JP3926656B2 - 鉄芯切断方法及び鉄芯切断装置 - Google Patents

鉄芯切断方法及び鉄芯切断装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変圧器等に用いられる積層鉄芯を切断する鉄芯切断方法及び鉄芯切断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、変圧器の絶縁油としてポリ塩化ビフェニル(PCB)が使用されていた時期があり、その積層鉄芯の積層面にはPCBが塗布されていた。PCBは、電気絶縁性が良好で、水には不溶であるが有機溶媒及び油にはよく溶け、耐熱性がよいので、電気機器の変圧器、コンデンサーの絶縁油、熱媒体等に使用されてきた。しかし、PCBは、肝臓、消化器、神経系統の障害を引き起こすとともに、分解されにくく、代謝されずに脂肪に蓄積されるという性質が明らかにされ、現在は生産が禁止されている。このため、PCBの使用が認められていた時期に生産され、PCBが使用されている変圧器を処理する際には、その積層鉄芯の積層面に塗布されているPCBを、洗浄等によって完全に除去しなければならない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、変圧器等に用いられる積層鉄芯は、鋼板が積層された状態で環状に巻かれた構造となっている。このような状態のままでは、積層された鋼板間のPCBを洗浄除去することは困難である。したがって、かかる積層鉄芯を効率よく確実に切断し、その鋼板間に付着しているPCB等を除去することが容易な状態に変形して洗浄その他の処理を進めうる状態とする必要がある。
【0004】
本発明の目的は、使用済みの変圧器等を解体して取り出した積層鉄芯を効率よく確実に切断することができる鉄芯切断方法及び鉄芯切断装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、環状の積層鉄芯が載置されるテーブルと、前記積層鉄芯の内側中空部側に配置される中子を押さえる中子押さえ手段と、前記積層鉄芯外側から切断刃を押しつけることにより、前記積層鉄芯を切断する切断手段とを有し、前記テーブルには溝が設けられており、前記中子は、前記積層鉄芯の内側中空部側の前記溝に、前記積層鉄芯から突出するように配置され、前記中子押さえ手段は、前記溝を介して前記中子の下側を押さえ、前記積層鉄芯から突出した前記中子の上側を押さえることを特徴とする鉄芯切断装置により達成される。
【0006】
また、上記目的は環状の積層鉄芯が載置されるテーブルと、前記積層鉄芯の内側中空部側に配置される中子を押さえる中子押さえ手段と、前記積層鉄芯外側から切断刃を押しつけることにより、前記積層鉄芯を切断する切断手段とを有し、前記テーブルには凸部が設けられており、前記積層鉄芯は、前記テーブルとの間に間隙ができるように前記凸部上に載置され、前記中子は、前記積層鉄芯の内側中空部側の前記テーブル上に、前記積層鉄芯から突出するように配置され、前記中子押さえ手段は、前記間隙を介して前記中子の下側を押さえ、前記積層鉄芯から突出した前記中子の上側を押さえることを特徴とする鉄芯切断装置により達成される
【0007】
また、上記目的は、溝が設けられたテーブルに環状の積層鉄芯を載置し、前記積層鉄芯の内側中空部側の前記溝に、前記積層鉄芯から突出するように中子を配置し、前記溝を介して前記中子の下側を押さえ、前記積層鉄芯から突出した前記中子の上側を押さえながら、前記積層鉄芯外側から切断刃を押しつけることにより、前記積層鉄芯を切断することを特徴とする鉄芯切断方法により達成される。
【0008】
また、上記目的はテーブルに設けられた凸部上に、前記テーブルとの間に間隙ができるように環状の積層鉄芯を載置し、前記積層鉄芯の内側中空部側の前記テーブル上に、前記積層鉄芯から突出するように中子を配置し、前記間隙を介して前記中子の下側を押さえ、前記積層鉄芯から突出した前記中子の上側を押さえながら、前記積層鉄芯外側から切断刃を押しつけることにより、前記積層鉄芯を切断することを特徴とする鉄芯切断方法により達成される
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態による鉄芯処理方法について図1乃至図27を用いて説明する。
【0011】
図1は、本実施形態による鉄芯処理方法の各工程を示すフローチャートである。図示するように、本実施形態による鉄芯処理方法は、鉄芯を開環する鉄芯切断工程S1と、鉄芯湾曲除去工程S2と、鉄芯V字プレス工程S3と、洗浄工程S4とからなる。
【0012】
鉄芯切断工程S1は、鋼板が巻かれて成形された環状の積層鉄芯を、2つの開環状鉄芯である半環状鉄芯に分離切断する工程である。
【0013】
鉄芯湾曲除去工程S2は、鉄芯切断工程S1により積層鉄芯から得られた半環状鉄芯から湾曲を除去し、半環状鉄芯を、長さの異なる鋼板が積層してなる積層鋼板とする工程である。
【0014】
鉄芯V字プレス工程S3は、鉄芯湾曲除去工程S2により得られた積層鋼板を、その長手方向の中心軸に沿ってV字型にプレスして、ばらけている積層鋼板をまとめる工程である。
【0015】
洗浄工程S4は、鉄芯V字プレス工程S3によりまとめられた積層鋼板を効率的に洗浄する工程である。
【0016】
以下、各工程について図を参照しながら詳述する。
【0017】
〔1〕鉄芯切断工程S1
まず、鉄芯切断工程S1について図2乃至図4を用いて説明する。図2は、各種積層鉄芯を示す概略図、図3は、鉄芯切断装置の構造を示す上面図、図4は、各種鉄芯を切断する様子を示す概略図である。
【0018】
変圧器に用いられる積層鉄芯の種類としては、一般に、C型鉄芯、ラップ鉄芯、巻鉄芯が知られている。各種積層鉄芯について図2を用いて説明する。図2(a)は、C型鉄芯の構造を示す概略図、図2(b)は、ラップ鉄芯の構造を示す概略図、図2(c)は、巻鉄芯の構造を示す概略図である。
【0019】
C型鉄芯は、エンドレスに鋼板を巻いて成型した後に切断した2つの半環状鉄芯をワニス等で固定したものである。C型鉄芯は、図2(a)に示すように、所定の対向する位置にワニス固定部1a、1bを有している。
【0020】
ラップ鉄芯は、継目がほぼ同じ位置(ある範囲内であり、同一の位置ではない)になるように鋼板を一周ずつ巻いて成型したものである。ラップ鉄芯は、図2(b)に示すように、所定の位置範囲内に継目部2を有している。
【0021】
巻鉄芯は、数周毎に鋼板を継ぎ足しながら巻いて成型したものであり、図2(c)に示すように、鋼板の継目3が鉄芯の全周又は、特定の位置範囲内に散在している。
【0022】
使用済みの変圧器を解体して取り出した積層鉄芯は、上述のように各種の様式で鋼板が積層された環状構造となっている。したがって、このままの状態では、鋼板間のPCBなどの有害物質を除去することが困難であり、その後の処理を進めることができない。そこで、鋼板が環状に積層された積層鉄芯をまず分離切断する必要がある。鉄芯切断工程S1は、上述のような各種積層鉄芯を2つの半環状鉄芯に分離切断するものである。
【0023】
まず、鉄芯切断工程S1で用いる鉄芯切断装置について図3を用いて説明する。
【0024】
鉄芯切断装置は、図3に示すように、分離切断すべき積層鉄芯10が設置されるワーク設置部12と、積層鉄芯10の切断作業が行われる切断作業部14とからなる。
【0025】
ワーク設置部12には、テーブル15が設けられている。テーブル15上には、水平面内で回転可能なターンテーブル16が設けられている。ターンテーブル16上には、分離切断すべき積層鉄芯10が載置されている。積層鉄芯10が載置されたターンテーブル16の両側には、切断作業時における積層鉄芯10の変形及び位置ずれを防止する鉄芯固定部材18a、18b、18c、18dが設けられている。
【0026】
また、ワーク設置部12と切断作業部14との間にはレール20が設けられており、テーブル15が、ワーク設置部12から切断作業部14へ移動できるようになっている。
【0027】
