JP3925305B2 - 内燃機関における吸気制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は内燃機関へ供給される空気量を調整、制御する吸気制御装置に関し、そのうち特に、内部を吸気通路が貫通して穿設されるスロットルボデーが複数配置される多連スロットルボデーであり、且つ絞り弁のアイドリング開度及びファーストアイドリング開度、領域における空気量の調整、制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の内燃機関における吸気制御装置は図4に示される。
1は内部を吸気通路2が貫通して穿設されたスロットルボデーであり、吸気通路2は図示されぬ絞り弁によって上流側の吸気通路と下流側の吸気通路2Aとに区分される。
この上流側の吸気通路は図示せぬエアクリーナに接続され、下流側の吸気通路2Aは図示されぬ機関へと接続される。
3は図示されぬ絞り弁より上流側の吸気通路と、絞り弁より下流側の吸気通路2Aとを、絞り弁を迂回して連絡するスロットルボデー1に形成された補助空気通路であり、補助空気通路3には上方に開口する摺動弁室4が形成される。
前記補助空気通路は摺動弁室4によって、絞り弁より下流側の吸気通路2Aに連絡される流側の補助空気通路3Aと、絞り弁より上流側の吸気通路に連絡される上流側補助空気通路3Bに区分される。
より具体的には、下流側の補助空気通路3Aの上流側は摺動弁室の底部4Aに開口し、その下流側は絞り弁より下流側の吸気通路2Aに開口する。
又、上流側の補助空気通路3Bの上流側は絞り弁より上流側の吸気通路に開口し、その下流側は、摺動弁室4の側部4Bに穿設される制御孔5に接続され、制御孔5を介して摺動弁室4内に開口する。
上流、下流とは空気の流れ方向においていう。
而して、絞り弁より上流側の吸気通路内にある空気は、上流側の補助空気通路3B、制御孔5、摺動弁室4、下流側の補助空気通路3A、を介して絞り弁より下流側の吸気通路2A内へと流入する。この補助空気通路3を流れる空気は絞り弁を迂回して流れる。
6は摺動弁室4内に摺動自在に配置された円筒状の制御弁体であり、制御弁体6には上方に向かってのびる操作杆6Aが一体形成されるとともにその上端部にはオネジ6Bが形成される。
そして、制御弁体6は操作杆6Aを図において上下方向に操作することによって制御孔5の摺動弁室4内への開口が制御される。すなわち制御弁体6が下方向に移動することによって制御孔5の開口は減少され、上方向に移動することによって制御孔5の開口は増加する。
以上の構成をなすスロットルボデー1が本例では3個配置された。
【0003】
Hは温度変化に応じて作動杆10Aを含む作動体10をストローク変換する感熱応動体であり、以下よりなる。
8は内部にパラフィン、オレフィン、等の熱膨縮材料が密閉され、該熱膨縮材料の膨張、収縮による体積変化が出力杆8Aのストローク変換として出力されるサーモワックス部材であり、このサーモワックス部材8はケース9内に収納配置される。
10は、ケース9内に移動自在に配置されるカップ状の作動体であって、作動体10はスプリング11によって上方に向けて押圧され、これによると作動体10のカップ底部10Bは出力杆8Aの下端に弾性的に押圧されて当接保持される。又、作動体10と一体的に形成され、カップ底部10Bより下方に向かって作動杆10Aが延び、この作動杆10Aはケース9の底部より下方に向かって突出して配置され、その下端にオネジ10Cが形成される。この感熱応動体Hはスロットルボデー1等の固定部Kにネジ等によって固定配置される。
【0004】
12は図4において右方のスロットルボデー1Aに臨んで配置される第1操作レバーであり、この第1操作レバー12は回転自在に支持される第1軸13に取着される。
そして、第1操作レバー12の左端には、操作杆挿入孔12Aが穿設されるとともに該操作杆挿入孔12A内に操作杆6Aの上端部が摺動自在に配置され、さらにこの第1操作レバー12の左端は操作杆6Aのオネジ6Bの上端に螺着されたナットNとスプリング14によって挟持される。
又、第1軸13と操作杆挿入孔12Aとの間の第1操作レバー12の中間部には作動杆挿入孔12Bが穿設されるとともにこの作動杆挿入孔12B内には感熱応動体Hの作動杆10Aが挿入配置される。
