JP3927680B2 - 偏波ダイバーシチアンテナ装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、簡易型携帯電話システムなどの移動通信に使用される基地局アンテナ装置に関し、特に、地下街などの天井に設置される平面型で水平面内無指向性の偏波ダイバーシチアンテナ装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、この種のアンテナ装置については、近年、前記携帯電話システムの利用者の増加と、移動通信サービスエリアの拡大に伴い、特に、地下街などでも通信できるようなアンテナ装置の開発が、待望されていた。
【０００３】
従来、地下街などに使用するアンテナ装置としては、使用周波数の１／４波長モノポールアンテナなどのような水平面内無指向性を有し、かつアンテナの高さが低いものが考えられていた。
しかし、ダイバーシチアンテナ装置を使用し、ダイバーシチ効果を得る方法として、２つ以上のアンテナ素子を、垂直方向に配置する垂直ダイバーシチアンテナ装置と、水平方向に配置する水平ダイバーシチアンテナ装置とがあるが、
地下街などの限られた空間では、水平ダイバーシチアンテナ装置を用いざるを得なかった。
なお、前記携帯電話システムに使用される移動通信には、１．９ＧＨｚ帯の周波数が割り当てられている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記水平ダイバーシチアンテナ装置Ａを、地下街通路、特に、２つの通路の交差点上に設置する場合、ダイバーシチ効果を得るために、図８に示すように、２つのアンテナ素子をその天井に設置するのであるが、そのとき、一方向の通路はダイバーシチ効果が得られるが、他方向の通路はダイバーシチ効果が期待できないという問題点があった。
【０００５】
また、前記水平ダイバーシチアンテナ装置では、どうしてもその外形が、従来のアンテナ装置、例えば平面型垂直偏波アンテナ装置よりも大きくなり、設置場所が限定されるとともに、設置後の景観などに調和しないという問題点があった。
【０００６】
本発明はかかる点に鑑みなされたもので、その目的は前記問題点を解消し、全周方向においてダイバーシチ効果が得られる偏波ダイバーシチアンテナ装置を提供することにある。
【０００７】
本発明の他の目的は、設置するアンテナ装置が１個で、かつ従来のアンテナ装置と同等の大きさに限定し得る偏波ダイバーシチアンテナ装置を提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための本発明の構成は、金属導体からなる平面状の地板と、誘電体基板に形成された複数個のダイポールからなる第１の放射素子と、金属導体からなる平面状の第２の放射素子と、前記第１、第２の放射素子に放射電力を供給する同軸給電線とからなる偏波ダイバーシチアンテナ装置であり、その詳細な構成は、次のとおりである。
【０００９】
すなわち、前記第１の放射素子は、使用周波数、例えば、１．９ＧＨｚに共振して水平偏波を放射する水平偏波アンテナ素子として動作させ、前記第２の放射素子は、前記使用周波数に共振して垂直偏波を放射する垂直偏波アンテナ素子として動作させ、それぞれ前記地板に対し、絶縁部材を介してほぼ平行に、かつ垂直方向に配設させるとともに、前記第１、第２の放射素子と前記地板は、円形状に形成されるとともに、該第１の放射素子を形成する前記複数個のダイポールは、円形状の前記誘電体基板の外周縁に沿って、ほぼ同一ピッチ角で形成され、前記地板との間隔が前記周波数の約０．１波長であり、前記第２の放射素子は、前記第１の放射素子と前記地板との間に配設され、該第１の放射素子との間隔が前記周波数の約０．０６波長にする。
【００１１】
さらに、前記第１、第２の放射素子を、前記地板に固着された合成樹脂材からなる円筒形保護カバー内に装着している。
【００１２】
