JP5111344B2 - トランスコア用鉄心処理方法及びトランスコア用鉄心開裁装置 - Google Patents

トランスコア用鉄心処理方法及びトランスコア用鉄心開裁装置 Download PDF

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Description

本発明は、トランスコアの鉄心処理方法及び鉄心開裁装置に関するものであり、より詳しくは、ポリ塩化ビフェニル(PCB)等によって汚染されている廃トランスの鉄心、特に低濃度のPCBに汚染された廃トランスの鉄心を、無害化処理しやすいように開裁するための開裁工程を含む処理方法、及び廃トランスの鉄心開裁装置に関するものである。
電気機器であるトランスケース内部には、過去においては絶縁特性に優れ、化学的安定性も高いことからPCB、トリクロロベンゼン等の難分解性有機塩素系化合物が注入されていた。しかし、その後、これら難分解性有機塩素系化合物の有害性が認識されることとなり、現在では絶縁油としてPCB等の難分解性有機塩素系化合物を使用することは禁止されている。そして、PCB等を注入していた廃トランスの無害化処理が進められている。
トランスケース内のトランスコアの一例を、図1に示す。トランスコア1は、鉄心2と銅線コイル3に大別される。鉄心2は、厚み0.3mm程度の鋼板4が複数枚(通常、数十枚〜800枚程度)積層されたものであり、銅線コイル3は、外表面に紙が巻かれ、絶縁ワニスが塗られていることが一般的である。
このようなトランスコアは、廃トランスケースから取り出され、ケースからPCBが抜き取られる。トランスコアにもPCB等が多量に付着しており、有機溶剤を用いてPCB等を溶出及び回収する必要がある。しかし、鉄心を構成している鋼板の隙間に侵入したPCB等を溶出することは、有機溶媒に長時間浸漬しても困難であり、廃トランスの無害化処理において、最も問題となっている。
例えば、特許文献1には、鉄製の帯板が積層された鉄心に対して銅線コイルが巻かれて構成されたトランスコアの解体装置であって、前記トランスコアを載置する基盤と、該基盤上で前記トランスコアを拘束する拘束手段と、前記帯板を切断可能な切断刃と、該切断を前記帯板の幅方向に沿って移動自在に支持する切断刃移動手段と、前記切断刃を前記帯板の積層方向に送り移動する切断刃送り手段とを具えたことを特徴とする解体装置が開示されている。
特許文献1に開示される処理方法及び解体装置は、処理に時間がかかるため、多数の鉄心を連続して処理するのは作業効率が低いという問題があった。この問題を解決する鉄心処理方法として、本発明者らは、鉄心の積層板を結束し、積層板に対して積層方向に力を加えて折り曲げ加工することにより、積層板に隙間を生じさせる洗浄方法を開発している(特許文献2参照)。
特開2003−266372号公報 特開2005−224790号公報
特許文献2に開示されている鉄心処理方法は、鉄心の鋼板を順に切断する従来の処理法よりも作業効率に優れている。しかし、銅線コイルに絶縁ワニスが塗られており、鉄心の表面にも絶縁ワニスが付着している場合には、積層板を折り曲げ加工しても鋼板同士が絶縁ワニスによって固着しているため、特許文献2の鉄心処理方法によっても積層板に十分なすきまを生じさせることが困難であった。
本発明は、鉄心に絶縁ワニスが付着している場合であっても、効率的にトランスコア鉄心の無害化処理が可能である処理方法及び処理装置の提供を目的とする。
本発明者らは、特許文献2に開示されている方法について、さらに改良の余地がないか検討を続けたところ、外周部表面に複数個の突起部を備えたロール対の間に、積層板を挟み込んでロールを回転させることにより、突起部によって積層板が折り曲げ加工され、多数の折り曲げ部が連続して形成される結果、より効率よく積層板に隙間を生じさせることが可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