切断作業部14では、ワーク設置部12からレール20を介して移動したテーブル15上のターンテーブル16の一端近傍に、積層鉄芯10を切断する切断装置22が設けられている。切断装置22は、切断刃24と、切断刃24を駆動してターンテーブル16上の積層鉄芯10を分離切断する切断刃駆動装置26とを有している。ターンテーブル16に対して切断装置22の反対側には、積層鉄芯10を押さえて位置ずれを防止する位置ずれ防止装置28が設けられている。位置ずれ防止装置28は、押さえ部材30と、押さえ部材30を駆動して積層鉄芯10を押さえる押さえ部材駆動装置32とを有している。
【0028】
テーブル15には車輪が設けられており、レール20上を移動することができる。
【0029】
ターンテーブル16は、水平面内で回転することによりその上に載置された積層鉄芯10の位置を変更する。
【0030】
鉄芯固定部材18a、18b、18c、18dは、板を油圧シリンダ等により積層鉄芯に押さえつけて、ターンテーブル16上に載置された積層鉄芯10を固定する。
【0031】
切断装置22は、切断作業部14に移動したターンテーブル16上の積層鉄芯10を切断する。切断刃駆動装置26が、ターンテーブル16上の積層鉄芯10に対して、油圧シリンダ等により切断刃24を一定方向に駆動して積層鉄芯10を切断する。
【0032】
位置ずれ防止装置28は、切断装置22による積層鉄芯10の切断の際に、切断刃24に対向する側から積層鉄芯10を押さえる。押さえ部材駆動装置32が、油圧シリンダ等により押さえ部材30を積層鉄芯10へと駆動することにより積層鉄芯10の位置ずれを防止する。
【0033】
次に、鉄芯切断工程S1における積層鉄芯の切断の手順について図3及び図4を用いて説明する。
【0034】
まず、使用済みの変圧器を解体して取り出した積層鉄芯10を、図3に示すように、ワーク設置部12においてターンテーブル16上に載置する。そして、積層鉄芯10を介して対向する鉄芯固定部材18a、18b、18c、18dの間隔を調整して積層鉄芯10が切断時に変形及び位置ずれしないようにする。
【0035】
次いで、積層鉄芯10を載置した後、テーブル15をワーク設置部12から切断作業部14へレール20により移動する。
【0036】
このとき、積層鉄芯10の種類がラップ鉄芯又は巻鉄芯の場合には、積層鉄芯10の内側中空部のターンテーブル16上に金属等からなる中子34を載置する。これにより、切断時の積層鉄芯10の変形を防止することができる。
【0037】
次いで、切断作業部14において積層鉄芯10の切断作業を行う。各種積層鉄芯のそれぞれの場合について、図4を用いて切断位置などを詳述する。図4(a1)及び図4(a2)は、C型鉄芯の切断の様子を示す概略図、図4(b1)及び図4(b2)は、ラップ鉄芯の切断の様子を示す概略図、図4(c1)乃至図4(c3)は、巻鉄芯の切断の様子を示す概略図である。
【0038】
C型鉄芯10aの場合、図4(a1)に示すように、まず、ターンテーブル16を回転して、ワニス固定部1aを切断刃24の位置に合わせる。次いで、押さえ部材30を押さえ部材駆動装置32により駆動してC型鉄芯10aをワニス固定部1bの側から押さえる。そして、ワニス固定部1a、1bが近づくようにC型鉄芯10aは変形し、ワニス接着面が割れて、2つに分割される。こうして、C型鉄芯10aを、図4(a2)に示すように、2つの半環状鉄芯36に分離する。
【0039】
ラップ鉄芯10bの場合、図4(b1)に示すように、まず、ターンテーブル16を回転して、継目2に対向する部分を切断刃24の位置に合わせる。次いで、押さえ部材30を押さえ部材駆動装置32により駆動してラップ鉄芯10bを継目2の側から押さえる。そして、切断刃24を駆動して継目2に対向する部分を切断する。継目2に対向する部分を切断した後、切断刃24及び押さえ部材30を元の位置に戻す。こうして、ラップ鉄芯10bを、図4(b2)に示すように、2つの半環状鉄芯38に切断する。
【0040】
巻鉄芯10cの場合、図4(c1)に示すように、まず、ターンテーブル16を回転して、巻鉄芯10cの所定の部分を切断刃24の位置に合わせる。次いで、押さえ部材30を押さえ部材駆動装置32により駆動して巻鉄芯10cを切断刃24の反対側から押さえる。そして、切断刃24を駆動して所定の部分を切断する。所定の部分を切断した後、切断刃24及び押さえ部材30を元の位置に戻す。次いで、図4(c2)に示すように、ターンテーブル16を180°回転し、はじめに切断した部分と対向する部分の位置を切断刃24の位置に合わせる。対向する部分についても同様にして切断刃24により切断する。対向する部分を切断した後、切断刃24及び押さえ部材30を元の位置に戻す。こうして、巻鉄芯10cを、図4(c3)に示すように、2つの半環状鉄芯40に切断する。
【0041】
鉄芯切断装置のオペレータは、ターンテーブル16上に載置された積層鉄芯10の種類に応じて、上述した各積層鉄芯の切断手順を適用する。
【0042】
次いで、ターンテーブル16をワーク設置部12に移動して、積層鉄芯10を切断した2つの半環状鉄芯を取り出す。こうして、鉄芯切断工程S1を終了する。
【0043】
このように、本鉄芯切断工程S1によれば、積層鉄芯の種類に制約されることなく、積層鉄芯を容易に半環状鉄芯に切断することができる。
【0044】
なお、ラップ鉄芯10bや巻鉄芯10cを切断する場合のように、積層鉄芯の継目や切断した部分を押さえ部材30により押さえて対向する部分を切断するときに、切断刃24の駆動により積層鉄芯に加わる力のために継目や切断部分がばらけてしまい、完全に切断できないことがある。そこで、積層鉄芯を切断する際に、中子34を直接押さえる構成としてもよい。これにより、切断される鉄芯部分を中子34を介して確実に押さえることができるので、ラップ鉄芯10bや巻鉄芯10cであっても、確実に切断することが可能となる。
【0045】
中子34を直接押さえて積層鉄芯を切断する場合の鉄芯切断装置の構成について、図5を用いて説明する。図5(a)は中子を直接押さえて積層鉄芯を切断する場合の鉄芯切断装置の切断作業部におけるターンテーブル上の積層鉄芯の上面図、図5(b)は図5(a)のA−A′線断面図、図5(c)は図5(a)のB−B′線断面図である。なお、図3に示す鉄芯切断装置と同様の構成部材については同一の符号を付し説明を省略し或いは簡略にする。
【0046】
図5(a)に示すように、ターンテーブル16には、ターンテーブル16中央付近を横切るように溝50が設けられている。溝50が設けられたターンテーブル16上に、積層鉄芯10が載置されている。積層鉄芯10の内側中空部の溝50には、金属等からなる中子34が立てられている。中子34の上端の位置は、図5(b)及び図5(c)に示すように、積層鉄芯10の上端の位置よりも高くなっている。
【0047】
鉄芯切断装置の位置ずれ防止装置28には、積層鉄芯10を押さえる押さえ部材30の代わりに、図5(b)に示すように、溝50を介して中子34の下側を押さえる下側押さえ部材52と、積層鉄芯10をまたいで中子34の上側を押さえる上側押さえ部材54とを有する中子押さえ部材56が設けられている。下側押さえ部52と上側押さえ部54とはほぼ並行に設けられており、下側押さえ部52は溝50に収まっている。
【0048】
積層鉄芯10を切断する際には、押さえ部材駆動装置32により中子押さえ部材56を溝50に沿って駆動する。これにより、中子34の下側を溝50を介して下側押さえ部材52により押さえ、中子34の上側を積層鉄芯10をまたいで上側押さえ部材54により押さえる。
【0049】
次いで、中子34の下側及び上側をそれぞれ下側押さえ部材52及び上側押さえ部材54により押さえた状態で、対向する方向から積層鉄芯10に対して切断刃駆動装置26により切断刃24を駆動して積層鉄芯10を切断する。
【0050】
切断後、下側押さえ部材52及び上側押さえ部材54を押さえ部材駆動装置32により、溝52に沿ってターンテーブル16外に移動する。また、切断刃24を元の位置に戻す。
【0051】
次いで、積層鉄芯10のはじめに切断した部分と対向する部分を切断する場合には、ターンテーブル16を180°回転する。
【0052】
次いで、押さえ部材駆動装置32により中子押さえ部材56を溝50に沿って駆動する。これにより、中子34の下側を溝50を介して下側押さえ部材52により押さえ、中子34の上側を積層鉄芯10をまたいで上側押さえ部材54により押さえる。
【0053】
