の標的核酸と、これに対応するプローブを用いて検出を行った場合にも、上記と同様に安定した検出性能と高い定量性が確認された。
さらに、検体溶液中に2種類以上の異なる標的生体分子が混在している場合でも、それぞれに対応するプローブを用いることにより、個々の標的生体分子に対して高精度な定量分析が可能であった。
なお、本実施例では、金電極上での電気化学的応答を利用した電気化学的検出方法によって測定した結果を示したが、この他、蛍光標識物質でもって標的生体分子を標識し、蛍光強度を測定することに測定しても、同様に定量分析が可能であった。
[実施例4]
本発明の第3の態様における、可逆結合領域を備えた定量分析チップを用い、標的DNAの測定を行った。標的DNAを含む検体溶液には、阻害物質として標的DNAと相補的なRNAが含まれる。
本発明の第3の態様における、可逆結合領域を備えた定量分析チップを用い、標的DNAの測定を行った。標的DNAを含む検体溶液には、阻害物質として標的DNAと相補的なRNAが含まれる。
(1)定量分析チップの作製
上記実施例1に記載の方法に準じ、定量分析チップを作製した。但し、本実施例のチップは、可逆結合領域を具備し、該領域は、検体溶液がチップ上で流動する方向におけるプローブ固定化領域の上流に備えられる。
上記実施例1に記載の方法に準じ、定量分析チップを作製した。但し、本実施例のチップは、可逆結合領域を具備し、該領域は、検体溶液がチップ上で流動する方向におけるプローブ固定化領域の上流に備えられる。
可逆結合領域は、(a)DNAを可逆的に結合し、RNAと結合しない性質を有する微細なシリカビーズを固定した領域、及び、(b)標的DNAに対して相補的なDNAを多数固定化した領域とし、それぞれ異なるチップ上に作製した。シリカビーズは、塩濃度を調節することによってDNAと結合又は解離する性質を有する。
また、比較対照として、(c)特別な処理を施していない領域を有するチップを作製した。
チップ基板を完成させた後、標的DNAのためのプローブを固定化した。プローブには、標的DNAと相補的な配列を有し、且つ、3’末端をSH基で修飾したDNAを合成して用いた。合成したプローブを適切な緩衝液に溶解し、上記で作製したそれぞれの金電極上にスポットした。1時間静置した後、超純粋で洗浄し、次いで風乾し、プローブ固定化電極を完成させた。
なお、ここで用いたプローブの塩基配列は下記の通りである。
5’-ATGCTTTCCGTGGCA-3’
(2)検体溶液の調製
標的DNAを、終濃度1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、及び1×1014コピー/mL、で含有し、阻害物質RNAを終濃度1×1012コピー/mLで含有する2×SSC溶液をそれぞれ調製した。
(2)検体溶液の調製
標的DNAを、終濃度1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、及び1×1014コピー/mL、で含有し、阻害物質RNAを終濃度1×1012コピー/mLで含有する2×SSC溶液をそれぞれ調製した。
なお、ここで用いた標的DNA及び阻害物質RNAの塩基配列は下記の通りである。
標的DNA;5’-gtcccatttgttctcactgccacggaaagcatgtttatagtcttccagcagcaacgccaggtgtctaggcacagatgaacccctccttaggatccccactgctcatcatagtgcctacctttgttaaagtactagtcacgcagtgtcacaaggaatgtttacttttccaaatccccagctagaggccagggatgggtcatctatttctatatagcctgcacccagattgtaggacagagggcatgctcggtaaatatgtgttcattaactgagattaaccttccctgagttttctcacaccaaggtgaggaccatg-3’;
阻害物質RNA;5’-gucccauuuguucucacugccacggaaagcauauggacauugaagcauauuuugaaagaauuggcuauaagaacucuaggaacaaauuggacuuggaaacauuaacugacauucuugagcaccagauccgggcuguucccuuugagaaccuuaacaugcauugugggcaagccauggaguugggcuuagaggcuauuuuugaucacauuguaagaagaaaccgggguggguggugucuccaggucaaucaacuucuguacugggcucugaccacaaucgguuuucagaccacaauguuaggaggguauuuuuacaucccuccaguuaacaaa-3’