本発明は以上のように、水平偏波および垂直偏波の、それぞれの無指向性アンテナ素子を、垂直方向に組み合わせて構成されるので、全周方向にダイバーシチ効果が得られるとともに、設置するアンテナ装置が１個で済み、かつ従来のアンテナ装置とほぼ同等の大きさに限定することができる。
従って、簡易型携帯電話システム用のアンテナ装置として、例えば地下街の天井などに容易に取り付けることができる。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。
本発明の偏波ダイバーシチアンテナ装置は、２つの異なる偏波の平面型アンテナ素子、すなわち垂直偏波用と水平偏波用とのそれぞれの平面型アンテナ素子を、地板に対して、平行に、かつ垂直方向に配設して、それぞれの平面型アンテナ素子に、同軸給電線を介して放射電力を供給するものである。
【００１４】
図１ないし図３は、本発明の偏波ダイバーシチアンテナ装置の一実施の形態を示す図で、図１は、該アンテナ装置の保護カバーの一部を破断した斜視図、図２は、その水平偏波アンテナ素子の要部平面図、図３は、図１のアンテナ素子の断面配置図である。
【００１５】
図１ないし図３において、この偏波ダイバーシチアンテナ装置１は、金属導体からなる円形平面状の地板２と、円形誘電体基板に形成された複数個（本実施に形態では、３個）のストリップダイポールからなる第１の放射素子３と、金属導体からなる円形平面状の第２の放射素子４と、前記第１、第２の放射素子１，２に放射電力をそれぞれ供給する同軸給電線５，６とから構成されている。なお、７は、前記地板３に固着され、前記前記第１、第２の放射素子１，２を、内部に装着する合成樹脂材、例えばＡＢＳ樹脂材からなる円筒形の保護カバー、５ａ，６ａは、前記同軸給電線５，６端にそれぞれ接続されるコネクタである。
【００１６】
前記地板２は、その直径が、使用周波数ｆ、例えば１．９ＧＨｚの約０．６波長の円板である。
前記第１の放射素子３は、前記地板２に対し、絶縁部材８，９を介してほぼ平行に、かつ垂直方向に、間隔が前記周波数ｆの約０．１波長で配設されている。該第１の放射素子３は、円形状の誘電体基板１１の表裏面に、ストリップダイポール１２として、それを構成するダイポール素子１２ａ，１２ｂが所定の周波数ｆに共振するようにそれぞれ形成されている。そして、その複数個（ここでは、３個）の該ストリップダイポール１２を構成する、それぞれのダイポール素子１２ａ，１２ｂが、該誘電体基板１１の外周縁に沿って、ほぼ同一ピッチ角（中心角で、１２０度）内で形成されている。
【００１７】
前記複数個のストリップダイポール１２のそれぞれのダイポール素子１２ａ，１２ｂは、前記誘電体基板１１の表裏面の中心部に形成された共通の接続点１２ｃ，１２ｄから、それぞれ半径方向外方に形成される給電線路素子１２ｅ，１２ｆに対して、直角に（外周縁に沿って）互いに反対方向に、すなわち、交差給電構造になるように、該ストリップダイポール１２の中心軸（給電線路素子１２ｅ，１２ｆの中心）を中心に、丁度１８０度回転した位置に形成されている。そして、該ダイポール素子１２ａ，１２ｂの中心線上における両端における、円弧に沿った距離を、前記使用周波数ｆの波長λの約１／２にしている。
【００１８】
また、前記第２の放射素子４は、前記地板１に対し、絶縁部材９を介してほぼ平行に、かつ垂直方向に、前記第１の放射素子３と前記地板２との間に配設され、該第１の放射素子３との間隔が前記周波数ｆの約０．０６波長で配設されている。前記第２の放射素子４は、その直径が、前記使用周波数ｆに共振する円板である。
【００１９】
前記同軸給電線５は、前記地板２と前記第２の放射素子３とを貫通して、前記第１の放射素子３の誘電体基板１１の中心部に形成された共通の前記接続点１２ｃ，１２ｄに、前記コネクタ５ａを介して、前記使用周波数ｆ（例えば、１．９ＧＨｚ）の電力を給電するように配設され、該電力は、前記接続点１２ｃ，１２ｄおよび前記給電線路素子１２ｅ，１２ｆを経て、前記ダイポール素子１２ａ，１２ｂに給電されている。
