JP3925558B2 - 無線通信機能付電子時計 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば電波修正時計などの無線通信機能付電子時計に関し、光電変換によって発電を行う光発電手段を有する無線通信機能付電子時計に関する。
外部から電波を受信したり、外部に電波を送信したりして無線通信を行う無線通信機能付電子時計としては、例えば標準時刻情報が含まれた電波をアンテナによって受信して時刻を修正する電波修正時計がある。
電波修正時計としては、アンテナが電波を受信しやすいように、アンテナを外装ケースの外側に配置したものが提案されている(例えば特開平11−223684号公報、第4図参照)。
また、電波修正時計においては、ソーラ発電手段や熱発電手段などの発電手段がムーブメント内部に組み込まれ、発電手段による発電力が時計の駆動に使われている(例えば特開2003−121569号公報、第1図参照)。
一方で、アンテナを外装ケース内部に収納した電波修正時計が提案されている(例えば特開2002−31690号公報、第6図参照)。この電波修正時計では、ソーラ基板がムーブメント内に配置されたアンテナを覆う位置に配置されている。
また、文字板をセラミックス等の非金属板で構成し、この文字板を太陽電池で構成する電波時計が提案されている(例えば特開2003−139869号公報第1図参照)。
特開平11−223684号公報 特開2003−121569号公報 特開2002−31690号公報 特開2003−139869号公報
特許文献1の電波修正時計では、例えば外装ケースが金属製であっても、外装ケースによって電波の受信を妨害されることなく、アンテナによって良好に電波を受信できる。しかしながら、この電波修正時計では、アンテナが外装ケース外部に配置されているため、電波修正時計の外観を損ねてしまう。
また、特許文献2による電波修正時計では、アンテナがムーブメント内に配置され発電手段とアンテナとの配置の図示がされているものの、ムーブメントの外装ケースに対する配置について記載がないため、例えば外装ケースが金属製の場合などでは、アンテナの電波受信を阻害する可能性があり、良好に電波を受信できない場合がある。
さらに、特許文献3による電波修正時計では、ソーラ基板は通常ステンレス鋼などの金属材料で構成されているため、ソーラ基板によって電波受信が妨害されてしまい、アンテナでの電波受信ができない。
また、特許文献4の電波時計では、電波の受信障害を受けにくくするために、裏蓋および時計ケースのいずれか一方をセラミックスで形成する必要があり、電波時計の外観を損ねてしまう。反対に、外観向上のために裏蓋や時計ケースを金属材料で構成すると、アンテナが裏蓋や時計ケースに囲まれてしまい、電波を良好に受信できなくなってしまう。
本発明の目的は、外観を損ねることなく、アンテナで良好に電波を送受信できる無線通信機能付電子時計を提供することにある。
本発明の無線通信機能付電子時計は、筒軸方向の両端のうち少なくとも一方が開口した筒形状の金属製の外装ケースと、前記外装ケース内側に収納され標準電波を受信するアンテナと、前記外装ケースの一方の開口の内側に設けられて時刻を表示する時刻表示手段と、駆動コイルおよびこの駆動コイルによって励磁されるステータを備えて構成されて前記時刻表示手段を駆動する電磁駆動手段と、前記外装ケースの一方の端部を覆う非磁性かつ非導電性の光透過性材料で構成されたカバー部材と、前記外装ケースの他方の端部を覆う金属製の蓋部材とを備え、前記時刻表示手段は、前記外装ケースの一方の端部側から視認可能な文字板を含んで構成され、前記文字板は、非磁性かつ非導電性の材料で構成され、前記外装ケース内において前記文字板および蓋部材間には非導電性かつ非磁性の材料で構成された地板を備えたムーブメントが設けられ、このムーブメント内に前記アンテナおよび電磁駆動手段が配置され、前記アンテナはその軸方向が前記文字板の平面方向にほぼ平行に配置され、かつ、前記アンテナは前記地板を貫通する貫通孔に配置され、当該無線通信機能付電子時計の側面視において、前記アンテナの中心位置は、前記電磁駆動手段の駆動コイルの中心位置より前記時刻表示手段側に配置されていることを特徴とする。
この発明によれば、アンテナは、無線通信機能付電子時計の側面視で、外装ケースの開口側に設けられた時刻表示手段側に近接して配置されているので、アンテナは外装ケースの開口側から電波を容易に送受信可能となる。
また、無線通信機能付電子時計の側面視において、アンテナの中心位置が駆動コイルの中心位置より時刻表示手段側に配置されているので、アンテナと駆動コイルとが側面視で互いに離れた位置に配置されることとなる。したがって、外装ケースの時刻表示手段側から入り込む電波が電磁駆動手段に引き込まれにくくなり、アンテナは時刻表示手段側の開口から電波を容易に受信できる。これにより、アンテナでの電波の送受信がより良好となる。
また、これにより、蓋部材や外装ケースが磁性材料や導電性材料などの金属材料で構成されていても、外装ケースの開口側から良好に無線通信が可能となり、これによっても無線通信機能付電子時計の外観が向上する。
さらに、文字板が非磁性かつ非導電性の材料で構成されているので、この部材がアンテナ周囲の磁界を妨害する可能性が低減し、アンテナの送受信感度が向上して、無線通信がより確実となる。
本発明では、無線通信機能付電子時計の側面視において、前記アンテナの中心位置は、前記ムーブメントの中心位置より前記時刻表示手段側に配置されていることが好ましい。
この発明によれば、アンテナがムーブメントの中心位置より時刻表示手段側に配置されているので、アンテナを外装ケースの時刻表示手段側の開口に近接して配置でき、開口から電波を良好に受信でき、アンテナの受信感度を向上できる。また、アンテナが裏蓋から離れた位置に配置されるので、外部から進入した電波は金属製の裏蓋に引き込まれるのを防止でき、アンテナでの電波受信を良好かつ確実にできる。
本発明では、無線通信機能付電子時計の側面視において、前記電磁駆動手段の駆動コイルの中心位置は、前記ムーブメントの中心位置より前記蓋部材側に配置されていることが好ましい。
この発明によれば、電磁駆動手段の駆動コイルが蓋部材側に近接して配置されるので、アンテナの軸線と駆動コイルの軸線とを電波修正時計の側面視において互いに離れた位置に配置することができる。さらに、駆動コイルが蓋部材側に近接して配置されているので、外部からの電波が電磁駆動手段のステータ等に引き込まれるのを防止でき、アンテナは、外装ケースの文字表示手段側の開口から電波を容易に受信できる。
ここで、前記アンテナの中心位置は、アンテナの磁心の中心位置であることが好ましい。
また、前記アンテナの磁心は、高透磁率材で構成されていることが好ましい。
ここで、前記文字板は、光透過性を有する材料で構成され、前記文字板の蓋部材側には、前記一方の開口側から文字板を透過して入射する光を受光するとともに、受光した光から発電する光発電手段が配置されていることが好ましい。
この発明によれば、文字板に向けて光が照射されると、光は文字板を透過して光発電手段に入射し、光発電手段により発電が行われる。従って、この光発電手段で発電された電力(電流)により電磁駆動手段を駆動することができる。
この際、アンテナが光発電手段に対して蓋部材側の面に対向して配置されていれば、アンテナが光発電手段による外装ケース開口からの受光を阻止することがなく、発電効率の低下が防止される。また、光発電手段の外装ケース内部での面積を大きく取ることが可能となり、これによっても発電効率の低下が防止される。
本発明では、前記外装ケースは、合成樹脂製の外装ケース本体の表面を金属薄板で覆って一体化した構造であってもよい。
本発明では、光発電手段は、受光した光から発電する光電変換部およびこの光電変換部を支持する支持基板を有し、アンテナは、支持基板に対して当接して配置、または支持基板との間隔が所定寸法以内となる位置に配置されていることが望ましい。
この発明によれば、無線通信機能付電子時計の側面視において、アンテナが支持基板に対して当接配置または所定寸法以内の間隔で配置されていることにより、アンテナと支持基板とが互いに近接して配置される。これにより、アンテナが外装ケースの一方の開口により近い位置に配置されることとなり、アンテナが当該開口から電波を送受信しやすくなり、電波の送受信がより確実となる。
ここで、アンテナと支持基板との間隔を規定する所定寸法は、外装ケースや、蓋部材、アンテナ、光発電手段などの寸法、材料、配置などを勘案して、外装ケース内部でかつ光電変換部に対して蓋部材側の面側にアンテナを設けた場合でも、アンテナでの電波の送受信が良好にできるように、予め適宜設定されるものである。例えば、この所定寸法は、アンテナが収納されたムーブメントが支持基板と蓋部材との間に配置される場合には、無線通信機能付電子時計の側面視におけるアンテナの中心位置が、ムーブメントの中心位置よりも支持基板側に配置されるように設定すればよい。また例えば、所定寸法は、外装ケースの筒軸方向の寸法の3分の1以下、好ましくは4分の1以下となるように設定してもよい。
本発明では、アンテナおよび光発電手段は、当該無線通信機能付電子時計の側面視で少なくとも一部が重なる位置に配置されていることが望ましい。
この発明によれば、アンテナおよび光発電手段が無線通信機能付電子時計の側面視において、少なくとも一部が重なる位置に配置されているので、アンテナおよび光発電手段がほぼ同一平面上に配置されることとなる。したがって、アンテナを外装ケースの一方の開口により近接して配置することが可能となり、アンテナでの電波の送受信がより確実となる。