そして、第1操作レバー12の作動杆挿入孔12Bより下方に突出する作動杆10Aの下端のオネジ10CにはナットNが螺着され、第1操作レバー12の中間部は、ナットNとそれに対向配置されるスプリング15によって挟持される。
更に又、第1軸13より右方に位置する第1操作レバー12の右端の上面に臨んで固定部Kに螺着された調整スクリュー16が対向配置される。
この調整スクリュー16によると第1操作レバー12の反時計方向の回転が規制される。
【0005】
20は図4において中間のスロットルボデー1Bに臨んで配置される第2操作レバーであり、この第2操作レバー20の右端は、回転自在に支持される第2軸21に取着される。
そして、第2操作レバー20の左端には、操作杆挿入孔20Aが穿設されるとともに該操作杆挿入孔20A内に操作杆6Aの上端部が摺動自在に配置され、さらにこの第2操作レバー20の左端は、操作杆6Aのオネジ6Bの上端に螺着されたナットNとスプリング22によって挟持される。
【0006】
30は、図4において左方のスロットルボデー1Cに臨んで配置される第3操作レバーであり、この第3操作レバー30の右端は、回転自在に支持される第3軸31に取着される。
そして、第3操作レバー30の左端には、操作杆挿入孔30Aが穿設されるとともに該操作杆挿入孔30A内に操作杆6Aの上端部が摺動自在に配置され、さらにこの第3操作レバー30の左端は、操作杆6Aのオネジ6Bの上端に螺着されたナットNとスプリング32によって挟持される。
そして、第1操作レバー12と第2操作レバー20と第3操作レバー30とはリンクLによって同期的に回転するよう連結される。
【0007】
かかる従来の吸気制御装置によると、以下の作用をなす。
まず、右方のスロットルボデー1Aについて説明する。
機関の雰囲気温度の低い状態において、感熱応動体Hのサーモワックス部材8内の熱膨縮材料はその体積が収縮するもので、これによると出力杆8Aの突出寸法Dが小さく保持される。
一方、作動体10はスプリング11によって上方に付勢されていることから作動体10のカップ底部10Bは出力杆8Aの下端に当接するよう上方位置に移動して作動体10の位置が決定される。この作動体10の上方移動は作動杆10Aの端部に配置されたナットNを介して第1操作レバー12に伝達され、第1操作レバー12は第1軸13を中心に作動体10の上方向移動に応じて時計方向へ回転する。
尚、かかる第1操作レバー12の時計方向回転時において調整スクリュー16はその回転をさまたげることがない。
【0008】
そして、前記第1操作レバー12の時計方向の回転によると、制御弁体6の操作杆6AがナットNとスプリング14によって挟持されていることから、上方向へ引上げられるもので、これによって制御弁体6は制御孔5を大きく開放する。
以上によると、上流側の補助空気通路3Bから制御孔5の大開放に応じた補助空気が摺動弁室4、下流側の補助空気通路3Aを介して下流側の吸気通路2A内に供給され、これによって低温始動に適した増量された空気を機関に向けて供給できる。
【0009】
次いで、前記温度状態に比較して機関雰囲気温度が上昇すると、サーモワックス部材8内の熱膨縮材料は膨張し、これによって出力杆8Aの突寸Dは増加する。
これによると、作動体10はスプリング11のバネ力に抗して出力杆8Aの突寸の増加に応じて下方向へ変位するもので、作動杆10Aのスプリング15とナットNによって挟持される第1操作レバー12は出力杆8Aの突寸の増加に応じて反時計方向へ回転する。
そして、この第1操作レバー12の反時計方向への回転は、スプリング14を介して制御弁体6の操作杆6Aに伝達されて制御弁体6を下方向へ移動させるもので、制御弁体6は前記制御孔5の大開放状態よりその開口を減少させる。
以上によると、摺動弁室4、下流側の補助空気通路3Aを介して下流側の吸気通路2A内に供給される空気量を前記状態より減少でき、これによって低温始動後における機関の暖機運転に見合った空気を機関に向けて供給できる。
【0010】
次いで、前記温度状態に比較して機関雰囲気温度が更に上昇して機関の暖機運転が終了すると、サーモワックス部材8内の熱膨縮材料は更に膨張し、これによって出力杆8Aの突寸Dは更に増加する。
これによると、作動体10の作動杆10Aは更に下方向に移動し、第1操作レバー12もまた更に反時計方向へ移動する。
そして、第1操作レバー12の反時計方向の回転は第1操作レバー12の右端が調整スクリュー16に当接した状態において停止するもので、この第1操作レバー12の状態が、制御弁体6による制御孔5のもっとも小開口状態となる。
