JP3927465B2 - ろ過槽にヒ素除去機能を付与する方法、地下水対象の水処理方法、及び、地下水対象の水処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ろ過槽にヒ素除去機能を付与する方法、及び、同方法でヒ素除去機能を付与されたろ過槽を利用した地下水対象の水処理方法及び地下水対象の水処理装置に関する。なお、以下の説明では、「地下水対象の水処理方法」及び「地下水対象の水処理装置」をそれぞれ必要に応じて「地下水処理方法」及び「地下水処理装置」と表記する。
【0002】
【従来の技術】
地下水中に溶解したヒ素を除去する方法として従来より以下のようなものが知られている。
【0003】
(1)化学反応吸着法
ろ材表面を金属被覆し、そのろ材と水とを接触させることにより、水中に溶解したヒ素を物理化学的にろ材表面に吸着させる方法。この方法には、使用する金属によって次のようなものがある。
・活性アルミナ吸着法
処理対象水に塩素等の酸化剤を注入することにより水中の三価ヒ素を粒子状の五価ヒ素に変化させ、その五価ヒ素を活性アルミナで吸着する。
・セリウム吸着法
金属セリウムを被覆したろ材に、三価ヒ素と五価ヒ素を同時に化学的に吸着する。
・二酸化マンガン吸着法
処理対象水に塩素等の酸化剤を注入することにより水中の三価ヒ素を粒子状の五価ヒ素に変化させ、その五価ヒ素を二酸化マンガンなどのマンガン化合物で焼結造粒されたろ材に吸着する。
・酸化鉄吸着法
処理対象水に塩素等の酸化剤を注入することにより水中の三価ヒ素を粒子状の五価ヒ素に変化させ、その五価ヒ素を酸化鉄を造粒したろ材に吸着する。
【0004】
(2)凝集沈殿・ろ過法
処理対象水に塩素等の酸化剤を注入することにより水中の三価ヒ素を粒子状の五価ヒ素に変化させた後、凝集剤(ポリ塩化アルミニウムや塩化第二鉄等)を水に注入して攪拌し、五価ヒ素を凝集・沈殿させ、その上澄水をマンガン砂で急速ろ過する方法。ヒ素酸化物(五価ヒ素)はろ過砂に物理的に捕捉される一方、水はろ過砂を通過する。こうして水からヒ素酸化物が除去される。ヒ素酸化物の蓄積によりろ過能力が低下すれば、逆流洗浄操作(以下、逆洗という)を行い、ろ層に溜まったヒ素を含む酸化物を排出することにより、ろ過能力を回復させることができる。
【0005】
・バクテリアによる鉄酸化法
高濃度硫化鉄を含有する金属鉱山廃水はpH2〜3の強い硫酸酸性を示す。高濃度鉄含有廃水中でも活動するチオバクテリアを、予め人工的に増殖させた高濃度バクテリア溶液を反応池において注入・混和し、バクテリアによって硫化鉄を酸化し、中和処理後に沈澱により固液分離する処理である。この高濃度鉄含有廃水の生物酸化・中和・沈澱の過程において、廃水中に共存するヒ素は鉄とともに共沈する。
チオバクテリア法と今回出願する「ろ過槽にヒ素除去機能を付与する方法」とは、以下の点で異なる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
化学反応吸着法では、ヒ素吸着ろ材により固有の吸着容量があり、一般に処理水中に含有するヒ素を3〜5年間持続して吸着できる、ろ材量を充填した処理塔を設計するが、吸着容量を超えるとヒ素を吸着できなくなる。このようになった場合、活性アルミナ吸着法やセリウム吸着法では、特別な薬剤を用いて吸着剤又はろ材の再生処理を行うか、吸着剤又はろ材を完全に交換する必要があるが、そのための費用は極めて高額である。更に、活性アルミナ吸着法では、常にpHを5.5以下の酸性度に維持する必要があり、処理後にはpHを戻さなければならないなど、pH調整費用が高額であるという問題もある。一方、二酸化マンガン吸着法や酸化鉄吸着法は、ろ材が通水によって溶解・損耗するため耐用年数が短く(二酸化マンガンは約3年、酸化鉄は約1年)、それ以上の期間では金属が溶出流失することから、現在は利用されていない。
【0007】
