JP3924816B2 - 運動負荷装置の制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、生体に運動負荷を付与する運動負荷装置の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エルゴメータ、トレッドミルなど、生体の運動に関連して機械的に作動させられることにより生体に負荷を与える運動負荷装置が知られている。運動療法などのためにそのような運動負荷装置を用いて生体に運動負荷を与えるに際しては、たとえばワット数などによって表される運動負荷装置の負荷、負荷の大きさに応じて生体に現れる心(脈)拍数、血圧値、心拍数と最高血圧値との積であるダブルプロダクト値(PRP : Pressure Rate Product )などの運動負荷の大きさが運動処方により生体の特質に応じて決定され、その決定された大きさ運動負荷を維持させる運動を所定時間継続させることが行われていた。
【0003】
このため、従来の運動負荷装置の制御装置では、たとえば運動負荷装置の重さすなわち生体の仕事量の目標ワット数およびその維持時間、或いは生体の最大心拍数に対して所定割合の目標心拍数およびその維持時間が生体毎に予め設定され、上記目標ワット数と運動負荷装置で消費された実際のワットと一致するように、或いは上記目標心(脈)拍数と生体の実際のワット数とが一致するように運動負荷装置の負荷が制御され、それが所定の維持時間継続されるようになっているのである。
【0004】
ところで、有酸素運動から無酸素運動へ切り換わるとき、たとえば代謝性アシドーシスおよびそれに伴うガス交換の変化が起こる直前の運動強度レベルと定義されるAT(無酸素性作業閾値:Anaerobic Threshold )ポイントでの運動負荷の大きさが、生体の運動の効率を高めるために最適運動負荷として考えられている。このため、たとえば特公平7−38885号公報に記載されているように、時間とともに増加する負荷を生体に与える過程で、それと共に増加する生体情報(心拍数、血圧値、心拍数と血圧値との積であるダブルプロダクト値など)の変曲点が発生したときの負荷の値をその生体におけるATポイントでの負荷すなわち筋持久力測定値(最適負荷)として測定する方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決すべき課題】
しかしながら、時間とともに増加する負荷を生体に与える過程でそれとともに増加する生体情報の変曲点の発生時の負荷を決定する上記従来の方法を用いると、実際には、生体情報の増加曲線において変曲点が存在しないか或いは明確な変曲点を見い出し難い場合が多く、必ずしもATポイントでの負荷すなわち最適負荷を決定することができない。特に、生体情報に含まれるノイズが多い場合はそのような不都合が顕著である。
【0006】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、生体の運動に際してその生体毎の最適負荷を確実に決定することができる運動負荷装置の制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の要旨とするところは、生体の運動に関連して機械的に作動させられる運動負荷装置において、その生体に最適負荷が付与されるようにその運動負荷装置の負荷を調節する制御装置であって、(a)前記生体に付与される運動負荷を増加させる負荷上昇手段と、(b)前記生体の副交感神経の活性度を検出する副交感神経活性度検出手段と、(c)前記生体の交感神経の活性度を検出する交感神経活性度検出手段と、(d)前記負荷上昇手段により前記生体に付与される運動負荷が増加させられる過程で前記副交感神経の活性度に対して前記交感神経の活性度が優位となったか否かを判定する神経活性度判定手段と、(e)その神経活性度判定手段により前記副交感神経の活性度に対して前記交感神経の活性度が優位となったと判定されたときの神経活性度反転運動負荷に基づいて前記最適負荷を決定する最適負荷決定手段とを含み、さらに、前記交感神経活性度検出手段は、前記生体の血圧値変動の周波数成分のうち該生体の呼吸周波数の1/4乃至1/2の周波数の低周波帯信号強度を検出するものであり、前記副交感神経活性度検出手段は、前記生体の脈拍周期変動の周波数成分のうち該生体の呼吸周波数を含む周波数帯の呼吸周波帯信号強度を検出するものであり、前記神経活性度判定手段は、前記低周波帯信号強度と前記呼吸周波帯信号強度との積が最小になったときに、前記副交感神経の活性度に対して前記交感神経の活性度が優位になったと判定することにある。
【0008】
【発明の効果】
このようにすれば、負荷上昇手段により前記生体に付与される運動負荷が増加させられる過程で、前記神経活性度判定手段により前記副交感神経の活性度に対して前記交感神経の活性度が優位となったと判定されると、最適負荷決定手段により、そのときの生体の負荷すなわち神経活性度反転運動負荷に基づいて最適負荷が決定される。そして、この最適負荷が自動設定或いは手動設定されることによってその最適負荷が生体に与えられるように前記運動負荷装置の負荷が制御される。すなわち、運動負荷装置を用いた生体の運動に際して、その生体毎の最適負荷が確実に決定される。
