JP3927790B2 - フューエルインレットの製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の燃料タンクにガソリン等の燃料を注入するためのフューエルインレットを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車の燃料タンクに燃料を注入する際には、図5に示すように、フューエルインレット101が用いられる。フューエルインレット101の燃料タンクT側の端部には、ゴムホース等を用いた接続管Jが取り付けられており、また、フューエルインレット101には、給油口101aの近傍に燃料タンクTに連通するブリーザチューブ103が設けられている。そして、給油時には、フューエルインレット101の給油口101aから図示しない供給ノズルを挿入し、フューエルインレット101及び接続管Jを介して燃料タンクTに燃料が供給される。また、給油口101aには図示しないキャップが装着されて、閉塞される。
【0003】
フューエルインレット101は、図7に示すように、パイプ等をプレス加工あるいはスピニング加工等の塑性加工により成形して形成されており、給油口101a側にリテーナ105を挿入して固定し形成していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
フューエルインレット101をステンレス製として、防錆性能の向上を図ることが考えられているが、こうした従来の方法では、耐衝突性を満足させるために、強度が最も必要な箇所の肉厚(例えば、0.8mm)に合わせて、フューエルインレット101の全体の肉厚を決定していたので、重量の低減を図ることが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、強度を低下させることなく軽量化を図ったフューエルインレットを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を達成すべく、本発明は課題を解決するため次の方法を取った。即ち、
燃料を燃料タンクに導くと共に、先端開口にキャップが装着されるフューエルインレットを製造する方法において、
パイプの一端側に大径部を設け、筒状の小径側折返し型に前記パイプの小径部を挿入すると共に、円弧状の溝が形成された大径側折返し型の前記溝に前記大径部の先端を接触させて、前記大径部の端に軸方向荷重を付与し筒状の前記小径側折返し型の外側に折り返して折返し部を形成し、次に、前記小径部を拡径して前記折返し部と前記小径部の外周とを密着させて二重管部を形成することを特徴とするフューエルインレットの製造方法がそれである。
【0007】
前記パイプを拡径して、前記小径部から前記パイプの一端側に向かって拡径したテーパ部と、該テーパ部に連接した前記大径部とを形成してもよい。また、前記折返し部は、前記大径部を前記テーパ部まで折り返して形成してもよい。あるいは、前記パイプの両端側に前記二重管部を形成してもよい。更に、前記二重管部を形成後に前記キャップを装着可能な係合部を前記二重管部に形成してもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、1はフューエルインレットで、フューエルインレット1は、インレットパイプ2とブリーザチューブ4とを備えている。インレットパイプ2は、燃料を燃料タンクに導くための円筒パイプであり、インレットパイプ2の先端を拡径して注入部6が形成されている。インレットパイプ2とブリーザチューブ4とは、素材にステンレス製の薄肉(例えば、0.5mm)のパイプが用いられている。また、注入部6には、図示しないキャップと螺合するための螺旋係合部12が設けられている。ブリーザチューブ4の先端は、インレットパイプ2に溶接されて固定されている。
【0009】
フューエルインレット1を自動車の燃料タンクに取り付ければ、図示しない供給ノズルを注入部6に挿入しガソリンを注入する際、燃料タンク内の空気がブリーザチューブ4を介して排出されるため、ガソリンの供給をスムーズに行うことができ、また燃料タンク内のガソリンへの気泡の混入が防止される。
【0010】
注入部6には、更に、リテーナ10が挿入されて、固定されている。インレットパイプ2の燃料タンクT側には、ゴムホース等を挿着可能なスプール部14が設けられている。リテーナ10は、パイプを加工して形成したものであり、インレットパイプ2の螺旋係合部12よりも奥側の内周面にロー付け等により固着されている。リテーナ10の燃料タンクT側の開口は、縮径されてインタフィアランス部10aを形成している。
【0011】
インタフィアランス部10aは、無鉛ガソリン専用車の場合に採用されるものであり、無鉛ガソリン用の燃料供給ノズルの挿入は許容するが、有鉛ガソリン用の燃料供給ノズルの挿入は禁止するものである。リテーナ10は、無鉛ガソリン用の燃料供給ノズルが挿入されたときにそのノズルを保持する役割も果たす。
【0012】
前述した注入部6は、図4に示すようにして形成される。まず、図4(イ)に示すように、パイプの一端側を拡径して大径部21を形成する。大径部21は小径部22との間にテーパ部24が形成されている。大径部21と小径部22との直径差は、後述する折返し部26形成の際に、軸方向荷重を付与したとき、軸方向荷重により座屈しないように、径方向分力を生じさせることができればよく、実験等により決定すればよい。テーパ部24も同様に、テーパ部24の角度や長さは座屈が生じないように実験等により決定すればよく、直線的なテーパ部24に限らず、滑らかな曲線状の接続部であってもよい。
【0013】
また、パイプを拡径して大径部21とテーパ部24とを形成する場合に限らず、パイプを縮径して同様の小径部22とテーパ部24とを形成するようにしてもよい。スピニング加工やプレス加工等の種々の加工方法により大径部21、テーパ部24や小径部22を形成することができる。