次いで、中子34の下側及び上側をそれぞれ下側押さえ部材52及び上側押さえ部材54により押さえた状態で、対向する方向から積層鉄芯10に対して切断刃駆動装置26により切断刃24を駆動して積層鉄芯10を切断する。このとき、切断される鉄芯部分を中子34を介して確実に押さえることができるので、既に切断された部分が積層鉄芯10にあっても、確実に切断することが可能となる。
【0054】
はじめに切断した部分と対向した部分を切断した後、下側押さえ部材52及び上側押さえ部材54を押さえ部材駆動装置32により、溝52に沿ってターンテーブル16外に移動する。また、切断刃24を元の位置に戻す。こうして、積層鉄芯10が対向する部分で切断され、2つの半環状鉄芯とされる。
【0055】
このように、切断刃24により積層鉄芯10を切断するときに、切断刃24に対向して中子34の下側及び上側を直接押さえることにより、切断刃24の駆動に対して積層鉄芯10を確実に押さえることができる。これにより、積層鉄芯10を確実に切断することができる。
【0056】
なお、中子34の形状は、図5に示すものに限定されるものではない、例えば、図6(a)に示すように、中子34の溝50に入る部分については溝50の幅に合わせた幅とし、それ以外の部分については、積層鉄芯10の内側中空部の幅等に応じて幅を広くしたものであってもよい。
【0057】
また、図5では、溝50を介して中子34の下側を押さえる場合について示したが、中子34の下側を押さえる方法は、溝50を利用するものに限定されるものではない。例えば、図6(b)に示すように、ターンテーブル16にゲタ58を設け、ゲタ58上に積層鉄芯10を載置する。これにより、ターンテーブル16と積層鉄芯10との間に間隙60を設ける。この間隙60を介して、積層鉄芯10の内側中空部に載置された中子34の下側を下側押さえ部52により押さえ、中子34の上側を積層鉄芯10をまたいで上側押さえ部54により押さえる。これにより、切断刃24の駆動に対して積層鉄芯10を確実に押さえることができるので、積層鉄芯10を確実に切断することができる。
【0058】
〔2〕鉄芯湾曲除去工程S2
次に、鉄芯湾曲除去工程S2について図7及び図8を用いて説明する。図7は、鉄芯湾曲除去装置の構造を示す上面図、図8は、鉄芯湾曲除去工程における鉄芯の湾曲を除去する手順を示す概略図である。
【0059】
上述した鉄芯切断工程S1において、積層鉄芯を分離切断した後の半環状鉄芯は湾曲している。鉄芯湾曲除去工程S2は、上述の鉄芯切断工程S1により得られた積層鉄芯の半環状鉄芯の湾曲をならして除去するものである。なお、鉄芯湾曲除去工程S2は、鉄芯切断工程S1により各種積層鉄芯から得られた半環状鉄芯に対して同様に適用することが可能である。
【0060】
まず、鉄芯湾曲除去工程S2で用いる鉄芯湾曲除去装置について図7を用いて説明する。
【0061】
鉄芯湾曲除去装置には、図7に示すように、水平面内で回転可能なターンテーブル100が設けられている。ターンテーブル100の回転中心部には、円形の凸部102が設けられている。ターンテーブル100の凸部102近傍には、チャック106が設けられており、凸部102と挟んで半環状鉄芯104の中央部分を固定する。このとき、U字型の半環状鉄芯104は、その開環側がターンテーブルの外周を向いている。
【0062】
ターンテーブル100の近傍には、半環状鉄芯104の湾曲を除去する加圧装置108が設けられている。
【0063】
加圧装置108は、ターンテーブル100の回転中心に向けて移動し、半環状鉄芯104に対して湾曲方向とは反対方向に力を加えるロッド110と、ロッド110の移動を制御するロッド駆動装置112とを有している。ロッド110先端には、水平面内で回転可能なローラー113が設けられている。
【0064】
ターンテーブル100は、半環状鉄芯104の中央部分を凸部102とチャック106とにより挟んで固定する。このとき、U字型の半環状鉄芯104の開環側がターンテーブル100の外周を向くようにする。そして、固定した半環状鉄芯104を水平面内で回転する。
【0065】
加圧装置108は、ターンテーブル100により回転している半環状鉄芯104に対し、湾曲方向とは反対方向に力を加えることにより、半環状鉄芯の湾曲を除去する。ロッド駆動装置112が、油圧シリンダ等によりロッド110をターンテーブル100の回転中心に向けて移動してロッド110先端のローラー113を半環状鉄芯104に押し当てる。こうして半環状鉄芯104を凸部102とローラー113とで挟みながらターンテーブル100を回転することにより、湾曲を延ばすように湾曲方向とは反対方向に力を加えて湾曲を除去する。
【0066】
次に、鉄芯湾曲除去工程S2により半環状鉄芯104の湾曲を除去する手順について図8を用いて説明する。
【0067】
まず、半環状鉄芯104を、その中央部分を凸部102とチャック106とにより挟んでターンテーブル100上に固定する。このとき、U字型の半環状鉄芯104の開環側がターンテーブル100の外周を向くようにする。次いで、ターンテーブル100を回転して、半環状鉄芯104がロッド110に正対する位置に移動する(図8(a))。
【0068】
次いで、ロッド110をロッド駆動装置112によりチャック106の位置まで移動する(図8(b))。
【0069】
次いで、ターンテーブル100を一方向に回転することにより、半環状鉄芯104をロッド110に対して回転する。このとき、ロッド110を更に半環状鉄芯104に移動し、ロッド110先端のローラー113と半環状鉄芯104に押し当てる。このように、ターンテーブル100を回転しながら、ロッド110により半環状鉄芯104の湾曲部分に力を加え、湾曲部分を湾曲方向とは反対方向に曲げていく。湾曲方向とは反対に曲げられた半環状鉄芯104の鋼板は、ターンテーブル100の回転とともに凸部102の外周に巻きつけられる(図8(c))。
【0070】
半環状鉄芯104の鋼板の一端まで凸部102の外周に巻いた後、ターンテーブル100を元の位置まで反対方向に回転する。すると、凸部102に巻かれていた鋼板が復元して半環状鉄芯104の一方の湾曲が除去されL字型となったL字型積層鋼板114を得る(図8(d))。
【0071】
次いで、他方の湾曲部分についても同様に、上記と反対方向にターンテーブル100を回転することにより湾曲を除去する(図8(e)、図8(f)、図8(g))。こうして、鉄芯湾曲除去工程S2を終了する。
【0072】
上述のようにして半環状鉄芯104の湾曲を除去することにより、半環状鉄芯104を、図8(g)に示すように、長さの異なるほぼ直線上の鋼板が積層してなる積層鋼板116とすることができる。ここで、積層鋼板116は、積層方向の上面及び下面付近の鋼板が長手方向に沿って曲がって各鋼板がばらけた状態となっている。
【0073】
このように、本鉄芯湾曲除去工程S2によれば、積層鉄芯の種類に制約されることなく、積層鉄芯を切断して得られた半環状鉄芯の湾曲を容易に除去することができる。
【0074】
〔3〕鉄芯V字プレス工程S3
次に、鉄芯V字プレス工程S3について図9及び図10を用いて説明する。図9は、鉄芯V字プレス装置の構造を示す概略図、図10は、鉄芯V字プレス工程におけるプレス前後の様子を示す概略図である。
【0075】
上述の鉄芯湾曲除去工程S2により得られた長さの異なる鋼板が積層してなる積層鋼板116は、図8(g)に示すように、積層方向の上面及び下面付近の鋼板が長手方向に沿って曲がって各鋼板がばらけた状態となっている。したがって、このままの状態では十分な洗浄を効率よく行うことができない。すなわち、所定の大きさの洗浄槽にばらけた状態のある程度の枚数の鋼板を入れるためには、鋼板同士が密着することとなり、密着した部分の洗浄が十分にできない。逆に、密着しない程度の枚数の鋼板を一回で洗浄すると、洗浄の効率が低下することとなる。鉄芯V字プレス工程S3は、かかる状態の積層鋼板から曲がりを除去してまとめることにより、積層鋼板を、十分な洗浄を効率よく行うことができる状態にするものである。
【0076】
まず、鉄芯V字プレス工程S3で用いる鉄芯V字プレス装置について図9を用いて説明する。図9(a)は、鉄芯V字プレス装置の構造を示す正面図、図9(b)は、図9(a)のA−A′線断面図である。