【0009】
【発明の他の態様】
ここで、好適には、前記生体の血圧値および脈拍数の積である労作強度値を算出する労作強度値算出手段と、折点運動負荷を決定するために前記負荷上昇手段による生体の負荷上昇に伴う前記労作強度値の増加の折点を判定する折点判定手段とを含み、前記最適負荷決定手段は、前記神経活性度反転運動負荷と上記折点運動負荷とに基づいて前記最適負荷を決定するものである。また、好適には、上記最適負荷決定手段は、前記神経活性度反転運動負荷と前記折点運動負荷との平均値を算出し、その平均値から前記最適負荷を決定するものである。このようにすれば、神経活性度反転運動負荷から最適負荷を決定する場合に比較して、最適負荷の算出精度が高められ、運動の効率が一層高められる。
【0010】
また、好適には、前記最適負荷決定手段により最適負荷が決定されると、前記初期負荷上昇手段による負荷の上昇を停止させ、その最適負荷に実際の運動負荷が追従するように前記運動負荷装置の負荷を調節する運動負荷調節手段が、さらに含まれる。このようにすれば、個々の生体に最大まで負荷を与えることがないので、生体の運動の実行毎に、生体にそれほど負担を強いることなく最適負荷が決定される利点がある。特に、疾患を有する生体に対しても運動負荷療法が可能となるとともに、その日の体調に適合した最適負荷で無酸素運動の初期或いは有酸素運動の最大強度で運動が可能となる。
【0011】
また、好適には、前記交感神経活性度検出手段は、前記生体の血圧値変動の周波数成分のうちその生体の呼吸周波数よりも充分に低い周波数帯の低周波帯信号強度を検出するものであり、前記副交感神経活性度検出手段は、前記生体の脈拍周期変動の周波数成分のうちその生体の呼吸周波数を含む周波数帯の呼吸周波帯信号強度を検出するものであり、前記神経活性度判定手段は、上記の低周波帯信号強度と呼吸周波帯信号強度との積が最小となったときに、副交感神経の活性度に対して交感神経の活性度が優位となったと判定するものである。このようにすれば、最適負荷の決定が確実に行われる利点がある。
【0012】
また、好適には、前記負荷上昇手段は、前記生体に対する負荷を所定の速度で連続的に上昇させるものである。このようにすれば、生体の運動期間の初期区間において前記生体に付与する負荷が予め設定された速度で時間の経過に伴って増加させられるので、段階的に上昇させられる場合に比較して、負荷の段階的に上昇に対応する労作強度の段階的上昇がなく、折点の判定が容易となる利点がある。
【0013】
また、好適には、前記負荷上昇手段は、前記生体に対する負荷を、所定の上昇幅で上昇させた後にその値を所定期間維持することを繰り返しながら段階的に上昇させるものである。このようにすれば、生体に対する負荷が一定であるときに折点が判定されるので、生体の反応に起因する労作強度の遅れが少なくなる利点がある。
【0014】
【発明の好適な実施の態様】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明が適用された運動負荷装置の制御装置の構成を説明する図であり、運動負荷装置として機能するよく知られたエルゴメータ6と、血圧監視装置8とを備えている。
【0015】
上記血圧監視装置8は、ゴム製袋を布製帯状袋内に有してたとえば患者の上腕部12に巻回されるカフ10と、このカフ10に配管20を介してそれぞれ接続された圧力センサ14、切換弁16、および空気ポンプ18とを備えている。この切換弁16は、カフ10内への圧力の供給を許容する圧力供給状態、カフ10内を徐々に排圧する徐速排圧状態、およびカフ10内を急速に排圧する急速排圧状態の3つの状態に切り換えられるように構成されている。
【0016】
圧力センサ14は、カフ10内の圧力を検出してその圧力を表す圧力信号SPを静圧弁別回路22および脈波弁別回路24にそれぞれ供給する。静圧弁別回路22はローパスフィルタを備え、圧力信号SPに含まれる定常的な圧力すなわちカフ圧を表すカフ圧信号SKを弁別してそのカフ圧信号SKをA/D変換器26を介して電子制御装置28へ供給する。
【0017】
上記脈波弁別回路24はバンドパスフィルタを備え、圧力信号SPの振動成分である脈波信号SM1 を周波数的に弁別してその脈波信号SM1 をA/D変換器29を介して電子制御装置28へ供給する。この脈波信号SM1 が表すカフ脈波は、患者の心拍に同期して図示しない上腕動脈から発生してカフ10に伝達される圧力振動波である。
【0018】
上記電子制御装置28は、CPU30,ROM32,RAM34,および図示しないI/Oポート等を備えた所謂マイクロコンピュータにて構成されており、CPU30は、ROM32に予め記憶されたプログラムに従ってRAM34の記憶機能を利用しつつ信号処理を実行することにより、I/Oポートから駆動信号を出力して切換弁16および空気ポンプ18を制御し、表示器36の表示内容を制御する。
【0019】