また、前記同軸給電線６は、前記地板２の中心部を貫通して、前記第２の放射素子３のほぼ中心部に設けられた接続点４ａと前記地板２の接続点２ａとの間に、前記コネクタ６ａを介して、前記使用周波数ｆの電力を給電するように配設されている。そして、該第２の放射素子４については、該放射素子４と前記地板２との間隔を調整して、整合をとることができる。
【００２０】
この場合、前記第１の放射素子３は、前記使用周波数ｆに共振して水平偏波を放射する水平偏波アンテナ素子として、動作するとともに、前記第２の放射素子４は、前記使用周波数ｆに共振して垂直偏波を放射する垂直偏波アンテナ素子として、動作する
【００２１】
図４（ａ）および図４（ｂ）は、周波数が１．９ＧＨｚ帯で、前記第１の放射素子３の水平偏波における指向性を示す図で、図４（ａ）は水平偏波水平面内指向特性、図４（ｂ）は水平偏波垂直面内指向特性を、それぞれ示す。
また、図５（ａ）および図５（ｂ）は、周波数が１．９ＧＨｚ帯で、前記第２の放射素子４の垂直偏波における指向性を示す図で、図５（ａ）は垂直偏波水平面内指向特性、図５（ｂ）は垂直偏波垂直面内指向特性を、それぞれ示す。
【００２２】
このように、前記第１の放射素子３の前記誘電体基板１１の外周縁に沿って複数個のストリップダイポール１２，１２を配設して、水平偏波における水平面内に無指向性を得るとともに、該第１の放射素子３を、前記第２の放射素子４の垂直偏波アンテナ素子と、垂直方向に組み合わせることにより、従来のアンテナ装置とほぼ同等の大きさで、ダイバーシチ構成を達成することができる。
【００２３】
図６は、前記アンテナ装置１について、該アンテナ装置１の中心からの距離（ｍ）に対応する、垂直偏波および水平偏波の受信電界強度（μＶ／ｍを、ｄＢにて表す）を示す図で、そのダイバーシチ効果は、垂直偏波と水平偏波でその相互関係がとれており、その効果があることを示している。
すなわち、図６によれば、全周方向において、水平偏波素子と垂直偏波素子で同時に受信するとき、ダイバーシチ効果を得ることができる
【００２４】
このため、図７に示すように、前記アンテナ装置１を、地下街、特にその交差点の天井などに取り付けるれば、交差する複数の各通路方向において、良好な感度が得ることができる。
【００２５】
なお、本発明の技術は前記実施の形態における技術に限定されるものではなく、同様な機能を果たす他の態様の手段によってもよく、また本発明の技術は前記構成の範囲内において種々の変更、付加が可能である。
【００２６】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明の偏波ダイバーシチアンテナ装置によれば、第１の放射素子は、使用周波数に共振して水平偏波を放射する水平偏波アンテナ素子とし、第２の放射素子は、前記使用周波数に共振して垂直偏波を放射する垂直偏波アンテナ素子として、それぞれ地板に対し、絶縁部材を介してほぼ平行に、かつ垂直方向に配設されるので、全周方向において、ダイバーシチ効果を得ることができる。
【００２７】
また、前記偏波ダイバーシチアンテナ装置によれば、設置するアンテナ装置が１個で済み、かつ従来のアンテナ装置とほぼ同等の大きさに限定することができる。
従って、簡易型携帯電話システム用のアンテナ装置として、例えば地下街、特にその交差点の天井などに、容易に取り付けることができるとともに、交差する各通路方向で良好な感度で通話することができ、地下街でのサービスエリアを広げることができる。
【００２８】
さらに、前記偏波ダイバーシチアンテナ装置によれば、簡易型携帯電話システムに限らず、携帯電話などの不感地対策用アンテナ装置としての応用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の偏波ダイバーシチアンテナ装置の一実施の形態を示す図で、該アンテナ装置のカバーの一部を破断した斜視図である。