凝集・沈澱・ろ過法については、ヒ素除去において最も多用されている処理法である。例えばポリ塩化アルミニウムや塩化第二鉄等のアルミ系凝集剤を用いる場合、重量比でヒ素:凝集剤=1:100〜500というように多量の凝集剤が必要である。従って、微量のヒ素を除去する場合であっても、浄水処理の結果、大量の廃棄物が発生してしまう。また、この方法では処理時間が着水井から凝集・沈澱後に、ろ過するまで3時間から10時間かかるが、今回出願の発明では着水井からろ過するまで約20分で完了する。本発明による効率性は凝集・沈澱・ろ過法の約9倍〜30倍処理効率をあげることが可能となる。このように凝集・沈澱・ろ過法では処理プラントの面積を大きくしなければ十分な処理能力を確保できないことから、巨大な設備が必要となり、設備費、用地費が莫大なものとなる。
【0008】
チオバクテリアによる鉱山廃水処理法と今回の特許出願の鉄バクテリア法との相違は、前者はチオバクテリアという特定の細菌による鉄酸化能力によって硫化鉄を酸化する過程で、高濃度鉄分含有廃水中に共存するヒ素を共沈する方法である。すなわち「鉄分とヒ素の共沈」は従来から知られており、水処理における「凝集・沈澱法」である。
後者の鉄バクテリア法は「ろ過池にバクテリアを繁殖させることにより、バクテリアが有するヒ素酸化能力を効果的にするための機能を「ろ過槽」に付与した効率的な技術であり、反応池で処理する鉱山廃水処理法とは原理と技術が根本的に異なっている。
強酸性・高濃度金属廃水処理におけるバクテリア法によるヒ素除去は以下の問題や課題のため、浄水処理への適用ができない。
▲1▼ チオバクテリアという強酸性化で活動できる細菌しか使用できない。
▲2▼ 鉄が高濃度でなければヒ素の共沈ができない。
▲3▼ チオバクテリアによる廃水処理法では、バクテリアを予め別の繁殖槽において人工的に濃縮培養しなければ、強酸性下の高濃度鉄を酸化できる処理能力がない。
▲4▼ 本法では反応池において処理対象水と濃縮培養液を反応させ、その後に沈殿槽において中和・沈澱させる処理技術であるため、滞留・反応時間が長く、巨大施設になる。
【0009】
本発明はこのような課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、ろ過能力を低コストで維持でき、廃棄物排出量が少なく、凝集剤やろ材の再生処理用の薬剤が不要で環境に優しい方法で地下水からヒ素を除去する機能をろ過槽に付与する方法、及び、そのようなろ過槽を用いた地下水処理方法及び地下水処理装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために成された本発明は、
a)空隙率が所定範囲となるような粒径が5〜8mmのろ材をろ過槽に充填する手順、
b)ヒ素酸化バクテリアを含む地下水を汲み上げ、酸素濃度を所定値以上にする手順、
c)ヒ素及び鉄を含む地下水を、その温度及びpHを一定範囲内に保ちながらろ過槽に一定流速で流す手順、及び、
d)少なくともろ材表面及びろ材間の空隙に棲息及び増殖するヒ素酸化バクテリアによるヒ素の接触酸化作用が現れるまで上記条件で馴致運転する手順
を備えることを特徴とする、ろ過槽にヒ素除去機能を付与する方法を提供する。
【0011】
また、本発明に係る地下水処理方法は、前記方法でヒ素除去機能を付与されたろ過槽により地下水からヒ素を除去することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る地下水処理装置は、前記方法でヒ素除去機能を付与されたろ過槽を備えること特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