圧脈波検出装置38は、図2に詳しく示すように、前記カフ10が装着された患者の上腕部12の動脈下流側の部位、たとえば手首において、容器状を成すハウジング44の開口端が表皮40に対向する状態で装着バンド42により手首42に着脱可能に取り付けられるようになっている。圧脈波検出装置38では、ハウジング44の内部には、ダイヤフラム46に固定された押圧部材50が相対移動可能かつハウジング44の開口端からの突出し可能に設けられており、これらハウジング44およびダイヤフラム46等によって圧力室45が形成されている。この圧力室45内には、空気ポンプ56から調圧弁58を経て圧力エアが供給されるようになっており、これにより、押圧部座時50は圧力室48内の圧力に応じた押圧力PHDで表皮40の直下の撓骨動脈48に向かってに押圧される。
【0020】
上記押圧部材(圧脈波センサ)50は、たとえば、単結晶シリコン等から成る半導体チップの平坦な押圧面51に多数の半導体感圧素子(図示せず)が撓骨動脈48と直交する方向にたとえば0.2mm程度の間隔で配列されて構成されており、手首の表皮40の直下の撓骨動脈48に向かってその撓骨動脈48の管壁の一部が平坦となるまで押圧されることにより、撓骨動脈48から表皮40を介して伝達される圧力振動波すなわち圧脈波を1拍毎に検出し、その圧脈波を表す圧脈波信号SM2 をA/D変換器58を介して電子制御装置28へ供給する。
【0021】
また、前記電子制御装置28のCPU30は、ROM32に予め記憶されたプログラムに従って、空気ポンプ56および調圧弁58へ駆動信号を出力し、圧力室45内の圧力すなわち押圧部材50の表皮に対する押圧力を、撓骨動脈48の管壁の一部が平坦となる最適押圧値PHDP を決定し且つその値を保持するように調節する。すなわち、生体の連続血圧監視に際しては、圧力室45内の圧力変化過程で逐次得られる圧脈波に基づいて押圧部材50の最適押圧力PHDP が決定され、押圧部材50の最適押圧力PHDP を維持するように調圧弁52が制御される。
【0022】
設定器60は、たとえばキーボードを含むものであり、手動操作によって入力された補正値、運動期間などの設定値を電子制御装置28へ出力する。また、時計回路62は、圧脈波、血圧値などの検出時刻を記録するため、或いは運動期間開始時の時刻を記録し且つその運動期間の終了を判定するために現在時刻を電子制御装置28へ出力するものである。
【0023】
エルゴメータ6は、生体の運動に関連して駆動される運動機構すなわち運動負荷装置であって、生体により回転駆動されるペダル64と、そのペダル64とチェーン66を介して作動的に連結された電磁ブレーキ68とを備えている。この電磁ブレーキ68は、たとえば回転円板に発生させる渦電流の大きさを調節することによって回転抵抗を制御したり、或いは回転コイルに誘導される発電電流の大きさを調節することによって回転抵抗を制御したりする。この電磁ブレーキ68は、上記運動機構の作動状態を変化させることにより、運動中の生体に荷せられる負荷を変化させる運動負荷調節手段として機能している。
【0024】
図3は、上記運動負荷装置を制御する電子制御装置28の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図において、カフ圧制御手段70は、たとえば図4に示す圧脈波血圧対応関係の決定のために、連続血圧測定に先立って、すなわち上記エルゴメータ6の使用に先立って起動させられる血圧測定手段72の測定期間において、カフ10の圧迫圧力をよく知られた測定手順に従って変化させる。たとえば、カフ圧制御手段70は、生体の最高血圧よりも高い180mm程度に予め設定された昇圧目標値までカフ10の圧迫圧力を急速昇圧させた後、血圧決定アルゴリズムが実行される測定区間において3mmHg/sec程度の速度で緩やかに降圧させ、血圧測定が完了するとカフ10の圧迫圧力を解放させる。
【0025】
基準血圧測定手段72は、初期負荷上昇手段84による負荷上昇や運動負荷制御手段96による運動負荷制御に先立つ上記測定区間において、カフ10の圧迫圧力が緩やかに降圧させられる過程でカフ10の圧力振動として発生したカフ脈波の大きさの変化に基づいて、よく知られたオシロメトリック法により生体の最高血圧値BPSYS 、平均血圧値BPMEAN、最低血圧値BPDIA をそれぞれ測定し、表示器36に表示させる。
【0026】
圧脈波血圧対応関係決定手段74は、初期負荷上昇手段84による負荷上昇や運動負荷制御手段96による運動負荷制御に先立って、基準血圧測定手段72により血圧値が測定されると、圧脈波検出装置38により検出された圧脈波の大きさPM の下ピーク値PMminおよび上ピーク値PMmaxと、その基準血圧測定手段72により測定された血圧値BP(最高血圧値BPSYS 、最低血圧値BPDIA )との間の圧脈波血圧対応関係を、所定の生体について予め決定する。この対応関係は、たとえば図4に示すものであり、EBP=α・PM +βなる式により示される。但し、αは傾きを示す定数、βは切片を示す定数、EBPは連続的に決定される推定血圧値である。
【0027】
推定血圧値決定手段76は、上記圧脈波血圧対応関係決定手段74により決定された対応関係EBP=f(PM )から、圧脈波検出装置38により逐次検出される圧脈波の大きさPM に基づいて、推定血圧値EBP(最高血圧値EBPSYS 、E最低血圧値BPDIA )を逐次決定し、その決定した推定血圧値EBPを表示器36に連続的にトレンド表示させる。上記カフ圧制御手段70、基準血圧測定手段72、圧脈波検出装置38、圧脈波血圧対応関係決定手段74、推定血圧値決定手段76が、生体の血圧値を非浸襲で脈拍に同期して連続的に測定する連続血圧測定手段78として機能している。