【図２】図１の水平偏波アンテナ素子の要部平面図である。
【図３】図１のアンテナ素子の断面配置図である。
【図４】周波数が１．９ＧＨｚ帯における第１の放射素子の水平偏波における指向性を示す図で、図４（ａ）は水平偏波水平面内指向特性図、図４（ｂ）は水平偏波垂直面内指向特性図である。
【図５】周波数が１．９ＧＨｚ帯における第２の放射素子の垂直偏波における指向性を示す図で、図５（ａ）は垂直偏波水平面内指向特性図、図５（ｂ）は垂直偏波垂直面内指向特性図である。
【図６】本実施の形態における偏波ダイバーシチアンテナ装置の中心からの距離（ｍ）に対応する、垂直偏波および水平偏波の受信電界強度（ｄＢ）を示す図である。
【図７】本実施の形態における偏波ダイバーシチアンテナ装置を、地下街通路の交差点上に設置したときのダイバーシチ効果を示す図である。
【図８】従来の水平ダイバーシチアンテナ装置Ａを、地下街通路の交差点上に設置したときのダイバーシチ効果を示す図である。
【符号の説明】
１ 偏波ダイバーシチアンテナ装置
２ 地板
３ 第１の放射素子
４ 第２の放射素子
５，６ 同軸給電線
７ 保護カバー
８，９ 絶縁部材
１１ 誘電体基板
１２ ストリップダイポール
１２ａ，１２ｂ ダイポール素子
１２ｃ，１２ｄ 接続点
１２ｅ，１２ｆ 給電線路素子
【発明の属する技術分野】
本発明は、簡易型携帯電話システムなどの移動通信に使用される基地局アンテナ装置に関し、特に、地下街などの天井に設置される平面型で水平面内無指向性の偏波ダイバーシチアンテナ装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、この種のアンテナ装置については、近年、前記携帯電話システムの利用者の増加と、移動通信サービスエリアの拡大に伴い、特に、地下街などでも通信できるようなアンテナ装置の開発が、待望されていた。
【０００３】
従来、地下街などに使用するアンテナ装置としては、使用周波数の１／４波長モノポールアンテナなどのような水平面内無指向性を有し、かつアンテナの高さが低いものが考えられていた。
しかし、ダイバーシチアンテナ装置を使用し、ダイバーシチ効果を得る方法として、２つ以上のアンテナ素子を、垂直方向に配置する垂直ダイバーシチアンテナ装置と、水平方向に配置する水平ダイバーシチアンテナ装置とがあるが、
地下街などの限られた空間では、水平ダイバーシチアンテナ装置を用いざるを得なかった。
なお、前記携帯電話システムに使用される移動通信には、１．９ＧＨｚ帯の周波数が割り当てられている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記水平ダイバーシチアンテナ装置Ａを、地下街通路、特に、２つの通路の交差点上に設置する場合、ダイバーシチ効果を得るために、図８に示すように、２つのアンテナ素子をその天井に設置するのであるが、そのとき、一方向の通路はダイバーシチ効果が得られるが、他方向の通路はダイバーシチ効果が期待できないという問題点があった。
【０００５】
また、前記水平ダイバーシチアンテナ装置では、どうしてもその外形が、従来のアンテナ装置、例えば平面型垂直偏波アンテナ装置よりも大きくなり、設置場所が限定されるとともに、設置後の景観などに調和しないという問題点があった。
【０００６】
本発明はかかる点に鑑みなされたもので、その目的は前記問題点を解消し、全周方向においてダイバーシチ効果が得られる偏波ダイバーシチアンテナ装置を提供することにある。
【０００７】
本発明の他の目的は、設置するアンテナ装置が１個で、かつ従来のアンテナ装置と同等の大きさに限定し得る偏波ダイバーシチアンテナ装置を提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための本発明の構成は、金属導体からなる平面状の地板と、誘電体基板に形成された複数個のダイポールからなる第１の放射素子と、金属導体からなる平面状の第２の放射素子と、前記第１、第２の放射素子に放射電力を供給する同軸給電線とからなる偏波ダイバーシチアンテナ装置であり、その詳細な構成は、次のとおりである。
