JP3924660B2 - シングルアームパンタグラフの揚力調整方法 - Google Patents

シングルアームパンタグラフの揚力調整方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、鉄道車両の屋根に設置したシングルアームパンタグラフに走行時に作用する見かけの揚力が変動するのを防止することにより、集電性能を向上させるための手段に関する。
【0002】
なお、本明細書中において「前・後・左・右」とは、車両の進行方向に対する前・後・左・右を言うものとする。
【0003】
【従来の技術】
鉄道車両の高速化にあたり、沿線環境に及ぼす騒音を出来るだけ緩和するための試みが従来より種々なされている。本出願人は、車両走行中の騒音源として車両屋根に設置される集電装置に着目し、走行中に発生する空力音レベルを低く抑えられる集電装置の開発を進めている。
【0004】
騒音の低減化に一応の成果を挙げている集電装置として、図1に示すようなシングルアームパンタグラフPが提案されている。同パンタグラフPは、比較的構造が簡単であること、折り畳み高さを低くできると共に最大高さを大きくするのが容易であること、及び車両屋根上の占有面積を少なくできること、という利点を備えている。
【0005】
シングルアームパンタグラフPは、折り畳み可能な「く」の字形のリンク機構Qによって、上端部に設けた翼形の舟体Fを昇降可能に支持するように構成されており、舟体Fの下部に設けた円筒形の支持部S内には、舟体Fをトロリー線へ押しつけるためのバネが収納されている。
【0006】
前記シングルアームパンタグラフPにおけるリンク機構Qの骨格構造を概略的に示すと図2のとおりである。同図に示す如く、一般にシングルアームパンタグラフPのリンク機構Qは、鉄道車両の屋根上に下端部が枢支される下枠1、下端部が下枠1の上端部へ回動可能に連結された上枠2、車両屋根における下枠1から適宜距離を置いた位置に下端部が枢支される長さ調節が可能な釣り合い棒3、下枠1と釣り合い棒3それぞれの上端部をヒンジを介して連結する接合リンク4より構成される。そして、かかるリンク構成Qの伸縮により、前記上枠2の上端部に設けた舟体Fを昇降可能となしている。
【0007】
また、パンタグラフPによる電気の取り込みは、舟体Fをトロリー線と接触させることにより行うから、接触状態を安定化させることが必要である。そこで、支持部S内に収納したバネで舟体Fをトロリー線へ押しつけ、離線の防止を図っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
走行時の向かい風により、舟体Fには進行方向に対し垂直上向きの揚力という力が働く。従って、バネの付勢力は、この揚力を考慮したうえで、舟体Fのトロリー線に対する押しつけ力が適正となるよう設定しなくてはならない。仮にバネによる押しつけ力が過大となれば、トロリー線及び舟体の損傷あるいは磨耗促進を招く。反対に押しつけ力が不足したときは、離線現象が頻発し、アーク放電による局部磨耗を生じて集電能率の低下を来すほか、異常電圧による主回路の絶縁破壊や、電波障害を招くおそれがある。
【0009】
ところで列車走行時、舟体Fには、進行方向と逆向きの抗力という力が作用する。抗力は、流体中を移動する物体が、流体から受ける抵抗である。この抗力に基づき、以下の▲1▼〜▲3▼に述べるような事情によって揚力が見かけ上変化し、その結果、舟体のトロリー線に対する接触状態が不安定となり、適正な集電の妨げとなるおそれがある。
【0010】
▲1▼抗力は舟体に対し実質的に揚力が変化したのと同等の作用を及ぼす。シングルアームパンタグラフの昇降に伴う舟体Fの移動軌跡は、リンク機構によって規定されており、従来の移動軌跡は図3に破線で示す如くである。舟体Fの移動軌跡Tが集電性能に及ぼす影響については、これまで特に検討されていなかった。図3において、車両の進行方向を左方向(矢印Aで示す方向)とすると、舟体Fに対し右向きの抗力Kが発生する。舟体Fの移動方向はリンク機構によって拘束されているため、抗力Kに基づき舟体Fに対し移動軌跡Tに沿う上方向又は下方向の力が作用し、その垂直成分が揚力Lに影響を与える。図示の例では、舟体Fに軌跡Tに沿う右下方向の力k0 が作用し、この軌跡方向の力k0 の垂直成分k1 が揚力Lに対して影響する。その結果、見かけの揚力はL−k1 となり、揚力Lが減少したのと実質的に等しくなる。
【0011】