一般に地下水には鉄バクテリア、枯草菌、硝化菌、シュードモーナス等の各種バクテリアが自然に存在する。このような地下水を、ろ材を充填して成るろ層を有するろ過槽に十分長い時間流し続けると、ろ材の表面及びろ材間の空隙で前記バクテリアが増殖する。また、ろ材が多孔質である場合は、ろ材の孔の内部でもバクテリアが増殖する。このようにバクテリアが増殖及び棲息するろ層内の場所(平面、空間)を以下では「バクテリア棲息空間」と呼ぶ。本発明は、バクテリアの増殖に好適な環境を内部に形成したろ過槽に地下水を流すと、増殖したバクテリアの産生物質により地下水中の溶解性ヒ素が接触酸化され、地下水からヒ素が除去される、という新たな知見に基づいて成されたものである。
【0014】
ヒ素の接触酸化及び地下水からのヒ素の除去は次のように進行するものと考えられる。まず、バクテリアの生体活動により発生するゼラチン状の代謝物がバクテリアの菌体表面及び体外に産出される。この代謝物には酵素が含まれており、この酵素の触媒作用によって溶解性の三価ヒ素が酸化され、粒子状の非溶解性物質である五価ヒ素になる。一方、前記代謝物には粘着性の多糖タンパクも含まれており、この多糖タンパクが一種の凝集剤となって前記五価ヒ素を凝集させる。このように五価ヒ素はバクテリア棲息空間で凝縮し、物理的に捕捉される一方、水はろ層を通過する。こうして地下水からヒ素が除去されるのである。
【0015】
ろ過槽中でのバクテリアの増殖に影響する環境要素としては、ろ過槽に充填するろ材の構成、水中の酸素濃度、水のpH、水温及び水の流速が挙げられる。以下、これらの環境要素について説明する。
【0016】
(a)ろ材の構成
ろ材は粒径5〜8mm、粒子形状は略均一とする。空隙率が小さすぎると接触酸化作用の発現前にろ層が目詰まりしてしまい、大きすぎると水がろ層を素通りしてバクテリアと水の接触効率が悪くなるため所望の効果が得られない。従って、ろ層において適度の空隙率が得られるようなろ材を用いることが重要である。前記粒径及び粒子形状は、このような条件を考慮して決定したものである。
【0017】
また、ろ材は多孔質で500〜700m2/m3以上の比表面積を有するものを用いることが好ましい。比表面積を大きくすることで、バクテリアのために十分に大きな棲息空間を確保することができる。
【0018】
また、ろ材表面にはマンガン被覆を施すことが好ましい。このようにすると、バクテリアによるヒ素の接触酸化作用に加えてマンガンのヒ素吸着作用が働き、より効率よくヒ素を除去することができる。
【0019】
(b)酸素濃度
ろ過槽における水の酸素濃度はろ層表面でDO値16ppm程度とする。地下水に酸素を溶解させるには、シャワー給水、でき流給水等の方法(エアレーション)を施して地下水をろ過槽に供給すればよい。また、地下水がアンモニア性窒素を含んでいる場合、硝化菌によるアンモニア性窒素の硝化のために消費酸素量が多くなる。このような場合には、ろ過槽中の水に散気管で空気を送り込むことにより、ろ層中の酸素濃度が16ppm程度になるようにする。
【0020】
(c)水の温度、pH、流速
水の温度は地下水の自然な水温である13〜17℃の範囲内に維持する。水のpH値は6.0〜8.0、好ましくは6.8〜7.5とする。水の流速は、バクテリアの主栄養源たる微量有機物及び必須栄養源たる鉄・マンガンが十分にろ過槽に供給されるように決定する。例えば、地下水中の鉄分濃度が30ppmであれば線流速70m/日程度、3ppmであれば400m/日程度とする。
【0021】
以上のような条件下でろ過槽の運転を開始すると、ろ槽中の空隙やろ材表面におけるバクテリア繁殖層で徐々に増殖する。バクテリアのエネルギー源は、地下水中の有機物、鉄、マンガンの酸化により得られる他、三価ヒ素もバクテリアのエネルギー源となり得る。このようにバクテリアが増殖し、十分の量のバクテリアがバクテリア繁殖層に定着すると、そのバクテリアによるヒ素の接触酸化作用が発現する。
【0022】
初めてろ過槽を運転する場合は、上記のようなヒ素の接触酸化条件が整い、地下水中からのヒ素の除去が見られるようになるまでろ過槽を馴致運転する。馴致運転の期間はろ材の構成や地下水の水質等を考慮して決定するが、先に述べたような諸条件の下であれば2ヶ月程度が必要である。