本発明では、当該無線通信機能付電子時計の側面視において、アンテナの中心位置は、外装ケースの中心位置より光発電手段側に配置されていることが望ましい。
この発明によれば、アンテナの中心位置が、外装ケースの中心位置より光発電手段側に配置されているので、アンテナが外装ケースの一方の端部、つまり開口側に近接配置される。したがって、アンテナが当該開口から容易に電波を送受信可能となり、無線通信が確実となる。また、アンテナが外装ケースの開口側から通信可能となるので、蓋部材や外装ケース自体を金属材料などの磁性材料や導電性材料で構成しても無線通信が良好となり、これによっても無線通信機能付電子時計の外観が向上する。
本発明では、外装ケースの一方の端部を覆うカバー部材と、光発電手段およびカバー部材の間に設けられる文字板とを備え、これらのカバー部材および文字板は、非磁性かつ非導電性の材料で構成されていることが望ましい。
この発明によれば、カバー部材および文字板が非磁性かつ非導電性の材料で構成されているので、これらの部材がアンテナ周囲の磁界を妨害する可能性が低減し、アンテナの送受信感度が向上して、無線通信がより確実となる。
本発明では、支持基板は金属材料で構成されることが望ましい。
この発明によれば、無線通信機能付電子時計の平面視でアンテナの少なくとも両端部が支持基板に重ならない位置に配置されている場合に、支持基板が金属材料で構成されているので、アンテナの良好な無線通信機能を確保しながら光発電手段の強度が向上する。
本発明では、支持基板は、非磁性かつ非導電性の材料で構成されていることが望ましい。
この発明によれば、アンテナの少なくとも両端部が平面視で支持基板と重ならない位置に配置されている場合に、支持基板が非磁性かつ非導電性の材料で構成されるので、支持基板によるアンテナ周囲の磁界への影響がより確実に低減される。したがって、アンテナの送受信感度が向上し、電波をより確実に送受信でき、無線通信が正確に行われる。
本発明では、当該無線通信機能付電子時計の側面視で、アンテナと支持基板との間には、当該無線通信機能付電子時計の他の構成部材が配置されていないことが望ましい。
この発明によれば、アンテナと支持基板との間に他の構成部材が配置されていないので、アンテナが支持基板により近接して配置されやすくなり、他の構成部材によって電波の進入が阻害されることなく外装ケースの一方の開口側から無線通信をしやすくなる。
本発明では、当該無線通信機能付電子時計の側面視で、アンテナと時刻表示手段との間には、当該無線通信機能付電子時計の他の構成部材が配置されていないことが望ましい。
この発明によれば、アンテナと時刻表示手段との間に他の構成部材が配置されていないので、アンテナが時刻表示手段つまり支持基板により近接して配置されやすくなり、他の構成部材によって電波の進入が阻害されることなく外装ケースの一方の開口側から良好に無線通信が可能となる。
本発明では、当該無線通信機能付電子時計の側面視で、アンテナと蓋部材との間には、当該無線通信機能付電子時計の他の構成部材が配置されかつ当該無線通信機能付電子時計の平面視でアンテナと他の構成部材とが重なる位置に配置されることが望ましい。
この発明によれば、無線通信機能付電子時計の側面視でアンテナと蓋部材との間に他の構成部材が配置されかつ平面視でもアンテナと他の構成部材とが重なる位置に配置されているので、アンテナが蓋部材とは反対側、つまり支持基板により近接して、外装ケースの一方の開口側により近接して配置されやすくなる。したがって、アンテナによる外装ケースの一方の開口側からの無線通信が良好かつ確実となる。なお、他の構成部材としては、例えば無線通信機能付電子時計が指針を備えたアナログ時計である場合では、指針を駆動する輪列を構成する番車や、輪列を手動で駆動するための切換手段などが挙げられる。
本発明では、アンテナは、磁心と、この磁心に巻き回されたコイルとを備え、磁心両端の少なくとも一端は、外装ケースの一方の端部側に折曲されていることが望ましい。
この発明によれば、アンテナの磁心両端のうち少なくとも一端が外装ケースの一方の端部側に折曲されているので、アンテナが外装ケースの内部に収納されている場合でも、アンテナ端部の延長線が外装ケースの開口を通過する位置、つまり外装ケースに干渉しない位置に配置することが可能となる。これにより、外装ケースが金属製の場合でもアンテナでの電波の送受信が容易になる。逆に、アンテナでの通信性能を維持しながら外装ケースに金属材料を使用可能となるので、無線通信機能付電子時計の外観が向上する。
本発明では、時刻表示手段は、12時間式の指針を備え、アンテナの軸方向は、指針が3時を指し示す位置と9時を指し示す位置とを結ぶ方向にほぼ平行に配置されていることが望ましい。
この発明によれば、アンテナの軸方向が3時と9時とを結ぶ方向にほぼ平行に配置されているので、例えば無線通信機能付電子時計が金属製のバンド部を有する腕時計に適用される場合でも、アンテナの端部の延長線上に金属製のバンド部が干渉することがなく、アンテナにおいて良好に電波の送受信が行われる。
ここで、アンテナの軸方向が3時と9時とを結ぶ方向にほぼ平行であるとは、アンテナの軸方向の延長線と、3時と9時とを結ぶ方向の方向線とが0°以上30°以下程度となることを意味し、好ましくは15°以下、より好ましくは10°以下である。
本発明では、時刻表示手段は、外装ケースの一方の端部側から視認可能な文字板を含んで構成され、駆動手段は、文字板および蓋部材の間に配置されるとともに、駆動コイルの誘起電圧で駆動される電磁モータを有し、当該無線通信機能付電子時計の側面視に対して、アンテナの中心位置は、駆動手段の中心位置より文字板側に配置されていることが望ましい。
この発明によれば、無線通信機能付電子時計の側面視において、アンテナの中心位置が駆動手段の中心位置より文字板側に配置されているので、アンテナと駆動コイルとが側面視で互いに離れた位置に配置されることとなる。したがって、駆動コイルによって生じた磁界によるアンテナ周囲の磁界への影響が最小限に抑制される。これにより、アンテナでの電波の送受信がより良好となる。
本発明では、駆動手段は、圧電素子の振動によって時刻表示手段を駆動する圧電アクチュエータを備えていることが望ましい。
この発明によれば、圧電素子に電圧を印加することによって圧電アクチュエータを振動させ、この振動によって時刻表示手段を駆動する。時計駆動手段として通常使用される電磁モータとは異なり、圧電アクチュエータは駆動時にも磁界を発生しないので、アンテナ周囲の磁界を妨げることがなく、アンテナでの電波の送受信がより確実となり、アンテナでの通信精度が向上する。
本発明では、光発電手段からの電力を蓄積する二次電池を備え、かつ駆動手段に設けられるとともに歯車を有する輪列と、時刻表示手段を外部から手動で操作できるように切替可能な切替ユニットと、水晶振動子を有する水晶振動子ユニットと、駆動手段の動作を制御する制御ブロックとの少なくともいずれか一つを備え、アンテナは、当該無線通信機能付電子時計の平面視で、輪列、切替ユニット、水晶振動子ユニット、および制御ブロックの少なくともいずれか一つを挟んで二次電池とは反対側に配置されていることが望ましい。
この発明によれば、通常二次電池の外缶ケースは金属製であるが、アンテナおよび二次電池が、輪列、切替ユニット、水晶振動子ユニット、および制御ブロックの少なくともいずれか一つを挟んで互いに反対側に配置されているので、二次電池がアンテナから遠い位置に配置されることとなる。したがって、二次電池がアンテナで受ける電波磁界を妨げることなく、アンテナの電波の送受信感度が向上し、電波の送受信がより一層確実となる。
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、後述する第二実施形態以降で、以下に説明する第一実施形態での構成部品と同じ部品および同様な機能を有する部品には同一符号を付し、説明を簡単にあるいは省略する。
〔第一実施形態〕
図1には、第一実施形態にかかる無線通信機能付電子時計としての電波修正時計100の平面図が、また図2には図1のII-II断面図が、そして図3には図1のIII-III断面図が示されている。
この電波修正時計100は、腕時計型であって、図1、図2、図3に示されるように、リング状(両端が開口の短筒形状)の外装ケース1を備える。
外装ケース1は、各指針を駆動する歯車の軸線方向(例えば二番車444の軸線方向)である筒軸方向L1の両端が開口したリング状部材であって、例えば、黄銅、ステンレス鋼、チタン合金などの金属材料によって形成されている。外装ケース1の厚みはリングの径に比べて小さいものであり、10mm以下あるいは5mm以下に形成される。外装ケース1の外周で互いに反対位置には、腕時計用バンドを取り付ける取付部11,12が形成されている。ここで、外装ケース1の中心点からみて取付部11,12のうち一方が設けられる方向を12時方向とし、取付部11,12の他方が設けられる方向を6時方向とする。図1中では、上方(取付部11の方)を12時方向とし、下方(取付部12の方)を6時方向とする。
