JP3928053B2 - センシング装置 - Google Patents
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Description
また、特許文献6には、センサ本体部の振動を利用した触覚センサが提案されている。この触覚センサは弾性金属と、該弾性金属の表面に形成された強磁性体膜と、該強磁性体膜の上に形成された第1の電極及び第2の電極と、を備える触覚センサ本体部と、第1の電極へ駆動電圧を印加する駆動電圧印加回路部と、第2の電極の出力を検出する検出回路部と、を備えてなる。そして、第2の電極の出力に基づき、センサ本体部と被検体との接触状態の変化を検出する。
即ち、基材と、該基材に設けられた圧電部と、該圧電部に電気的に接続された駆動用電極及び検出用電極と、を備える触覚センサ本体部と、
前記駆動用電極へ駆動電圧を印加する駆動電圧印加回路部と、
前記検出用電極の出力を検出する検出回路部とを備え、
前記駆動電圧の印加により前記圧電部が振動し、当該振動を前記検出回路部が前記検出用電極からの出力でもって検出することができるセンシング装置において、
前記触覚センサ本体部が少なくとも2以上の共振モードのうちの一つの共振モードで共振するように、前記駆動用電極へ印加する駆動電圧の周波数を変化させる加振周波数設定部を備え、
前記触覚センサ本体部に加わる外力を緩和する緩衝部材を、前記触覚センサ本体部と被検出体との間に介在させた状態で、前記共振周波数設定部によって設定された1つの共振モードで前記触覚センサ本体部を共振させる、ことを特教とするセンシング装置。
上記の構成において、緩衝部材は、外力が加わることで変形して、触覚センサ本体部に加わる外力を緩和することができる高分子材料またはスポンジからなるのが好ましい。
また、緩衝部材は、触覚センサ本体部において被検体へ接触する部分に配設可能な弾性体であり、該弾性体の弾性係数(バネ係数)は外力の変化に応じて変化するものであるのが好ましい。
また、検出用電極の出力が所定の閾値を下回ったとき、前記加振周波数設定部は、共振モードの次数を大きくするように、前記駆動電圧の周波数を設定できたり、また、前記検出用電極の出力が別の閾値を上回ったとき、前記加振周波数設定部は、共振モードの次数を小さくするように、前記駆動電圧の周波数を設定することができるのが好ましい。
また、センシング装置は、前記触覚センサ本体部に加わる外力を算出することができる外力算出部を備えるのが好ましい。更に、センシング装置は、前記外力算出部から算出される外力から、前記緩衝部材の弾性係数を算出することができる弾性係数算出部を備えるのが好ましい。
また、駆動電圧の印加により圧電部が振動し、触覚センサ本体部が共振モードで共振し、当該触覚センサ本体部の振動を検出回路部が検出用電極からの出力でもって検出することができるので、例えば、駆動電圧を印加しても検出用電極からの出力が不十分な場合、圧電部、検出回路部等が故障していることが分かり、修理等の対応が可能となる。それにより、センシング装置の品質が維持されることになる。
触覚センサ1は触覚センサ本体部3、駆動電圧印加回路部11、検出回路部13、加振周波数設定部としての共振周波数調整部15及び緩衝部材としての弾性体20を備えてなる。
触覚センサ本体部3は基材5となる弾性材料の表面に圧電材料膜6を形成する。
ここに、基材5は弾性がありかつ導電性を有するものとする。基材5が弾性を有することにより振動が生じ、また導電性を有することによりその表面の圧電材料膜6へ均等に電圧を印加することができる。かかる特性を有する材料としてチタンその他の金属を挙げることができる。また、弾性を有する導電性樹脂を用いることもできる。弾性を有する樹脂の表面へ金属層を形成したもの基材として用いてもよい。
基材5は複数の共振モードを有するものとし、その範囲で材質、形状、厚さなどを任意に選択できる。
圧電材料としてPZT(チタンジルコン酸鉛)やチタン酸バリウムなどの周知の材料を用いることができる。圧電材料膜6の膜厚は第2の電極からの出力、基板の振動に対するQ値、振幅などを考慮して適宜選択される。