具体的に、本発明は、
トランスコアから取り出した鉄心を切断して積層板とする切断工程と、
前記積層板を少なくとも一対のロール間に通すことによって圧縮及び開裁する開裁工程と、
開裁された積層板を洗浄剤によって洗浄する洗浄工程と、
を有するトランスコア用鉄心処理方法であって、
前記ロールは、外周部表面に複数個の突起部を備え、
前記突起部は、その中心軸がロールの回転軸と同じ方向となるよう等間隔に並列しており、かつ、前記ロールの中心軸と逆方向の表面に小突起部を有し
前記複数個の突起部によって前記積層板が折り曲げ加工され、多数の折り曲げ部が連続して前記積層板に形成されることを特徴とするトランスコア用鉄心処理方法に関する。
また、本発明は、
少なくとも一対のロールを有する開裁装置であって、
前記ロールは、外周部表面に複数個の突起部を備え、
前記突起部は、その中心軸がロールの回転軸と同じ方向となるよう等間隔に並列しており、かつ、前記ロールの中心軸と逆方向の表面に小突起部を有しており、
トランスコアから取り出した鉄心を切断した後の積層板を、一対の前記ロール間に挟み込んで前記ロールを回転させると、前記複数個の突起部によって積層板が折り曲げ加工され、多数の折り曲げ部が連続して前記積層板に形成されることを特徴とする、トランスコア用鉄心開裁装置に関する。
外周部表面に複数個の突起部を備えるローラ間に積層板を挟み込むことで、積層板に複数の折り曲げ部が形成され、積層板の側面に絶縁ワニスが付着している場合であっても、積層板に十分な隙間を生じさせることが可能となる。その結果、有機溶剤等の洗浄液が隙間に侵入しやすくなり、積層板を構成する鋼板の隙間に存在するPCB等を効率よく洗浄することが可能となる。また、積層板の折り曲げに特定形状のロール一対を使用するため、作業効率も高い。
突起部の形状は特に限定されず、円柱状、円錐、三角錐、四角錐等の形状とすることができる。後述する小突起部の形状についても同様である。
なお、積層板により大きな隙間を生じさせるためには、上述したロール一対を用いて開裁(開裁加工)した後、複数回、開裁処理を行うことが効果的である。この場合、同じロール一対を用いて2回以上開裁してもよく、大きさや間隔の異なる複数のロール対を順次用いて2回以上開裁してもよい。作業効率の点では、複数のロール対を用いる方が好ましい。
突起部が表面に小突起部を有することにより、積層板をより鋭角に折り曲げることが可能となり、積層板に生じる隙間がより大きくなる。このため、絶縁ワニスの付着のために特許文献2の処理方法によっても処理が困難であった積層板であっても、効率よく十分な隙間を生じさせることが可能である。
突起部と小突起部とは、同じ形状としてもよく、異なる形状としてもよい。なお、突起部が小突起部を有する場合でも、複数回、開裁加工を行うことが効果的である。
前記積層板は開裁加工する前に5mm以上20mm以下の厚みとなるように調整することが好ましく、作業効率や開裁のし易さから10mm以上15mm以下の厚みとすることがさらに好ましい。積層板の厚みを調整することによって、開裁加工により積層板の開裁を効果的に行うことができる。また、開裁加工をより小さな力で行うことができる。
本発明の鉄心処理方法及び鉄心開裁装置によれば、従来よりも廃トランスコアの鉄心処理効率が向上する。
本発明の実施の形態について、適宜図面を参酌しながら説明する。なお、本発明は、以下の記載に限定されない。
<実施の形態1>
(切断工程及び調整工程)
廃トランスから取り出されたトランスコアは、高圧トランスの場合には、一般的には図1に示したような構造をしている。トランスコア1は、油抜きされ、有機溶剤等の洗浄剤によって粗洗浄されたトランスケース(図示せず)から取り出される。
