JP3926838B2 - 光導波路素子 - Google Patents

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Description

本発明は、フォトニック結晶構造を有する光導波路素子に関する。
誘電体または半導体などの電磁波(光を含む)を透過し得る材料からなる基板に、光の波長程度の大きさを有する周期で屈折率を変調した構造を形成すると、電磁波の分散関係に結晶の電子に関するバンド構造と同様なバンド構造が形成されることが知られている。電磁波(典型的には「光」)に対する、このようなバンドはフォトニックバンドを呼ばれ、フォトニックバンドを有する周期構造体は「フォトニック結晶」と呼ばれている。非特許文献1は、公知のフォトニック結晶を説明している。
フォトニック結晶を利用した光導波路素子は、光回路素子の小型化を可能にする技術として期待されている。フォトニック結晶により光を所定領域に閉じ込める光導波路素子では、光導波路部分と周期的な屈折率補償領域部分との屈折率差が重要である。このため、ガリウム・ヒ素(屈折率3.6)や珪素(シリコン:屈折率3.4)などのように屈折率が3以上の材料と、二酸化珪素(SiO2:屈折率:1.5)や空気(屈折率:1)のように屈折率の低い材料とを組み合わせて形成した例が報告されている(例えば特許文献1)。
半導体基板に周期的な円柱状の空気穴を設けることによりフォトニックバンドを生じさせ、90°という急激な角度で光路を曲げることができる光導波路(非特許文献2)などが発表されている。
図1は、フォトニック結晶構造を用いた光導波路素子の一例(非特許文献2)を示している。この光導波路素子は、InPやGaAsなどから形成された基板101に多数の空気穴102の周期的配列を形成することによって作製される。空気穴102が存在しない線状の欠陥部分103には、フォトニックバンドが存在せず、広い波長範囲で光を透過することができる。
このように、光導波路の両側にフォトニック結晶領域を設けることにより、そのフォトニック結晶領域のバンド構造によって透過が禁じられる波長の光を光導波路内に閉じ込めることが可能になる。
このような光導波路素子によれば、従来の屈折率型光導波路素子では実現できない急角度の曲がり光導波路を実現でき、波長オーダーの光回路素子への適用が期待されている。図1に示す光導波路素子については、光フィルタや半導体レーザなどを集積した光集積回路など多くの用途が提案されている。
また、特許文献2は、三角格子状に空気孔を配列することによって形成したスラブ状のフォトニック結晶を用いる光導波路素子を開示している。この光導波路素子では、三角格子の特定の格子点位置における空気孔の大きさおよび形状を、他の格子点位置における空気孔の大きさおよび形状とは異なるものとすることにより、光導波路として機能する線状欠陥領域を形成している。
J.D.Joannopouls他著"Photonic crystals",Princeton University Press, 1995. Chutinan et.al., Physical Review B, vol. 62, No.7, p.4488,2000 特開2002−350657号公報 米国特許6853791号明細書
しかしながら、図1に示す光導波路素子では、透過率が予想よりも低下する問題がある。図2を参照しながら、この問題を説明する。
図2は、フォトニック結晶領域に挟まれた光導波路を示す平面図と、その一部の拡大図を示している。
本発明者の検討によると、フォトニック結晶構造を形成するために周期的に配列された空気穴202、203により光導波路の等価屈折率が導波方向に沿って周期的に変化してしまうことが、透過率低下の原因である。具体的には、基板201において、2つの空気穴202、203に挟まれた第1部分204の等価屈折率が、隣り合う2つの第1部分204の間に挟まれた第2部分205の等価屈折率に比べて相対的に低下する。このため、光導波路の内部では導波方向に沿って等価屈折率が周期的に変化し、光導波路特性に共振器的な性質が現れてしまう。その結果、光導波路を伝搬する光の一部が共振し、反射や望まれない帯域特性により、光導波路としての特性が劣化することになる。
特許文献2に開示されている光導波路素子では、図2における第2部分205に相当する位置に例えば楕円形状の空気孔が形成される。このような構成を採用すると、第2部分205の等価屈折率が基板材料の屈折率よりも大きく低下するため、今度は第1部分204の等価屈折率が第2部分205の等価屈折率よりも高くなってしまう。このため、特許文献2の導波路素子でも、光導波路特性に共振器的な性質が現れてしまうという問題は解決されない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、フォトニック結晶領域の影響により光導波路に生じる等価屈折率の周期的変化を補償し、透過特性を向上させる光導波路素子を提供することである。
本発明の光導波路素子は、穴部が周期的に配列された複数のフォトニック結晶領域と、前記複数のフォトニック結晶領域の間に形成された光導波路を備え、前記フォトニック結晶領域に含まれる複数の穴部のうち、前記光導波路の両側において前記光導波路に隣接する複数の穴部は、前記光導波路の導波方向に沿って延びる中心軸に関して対称に配列されており、前記光導波路の内部に、前記中心軸に関して対称の関係にある各対の穴部に挟まれた部分の等価屈折率が他の部分の等価屈折率よりも高い材料からなる複数の高屈折率部分が導波方向に沿って周期的に配列されており、前記穴部の半径をrとしたとき、前記各高屈折率部分の重心位置は、いずれも、当該高屈折率部分を挟む前記対の穴部の中心を結ぶ直線の中点から導波方向に沿ってシフトしており、しかも、前記中点から導波方向に0.45r離れた位置と前記中点から導波方向とは反対の方向に0.25r離れた位置との間にある。