圧電材料膜6は少なくとも基材の一部分に形成されればよい。
第1の電極7及び第2の電極8の形成材料も特に限定されるものではないが、圧電材料膜との接着性がよくかつ接触抵抗の小さい材料を選択することが好ましい。かかる電極の材料として、アルミニウム、金、ニッケル、ITOなどを挙げることができる。
第1の電極7及び第2の電極8の形成位置、及びその形状も特に限定されるものではないが、図1(B)、(c)に示すように、基板のほぼ中央に、周縁部分から少々マージンをとって形成することが好ましい。基板の周縁部分に対してマージンをとるのは、第1の電極7と第2の電極8とのショートを確実に防止するためである。
触覚センサ本体部3が共振状態あるとき、これに外力がかかると第2の電極8と基材5との間に電圧が発生する。この電圧を検出回路部13で検出する。この電圧は外力の大きさの変化に対して一定の関係をもって変化する。
柔軟なゲルを触覚センサ本体部3と被検体との間に介在させることにより、触覚センサ本体部3に加わる外力を緩和させることができ、更に触覚センサは被検体に対する接触感が柔らかとなる。そのため、人、動物、植物などへの接触を図るときに好適なものとなる。
なお、無負荷状態において触覚センサ本体部3と弾性体20とを接触状態とすることもできる。この場合、両者の接触を考慮して、触覚センサ本体部3に印加する駆動電圧の共振周波数が調整される。
センサは直径2tsの円柱形基板の表面に厚みtpの圧電材料膜を成膜したものとする(図3参照)。
圧電解析より、(1)アクチュエータ電極への入力電圧とその時のはりに生じる曲げモーメントとの関係と、(2)たわみuの時のセンサ電極の出力電圧を導出する。解析モデルを図4に示す。圧電基本式は、Sx:ひずみ,Yp:圧電薄膜のヤング率,σx:応力,d31:圧電定数,Er:電界,Dr:電束密度,ε3:誘電率とすると
センサの解析結果を用い、共振モードとしての1-4次モードの(1)センサ出力とバネ定数の関係、(2)感度とバネ定数の関係について考察する。
図6より、共振モードのうちの1次モードによる検出中においては、第2の電極8からの出力電圧が第1の閾値S1以下になると、振動モードを2次モードに変更し当該モードでの検出を行うことが好ましいことがわかる。同様に、2次モードによる検出中に出力電圧が第2の閾値S2以下になると、振動モードを3次モードとすることが好ましい。3次モードによる検出中に出力電圧が第3の閾値S3以下になると、振動モードを4次モードとすることが好ましい。また、2次モードによる検出中に出力電圧が第4の閾値S4以上になると、振動モードを1次モードとすることが好ましい。3次モードによる検出中に出力電圧が第5の閾値S5以上になると、振動モードを2次モードとすることが好ましい。4次モードによる検出中に出力電圧が第6の閾値S6以上になると、振動モードを3次モードとすることが好ましい。従って、共振周波数調整部15は、触覚センサ本体部3が4つの共振モードで共振するように第1の電極7へ印加する駆動電圧の周波数を変化させることが可能であり、閾値に対する大小によって、設定された1つの共振モードで触覚センサ本体部3を共振させることができる。共振周波数調整部15は、触覚センサ本体部3が少なくとも2以上の共振モードのうちの一つの共振モードで共振するように、第1の電極7へ印加する駆動電圧の周波数を変化させることができるので、一つの共振モードでのみ共振する構成に比べて、検出することができる接触状態、即ち、検出することができる外力の範囲を広くすることができる。
なお、触覚センサ本体部3が共振する4つの共振モードのうちの一つの共振モードの選定については、被検体及び弾性体等の種類等に応じて予め設定してもよい。更には、共振モードを変更可能な制御装置を付加する構成を追加してもよい。この場合、共振周波数調整部15及び共振モードを変更可能な制御装置が、加振周波数設定部として機能することになる。
これにより、広いばね定数の範囲おいて正確な検出が可能となる。ばね定数と外力とは一対一の関係にあるので、ばね定数から外力を特定することができる。即ち、この発明によれば広い範囲の外力を正確に測定可能である。