上述したように、トランスコア1は、内鉄形鉄心と呼ばれる形態の鉄心2と、銅線コイル3とから構成されている。なお、PCBの汚染度によっては粗洗浄を行うことなく油抜きされたトランスケースからトランスコアを取り出すようにしてもよい。
トランスコア1の鉄心2を無害化処理する場合、まず、図2(a)のA−A線及びB−B線の2ヵ所において鉄心2を切断する。鉄心2の切断には、バンドソー、カットソー等を用いることができる。切断後、銅線コイル3を抜き取ると、図2(b)に示したように、鉄心2は、2枚の端部積層板4a〜4bと、3枚のコイル部積層板5a〜5cとに分解される。
このとき、端部積層板4a〜4bと、3枚のコイル部積層板5a〜5cとは、それぞれ厚みが50mm〜200mm程度であるため、そのままロール対によって圧縮しても、折り曲げ加工することは困難である。そこで、 タガネ等を利用して、各積層板を5mm以上20mm以下の厚みに調整する(図2(c)参照)。
なお、低圧トランスの場合には、トランスコア11は図3(a)に示す構造であるが、この場合には、C−C線で鉄心12を切断し、コイルを抜き取ると、図3(b)に示すように積層板14a及び14bとなる。積層板14bは、さらにD−D線で切断し、2個の積層板14cとする。積層板14a及び積層板14cを、5mm以上20mm以下の厚みに調整すると、図3(d)に示すような積層板15a及び15bとなる。
なお、鉄心を切断した後のコイルの抜き出し方については特に限定されず、コイルをクランプ等で固定して、切断された鉄心を切断断面からコイルを貫通する方向へ押し出すことにより抜き出す方法や、コイルを固定して、鉄心を別のクランプで挟み、強制的に引き抜いてもよい。また、鉄心を固定し、コイルをスライドさせることによって抜き出してもよい。
また、鉄心の切断箇所も図2のようにコイルの両端で切断してもよく、図3のようにコイルの一端側のみを切断してもよい。さらには、図3(a)のC−C断面を中央側(図3(a)でいう下方向)でコイルごと切断する構成としてもよい。
図3(b)のC−C断面で切断した状態の積層板を、厚み調整して開裁工程にて圧縮及び開裁処理した場合、積層板の大きさによってはトランスコア用鉄心開裁装置にてロールに積層板の一端側を挟み込む際に、積層板の他端側が邪魔になるおそれがあることから、図3(b)及び図3(c)に示すように、さらにD−D断面で切断することが好ましい。
(開裁工程)
次に、5mm以上20mm以下の厚みに調整した積層板を、図4(a)及び図4(b)に示すトランスコア用鉄心開裁装置21を用いて圧縮及び開裁加工する。
このトランスコア用鉄心開裁装置21は、一対のロール(22a及び22b)を備えている。ロール22a及び22bは、外周部表面23a及び23bに、複数個の円柱状突起部24を有している。円柱状突起部24は、その中心軸25がロール(22a及び22b)の回転軸(26a及び26b)と同じ方向となるような向きに、等間隔で並列している。
ロール22aとロール22bの円柱状突起部24は、ロール対の対向部で咬み合うように配置されている。また、ロール22aとロール22bの円柱状突起部24は、ロール対の対向部において、相互の距離が5mm以上20mm以下の厚みに調整した積層板よりも、さらに2mm以上10mm以下の隙間が空くように配置されている。ここでいう隙間とは、円柱状突起部24とロール外周面23a又は23bとの最短距離を意味する。
なお、図4のトランスコア用鉄心開裁装置21では、ロール22aは時計回り、ロール22bは反時計回りに回転する。円柱状突起部24の直径は、ロール22a又はロール22bの直径の1/3〜1/10程度とすることが好ましい。
5mm以上20mm以下の厚みに調整した積層板6(7又は15)は、図5(a)に示すように、トランスコア用鉄心開裁装置21の上部から挿入し、ロール22a及びロール22bの間に挟み込む。そして、ロール22a及びロール22bを回転させる。