【0014】
次に、図4(ロ)に示すように、大径部21を径方向外側に折り返して、折返し部26を形成する。折返し部26の形成には、一対の折返し型28,30を用いる。大径側折返し型28は大径部21の軸方向に移動するもので、大径側折返し型28の大径部21側の端には、円弧状の溝28aが形成されている。小径側折返し型30には、小径部22が挿入される貫通孔32が形成されると共に、折返し部26の先端が当接する段部34が形成されている。また、折返し部26の内径とほぼ同じ外径を有する筒部36を備えている。
【0015】
大径部21の先端を、この溝28aに接触させ、大径側折返し型28を移動して、大径部21に軸方向圧縮荷重を付与すると、大径部21が径方向外側に180度折り返される。図4(ロ)に示すように、大径側折返し型28をテーパ部24まで移動させて、大径部21を折り返す。大径部21に大きな軸方向圧縮力を付与しても、テーパ部24により、大径部21と小径部22とではその直径が異なり、軸方向圧縮力が径方向に分散され、大径部21、小径部22が座屈するのを防止する。
【0016】
続いて、図4(ハ)に示すように、小径部22の内側から径方向外側に向かって拡径して、折返し部26を小径部22の外周に密着させる。
【0017】
こうして、二重管部38を形成した後、二重管部38に図示しないキャップが密着する座部40や、螺旋係合部12を形成する。また、図3に示すように、スプール部14を前述したように二重管部38となるように形成してもよい。
フューエルインレット1を図示しない車体に取り付ける際には、注入部6を介して取り付けられるので、注入部6には強度が必要である。この注入部6を二重管部38として形成することにより、必要な強度が得られ、注入部6以外は、素材のパイプの肉厚のままであるので、軽量化を図ることができる。また、スプール部14も二重管部38とすることにより、必要な強度を容易に得ることができ、同時に軽量化を図ることができる。
【0018】
大径パイプに別の小径パイプを挿入して密着させ、二重管構造とした場合、螺旋係合部12や座部40を成形する際に、両パイプの間で滑りが生じて成形し難いという問題がある。本実施形態では、二重管部38は、折り返して形成しているので、小径部22と折返し部26とは一体である。このため、この二重管部38を更に成形する場合でも、容易に成形できる。
【0019】
一方、図5に示すように、リテーナを一体としてフューエルインレット51を形成してもよい。このフューエルインレット51では、前述したリテーナ10をインレットパイプ52に一体に形成している。この場合には、パイプにリテーナ部54を形成した後、前述したと同様に、大径部、テーパ部を形成して、大径部を折り返して折返し部を形成し、更に、折返し部を密着させて二重管部56を形成すればよい。その際、リテーナ部54との間に空間58を設けるようにしてもよい。
【0020】
以上本発明はこの様な実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【0021】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明のフューエルインレットの製造方法によると、必要な強度を得ながら軽量化できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としてのフューエルインレットの製造方法により製造したフューエルインレットの要部を断面で示す正面図である。
【図2】本実施形態のフューエルインレットの注入部の拡大断面図である。
【図3】本実施形態のフューエルインレットのスプール部の拡大断面図である。
【図4】本実施形態のフューエルインレットの製造方法の工程順を示す説明図である。
【図5】他の実施形態としてのフューエルインレットの注入部の拡大断面図である。
【図6】従来のフューエルインレットと燃料タンクとの接続を示す斜視図である。
【図7】従来のフューエルインレットの注入部の拡大断面図である。
【符号の説明】
1,51,101…フューエルインレット
2,52…インレットパイプ
4,103…ブリーザチューブ
6…注入部 10,105…リテーナ
10a…インタフィアランス部
12…螺旋係合部 14…スプール部
21…大径部 22…小径部
24…テーパ部 26…折返し部
28…大径側折返し型 30…小径側折返し型
38,56…二重管部 40…座部
54…リテーナ部 58…空間
Claims (5)
- 燃料を燃料タンクに導くと共に、先端開口にキャップが装着されるフューエルインレットを製造する方法において、
パイプの一端側に大径部を設け、筒状の小径側折返し型に前記パイプの小径部を挿入すると共に、円弧状の溝が形成された大径側折返し型の前記溝に前記大径部の先端を接触させて、前記大径部の端に軸方向荷重を付与し筒状の前記小径側折返し型の外側に折り返して折返し部を形成し、次に、前記小径部を拡径して前記折返し部と前記小径部の外周とを密着させて二重管部を形成することを特徴とするフューエルインレットの製造方法。 - 前記パイプを拡径して、前記小径部から前記パイプの一端側に向かって拡径したテーパ部と、該テーパ部に連接した前記大径部とを形成することを特徴とする請求項1記載のフューエルインレットの製造方法。
- 前記折返し部は、前記大径部を前記テーパ部まで折り返して形成することを特徴とする請求項2記載のフューエルインレットの製造方法。
- 前記パイプの両端側に前記二重管部を形成することを特徴とする請求項1ないし請求項3記載のフューエルインレットの製造方法。
- 前記二重管部を形成後に前記キャップを装着可能な係合部を前記二重管部に形成することを特徴とする請求項1ないし請求項4記載のフューエルインレットの製造方法。
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