外装ケース1の胴部には、略4時方向から貫通する巻真131が設けられている。巻真131の一端は外装ケース1の外側に位置するとともに、この一端には竜頭132が設けられている。巻真131の他端は外装ケース1の内側に位置するとともに、この他端側にはカンヌキ133およびオシドリ134が設けられている。カンヌキ133は、ツヅミ車135と係合し、巻真131を引き出すことにより、オシドリ134、カンヌキ133を介してツヅミ車135が巻真131の軸方向に移動して日の裏車(図示せず)と噛み合って、指針の位置を修正できるように構成されている。巻真131、カンヌキ133、オシドリ134およびツヅミ車135などにより、指針の位置修正を外部から手動で操作できるように切替可能な切替ユニット13が構成されている。
外装ケース1の一方の開口側には図2、図3に示されるように、時刻表示手段2が設けられ、外装ケース1の他方の開口(端部)には開口を閉じる裏蓋(蓋部材)3が設けられている。ここで、図2および図3中の上方を電波修正時計100の上方とし、図中の下方を電波修正時計100の下方とする。また、筒軸方向L1に沿った方向を電波修正時計100の厚み方向(高さ方向)とする。
時刻表示手段2は、外装ケース1の筒軸方向L1(図1中で紙面垂直方向)に対して略直交する時刻表示面211を有する文字板21と、この文字板21上で回動する指針221、222とを備えて構成されている。
文字板21は略円板状であって外装ケース1の開口を閉じる面積を有する。文字板21は非導電性、非磁性、および光透過性を有する材料で構成されており、例えば、無機ガラスや、プラスチック、セラミックス、紙類、その他任意の材料が採用できる。時刻表示面211は外部から視認可能に外方に向けて設けられ、時刻表示面211上の外縁寄りには時刻を表す数字や文字などの装飾(不図示)が円環状に印字されている。
指針は、分を示す分針221と、時を示す時針222とを備えて構成されている。指針221、222は両者とも黄銅、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料で構成されている。分針221および時針222が文字板21の略中心を回転軸として時刻表示面211上で回動され、時刻表示面211上の数字や文字などを指し示すことで時刻が示される。したがって、指針は、時針222の一周分で12時間を表す12時間式の時刻表示手段となっている。
指針221、222を間にして文字板21と対向して風防(カバー部材)23が設けられている。風防23は、外装ケース1の一方の開口を覆うように設けられ、この開口を塞ぐ面積を有する。風防23は、非導電性かつ非磁性を有する光透過性材料で構成され、例えば、無機ガラスや有機ガラスで形成される。
文字板21の時刻表示面211とは反対側で外装ケース1の風防23側(一方の開口側)には、光発電手段6が配設されている。光発電手段6は、光電変換により発電を行う光電変換素子(光電変換部)61と、光電変換素子61を支持する支持基板62とを備えて構成されている。
光電変換素子61は、文字板21と略同一の面積を有する略円形のパネル状であり、文字板21側から透明電極層(TOC)、半導体層、透明電極層がこの順で積層されて構成されている(図示省略)。透明電極層は、透明導電膜を有し、透明導電膜としては、例えば、SnO、ZnO、ITO(Indium Tin Oxide)などが挙げられる。半導体層は、微結晶または非晶質のシリコンでありpn接合された構造を有するPIN型フォトダイオードである。なお、文字板21から離隔する側の透明電極層には反射金属膜が蒸着されていてもよい。
支持基板62は、ポリイミド樹脂、ガラス入りエポキシ樹脂、セラミックス等の非磁性かつ非導電性の材料で構成されている。支持基板62は、光電変換素子61と略同一の面積を有する板状であって文字板21とは反対側で光電変換素子61に接着されている。
このような光発電手段6は、光電変換素子61が文字板21に接合されることにより、固定されている。
裏蓋3は、文字板21との間に所定間隔をもって対向して外装ケース1の他方の開口端を覆うように設けられ、この開口を閉じる面積を有する。裏蓋3は、導電性かつ非磁性の金属材料で構成され、例えば、ステンレス鋼、黄銅、チタン合金などが採用でき、また導電性かつ磁性の金属材料であるパーマロイなども採用できる。
外装ケース1の内側で文字板21および裏蓋3との間には、計時機能を有するムーブメント4と、ムーブメント4を外装ケース1に保持するプラスチック製の中枠14と、ムーブメント4に電力を供給する電池49と、時刻情報を含む標準電波を受信するアンテナ5とが設けられている。
ムーブメント4は、水晶振動子411(図4参照)を含む水晶振動子ユニット41と、制御機能を有する回路ブロック(制御ブロック)42と、指針221、222を回動させるステッピングモータ(電磁モータ)43A,43Bを備えた駆動手段と、ステッピングモータ43A,43Bの動力を回転運動として指針221、222に伝達する輪列44と、輪列44を外装ケース1の筒軸方向L1から挟持する地板46および輪列受47とを備えて構成されている。
水晶振動子ユニット41は、基準クロック用の水晶振動子411を備えている。また、標準電波の周波数(60kHz、40kHz)に同調する同調信号生成用の水晶振動子として60kHz用の水晶振動子412と40kHz用の水晶振動子413とが設けられている。同調信号生成用の水晶振動子412、413は略9時方向に配置されている。
水晶振動子ユニット41および回路ブロック42は、略12時方向に配設されている。図4に、回路ブロック42の機能ブロック図を示す。
回路ブロック42は、アンテナ5で受けた標準電波を処理して時刻情報として出力する受信回路421と、受信回路421から出力された時刻情報を記憶する記憶回路422と、水晶振動子411からのクロックパルスで現時刻をカウントするとともに受信した時刻情報で現時刻を修正する中央制御回路423と、ステッピングモータ43A,43Bを駆動するモータ駆動回路425と、指針位置を検出する針位置検出回路426とを備えている。
受信回路421は、アンテナ5によって受信された標準電波を増幅する増幅回路、所望の周波数成分を抽出するフィルタ、信号を復調する復調回路、信号をデコードするデコード回路などを備えて構成されている。
記憶回路422は、受信回路421でデコードされた時刻情報を一旦記憶するとともに記憶した複数の時刻情報を対比して受信の成否を判断する。
光発電手段6は、文字板21側から入射した光を受けて発電し、この発電量は、電池(二次電池)49に充電される。光発電手段6と電池49との間には、電池49からの放電を防止するダイオードが設けられている。この電池49の電力により、各電子回路が駆動される。
中央制御回路423は、発振回路、分周回路、現時刻をカウントする現時刻カウンタ、および、受信した時刻情報に従って現時刻カウンタのカウント値を修正する時刻修正回路などを備えている。中央制御回路423は、受信回路421の受信スケジュールを記憶するとともに受信動作を制御する受信制御回路424を備え、受信スケジュールとしては、午前2時から午前2時6分に受信動作を行う設定が行われる。また、受信制御回路424に対して切替ユニット13による入力操作によって時刻情報の強制受信が指令された場合には、受信制御回路424からの出力信号により受信回路421で受信動作が実行される。
モータ駆動回路425は、中央制御回路423から指令されるタイミングでステッピングモータ43A,43Bに駆動パルスを印加する。
針位置検出回路426は、指針(分針221、時針222)の針位置を検出して中央制御回路423に検出結果を出力する。中央制御回路423内において、針位置検出回路426からの検出結果と時刻カウンタのカウンタ値とが比較される。そして、この比較結果に基づいて指針位置をカウンタ値に一致させるモータパルスの出力がモータ駆動回路425に指令される。
駆動手段は、分針221を回転させる分針用ステッピングモータ43Aと、時針222を回転させる時針用ステッピングモータ43Bとを備えている。
ステッピングモータ43A,43Bは、モータ駆動回路425から供給される駆動パルスによって磁力を発生する駆動コイル431A,431Bと、この駆動コイル431A,431Bによって励磁されるステータ432A,432Bと、ステータ432A,432Bに励磁される磁界により回転するロータ433A,433Bとを備えている。分針用ステッピングモータ43Aは、略10時方向に配設され、時針用ステッピングモータ43Bは、略8時方向に配設されている。
ステッピングモータ43A,43Bは、駆動コイル431A,431Bが電波修正時計100の側面視(つまり外装ケース1の筒軸方向L1に垂直な方向から電波修正時計100を見た状態)において輪列受47に重なる位置に配置され、これにより、駆動コイル431A,431Bは裏蓋3に近接して配置されている。この時、駆動コイル431A,431Bの厚み方向(高さ方向)の中心位置Mは、ムーブメント4の厚み方向(高さ方向)の中心位置C、つまり地板46および輪列受47から等間隔の位置よりも裏蓋3に近い側に配置されている。したがって、駆動コイル431A,431Bの厚み方向の中心位置Mから輪列受47下面までの距離M1は、駆動コイル431A,431Bの厚み方向の中心位置Mから地板46上面までの距離M2より小さくなるように設定されている。
輪列44は、ロータ433A,433Bの回転を指針221、222に伝達し、分針用ステッピングモータ43Aから分針221が接続された分針軸442と一体回転する二番車444へ繋がる分針用輪列44Aと、時針用ステッピングモータ43Bから時針222が接続された筒車441へ繋がる時針用輪列44Bとを備えて構成されている。輪列44は、ステンレス鋼などの金属材料や、セラミックスやプラスチックのような非導電性および非磁性の材料など、適切な強度を確保できる材料を適宜選択すればよい。