好ましい実施形態において、前記高屈折率部分の配列周期は、前記フォトニック結晶領域における前記穴部の配列周期に等しい。
好ましい実施形態において、前記複数のフォトニック結晶領域および前記光導波路は基板に形成されている。
好ましい実施形態において、前記基板の少なくとも表面領域は第1の材料から形成され、前記高屈折率部分は、前記第1の材料の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の材料から形成されている。
好ましい実施形態において、前記高屈折率部分を構成する前記第2の材料は、前記基板に形成された穴を埋めている。
好ましい実施形態において、前記第2の材料は、Ga、Si、Al、Ga、Nb、Ta、Ti,Zn、Au、Pt、Ni、およびGeからなる群から選択された少なくとも1種の金属の単体もしくは合金、または前記金属の化合物を含有する。
好ましい実施形態において、前記金属の化合物は、リン、窒素、酸素、およびヒ素からなる群から選択された少なくとも1種の元素と前記金属との化合物である。
好ましい実施形態において、前記基板はニオブ酸リチウム(LiNbO3)から形成されており、前記高屈折率部分は窒化アルミニウム(AlN)から形成されている。
好ましい実施形態において、前記基板はニオブ酸リチウム(LiNbO3)から形成されており、前記高屈折率部分は酸化ニオブ(Nb25)から形成されている。
好ましい実施形態において、前記高屈折率部分は、前記基板の改質された部分から形成されている。
好ましい実施形態において、前記基板の改質された部分は、前記基板のうち金属の元素が拡散した部分である。
好ましい実施形態において、前記基板は、前記複数のフォトニック結晶領域および前記光導波路を含む板状部材と、前記板状部材を支持するベース部材とを備え、前記穴部は、前記板状部材を貫通する孔から構成されている。
好ましい実施形態において、前記板状部材と前記ベース部材との間にはエアギャップが設けられている。
本発明の光導波路素子によれば、従来の光導波路素子における光導波路内に生じていた、周期的な等価屈折率の変化を低減し、かつ光エネルギーの流れを整えることができる。その結果、光導波路中における等価屈折率の周期的変化に起因して生じる共振を低減し、透過特性の向上、光反射ロスの低減を実現できる。したがって本発明の光導波路素子を用いることにより、超小型光回路を実現でき、光変調器等の光デバイスを小型化、高性能化することが可能である。
以下、図面を参照しながら、本発明による光導波路素子の実施形態を説明する。
(実施形態1)
まず、図3(a)から(c)を参照しつつ本発明による光導波路素子の第1の実施形態を説明する。
本実施形態における光導波路素子の基板301には、穴部304が周期的に配列された複数のフォトニック結晶領域305と、複数のフォトニック結晶領域305の間に形成された光導波路302とが形成されている。
図示されているフォトニック結晶領域305の穴部304は、三角格子を形成するように二次元的に配列されており、配列周期(格子定数)aは光の波長程度の大きさに設定される。図示されている光導波路素子における光導波路302の長さは、導波される光の波長をλとしたとき、10×λ程度の大きさである。ただし、本発明の光導波路素子の導波路長などのサイズは、このような大きさに限定されない。
光導波路302は、基板301のうち、穴部の304が形成されていない部分に位置しており、光導波路302には複数の屈折率補償領域303が光導波方向に沿って周期的に配列されている。屈折率補償領域303の配列周期は、穴部304の配列周期と同一である。この屈折率補償領域303は、基板301の材料(第1の材料)の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の材料から形成されている。本実施形態では、第2の材料の屈折率は、第1の材料の屈折率よりも高く設定されているので、本実施形態における個々の屈折率補償領域303は「高屈折率部分」として機能する。このため、光導波路302の屈折率は、単独では、光導波方向に沿って周期的に変調されていることになる。しかし、屈折率補償領域303による屈折率の変調は、フォトニック結晶領域305を構成する穴部304が光導波路302に与える周期的な屈折率変調を相殺するように機能する。
本実施形態では、後に詳細に説明する理由により、光導波路方向に対して平行な方向における屈折率補償領域303の位置を調節することにより、高い透過率を達成している。具体的には、各屈折率補償領域303の重心位置が、光導波路302を挟んで対向する穴部302の中心を結ぶ直線の中点から導波方向に沿ってシフトしており、前記中点から導波方向に0.45r離れた位置と前記中点から導波方向とは反対の方向に0.25r離れた位置との間にある。「導波方向」とは、図3(a)に示す光導波路302の左端から光が入射し、右端から光が出射すると仮定した場合、図3(a)における「右方向」である。「導波方向とは反対の方向」とは、上記仮定のもとで、図3(a)における「左方向」である。
以上の構成を有することにより、フォトニック結晶領域に挟まれた光導波路302における等価屈折率は、光導波方向に沿って実質的に一様になり、図2を参照して説明した従来の光導波路素子における問題が解決し、光導波路の透過特性が向上する。
本実施形態における基板301は、好ましくは半導体または誘電体から形成される。半導体としては、例えば、Si、GaAs、InP、または、それらの混晶材料を用いることができ、誘電体としては、例えば、サファイア、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、チタン酸カリウム(KTiOPO4)などの誘電体材料を用いることができる。