【0028】
脈拍数算出手段80は、たとえば圧脈波検出装置38から出力される圧脈波の周期的に基づいて、生体の脈拍数PRをその脈拍周期に同期して連続的に算出する。労作強度値算出手段82は、その脈拍数算出手段80により算出された脈拍数PRと前記連続血圧測定手段78により測定された推定血圧値EBP(たとえばEBPSYS )との積である労作強度値PRP(=PR×EBPSYS :Presure Rate Product)を、脈拍周期に同期して逐次算出する。
【0029】
負荷上昇手段84は、エルゴメータ6を用いた生体の運動期間の初期において、たとえば図5のt0 乃至t2 に示す初期区間においてその生体に付与する負荷を上昇させる。たとえば、負荷上昇手段84は、前記生体に対する負荷を所定の速度で連続的に上昇させる。或いは、負荷上昇手段84は、前記生体に対する負荷を、所定の上昇幅で上昇させた後にその値を所定期間維持することを繰り返しながら段階的に上昇させる。上記負荷の連続上昇速度或いは段階的上昇速度は、後述の折点の判定制度が維持される範囲で最も高い値に設定される。
【0030】
交感神経活性度検出手段86は、生体の交感神経の活性度を検出する。たとえば、交感神経活性度検出手段86は、連続血圧測定手段78により1拍毎に測定される最高血圧値EBPSYS の変動すなわち揺らぎを示す信号を周波数解析することにより、その信号成分のなかで生体の交感神経の活性度に対応すると言われている周波数帯、すなわち図6に示すように呼吸周波数(0.2〜0.25Hz程度)よりも充分に低い周波数帯たとえば呼吸周波数の1/4乃至1/2の周波数帯或いは0.04Hz乃至0.15Hzの周波数帯の信号強度SBPLFを算出する。
【0031】
副交感神経活性度検出手段88は、生体の副交感神経の活性度を検出する。たとえば、副交感神経活性度検出手段88は、圧脈波検出装置38により1拍毎に検出される圧脈波の間隔(周期)の変動すなわち揺らぎを示す信号を周波数解析することにより、その信号成分のなかで生体の副交感神経の活性度に対応すると言われている周波数帯、すなわち図7に示すように呼吸周波数を充分に含む周波数帯たとえば0.15Hz乃至0.4Hzの周波数帯の信号強度PPHFを算出する。
【0032】
神経活性度判定手段90は、上記負荷上昇手段84により生体に付与する負荷が上昇させられる過程で、たとえば上記呼吸周波数よりも充分に低い周波数帯の信号強度SBPLFと呼吸周波数を含む周波数帯の信号強度PPHFとの積(SBPHF×PPLF)が、負荷上昇手段84により生体の負荷が上昇させられる過程で最小となったか否かに基づいて、副交感神経の活性度に対して交感神経の活性度が優位となったか否かを判定する。上記呼吸周波数を含む周波数帯の信号強度PPHFに対して呼吸周波数よりも充分に低い周波数帯の信号強度SBPLFが優位となる時点は、図8において、2点鎖線に示すそれらの積(SBPHF×PPLF)が最小となる性質を利用して判定されるのである。なお、図8において、実線は交感神経の活性度に対応する信号強度SBPLFを示し、1点鎖線は副交感神経の活性度に対応する信号強度PPLFを示している。
【0033】
最適負荷決定手段92は、上記神経活性度判定手段90によって生体の副交感神経の活性度に対して交感神経の活性度が優位となったと判定されたときの生体の負荷すなわち神経活性度反転運動負荷(PRPM1)に基づいて、最適負荷を決定する。この最適負荷は、負荷制御の目標値である目標負荷であって、エルゴメータ(運動負荷装置)6の負荷(ワット数)、負荷の大きさに応じて生体に現れる心(脈)拍数、血圧値、心拍数と血圧値との積であるダブルプロダクト値などにより示されるが、本実施例では、目標労作強度PRPM で示される。このため、上記最適負荷決定手段92は、目標負荷決定手段或いは目標労作強度決定手段とも称され得る。
【0034】
好適には、上記最適負荷決定手段92は、折点判定手段94により初期負荷上昇手段84による負荷の上昇に伴う生体の労作強度値PRPの増加の折点Fが判定されると(図5のt1 時点)、その折点Fの発生時点すなわち図5のt1 時点に対応する労作強度値PRPF を折点運動負荷(PRPM2)として決定し、上記神経活性度反転運動負荷(PRPM1)および折点運動負荷(PRPM2)の平均値を目標労作強度PRPM として決定する。図5のt2 時点はこの状態を示している。
【0035】
運動負荷調節手段96は、負荷上昇手段84により負荷が上昇させられる初期負荷上昇区間において、上記最適負荷決定手段92により目標労作強度PRPM が決定されると、その負荷上昇手段84による負荷の上昇を停止させた後、それに引き続いて直ちに、上記目標労作強度値PRPM に実際の労作強度PRPが追従するように前記エルゴメータ6の負荷を調節する。図5のt2 乃至t3 区間はこの状態を示している。なお、図5の破線は、上記初期負荷上昇手段84の上昇が停止されず、連続して負荷が上昇させられた場合の労作強度値PRPの増加方向を示している。
【0036】