地板46は、文字板21側において輪列44を軸支し、輪列受47は裏蓋3側において輪列44を軸支する。地板46および輪列受47は、非導電性かつ非磁性の材料で構成され、例えば、プラスチックやセラミックスで形成される。
輪列44、ステッピングモータ43A,43B、回路ブロック42が地板46および輪列受47の間に挟まれて一体化されムーブメント4が構成されている。
なお、前述の光発電手段6は、このムーブメント4にねじ止めされて固定されていてもよいし、ムーブメント4にスナップ取付される枠部材によって、ムーブメント4に取り付けられていてもよい。
中枠14は外装ケース1の内周に沿ったリング状部材であって、ムーブメント4の周端面を囲んでいる。そして、この中枠14によりムーブメント4が外装ケース1内に保持されている。中枠14は、非導電性かつ非磁性の材料で形成され、例えば、プラスチックやセラミックスで形成される。
電池49は、光発電手段6に直列に接続され、光発電手段6で発電された電力を蓄電する二次電池であり、その外缶ケースが金属材料で形成されている。電池49は、略2時方向に配設され、略1時方向から略3時方向にわたって場所を占めている。
アンテナ5は、純鉄、アモルファス金属などの高透磁率材料で構成された磁心51と、この磁心51に多層に巻きまわされたコイル52とを備えて形成されている。磁心51は、鉄損を低減できるように薄板状部材を多数積層して断面外形形状が略矩形状に形成されている。なお、薄板状部材同士はエポキシ系等の絶縁性を有する接着剤で接着されている。
アンテナ5は、電波修正時計100の側面視において、その軸方向が支持基板62の平面にほぼ平行に、かつ光電変換素子61に対して裏蓋3側の面であって支持基板62において光電変換素子61が設けられた側とは反対側の面、つまり支持基板62の裏蓋3側の面に近接対向して配置されている。これにより、外装ケース1の筒軸方向L1に平行な方向から見た状態、つまり電波修正時計100の平面視において、アンテナ5は、そのほぼ全体が光発電手段6の光電変換素子61および支持基板62に覆われている。なお、アンテナ5は、支持基板62に当接して配置されていてもよいし、または支持基板62と所定寸法以内の間隔を有して配置されていてもよい。アンテナ5と支持基板62との所定寸法は、アンテナ5の形状や、支持基板62の材質、寸法等を勘案して、アンテナ5が良好に電波を受信できる距離に予め設定すればよい。
ここで、本実施形態においては、アンテナ5は地板46を貫通して光発電手段6側に突出して配置され、アンテナ5の外形部分が支持基板62下面に当接されている。これにより、磁心51の厚み方向(高さ方向)の中心位置Nは、ムーブメント4の厚み方向(高さ方向)の中心位置Cより文字板21側に配置されることとなる。またこの時、磁心51の厚み方向(高さ方向)の中心位置Nは、金属製の外装ケース1における厚み方向の中心位置Pよりも文字板21(つまり光発電手段6)側に配置されている。したがって、磁心51(アンテナ5)の厚み方向の中心位置Nから外装ケース1の裏蓋3とは反対側(文字板21側)の端部までの距離N2は、磁心51(アンテナ5)の厚み方向の中心位置Nから裏蓋3上面までの距離N1よりも小さく設定される。
アンテナ5は、電波修正時計100の平面視において略6時方向に配設され、その軸方向が略3時方向と略9時方向とを結ぶ方向にほぼ平行となっている。また、アンテナ5は、電波修正時計100の平面視において、切替ユニット13を挟んで電池49とは反対側に配置されていることとなる。
このような構成を備える第一実施形態の電波修正時計100の動作について説明する。
水晶振動子411の発振を分周して生成された基準クロックにより時刻カウンタの現時刻が更新される。また、針位置検出回路426にて指針(分針221、時針222)の位置が検出され、検出結果は中央制御回路423に出力される。指針位置と時刻カウンタのカウンタ値とが比較され、比較結果に基づいてモータ駆動回路425を介してステッピングモータ43A,43Bが駆動される。ステッピングモータ43A,43Bの駆動によるロータ433A,433Bの回転は輪列44にて指針221、222に伝達され、指針221、222により時刻表示面211上の数字が指示されることにより、現時刻が表示される。
次に、標準電波の受信動作および標準電波の時刻情報に基づく時刻修正動作について説明する。
標準電波はアンテナ5で受信される。ここで、標準電波は、電磁波であるところ、電波の進行方向に対して垂直方向に振動する電界変動と、電波の進行方向および電界変動に垂直方向に振動する磁界変動とからなる。そして、磁界変動が、風防23、文字板21、および光発電手段6を抜けて、アンテナ5の磁心51を通り、軸線に沿ってコイル52に鎖交することでコイル52に誘導電圧が生じ、標準電波の受信が行われる。
受信制御回路424に設定された受信開始時刻である午前2時になると、受信制御回路424から受信回路421に受信動作開始の指令が出力される。あるいは、切替ユニット13により、強制受信操作が入力されると、受信制御回路424から受信回路421に受信開始の指令が出力される。受信回路421は、受信開始の指令を受けると、電池49から電力供給を受けて、アンテナ5で受信された信号(時刻情報)のデコードを開始する。
デコードされた時刻情報は一旦記憶回路422に記憶されるとともに、複数回(例えば6回)の受信で得られた時刻情報を前後同士で比較して受信の正確さを判断する。正確に受信された時刻情報に従って時刻修正回路により時刻カウンタの現時刻が修正される。そして、時刻カウンタの時刻に従って針位置が修正され、受信時刻に従った時刻が示される。
また、文字板21に向けて光が照射されると、光は風防23および文字板21を透過して光電変換素子61に入射する。すると、光電変換素子61により光電変換されて発電され、発電された電力(電流)は透明電極から電池49に給電されて蓄電される。
このような第一実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(1) 支持基板62が非磁性材料で構成されているので、外部からの磁界が光発電手段6を貫通することができ、光発電手段6の直下に配置されたアンテナ5が文字板21側から良好に電波を受信できる。したがって、アンテナ5は光発電手段6の影響を受けることなく良好な受信性能を確保することができ、しかもその際は、裏蓋3や外装ケース1を金属材料で構成することができ、電波修正時計100の外観を向上させることができる。一方、光発電手段6は、アンテナ5が近接配置されてもアンテナ5により入射光を妨げられることなく良好に受光して発電することができる。
また、支持基板62が非導電性材料で構成されているので、外部からの標準電波に含まれる電界成分を妨げることがない。したがって、標準電波の電界成分が良好に光発電手段6を貫通でき、アンテナ5が文字板21側から良好に電波を受信できる。
(2) アンテナ5が光発電手段6よりも裏蓋3側に配置され、支持基板62が電波修正時計100の平面視でアンテナ5全体に重なる位置に配置されているので、風防23側からはアンテナ5全体が光発電手段6によって覆われて視認不可能となり、これによっても電波修正時計100の外観を向上させることができる。また、アンテナ5を光発電手段6の直下に配置しても電波受信できるので、光電変換素子61の面積を外装ケース1内周で最大にすることができ受光面積を大きくできるので発電効率を良好にすることができる。
(3) アンテナ5が支持基板62に当接して配置され、ムーブメント4の中心位置Cより文字板21側に、かつ外装ケース1の厚み方向の中心位置Pより文字板21側に配置されているので、アンテナ5を外装ケース1の文字板21側(風防23側)の開口に近接して配置でき、開口から電波を良好に受信でき、アンテナ5の受信感度を向上できる。すなわち、アンテナ5の中心位置Nから外装ケース1の文字板21側の端部までの距離N2が、アンテナ5の中心位置Nから裏蓋3までの距離N1よりも小さく設定されているので、外部からの電波が外装ケース1の文字板21側の開口から容易に進入できる。また、アンテナ5が裏蓋3から離れた位置に配置されるので、外部から進入した電波が導電性を有する裏蓋3に引き込まれるのを防止でき、アンテナ5での電波受信を良好かつ確実にできる。この場合に、アンテナ5と支持基板62との間には、電波修正時計100の他の構成部品(構成部材)が配置されないので、他の構成部品によって電波の受信が阻害されることがなく、アンテナ5が良好かつ確実に電波を受信できる。
なお、このことは、光発電手段6が設けられていない無線通信機能付電子時計においても当てはまる。つまり、アンテナ5の中心位置Nが、外装ケース1の中心位置Pよりも文字板21側に配置されている、いいかえれば、アンテナの中心位置Nから外装ケース1の文字板21側の端部までの距離N2が、アンテナの中心位置Nから裏蓋3までの距離N1よりも小さく設定されていれば、裏蓋3が金属材料などの導電性を有する材料で構成されていても、アンテナ5が、外装ケース1の文字板21側の開口から電波を受信しやすくなる。
(4) また、この時ステッピングモータ43A,43Bの駆動コイル431A,431Bが裏蓋3側に近接して配置されているので、アンテナ5の軸線と駆動コイル431A,431Bの軸線とを電波修正時計100の側面視において互いに離れた位置に配置することができる。通常、駆動コイル431A,431Bに電流が流れると、駆動コイル431A,431B周囲には微弱磁界が発生するが、これらの駆動コイル431A,431Bがアンテナ5から離れた位置に配置されているので、この微弱磁界によるアンテナ5への影響を低減することができる。