▲2▼舟体Fの作用高さ等の変化に基づきパンタグラフの伸縮状態が異なると、揚力の見かけの大きさが変化する。舟体Fがトロリー線に接触する作用高さ、すなわちレール面からトロリー線までの高さ寸法は5000mmが標準値とされている。しかしながら、線路の敷設状況やトロリー線の架設環境等の諸条件を考慮して、作用高さは4800〜5300mmの範囲で増減することが許容され、一般には、約4900〜5150mmの間で変動する。従来の舟体Fの移動軌跡Tは、リンク機構の制約により図3に示す如き曲線を描くことが多く、従って、軌跡T上の異なる2点における接線の傾きは必ずしも等しくはならない。抗力Kに基づき舟体Fに生じる力k0 の方向は軌跡Tの接線方向であるので、舟体Fの作用高さが変動して軌跡T上の位置が変わると、それにつれて接線の傾き(力k0 の方向)が変化し、その結果、当該力k0 の垂直成分k1 の大きさも変化する。例えば図3において、接線の傾きが異なる軌跡T上の異なる2点M(作用高さ5100mm)とN(作用高さ4900mm)とを対比すれば、抗力Kに基づき発生する力k0 の方向及び大きさが異なっており、それ故、垂直成分k1 の大きさも異なることが分かる。このように、作用高さの変化により舟体Fの軌跡T上における位置が変わると、抗力Kに基づく力の垂直成分k1 の大きさが変動するので、見かけの揚力L−k1 の大きさも変化する。また、パンタグラフを設置する車両の種類により車高が異なるので、屋根からトロリー線までの高さ寸法に違いが生ずる。このため、車種が違えば同じのパンタグラフでも標準作用高さ(5000mm)における伸縮状態は必ずしも同一になるとは限らない。すなわち、舟体Fの移動軌跡T上の位置が相違するのに等しいから、車種の変更は、見かけの揚力の変化をもたらす。
【0012】
▲3▼車両の進行方向の違いによっても舟体Fに作用する揚力が見かけ上変化する。図3において、車両進行方向を反対の右向きとすると、舟体Fに作用する抗力Kも逆向きとなり、その結果、抗力Kに基づいて舟体Fに作用する軌跡Tに沿う力の向きは左上方向となる。この力の垂直成分をk2 とすると、図3の場合とは逆に見かけの揚力はL+k2 となり、揚力が増大したのと実質的に同等となる。
【0013】
車両の進行方向が異なる場合の揚力の変動要因としては、抗力に基づくもの以外に、さらに下記▲4▼を挙げることができる。
【0014】
▲4▼シングルアームパンタグラフは車両の進行方向に対し非対称の形態を有している。また設置位置が車両の前後方向の中間とは限らないから、進行方向によって車両の先頭から舟体までの距離が異なる。これらの要因により、たとえ走行速度が等しくても、車両の進行方向が異なると、舟体が受ける空気流の状態は同一とはならないので、舟体に作用する揚力に違いが生じる。
【0015】
図4は、風洞試験での舟体の作用高さに対する揚力変化を示すグラフである。図2のシングルアームパンタグラフPにおいて、左側を前とする走行方向を「なびき方向」、右側を前とする走行方向を「反なびき方向」とする。図4中、破線(右上がり)で表したのがなびき方向、一点鎖線(右下がり)で表したのが反なびき方向である。測定時の風速は時速約180kmである。
【0016】
図4のグラフから分かるとおり、従来のシングルアームパンタグラフは、なびき方向と反なびき方向とで、舟体の作用高さの違いに基づく揚力の変化状況が大きく異なっており、標準作用高さ(5000mm)において、約1kgf程度の差異を生じている。
【0017】
なお、進行方向の違いに基づく揚力差を低減させる手段として、従来、舟体の断面形状を前後非対称とすることが提案されている。しかし、このような形状の舟体は、製造コストが高いうえに、シミュレーションも難しいという欠点を有している。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記従来技術の問題点に関する考察から、次のような知見を得るに至った。それは、シングルアームパンタグラフにおける舟体の移動軌跡と揚力の安定化とは密接に関連し、舟体の移動軌跡を垂直方向に近づけるほど、揚力が抗力から被る影響を小さくすることができ、舟体の作用高さの違い又は車両進行方向の違いに基づく揚力の見かけの変動を抑制できる、というものである。
【0019】
さらに本発明者らは、車両の走行方向の違いに基づく揚力変動は、舟体の移動軌跡を修正するだけでは対処できない場合があるが、シングルアームパンタグラフのリンク機構を構成する釣り合い棒の長さを調節することにより、走行方向が違っても揚力の大きさをほぼ等しく調整できることを見いだした。本発明は、これらの知見に基づき創案されたものである。
【0020】