(3)測定
上記(2)で作製した検体溶液をチップ上の可逆結合領域に供し、一定時間保持した後、そのまま流動させて廃棄した。その後、可逆結合領域に捕捉された標的DNAを、適切な溶出液を用いて溶出した。解離されたDNAを含む溶出液に、プローブとの結合反応に必要な成分を添加・混合して各センサ領域上に流動させ、それぞれのセンサ上に検体液滴が形成された後、35℃で60分間静置した。その後、核酸を含まない0.2×SSCで2分間洗浄した。
阻害物質RNA;5’-gucccauuuguucucacugccacggaaagcauauggacauugaagcauauuuugaaagaauuggcuauaagaacucuaggaacaaauuggacuuggaaacauuaacugacauucuugagcaccagauccgggcuguucccuuugagaaccuuaacaugcauugugggcaagccauggaguugggcuuagaggcuauuuuugaucacauuguaagaagaaaccgggguggguggugucuccaggucaaucaacuucuguacugggcucugaccacaaucgguuuucagaccacaauguuaggaggguauuuuuacaucccuccaguuaacaaa-3’
(3)測定
上記(2)で作製した検体溶液をチップ上の可逆結合領域に供し、一定時間保持した後、そのまま流動させて廃棄した。その後、可逆結合領域に捕捉された標的DNAを、適切な溶出液を用いて溶出した。解離されたDNAを含む溶出液に、プローブとの結合反応に必要な成分を添加・混合して各センサ領域上に流動させ、それぞれのセンサ上に検体液滴が形成された後、35℃で60分間静置した。その後、核酸を含まない0.2×SSCで2分間洗浄した。
本実施例では挿入剤としてヘキスト33258溶液(50μM)を用いた。ヘキスト33258を含むリン酸緩衝液中にチップを5分間浸漬した後、ヘキスト33258分子の酸化電流応答を測定した。
(4)結果
得られた結果を図21に示した。可逆結合領域を備えていないチップ(c)では、可逆結合領域を有するチップと比較するとほとんど電流値が検出されなかった。一方、シリカビーズを固定した領域(a)、及び、相補的なDNAを多数固定化した領域(b)を有するチップは、それぞれ、検体溶液中のDNA濃度が上昇するにつれて電流値が増加し、良好な検出感度を示した。さらに、検体溶液中のDNA濃度が低い場合でも、対照と比較して高い電流値を検出していることが示された。
得られた結果を図21に示した。可逆結合領域を備えていないチップ(c)では、可逆結合領域を有するチップと比較するとほとんど電流値が検出されなかった。一方、シリカビーズを固定した領域(a)、及び、相補的なDNAを多数固定化した領域(b)を有するチップは、それぞれ、検体溶液中のDNA濃度が上昇するにつれて電流値が増加し、良好な検出感度を示した。さらに、検体溶液中のDNA濃度が低い場合でも、対照と比較して高い電流値を検出していることが示された。
従って、可逆結合領域を備えることによって、阻害物質が多量に含まれている検体溶液であっても精度の高い定量分析が行える他、検体溶液中の標的生体分子が低濃度であっても、可逆結合領域による濃縮効果によって、高感度且つ安定な測定が、比較的短時間で可能であることが示された。
なお、本実施例では標的分子としてDNAを用い、標的分子の検出を阻害する物質として、標的DNAと相補的なRNAを用いたが、標的分子及び阻害物質がタンパク質、補酵素、金属イオンなど他の生体分子などであっても同様に実施することができる。
同様の方法によって、異なる配列や分子種を有する他の任意の標的核酸と、これに対応するプローブを用いて検出を行った場合にも、上記と同様に安定した検出性能と高い定量性が確認された。
さらに、検体溶液中に2種類以上の異なる標的生体分子が混在している場合でも、それぞれに対応するプローブを用いることにより、個々の標的生体分子に対して高精度な定量分析が可能であった。
なお、本実施例では、金電極上での電気化学的応答を利用した電気化学的検出方法によって測定した結果を示したが、この他、蛍光標識物質で標的生体分子を標識し、蛍光強度を測定することに測定しても、同様に定量分析が可能であった。
