JP3924800B2 - 冷熱発電設備 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、LNG等の低温流体の冷熱を利用して発電を行うようにした冷熱発電設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、LNG等の低温流体の冷熱を利用して発電を行うようにした設備として、図4に示すような中間媒体を利用したランキンサイクルが考えられている。
【0003】
図4に示す中間媒体を利用したランキンサイクルは、発電機aを同軸に備えたタービンbのタービン出口cとタービン入口dとの間を、プロパン等の炭化水素系の単一或いは混合した中間媒体eを循環させるようにした閉ループfにて接続し、該閉ループfにおける前記タービン出口cに、LNG等の低温流体gを導入することにより前記中間媒体eを冷却して液化する凝縮器hを設け、該凝縮器hからの液状の中間媒体eを冷媒ポンプiを介して前記凝縮器hに再度導いて冷却した後、海水jを導入するようにしてある蒸発器kに導いて海水jと熱交換することにより気化させ、気化した高圧の中間媒体eをタービン入口dに供給することにより発電機aを駆動して発電を行わせるようにしている。又、前記凝縮器hにて中間媒体eに冷熱が奪われて気化された気化ガスg’は、海水jが供給されている加温器lにより常温まで昇温されて燃料等として火力発電所等の利用場所に供給されるようになっている。
【0004】
前記した設備においては、閉ループf全体の圧力が高い圧力となっており、閉ループf内と大気との耐圧を確保するために、蒸発器k、タービンb、凝縮器h、冷媒ポンプの夫々を耐圧ケーシングで包囲する等により耐圧構造とし、更に前記蒸発器kとタービンbとの間、タービンbと凝縮器hとの間、凝縮器冷媒ポンプとの間、冷媒ポンプと蒸発器との間の夫々を、高圧配管f1,f2,f3,f4,f5にて接続するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記図4に示したような設備では、閉ループfを構成している蒸発器k、タービンb、凝縮器h、冷媒ポンプ等の夫々の装置を耐圧構造とすると共に、前記各装置の相互間を高圧配管f1,f2,f3,f4,f5にて接続する必要があるために、装置構成が複雑となり設備全体が非常に高価になると共に、各装置に備えたケーシングや高圧配管f1,f2,f3,f4,f5の接続部等から中間媒体eが漏洩する問題が生じやすいといった問題を有していた。
【0006】
本発明は、斯かる実情に鑑みてなしたもので、構成を簡略化でき、しかも中間媒体が漏洩する問題も低減できて、低温流体の冷熱エネルギーの回収を効率的に行い得る冷熱発電設備を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の冷熱発電設備は、環状の閉ループダクトを構成し、該閉ループダクト内に、同軸上に設けられた圧縮機とタービンで構成するガスタービンを設置し、且つ前記圧縮機の入口に冷却器を配設すると共に、前記ガスタービンの出口に再生熱交換器を配設し、前記圧縮機出口の加圧された中間媒体を前記再生熱交換器に供給する圧縮機出口管を前記閉ループダクト内に設け、更に前記冷却器に低温流体を供給する低温流体供給管と、冷却器により中間媒体を冷却した低温流体を導出する低温流体導出管と、前記再生熱交換器からの中間媒体を加熱器により加熱した後前記タービン入口に供給するタービン入口管とを前記閉ループダクトの外部に設け、前記閉ループダクト内の圧縮機とタービンとの間に、閉ループダクト2内を密閉するに至らず且つ圧縮機に吸引される中間媒体の伴流をタービンの出口側に流動させないようにするための仕切を設置したことを特徴とするものである。
【0008】
閉ループダクトは鋼製としたり、或いはコンクリート製としたりすることができ、又圧縮機出口管と閉ループダクトとに接続するようにした媒体貯蔵タンクを備えることができる。
【0009】
本発明によれば、圧縮機とタービンを、鋼或いはコンクリート等にて形成した閉ループダクト内に設置するようにしているので、従来のオープンサイクルガスタービンシステムを、そのままクローズドサイクルガスタービンシステムに適用することができる。
【0010】
又、冷却器と再生熱交換器も閉ループダクト内に設置されているので、熱交換を行うためのケーシングを設ける必要もない。
【0011】