また、駆動コイル431A,431Bが裏蓋3側に近接して配置されているので、外部からの電波がステータ432A,432Bに引き込まれるのを防止でき、アンテナ5が、外装ケース1の文字板21側の開口から電波を容易に受信できる。
(5) アンテナ5と電池49との間に、切替ユニット13が配置されているので、電池49の金属製の外缶ケースによるアンテナ5周囲の磁界への影響を最小限に抑制でき、アンテナ5での電波受信をより確実かつ正確にできる。
(6) アンテナ5が3時および9時を結ぶ方向にほぼ平行に配置されているので、例えば取付部11,12に金属製の腕時計用バンドが取り付けられる場合でも、アンテナ5の軸方向延長線上に腕時計用バンドが干渉しないので、腕時計用バンドによって電波磁界を妨げられることなく、アンテナ5において良好かつ確実に電波を受信できる。
(7) 文字板21および風防23が非磁性材かつ非導電性材で構成されているので、外装ケース1の風防23側の開口から入った電波が文字板21および風防23を抜けることができる。したがって、アンテナ5が外装ケース1の開口から進入する電波を良好に受信できる。
〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態は、第一実施形態における光発電手段6およびアンテナ5の配置が異なるものである。
図5には、第二実施形態にかかる電波修正時計100の平面図が、また図6には図5のVI-VI断面図が示されている。この図5および図6において、光発電手段6は、文字板21と略同一の面積を有する略円形に形成され、略6時の位置にアンテナ5の外形に沿ってアンテナ5を囲むように略コ字型の切欠63が形成されている。これにより、電波修正時計100の平面視において、アンテナ5および光発電手段6は互いに重ならない位置に配置されている。支持基板62は、ステンレス鋼などの導電性を有する金属材料で構成されている。ここで、支持基板62の材料は、磁性および非磁性のいずれか一方または両方の性質を有する材料が採用できる。
アンテナ5は、電波修正時計100の側面視において、地板46から一部が貫通して突出して配置され、文字板21の直下、つまり時刻表示面211とは反対側に近接して配置されている。なお、この時アンテナ5は文字板21に当接して配置されていてもよいし、所定寸法以内の間隔を有して近接して配置されていてもよい。
このような配置により、アンテナ5(コイル52等)および支持基板62は、電波修正時計100の側面視において、互いに重なる位置に配置されることとなる。
なお、第二実施形態においても、アンテナ5の磁心51の厚み方向(高さ方向)の中心位置Nは、ムーブメント4の厚み方向(高さ方向)の中心位置Cより文字板21側に配置されている。また、磁心51の厚み方向(高さ方向)の中心位置Nは、金属製の外装ケース1における厚み方向の中心位置Pよりも文字板21側に配置されている。そして、磁心51(アンテナ5)の厚み方向の中心位置Nから外装ケース1の文字板21側の端部までの距離N2は、磁心51(アンテナ5)の厚み方向の中心位置Nから裏蓋3までの距離N1よりも小さく設定されている。このような配置により、アンテナ5が外装ケース1の文字板21側の開口から電波を受信しやすくなる。
このような第二実施形態によれば、第一実施形態の(4)、(5)、(6)および(7)の効果と同様の効果が得られる他、次のような効果が得られる。
(8) 光発電手段6に切欠63等を設けることにより、アンテナ5を電波修正時計100の側面視において支持基板62と重なる位置に配置することから、アンテナ5を光発電手段6の厚み分だけより文字板21に近接して配置でき、第一実施形態に比べて、アンテナ5をより風防23側に近づけることができる。したがって、アンテナ5を外装ケース1の開口により近接して配置できるので、開口から電波をより確実に受信できる。この場合に、アンテナ5と文字板21との間には、電波修正時計100の他の構成部品(構成部材)が配置されないので、他の構成部品によって電波の進入が阻害されることがなく、アンテナ5が良好かつ確実に電波を受信できる。
また、アンテナ5が電波修正時計100の側面視で支持基板62と重なっているものの、ムーブメント4の中心位置Cより文字板21側に、かつ外装ケース1の厚み方向の中心位置Pより文字板21側に配置されている、すなわち、アンテナ5の中心位置Nから外装ケース1の文字板21側の端部までの距離N2が、アンテナ5の中心位置Nから裏蓋3までの距離N1よりも小さく設定されている。したがって、第一実施形態の(3)の効果と同様に、外装ケース1の文字板21側の開口から電波を良好に受信でき、アンテナ5の受信感度を向上できる。
(9) 光発電手段6に切欠63を形成すること等により、アンテナ5および光発電手段6が電波修正時計100の平面視で重ならない位置に配置されているので、支持基板62を金属材料で構成しても、アンテナ5へ進入する磁界を妨げず、アンテナ5の良好な受信性能を確保できる。これにより、支持基板62の金属材料を磁性、非磁性にかかわらず選択することができ、選択の幅が広がるとともに、光発電手段6の強度を向上させることができる。
なお、特に支持基板62が非磁性かつ非導電性の材料で構成されている場合には、アンテナ5周囲に磁性材料が配置されないので、アンテナ5の電波受信が阻害されず、より一層確実かつ良好に受信動作を行うことができる。
〔第三実施形態〕
次に、本発明の第三実施形態について説明する。第三実施形態は、第二実施形態における光発電手段6およびアンテナ5の形状が異なるものである。
図7には、第三実施形態にかかる電波修正時計100の平面図が示されている。この図7において、光発電手段6は、三つ設けられ(6A,6B,6C)、これら三つの光発電手段6A,6B,6Cは、起電力(電圧)を向上させることができるように、それぞれの光電変換素子61A,61B、61Cが互いに直列に接続されている。また、それぞれの光発電手段6A,6B,6Cは、支持基板62A,62B,62Cが第二実施形態と同様に、アモルファス金属、パーマロイ、ステンレス鋼などの導電性および高透磁率の磁性を有する材料で構成されている。
光発電手段6B,6Cは、それぞれ略4時方向および略8時方向に配設され、アンテナ5の両端に対応する位置に配置されている。これらの光発電手段6B,6Cは、光電変換素子61B,61Cおよび支持基板62B,62Cともにほぼ同寸法の略三角形状に形成されている。光発電手段6A,6B,6Cは、電波修正時計100の平面視において、互いに重ならない位置に配置されている。また、光発電手段6B,6Cの支持基板62B,62Cと光電変換素子61B,61Cとは、互いに絶縁されており、光電変換素子61B,61Cは光発電手段6Aに電気的に接続されている。
光発電手段6Aは、略12時方向に配設され、光電変換素子61Aおよび支持基板62Aともに、外装ケース1の内周と、光発電手段6B,6Cと、アンテナ5とで囲まれた領域をほぼ覆うように形成され、略半円形の弦部分に凸部を有する変形形状に形成されている。したがって、この光発電手段6Aは、外装ケース1の開口の大部分を覆っており、光発電手段6B,6Cよりも面積が大きく構成され、光発電手段6の主要部となっている。これらの光発電手段6A,6B,6Cは、電波修正時計100の平面視で互いに重ならない位置に配置されている。
なお、光発電手段6の分割数は三つに限らず、二つや、四つ以上の複数個に任意に設定してよい。また、複数個の光発電手段6A,6B,6Cは、光電変換素子61A,61Bが直列に接続されるものに限らず、並列に接続されていてもよい。
アンテナ5は、略6時方向に、その軸方向が3時と9時とを結ぶ方向にほぼ平行に配置されている。磁心51の端部は、光発電手段6B,6Cの平面形状と略同一の略三角形状に形成され、それぞれが支持基板62B,62Cに接着や圧接などにより磁気的に接合されている。
図8には、図7のVIII-VIII線に沿った一部断面図が示されている。この図8に示されるように、磁心51の両端部は、コイル52の両端外側部分で光発電手段6B,6C側に折曲されており、これにより、磁心51の両端部が、より文字板21側(外装ケース1の開口側)に近接して配置され、光発電手段6B,6Cが文字板21に当接して配置されている。なお、磁心51の端部を折り曲げずに、磁心51に光発電手段6B,6Cを磁気的に接合し、その結果光発電手段6B,6Cが文字板21から離れた状態で配置されてもよい。
このような第三実施形態によれば、第一実施形態の(3)、(4)、(5)、(6)および(7)の効果と同様の効果が得られる他、次のような効果が得られる。
(10) 支持基板62B,62Cとアンテナ5の磁心51の両端部とが磁気的に接合されているので、支持基板62B,62Cおよび磁心51の両端部の広い面で標準電波の磁界をアンテナ5に導くことができる。その結果、鎖交磁束を増大でき、アンテナ5の受信感度を向上させることができる。
また、この時、アンテナ5の両端部を支持基板62B,62Cと接合することにより、当該部分に光発電手段6B,6Cを形成することができ、光発電手段6の受光面積を小さくすることなくアンテナ5での受信精度を向上させることができる。
(11) アンテナ5へ磁界を導く光発電手段6B,6Cとは異なり、光発電手段6Aが、電波修正時計100の平面視でアンテナ5と重ならない形状に形成されているので、第二実施形態の(8)の効果と同様に、アンテナ5の電波受信を妨げることなく支持基板62Aを金属材料などの磁性材料で構成できる。したがって、光発電手段6の強度を向上させることができる。