10…定量分析チップ、13…非センサ領域、15…センサ領域、17…プローブ固定化領域、32…阻害物質除去領域、42…可逆結合領域、300…定量分析システム、310…測定ユニット、311…定量分析装置、312…測定系、313…送液系、314…温度制御機構、315…制御機構、316…コンピュータ、501…作用極、502…対極、503…参照極、601…流路、700…カセット、711…カセット上蓋、712…カセット下蓋、713…パッキン、752…送入ポート、753…送出ポート、761…3電極系。
Claims (11)
- 固相基体の表面に設けられた、同一面積を有する二以上のセンサ領域と、これらセンサ領域に隣接してその周囲に設けられた非センサ領域と、前記二以上のセンサ領域のそれぞれの領域内に設けられた、標的生体分子と結合し得る複数分子のプローブが固定可能なプローブ固定化領域とを具備し、
前記プローブ固定化領域において固定されたプローブの総分子数が、各プローブ固定化領域によって異なり、前記センサ領域は、前記非センサ領域よりも、前記標的生体分子が含まれる検体溶液と高い親和性を有し、
前記標的生体分子を含む検体溶液を前記固相基体表面上で流動させて前記センサ領域上を通過させたとき、該検体溶液が前記それぞれのセンサ領域上で同一容積の液滴を形成する、標的生体分子用の定量分析チップ。 - 前記センサ領域は親水性であり、且つ、前記非センサ領域は疎水性である、請求項1に記載の定量分析チップ。
- 前記センサ領域は疎水性であり、且つ、前記非センサ領域は親水性である、請求項1に記載の定量分析チップ。
- 前記プローブ固定化領域の面積がそれぞれ異なることによって、該それぞれのプローブ固定化領域に固定されたプローブの総分子数が異なることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の定量分析チップ。
- 阻害物質除去領域を、前記検体溶液の流動する方向における前記センサ領域の上流にさらに具備し、該阻害物質除去領域は、前記標的生体分子と前記プローブとの結合を阻害する阻害物質を、捕捉又は分解するための阻害物質用プローブが固定可能な領域である、請求項1〜4の何れか一項に記載の定量分析チップ。
- 前記標的生体分子と可逆的に結合し、適切な条件下で該標的生体分子から解離する、可逆結合プローブが固定可能な可逆結合領域をさらに具備する、請求項1〜5の何れか一項に記載の定量分析チップ。
- 前記標的生体分子は核酸である、請求項1〜6の何れか一項に記載の定量分析チップ。
- 請求項1〜7の何れか一項に記載の定量分析チップを用いて、検体溶液中の標的生体分子を定量する方法であって、
(i)前記チップ上で前記標的生体分子を既知濃度で含む試料溶液を流動させて、前記各センサ領域上に該試料溶液の液滴を形成させ、前記プローブと前記標的生体分子を結合させる工程と、
(ii)前記プローブと結合した標的生体分子数を検出する工程と、
(iii)前記工程(i)及び(ii)を、該試料溶液に含まれる標的生体分子濃度を変化させて行い、検出された結果から、前記プローブと結合した標的生体分子数と前記試料溶液濃度との関係を表す検量線を、各センサ領域について作成する工程と、
(iv)測定されるべき検体溶液を、前記定量分析チップ上で流動させて、前記各センサ領域上に液滴を形成させ、前記プローブと前記検体溶液に含まれる標的生体分子を結合させる工程と、
(v)前記プローブと結合した標的生体分子数を検出する工程と、
(vi)前記工程(v)で検出された結果から、前記工程(iii)で作成された検量線に基づいて、前記検体溶液の標的生体分子濃度を決定する工程と、
を具備する、標的生体分子の定量方法。 - 請求項1〜7の何れか一項に記載の定量分析チップ、及び、該チップ上で検体溶液を流動可能にさせるための流路を具備する定量分析装置において、前記チップの前記センサ領域が、該流路内に配置されたことを特徴とする定量分析装置。
- 請求項9に記載の定量分析装置と、前記検体溶液を流動させるための送液手段と、前記定量分析チップ上のプローブに結合した標的生体分子を検出する測定手段と、前記定量分析装置の温度を制御するための温度制御手段と、前記送液手段、測定手段及び温度制御手段を制御するための制御手段とを具備する、標的生体分子の定量分析システム。
- 前記制御手段を制御し、且つ得られた測定結果に基づいて検体溶液中の標的生体分子濃度を判定するコンピュータをさらに具備する、請求項10に記載の標的生体分子の定量分析システム。
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