運動負荷終了判定手段98は、生体に運動負荷が付与されてからの経過時間TELが、たとえば運動処方に従って生体を運動させるために予め設定された判断基準時間TS に到達したことに基づいてその生体に対する運動負荷の付与の終了を判定する。運動負荷終了処理手段100は、その運動負荷終了判定手段98により生体に対する運動負荷の付与の終了が判定されると、その生体に対する運動負荷を予め設定された軽減手順で軽減する。この軽減手順は、予め設定された順序でで負荷が段階的に軽減されか、或いは、予め設定された減少速度で連続的に減少させられる。図5のt3 乃至t4 区間はこの状態を示している。
【0037】
図9は、上記電子制御装置28の制御作動の要部を説明するフローチャートである。図のステップS1(以下、ステップを省略する。)では、図示しない操作釦の操作によって運動負荷装置の起動が行われたか否かが判断される。このS1の判断が否定された場合は待機させられるが、肯定された場合は、エルゴメータ6を用いて生体が運動を開始した状態であるので、先ず、前記折点判定手段94に対応するS2において運動負荷とともに増加する労作強度PRPの折点Fが発生したか否かが判断され、そのS2の判断が肯定された場合には、前記神経活性度判定手段90に対応するS3において副交感神経の活性度に対して交感神経の活性度が優位となったか否か、すなわち負荷上昇手段84により生体に付与する負荷が上昇させられる過程で、たとえば上記呼吸周波数よりも充分に低い周波数帯の信号強度SBPLFと呼吸周波数を含む周波数帯の信号強度PPHFとの積(SBPHF×PPLF)が、負荷上昇手段84により生体の負荷が上昇させられる過程で最小となったか否かが判断される。当初は、それらS2およびS3の判断が否定されるので、前記負荷上昇手段84に対応するS4において、図5のt0 乃至t2 の初期負荷上昇区間に示すように、運動負荷が所定の速度で連続的に上昇させられる。
【0038】
次いで、S5において、生体の脈拍数PRおよび推定血圧値EBPSYS が読み込まれた後、前記労作強度値算出手段82に対応するS6において労作強度値PRPが算出される。この労作強度値PRPは、心筋の負荷の指標として用いられるものであり、酸素消費量に相関するものである。また、交感神経活性度検出手段86および副交感神経活性度検出手段88に対応するS7において、連続血圧測定手段78により1拍毎に測定される最高血圧値EBPSYS の変動すなわち揺らぎを示す信号を周波数解析することにより、その信号成分のなかで生体の交感神経の活性度に対応すると言われている周波数帯、すなわち呼吸周波数よりも充分に低い周波数帯たとえば呼吸周波数の1/4乃至1/2の周波数帯或いは0.04Hz乃至0.15Hzの周波数帯の信号強度SBPLFが算出されるとともに、圧脈波検出装置38により1拍毎に検出される圧脈波の間隔(周期)の変動すなわち揺らぎを示す信号を周波数解析することにより、その信号成分のなかで生体の副交感神経の活性度に対応すると言われている周波数帯、すなわち呼吸周波数を充分に含む周波数帯たとえば0.15Hz乃至0.4Hzの周波数帯の信号強度PPHFが算出される。さらに、S8において、上記呼吸周波数よりも充分に低い周波数帯の信号強度SBPHFと呼吸周波数を含む周波数帯の信号強度PPHFとの積(SBPLF×PPHF)が算出される。
【0039】
そして、S9において、神経活性度反転運動負荷(PRPM1)および折点運動負荷(PRPM2)が既に決定されたか否かが判断される。当初はそのS9の判断が否定されるので、S2以下が繰り返し実行される。このようにS2以下が繰り返し実行されるうち、運動負荷とともに増加する労作強度PRPの折点Fが発生して折点判定手段94に対応するS2の判断が肯定されると、S10において、折点F発生時の労作強度PRPが折点運動負荷PRPM2として決定される。また、呼吸周波数よりも充分に低い周波数帯の信号強度SBPHFと呼吸周波数を含む周波数帯の信号強度PPLFとの積(SBPHF×PPLF)の最小値が発生すると、すなわち副交感神経の活性度に対して交感神経の活性度が優位になると、神経活性度判定手段90に対応するS3の判断が肯定されるので、S11において、そのときの労作強度PRPが神経活性度反転負荷PRPM1として決定される。
【0040】
以上のようにして折点運動負荷PRPM2および神経活性度反転負荷PRPM1が決定されてS9の判断が肯定されると、S12乃至S14が実行されることにより、前記負荷上昇手段84に対応するS2による負荷上昇が停止される。すなわち、先ず、前記最適負荷決定手段92に対応するS12において、たとえば上記折点運動負荷PRPM2および神経活性度反転負荷PRPM1の平均値が最適負荷すなわち目標労作強度PRPM として決定される。続くS13では、経過時間TELを計数するためのカウンタCTELの計数が開始されるとともに、前記運動負荷調節手段90に対応するS14では、たとえば図10に示す運動負荷調節ルーチンが実行されることにより、上記目標労作強度PRPM に実際の労作強度PRPが追従するようにエルゴメータ6の負荷が調節される。
【0041】