また、電波修正時計100の平面視において、アンテナ5のコイル52部分には、支持基板62A,62B,62Cが重ならないので、アンテナ5をより風防23側に近づけることができ、第二実施形態の(9)の効果と同様に、アンテナ5がより確実に電波を受信できる。
(12) 三つの光発電手段6A,6B,6Cが設けられ、これらが互いに直列に接続されているので、起電力を向上させることができる。
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、光発電手段の形状は各実施形態のものに限られず、外装ケースの形状や、駆動手段の配置などを勘案して任意に設定できる。
図9には、本発明の光発電手段の変形例を示す電波修正時計100の平面図が示されている。この図9において、光発電手段6は、円盤形状の略6時方向に直線部64が形成された、略半円形状に形成されている。直線部64は、アンテナ5外形の長辺の一端に沿うように、アンテナ5の軸方向に平行に形成され、つまり3時と9時とを結ぶ方向に平行に形成されている。したがって、電波修正時計100の平面視において、アンテナ5と光発電手段6は重ならないようになっている。
この光発電手段6の形状によれば、光発電手段6の支持基板がアンテナ5に平面的に重ならないので、支持基板を磁性材料や導電性材料で構成しても、アンテナ5が外装ケースの光発電手段6側から良好に電波を受信できる。またこの時、光発電手段6に直線部64が形成されているので、アンテナ5両端の領域には光発電手段6が配置されない。したがって、例えば光発電手段6の支持基板が磁性材料や導電性材料で構成されている場合でも、外装ケース1の光発電手段6側の開口からアンテナ5両端に良好に電波磁界が届き、良好に電波を受信できる。
この場合、アンテナ5は、文字板21の直下に近接あるいは接して配置されるので、文字板21側から入射する電波を受信しやすくなる。
このように、光発電手段の形状は、円形や、半円形等に限られず、矩形状や三角形状、変形形状、各種キャラクター形状など任意に選択することができ、駆動手段を駆動するために必要な発電力を得ることができる面積を確保できればよい。
したがって、光発電手段の配置も、電波修正時計の平面視において、他の構成部品の配置などを勘案して適宜設定できる。
また、外装ケースの形状も任意であり、各実施形態での円筒形に限らず、角筒状や変形筒形状など、用途やデザインに応じて適宜設定できる。この時、光発電手段の形状は外装ケースの内周形状に合わせて形成してもよいし、外装ケースとは別形状となっていてもよい。なお、光発電手段の形状を外装ケース内周形状に沿って形成すれば、光電変換部の面積を大きく取れるので、発電効率を良好にできる。
外装ケースは、両端が開口となっているものに限らず、例えば有底筒状に形成されていてもよく、要するに少なくとも一方の端部側が開口となっていればよい。外装ケースは、ムーブメントを保持するための胴や、風防を保持するためのガラス縁等の複数の金属外装部品が組み立てられて一体に構成される構造であってもよい。また、外装ケースは、金属材料のみで構成されるものに限らず、例えば合成樹脂製の外装ケース本体の表面を金属薄板で覆って一体化した構造であってもよい。
アンテナのムーブメント内での配置は、任意に設定でき、例えば無線通信機能付電子時計の側面視において、アンテナと蓋部材との間に時計の構成部品(構成部材)が配置されていてもよい。
図10には、電波修正時計の変形例を示す平面図が、また、図11には、図10のXI-XI断面図が示されている。これらの図10および図11において、アンテナ5は各実施形態と同様にムーブメント4内において文字板21側に近接して配置されている。電波修正時計100の側面視において、アンテナ5と輪列受47との間には、ステッピングモータ43Bにより駆動される時針用輪列44Bの一部である歯車が配置されている。つまり、時針用輪列44Bは、電波修正時計100の平面視において、アンテナ5と重なって配置されている。アンテナ5は文字板21側に近接して配置されているので、アンテナ5と輪列受47との間にはある程度のスペースが形成される。そこで、このスペースを利用して電波修正時計100の他の構成部品を配置することにより、電波修正時計100のスペース効率を高めることができる。これにより、電波修正時計100の小型化を促進できる。また、電波修正時計100の平面視において、時針用輪列44Bがアンテナ5側に近接して配置されるので、電波修正時計100の略9時方向のスペースが大きく取れるため、例えば水晶振動子412,413を大きくすることができる。このように、アンテナ5が文字板21側に近接して配置されることにより、アンテナ5と輪列受47との間のスペースを有効に利用できる。なお、アンテナ5と輪列受47との間には、時針用輪列44Bに限らず、例えば切替ユニット13や、回路ブロック42、水晶振動子ユニット41等の任意の部品、部材を配置できる。
電波修正時計の構成は、各実施形態のものに限らず電波によって表示時刻を修正する時計であれば任意であり、例えば日にち表示機能が設けられていてもよい。
図12には、電波修正時計の変形例を示す平面図が、また図13には図12のXIII-XIII断面図が示されている。これらの図12および図13において、外装ケース1の内方で、ムーブメント4および光発電手段6の間には、日車45が挟持されている。日車45は、中央部が開口された環状の歯車で、例えば、プラスチックや無機ガラス、紙材などの非導電性かつ非磁性の材料で構成されている。日車45は、筒車441から繋がる輪列(不図示)に噛合され、筒車441の回転により所定の速度で回転される。日車45には文字板21に対向して日を表す文字が記されている(不図示)。なお、文字板21には、日車45の文字を外部から視認可能にする日窓212が略3時方向に開口形成されている。
光発電手段6は、日車45の内周半径よりも大きい半径の円形に形成されており、その支持基板62が、日車45の内周部分の上部を覆ってムーブメント4との間で挟持することによって日車の断面方向のずれを防止している。つまり、光発電手段6が日車押さえの機能を果たしている。また、光発電手段6の半径は、日車45の外周半径よりも小さく形成され、これにより日車45の環状部分が文字板21から視認可能となっている。支持基板62は、ポリイミド樹脂などの非導電性かつ非磁性の材料で構成されている。
アンテナ5は、その軸方向が3時と9時とを結ぶ方向にほぼ平行に配置され、日車45の内周より内側に配置されている。したがって、電波修正時計100の平面視において、アンテナ5と日車45とは重ならないようになっている。
このような構成の電波修正時計100においても、支持基板62が非磁性材料で構成されているので、アンテナ5が文字板21側から良好に電波を受信できる。
また、光発電手段6が日車押さえの機能を兼用しているので、部品点数を減少でき、電波修正時計100の薄型化を促進できるとともに、製造コストを削減できる。
なお、アンテナ5と日車45とが電波修正時計100の平面視において重ならないように配置されているので、日車45を導電性かつ磁性を有する金属材料などで構成した場合でも、アンテナ5での良好な電波受信性能を確保できる。
また、アンテナ5は、図14および図15に示されるように、電波修正時計100の平面視で日車45に重なって配置されていてもよい。
図14は、本発明のアンテナの配置の変形例を示す平面図であり、図15は、図14のXV-XV断面図である。これらの図14および図15に示されるように、電波修正時計100の平面視において、アンテナ5は、略6時方向に配設されており、図12および図13に示される電波修正時計100のアンテナ5に比べて外装ケース1内でより外周側に配置されている。この配置により、アンテナ5の一部は電波修正時計100の平面視で日車45に重なっている。日車45は、ポリアセタール樹脂等のプラスチック材料で構成され、日窓212は、略6時方向に配設されている。このような配置によれば、アンテナ5をムーブメント4内においてより外周側に配置できるので、電波修正時計100の内側のスペースを有効に利用でき、構成部品のレイアウトの自由度を向上させることができる。また、アンテナ5がよりスペースが大きい外装ケース1の外周側に配置されることにより、アンテナ5をより大きく構成することができるので、アンテナ5の電波受信感度を向上させることができる。
また、図12、図13、図14、および図15においても、アンテナ5の磁心51の厚み方向(高さ方向)の中心位置Nは、ムーブメント4の厚み方向(高さ方向)の中心位置Cより文字板21側に配置されている。また、磁心51の厚み方向(高さ方向)の中心位置Nは、外装ケース1における厚み方向の中心位置Pよりも文字板21側に配置されている。そして、磁心51(アンテナ5)の厚み方向の中心位置Nから外装ケース1の裏蓋3とは反対側の端部までの距離N2は、磁心51(アンテナ5)の厚み方向の中心位置Nから裏蓋3までの距離N1よりも小さく設定されている。このようなアンテナ5の配置により、アンテナ5が外装ケース1の文字板21側の開口から電波を良好に受信できる。なお、この場合においても、図10および図11と同様に、アンテナ5と輪列受47との間に時針用輪列44Bなどのムーブメント4の構成部品を配置してもよい。