【0023】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、地下水中に自然に存在するバクテリアの酵素触媒作用を利用してろ過槽にヒ素の接触酸化作用を付与するため、特別な薬品が不要で経済的であるとともに環境にも優しい方法で地下水からヒ素を除去することができる。ヒ素酸化物の蓄積によりろ過槽のろ過能力が低下したら、逆洗を行い、ろ過槽中に溜まったヒ素を含む金属酸化物を排出することにより、簡単且つ低コストでろ過機能を回復させることができる。また、バクテリアが産生する酵素・多糖タンパクにより酸化・凝集した汚泥は濃縮率が高いため、汚泥発生量が減少するという効果もある。
【0024】
【実施例】
図1に本発明に係る地下水処理装置の一実施例の概略構成を示す。この地下水処理装置1の構成及び動作について以下に説明する。
【0025】
まず、深井戸10内に設置されたポンプ12で地下水を汲み上げ、揚水管14を通じて分散器16に送る。分散器16は地下水をシャワー状にしてろ過槽18に供給する。この処理(暴気処理又はエアーストリッピング処理)により空気が水に溶け込み、水中のDO値が上昇する。ろ過槽18内では、礎石20の上にろ材22を堆積することによってろ層24が形成されている。ろ材22としては、例えばマンガンコーディングろ材やセラミックろ材等で、粒径5〜8mm、空隙率500〜700m2/m3の多孔質ろ材を使用する。ろ材22の表面、ろ材22の孔の内部及びろ材間の空隙23にはバクテリアが棲息しており、これにより、ろ過槽18はヒ素除去機能を有する生物接触酸化槽となっている。ろ過槽18の底部には、ろ層24を通過した水を浄水池26に送るための浄水管28と、ろ層24の逆洗のための水を逆洗ポンプ30で浄水池26からろ過槽18に送るための逆洗送水管32とが接続されている。また、浄水管28の途中には浄水・ろ過排水切替弁34を介してろ過排水管36が接続されている。通常運転時には、ろ層24を通過した水が浄水管28を通じて浄水池26に至るように浄水・ろ過排水切替弁34の向きを設定する。浄水池26に貯まった水は紫外線殺菌及び塩素殺菌された後、給水ポンプ44で各戸に供給される。
【0026】
長期間運転を継続すると、ろ層24にヒ素酸化物の汚泥が溜まり、いわゆる目詰まり状態になる。目詰まりが進行すると、ろ層24のろ過抵抗が大きくなるためろ過槽18内の水位が上昇し、ろ過槽18内に設置された水位計が設定水位を検知すると、浄水・ろ過排水切り替え弁34が閉鎖され、逆洗ポンプ30の稼動で、浄水池26内の水をろ過槽18の底部に送り込んでろ過槽18内に上向きの水流を発生させることによりろ材22を攪拌し、汚泥をろ材22から分離させる。この汚泥は水流によりろ過槽18の上部へ運ばれ、逆洗排水管38を通じて逆洗排水槽40に排出される。こうしてろ層24を逆洗することにより、目詰まりが解消し、ろ層24のろ過機能が回復する。ろ層24の逆洗は、例えば3日毎に1回30分程度行えばよい。
【0027】
ろ過槽18において、ろ槽24の材質や厚さ、処理水の水質、処理水量によって、逆洗から逆洗までのサイクルを所望の頻度で自動的に起こるようにすることができる。そして、例えば水位上昇による水位設定値を決めれば、自動的に所定の逆洗サイクルを実施させることができる。なお、逆洗中は汚泥だけでなくバクテリアも排出されるため、逆洗時間が長過ぎると、ろ層24内のバクテリアが過少になり、ヒ素酸化能力が損なわれることがある。従って、逆洗時間は適度な長さとする必要がある。通常は、例えば3日毎に1回30分程度の逆洗で十分である。このような逆洗を適切に行うことにより、装置1全体を長時間に渡って停止することなく、連続的に浄水処理を行うことができる。
【0028】