ロール22a及びロール22bの回転に伴い、積層板6はロール22a及びロール22bの円柱状突起部24によって折り曲げ加工され、トランスコア用鉄心開裁装置21の下部へと移動する(図5(b)参照)。このとき、積層板6の表面と裏面では鋼板の伸びが異なり、折り曲げ加工を繰り返すことによって鋼板同士の間に隙間が生じる。そして、積層板6の下端部27は、鋼板の隙間が開き、開裁された状態となってトランスコア用鉄心開裁装置21から取り出される。
ロール22a及びロール22bの円柱状突起部24のピッチ及び直径は、積層板6の長さによって変えることが好ましい。例えば、積層板6が長ければ、円柱状突起部24のピッチが大きく、高さが低い(直径が小さい)場合でも十分に折り曲げ加工され、開裁処理することができる。積層板6が短ければ、円柱状突起部24のピッチを小さくし、高さを高くする(直径を大きくする)必要が生じる。
ここでは、突起部が円柱状である場合について説明したが、上述したように、突起部は円柱状に限定されず、円錐、三角錐、四角錐等の形状としてもよい。
なお、ロール22a及びロール22bは、処理すべき積層板が少ない場合には、ラチェット等を用いて手動で回転させてもよいが、連続処理する場合にはモーター(図示せず)を用いて回転させることが好ましい。
(洗浄工程)
次に、折り曲げ加工された積層板は、n−ヘキサン、アセトン、アルコール等の有機溶媒、又は炭化水素系洗浄剤、有機ハロゲン系洗浄剤又はノルマルパラフィン等の洗浄剤又は絶縁油に浸漬し、表面に付着しているPCB等を除去する。このとき、本発明によれば、積層板にワニスが付着し、積層板を構成する鋼板同士が固着している場合であっても、十分な隙間を開けることが可能であるため、積層板の中心部付近であっても、PCB等の除去効果が高い。
<実施の形態2>
本発明のトランスコア用鉄心開裁装置の別の一例について、その一部を図6に示す。このトランスコア用鉄心開裁装置31は、ロール22a及びロール22bそれぞれの円柱状突起部24が、ロールの中心軸26a及び中心軸26bと逆方向の表面部分に、円柱状突起部24と略同形状の円柱状小突起部32を有している以外、実施の形態1のトランスコア用鉄心開裁装置21と同様である。
円柱状小突起部32が存在することにより、5mm以上20mm以下の厚みに調整した積層板を、より鋭角的に折り曲げ、開裁加工することが可能となり、開裁工程後の積層板により大きな隙間をあけることができる。ここで、ロール22a及びロール22bを接近させ、円柱状突起部24とロール外周面23a又は23bとの距離を短くした場合にも、積層板を鋭角的に折り曲げることは可能であるが、それではロール22a及びロール22bを回転させるための動力が過大となってしまう。
しかし、トランスコア用鉄心開裁装置31は、円柱状突起部24上に円柱状小突起部32をさらに設けていることにより、ロール22a及びロール22bを回転させるための動力を増大させずに、積層板を鋭角的に折り曲げ加工することができる。なお、円柱状小突起部32の直径は、円柱状突起部24の直径の1/2〜1/5とすることが好ましい。
なお、図6では、円柱状小突起部32が円柱状突起部24と略同形状であるが、小突起部は円柱の形状に限定されず、円錐、三角錐、四角錐等の形状とすることもできる。また、すべての突起部に形成される必要はなく、小突起部が存在する突起部と、小突起部が存在しない突起部とを交互に設置してもよい。
さらに、小突起部を円柱とすると共に、円柱のそれぞれの端面の直径を変えた形状(円錐体を途中で切断した形状)としても良い。この場合、対向する小突起部を円錐形状が逆向きとなる方向に配置することにより、ロールを通過させる積層板を折り曲げ加工すると共にねじれを付与して、開裁をより効果的に行うことができる。