本発明が採用するシングルアームパンタグラフの揚力調整方法の特徴とするところは、鉄道車両の屋根上に下端部が枢支された下枠と、前記下枠から適宜距離を置いた位置における同車両屋根に下端部が枢支された長さ調節が可能な釣り合い棒と、前記下枠と釣り合い棒それぞれの上端部をヒンジを介して連結する接合リンクと、下端部が前記下枠の上端部へ回動可能に連結され上端部に舟体が設けられた上枠とから構成されるリンク機構を備えたシングルアームパンタグラフにおいて、上下動に基づく舟体の移動軌跡の垂直方向に対する前後方向の変位量が±1mm以内となるように、下枠及び釣り合い棒を車両屋根へ設置するに際し下枠と釣り合い棒の各取付位置の水平方向間隔を所定寸法に設定したのち、釣り合い棒の長さを調節し、次いで、車両の進行方向を変えたときに標準作用高さにおける舟体に作用する揚力の大きさの差異が0.1kgf未満となるように釣り合い棒の長さを調節することである。
【0021】
【発明の実施の形態】
シングルアームパンタグラフにおける舟体の移動軌跡は、すでに述べた如く、リンク機構によって規定される。そして、リンク機構の構成要素の寸法関係を変更すれば、舟体移動軌跡が変化する。但し、パンタグラフを車両屋根に設置する際又は設置後に実際上調節可能なのは、図2における、下枠1と釣り合い棒3それぞれの取付位置の水平方向間隔g、及び、釣り合い棒3の長さcである。舟体の移動軌跡Tを垂直方向に近づけるために必要な前記c及びgの設定値は、計算によりあるいは試験により、予め求めることが可能である。従って、パンタグラフを車両屋根へ設置するに際し、下枠1と釣り合い棒3の各取付位置の水平方向間隔gを所定寸法に設定し、しかるのち釣り合い棒3の長さcを所要の長さに調節することにより、舟体の移動軌跡Tを垂直方向に近づけることができる。
【0022】
上記のようにして、舟体の移動軌跡が垂直方向に近づくことにより、作用高さの違いによる揚力の変動は殆ど抑えられる。しかしながら、車両の走行方向の違いによる揚力の差異が解消されない場合がある。この場合、さらに釣り合い棒の長さを変更することにより、パンタグラフの標準作用高さにおいて、舟体に作用する揚力がなびき方向と反なびき方向とでほぼ等しくなるように調節することができる。
【0023】
釣り合い棒の長さを変えることで、走行方向の違いに基づく揚力の差異が無くなるのは、舟体の移動軌跡が垂直方向から若干変位するためである。このとき、舟体の移動軌跡が垂直方向から微妙に逸脱することは避けられないので、作用高さの違いによる揚力の変動がわずかに生ずることになるが、その変位量は許容範囲内であり、集電性能の実質的な低下を招くおそれはない。
【0024】
本発明は、標準作用高さにおいて舟体に作用する揚力が、走行方向の違いによって差異を生じないようにすることを優先させ、作用高さの違いによる揚力変動が残るとしても、これを許容範囲内にとどめたものである。パンタグラフの集電動作が標準作用高さを中心にして行われることを考慮すれば、本発明の優れた実用性を理解することができる。
【0025】
【実施例】
従来のシングルアームパンタグラフに対し、本発明に係る揚力調整方法を適用した実施例を説明する。
図2に示すシングルアームパンタグラフPにおいて、従来仕様に基づく各構成部材の寸法関係の一例を示すと、次のとおりである。
【0026】
・下枠(1)長さ=980mm
・上枠(2)長さ=1100mm
・釣り合い棒(3)長さ=1000mm
・接合リンク(4)長さ=65mm
・下枠(1)と釣り合い棒(3)の各取付位置の水平方向間隔g=115mm
・下枠(1)の取付位置の車両屋根からの高さh=26mm
前記のとおり各構成部材の寸法関係を規定した従来仕様のシングルアームパンタグラフPにおける上枠2の先端に装着した舟体Fの移動軌跡Tは、図3に示すとおりである。パンタグラフPの上下動に従って舟体Fは前後に変位し、変位の大きさは舟体Fが上昇するほど又は下降するほど拡大している。同図において、左側を進行方向の前方、右側を後方とし、作用高さが標準値5000mmのときの舟体F位置を基準(変位=0mm)とすると、実用範囲の下限である4900mmでは舟体Fが後方に約5mm後退し、実用範囲の上限である5150mmでは舟体Fが前方に約11mm前進している。
【0027】
舟体Fの移動軌跡Tは曲線を描いているから、軌跡T上の異なる点における接線の傾きが異なる。それ故、異なる作用高さでは、抗力に基づき舟体Fに作用する力の大きさが変化する。
【0028】
このように、従来仕様のシングルアームパンタグラフPにあっては、舟体Fの移動軌跡Tが前後に大きく変位していること、及び、曲線を描いていることが、揚力の変動を来す主な要因となっている。
【0029】