閉ループダクトは、地中に埋設することによって容易に内圧に耐え得る構造とすることができ、又地中に埋設することにより地上スペースを有効利用することができる。
【0012】
更に、圧縮機出口管、閉ループダクトに接続した媒体貯蔵タンクを備えると、閉ループダクトのシステム圧の調整、中間媒体の貯蔵の他、ガスタービンを始動する時に用いることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図示例と共に説明する。
【0014】
図1は、本発明を実施する形態の一例を示したもので、鋼或いはコンクリートにて環状に形成され、且つ内部に空気、窒素、CO2、Ar、He等の反応性の低い中間媒体1を導入し得るようにした閉ループダクト2を構成し、該閉ループダクト2内に、同一軸上に備えるようにした圧縮機3とタービン4で構成するガスタービンと発電機5とを設置し、前記圧縮機3で圧縮した中間媒体1をタービン4に供給してタービン4を駆動し、タービン4出口の中間媒体1を再び前記圧縮機3の入口に戻すようにする。閉ループダクト2は、断面形状を図2に示すように矩形としたり、或いは円形の管状としても良い。
【0015】
更に、前記閉ループダクト2内部における前記圧縮機3の入口部に冷却器6を配置すると共に、前記タービン4の出口に再生熱交換器7を配設する。
【0016】
前記冷却器6には、外部からLNG等の低温流体18を供給する低温流体供給管8と、冷却器6によって中間媒体1を冷却した低温流体(気化ガス)を導出して発電所等の目的場所に供給する低温流体導出管9とを閉ループダクト2を貫通させて設けると共に、圧縮機3出口の加圧された中間媒体1を前記再生熱交換器7に供給する圧縮機出口管10を閉ループダクト2内部に設けるか、或いは閉ループダクト2を貫通させて外部に設け、更に前記再生熱交換器7からの中間媒体1を外部に設けた加熱器11により加熱した後前記タービン4入口に供給するようにしたタービン入口管12を閉ループダクト2を貫通させて設ける。
【0017】
又、閉ループダクト2の外に、閉ループダクト2を貫通する配管13と、弁14を介して接続された媒体貯蔵タンク15を備えている。
【0018】
又、前記圧縮機3とタービン4との間に備えられている発電機5の位置には、図2に示すように、小孔16等により閉ループダクト2内を密閉するに至らない仕切17を設置し、圧縮機3に吸引される中間媒体1の伴流がタービン4の出口側に流動しないようにしている。
【0019】
前記閉ループダクト2は、人が内部に入って充分作業できる断面の大きさを確保し、又必要に応じて内面を断熱することができる。
【0020】
次に、図1の実施の形態の作用を説明する。
【0021】
冷却器6に向う中間媒体1は、LNG等の低温流体18が供給されている冷却器6によって冷却された後、圧縮機3により圧縮されて高圧の中間媒体1となり、該高圧の中間媒体1は圧縮機出口管10を介して再生熱交換器7に導かれることによりタービン4出口の中間媒体1によって予熱され、その後、タービン入口管12に備えられた加熱器11に導かれて加熱されることにより、更に高温の中間媒体1となる。
【0022】
上記加熱器11の加熱源としては、排ガス、蒸気、排水、海水等を用いることができ、更には燃焼装置を備えた加熱器11とすることもできる。
【0023】
加熱器11で加熱されて更に高温となった高圧の中間媒体1は、タービン入口管12によりタービン4に供給されてタービン4を駆動し、これにより同軸の圧縮機3を駆動すると共に、発電機5を駆動して電力を出力する。
【0024】
圧縮機3とタービン4は、閉ループダクト2内に置かれるために加圧されることになるが、全体が加圧されるために外に晒される部分が不均一な圧力条件に置かれることがない。従って、クローズドサイクルに適用するための改良を特に要せず、よって圧縮機3とタービン4はたとえば航空機用のものをそのまま新たな耐圧ケーシング等を製作することなしに用いることができる。即ち、(再生型)オープンサイクルガスタービンシステムを、そのままクローズドサイクルガスタービンシステムに適用することができる。
【0025】
又、冷却器6と再生熱交換器7も閉ループダクト2内に設置されているので、熱交換を行うためのケーシングを設ける必要もない。
【0026】
前記閉ループダクト2は、地中に埋設することによって容易に内圧に耐え得る構造を得ることができ、又地中に埋設することにより地上スペースを有効利用することができる。