なお、折り曲げ加工後の積層板がバラバラになる場合、積層板がバラけないように積層板の中央部を結束してもよい。
[実施例1]
絶縁油に浸漬させた鉄心(厚さ0.3mmの鋼板が180枚積層したもの)を、図3に示したように切断した。切断後の鉄心片をタガネによって12mmの厚みの積層板となるように調整した。このとき、積層板の側面は、絶縁ワニスが付着していた。
トランスコア用鉄心開裁装置として、図6に示した円柱状突起部及び円柱状小突起部をロール外周面に有する装置を使用した。ロール、円柱状突起部及び円柱状小突起部はすべて鉄製であり、その直径は、それぞれ21.6cm、3cm及び0.8cmであった。また、ロールには、11個ずつ円柱状突起部及び円柱状小突起部が設けられており、ロール対は、ラチェットを用いて手動で回転させた。
折り曲げ加工後の積層板は、もう一度トランスコア用鉄心開裁装置によって折り曲げ加工した。この2回折り曲げ加工した積層板を、実施例の積層板とした。
トランスコア用鉄心開裁装置による折り曲げ加工前後の積層板の状態を、図7(a)及び図7(b)にそれぞれ示す。図7(b)に示すように、実施例の積層板は、鋼板間に十分な隙間が生じていた。このとき、積層板の中心付近にも隙間が生じていたが、中心付近で鋼板同士は圧着されており、積層板がバラバラになってしまうことはなかった。
[実施例2]
実施例1で切断した積層板を、トランスコア用鉄心開裁装置として、図5に示す円柱状突起部をロール外周面に有する装置を利用し、開裁処理した。このトランスコア用鉄心開裁装置は、円柱状小突起部を有しない以外、すべて実施例1で使用したトランスコア用鉄心開裁装置と同様である。そして、折り曲げ加工を1回のみ実施し、得られた積層板を実施例2の積層板とした。
トランスコア用鉄心開裁装置による折り曲げ加工後の積層板の状態を、図8に示す。図8に示すとおり、実施例2の積層板は鋼板間に十分な隙間が生じていた。
[比較例]
特許文献3の実施の形態2(図6)に開示されている折り曲げ加工装置を用いて、実施例1及び実施例2と同じ積層板を2回折り曲げ加工した。この2回折り曲げ加工した積層板を、比較例の積層板とした。
比較例の積層板を、図9に示す。図9から明らかなように、比較例の積層板では、ワニスが鋼板同士を固着しているために、2回折り曲げ加工を行ったにも拘わらず、鋼板間に生じた隙間は小さかった。なお、さらに折り曲げ加工を繰り返しても、実施例と同程度まで鋼板間に生じる隙間を大きくすることはできなかった。
実施例1、実施例2及び比較例の積層板について、ノルマルパラフィンを洗浄液として洗浄液に積層板を浸漬させ、減圧下で超音波を使用して洗浄処理を行った。その後、実施例1、実施例2及び比較例の積層板の構成する鋼板を1枚剥がし、隣接する鋼板と接合していた平面の中心付近について、特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法(平成4年厚生省告示第192号、改正平成10年)別表第2の第2に記載の拭き取り試験法に規定される絶縁油拭き取り試験を行った。なお、洗浄操作前の積層板では、鋼板表面に付着した絶縁油は、9400μg/100cm2であった。
比較例の積層板では、鋼板表面に付着した絶縁油は、3530μg/100cm2であり、洗浄操作後であっても、積層板の鋼板間に存在する絶縁油は1/3程度にしか減少しなかった。一方、実施例の積層板では、鋼板表面に付着した絶縁油は400μg/100cm2未満あり、洗浄操作後の絶縁油濃度は、絶縁油中のPCB濃度を100mg/kgとした場合、PCB基準の0.1μg/100cm2以下であり、十分に合格する濃度であった。