【０００９】
すなわち、前記第１の放射素子は、使用周波数、例えば、１．９ＧＨｚに共振して水平偏波を放射する水平偏波アンテナ素子として動作させ、前記第２の放射素子は、前記使用周波数に共振して垂直偏波を放射する垂直偏波アンテナ素子として動作させ、それぞれ前記地板に対し、絶縁部材を介してほぼ平行に、かつ垂直方向に配設させるとともに、前記第１、第２の放射素子と前記地板は、円形状に形成されるとともに、該第１の放射素子を形成する前記複数個のダイポールは、円形状の前記誘電体基板の外周縁に沿って、ほぼ同一ピッチ角で形成され、前記地板との間隔が前記周波数の約０．１波長であり、前記第２の放射素子は、前記第１の放射素子と前記地板との間に配設され、該第１の放射素子との間隔が前記周波数の約０．０６波長にする。
【００１１】
さらに、前記第１、第２の放射素子を、前記地板に固着された合成樹脂材からなる円筒形保護カバー内に装着している。
【００１２】
本発明は以上のように、水平偏波および垂直偏波の、それぞれの無指向性アンテナ素子を、垂直方向に組み合わせて構成されるので、全周方向にダイバーシチ効果が得られるとともに、設置するアンテナ装置が１個で済み、かつ従来のアンテナ装置とほぼ同等の大きさに限定することができる。
従って、簡易型携帯電話システム用のアンテナ装置として、例えば地下街の天井などに容易に取り付けることができる。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。
本発明の偏波ダイバーシチアンテナ装置は、２つの異なる偏波の平面型アンテナ素子、すなわち垂直偏波用と水平偏波用とのそれぞれの平面型アンテナ素子を、地板に対して、平行に、かつ垂直方向に配設して、それぞれの平面型アンテナ素子に、同軸給電線を介して放射電力を供給するものである。
【００１４】
図１ないし図３は、本発明の偏波ダイバーシチアンテナ装置の一実施の形態を示す図で、図１は、該アンテナ装置の保護カバーの一部を破断した斜視図、図２は、その水平偏波アンテナ素子の要部平面図、図３は、図１のアンテナ素子の断面配置図である。
【００１５】
図１ないし図３において、この偏波ダイバーシチアンテナ装置１は、金属導体からなる円形平面状の地板２と、円形誘電体基板に形成された複数個（本実施に形態では、３個）のストリップダイポールからなる第１の放射素子３と、金属導体からなる円形平面状の第２の放射素子４と、前記第１、第２の放射素子１，２に放射電力をそれぞれ供給する同軸給電線５，６とから構成されている。なお、７は、前記地板３に固着され、前記前記第１、第２の放射素子１，２を、内部に装着する合成樹脂材、例えばＡＢＳ樹脂材からなる円筒形の保護カバー、５ａ，６ａは、前記同軸給電線５，６端にそれぞれ接続されるコネクタである。
【００１６】
前記地板２は、その直径が、使用周波数ｆ、例えば１．９ＧＨｚの約０．６波長の円板である。
前記第１の放射素子３は、前記地板２に対し、絶縁部材８，９を介してほぼ平行に、かつ垂直方向に、間隔が前記周波数ｆの約０．１波長で配設されている。該第１の放射素子３は、円形状の誘電体基板１１の表裏面に、ストリップダイポール１２として、それを構成するダイポール素子１２ａ，１２ｂが所定の周波数ｆに共振するようにそれぞれ形成されている。そして、その複数個（ここでは、３個）の該ストリップダイポール１２を構成する、それぞれのダイポール素子１２ａ，１２ｂが、該誘電体基板１１の外周縁に沿って、ほぼ同一ピッチ角（中心角で、１２０度）内で形成されている。
【００１７】