【0077】
鉄芯V字プレス装置では、図9(a)及び図9(b)に示すように、鉄芯湾曲除去工程により得られたばらけた状態の積層鋼板が載置されるステージ200が設けられている。ステージ200上方には、積層鋼板をその長手方向に沿ってプレスするプレス刃202が配置されている。プレス刃202は、ステージ200に対してプレス刃202を油圧シリンダ等により垂直に駆動するプレス刃駆動装置204に接続されている。
【0078】
次に、鉄芯V字プレス工程S3における積層鋼板のプレスの手順について図10を用いて説明する。図10(a)は、鉄芯V字プレス装置のステージ上に載置されたプレス前の積層鋼板の様子を示す断面図、図10(b)は、プレス後の積層鋼板の様子を示す断面図である。なお、図10(a)及び図10(b)の断面方向は、図9(b)の場合と同じである。
【0079】
まず、図10(a)に示すように、鉄芯湾曲除去工程S2により得られた積層鋼板206をステージ200上に載置する。このとき、積層鋼板206の長手方向の中心線と、プレス刃202の位置を合わせる。
【0080】
次いで、プレス刃駆動装置204により、プレス刃202をステージ202方向に駆動して、積層鋼板206をその長手方向の中心線に沿ってプレス刃202により押圧する。こうして、図10(b)に示すように、積層鋼板206をV字状にプレスする。これにより、積層鋼板206のうち曲がっていた鋼板が他の鋼板と同じようにV字にプレスされるので、曲がっていた鋼板から曲がりが除去され、ばらけた状態の積層鋼板206がまとまる。こうして、鉄芯V字プレス工程S3を終了する。なお、プレス刃202の方向は、積層鋼板206の長手方向から若干、例えば20度程度ずれていても同様の効果が得られる。
【0081】
このように、本鉄芯V字プレス工程S3によれば、鉄芯湾曲除去工程S2により得られた積層鋼板206をV字状にプレスすることにより、長手方向に沿って曲がってばらけた状態となっていた積層鋼板206をまとめることができ、十分な洗浄を効率よく行うことができる。
【0082】
なお、鉄芯湾曲除去工程S2により得られた積層鋼板206のばらけの程度が小さい場合等には、本鉄芯V字プレス工程S3を適用しなくてもよい。
【0083】
〔4〕洗浄工程S4
次に、洗浄工程S4について図11乃至図26を用いて説明する。
【0084】
上述した鉄芯切断工程S1、鉄芯湾曲除去工程S2、鉄芯V字プレス工程S3を経て、積層鉄芯から得られた積層鋼板は、主面に付着した汚れなどにより密着した状態になっている。積層鋼板の主面の汚れとしては、積層前に付着したものや、積層された状態のときに主面間に入り込んだもの等がある。したがって、主面間を十分に洗浄することができなければ、PCB等の有害物質を除去することができない。
【0085】
かかる積層鋼板を洗浄する洗浄工程S4では、以下の板状体洗浄方法及び装置を適用することができる。洗浄工程S4で用いる板状体洗浄方法及び装置の各具体例についてそれぞれ詳述する。
【0086】
[第1の具体例]
第1の具体例による板状体洗浄方法及び装置について図11乃至図18を用いて説明する。図11は、本具体例による板状体洗浄装置の構造を示す概略図、図12は、変圧器の積層鉄芯を示す概略図、図13は、板状体ホルダーの構造を示す概略図、図14は、板状体分離機の原理を示す概略図、図15は、洗浄バスケットの構造を示す概略図、図16は、板状体洗浄装置の板状体を水平に収容した状態の構造を示す概略図、図17は、板状体洗浄方法の手順を示す断面図、図18は、段付鉄芯を洗浄するときの板状体ホルダーの洗浄バスケットへの収容を示す断面図である。
【0087】
(1)板状体洗浄装置
まず、本具体例による板状体洗浄装置について図11乃至図16を用いて説明する。図11(a)は、板状体洗浄装置の構造を示す上面図、図11(b)は図11(a)のA−A′線断面図、図11(c)は図11(a)のB−B′線断面図である。図13(a)は、板状体ホルダーの構造を示す上面図、図13(b)は図13(a)のA−A′線断面図、図13(c)は図13(a)のB−B′線断面図、図13(d)は板状体ホルダーからの板状体の取り外しを示す概略図である。図15(a)は、洗浄バスケットの構造を示す上面図、図15(b)は図15(a)のA−A′線断面図、図15(c)は図15(a)のB−B′線断面図である。
【0088】
最初に、本具体例による板状体洗浄装置の全体構成について説明する。本具体例による板状体洗浄装置には、図11に示すように、洗浄対象物である積層された板状体314の洗浄が行われる洗浄槽310が設けられている。洗浄槽310には、洗浄すべき積層された板状体314が配置された板状体ホルダー316が、洗浄バスケット312に収容されて投入されている。洗浄バスケット312に収容されている板状体ホルダー316には、各板状体314間に空隙を生じる板状体分離機318が板状体314の板幅に合わせて設けられており、これら板状体分離機318の間に端面を挟まれて、積層された板状体314が配置されている。このような状態で、洗浄槽310内に満たされた洗浄用流体により、積層された板状体314の洗浄が行われる。なお、洗浄バスケット312には、洗浄用流体が流通する開口部(図示せず)が側面、底面に設けられている。
【0089】
次に、本具体例による板状体洗浄装置の各構成部分について以下に詳述する。
【0090】
(a)板状体314
洗浄対象物である板状体314は、鉄板や鋼板等の磁界が誘起される材料、すなわち磁性体からなるものである。複数枚のこのような板状体314が積層され、隣接する板状体314の主面は、板状体314の主面に付着した汚れなどにより密着した状態になっている。板状体314の主面の汚れとしては、積層前に付着したものや、積層された状態のときに主面間に入り込んだもの等がある。
【0091】
積層された各板状体314は、実質的に同じ大きさであることが望ましく、少なくとも同じ板幅であることが望ましい。
【0092】
ここで、変圧器等に使用される積層鉄芯を洗浄する場合について図12を用いて説明する。積層鉄芯315は、図12(a)に示すような積層された鋼板が環状になっている。
【0093】
このような積層鉄芯315に対して、本実施形態による鉄芯処理方法の鉄芯切断工程S1、鉄芯湾曲除去工程S2、及び鉄芯V字プレス工程S3を順次適用する。これにより、図12(b)に示すように、板幅が同じで長さの異なる板状体が積層されている状態にすることができる。こうして、本具体例による板状体洗浄方法及び装置を適用することができる。
【0094】
なお、他の図においては、簡単のため、V字状にプレスされた状態を省略して板状体を図示することとする。
【0095】
(b)板状体ホルダー316
板状体ホルダー316の構造を図13に示す。板状体ホルダー316には、洗浄対象物である積層された板状体314の板幅に合うように板状体分離機318が設けられている。これらの板状体分離機318に端面から挟まれるように、積層された板状体314が板状体ホルダー316に配置される。
【0096】
図12(b)に示すような状態にした積層鉄芯315の場合には、板幅の揃っている長手方向の端面が板状体分離機318に挟まれるように、板状体ホルダー316に配置される。
【0097】
各板状体分離機318には、図14に示すように、積層された板状体314の端面に対向する面に、磁石319(永久磁石或いは電磁石)が設けられている。このような板状体分離機318によって、積層された状態の、磁性体からなる各板状体314の主面方向に沿って、隣接する板状体314の同じ端面位置に同じ磁極を誘起することができる。
【0098】
板状体分離機318による磁極の誘起により、積層された各板状体314間には反発力が生じ、これまで密着していた各板状体314間に空隙が生じる。これによって、積層された各板状体314の主面間に洗浄液や洗浄蒸気等の洗浄用流体を容易に導入することができ、各板状体314の主面を充分に洗浄することが可能となる。同時に、磁性体からなる板状体314は、その端面が磁力によって板状体分離機318に吸着される。
【0099】
また、板状体ホルダー316底面には、ジグ導入用開口部320が設けられ、ここから板状体取り外し用ジグ322を挿入することにより、磁力によって板状体分離機318に吸着している板状体314を板状体分離機318から取り外すことが可能になっている。