このように、本発明の実施例では、従来の鉄心処理方法及び鉄心開裁装置では得られない、優れた積層板開裁効果が発揮され、積層板を構成する鋼板の中心付近まで洗浄剤によって十分に洗浄することが可能であった。さらに、積層板を構成する鋼板がバラバラになってしまうことがないため、折り曲げ加工後の積層板の搬送も容易である。
本発明の鉄心処理方法及び鉄心開裁装置は、簡易かつ処理効率の高い処理方法及び処理装置として、廃棄物処理分野において非常に有用である。
トランスコア(高圧型)の一般的な構造を示す図である。 鉄心の調整工程を表す図であり、(a)は鉄心の切断位置を示す図、(b)は切断後の鉄心の状態を示す図、(c)は厚みを調整した積層板を示す図である。 トランスコア(低圧型)に関する図であり、(a)は一般的な構造を示す図、(b)は(a)のC−C線で切断した状態、(c)は(b)のD−D線で切断した状態、(d)は調整工程後の状態である。 実施の形態1のトランスコア用鉄心開裁装置を表す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のX−X断面図である。 実施の形態1のトランスコア用鉄心開裁装置を用いた積層板の折り曲げ加工処理を表す図であり、(a)は折り曲げ加工の初期状態、(b)は折り曲げ加工の途中状態を表す。 実施の形態2のトランスコア用鉄心開裁装置を表す図であり、中心付近の断面図である。 実施例1の積層板の写真であり、(a)は折り曲げ加工前、(b)は折り曲げ加工後である。 実施例2の積層板の写真である(折り曲げ加工後)。 比較例の積層板の写真である(折り曲げ加工後)。
符号の説明
1:トランスコア(高圧トランス)
2:鉄心
3:銅線コイル
4a,4b:端部積層板
5a,5b,5c:コイル部積層板
6:厚み調整後の積層板(端部)
7:厚み調整後の積層板(コイル部)
11:トランスコア(低圧トランス)
12:鉄心
13:銅線コイル
14a,14b.14c:積層板
15a,15b:厚み調整後の積層板
21:トランスコア用鉄心開裁装置(実施の形態1)
22a,22b:ロール
23a,23b:ロール外周面
24:円柱状突起部
25:円柱状突起部の中心軸
26a,26b:ロールの回転軸
31:トランスコア用鉄心開裁装置(実施の形態2)
32:円柱状小突起部

Claims (3)

  1. トランスコアから取り出した鉄心を切断して積層板とする切断工程と、
    前記積層板を少なくとも一対のロール間に通すことによって圧縮及び開裁する開裁工程と、
    開裁された積層板を洗浄剤によって洗浄する洗浄工程と、
    を有するトランスコア用鉄心処理方法であって、
    前記ロールは、外周部表面に複数個の突起部を備え、
    前記突起部は、その中心軸がロールの回転軸と同じ方向となるよう等間隔に並列しており、かつ、前記ロールの中心軸と逆方向の表面に小突起部を有し
    前記複数個の突起部によって前記積層板が折り曲げ加工され、多数の折り曲げ部が連続して前記積層板に形成されることを特徴とするトランスコア用鉄心処理方法。
  2. 切断工程後であって開裁工程の前に鉄心を5mm以上20mm以下の厚みの積層板とする調整工程を有する請求項に記載のトランスコア用鉄心処理方法
  3. 少なくとも一対のロールを有する開裁装置であって、
    前記ロールは、外周部表面に複数個の突起部を備え、
    前記突起部は、その中心軸がロールの回転軸と同じ方向となるよう等間隔に並列しており、かつ、前記ロールの中心軸と逆方向の表面に小突起部を有しており、
    トランスコアから取り出した鉄心を切断した後の積層板を、一対の前記ロール間に挟み込んで前記ロールを回転させると、前記複数個の突起部によって積層板が折り曲げ加工され、多数の折り曲げ部が連続して前記積層板に形成されることを特徴とする、トランスコア用鉄心開裁装置。
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