JP3927848B2 - 分散型電力貯蔵システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電力を貯蔵しその貯蔵した電力を必要に応じて放出する分散型電力貯蔵システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
料金の安い夜間電力を貯蔵し、その貯蔵した電力をたとえば電力使用が多くなる昼間の時間帯に放出する電力貯蔵装置が知られている。停電時に負荷への電力供給を無瞬断で継続する機能を兼ね備えた電力貯蔵装置もある。
このような電力貯蔵装置では、電力を貯蔵する手段として、たとえばシール鉛蓄電池が使用される。このシール鉛蓄電池は実際には複数個が直列接続されて使用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
電力使用量が多い建物の場合、その電力使用量に見合う十分な電力を確保するため、建物内に複数の電力貯蔵装置を設置することが考えられる。
ただし、この場合、各電力貯蔵装置がばらばらに運用されると、必要な電力が必要なときに得られないなど、せっかくの電力貯蔵装置が有効に活用できなくなる心配がある。
【0004】
この発明は上記の事情を考慮したもので、その目的とするところは、複数の電力貯蔵装置を適切に運用することができ、これにより必要な電力を必要なときに確実に放出でき、しかも全体の電力使用量を低減できて経済性および省エネルギ性の向上が図れる分散型電力貯蔵システムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明の分散型電力貯蔵システムは、電力が貯蔵される蓄電池モジュールを有する複数の電力貯蔵装置と、この各電力貯蔵装置の電力の貯蔵および放出を統括的に管理する制御部と、負荷の電力使用量を前記電力貯蔵装置ごとに検出する検出手段と、を備え、制御部は、電力料金が安い夜間電力時間帯において各電力貯蔵装置の蓄電池モジュールに電力を貯蔵し、電力の使用量が多くなる昼間時間帯において各電力貯蔵装置の蓄電池モジュールを所定時間ずつ順次に放電させる運転制御手段と、前記検出手段で検出される電力使用量と予め記憶している料金単価とに基づいて負荷側の電力使用料金を電力貯蔵装置ごとに算出する手段と、これら算出結果を報知する手段とを有している。
【0006】
請求項2に係る発明の分散型電力貯蔵システムは、請求項1に係る発明において、さらに、上記各電力貯蔵装置および上記制御部の相互間に接続されたデータ伝送用のネットワーク回線、を備えている。
【0008】
請求項3に係る発明の分散型電力貯蔵システムは、請求項1に係る発明において、各電力貯蔵装置の蓄電池モジュールにおける各蓄電池の電圧・温度を検出する検出手段を備えている。制御部は、さらに、上記検出手段の検出結果に基づいて各蓄電池の劣化または寿命を判定する手段と、この判定結果を報知する手段と、を有している。
【0009】
請求項4に係る発明の分散型電力貯蔵システムは、請求項1に係る発明において、各電力貯蔵装置について限定している。各電力貯蔵装置は、建物の複数箇所に設置されている。
【0010】
請求項5に係る発明の分散型電力貯蔵システムは、請求項1に係る発明において、各電力貯蔵装置について限定している。各電力貯蔵装置は、複数の建物のそれぞれ複数箇所に設置されている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、建物1の複数箇所たとえばフロアごとに電力貯蔵装置2a,2b,2c,2dがそれぞれ設置されている。
これら電力貯蔵装置は、商用交流電源3から電力を取込んで貯蔵し、その貯蔵した電力を必要に応じて放出するもので、図2に示すように、商用交流電源3の電圧を直流電圧に変換する整流部31、この整流部31の出力端に接続されたインバータ部32、このインバータ部32の出力端に接続された交流スイッチ部33、商用交流電源3の電圧を整流部31およびインバータ部32に対し迂回して交流スイッチ部33に供給するためのバイパス回路34、上記整流部31の出力端に開閉スイッチ35を介して接続された蓄電池モジュール36、商用交流電源3の電圧を直流電圧に変換して蓄電池モジュール36に対する充電用として出力する充電器37、および管理ユニット30を備える。
【0012】
管理ユニット30は、当該電力貯蔵装置2aの各部の状態(シール鉛蓄電池Bの個々の電圧・温度等)および当該電力貯蔵装置2aから負荷への電力供給量などを各種センサを介して検出するとともに、整流部31、インバータ部32、交流スイッチ部33、開閉スイッチ35、充電器37を制御する。
【0013】
インバータ部32は、整流部31の出力電圧または蓄電池モジュール36の電圧をスイッチングにより所定周波数の交流電圧に変換する。交流スイッチ部33は、インバータ部32の出力電圧およびバイパス回路34の電圧のいずれか一方を選択して外部出力する。この外部出力が各フロアの負荷(図示しない)に供給される。開閉スイッチ35は、蓄電池モジュール36の放電が必要な場合にオンされ、それぞれ以外はオフされる。蓄電池モジュール36は、複数の蓄電池たとえばシール鉛蓄電池Bを直列接続して構成され、充電器37の出力電圧(直流電圧)により充電される。