従って、小開口状態にある制御孔5から機関に向けて、暖機運転完了後における機関のアイドリング運転に見合った空気を機関に向けて供給できる。
【0011】
又、第1操作レバー12に対する調整は以下によって行なわれる。
第1操作レバー12の位置調整は、調整スクリュー16を螺動することによって行われる。
すなわち、調整スクリュー16の突寸を大にすると第1操作レバー12を時計方向へ回転制御でき、突寸を小とすることによって第1操作レバー12を反時計方向へ回転制御できる。
又、第1操作レバー12と作動体10の作動杆10Aとの位置関係は、作動杆10Aに螺着されるナットNを螺動することによって行なわれる。
更に第1操作レバー12と、制御弁体6との位置関係は、制御弁体6の操作杆6Aに螺着されるナットNを螺動することによって行なわれる。
【0012】
又、中間のスロットルボデー1Bの制御弁体6は第2操作レバー20に操作杆6Aに螺着されるナットNによって連結され、更に第2操作レバー20はリンクL1によって第1操作レバー12に同期的に連結される。
【0013】
更に左方のスロットルボデー1Cの制御弁体6は第3操作レバー30に操作杆6Aに螺着されるナットNによって連結され、更に第3操作レバー30はリンクL2によって第1操作レバー12に同期的に連結される。
【0014】
以上のように、中間のスロットルボデー1Bの第2操作レバー20がリンクL1によって第1操作レバー12に連結され、左方のスロットルボデー1Cの第3操作レバー30がリンクL2によって第2操作レバー12に連結されることによると、第2操作レバー20、第3操作レバー30は第1操作レバー12と同期的に回転するもので、これによって各スロットルボデーに配置される制御弁体6を同期的に移動制御できる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来の吸気制御装置によると以下の問題点を有する。
各スロットルボデーに設けられる制御弁体はリンクによって連結されるもので、各スロットルボデーの取りつけピッチが変わった際、リンクを新規に製作する必要があり、汎用性が無い。
又、各スロットルボデーの周囲には、リンク、操作レバーを収容する空間を必要とするものでスロットルボデーの機関を含む車輛への配置の自由度が低い、特に自動二輪車の如く、収納空間が限られるものにあっては好ましいものでない。
又、各スロットルボデーには、操作レバー、操作レバーを回転可能に支持する軸、操作レバーを制御弁体の操作杆に挟持する為のナット及びスプリング、を必要とすることから部品点数及び組みつけ工数が増加し、製造コストの低減を達成できない。
又、前述の如く、部品点数が多いことは各部品の製作バラツキをひろい易く、各スロットルボデーにおける同調の調整が容易でない。
更に、各スロットルボデーに備えられる制御弁体は摺動弁室内において微少間隙をもって摺動配置される必要があることから制御弁体及び摺動弁室は高精度に形成される必要があり、部品の製造コストの低減を達成できない。
【0016】
本発明になる吸気制御装置は、かかる不具合に鑑み成されたもので、その目的とするところは、スロットルボデーの取りつけピッチの変更に対して極めて容易にして安価に対応できるとともに車輛への取りつけ自由度の高い吸気制御装置を提供すること。
及び部品点数、組みつけ工数を削減でき、且つ各スロットルボデーに対する同調を容易に行なうことができ、且つ正確なる同調を行なうことのできる吸気制御装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を達成するための手段】
本発明になる内燃機関における吸気制御装置は、前記目的達成の為に、内燃機関における吸気制御装置であって、複数のスロットルボデーと、単一の空気分配器を備えるものにおいて、絞り弁によって上流側の吸気通路と下流側の吸気通路とに区分される吸気通路と、
上流側の吸気通路と下流側の吸気通路とを絞り弁を迂回して連絡する同調空気通路と、
同調空気通路を流れる空気量を調整、制御する調整スクリューと、を備えるスロットルボデーが複数配置され、
一方、単一の空気分配器は、
制御弁体を軸方向に移動自在に支持する摺動弁室と、
摺動弁室の底部と制御弁体の前記底部に臨む下面とによって形成される空気室内に開口する補助空気導入路と、