【0100】
(c)洗浄バスケット312
洗浄バスケット312の構造を図15に示す。洗浄バスケット312は、洗浄すべき積層された板状体314が配置された板状体ホルダー316が収容されるものである。
【0101】
洗浄バスケット312の側面には、溝313が設けられており、溝313に板状体ホルダー316の基部の端部を挿入して固定することができる。これにより、板状体ホルダー316を、図11に示すように板状体314の積層面が垂直になるように洗浄バスケット312に収容することができる。なお、洗浄バスケット312には、複数の板状体ホルダー316を収容することが可能である。
【0102】
板状体314が配置された板状体ホルダー316は、上述のように洗浄バスケット312に収容された状態で洗浄槽310へ投入される。
【0103】
(d)洗浄槽310
洗浄槽310は、板状体314が配置された板状体ホルダー316を収容した洗浄バスケット312が投入されて洗浄が行われるものであり、洗浄用流体の導入及び排出が自由にできるようになっている。
【0104】
図11は、積層された板状体314が配置された板状体ホルダー316を、板状体314の積層面が垂直になるように収容した洗浄バスケット312が洗浄槽310に投入されている状態を示している。このような状態で、洗浄槽310に満たされた洗浄用流体によって板状体314の洗浄が行われる。
【0105】
また、洗浄槽310は減圧可能な構造となっており、洗浄の終了した板状体314を、そのまま洗浄槽310内で減圧乾燥することが可能である。
【0106】
なお、多段洗浄装置等の各種洗浄装置の洗浄槽を、本具体例による板状体洗浄装置の洗浄槽として利用することも可能である。
【0107】
(e)洗浄用流体
洗浄用流体は、液体又は蒸気の洗浄剤であり、洗浄槽310内に満たされて板状体314の洗浄に用いられる。洗浄用流体としては、例えば、パラフィン系溶剤や、ナフテン系溶剤といった炭化水素系溶剤等の、通常の金属の洗浄に用いられる洗浄剤を用いることができる。洗浄対象物である板状体314の汚れの種類や状態等に応じて、洗浄用流体を適宜選択することが望ましい。
【0108】
なお、上述のように板状体314の積層面を垂直にして洗浄を行うだけでなく、図16のように、板状体314の積層面を水平にして洗浄することも可能である。図16は、積層された板状体314が配置された板状体ホルダー316を、板状体314の積層面が水平になるように収容した洗浄バスケット312が洗浄槽310に投入されている状態を示している。このように、板状体ホルダー316の基部を底にして、板状体314の積層面が水平になるように、板状体ホルダー316を洗浄バスケット312に収容してもよい。この場合、複数の板状体ホルダー316を並べて収容するだけでなく、積み重ねて収容することが可能である。
【0109】
(2)板状体洗浄方法
次に、本具体例による板状体洗浄方法について図17及び図18を用いて説明する。
【0110】
まず、図17(a)に示すように、積層された状態の洗浄すべき板状体314を、端面が板状体分離機318に挟まれるように板状体ホルダー316に配置する。
【0111】
板状体314を板状体ホルダー316に配置すると、板状体分離機318によって、板状体314の主面方向に沿って、隣接する板状体314の端面位置に同じ磁極が誘起される。誘起された磁極によって、積層された各板状体314間には反発力が生じ、この結果、これまで密着していた各板状体314間に空隙が生じる。また、このとき各板状体314の端面は、磁力によって板状体分離機318に吸着される。
【0112】
次に、図17(b)に示すように、積層された板状体314を配置した板状体ホルダー316を洗浄バスケット312内に収容する。板状体314を配置した板状体ホルダー316を、板状体314の積層面が垂直になるように洗浄バスケット312に収容する場合には、洗浄バスケット312側面の溝313に板状体ホルダー316の基部の端部を差し込み、板状体ホルダー316の転倒を防止する。また、板状体314の積層面が水平になるように、板状体ホルダー316を洗浄バスケット312に収容してもかまわない。この場合は、板状体ホルダー316を複数積み重ねて洗浄バスケット312に収容することができる。
【0113】
なお、段付鉄芯のように板幅の異なる板状体が積層されているものを洗浄する場合には、図18に示すように、段付鉄芯323のうち板幅の小さな鉄板が一方の板状体分離機318に吸着し、離脱することなく洗浄できる。
【0114】
続いて、図17(c)に示すように、板状体314が配置された板状体ホルダー316を収容した洗浄バスケット312を洗浄槽310に投入し、洗浄液を洗浄槽310に導入して板状体314を洗浄する。なお、洗浄バスケット312を洗浄槽310に投入する前に予め洗浄槽310に洗浄液を導入しておいてもよい。洗浄液による洗浄終了後、洗浄液を洗浄槽310から排出してから洗浄蒸気を洗浄槽310に導入し、洗浄蒸気によって板状体314を洗浄する。
【0115】
上述の洗浄工程において、板状体ホルダー316に配置された各板状体314間には空隙が生じているため、各板状体314間に容易に洗浄液及び洗浄蒸気を導入することができ、各板状体314の主面を充分に洗浄することができる。板状体314の洗浄には、各種洗浄方法を適用することが可能であり、例えば、加熱洗浄や超音波洗浄を行ってもよい。
【0116】
洗浄蒸気による板状体314の洗浄終了後、洗浄蒸気の洗浄槽310への導入を停止し、洗浄槽310内を減圧して板状体314を減圧乾燥する。
【0117】
板状体314の乾燥終了後、洗浄バスケット312を洗浄槽310より引き揚げ、洗浄バスケット312から板状体ホルダー316を取り出す。
【0118】
続いて、図17(d)に示すように、洗浄バスケット312から取り出した板状体ホルダー316のジグ導入用開口部320から板状体取り外し用ジグ322を挿入し、磁力によって板状体分離機318に吸着している板状体314を加圧して板状体ホルダー316から取り外す。こうして、積層された板状体314の洗浄を終了する。なお、板状体314に磁極を誘起するために、板状体分離機318に電磁石を設けている場合には、板状体分離機318の電磁石の励磁を停止することによっても板状体314を取り外すことができる。
【0119】
このように本具体例によれば、積層された板状体の主面を、積層された状態のまま効率よく洗浄することができる。
【0120】
[第2の具体例]
第2の具体例による板状体洗浄方法及び装置について図19乃至図22を用いて説明する。図19は、本具体例による板状体洗浄装置の構造を示す概略図、図20は、洗浄バスケットの構造を示す概略図、図21は、洗浄槽の構造を示す概略図、図22は、板状体洗浄方法の手順を示す断面図である。なお、第1の具体例と同一の構成部材については同一の符号を付与し、説明を省略或いは簡略にする。
【0121】
(1)板状体洗浄装置
まず、本具体例による板状体洗浄装置について図19乃至図21を用いて説明する。図19(a)は、本具体例による板状体洗浄装置の構造を示す上面図、図19(b)は図19(a)のA−A′線断面図、図19(c)は図19(a)のB−B′線断面図である。図20(a)は、洗浄バスケットの構造を示す上面図、図20(b)は図20(a)のA−A′線断面図、図20(c)は図20(a)のB−B′線断面図である。図21(a)は、洗浄槽の構造を示す上面図、図21(b)は図21(a)のA−A′線断面図、図21(c)は図19(a)のB−B′線断面図である。
【0122】
本具体例による板状体洗浄装置では、図19に示すように、積層された板状体314の洗浄が行われる洗浄槽310が設けられている。洗浄槽310には、ガイドバー324に合わせて積層された板状体314を積層面を水平にして収容した洗浄バスケット312が設置されている。ここで、洗浄槽310底面に設けられている板状体分離機318が、洗浄バスケット312底面に設けられている板状体分離機導入用開口部326を介して、洗浄バスケット312内の積層された板状体314端面に対向している。このような状態で、洗浄槽310内に満たされた洗浄用流体により、積層された板状体314の洗浄が行われる。