本実施形態の光導波路素子を光変調器などに応用する場合や、ミリ波等の高い周波数帯で使用する場合は、基板301内における不要な電磁界の共振を抑制するため、基板301の厚さを50μm〜300μmの範囲内に設定することが好ましい。基板301の全体における厚さを薄くする代わりに、基板の一部分(光導波路部分)の厚さを10μm〜200μmに薄くしても、不要な共振を抑制することができる。
屈折率補償領域303を構成する材料(第2の材料)としては、金属、誘電体、半導体、またはこれらの混合物を用いることができる。特に誘電体材料の混合物ガラスを用いると、屈折率の調整が広い範囲で可能になる。採用可能な金属は、例えばTi、Au、Pd、Pt、Ag、Zn、誘電体は、例えばSiO2、Al23、SiN、Nb25、Ta25、半導体は例えばSi、GaAs、InP、GaP、GaN、InN、AlN、またはこれらの混晶である。
光導波路302は、フォトニック結晶中の線欠陥光導波路と呼ばれ、基板301に設けた複数のフォトニック結晶領域305の間に形成される。フォトニック結晶構造は、基板301に設けた多数の穴部304の周期的配列によって形成されており、穴部304の配列周期や配列パターンにより、フォトニック結晶構造におけるバンド構造を調節することが可能である。本実施形態における穴部304は、空気穴であり、内部が空気によって満たされている。基板材料の屈折率よりも十分に低い屈折率を有する材料で穴部304の内部が埋められていても良い。
図3(b)および(c)に示すように、本実施形態における光導波路302およびフォトニック結晶領域305は相対的に薄い板状部材(スラブ)402に形成されており、この板状部材402は相対的に厚いベース部材401によって支持されている。板状部材402の下方には空隙306が設けられることが望ましい。空隙306は、任意の波長を有する光に対して透明である。このような空隙306を設けた構造を、エアブリッジ構造と呼ぶ。
本実施形態の光導波路素子によれば、光導波路302の内部に形成した屈折率補償領域303の屈折率を適切に調節することにより、穴部304によって光導波路302に生じる等価屈折率の周期的変調を補償することができる。
次に、図4(a)から(h)を参照しつつ本実施形態の光導波路素子を製造する方法を説明する。
まず、z軸に垂直な面(z面)でカットされたLiNbO3ウエハを用意し、洗浄した後、図4(a)に示すように、ウエハ(板状部材402)の裏面にマスクパターン403を形成する。マスクパターン403は、空隙部306を形成すべき領域を露出する開口部を有しており、典型的には、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたレジスト層から形成される。板状部分402は、最終的には、エアギャップ306を介してベース部分401によって支持されることになる。
次に、図4(b)に示すように板状部材402の裏面のうちマスクパターン403で覆われていない領域をエッチングし、凹部404を形成する。このエッチングは、フッ素系ガスおよびアルゴンガスを用いるドライエッチングによって行うことができる。エッチング後、マスクパターン403を除去する。
この後、図4(c)に示すように、板状部材402の凹部404が形成されている面がベース部分401の上面と対向するようにして板状部材402をベース部分401に接合する。この接合は、板状部材402をベース部分401に押圧しつつ加熱することによって行うことができる。ベース部分401および板状部材402によって基板301が構成される。
板状部材402の表面に対して光学研磨またはドライエッチングを行うことにより、板状部材402を薄くし、凹部404が形成されている領域における板状部材402の厚さを約3μmに調整する(図4(d))。上記領域における板状部材402の厚さは、光導波路302の厚さを規定することになる。この厚さは、1μm〜5μm程度の範囲内に設定されることが好ましい。
基板301を洗浄した後、板状部材402の表面に電子ビーム描画用のレジストを塗布する。このレジストに電子ビームを照射し、図4(e)に示すレジストパターン405を形成する。レジストパターン405には、図3に示す屈性率補償領域302の形状および位置を規定する複数の開口部が形成されている。
板状部材402のうちレジストパターン405によって覆われていない部分を異方的にエッチングすることにより、図4(f)に示すように凹部406を板状部材402に形成する。このエッチングは、例えば塩素系またはSF6のガスを用いて行うことができる。凹部406は、光導波路が形成されるべき領域に周期的に配列される。凹部406は、板状部材402のうち、図3(a)に示される屈折率補償領域303が形成されるべき部分に形成される。凹部406の形状は、レジストパターン405の開口部の形状を調節することにより任意に設定することができる。なお、凹部406を形成した時点では、図3(a)に示される穴部304はまだ形成されておらず、光導波路302の両側はレジストパターン405によって覆われている。
次に、レジストパターン405の上から窒化アルミニウム(AlN)を堆積し、凹部406の内部を窒化アルミニウムによって充填し、屈折率補償領域303を形成する。このとき、レジストパターン405の上にも窒化アルミニウムが堆積される。窒化アルミニウムの堆積は、例えばRFマグネトロンスパッタ装置を用いて行うことができる。窒化アルミニウムに代えて他の材料を凹部406に充填してもよい。凹部406に充填される材料の屈折率は、板状部材401の屈折率とは異なる値を有している。本実施形態における凹部406は、図3(a)の平面図に示す矩形の屈折率補償領域303の形状に対応する平面形状を有している。図3(a)では、屈折率補償領域303の平面形状が矩形であるように記載されているが、実際のエッチングによって形成される凹部406の平面形状は丸みを帯びたものであってもよい。