摺動弁室の側部に穿設され、前記制御弁体によって空気室内への開口が制御される前記スロットルボデーと同数の制御孔と、
制御弁体を温度変化に応じて摺動弁室内において軸方向に移動させ、制御孔の空気室内への開口を制御する感熱応動体と、
制御弁体に対向配置され、制御弁体による制御孔の開口を制御する調整杆と、
を備え、
前記単一の空気分配器の各制御孔を、各スロットルボデーの絞り弁より下流側の吸気通路に分配路をもって配管接続したことを特徴とする。
【0018】
【作用】
機関雰囲気温度の常温状態、機関暖機運転終了時、において、空気分配器の制御弁体の下面は調整杆に当接して支持され、複数の制御孔の開口は制御弁体によって制御される。
各スロットルボデーの絞り弁より下流側の吸気通路には、制御孔の開口によって制御される第1空気が分配器をもって供給されるとともに同調空気通路を介して第2空気が供給される。
従って各スロットルボデーの絞り弁より下流側の吸気通路には、第1空気と第2空気との合計された空気が供給される。
機関の雰囲気温度が低下すると、制御弁体は感熱応動体と同期して変位し、各制御孔の開口を温度低下に応じて増加する。
従って各スロットルボデーの絞り弁より下流側の吸気通路には分配路を介して増量された第1空気を供給でき、もって機関への空気量を増量できる。
又、各制御孔の開口は調整杆を螺動することによって調整され、これによって各分配路を流れる第1空気の最低流量を調整できる。
更に同調空気通路を流れる第2空気の量は、調整スクリューを螺動することによって調整できる。
前記調整杆による制御孔の調整、調整スクリューによる同調空気通路の調整、によって、機関雰囲気温度に最適な空気を自動的に各スロットルボデーを介して機関へ供給できる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明になる内燃機関における吸気制御装置の一実施例を図により説明する。
図1は単一の空気分配器Aの縦断面図、図2は図1のX−X線における横断面図、である。
尚、図4と同一構造部分については同一符号を使用する。
40はサーモワックス部材8を備える感熱応動体H及び作動体10を収納する下方が開口した上側ケースであり、作動体10は、スプリング11によって上方へ付勢され、これによって作動体10の底部10Bはサーモワックス部材8の出力杆8Aの下端に当接配置される。
尚、40Aは上側ケース40に形成された冷却水通路であり、機関の冷却水が導入され、サーモワックス部材8に機関温度に応じて温度を付与する。
又、この冷却水通路40AにかえてPTCヒーターをもってサーモワックス部材8に対する温度制御を行ってもよい。
41は円形孔をなす摺動弁室42が上方に向かって開口する下側ケースであり、上側ケース40の下端と下側ケース41の上端とが当接配置され、摺動弁室42の上方開口は上側ケース40の下方開口に臨んで配置される。
又、摺動弁室42の側部42Aには、複数の制御孔43A,43B,43Cが穿設されて開口するもので、各制御孔はそれぞれ独立して形成される。
又、本実施例にあっては3個のスロットルボデーに使用されることから制御孔は3個形成された。
更に摺動弁室42の底部42Bの近傍には、補助空気導入路44が開口するもので、この補助空気導入路44は制御孔43A,…より下方位置に開口する。
45は摺動弁室42内に摺動自在に配置される制御弁体であり、制御弁体45が軸方向に移動することによって制御孔43A,…が開閉制御される。
そして、前記制御弁体の中心に穿設される作動杆挿入孔45A内には、作動体10の底部10Bより下方に向かって突出する作動杆10Aが挿入配置され、更にこの制御弁体45は作動杆10Aの下端に螺着されるナットNとスプリング46によって挟持される。
前記スプリング46は、その一端が作動体10の底部10Bに係止され、他端は制御弁体45の上面45Bに係止される。
従って、制御弁体45と作動体10とは一体的に同期して移動することになる。
又、前記によって摺動弁室42に制御弁体45が配置されることによって、制御弁室42には、摺動弁室42の底部42Bと制御弁体45の下面45Cとによって空気室47が形成され、補助空気導入路44、制御孔43A,43B,43Cはこの空気室47に開口する。
48は、下側ケース41に螺着され、その先端が制御弁体45の下面45Cに当接配置される調整杆であり、調整杆48を上方に向けて移動することによって制御孔43A,…の開口を増加側に調整でき、一方調整杆48を下方に向けて移動することによって制御孔40A,…の開口を減少側に調整できる。