負荷への電力供給が必要な場合、商用交流電源3の電圧が整流部31で直流電圧に変換され、その直流電圧がインバータ部32に供給される。インバータ部32に供給された直流電圧はそこで所定周波数の交流電圧いわゆる高信頼・高品質の交流電力に変換され、交流スイッチ部33を通して外部出力される。この場合、開閉スイッチ35はオフしている。蓄電池モジュール36の充電は、開閉スイッチ35がオフのまま、充電器37が動作することにより行われる。
【0014】
商用交流電源3が停電(瞬時停電を含む)した場合には、整流部31の出力電圧が零となる。整流部31の出力電圧が零になると、開閉スイッチ35がオンされて蓄電池モジュール36が放電し、その放電電圧(直流電圧)がインバータ部32に供給される。インバータ部32に供給された放電電圧はそこで所定周波数の交流電圧いわゆる高信頼・高品質の交流電力に変換され、交流スイッチ部33を通して外部出力される。この外部出力により、商用交流電源3の停電にかかわらず、負荷の運転を継続することができる。
【0015】
整流部31やインバータ部32に故障が発生した場台は、交流スイッチ33が切換わり、商用交流電源3の電圧がバイパス回路34を通してそのまま無瞬断で外部出力される。
【0016】
このような電力貯蔵装置2a,2b,2c,2dが設置された各フロアに、データ伝送用のネットワーク回線たとえばLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)4が敷設されている。そして、LAN4に各無停電電源装置の管理ユニット30が接続されている。
【0017】
建物1内にはさらにサーバ5が設置され、そのサーバ5にもLAN4が接続されている。
【0018】
一方、別の建物11の各フロアにも、電力貯蔵装置12a,12b,12c,12dが設置されている。これら電力貯蔵装置は、電力貯蔵装置2a,2b,2c,2dとまったく同じ構成を有し、設置された各フロアに敷設されたデータ伝送用のネットワーク回線たとえばLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)14に接続されている。
【0019】
建物11内にはさらに通信用端末としてパーソナルコンピュータ15が設置され、このパーソナルコンピュータ15にもLAN14が接続されている。
【0020】
上記サーバ5は、通信回線たとえばインターネット20を介して上記パーソナルコンピュータ15へのアクセスが可能である。このアクセスにより、建物1側のLAN4と建物11側のLAN14とが、サーバ5およびパーソナルコンピュータ15を介して相互に結ばれる。
【0021】
サーバ5は、建物1,11における全ての電力貯蔵装置の電力の貯蔵および放出をLAN4、インターネット20、パーソナルコンピュータ15、およびLAN14を介して統括的に管理する制御部であり、各電力貯蔵装置の貯蔵タイミングを夜間電力時間帯に設定し且つ昼間時間帯を時分割してそれぞれの時間帯に各電力貯蔵装置の放電タイミングを割当てる運転制御手段、各電力貯蔵装置の状態をそれぞれ管理ユニット30を通して監視する監視手段、負荷の電力使用量(負荷への電力供給量)を電力貯蔵装置ごとにそれぞれ管理ユニット30を通して検出する検出手段、この検出手段の検出結果に応じて電力貯蔵装置ごとの電力使用料金を算出する算出手段などを有している。
【0022】
つぎに、上記の構成の作用を図3のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、各電力貯蔵装置の貯蔵タイミングを夜間電力時間帯に設定し且つ昼間時間帯を時分割してそれぞれの時間帯に各電力貯蔵装置の放電タイミングを割当てる運転制御が実行される。
すなわち、図4に示すように、電力料金が安い夜間電力時間帯の22時から8時まで、建物1,11の全ての電力貯蔵装置において、充電器37が動作して蓄電池モジュール36が充電される。
【0023】
電力の使用量が多くなる昼間時間帯の10時から18時は、建物1の電力貯蔵装置2a,2b,2c,2dのうち1台において蓄電池モジュール36の放電による給電が割当ての2時間ずつ順次に実行され、残りの3台の電力貯蔵装置では整流部31およびインバータ部32の動作による常時インバータ給電が行われる。
【0024】
建物11側でも、10時から18時において、電力貯蔵装置12a,12b,12c,12dのうち1台において蓄電池モジュール36の放電による給電が割当ての2時間ずつ順次に実行され、残りの3台の電力貯蔵装置では整流部31およびインバータ部32の動作による常時インバータ給電が行われる。
【0025】
このように、電力貯蔵装置2a,2b,2c,2dをLAN4を介してサーバ5に接続し、各電力貯蔵装置における電力の貯蔵および放出をサーバ5で統括的に管理することにより、各電力貯蔵装置の適切な運用が可能となり、昼間の時間帯において建物1内で必要となる電力をその建物1内で十分に確保することができる。
【0026】
建物11側についても、電力貯蔵装置12a,12b,12c,12dをLAN14、パーソナルコンピュータ15、およびインターネット20を介してサーバ5に接続し、その各電力貯蔵装置における電力の貯蔵および放出をサーバ5で統括的に管理することにより、各電力貯蔵装置の適切な運用が可能となり、昼間の時間帯において建物11内で必要となる電力をその建物11内で十分に確保することができる。