なお、図3(b)および(c)では、凹部406の深さが板状部材402の厚さと同じ大きさを有するように記載されているが、実際には、凹部406は板状部材402を貫通しておらず、凹部406の底面によって窒化アルミニウムが保持される。この凹部406の深さを調節することにより、等価屈折率を制御することも可能である。凹部406の内部を充填する材料の屈折率を所望の範囲内に設定することが困難な場合、凹部406の深さを変化させることにより、適当な等価屈折率差を生じさせることが特に有効になる。凹部406の深さを均一化するため、板状部材401の裏面側にエッチングストップ層を設けても良い。
次に、図4(g)に示すようにレジストパターン405を除去することにより、レジストパターン405上に堆積した窒化アルミニウムを板状部材402から取り除き(リフトオフ)、板状部材402の表面を露出させる。
このあと、凹部406を形成した方法と同様の方法により、板状部材402の光導波路形成領域の外側に多数の穴部(図3の穴部304)を形成し、図4(h)に示すフォトニック結晶領域305を形成する。こうして、エアブリッジ構造を有する本実施形態の光導波路素子が完成する。
上記の製造方法は、屈折率補償領域303の屈折率と板状部材402の屈折率と間にある差異を大きく設定する場合には特に有効である。屈折率補償領域303の屈折率は、凹部406の内部を充填する材料を適切に選択することにより、広い範囲で調節することが可能である。
図3(a)に示す光導波路素子では、フォトニック結晶領域305に含まれる複数の穴部304のうち、光導波路302の両側において光導波路302に隣接する複数の穴部304が、光導波路302の光導波方向に沿って延びる中心軸に関して対称に配列されている。言い換えると、光導波路302の一方の側において光導波路302に近接して周期的に配列された穴部304は、光導波路302の他方の側において光導波路302に近接して周期的に配列された穴部304と対向している。中心軸を挟んで対向する2つの穴部304は、光導波路302を挟み込んでいる。光導波路302のうち、対向する2つの穴部304に挟まれている部分の等価屈折率は、屈折率補償領域303の存在により、対向する2つの穴部304に挟まれていない部分の等価屈折率よりも、高くなっている。
図2に示す従来の光導波路素子では、光導波路を形成するために設けられた穴部202、203により、光導波路の幅が光導波方向に沿って周期的に変化することに起因し、光導波路の等価屈折率の大きさが周期的に変化している。そのため、光導波路自体がフィルタのような共振特性を有することになり、透過特性が低下し、帯域特性が現れるなどの問題があった。これに対し、本実施形態の光導波路素子では、屈折率補償領域の働きにより光導波路の等価屈折率変化が低減され、透過特性が改善される。
(実施例1)
図3(a)から(c)に示す光導波路素子について、屈折率補償領域303の配置や屈折率と光の透過率との関係を検討した。以下、その検討結果を説明する。
本実施例における屈折率補償領域303は、矩形形状を有しており、その幅(光導波路の光導波方向に対して垂直な方向のサイズ)をフォトニック結晶構造の周期(a=600nm)に対して0.8倍(480nm)とし、長さ(光導波路の光導波方向への大きさ)を、穴部304の直径(2r=480nm)に対して0.5倍(240nm)とした。
図5(a)は、本実施例における屈折率補償領域303の屈折率とニオブ酸リチウム基板の屈折率との間の差異と、光導波路の透過率との関係を示すグラフである。図5(a)の「基板との屈折率差」は、屈折率補償領域303とニオブ酸リチウム基板との間に生じる屈折率差を意味し、「透過率」は、光導波路に入射した光(自由空間波長:1.5μm、基板内波長;約0.7μm)の強度を1とした場合に光導波路(長さ:7μm)から出射する光の強度の比率である。
図5(b)は、本実施例における光導波路素子の主要部を示す平面図である。図5(b)は、光導波路を挟んで対向する2つの空気穴の中心604,605を結んだ線分の中点606と、矩形の重心607とが一致するように屈折率補償領域303を配置している例を示している。図中、屈折率補償領域303の幅を「W」の符合で示している。
図5(a)からわかるように、光導波路内に屈折率補償領域303を設けていない従来の光導波路素子(屈折率差=0)における光導波路の透過率は、0.78である。
基板との屈折率差が0〜0.085の範囲では、屈折率差7の増加に伴って透過率は急激に上昇し、屈折率差=0.085で透過率が0.90に達している。屈折率差が0.085〜0.5の範囲では、透過率は屈折率差の増加に伴って緩やかに上昇し、屈折率差=0.5程度で最大の透過率(0.98)に達している。
屈折率差が0.5を超えて更に増大すると、透過率は最大値から低下するが、屈折率差が1を超えない限り、従来の光導波路素子の透過率(0.78)よりも高い透過率が得られる。屈折率差が1を超えて更に増加すると、図5(a)のグラフには示されていないが、透過率は更に低下すると考えられる。これは、屈折率補償領域303が存在しない従来の光導波路における周期的等価屈折率差を低減できず、むしろ、それ以上の大きな周期的等価屈折率差が発生するからである。
なお、図5(a)の矢印602で示すポイントは、ニオブ酸リチウム(屈折率:約2.2)とNb25(屈折率:約2.3)との屈折率差に対応している。矢印603で示すポイントは、窒化アルミニウム(AlN)とニオブ酸リチウム(LiNbO3、「LN」とも略記される)との屈折率差を示している。
なお、透過率を85%以上に高めるという観点から、光導波路における屈折率補償領域303と他の領域との間の屈折率差は、0.085〜0.6の範囲に設定されることが好ましい。透過率を95%以上にするためには、上記の屈折率差を0.38〜0.6の範囲に設定することが好ましい。ただし、屈折率差の好ましい範囲の上限が0.6である理由は、この屈折率差を0.6以上にする材料を実際に用いることが困難だからである。