実験に使用するセンサを水熱法を用いて製作した。水熱法を用いたのは曲面形状の基板であっても表面に均質に成膜できるからである。センサの製作プロセスを図9に示す.基板には直径:1mm,長さ5mmのチタン金属を用いた.PZT薄膜の膜厚は25μmとした。
ゲルの特性を図11及び図12に示す。
また、片持ちはりの先端の変位uは
ロボットフィンガの斜視図を図15,その内部構造を図16に示す。センサ数は9個とした。
図17(a),(b),(c),(d)に実験用ロボットフィンガとその構造を示す。まず、センサをクランプ側の中央と指先側の中央に配列した(a)。次に、より正確に接触位置を把握するためにフレームを作製した(b)。次に、センサの上面のみがゲルと接触するようにフレームとゲルを組み合わせた(c)。最後に、(a)と(c)を組み合わせ、ロボットフィンガとした(d)。
この実施例の玩具30では、触覚センサ本体部3の全体がゲル状の弾性体31で覆われ、幼児がこれを把持可能となっている。検出回路部13で検出された第2の電極の出力電圧とそのときの共振モードとに基づき、ばね定数特定部41は、図6の関係を参照して、把持された状態の弾性体31のばね定数を特定する。
加振周波数設定部としての共振モード切替部43は、第2の電極8の出力が所定の閾値を下回ったときに共振モードの次数を大きくするように、また、第2の電極8の出力が所定の閾値を上回ったときに共振モードの次数を小さくするように、加振周波数設定部としての共振周波数調整部15を制御する。これにより、切り替えられた共振モードを実現する周波数の駆動電圧が駆動電圧印加回路部11より第1の電極7に供給されることとなる。それとともに、切り替えられた共振モードに応じて発光表示部35のランプを選択的に点灯させる。例えば、1次共振モードのときは1つのランプを点灯し、2次共振モードのときは2つのランプを点灯し、3次共振モードのときは4つのランプを点灯し、4次共振モードのときは4つのランプを点灯する。
この発明の玩具ではセンサ本体部3がゲルで覆われているので感触が柔らかく、特に幼児向けのものとして好適である。また、センサ本体部3の構造がシンプルであるため、機械的剛性及び耐久性が高く、玩具として好適である。
まず、図23に示すように、円柱や四角柱等の細長い基材に圧電薄膜を成膜する。その後、電極を両面に蒸着するし、分割して触覚センサ本体部51を得る。
他方、図24に示すように、触覚センサ本体部51の一端を挿入する孔をあけた土台を準備し、これに配線をプリントする。そして、土台の各孔へ触覚センサ本体部51を挿入することによりこれを組付ける。その後、電極に対して駆動電圧印加回路及び検出回路からの配線をつなぎ(図示省略)、ゲル53で触覚センサ本体部51を全体的に覆う。
このようにして集積センサ50を容易に形成することができる。
図25に示すように、この集積センサ60は平板状の触覚センサ本体部61が振動可能なようにその周縁部を土台71へ固定して、その上に弾性体75を被覆した構成である。
触覚センサ本体部61は図26に示すように形成される。まず、チタン製の基板62にスリット63を形成する。このスリット63は基板62の1つの縁で終了し、もって基板はその一体性が保たれている。これにより、基板62の取り扱いが容易になる。その後、圧電材料により圧電薄膜を成膜する。そして、基板62の上下面の同じ位置にアルミニウムを蒸着して電極とする。これにより、スリット63、仮想線64及び基板の周縁で囲まれた部分に平板状の触覚センサ本体部61が形成される。この実施例では9つの触覚センサ本体部61が集積されている。
この土台71はリブ72を備えている。
かかる土台71のリブ72へ、図25に示すように、基板62を固定する。このとき、各触覚センサ本体部61の一対の縁部(図26では図中上下方向の縁部)がリブ72で固定される。これにより、各触覚センサ本体部61は機械的に独立したものとなる。他方、各触覚センサ本体部61の他方の縁部はスリット63で物理的に分離されている。
最後に、図25に示すように、ゲルなどの弾性体75を触覚センサ本体部61へ被覆して集積センサ60が完成する。この実施例では、基板の全体に弾性体75を被覆したが、触覚センサ本体部61毎に弾性体75を被覆してもよい。