【0020】
図3に示される如く50は内部を吸気通路51が貫通して穿設されたスロットルボデーであり、吸気通路51を開閉する絞り弁(図示せず)より上流側の吸気通路と絞り弁より下流側の吸気通路51Aとは同調空気通路52によって絞り弁を迂回して接続される。
前記同調空気通路にはシート部52Aが形成され、このシート部52Aの開口はスロットルボデー50に螺着されたテーパー部53Aを備えた調整スクリュー53によって制御される。
又、同調空気通路52はシート部52Aによって例えば絞り弁より上流側の吸気通路に連なる上流側の同調空気通路52Bと絞り弁より下流側の吸気通路51Aに連なる下流側の同調空気通路52Cとに区分される。
【0021】
以上よりなるスロットルボデー50は、本例において3個用意され、各スロットルボデーが吸気管を介して機関へ接続される。
50Aは、図3において右方のスロットルボデー、50Bは中間のスロットルボデー、50Cは左方のスロットルボデーである。
そして、空気分配器Aの制御孔43Aは分配路54Aを介して左方のスロットルボデー50Cの絞り弁より下流側の吸気通路51Aに連絡され、制御孔43Bは分配路54Bを介して右方のスロットルボデー50Aの絞り弁より下流側の吸気通路51Aに連絡され、更に制御孔43Cは分配路54Cを介して中間のスロットルボデー50Bの絞り弁より下流側の吸気通路51Aに連絡される。
【0022】
次にその作用について説明する。
まず、機関雰囲気温度の常温度状態(例えば25℃)あるいは始動後における暖機運転の終了状態について説明する。
かかる温度状態において、空気分配器A内の感熱応動体Hのサーモワックス部材8の容積に応じて出力杆8Aの突寸が大きく決定され、作動体10の軸方向位置は出力杆8Aの下端に作動体10の底部10Bが当接して位置決めされる。これはスプリング11のバネ力をスプリング46のバネ力より強く設定されていることによる。一方、制御弁体45は作動杆挿入孔45A内に作動杆10Aが挿入配置され、ナットNとスプリング46にて作動杆10Aの端部に挟持される。
以上によると、制御弁体45は感熱応動体Hの出力杆8Aの大なる突寸法に応じて大きく下方へ移動しようとするものであるが、制御弁体45の下方移動は、制御弁体45の下面45Cが調整杆48の上端に当接して規制される。
いいかえると、前記温度状態(常温、暖機運転の完了)において制御弁体45の位置は調整杆48によって制御される。
従って空気室47内に臨む制御孔43A,43B,43Cの開口面積は調整杆48によって制御される制御弁体45によって決定されることになる。
尚、制御弁体45の下面45Cが調整杆48の上端に当接した後に、更に作動体10が下方に移動するような場合、作動杆10Aは制御弁体45の作動杆挿入孔45A内を摺動して下方へ移動するので制御弁体45が破壊されることがない。
又、前記調整杆48は螺動できるもので、調整杆48を上方へ移動することによって制御弁体45による制御孔43A,…の開口面積を増加でき、調整杆48を下方へ移動することによって制御孔43A,…の開口面積を減少できる。
そして、補助空気導入路44から空気室47内へ導入される空気は、制御孔43Aの開口によってその空気量が制御され、分配路54Aを介して第1空気が左方のスロットルボデー50Cの絞り弁より下流側の吸気通路51A内へと供給される。
又空気室47内の空気は、制御孔43Bの開口によってその空気量が制御され、分配路54Bを介して第1空気が右方のスロットルボデー50Aの絞り弁より下流側の吸気通路51A内へと供給される。
更に、空気室47内の空気は、制御孔43Cの開口によってその空気量が制御され、分配路54Cを介して第1空気が中間のスロットルボデー50Bの絞り弁より下流側の吸気通路51A内へと供給される。
そして、前記各制御孔の孔形状及び摺動弁室42の側部42Aへの開口位置を同一としたので各制御孔43A,43B,43Cから各分配路54A,54B,54C内へ供給される第1の空気の量は同一とすることができる。
【0023】
一方、各スロットルボデー50A,50B,50Cにあっては、調整スクリュー53によって適正に調整、制御された第2空気が各同調空気通路52を介して各スロットルボデーの絞り弁より下流側の吸気通路51A内へと供給される。