図13は、屈折率補償領域303の幅(光導波路の光導波方向と垂直な方向の大きさ)と光導波路の透過率との関係を示している。屈折率補償領域303の幅は、フォトニック結晶領域における穴部304の配列周期a(図3参照、本実施例の場合、a=600nm)の0.75〜1倍の大きさを有しているとき、透過率が85%以上となる。このため、配列周期aに対する屈折率補償領域303の幅の好ましい比率範囲は0.75以上1以下である。配列周期aに対する屈折率補償領域303の幅の更に好ましい比率範囲は0.83〜0.97である。この範囲にあるとき、透過率は90%以上となり、フォトニック結晶構造を構成する穴部による干渉をほとんど受けなくなる。
なお、屈折率補償領域303の深さを変化させることによって屈折率差を調整する場合、光導波路を伝搬する光波の電磁界が存在する深さ範囲内で屈折率補償領域303の深さを調節することが好ましい。本実施形態では、光導波路を伝搬する光波の電磁界が存在する深さは3μm程度である。有意な等価屈折率差を形成するためには、光導波路を伝搬する光波の電磁界が存在する深さの30%〜95%の範囲で屈折率補償領域303の深さを変調することが望ましい。
図6(a)は、屈折率補償領域303の位置シフト量と透過特性との関係を示すグラフであり、図6(b)は、屈折率補償領域303の位置シフトを示す平面図である。図6(a)のグラフの横軸は、屈折率補償領域303の位置シフト量である。位置シフト量は、光導波路を挟んで対向する2つの空気穴の中心604,605を結んだ線分の中点の位置606に対して、屈折率補償領域303の重心607がどの方向にどれだけシフトしているかを示す(図5(b)の拡大図参照。光導波方向の反対の方向に位置がシフトしているときは、位置シフト量の前に「−」符号を付加している。
図6(a)では、基板材料としてLiNbO3、屈折率補償領域303の材料としてAlNを用いた場合の計算結果を実線で示す一方、基板材料としてLiNbO3、屈折率補償領域303の材料としてNb25を用いた場合の計算結果を破線で示している。
図6(a)のグラフから明らかなように、位置シフト量が「0.25」のとき、すなわち、屈折率補償領域303の重心位置が光導波方向に0.25rだけシフトしているとき、透過率は最高値を示す。以下、図7(a)および(b)を参照しながら、その理由を説明する。
図7(a)は、屈折率補償領域303を有しない従来の光導波路素子の主要部を示す平面図であり、図7(b)は、本実施形態における主要部を示す平面図である。
図7(a)および(b)における矢印は、導波光のポインティングベクトルを示している。図7(a)に示す従来例では、穴部801、802に沿って光エネルギーが流れている。言い換えると、光エネルギーの流れが屈折率補償領域801、802によって光導波方向以外の方向に乱されるため、光損失の原因となる。
一方、図7(b)に示すように、本実施形態の構成によれば、屈折率補償領域303の存在により、穴部801、802に沿ったポインティングベクトル803の曲がりが低減される。つまり、光エネルギーの進行方向が屈折率補償領域303によって光導波方向に揃えられ、さらに透過特性が改善される。
透過率90%以上を達成するため、屈折率補償領域303の位置は、二つの空気穴の中心604,605を結んだ線分の中点606と矩形の重心607との距離が−0.25r〜0.45rの範囲であることが望ましく、0〜0.35rの範囲であることがより望ましい。
なお、特許文献2に記載されている導波路素子では、2つの空気穴の中心を結んだ線分の中点に対して楕円穴の重心位置は0.5r程度シフトしており、上記の効果を得ることができない。
以上説明してきたように、本実施形態の光導波路素子では、(1)等価屈折率差を補償する効果、および(2)光エネルギーの進行方向を整える効果により、透過特性が改善される。
本実施形態では、基板材料としてLiNbO3を用い、屈折率補償領域303をAlNやNb25からなる高屈折率部分から構成しているが、高屈折率部分の材料はAlNやNb25に限定されない。光導波路に隣接する穴部によって光導波路の等価屈折率が減少する効果を相殺する大きさの屈折率を有する材料であれば、他の材料からなる高屈折率部分を設けても良い。
基板の屈折率よりも高い屈折率を有する第2の材料は、例えば、Ga、Si、Al、Ga、Nb、Ta、Ti,Zn、Au、Pt、Ni、およびGeからなる群から選択された少なくとも1種の金属の単体もしくは合金、または前記金属の化合物を含有する。第2の材料として、金属の化合物を用いるとき、リン、窒素、酸素、およびヒ素からなる群から選択された少なくとも1種の元素と上記いずれかの金属との化合物を用いることができる。
(実施形態2)
次に、図8を参照しながら、本発明による光導波路素子の第2の実施形態を説明する。
本実施形態の光導波路素子には、図8に示すように、基板901の屈折率とは異なる屈折率を有する穴部904が周期的に配列されたフォトニック結晶領域904が形成され、2つのフォトニック結晶領域に挟まれる位置に光導波路902が設けられている。光導波路902には、基板901の屈折率とは異なる屈折率を有する屈折率補償領域903が光導波方向に沿って周期的に配列されている。
基板901は、実施形態1における基板301の材料と同一の材料から形成される。一方、屈折率補償領域903は、TiやZnなどの金属を基板903の所定領域に熱拡散することにより、基板901の他の部分に比べて上記所定領域の屈折率を相対的に高めている。
次に、図9を参照しながら、本実施形態の製造方法を説明する。