【0027】
しかも、安価な夜間電力を各電力貯蔵装置の蓄電池モジュール36に貯蔵しておき、その各貯蔵電力を電力使用量が多くなる昼間時間帯に順次に放出することにより、図5に示すように、電力使用量を貯蔵電力の放出分だけ低減することができる。この低減に伴い、電力会社との間で締結する契約電力を下げることができる。契約電力が下がれば、電力使用料金の算出の基準となる料金単価も下がるので、電力使用量の低減と合わせて大幅な経費節減を図ることができ、経済性および省エネルギ性の向上が図れる。
【0028】
一方、各電力貯蔵装置から負荷への電力供給量が、それぞれ負荷側の電力使用量として管理ユニット30で検出される。サーバ5では、各管理ユニット30で検出される電力使用量と内部メモリに予め記憶している料金単価とに基づき、負荷側の電力使用料金が電力貯蔵装置ごとに算出される。これら算出結果は、サーバ5でディスプレイ表示される。また、算出結果を記載した料金請求書がサーバ5に付属されているプリンタから定期的に発行される。
【0029】
また、各電力貯蔵装置の蓄電池モジュール36における各シール鉛蓄電池Bの電圧・温度等が管理ユニット30で検出され、これら検出結果がサーバ5に送られる。サーバ5では、各管理ユニット30の検出結果に基づいて各シール鉛蓄電池Bの劣化や寿命が判定される。劣化が激しいシール鉛蓄電池B、あるいは寿命切れのシール鉛蓄電池Bについては、その旨がサーバ5でディスプレイ表示される。この表示を見た係員は、該当するシール鉛蓄電池Bを新しいものに変えるなど、適宜な処置を施すことができる。
【0030】
なお、上記実施形態では、開閉スイッチ35および充電器37を有しその充電器37によって蓄電池モジュール36を充電するタイプ(常時インバータ給電タイプ)の電力貯蔵装置を例に説明したが、開閉スイッチ35および充電器37が無くて整流部31の出力電圧をフロー充電するタイプ(常時商用給電タイプ)の電力貯蔵装置についても、同様に実施可能である。
その他、この発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、要旨を変えない範囲で種々変形実施可能である。
【0031】
【発明の効果】
以上述べたようにこの発明によれば、複数の電力貯蔵装置を適切に運用することができ、これにより必要な電力を必要なときに確実に放出でき、しかも全体の電力使用量を低減できて経済性および省エネルギ性の向上が図れる分散型電力貯蔵システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の全体的な構成を示す図。
【図2】一実施形態の電力貯蔵装置の具体的な構成を示す図。
【図3】一実施形態の作用を説明するためのフローチャート。
【図4】一実施形態の各電力貯蔵装置の時間経過に伴う動作を説明するための図。
【図5】一実施形態の電力使用量を従来と対比して示す図。
【符号の説明】
1…建物、2a,2b,2c,2d…電力貯蔵装置、3…商用交流電源、4…LAN、5…サーバ、11…建物、12a,12b,12c,12d…電力貯蔵装置、14…LAN、15…パーソナルコンピュータ、20…インターネット、30…管理ユニット、31…整流部、32…インバータ部、33…交流スイッチ部、34…バイパス回路、35…開閉スイッチ、36…蓄電池モジュール、37…充電器
Claims (5)
- 電力が貯蔵される蓄電池モジュールを有する複数の電力貯蔵装置と、
前記各電力貯蔵装置の電力の貯蔵および放出を統括的に管理する制御部と、
負荷の電力使用量を前記電力貯蔵装置ごとに検出する検出手段と、を備え、
前記制御部は、電力料金が安い夜間電力時間帯において各電力貯蔵装置の蓄電池モジュールに電力を貯蔵し、電力の使用量が多くなる昼間時間帯において各電力貯蔵装置の蓄電池モジュールを所定時間ずつ順次に放電させる運転制御手段と、前記検出手段で検出される電力使用量と予め記憶している料金単価とに基づいて負荷側の電力使用料金を電力貯蔵装置ごとに算出する手段と、これら算出結果を報知する手段とを有する、
ことを特徴とする分散型電力貯蔵システム。 - 請求項1に記載の分散型電力貯蔵システムにおいて、
前記各電力貯蔵装置および前記制御部の相互間に接続されるデータ伝送用のネットワーク回線、をさらに備えたことを特徴とする分散型電力貯蔵システム。 - 請求項1に記載の分散型電力貯蔵システムにおいて、
前記各電力貯蔵装置の蓄電池モジュールにおける各蓄電池の電圧・温度を検出する検出手段を備え、
前記制御部は、さらに、前記検出手段で検出される電圧・温度に基づいて各蓄電池の劣化または寿命を判定する手段と、この判定結果を報知する手段とを有する、
ことを特徴とする分散型電力貯蔵システム。 - 請求項1に記載の分散型電力貯蔵システムにおいて、
前記各電力貯蔵装置は、建物の複数箇所に設置されていることを特徴とする分散型電力貯蔵システム。 - 請求項1に記載の分散型電力貯蔵システムにおいて、
前記各電力貯蔵装置は、複数の建物のそれぞれ複数箇所に設置されていることを特徴とする分散型電力貯蔵システム。
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