アンテナの形状、構成は各実施形態に示されたものに限らず、アンテナの受信性能や外装ケースのスペース等を勘案して適宜設定してよい。例えばアンテナは、磁心が設けられておらず、中空筒状に形成された、いわゆるコアレス状のものであってもよい。また、アンテナの磁心は、薄板状部材を多数積層したものに限らず、例えば角柱や円柱状に形成されていてもよい。
また、アンテナは、地板に組み込まれるものに限らず、例えば回路基板に実装されていてもよい。
図16は、本発明のアンテナの固定構造の変形例を示す側断面図であり、図17は、図16の側面視での拡大図である。これらの図16および図17に示されるように、ムーブメント4内には、水晶振動子ユニット41や回路ブロック42が実装される回路基板48が設けられている。回路基板48は、地板46の下面(輪列受47に対向する面)に当接配置されており、地板46にねじ止めなどによって固定されている。回路基板48には、アンテナ5が配置される位置に開口部481が形成されており、アンテナ5のコイル52は、この開口部481内に収納され、磁心51が回路基板48に当接されている。磁心51は、はんだ、接着、リベット等の方法により回路基板48に固定されている。このようなアンテナ5の固定構造によれば、アンテナ5が回路基板48に確実に固定されるので、電波修正時計100の動きによってアンテナ5がムーブメント4内で動かず、コイル52の断線や他の構成部品への干渉などを確実に防止できる。なお、図17に示されるように、アンテナ5の端部と外装ケース1内側の上端部とを結んだ線と、外装ケース1の軸線L1とがなす角度θは、45°以上であることが望ましく、このような配置であれば、外装ケース1が例えば金属材料であっても、外部からアンテナ5の磁心51に良好に電波が到達し、電波を確実に受信できる。
また、アンテナの形状は、例えばその磁心が外装ケースの一方の端部側に折曲されていてもよい。
図18には、本発明のアンテナの形状の変形例が示されている。図18では、アンテナ5は、磁心51が、コイル52の両端外側において文字板21側に折り曲げられて金属製の外装ケース1の風防23側の開口に向かって傾斜している。この時、折曲角度は、アンテナ5端部の延長線が金属製の外装ケース1に干渉することなく、風防23が設けられた一方の開口を通過するように設定されることが望ましい。
また、図19は、本発明の変形例ではないが、参考技術としてのアンテナ5が開示されている。アンテナ5は磁心51およびコイル52全体が文字板21方向に湾曲しており、これにより磁心51の端部がコイル52より文字板21側に近接して配置される。
このように、アンテナ5両端のうち少なくとも一端が外装ケースの一方の端部に向かって折曲されていれば、外装ケース1の開口から入った電波がアンテナ5の磁心51に入りやすく、したがって電波受信を良好にできる。
また、逆にこのようにアンテナを一方の開口側に折曲すること等によって電波の受信性能を向上させることができるので、外装ケースを小さくしてもアンテナでの良好な電波受信を確保できる。したがって、外装ケースの小型化を促進でき、デザインの多様化を促進させることができる。
アンテナと光発電手段との平面的な相対位置は、第一実施形態では、電波修正時計100の平面視においてアンテナ5全体が光発電手段6と重なっており、第二実施形態では、アンテナ5および光発電手段6は電波修正時計100の平面視において互いに重ならない位置に配置されていたが、これに限らずアンテナは、例えば一部が光発電手段の支持基板と重なる位置に配置されていてもよい。
図20は、アンテナおよび光発電手段の配置の変形例を示す平面図であり、図21は、図20の一部側断面図である。これらの図20および図21に示されるように、光発電手段6には、アンテナ5の両端部の磁心51部分に対応する位置に開口部65が形成されている。この配置により、電波修正時計100の平面視において、アンテナ5の両端部は、支持基板62に重ならない配置となっている。したがって、支持基板62がステンレス鋼等の金属材料で構成される場合であっても、外部からの電波が開口部65を通ってアンテナ5に到達するので、電波を良好に受信できる。もちろん、支持基板62が、例えばポリアミド樹脂などの非金属材料で構成されていれば、アンテナ5による電波受信をより確実にできる。また、光発電手段6には、アンテナ5の両端部に対応する位置のみに開口部65が形成されるから、受光面積を大きく取ることができ、アンテナ5での良好な受信感度を確保しながら、光発電手段6の発電効率を良好にできる。
この際、図21に示されるようにアンテナ5の両端部の磁心51が、支持基板62側に折曲されていてもよく、このような構成によれば、より確実に電波を受信できる。ここで、アンテナ5は、その端部からコイル52の軸線方向に磁界が貫通することにより電波を受信するため、特に、アンテナ5の(両)端部が磁性材料で覆われないことが好ましい。したがって例えばアンテナ5の中央部分のみが支持基板に覆われていてもよい。このような場合でも、アンテナ5の端部から磁界が進入できるので、アンテナ5は良好に電波受信できる。要するに、アンテナは、電波修正時計の平面視において、少なくとも一部が支持基板と重ならない位置に配置されていればよい。
また、第三実施形態では、アンテナの両端部が光発電手段の支持基板にそれぞれ磁気的に接続されていたが、これに限らず、例えばアンテナ両端部の一方のみが高透磁性材料の支持基板に磁気的に接続されている構成であってもよく、要するに、アンテナの両端部の少なくとも一方が高透磁性材料の支持基板に磁気的に接続されていればよい。
アンテナと光発電手段との側面的な相対位置は、第一実施形態ではアンテナ5が光発電手段6に当接して配置されていたが、これに限らず、ムーブメント4の構成部品の配置や、電波修正時計100の構成部品の材料などを勘案して適宜設定してよく、例えばアンテナの両端部に電波が到達する範囲であれば、アンテナ5が光発電手段6からある程度離れて、両者の間隔が所定寸法を有して配置されていてもよい。
また、第二実施形態および第三実施形態では、アンテナ5および光発電手段6は電波修正時計100の側面視において、アンテナ5の一部が光発電手段6に重なる位置に配置されていたが、これに限らず、前述のようにアンテナ5および光発電手段6の間隔が所定寸法を有して配置され、側面視において両者が重ならなくてもよい。
電波修正時計の側面視におけるアンテナの配置は、各実施形態において、アンテナの中心位置が外装ケースの中心位置よりカバー部材側に近接して配置されていたが、例えば図2などのように、裏蓋3が外装ケース1の下端より突出した形状である場合には、アンテナの中心位置は、外装ケース1の上端から裏蓋3の下端までの距離の中心位置よりも支持基板62側(文字板21側、風防23側)に配置されていてもよい。また、裏蓋3が外装ケース1の下端よりも上方に凹んだ形状に形成されている場合には、外装ケース1の上端から下端までの距離の中心位置に対して、アンテナの中心位置が支持基板62側となるように設定すればよい。要するに、アンテナの中心位置は、外装ケースと蓋部材とを合わせた外装ケース部の中心位置より支持基板側に配置されていればよく、このとき外装ケース部の中心位置は、外装ケースおよび蓋部材のうち厚み方向(外装ケースの筒軸方向)の距離が最も大きい位置における中心位置に設定されればよい。
アンテナの形状は、電波修正時計の平面視において直線状に形成されるものに限らない。
図22には、アンテナの形状の変形例を示す平面図が示されている。この図22に示されるように、アンテナ5は、外装ケース1の内側の形状に沿って略円弧状に形成されている。また、アンテナ5は、文字板21の外形形状にも沿って配置されており、電波修正時計100の平面視で、この文字板21の内部に配置されている。このようなアンテナ5の形状によれば、アンテナ5を直線状に形成する場合に比べて、外装ケース1内のデッドスペースを少なくすることができ、他の構成部品のレイアウトの自由度を高めることができる。
また、図23および図24には、アンテナの配置の変形例が示されており、図23は、電波修正時計100の平面図であり、図24は、図23における電波修正時計100の一部側断面図である。これらの図23および図24において、アンテナ5は、外装ケース1の内側の形状に沿って略円弧状に形成されており、アンテナ5の外周側が外装ケース1および中枠14に形成される凹部1Aに収納されている。この配置により、アンテナ5の一部は、電波修正時計100の平面視において外装ケース1と重なることとなる。なお、この場合に、アンテナ5が外装ケース1と重なる面積(電波修正時計100の平面視における面積)は、アンテナ5全体の面積の半分以下であることが望ましい。このような配置によれば、アンテナ5の良好な受信感度を維持しながら、外装ケース1内のスペースを有効に利用でき、他の構成部品のレイアウトの自由度をより一層高めることができる。
さらに、電磁モータのコイルは、各実施形態において裏蓋3に近接して設けられていたが、これに限らず、例えばコイルの厚み方向の中心位置がムーブメントの厚み方向の中心位置よりも文字板側に配置されていてもよい。この場合でも、コイルおよびアンテナを電波修正時計の平面視で互いに離れた位置に配置したり、電磁モータが動作しているときにはアンテナでの電波受信を停止する制御を行うなどすれば、アンテナ5で電波を正確に受信できるので、本発明の目的を達成できる。
第二実施形態および第三実施形態においては、支持基板62の材料は、第一実施形態と同様にポリイミド樹脂や、ガラス入りエポキシ樹脂、セラミックス等の非導電性かつ非磁性の材料で構成されていてもよく、あるいはステンレス鋼などの導電性、磁性を有する材料で構成されていてもよい。支持基板62を非磁性材料で構成する場合には、アンテナ5周囲の磁性材料が少なくなるので、アンテナ5での受信がより確実となる。