図10のSB1およびSB2では、1拍毎に決定される推定血圧値EBPSYS および脈拍数PRが読み込まれ、前記労作強度値算出手段82に対応するSB3では、それら推定血圧値EBPSYS および脈拍数PRに基づいて実際の労作強度値PRPが算出される。次いで、SB4では、前記S6において決定された目標労作強度値PRPM が読み込まれる。そして、SB5乃至SB8において、実際の労作強度値PRPが目標労作強度値PRPM と一致するようにエルゴメータ6の電磁ブレーキ68が制御される。すなわち、SB5では、実際の労作強度値PRPが目標労作強度値PRPM を上回ったか否かが判断される。このSB5の判断が否定された場合には、実際の労作強度値PRPが未だ目標労作強度値PRPM に到達していないので、SB6において、前回のサイクルにおける電磁ブレーキ68の仕事(消費した運動エネルギ)Wに所定の変化値ΔWを加算することにより増加させられるが、上記SB5の判断が肯定された場合は、実際の労作強度値PRPが目標労作強度値PRPM を上回っているので、SB7において、前回のサイクルにおける電磁ブレーキ68の仕事Wから所定の変化値ΔWを差し引くことにより減少させられる。そして、SB8では、上記のようにして変化させられた仕事Wが電磁ブレーキ68により行われるように、その励磁コイルの励磁電流すなわち電磁ブレーキ68の制動トルクが調節される。
【0042】
続いて、SB9では、生体の異常が判定される。たとえば、脈拍数算出手段80により算出された脈拍数PRが予め設定された判断基準値を越えたか否かが判断される。上記SB9の判断が肯定された場合は、SB10において生体の異常を示す異常表示が表示器32において行われるとともに、SB11NIおあいて電磁ブレーキ68の仕事Wすなわちエルゴメータ6の回転抵抗が零とされ、本ルーチンおよび図7のルーチンが終了させられる。しかし、上記SB9の判断が否定される場合は、本ルーチンが終了させられ、図7のS9以下が実行される。
【0043】
図9に戻って、前記運動負荷終了判定手段98に対応するS9では、前記経過時間TELが、たとえば運動処方に従って生体を運動させるために予め設定された判断基準時間TS に到達したか否かが判断される。当初はこのS9の判断が否定されるので、S10においてカウンタCTELの計数内容TELに「1」が加算されることによりその計数内容TELが更新された後、前記S8以下が繰り返し実行される。しかし、上記S9の判断が肯定されると、前記運動負荷終了処理手段100に対応するS11において、運動負荷終了処理すなわちクーリングダウンが実行され、生体に付与されていた負荷が所定の軽減手順で軽減される。図5のt3 乃至t4 区間はこの状態を示している。
【0044】
上述のように、本実施例によれば、負荷上昇手段84(S4)により生体に付与される運動負荷が増加させられる過程で、神経活性度判定手段90(S3)により副交感神経の活性度に対して交感神経の活性度が優位となったと判定されると、最適負荷決定手段92(S12)により、そのときの生体の負荷すなわち神経活性度反転運動負荷PRPM1に基づいて最適負荷PRPM が決定される。そして、運動負荷調節手段96(S14)によってその最適負荷PRPM が生体に与えられるようにエルゴメータ6の負荷が制御される。すなわち、エルゴメータ6を用いた生体の運動に際して、その生体毎の最適な負荷が確実に決定されるのである。
【0045】
また、本実施例では、生体の血圧値EBPSYS および脈拍数PRの積である労作強度値PRPを算出する労作強度値算出手段82(S6)と、折点運動負荷PRPM2を決定するために負荷上昇手段84(S4)による生体の負荷上昇に伴う労作強度値PRPの増加の折点Fを判定する折点判定手段94とが設けられ、前記最適負荷決定手段92(S12)は、神経活性度反転運動負荷PRPM1と折点運動負荷PRPM2とに基づいて最適負荷PRPM を決定するものである。具体的には、上記最適負荷決定手段92は、神経活性度反転運動負荷PRPM1と折点運動負荷PRPM2との平均値を算出し、その平均値から最適負荷PRPM を決定するものである。このようにすれば、神経活性度反転運動負荷PRPM1だけから最適負荷を決定する場合に比較して、最適負荷PRPM の算出精度が高められ、運動の効率が一層高められる。
【0046】
また、本実施例では、最適負荷決定手段92(S12)により最適負荷PRPM が決定されると、負荷上昇手段84(S4)による負荷の上昇を停止させ、その最適負荷PRPM に実際の運動負荷PRPが追従するようにエルゴメータ6の負荷を調節する運動負荷調節手段96(S14)が、設けられていることから、個々の生体に最大まで負荷を与えることがないので、生体の運動の実行毎に、生体にそれほど負担を強いることなく最適負荷が決定される利点がある。特に、疾患を有する生体に対しても運動負荷療法が可能となるとともに、その日の体調に適合した最適負荷で無酸素運動の初期或いは有酸素運動の最大強度で運動が可能となる。
【0047】