【0027】
又、圧縮機出口管10、閉ループダクト2に接続した媒体貯蔵タンク15を備えているので、閉ループダクト2のシステム圧の調整、中間媒体1の貯蔵の他、タービン4を始動する時に用いることができる。
【0028】
図3は、図1の変更例を示したもので、圧縮機3とタービン4を閉ループダクト2内に設置し、発電機5を閉ループダクト2の外部に設置して軸19で接続した場合を示している。この場合、圧縮機3とタービン4で構成するガスタービンはそれらの間に発電機がなく直結され、通常のガスタービンと同一となる。又この例では、冷却器6の設置位置を軸19と干渉しない上流側に設置し、又、前記圧縮機3とタービン4との間に仕切17を備えるようにしているが、この例においても前記図1の場合と同様に作用することができる。又、逆に発電機5をこれとは反対のタービン後流側の閉ループダクト2外におくこともできる。この場合、再生熱交換器7を軸19に干渉しない後流に移設する。更にこの場合、発電機5を閉ループダクト2内に置いておくことも可能である。
【0029】
尚、前述においては、低温流体18がLNGの場合について説明したが、それ以外にも液体水素、液体窒素、液体酸素等を気化させて供給するようにしている設備の冷熱を回収して利用する場合にも適用することができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明の冷熱発電設備によれば、圧縮機とタービンを、閉ループダクト内に設置するようにしているので、加圧に伴う改良を特に要せず、よって従来のオープンサイクルガスタービンシステムを、そのままクローズドサイクルガスタービンシステムに適用することができる。
【0031】
又、冷却器と再生熱交換器も閉ループダクト内に設置されているので、熱交換を行うためのケーシングを設ける必要もない。
【0032】
閉ループダクトは、鋼或いはコンクリート等により容易に製作することができ、地中に埋設することによって容易に内圧に耐え得る構造とすることができ、又地中に埋設することにより地上スペースを有効利用することができる。
【0033】
更に、圧縮機出口管、閉ループダクトに接続した媒体貯蔵タンクを備えると、閉ループダクトのシステム圧の調整、中間媒体の貯蔵の他、ガスタービンを始動する時に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する形態の一例を示す斜視図である。
【図2】図1のII−II方向矢視図である。
【図3】図1の変更例を示す斜視図である。
【図4】従来の中間媒体利用のランキンサイクルの系統図である。
【符号の説明】
1 中間媒体
2 閉ループダクト
3 圧縮機
4 タービン
6 冷却器
7 再生熱交換器
8 低温流体供給管
9 低温流体導出管
10 圧縮機出口管
11 加熱器
12 タービン入口管
15 媒体貯蔵タンク
18 低温流体
Claims (4)
- 環状の閉ループダクトを構成し、該閉ループダクト内に、同軸上に設けられた圧縮機とタービンで構成するガスタービンを設置し、且つ前記圧縮機の入口に冷却器を配設すると共に、前記ガスタービンの出口に再生熱交換器を配設し、前記圧縮機出口の加圧された中間媒体を前記再生熱交換器に供給する圧縮機出口管を前記閉ループダクト内に設け、更に前記冷却器に低温流体を供給する低温流体供給管と、冷却器により中間媒体を冷却した低温流体を導出する低温流体導出管と、前記再生熱交換器からの中間媒体を加熱器により加熱した後前記タービン入口に供給するタービン入口管とを前記閉ループダクトの外部に設け、前記閉ループダクト内の圧縮機とタービンとの間に、閉ループダクト2内を密閉するに至らず且つ圧縮機に吸引される中間媒体の伴流をタービンの出口側に流動させないようにするための仕切を設置したことを特徴とする冷熱発電設備。
- 閉ループダクトを鋼製としていることを特徴とする請求項1記載の冷熱発電設備。
- 閉ループダクトをコンクリート製としていることを特徴とする請求項1記載の冷熱発電設備。
- 圧縮機出口管と閉ループダクトに接続した媒体貯蔵タンクを備えていることを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の冷熱発電設備。
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