また、第三実施形態では、光発電手段6Aのみを非導電性かつ非磁性の材料で構成してもよい。
電池とアンテナとの間には、各実施形態では切替ユニット13および輪列44が配置されていたが、これに限らず例えば水晶振動子ユニット41や回路ブロック42などが配置されていてもよい。この場合でも、電池の金属製外缶ケースがアンテナ周囲に存在する磁界に影響を及ぼすのを最小限に抑制することができる。要するに、電池およびアンテナは、切替ユニット、輪列、水晶振動子ユニット、および制御手段の少なくともいずれか一つを挟んで配置されていればよい。
なお、電池およびアンテナの間にこれらの部材が配置されない場合でも、アンテナの向きや電池の外缶ケースの材料などを変更することによりアンテナでの電波受信を可能にできるので、本発明の目的を達成できる。
駆動手段は電磁モータを備えたものに限らず、時刻表示手段を駆動できる任意の構造を採用でき、例えば圧電素子の振動で駆動する圧電アクチュエータでもよい。この場合には、例えば略矩形板状の補強板に板状の圧電素子を貼設し、補強板に突起を形成して圧電アクチュエータを構成する。輪列にロータなどの回転体を係合し、このロータ側面に圧電アクチュエータの突起を当接する。圧電素子に交流電圧を印加すると、圧電素子が振動するため、突起が繰り返しロータを接線方向に押圧してロータを回転させる。この回転運動を輪列で伝達することによって時刻表示手段を駆動すればよい。
この駆動手段によれば、圧電アクチュエータが駆動時に磁界を発生しないので、アンテナ周囲に存在する磁界に影響を与えることがなく、アンテナにおいて正確な電波を受信できる。
時刻表示手段は、時針および分針を備えたものに限らず、例えば時針のみ、あるいは分針のみでもよく、また秒針が設けられていてもよい。
文字板は、文字や数字などの装飾がされていなくてもよい。また、必ずしも文字板が設けられていなくてもよい。例えば文字板が設けられていない場合では、光発電手段を文字板として使用してもよい。この場合には、光発電手段は、例えば支持基板に無機ガラスなどの透光性を有する材料を用いて文字板を構成し、この支持基板に対して蓋部材側の面に光電変換部を設ける構成としてもよい。また、この際には、文字板である支持基板のカバー部材側の表面には、文字や、目盛、模様等の装飾処理が施されていてもよい。このような構成であっても、アンテナが光電変換部に対して蓋部材側の面に対向して、または近接して設けられていれば、アンテナが外装ケースの一方の開口側、つまり光発電手段側から良好に電波を受信できる。
輪列の材料は、アンテナの配置や伝達動力などを勘案して任意に設定してよく、例えばステンレス鋼などの導電性および磁性を有する材料や、プラスチックやセラミックス等の非導電性および非磁性の材料で構成されていてもよい。
無線通信機能付電子時計は、文字板および指針を有するアナログ時計に限らず、例えば図25に示されるように、時刻をデジタル表示する時刻表示手段としての液晶パネル2Aおよび見切板2Bを備えたデジタル時計100Aであってもよい。また、無線通信機能付電子時計は、時刻表示手段による時刻表示機能の他、例えばクロノグラフ機能やアラーム機能などを備えていてもよい。
また、無線通信機能付電子時計は、外部から標準電波を受信して表示時刻を修正する電波修正時計に限らず、外部に無線情報を送信する機能を有する時計や、無線情報を受信し、かつ送信できる機能を有する時計であってもよい。例えば、無線通信機能付電子時計は、非接触ICカードを内蔵し、アンテナを介して外部と無線情報通信(非接触データ通信)を行う時計であってもよい。
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
本発明の無線通信機能付電子時計は、外部から標準電波を受信して表示時刻を修正する電波修正時計に利用できる他、非接触ICカードを内蔵し、アンテナを介して外部と非接触データ通信を行う時計などにも利用できる。
本発明の第一実施形態にかかる電波修正時計の平面図である。 図1のII-II断面図である。 図1のIII-III断面図である。 前記第一実施形態にかかる電波修正時計の構成ブロック図である。 本発明の第二実施形態にかかる電波修正時計の平面図である。 図5のVI-VI断面図である。 本発明の第三実施形態にかかる電波修正時計の平面図である。 図7のVIII-VIII線に沿った一部断面図である。 本発明の光発電手段の変形例を示す電波修正時計の平面図である。 本発明の電波修正時計の変形例を示す平面図である。 図10のXI-XI断面図である。 本発明の電波修正時計の別の変形例を示す平面図である。 図12のXIII-XIII断面図である。 本発明のアンテナの配置の変形例を示す平面図である。 図14のXV-XV断面図である。 本発明のアンテナの固定構造の変形例を示す側断面図である。 本発明のアンテナの固定構造の変形例を示す一部側断面図である。 本発明のアンテナの変形例を示す一部側断面図である。 本発明の参考技術を示す一部側断面図である。 本発明のアンテナおよび光発電手段の配置の変形例を示す平面図である。 図20の一部側断面図である。 本発明のアンテナの形状の変形例を示す平面図である。 本発明のアンテナの配置のさらに別の変形例を示す平面図である。 図23の一部側断面図である。 本発明の無線通信機能付電子時計の変形例を示す図である。
符号の説明
1…外装ケース、2…時刻表示手段、3…裏蓋(蓋部材)、4…ムーブメント(駆動手段)、5…アンテナ、6,6A,6B,6C…光発電手段、13…切替ユニット、21…文字板、23…風防(カバー部材)、41…水晶振動子ユニット、42…回路ブロック(制御手段)、43A,43B…ステッピングモータ(電磁モータ)、44…輪列、49…電池、51…磁心、52…コイル、61,61A,61B,61C…光電変換素子(光電変換部)、62,62A,62B,62C…支持基板、221…分針(指針)、222…時針(指針)、431A,431B…駆動コイル。

Claims (7)

  1. 筒軸方向の両端のうち少なくとも一方が開口した筒形状の金属製の外装ケースと、
    前記外装ケース内側に収納され標準電波を受信するアンテナと、
    前記外装ケースの一方の開口の内側に設けられて時刻を表示する時刻表示手段と、
    駆動コイルおよびこの駆動コイルによって励磁されるステータを備えて構成されて前記時刻表示手段を駆動する電磁駆動手段と、
    前記外装ケースの一方の端部を覆う非磁性かつ非導電性の光透過性材料で構成されたカバー部材と、
    前記外装ケースの他方の端部を覆う金属製の蓋部材とを備え、
    前記時刻表示手段は、前記外装ケースの一方の端部側から視認可能な文字板を含んで構成され、前記文字板は、非磁性かつ非導電性の材料で構成され、
    前記外装ケース内において前記文字板および蓋部材間には非導電性かつ非磁性の材料で構成された地板を備えたムーブメントが設けられ、このムーブメント内に前記アンテナおよび電磁駆動手段が配置され、
    前記アンテナはその軸方向が前記文字板の平面方向にほぼ平行に配置され、かつ、前記アンテナは前記地板を貫通する貫通孔に配置され、
    当該無線通信機能付電子時計の側面視において、前記アンテナの中心位置は、前記電磁駆動手段の駆動コイルの中心位置より前記時刻表示手段側に配置されていることを特徴とする無線通信機能付電子時計。
  2. 請求項1に記載の無線通信機能付電子時計において、
    無線通信機能付電子時計の側面視において、前記アンテナの中心位置は、前記ムーブメントの中心位置より前記時刻表示手段側に配置されていることを特徴とする無線通信機能付電子時計。
  3. 請求項1または請求項2に記載の無線通信機能付電子時計において、
    無線通信機能付電子時計の側面視において、前記電磁駆動手段の駆動コイルの中心位置は、前記ムーブメントの中心位置より前記蓋部材側に配置されていることを特徴とする無線通信機能付電子時計。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の無線通信機能付電子時計において、
    前記アンテナの中心位置は、アンテナの磁心の中心位置であることを特徴とする無線通信機能付電子時計。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の無線通信機能付電子時計において、
    前記アンテナの磁心は、高透磁率材で構成されていることを特徴とする無線通信機能付電子時計。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の無線通信機能付電子時計において、
    前記文字板は、光透過性を有する材料で構成され、
    前記文字板の蓋部材側には、前記一方の開口側から文字板を透過して入射する光を受光するとともに、受光した光から発電する光発電手段が配置されていることを特徴とする無線通信機能付電子時計。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の無線通信機能付電子時計において、
    前記外装ケースは、合成樹脂製の外装ケース本体の表面を金属薄板で覆って一体化した構造であることを特徴とする無線通信機能付電子時計。
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