また、本実施例では、交感神経活性度検出手段86(S7)は、生体の血圧値変動の周波数成分のうちその生体の呼吸周波数よりも充分に低い周波数帯の低周波帯信号強度SBPLFを検出するものであり、副交感神経活性度検出手段88(S7)は、生体の脈拍周期変動の周波数成分のうちその生体の呼吸周波数を含む周波数帯の呼吸周波帯信号強度PPHFを検出するものであり、神経活性度判定手段90は、それら低周波帯信号強度SBPLFと呼吸周波帯信号強度PPHFとの積が最小となったときに、副交感神経の活性度に対して交感神経の活性度が優位となったと判定するものである。このようにすれば、最適負荷の決定が確実に行われる利点がある。
【0048】
また、本実施例の負荷上昇手段84(S4)は、生体の運動の初期区間において生体に対する負荷を所定の速度で連続的に上昇させるものであることから、その初期区間において生体に付与する負荷が予め設定された速度で時間の経過に伴って増加させられるので、段階的に上昇させられる場合に比較して、負荷の段階的に上昇に対応する労作強度の段階的上昇がなく、折点の判定が容易となる利点がある。
【0049】
また、本実施例では、負荷上昇手段84(S4)により生体の運動期間の初期区間においてその生体に付与する負荷が上昇させる過程で、前記最適負荷決定手段92(S12)により最適負荷(目標負荷)である目標労作強度値PRPM が決定されると、運動負荷調節手段96(S14)により、負荷上昇手段84による負荷の上昇が停止させられ、その目標労作強度値PRPM に実際の労作強度PRPが追従するようにエルゴメータ6の負荷が調節されるので、生体の運動の実行毎に、生体にそれほど負担を強いることなく最適な目標負荷が決定され、その目標負荷が付与されるように運動負荷装置の負荷が制御される。また、このように、個々の生体に最大まで負荷を与えることがないので、生体に苦痛を強いることがなく、疾患を有する生体に対しても運動療法が可能となるとともに、生体が運動を行う日の体調に適合した最適の負荷すなわち無酸素運動の初期或いは有酸素運動の最大強度の運動が付与される。
【0050】
また、本実施例の運動負荷装置の制御装置には、生体に運動負荷が付与されてからの経過時間TELが予め設定された判断基準時間TS に到達したことに基づいてその生体に対する運動負荷の付与の終了を判定する運動負荷終了判定手段92(S9)と、その運動負荷終了判定手段92により前記生体に対する運動負荷の付与の終了が判定されると、その生体に対する運動負荷を予め設定された軽減手順で軽減する運動負荷終了処理手段94(S11)とが含まれる。このため、運動負荷終了判定手段92により生体に対する運動負荷の付与が終了したことが判定されると、運動負荷終了処理手段94により、その生体に対する運動負荷が予め設定された軽減手順で自動的に軽減されるので、クーリングダウンの不足に起因する不都合が生体に発生することが解消される。
【0051】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0052】
たとえば、前述の実施例の最適負荷決定手段92においては、最適(目標)負荷として目標労作強度PRPM を決定していたが、目標心拍数PRM 、目標血圧値BPM などの他の生体最適負荷を示す量が決定され、運動負荷調節手段96はその目標心拍数PRM 、目標血圧値BPM などの他の生体最適負荷と実際の運動負荷とが一致するようにエルゴメータ6の負荷を調節するものであっても差し支えない。
【0053】
また、前述の実施例では、最適負荷決定手段92により決定された目標労作強度PRPM が運動負荷調節手段96の目標値として自動的に設定されていたが、最適負荷決定手段92により決定された目標労作強度PRPM を生体が手動にて設定入力するものであっても差し支えない。
【0054】
また、前述の実施例の最適負荷決定手段92は、神経活性度反転運動負荷PRPM1と折点運動負荷PRPM2との平均値を算出し、その平均値から最適負荷PRPM を決定するものであったが、生体の年齢、性別、運動能力の関数である補正値を用いて神経活性度反転運動負荷PRPM1を所定の補正演算をすることにより、神経活性度反転運動負荷PRPM1に基づいて最適負荷PRPM を決定してもよい。
【0055】
また、前述の実施例においては、神経活性度反転運動負荷PRPM1および折点運動負荷PRPM2や、脈拍数PRおよび推定血圧値EBPが1拍毎に決定され、S9によって神経活性度反転運動負荷PRPM1および折点運動負荷PRPM2が決定されたか否かが1拍毎に判定されていたが、必ずしも1拍毎でなくてもよく、所定の拍数或いは時間毎に算出されるものでもよいのである。
【0056】
また、前述の実施例の負荷上昇手段84は、生体の運動期間の初期において運動負荷を時間の経過とともに連続的に増加させるものでなく、所定の上昇幅で上昇させた後にその値を所定期間維持することを繰り返しながら段階的に上昇させるものでもよい。このようにすれば、生体に対する負荷が一定であるときに折点が判定されるので、生体の反応に起因する労作強度の遅れが少なくなる利点がある。
【0057】
また、前述の基準血圧決定手段72は、カフ圧が徐々に降下させられる過程のカフ脈波の変化に基づいて基準血圧値を決定するものであったが、徐々に昇圧させられる過程のカフ脈波の変化に基づいて基準血圧値を決定するものであってもよい。また、その基準血圧決定手段72は、所謂オシロメトリック法に従い、カフ10の圧迫圧力に伴って変化する圧脈波の大きさの変化状態に基づいて血圧値を決定するものであったが、カフ10の圧迫部から発生するコロトコフ音の発生および消滅に基づいて生体の血圧値を測定するものであっても差し支えない。