【0024】
以上によると、機関雰囲気温度の常温度状態、暖機運転の終了状態において、各スロットルボデー50A,50B,50Cの絞り弁より下流側の吸気通路51A内には、各制御孔43A,43B,43Cを介して各分配路54A,54B,54Cから供給される第1空気と各同調空気通路52から供給される第2空気との合計された空気が供給され、これによって機関雰囲気温度の常温度状態及び暖機運転の終了状態における機関のアイドリング運転を行なうことができる。
【0025】
尚、各スロットルボデー50A,50B,50Cにおけるアイドリング空気量の微調整は各調整スクリュー53を螺動することによって行なわれる。
又、かかるアイドリング運転時におけるアイドリング空気量の内、第1空気と第2空気との供給負担割合は適宜設定されればよい。
【0026】
次に機関の雰囲気温度の低温時における機関始動時の空気制御について説明する。
かかる温度状態において、感熱応動体Hのサーモワックス部材8の容積は収縮するもので、出力杆8Aはその容積の減少に応じて突寸Dが小となる。
これによると、作動体10はスプリング11のバネ力によって、作動体10の底部10Bが出力杆8Aの下端に当接するよう前記常温状態に比較して上方へ移動するもので、この作動体10の上方移動によると、スプリング46とナットNによって挟持される制御弁体45もまた作動体10と同期して出力杆8Aの突寸Dの減少分に相当して上方へ移動する。
以上によると、制御弁体45によって制御される制御孔43A,…の開口面積は増加されるもので、前記制御孔43Aの増加された開口面積に応じ、空気室47から各制御孔43A,43B,43C及び各分配路54A,54B,54Cを介して各スロットルボデー50A,50B,50Cの絞り弁より下流側の吸気通路51A内へ供給される、第1空気の量を増量できる。
従って、各スロットルボデーの絞り弁より下流側の吸気通路51Aには、各分配路を介して供給される増量された第1空気と、各同調空気通路から供給される第2空気との合計された空気が供給されるもので、常温度状態に比較して増量された空気によってかかる低温時における機関の始動を確実に行なうことができる。
【0027】
次いで、前記低温時における始動後の機関暖機運転について説明すると、暖機運転の継続によって機関は徐々に暖められるもので、この機関の温度上昇は例えば冷却水通路40A内を流れる冷却水によって感熱応動体Hに付与される。
そして前記によって感熱応動体Hが暖められることによると、サーモワックス部材8は温度上昇に伴って徐々に膨張するもので、出力杆8Aの突寸Dは前記膨張に応じて増加する。
以上によると、作動杆10Aを含む作動体10は前記出力杆8Aの突寸Dの増加に応じ、スプリング11のバネ力に抗して同期的に下方へ移動するもので、スプリング46とナットNとによって作動杆10Aに挟持される制御弁体45もまた同期的に下方へ移動し、制御弁体45は、制御孔43A,43B,43Cの開口を減少させる。
従って、制御孔43A,43B,43Cを介して各分配路54A,54B,54Cへ供給される第1空気の量を機関の暖機運転の継続に伴う機関の温度上昇に応じ徐々に減少でき、もって良好なる機関の暖機運転を実施できる。
【0028】
そして暖機運転が終了して機関温度が充分に暖められると、出力杆8Aの突寸Dは大きく突出し、制御弁体45は、その下面45Cが調整杆48の先端に当接した状態で制御弁体45の下方向移動が阻止される。
そして、上記制御弁体45の位置における制御孔43A,43B,43Cの開口によって暖機運転終了後における第1空気の量が決定され、この第1空気と同調空気通路52を流れる第2空気とによって暖機運転終了後における機関のアイドリング空気量が決定される。かかるアイドリング空気量は常温状態におけるアイドリング空気量でもある。
尚、感熱応動体Hに作用する熱が更に上昇すると、出力杆8Aの突寸Dが更に増加し、作動体10は制御弁体45を更に下方向へ移動させようとするが、この移動は調整杆48によって阻止され、このとき作動体10の作動杆10Aはスプリング46のバネ力に抗し、作動杆挿入孔45A内を下方向へ移動する。
従って制御弁体45に過大な押圧力が作用し、制御弁体45、調整杆48が変形したり、破壊されることがない。
【0029】