前記複数個のストリップダイポール１２のそれぞれのダイポール素子１２ａ，１２ｂは、前記誘電体基板１１の表裏面の中心部に形成された共通の接続点１２ｃ，１２ｄから、それぞれ半径方向外方に形成される給電線路素子１２ｅ，１２ｆに対して、直角に（外周縁に沿って）互いに反対方向に、すなわち、交差給電構造になるように、該ストリップダイポール１２の中心軸（給電線路素子１２ｅ，１２ｆの中心）を中心に、丁度１８０度回転した位置に形成されている。そして、該ダイポール素子１２ａ，１２ｂの中心線上における両端における、円弧に沿った距離を、前記使用周波数ｆの波長λの約１／２にしている。
【００１８】
また、前記第２の放射素子４は、前記地板１に対し、絶縁部材９を介してほぼ平行に、かつ垂直方向に、前記第１の放射素子３と前記地板２との間に配設され、該第１の放射素子３との間隔が前記周波数ｆの約０．０６波長で配設されている。前記第２の放射素子４は、その直径が、前記使用周波数ｆに共振する円板である。
【００１９】
前記同軸給電線５は、前記地板２と前記第２の放射素子３とを貫通して、前記第１の放射素子３の誘電体基板１１の中心部に形成された共通の前記接続点１２ｃ，１２ｄに、前記コネクタ５ａを介して、前記使用周波数ｆ（例えば、１．９ＧＨｚ）の電力を給電するように配設され、該電力は、前記接続点１２ｃ，１２ｄおよび前記給電線路素子１２ｅ，１２ｆを経て、前記ダイポール素子１２ａ，１２ｂに給電されている。
また、前記同軸給電線６は、前記地板２の中心部を貫通して、前記第２の放射素子３のほぼ中心部に設けられた接続点４ａと前記地板２の接続点２ａとの間に、前記コネクタ６ａを介して、前記使用周波数ｆの電力を給電するように配設されている。そして、該第２の放射素子４については、該放射素子４と前記地板２との間隔を調整して、整合をとることができる。
【００２０】
この場合、前記第１の放射素子３は、前記使用周波数ｆに共振して水平偏波を放射する水平偏波アンテナ素子として、動作するとともに、前記第２の放射素子４は、前記使用周波数ｆに共振して垂直偏波を放射する垂直偏波アンテナ素子として、動作する
【００２１】
図４（ａ）および図４（ｂ）は、周波数が１．９ＧＨｚ帯で、前記第１の放射素子３の水平偏波における指向性を示す図で、図４（ａ）は水平偏波水平面内指向特性、図４（ｂ）は水平偏波垂直面内指向特性を、それぞれ示す。
また、図５（ａ）および図５（ｂ）は、周波数が１．９ＧＨｚ帯で、前記第２の放射素子４の垂直偏波における指向性を示す図で、図５（ａ）は垂直偏波水平面内指向特性、図５（ｂ）は垂直偏波垂直面内指向特性を、それぞれ示す。
【００２２】
このように、前記第１の放射素子３の前記誘電体基板１１の外周縁に沿って複数個のストリップダイポール１２，１２を配設して、水平偏波における水平面内に無指向性を得るとともに、該第１の放射素子３を、前記第２の放射素子４の垂直偏波アンテナ素子と、垂直方向に組み合わせることにより、従来のアンテナ装置とほぼ同等の大きさで、ダイバーシチ構成を達成することができる。
【００２３】
図６は、前記アンテナ装置１について、該アンテナ装置１の中心からの距離（ｍ）に対応する、垂直偏波および水平偏波の受信電界強度（μＶ／ｍを、ｄＢにて表す）を示す図で、そのダイバーシチ効果は、垂直偏波と水平偏波でその相互関係がとれており、その効果があることを示している。
すなわち、図６によれば、全周方向において、水平偏波素子と垂直偏波素子で同時に受信するとき、ダイバーシチ効果を得ることができる
【００２４】
このため、図７に示すように、前記アンテナ装置１を、地下街、特にその交差点の天井などに取り付けるれば、交差する複数の各通路方向において、良好な感度が得ることができる。
【００２５】
なお、本発明の技術は前記実施の形態における技術に限定されるものではなく、同様な機能を果たす他の態様の手段によってもよく、また本発明の技術は前記構成の範囲内において種々の変更、付加が可能である。