【0123】
以下に、本具体例による板状体洗浄装置における洗浄バスケット312及び洗浄槽310について詳述する。
【0124】
洗浄バスケット312には、図20に示すように、板状体314の端面の位置合わせのためのガイドバー324が設けられ、ガイドバー324に端面を合わせて板状体314が積層面を水平にして直接収容される。また、洗浄バスケット312底面には、洗浄槽310に設けられた板状体分離機318と同じ配置で板状体分離機導入用開口部326が設けられている。図19に示すように、洗浄バスケット312を洗浄槽310に設置したときに、板状体分離機導入用開口部326を介して、洗浄槽310の板状体分離機318が洗浄バスケット312底面から板状体314の端面に合わせて突出することができる。
【0125】
洗浄槽310には、図21に示すように、その底面に板状体分離機318が設けられている。板状体分離機318は、図19に示すように、洗浄バスケット312が洗浄槽310に設置されたときに、洗浄バスケット312の板状体分離機導入用開口部326を介して、洗浄槽12内の板状体314の端面に対向し、積層された各板状体314の主面方向に沿って、隣接する板状体314の同じ端面位置に同じ磁極を誘起することができる。
【0126】
なお、多段洗浄装置等の各種洗浄装置の洗浄槽に上述の板状体分離機318を設けて、本具体例による板状体洗浄装置の洗浄槽として利用することも可能である。
【0127】
このように、本具体例による板状体洗浄装置は、積層された板状体314間に空隙をつくる板状体分離機318を洗浄槽310底面に設けたことに主たる特徴がある。洗浄槽310に板状体分離機318を設け、洗浄バスケット312に板状体314を収容することにより、洗浄終了後に洗浄バスケット312を洗浄槽310から引き揚げるだけで、板状体314を板状体分離機318から取り外すことが可能となる。
【0128】
(2)板状体洗浄方法
次に、本具体例による板状体洗浄方法について図22を用いて説明する。
【0129】
まず、図22(a)に示すように、洗浄バスケット312のガイドバー324に端面を合わせて、積層された板状体314を積層面を水平にして配置する。
【0130】
次いで、図22(b)に示すように、洗浄バスケット312の板状体分離機導入用開口部326の位置と、洗浄槽310の板状体分離機318の位置とを合わせて、洗浄バスケット312を洗浄槽310に設置する。これにより、洗浄槽310の板状体分離機318は、洗浄バスケット312内の板状体314の端面に合わせて配置され、板状体314の主面方向に沿って、隣接する板状体314の同じ端面位置に同じ磁極を誘起する。誘起された磁極によって各板状体314間には反発力が生じ、この結果、これまで密着していた各板状体314間に空隙が生じる。
【0131】
このような状態で、洗浄液を洗浄槽310に導入して洗浄液によって板状体314を洗浄する。なお、洗浄バスケット312を洗浄槽310に設置する前に、予め洗浄槽310に洗浄液を導入しておいてもよい。洗浄液による洗浄終了後、洗浄液を洗浄槽310から排出してから洗浄蒸気を洗浄槽310に導入し、洗浄蒸気によって板状体314を洗浄する。第1の具体例と同様に、板状体314の洗浄には各種洗浄方法を適用することが可能である。
【0132】
洗浄蒸気による板状体314の洗浄終了後、洗浄蒸気の洗浄槽310への導入を停止し、洗浄槽内10を減圧して板状体314を減圧乾燥する。
【0133】
板状体314の減圧乾燥終了後、図22(c)に示すように、洗浄バスケット312を洗浄槽310から引き揚げ、板状体314を洗浄槽310の板状体分離機318から取り外す。次いで、洗浄バスケット312から板状体314を取り出す。こうして、板状体314の洗浄を終了する。
【0134】
このように本具体例によれば、積層された板状体の主面を、積層された状態のまま効率よく洗浄することができる。
【0135】
[第3の具体例]
第3の具体例による板状体洗浄方法及び装置について図23乃至図26を用いて説明する。図23は、本具体例による板状体洗浄装置の構造を示す概略図、図24は、洗浄バスケットの構造を示す概略図、図25は、洗浄槽の構造を示す概略図、図26は、板状体洗浄方法の手順を示す概略図である。なお、第1の具体例及び第2の具体例と同一の構成部材については同一の符号を付与し、説明を省略或いは簡略にする。
【0136】
(1)板状体洗浄装置
まず、本具体例による板状体洗浄装置について図23乃至図25を用いて説明する。図23(a)は、本具体例による板状体洗浄装置の構造を示す上面図、図23(b)は図23(a)のA−A′線断面図、図23(c)は図23(a)のB−B′線断面図である。図24(a)は、洗浄バスケットの構造を示す上面図、図24(b)は図24(a)のA−A′線断面図、図24(c)は図24(a)のB−B′線断面図である。図25(a)は、洗浄槽の構造を示す上面図、図25(b)は図25(a)のA−A′線断面図、図25(c)は図25(a)のB−B′線断面図である。
【0137】
本具体例による板状体洗浄装置では、図23に示すように、積層された板状体314の洗浄が行われる洗浄槽310が設けられている。洗浄槽310には、ガイドバー324に合わせて積層された板状体314を積層面を垂直にして収容した洗浄バスケット312が設置されている。ここで、洗浄槽310底面に設けられている板状体分離機318が、洗浄バスケット312底面に設けられている板状体分離機導入用開口部326を介して、洗浄バスケット312内の積層された板状体314の下側端面に対向している。また、洗浄槽310に設けられている可動式板状体分離機328が、洗浄バスケット312に収容されている板状体314の上側端面に対向するように配置されている。このような状態で、洗浄槽310内に満たされた洗浄用流体によって、積層された板状体314の洗浄が行われる。
【0138】
以下に、本具体例による板状体洗浄装置における洗浄バスケット312及び洗浄槽310について詳述する。
【0139】
洗浄バスケット312には、図24に示すようにガイドバー324が設けられ、板状体314が、ガイドバー324に合わせて積層面を垂直にして直接収容される。また、洗浄バスケット312底面には、板状体分離機導入用開口部326が洗浄槽310底面の板状体分離機318と同じ配置で設けられている。洗浄バスケット312を洗浄槽310に設置したときに、図23に示すように、この板状体分離機導入用開口部326を介して、洗浄バスケット312に配置された板状体314の下側端面に板状体分離機318が対向することができる。
【0140】
洗浄槽310には、図25に示すように底面に板状体分離機318が設けられている。板状体分離機318は、図23に示すように、洗浄バスケット312が洗浄槽310に設置されたときに、洗浄バスケット312の板状体分離機導入用開口部326を介して、洗浄バスケット312内に積層面を垂直にして収容された板状体314の下側端面に対向し、積層された各板状体314の主面方向に沿って、隣接する板状体314の同じ端面位置に同じ磁極を誘起することができる。
【0141】
更に、洗浄槽310には、板状体314を収容した洗浄バスケット312が設置されたときに、洗浄槽310の側壁の位置から板状体314の上側端面に回転して移動し、板状体314の上側端面から電磁石によって磁界を誘起することができる可動式板状体分離機328が設けられている。洗浄バスケット312の洗浄槽310への設置及び洗浄槽310からの引き揚げは、可動式板状体分離機328を洗浄槽310の側壁の位置にして行うことができる。
【0142】
なお、第2の具体例と同様に、多段洗浄装置等の各種洗浄装置の洗浄槽に上述の板状体分離機318と可動式板状体分離機328とを設けて、本具体例による板状体洗浄装置の洗浄槽として利用することも可能である。
【0143】
本具体例による板状体洗浄装置は、板状体分離機318を洗浄槽310底面に設け、更に、可動式板状体分離機328を設けたことに主たる特徴がある。これらにより、洗浄バスケット312に積層面を垂直にして収容された板状体314に対して、上側及び下側端面から主面方向に向かって同じ端面位置に同じ磁極を誘起することが可能となる。
【0144】
(2)板状体洗浄方法