かかる構成の集積センサ60によれば、これを構成する全ての機械的要素が板状であり、それらを単に積層することにより形成される。従って、その製造が極めて容易になる。
例えば、次のような回路構成を追加しても良い。
即ち、検出回路部13にメモリを接続させるとともに、当該メモリに制御装置を接続させる回路を追加する。この場合、触覚センサ本体部3に加わる外力と検出回路部13の出力との関係を予め実験でもって把握し、当該外力と検出回路部13の出力とを関係付けた関連データを当該メモリに記憶させる。制御装置は、メモリから読み出した関連データに基づき、検出回路部13の出力に対応する外力の大きさを把握することができる。それにより、制御装置は、メモリから読み出した関連データに基づき、触覚センサ本体部3に加わる外力を算出することができるので、制御装置およびメモリは、外力算出部として機能することになる。
更に、他の変形例として、次のような構成を採用しても良い。即ち、弾性体の変位量と、触覚センサ本体部3に加わる外力と、検出回路部13との出力関係を予め実験で把握する。そして、弾性体の変位量、外力、検出回路部13の出力の関係を導出した関係データを当該メモリに記憶させる。制御装置は、当該メモリから関係データを読み出すことで、検出回路部13の出力から弾性体の変位量と外力の関係を把握できる。この場合、制御装置およびメモリは算出される外力と変位量との関係から、弾性体の弾性係数を算出することができる。その結果、制御装置およびメモリは、弾性係数算出部として機能することになる。
3、51、61 触覚センサ本体部
5 基材
6 圧電材料膜(圧電部)
7 第1の電極(駆動用電極)
8 第2の電極(検出用電極)
11 駆動電圧印加回路部
13 検出回路部
15 共振周波数調整部(加振周波数設定部)
20、31 弾性体(緩衝部材)
43 共振モード切替部(加振周波数設定部)
Claims (5)
- 基材と、該基材に設けられた圧電部と、該圧電部に電気的に接続された駆動用電極及び検出用電極と、を備える触覚センサ本体部と、
前記駆動用電極へ駆動電圧を印加する駆動電圧印加回路部と、
前記検出用電極の出力を検出する検出回路部とを備え、
前記駆動電圧の印加により前記圧電部が振動し、当該振動を前記検出回路部が前記検出用電極からの出力でもって検出することができるセンシング装置において、
外力に応じて弾性係数が変化する弾性体を、前記触覚センサ本体部と被検出体との間に介在させた状態で、前記駆動電圧の周波数を変化させる加振周波数設定部によって設定された共振モードで前記触覚センサ本体部を共振させる、ことを特教とするセンシング装置。 - 前記検出用電極の出力が所定の閾値を下回ったとき、
前記加振周波数設定部は、共振モードの次数を大きくするように、前記駆動電圧の周波数を設定できたり、また、前記検出用電極の出力が別の閾値を上回ったとき、前記加振周波数設定部は、共振モードの次数を小さくするように、前記駆動電圧の周波数を設定することができる、ことを特教とする請求項1に記載のセンシング装置。 - 請求項1又は2に記載のセンシング装置において、前記触覚センサ本体部に加わる外力を算出することができる外力算出部を備える、ことを特教とするセンシング装置。
- 基材と、該基材に設けられた圧電部と、該圧電部に電気的に接続された駆動用電極及び検出用電極と、を備える触覚センサ本体部の複数を集積してなる集積センサであって、
該土台へ組付けられた前記複数の触覚センサ本体部と、
前記駆動用電極へ駆動電圧を印加する駆動電圧印加回路部と、
前記検出用電極の出力を検出する検出回路部と、
該触覚センサ本体部を被覆する弾性体であって、外力に応じて弾性係数が変化する弾性体と、を備え、
前記駆動電圧の印加により前記圧電部を振動させることにより前記触覚センサ本体部を共振させた状態で前記弾性体を被検出体に接触させたときの検出用電極の出力を前記検出回路部で検出する、ことを特徴とする集積センサ。 - 前記触覚センサ本体部は平板状である、ことを特徴とする請求項4に記載の集積センサ。
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