逆洗排水槽40に溜まった排水及び汚泥は、天日乾燥ろ床42に送られる。バクテリアが産生した多糖タンパクは腕の長い分子鎖を有しており、この分子鎖がヒ素酸化物あるいは他の金属酸化物に絡みつく。こうしてできた汚泥は高い凝集性、沈降性を示し、その汚泥を含む排水は良好な固液分離性を示す。このため、本実施例の地下水処理装置1における汚泥・排水処理には従来の汚泥処理技術(脱水機、天日乾燥等)が何ら問題なく利用できる。
【0029】
本実施例の地下水処理装置1において、更に、地下水の特性値(DO値、アンモニア性窒素の濃度、pH等)に応じて適宜機能を追加してもよい。例えば、アンモニア性窒素の濃度値が所定値を上回っている場合は、分散器16によるエアレーションに加えてろ過槽下部から追加エアレーションを行うような酸素濃度調節機構を追加する。また、ろ過槽18内のpHが所定範囲外になるような地下水の場合は、pHを調整するための物質を投入するpH調節機構を追加してもよい。
【0030】
ところで、先に述べたように、地下水には様々なバクテリアが自然に存在しているが、これらのバクテリアによる作用は、上述したようなヒ素の接触酸化作用だけではない。例えば、地下水にいわゆる鉄バクテリアが存在していれば、鉄やマンガンも同時に除去される。なお、鉄バクテリアとしては、Leptothrix, Gallionella, Toxothrix, Crenothrix, Clonothrix, Pedomicrobium, Kusnezo Via, Thiobacillus, Siderocapsa, Naumanniella, Sphaerotilus等が知られているが、発明者らの研究によれば、このうちLeptothrix及びGallionellaはヒ素の接触酸化能力を有するものと考えられる。
【0031】
また、地下水に含まれる溶解性の鉄は、水の暴気処理を十分に行うことにより完全に酸化され、粒子状の水酸化第二鉄に変化する。この水酸化第二鉄もろ層で水から分離される。
【0032】
また、地下水を揚水し、酸素を供給したとき硝化バクテリアが増殖すれば、アンモニア性窒素(NH4-N)の硝化も同時に進行する。なお、硝化バクテリアによるアンモニア性窒素の硝化は相当量の酸素を消費するプロセスである。そこで、アンモニア性窒素をも処理の目的とする場合は、ほぼ飽和に近い状態まで酸素を水に溶解させるため、十分な暴気、酸素注入を行うようにする。
【0033】
以上のように、本実施例の地下水処理装置は、地下水中のヒ素、鉄、マンガン、アンモニア性窒素といった成分を同時除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る地下水浄化装置の一実施例の概略構成図。
【符号の説明】
10…深井戸
16…分散器
18…ろ過槽(生物接触酸化槽)
22…ろ材
24…ろ層
30…逆洗ポンプ
Claims (4)
- a)空隙率が所定範囲となるような粒径が5〜8mmのろ材をろ過槽に充填する手順、
b)ヒ素酸化バクテリアを含む地下水を汲み上げ、酸素濃度を所定値以上にする手順、
c)ヒ素及び鉄を含む地下水を、その温度及びpHを一定範囲内に保ちながらろ過槽に一定流速で流す手順、及び、
d)少なくともろ材表面及びろ材間の空隙に棲息及び増殖するヒ素酸化バクテリアによるヒ素の接触酸化作用が現れるまで上記条件で馴致運転する手順
を備えることを特徴とする、ろ過槽にヒ素除去機能を付与する方法。 - 前記ろ材として500〜700m2/m3以上の比表面積を有する多孔質のろ材を使用したことを特徴とする請求項1に記載のろ過槽にヒ素除去機能を付与する方法。
- 請求項1又は2に記載の方法でヒ素除去機能を付与されたろ過槽によりヒ素及び鉄を含む地下水からヒ素を除去することを特徴とする地下水対象の水処理方法。
- 請求項1又は2に記載の方法でヒ素除去機能を付与されたろ過槽を備えるヒ素及び鉄を含む地下水対象の水処理装置。
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