次に、本具体例による板状体洗浄方法について図26を用いて説明する。
【0145】
まず、図26(a)に示すように、積層された板状体314を、洗浄バスケット312のガイドバー324に合わせて積層面を垂直にして収容する。
【0146】
次いで、図26(b)に示すように、洗浄バスケット312の板状体分離機導入用開口部326の位置と、洗浄槽310の板状体分離機318の位置とを合わせて、洗浄バスケット312を洗浄槽310に設置する。これにより、洗浄槽310底面の板状体分離機318は、洗浄バスケット312内の板状体314の下側の端面に合わせて配置される。続いて、可動式板状体分離機328を洗浄槽310の側壁の位置から回転して移動し、板状体314の上側の端面に配置する。
【0147】
上述の洗浄槽310底面の板状体分離機318と、板状体314の上側の端面に配置された可動式板状体分離機328とによって、板状体314の主面方向に沿って隣接する板状体314の同じ端面位置に同じ磁極を誘起する。誘起された磁極による反発力のために、これまで密着していた各板状体314間に空隙が生じる。
【0148】
このような状態で洗浄液を洗浄槽310内に導入し、板状体314を洗浄する。なお、予め洗浄液を導入しておいた洗浄槽310に洗浄バスケット312を設置してもよい。洗浄液による洗浄終了後、洗浄液を排出してから洗浄蒸気を導入し、洗浄蒸気によって板状体314を洗浄する。第1の具体例と同様に、板状体314の洗浄には各種洗浄方法を適用することが可能である。
【0149】
洗浄蒸気による洗浄終了後、洗浄蒸気の洗浄槽310への導入を停止し、洗浄槽内を減圧して板状体314を減圧乾燥する。
【0150】
板状体314の減圧乾燥終了後、図26(c)に示すように、可動式板状体分離機328の電磁石の励磁を停止してから、可動式板状体分離機328を回転して板状体314の上側端面から洗浄槽310の側壁位置に移動し、洗浄バスケット312を洗浄槽310から引き揚げる。次いで、洗浄バスケット312から板状体314を取り出す。こうして、板状体314の洗浄を終了する。
【0151】
このように本具体例によれば、積層された板状体の主面を、積層された状態のまま効率よく洗浄することができる。
【0152】
[第4の具体例]
第4の具体例による板状体洗浄方法及び装置について図27を用いて説明する。図27は、本具体例による洗浄バスケットの構造を示す概略図である。なお、第1乃至第3の具体例と同一の構成部材については同一の符号を付与し、説明を省略或いは簡略にする。
【0153】
本具体例による板状体洗浄装置は、板状体を収容する洗浄バスケットのみに板状体分離機を設けている点に主たる特徴がある。本具体例による洗浄バスケットについて図27を用いて説明する。図27(a)は、本具体例による洗浄バスケットの構造を示す上面図、図27(b)は図27(a)のA−A′線断面図、図27(c)は図27(a)のB−B′線断面図である。
【0154】
洗浄バスケット312には、図27に示すように、板状体314が積層面を垂直にして直接収容される。洗浄バスケット312底面及び上面には、板状体314の積層方向に垂直に板状体分離機318が設けられている。板状体分離機318は、洗浄バスケット312内に積層面を垂直にして収容された板状体314の上側及び下側端面に対向し、積層された各板状体314の主面方向に沿って、隣接する板状体314の同じ端面位置に同じ磁極を誘起することができる。
【0155】
バスケット312への板状体の収容時及び取り出し時には、図27(c)に示すように、板状体分離機318は、バスケット312内部方向を向かないように開くことができる。これにより、バスケット内への板状体314の収容及び取り出しを自由に行うことができる。
【0156】
上述したバスケット312に収容した板状体314については、第1の具体例の場合と同様に、バスケット312を洗浄槽310に収容して洗浄することができる。
【0157】
また、板状体の板幅が異なる場合、図27(b)に示すように、板幅の狭い板状体330をバスケット312の上面に設けられた板状体分離機318の磁力により垂直にぶら下げることができる。これにより、板幅が異なる板状体314、330が積層された状態であっても、バスケット312内で板幅の狭い板状体330が倒れることがない。したがって、各板状体314、330の主面を十分に洗浄することができる。
【0158】
[板状体洗浄方法及び装置の変形例]
板状体洗浄方法及び装置については、上記具体例に限らず種々の変形が可能である。
【0159】
例えば、上記具体例では、積層された板状体314の両側の端面に板状体分離機318或いは可動式板状体分離機328を配置し、板状体314に磁極を誘起しているが、板状体314の片側の端面のみに板状体分離機318或いは可動式板状体分離機328が配置されるような構成であっても、積層された板状体314に磁極を誘起して各板状体314間に空隙を生じ、各板状体314間に洗浄用流体を導入することができればよい。
【0160】
また、上記具体例では、洗浄液での板状体314の洗浄後、洗浄蒸気での洗浄を行っているが、板状体314の洗浄はこれに限定されるものではない。例えば、板状体314を洗浄液で洗浄した後、再度同一或いは別種の洗浄液で洗浄し、続いて洗浄蒸気で洗浄してもよい。
【0161】
また、上記具体例では、板状体314の洗浄終了後、洗浄槽310内で減圧乾燥を行っているが、板状体314の乾燥は、これに限定されるものではない。例えば、別途乾燥室を設け、そこに洗浄した板状体314を移動して乾燥を行ってもよい。この場合、洗浄槽310は、減圧可能な構造である必要はない。なお、板状体314の乾燥の際にも、板状体分離機318によって、各板状体314間に空隙が生じていることが望ましい。
【0162】
また、上記具体例による板状体洗浄方法の一連の工程は、制御装置等を組み込み、自動化して行ってもよい。
【0163】
なお、上述した板状体洗浄方法及び装置は、鋼板や、薄板プレス部品等の積層されている状態の磁性体からなる板状体の主面の洗浄にも適用することが可能である。これらような積層された板状体の主面は互いに接触し、主面に付着した絶縁油やプレス油等の表面張力によりに密着している。このような状態のまま洗浄液に浸漬して洗浄しようとしても、密着している主面間に洗浄液が入り込むことは困難であり、積層された板状体の主面を洗浄することは困難である。また、積層された状態で洗浄液に浸漬された板状体に対して、超音波や揺動等の物理力を加えても、密着している板状体の主面を洗浄することは困難である。
【0164】
一方、積層された板状体を一枚一枚剥離してから、それらの主面を洗浄することは可能であるが、積層された板状体は剥離することが容易でないことも多い。従って、積層された板状体を剥離して洗浄することは、手間がかかり非効率的である。
【0165】
上述した板状体洗浄方法及び装置によれば、積層された板状体の主面についても、積層された状態のまま効率よく十分に洗浄することができる。
【0166】
[変形実施形態]
本発明の上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0167】
例えば、上記実施形態では、洗浄工程S4の前段として、鉄芯切断工程S1、鉄芯湾曲除去工程S2、鉄芯V字プレス工程S3を順次適用していたが、積層鉄芯の種類や湾曲、ばらけの状態に応じて、これら全ての工程を適用しなくてもよい。すなわち、洗浄工程S4で用いる板状体洗浄方法及び装置を適用することが可能な積層された板状体の状態に各種積層鉄芯を変形することができればよい。
【0168】
例えば、鉄芯湾曲除去工程S2により得られた積層鋼板のばらけの程度が小さい場合等には、鉄芯V字プレス工程S3を適用しなくてもよい。
【0169】
また、小型のラップ鉄芯に対しては、鉄芯切断工程S1を適用せずにその継目部を開いて開環状鉄芯とし、鉄芯湾曲除去工程S2又は鉄芯V字プレス工程S3のいずれかを適用するようにしてもよい。鉄芯V字プレス工程S3のみを適用する場合でも、継目部を開いたラップ鉄芯を、その長手方向に沿ってV字状にプレスすることにより湾曲を除去することができる。このように、積層鉄芯の1箇所を分離、分割することにより得られた開環状鉄芯に対して、鉄芯湾曲除去工程S2又は鉄芯V字プレス工程S3を適用することもできる。