まず、z軸に垂直な面(z面)でカットされたLiNbO3ウエハを用意し、洗浄した後、図9(a)に示すように、ウエハ(板状部材1002)の裏面の面にマスクパターン1003を形成する。この板状部材1002は、図8(b)および(c)に示す基板901のうち、光導波路902およびフォトニック結晶領域905が形成される部分である。この板状部分1002は、最終的には、エアギャップ906を介してベース部分1001によって支持されることになる。
マスクパターン1003は、空隙部906を形成すべき領域を露出する開口部を有しており、典型的には、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたレジスト層から形成される。
次に、図9(b)に示すように、板状部材1002の裏面のうちマスクパターン1003で覆われていない領域をエッチングし、凹部1004を形成する。このエッチングは、フッ素系ガスおよびアルゴンガスを用いるドライエッチングによって行うことができる。エッチング後、マスクパターン1003を除去する。
次に、図9(c)に示すように、板状部材1002の凹部1004が形成されている面がベース部分1001の上面と対向するようにして板状部材1002をベース部分1001に接合する。この接合は、板状部材1002をベース部分1001に押圧しつつ加熱することによって行うことができる。ベース部分1001および板状部材1002によって基板901が構成される。
次に、板状部材1002の表面に対して光学研磨またはドライエッチングを行うことにより、板状部材1002を薄くし、凹部1004が形成されている領域における板状部材1002の厚さを約3μmに調整する(図9(d))。上記領域における板状部材1002の厚さは、光導波路の厚さを規定することになる。この厚さは、1μm〜5μm程度の範囲内に設定されることが好ましい。
基板901を洗浄した後、板状部材1002の表面に電子ビーム描画用のレジストを塗布する。このレジストに電子ビームを照射し、レジストパターンを形成する。レジストパターンには、フォトニック結晶領域1005における空気穴の形状および位置を規定する複数の開口部が形成されている。
次に、板状部材1002のうちレジストパターンによって覆われていない部分を異方的にエッチングし、図9(e)に示すようにフォトニック結晶領域1005を板状部材1002に形成する。このエッチングは、例えば塩素系またはSF6のガスを用いて行うことができる。フォトニック結晶領域1005は、図8(a)に示す光導波路902が形成されるべき領域以外の領域に配列される。
次に、図9(f)に示すように、リフトオフ用レジスト1006および電子ビーム描画用レジスト1007を順次堆積した後、電子ビーム描画により、屈折率補償領域を形成すべき領域に開口部を形成する。リフトオフ用レジスト1006は、金属のリフトオフを容易にするために設けられているが、フォトニック結晶領域105の穴部を埋め、基板表面を平坦化する機能も発揮している。
図9(g)に示すように、熱拡散の対象となる金属1008を電子ビーム描画用レジスト1007の上に堆積した後、リフトオフ法により、パターニングされた金属を板状部材1002の表面に残す。具体的には、レジスト剥離液により、リフトオフ用レジスト1006および電子ビーム描画用レジスト1007を除去する。
この後、例えば1000℃程度で一昼夜の熱処理を行うことにより、金属イオンを表面から板状部材1002の内部に拡散させる。金属イオンが拡散した領域(屈折率補償領域903)の屈折率は、他の部分に比べて増加する。こうして、図9(h)に示す光導波路素子を完成する。
このように本実施形態では、金属の熱拡散による屈折率変化を利用し、光導波路に周期的に配列した屈折率補償領域を形成している。本実施形態では、屈折率補償領域を作製するために高温長時間の熱処理が必要であるが、周期的に配列された凹部を光導波路に形成し、凹部の内部を他の材料で埋め込む必要は無い。
金属の熱拡散を行うことにより、板状部分1002の屈折率を変化させる代わりに、光によって屈折率が変化する現象(フォトリフラクティブ)を利用しても良い。板状部材1002が、例えばニオブ酸リチウムのようにフォトリフラクティブ効果を発揮する材料から形成されている場合、波長532nm、出力数百mW程度のレーザ光を照射することにより、板状部材1002の照射部分の屈折率を変化させることができる。光照射によって屈折率補償領域を形成する場合、高温長時間の熱処理は必要ない。
(実施形態3)
以下、図10を参照しながら、本発明による光導波路素子の第3の実施形態を説明する。
本実施形態の光導波路素子には、図10に示すように、基板1101の屈折率とは異なる屈折率を有する穴部1104が周期的に配列されたフォトニック結晶領域1105が形成され、2つのフォトニック結晶領域1105に挟まれる位置に光導波路1102が設けられている。
光導波路1102の表面には、基板1101の屈折率とは異なる屈折率を有する材料から形成された屈折率補償領域1103が光導波方向に沿って周期的に配列されている。屈折率補償領域1103は、光導波路1102のうち屈折率補償領域1103の直下に位置する部分の等価屈折率を増大させる機能を有している。
基板1101は、実施形態1における基板301の材料と同一の材料から形成され得る。屈折率補償領域1103は、Ti、Au、Pd、Pt、Ag、Znなどの金属や、SiNなどの誘電体から形成され得る。光導波路1102のうち屈折率補償領域1103の直下に位置する部分の等価屈折率は、金属材料から屈折率補償領域1103を形成した場合に効果的に調節しやすいため、本実施形態における屈折率補償領域1103は金属から形成することが好ましい。
本実施形態でも、基板1101に設けた穴部1104と基板1101との間に等価屈折率の差を形成し、穴部1104の存在しない線欠陥領域に光電界を閉じ込めることができる。図10(b)および(c)に示すように、光導波路1102の下部には、空隙が設けられていることが好ましい。なお、穴部1104を設ける代わりに、基板1101の屈折率とは異なる屈折率を有する部分を周期的に配列しても、フォトニック結晶構造を形成することができる。