【００２６】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明の偏波ダイバーシチアンテナ装置によれば、第１の放射素子は、使用周波数に共振して水平偏波を放射する水平偏波アンテナ素子とし、第２の放射素子は、前記使用周波数に共振して垂直偏波を放射する垂直偏波アンテナ素子として、それぞれ地板に対し、絶縁部材を介してほぼ平行に、かつ垂直方向に配設されるので、全周方向において、ダイバーシチ効果を得ることができる。
【００２７】
また、前記偏波ダイバーシチアンテナ装置によれば、設置するアンテナ装置が１個で済み、かつ従来のアンテナ装置とほぼ同等の大きさに限定することができる。
従って、簡易型携帯電話システム用のアンテナ装置として、例えば地下街、特にその交差点の天井などに、容易に取り付けることができるとともに、交差する各通路方向で良好な感度で通話することができ、地下街でのサービスエリアを広げることができる。
【００２８】
さらに、前記偏波ダイバーシチアンテナ装置によれば、簡易型携帯電話システムに限らず、携帯電話などの不感地対策用アンテナ装置としての応用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の偏波ダイバーシチアンテナ装置の一実施の形態を示す図で、該アンテナ装置のカバーの一部を破断した斜視図である。
【図２】図１の水平偏波アンテナ素子の要部平面図である。
【図３】図１のアンテナ素子の断面配置図である。
【図４】周波数が１．９ＧＨｚ帯における第１の放射素子の水平偏波における指向性を示す図で、図４（ａ）は水平偏波水平面内指向特性図、図４（ｂ）は水平偏波垂直面内指向特性図である。
【図５】周波数が１．９ＧＨｚ帯における第２の放射素子の垂直偏波における指向性を示す図で、図５（ａ）は垂直偏波水平面内指向特性図、図５（ｂ）は垂直偏波垂直面内指向特性図である。
【図６】本実施の形態における偏波ダイバーシチアンテナ装置の中心からの距離（ｍ）に対応する、垂直偏波および水平偏波の受信電界強度（ｄＢ）を示す図である。
【図７】本実施の形態における偏波ダイバーシチアンテナ装置を、地下街通路の交差点上に設置したときのダイバーシチ効果を示す図である。
【図８】従来の水平ダイバーシチアンテナ装置Ａを、地下街通路の交差点上に設置したときのダイバーシチ効果を示す図である。
【符号の説明】
１ 偏波ダイバーシチアンテナ装置
２ 地板
３ 第１の放射素子
４ 第２の放射素子
５，６ 同軸給電線
７ 保護カバー
８，９ 絶縁部材
１１ 誘電体基板
１２ ストリップダイポール
１２ａ，１２ｂ ダイポール素子
１２ｃ，１２ｄ 接続点
１２ｅ，１２ｆ 給電線路素子
Claims (2)
- 金属導体からなる平面状の地板と、誘電体基板に形成された複数個のダイポールからなる第１の放射素子と、金属導体からなる平面状の第２の放射素子と、前記第１、第２の放射素子に放射電力を供給する同軸給電線とからなるアンテナ装置であって、
前記第１の放射素子は、使用周波数に共振して水平偏波を放射する水平偏波アンテナ素子とし、前記第２の放射素子は、前記使用周波数に共振して垂直偏波を放射する垂直偏波アンテナ素子として、それぞれ前記地板に対し、絶縁部材を介してほぼ平行に、かつ垂直方向に配設されるとともに、
前記第１、第２の放射素子と前記地板は、円形状に形成されるとともに、該第１の放射素子を形成する前記複数個のダイポールは、円形状の前記誘電体基板の外周縁に沿って、ほぼ同一ピッチ角で形成され、前記地板との間隔が前記周波数の約０．１波長であり、前記第２の放射素子は、前記第１の放射素子と前記地板との間に配設され、該第１の放射素子との間隔が前記周波数の約０．０６波長であることを特徴とする偏波ダイバーシチアンテナ装置。 - 前記第１、第２の放射素子が、前記地板に固着される合成樹脂材からなる円筒形保護カバー内に装着されることを特徴とする請求項１に記載の偏波ダイバーシチアンテナ装置。
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