【0170】
また、大型のラップ鉄芯、或いは巻鉄芯に対しては、鉄芯切断工程S1により半環状鉄芯に切断した後、鉄芯湾曲除去工程S2又は鉄芯V字プレス工程S3のいずれかを適用するようにしてもよい。鉄芯V字プレス工程S3のみを適用する場合でも、半環状鉄芯を、その長手方向に沿ってV字状にプレスすることにより湾曲を除去することができる。
【0171】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、環状の積層鉄芯の内側中空部に中子を配置し、中子を押さえながら、積層鉄芯外側から切断刃を押しつけることにより、積層鉄芯を切断するので、使用済みの変圧器等を解体して取り出した積層鉄芯を効率よく確実に切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による鉄芯処理方法の各工程を示すフローチャートである。
【図2】各種積層鉄芯を示す概略図である。
【図3】本発明の一実施形態による鉄芯処理方法の鉄芯切断工程で用いる鉄芯切断装置の構造を示す上面図である。
【図4】本発明の一実施形態による鉄芯処理方法の鉄芯切断工程により各種鉄芯を切断する様子を示す概略図である。
【図5】本発明の一実施形態による鉄芯処理方法における鉄芯切断工程で用いる鉄芯切断装置の他の構成(その1)を示す概略図である。
【図6】本発明の一実施形態による鉄芯処理方法における鉄芯切断工程で用いる鉄芯切断装置の他の構成(その2)を示す概略図である。
【図7】本発明の一実施形態による鉄芯処理方法の鉄芯湾曲除去工程で用いる鉄芯湾曲除去装置の構造を示す上面図である。
【図8】本発明の一実施形態による鉄芯処理方法の鉄芯湾曲除去工程により分離切断した鉄芯の湾曲を除去する手順を示す概略図である。
【図9】本発明の一実施形態による鉄芯処理方法の鉄芯V字プレス工程で用いる鉄芯V字プレス装置の構造を示す概略図である。
【図10】本発明の一実施形態による鉄芯処理方法の鉄芯V字プレス工程におけるプレス前後の様子を示す概略図である。
【図11】本発明の一実施形態による鉄芯処理方法洗浄工程で用いる第1の具体例による板状体洗浄装置の構造を示す概略図である。
【図12】変圧器の積層鉄芯を示す概略図である。
【図13】本発明の一実施形態による鉄芯処理方法の洗浄工程で用いる第1の具体例による板状体洗浄装置における板状体ホルダーの構造を示す概略図である。
【図14】本発明の一実施形態による鉄芯処理方法の洗浄工程で用いる第1の具体例による板状体洗浄装置における板状体分離機の原理を示す概略図である。
【図15】本発明の一実施形態による鉄芯処理方法の洗浄工程で用いる第1の具体例による板状体洗浄装置における洗浄バスケットの構造を示す概略図である。
【図16】本発明の一実施形態による鉄芯処理方法の洗浄工程で用いる第1の具体例による板状体洗浄装置の板状体を水平に収容した状態の構造を示す概略図である。
【図17】本発明の一実施形態による鉄芯処理方法の洗浄工程で用いる第1の具体例による板状体洗浄方法の手順を示す断面図である。
【図18】段付鉄芯を洗浄するときの板状体ホルダーの洗浄バスケットへの収容を示す断面図である。
【図19】本発明の一実施形態による鉄芯処理方法の洗浄工程で用いる第2の具体例による板状体洗浄装置の構造を示す概略図である。
【図20】本発明の一実施形態による鉄芯処理方法の洗浄工程で用いる第2の具体例による板状体洗浄装置における洗浄バスケットの構造を示す概略図である。
【図21】本発明の一実施形態による鉄芯処理方法の洗浄工程で用いる第2の具体例による板状体洗浄装置における洗浄槽の構造を示す概略図である。
【図22】本発明の一実施形態による鉄芯処理方法の洗浄工程で用いる第2の具体例による板状体洗浄方法の手順を示す断面図である。
【図23】本発明の一実施形態による鉄芯処理方法の洗浄工程で用いる第3の具体例による板状体洗浄装置の構造を示す概略図である。
【図24】本発明の一実施形態による鉄芯処理方法の洗浄工程で用いる第3の具体例による板状体洗浄装置における洗浄バスケットの構造を示す概略図である。
【図25】本発明の一実施形態による鉄芯処理方法の洗浄工程で用いる第3の具体例による板状体洗浄装置における洗浄槽の構造を示す概略図である。
【図26】本発明の一実施形態による鉄芯処理方法の洗浄工程で用いる第3の具体例による板状体洗浄方法の手順を示す断面図である。
【図27】本発明の一実施形態による鉄芯処理方法の洗浄工程で用いる第4の具体例による板状体洗浄装置における洗浄バスケットの構造を示す概略図である。
【符号の説明】
1a、1b…ワニス固定部
2…継目部
3…継目
10…積層鉄芯
10a…C型鉄芯
10b…ラップ鉄芯
10c…巻鉄芯
12…ワーク設置部
14…切断作業部
15…テーブル
16…ターンテーブル
18a、18b、18c、18d…鉄芯固定部材
20…レール
22…切断装置
24…切断刃
26…切断刃駆動装置
28…位置ずれ防止装置
30…押さえ部材
32…押さえ部材駆動装置
34…中子
36、38、40…半環状鉄芯
50…溝
52…下側押さえ部材
54…上側押さえ部材
56…中子押さえ部材
58…ゲタ
60…間隙
100…ターンテーブル
102…凸部
104…半環状鉄芯
106…チャック
108…加圧装置
100…ロッド
112…ロッド駆動装置
113…ローラー
114…L字型積層鋼板
116…積層鋼板
200…ステージ
202…プレス刃
204…プレス刃駆動装置
206…積層鋼板
310…洗浄槽
312…洗浄バスケット
313…溝
314…板状体
315…積層鉄芯
316…板状体ホルダー
318…板状体分離機
319…磁石
320…ジグ導入用開口部
322…板状体取り外し用ジグ
323…段付鉄芯
324…ガイドバー
326…板状体分離機導入用開口部
328…可動式板状体分離機
330…板状体

Claims (4)

  1. 環状の積層鉄芯が載置されるテーブルと、
    前記積層鉄芯の内側中空部側に配置される中子を押さえる中子押さえ手段と、
    前記積層鉄芯外側から切断刃を押しつけることにより、前記積層鉄芯を切断する切断手段とを有し、
    前記テーブルには溝が設けられており、
    前記中子は、前記積層鉄芯の内側中空部側の前記溝に、前記積層鉄芯から突出するように配置され、
    前記中子押さえ手段は、前記溝を介して前記中子の下側を押さえ、前記積層鉄芯から突出した前記中子の上側を押さえる
    ことを特徴とする鉄芯切断装置。
  2. 環状の積層鉄芯が載置されるテーブルと、
    前記積層鉄芯の内側中空部側に配置される中子を押さえる中子押さえ手段と、
    前記積層鉄芯外側から切断刃を押しつけることにより、前記積層鉄芯を切断する切断手段とを有し、
    前記テーブルには凸部が設けられており、
    前記積層鉄芯は、前記テーブルとの間に間隙ができるように前記凸部上に載置され、
    前記中子は、前記積層鉄芯の内側中空部側の前記テーブル上に、前記積層鉄芯から突出するように配置され、
    前記中子押さえ手段は、前記間隙を介して前記中子の下側を押さえ、前記積層鉄芯から突出した前記中子の上側を押さえる
    ことを特徴とする鉄芯切断装置。
  3. 溝が設けられたテーブルに環状の積層鉄芯を載置し、
    前記積層鉄芯の内側中空部側の前記溝に、前記積層鉄芯から突出するように中子を配置し、
    前記溝を介して前記中子の下側を押さえ、前記積層鉄芯から突出した前記中子の上側を押さえながら、前記積層鉄芯外側から切断刃を押しつけることにより、前記積層鉄芯を切断する
    ことを特徴とする鉄芯切断方法。
  4. テーブルに設けられた凸部上に、前記テーブルとの間に間隙ができるように環状の積層鉄芯を載置し、
    前記積層鉄芯の内側中空部側の前記テーブル上に、前記積層鉄芯から突出するように中子を配置し、
    前記間隙を介して前記中子の下側を押さえ、前記積層鉄芯から突出した前記中子の上側を押さえながら、前記積層鉄芯外側から切断刃を押しつけることにより、前記積層鉄芯を切断する
    ことを特徴とする鉄芯切断方法。
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