【0058】
また、前述の実施例では、運動負荷装置としてエルゴメータ6が用いられていたが、それに代えて、たとえば図11に示すようなトレッドミル110が用いられ得る。このトレッドミル110は、基台112に設けられた無端ベルト114が電動モータ116によって回転駆動されるようになっており、無端ベルト114上に位置する生体が走行させられることにより運動負荷が与えられるようになっている。この電動モータ116は、たとえば前記電子制御装置28からの指令に従ってその回転速度を変化させることにより生体の走行運動の負荷を変化させられる。
【0059】
その他、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である運動負荷装置の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の実施例の圧脈波センサおよび押圧力制御装置を詳しく説明する図である。
【図3】図1の実施例において、電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロク線図である。
【図4】図3の圧脈波血圧対応関係決定手段により決定される対応関係を例示する図である。
【図5】図1の実施例において、電子制御装置により制御される運動負荷を示すタイムチャートである。
【図6】図3の交感神経活性度検出手段86により検出される、呼吸周波数よりも充分に低い周波数帯の信号強度SBPLFを含む連続血圧値のゆらぎの周波数スペクトルを示す図である。
【図7】図3の副交感神経活性度検出手段88により検出される、呼吸周波数を含む周波数帯の信号強度PPHFを含む脈拍周期のゆらぎの周波数スペクトルを示す図である。
【図8】副交感神経活性度に対する交感神経活性度の優位を判定する作動を説明するために、図6の信号強度SBPLFおよび図7の信号強度PPHFとそれらの積との関係を示す図である。
【図9】図1の実施例において、電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートである。
【図10】図9のステップS14の運動負荷フィードバック制御を詳しく説明するフローチャートである。
【図11】本発明の他の実施例における運動負荷装置であるトレッドミルを説明する図である。
【符号の説明】
6:エルゴメータ(運動負荷装置)
82:労作強度値算出手段
84:負荷上昇手段
86:交感神経活性度検出手段
88:副交感神経活性度検出手段
90:神経活性度判定手段
92:最適負荷決定手段
94:折点判定手段
96:運動負荷調節手段
110:トレッドミル(運動負荷装置)
Claims (4)
- 生体の運動に関連して機械的に作動させられる運動負荷装置において、該生体に最適負荷が付与されるように該運動負荷装置の負荷を調節する制御装置であって、
前記生体に付与される運動負荷を増加させる負荷上昇手段と、
前記生体の交感神経の活性度を検出する交感神経活性度検出手段と、
前記生体の副交感神経の活性度を検出する副交感神経活性度検出手段と、
前記負荷上昇手段により前記生体に付与される運動負荷が増加させられる過程で前記副交感神経の活性度に対して前記交感神経の活性度が優位となったか否かを判定する神経活性度判定手段と、
該神経活性度判定手段によって前記副交感神経の活性度に対して前記交感神経の活性度が優位となったと判定されたときの神経活性度反転運動負荷に基づいて前記最適負荷を決定する最適負荷決定手段とを含み、
前記交感神経活性度検出手段は、前記生体の血圧値変動の周波数成分のうち該生体の呼吸周波数の1/4乃至1/2の周波数の低周波帯信号強度を検出するものであり、
前記副交感神経活性度検出手段は、前記生体の脈拍周期変動の周波数成分のうち該生体の呼吸周波数を含む周波数帯の呼吸周波帯信号強度を検出するものであり、
前記神経活性度判定手段は、前記低周波帯信号強度と前記呼吸周波帯信号強度との積が最小になったときに、前記副交感神経の活性度に対して前記交感神経の活性度が優位になったと判定することを特徴とする運動負荷装置の制御装置。 - 前記生体の血圧値および脈拍数の積である労作強度値を算出する労作強度値算出手段と、
折点運動負荷を決定するために、前記負荷上昇手段による負荷の上昇に伴う前記労作強度値の増加の折点を判定する折点判定手段とを含み、
前記最適負荷決定手段は、前記神経活性度反転運動負荷と該折点運動負荷とに基づいて前記最適負荷を決定するものである請求項1の運動負荷装置の制御装置。 - 前記最適負荷決定手段は、前記神経活性度反転運動負荷と前記折点運動負荷との平均値から前記最適負荷を決定するものである請求項2の運動負荷装置の制御装置。
- 前記最適負荷決定手段により最適負荷が決定されると、前記初期負荷上昇手段による負荷の上昇を停止させ、該最適負荷に実際の運動負荷が追従するように前記運動負荷装置の負荷を調節する運動負荷調節手段を、含む請求項1乃至3のいずれかの運動負荷装置の制御装置。
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