本実施形態では、光導波路1102上に設けた屈折率補償領域1103により、光導波路1102の周期的に変化する等価屈折率を補償している。基板1101と穴部1104との間に存在する屈折率差が大きいほど、光電界を光導波路内に閉じ込める能力が高くなるが、光導波路1102における等価屈折率の周期的変化が顕著に発生しやすい。前述のように、このような等価屈折率の周期的変化は、光導波路の透過特性を低下させる。このような問題は、等価屈折率差が2〜0.05の範囲内で顕著になる。このため、本実施形態の構成は、等価屈折率差が2〜0.05の範囲内にあるときに有利な効果をもたらし、特に等価屈折率差が2〜0.1の範囲にあるとき、顕著な効果をもたらす。
次に、図11(a)から(g)を参照しつつ本実施形態の製造方法を説明する。
まずSOI(Silicon−on−insulator)構造を有する基板1101を用意する。この基板1101は、図11(a)に示すように、シリコン基板1201と、シリコン基板1201上に形成されたSiO2膜1202(厚さ1μm)と、SiO2層1202(厚さ1μm)上に設けられたSi層1203(厚さ0.5μm)とを備えている。基板1101を洗浄した後、電子ビーム描画用のレジスト1204を塗布する(図11(a))。電子ビーム露光法により、レジスト1024をパターニングする(図11(b))。パターニングされたレジスト1024には、フォトニック結晶領域1105における空気穴の形状および位置を規定する複数の開口部が形成されている。
次に、Si層1203板状のうちパターニングされたレジスト1024によって覆われていない部分を異方的にエッチングし、図11(c)に示すようにフォトニック結晶領域1105を構成する空気穴1205をSi層1203に形成する。このエッチングは、例えば塩素系またはSF6のガスを用いて行うことができる。空気穴1205は、光導波路が形成されるべき領域以外の領域に配列される。空気穴1205は、Si層1203を貫通し、SiO2層1202に達する。
その後、弗酸を用いてSiO2層1202を部分的に除去することにより、図11(d)に示す空隙1206を形成する。続いて、図11(e)に示すように、リフトオフ用フォトレジスト1207および電子ビーム描画用のレジスト1208を基板表面に積層した後、光導波路上に装架する金属のパターニング用のマスクを形成する。
図11(f)に示すように、マスク上からZn、Ti、Auなどの金属1209を蒸着した後、レジスト剥離液によりリフトオフ用フォトレジスト1207、電子ビーム描画用のレジスト1208を除去する。これにより、図11(g)に示すように、金属1209からなる屈折率補償領域1103を光導波路上に形成し、本実施形態の光導波路素子を完成する。
なお、実施形態2や実施形態3の光導波路素子では、屈折率補償領域による屈折率の変化が緩やかになる。この場合、前述した光エネルギーの流れを整える効果が小さい。このため、屈折率補償領域の形状および位置と透過特性との関係は、実施形態1の光導波路素子におけるものから異なったものとなる。以下、この点を説明する。
(実施例2)
図12(a)は、屈折率補償領域1103を金(Au)で形成した場合における屈折率補償領域の位置シフト量と透過特性との関係を示すグラフであり、図12(b)は、屈折率補償領域の位置シフトを示す平面図である。図12(a)のグラフの横軸は、屈折率補償領域の位置シフト量である。位置シフト量は、光導波路を挟んで対向する2つの空気穴の中心1304,1305を結んだ線分の中点の位置1306に対して、屈折率補償領域の重心1307がどの方向にどれたけシフトしているかを示す。光導波方向の反対側に位置がシフトしているときは、位置シフト量の前に「−」符号を付加している。
図12(a)のグラフから明らかなように、位置シフト量が光導波方向の反対側に約0.1のとき、すなわち、屈折率補償領域303の重心位置が光導波方向に−0.1r程度シフトしているとき、透過率は最高値を示す。この理由は、本実施例の構成では、屈折率補償領域による光エネルギーの流れを整える効果が小さくなるためである。
二つの空気穴の中心1304,1305を結んだ線分の中点1306に対する屈折率補償領域の重心1307の位置関係は、−0.5r〜0.25rの範囲内にあることが望ましく、−0.45r〜0.25rの範囲にあることがより望ましく、−0.2r〜0.1rの範囲内にあることが更に望ましい。
本発明の光導波路素子を用いることにより、光ロスが少なく、小型化可能な光変調素子などの光デバイスを実現することが可能である。
本発明の光導波路素子は、発光ダイオード、レーザダイオード等の半導体発光素子の光導波部分としても使用可能であり、このような使用により、光導波路部分における伝送ロスを低減し、特性を向上させることが可能となる。
このように、本発明の光導波路素子は、光通信システムに適用して、その小型化、高効率化を実現する。
フォトニック結晶構造を有する光導波路素子の従来例を示す平面図である。 従来の光導波路素子における光導波路内の屈折率分布を模式的に示す図である。 (a)は、本発明の実施形態1における光導波路素子の平面図であり、(b)は、そのA−A'線断面図であり、(c)は、そのB−B'線断面図である。 (a)〜(h)は、実施形態1の光導波路素子の製造方法を示す工程断面図である。 (a)は、実施例1における基板と屈折率補償領域(高屈折率部分)との間の屈折率差と、光導波路透過率との関係を示すグラフであり、(b)は、屈折率補償領域の配置を模式的に示す平面図である。 (a)は、実施例1における屈折率補償領域(高屈折率部分)の位置シフトと、光導波路透過率との関係を示すグラフであり、(b)は、屈折率補償領域の配置を模式的に示す平面図である。 (a)は、従来の光導波路におけるポインティングベクトルを示す図であり、(b)は、実施形態1の光導波路におけるポインティングベクトルを示す図である。 (a)は、本発明の実施形態2における光導波路素子の平面図であり、(b)は、そのA−A'線断面図であり、(c)は、そのB−B'線断面図である。 (a)〜(h)は、実施形態2の光導波路素子の製造方法を示す工程断面図である。 (a)は、本発明の実施形態3における光導波路素子の平面図であり、(b)は、そのA−A'線断面図であり、(c)は、そのB−B'線断面図である。 (a)〜(g)は、実施形態3の光導波路素子の製造方法を示す工程断面図である。 (a)は、実施例2における屈折率補償領域の位置シフトと、光導波路透過率との関係を示すグラフであり、(b)は、屈折率補償領域の配置を模式的に示す平面図である。 実施例1における屈折率補償領域の幅と光導波路の透過率との関係を示すグラフである(導波路長10λ)。