尚、分配路の下流側を直接的に絞り弁より下流側の吸気通路51Aに開口させることなく、下流側の同調空気通路52Cに開口させてもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上の如く、本発明になる吸気制御装置によると、各スロットルボデーにおけるアイドリング空気量(低温時におけるファーストアイドリング空気量、暖機時におけるアイドリング空気量、暖機運転終了後及び常温時におけるアイドリング空気量)は、各スロットルボデーに設けられる同調空気通路から供給される第2空気と、単一の空気分配器から制御孔、分配路を介して供給される第1空気との合計された空気によって形成され、このとき、単一の空気分配器と各スロットルボデーとは分配路よりなる配管によって接続されるので、以下の点で効果的である。
すなわち、各スロットルボデーの取付けピッチが変更に成った際、単に分配路の長さを変更することによって対応ができ、取りつけレイアウト性が高い。
又、従来の如く、各スロットルボデーに対する操作レバー、リンクを必要としないので、部品点数、組みつけ工数を大きく低減でき、安価な吸気制御装置を提供できる。
そのうち特に従来の如く、各スロットルボデーにそれぞれ制御弁体及び制御孔を設ける必要がなくなったこと、及び操作レバー、リンクを必要としないことは、吸気制御装置をコンパクトにまとめるに好適である。
又、摺動部分を空気分配器に集約し、各スロットルボデーから摺動部分をなくしたことにより、摺動耐久テストは単一の空気分配器のみ実施すればよく、これによって開発効率を大きく向上できた。
又、特に常温状態におけるアイドリング空気は正確に供給される必要があり、このときアイドリング空気を分配路から供給される第1空気と同調空気通路から供給される第2空気とによって形成し、同調空気通路に配置した調整スクリューによって第2空気量を手動調整するようにしたので各スロットルボデーにおけるアイドリング空気を正確に同調制御できる。
更に単一の空気分配器と各スロットルボデーとは分配路をもって配管接続すればよいので各スロットルボデー間における取りつけの自由度、空気分配器の配置の自由度を大きく向上でき、特に二輪車の如く、取りつけスペースの限られる車輌において好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明になる内燃機関における吸気制御装置の空気分配器の縦断面図。
【図2】 図1のX−X線における横断面図。
【図3】 本発明になる内燃機関における吸気制御装置の一実施例を示す縦断面図。
【図4】 従来の吸気制御装置を示す縦断面図。
【符号の説明】
42 摺動弁室
43A,43B,43C 制御孔
44 補助空気導入路
45 制御弁体
47 空気室
48 調整杆
50 スロットルボデー
51 吸気通路
52 同調空気通路
53 調整スクリュー
A 空気分配器

Claims (1)

  1. 内燃機関における吸気制御装置であって、複数のスロットルボデーと、単一の空気分配器を備えるものにおいて、絞り弁によって上流側の吸気通路と下流側の吸気通路51Aとに区分される吸気通路51と、
    上流側の吸気通路と下流側の吸気通路51Aとを絞り弁を迂回して連絡する同調空気通路52と、
    同調空気通路52を流れる空気量を調整、制御する調整スクリュー53と、を備えるスロットルボデー50が複数配置され、
    一方、単一の空気分配器Aは、
    制御弁体45を軸方向に移動自在に支持する摺動弁室42と、
    摺動弁室42の底部42Bと制御弁体45の前記底部に臨む下面45Cとによって形成される空気室47内に開口する補助空気導入路44と、
    摺動弁室42の側部2Aに穿設され、前記制御弁体によって空気室47内への開口が制御される前記スロットルボデーと同数の制御孔43A,43B,…と、
    制御弁体45を温度変化に応じて摺動弁室42内において軸方向に移動させ、制御孔43A,43B,…の空気室47内への開口を制御する感熱応動体Hと、
    制御弁体45に対向配置され、制御弁体45による制御孔43A,43B,…の開口を制御する調整杆48と、
    を備え、
    前記単一の空気分配器の各制御孔43A,43B,…を、各スロットルボデー50の絞り弁より下流側の吸気通路51Aに分配路54A,54B,…をもって配管接続したことを特徴とする内燃機関における吸気制御装置。
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