符号の説明
101 基板
102 空気穴
103 光導波路
201 基板
202 空気穴
203 空気穴
204 低等価屈折率部
205 高等価屈折率部
301 基板
302 光導波路
303 屈折率補償領域
304 穴部
305 フォトニック結晶領域
306 空隙
401 ベース部分
402 光導波部分
403 マスクパターン
404 凹部
405 レジストパターン
406 凹部
503 屈折率補償領域(低屈折率)
602 酸化ニオブとニオブ酸リチウムとの屈折率差を示す矢印
603 窒化アルミニウムとニオブ酸リチウムとの屈折率差を示す矢印
604 穴部(空気穴)の中心
605 穴部(空気穴)の中心
606 中心604と中心605とを結んだ線分の中点
607 屈折率補償領域303の重心
801 穴部
802 穴部
803 ポインティングベクトル
901 基板
902 板状部材
903 屈折率補償領域
904 穴部
905 フォトニック結晶領域
906 空隙
1001 ベース部分
1002 板状部分
1003 マスクパターン
1004 凹部
1005 フォトニック結晶領域
1006 フォトレジスト
1007 電子ビーム描画用レジスト
1008 金属
1101 基板(SOI基板)
1102 光導波路
1103 屈折率補償領域
1104 穴部
1105 フォトニック結晶領域
1201 シリコン層
1202 SiO2
1203 シリコン層
1204 パターン
1205 空気穴
1206 空隙
1207 フォトレジスト
1208 電子ビーム描画用レジスト
1304 空気穴の中心
1305 空気穴の中心
1306 点1304と点1305を結んだ線分の中点
1307 屈折率補償領域1103の重心

Claims (13)

  1. 穴部が周期的に配列された複数のフォトニック結晶領域と、前記複数のフォトニック結晶領域の間に形成された光導波路を備え、
    前記フォトニック結晶領域に含まれる複数の穴部のうち、前記光導波路の両側において前記光導波路に隣接する複数の穴部は、前記光導波路の導波方向に沿って延びる中心軸に関して対称に配列されており、
    前記光導波路の内部に、前記中心軸に関して対称の関係にある各対の穴部に挟まれた部分の等価屈折率が他の部分の等価屈折率よりも高い材料からなる複数の高屈折率部分が導波方向に沿って周期的に配列されており、
    前記穴部の半径をrとしたとき、前記各高屈折率部分の重心位置は、いずれも、当該高屈折率部分を挟む前記対の穴部の中心を結ぶ直線の中点から導波方向に沿ってシフトしており、しかも、前記中点から導波方向に0.45r離れた位置と前記中点から導波方向とは反対の方向に0.25r離れた位置との間にある、光導波路素子。
  2. 前記高屈折率部分の配列周期は、前記フォトニック結晶領域における前記穴部の配列周期に等しい請求項1に記載の光導波路素子。
  3. 前記複数のフォトニック結晶領域および前記光導波路は基板に形成されている、請求項1に記載の光導波路素子。
  4. 前記基板の少なくとも表面領域は第1の材料から形成され、
    前記高屈折率部分は、前記第1の材料の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の材料から形成されている、請求項1に記載の光導波路素子。
  5. 前記高屈折率部分を構成する前記第2の材料は、前記基板に形成された穴を埋めている、請求項4に記載の光導波路素子。
  6. 前記第2の材料は、Ga、Si、Al、Ga、Nb、Ta、Ti,Zn、Au、Pt、Ni、およびGeからなる群から選択された少なくとも1種の金属の単体もしくは合金、または前記金属の化合物を含有する、請求項5に記載の光導波路素子。
  7. 前記金属の化合物は、リン、窒素、酸素、およびヒ素からなる群から選択された少なくとも1種の元素と前記金属との化合物である、請求項6に記載の光導波路素子。
  8. 前記基板はLiNbO3から形成されており、
    前記高屈折率部分はAlNから形成されている、請求項5に記載の光導波路素子。
  9. 前記基板はLiNbO3から形成されており、
    前記高屈折率部分はNb25から形成されている、請求項5に記載の光導波路素子。
  10. 前記高屈折率部分は、前記基板の改質された部分から形成されている、請求項1に記載の光導波路素子。
  11. 前記基板の改質された部分は、前記基板のうち金属の元素が拡散した部分である、請求項10に記載の光導波路素子。
  12. 前記基板は、前記複数のフォトニック結晶領域および前記光導波路を含む板状部材と、前記板状部材を支持するベース部材とを備え、
    前記穴部は、前記板状部材を貫通する孔から構成されている、請求項1に記載の光導波路素子。
  13. 前記板状部材と前記ベース部材との間にはエアギャップが設けられている、請求項10に記載の光導波路素子。
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