そこで、本発明方法を従来仕様のシングルアームパンタグラフPに適用する。はじめに、舟体Fの移動軌跡Tを垂直方向に近づけるため、シングルアームパンタグラフPの各構成部材の寸法関係を次のように修正する。すなわち、下枠1又は釣り合い棒3の取付位置を変更して、下枠1と釣り合い棒3との水平方向間隔gを125mmに拡大したのち、釣り合い棒3の長さcを調節して1004.5mmに設定する。下枠1,上枠2及び接合リンク4の各長さ寸法、並びに下枠の取付位置には変更を加えないものとした。
【0030】
上述のとおり寸法関係を変更したシングルアームパンタグラフPの舟体Fの移動軌跡を、図5に示す。同図から分かるとおり、舟体の移動軌跡は垂直方向に非常に近くなり、パンタグラフの上下動に基づく舟体の前後方向の変位は約±1mm程度ときわめて小さくなっている。舟体の移動軌跡が垂直方向に近づくと、抗力に基づき舟体に発生する軌跡方向の力は極度に小さくなる。従って、舟体の揚力に対する抗力の影響が抑制され、作用高さ及び車両進行方向が異なっても、舟体に作用する力の大きさがほぼ一定となり、揚力の安定化がもたらされる。
【0031】
図6は、寸法関係変更後の前記シングルアームパンタグラフにおける舟体の作用高さの違いに基づく揚力変化を示すものであって、破線がなびき方向、一点鎖線が反なびき方向である。測定時の車両走行速度は時速約180kmである。
【0032】
同グラフから分かるように、釣り合い棒の取付位置及び長さ寸法を前記のとおり変更して、舟体の移動軌跡をほぼ垂直方向となるように修正することにより、車両走行方向が異なるときの標準作用高さにおける揚力差を、わずか0.1kgf程度に低減することができる。また、走行中に舟体の作用高さが変動することが予想されるが、実用範囲(4900〜5150mm)における揚力変動幅をせいぜい0.4kgf程度に抑えることができ、作用高さの許容範囲全域(4800〜5300mm)で見ても揚力差の最大値はせいぜい0.7kgf程度である。
【0033】
ところで、舟体Fの移動軌跡をほぼ垂直方向となるように修正しただけでは、車両の走行方向が異なった場合に、前述の種々の事情により、舟体に作用する見かけの揚力が必ずしも同一になるとは限らないことがある。図6に示す例でも、標準作用高さ(5000mm)における前後方向の揚力値は全く同一とはなっておらず、約0.1kgf程度の差異を有している。
【0034】
そこで、必要に応じ、前記の如く舟体Fの移動軌跡をほぼ垂直方向に設定したのち、釣り合い棒3の長さを増減して、標準作用高さにある舟体に対し、異なる進行方向における揚力の大きさが等しくなるように調節する。
【0035】
図7は、舟体を標準作用高さに固定した状態において、釣り合い棒の長さを変更したときの揚力値の変化を示すグラフである。このグラフから、釣り合い棒の長さを適当に増減することにより、舟体に作用する揚力をなびき方向と反なびき方向とでほぼ等しくなるように調節可能であることが理解される。なお、この測定試験では、シングルアームパンタグラフを搭載する車種が図6の試験時とは異なっているため、釣り合い棒の長さに対する揚力値が前記とは異なっている。
【0036】
なお、走行方向の違いに基づく揚力差を解消すべく釣り合い棒の長さを増減したとき、舟体Fの移動軌跡が垂直方向から若干変位するが、許容範囲内のわずかな変位量に抑えることができる。実用上は、前後方向の変位が±5mm以内であれば、揚力に変動が生じたとしても集電性能に悪影響を及ぼすおそれがない。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、車両の進行方向を変えたときに、標準作用高さにおいてシングルアームパンタグラフに作用する揚力の大きさをほぼ等しく調整することを可能にしたものであるから、異なる走行方向における集電性能を安定させることができる。また走行中、パンタグラフに多少の上下動が生じても、本発明では舟体の移動軌跡を垂直方向に近づけてあるから、揚力の変動幅が非常に小さく抑制され、実用上、悪影響が及ぶおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】シングルアームパンタグラフの外観を示す斜視図である。
【図2】シングルアームパンタグラフの骨格構造を概略的に示す図面である。
【図3】従来仕様のシングルアームパンタグラフにおける舟体の移動軌跡を示すグラフである。
【図4】従来仕様のシングルアームパンタグラフの舟体における作用高さの違い及び車両走行方向の違いによる揚力変化を示すグラフである。
【図5】本発明に係る仕様のシングルアームパンタグラフにおける舟体の移動軌跡を示すグラフである。
【図6】本発明に係る仕様のシングルアームパンタグラフの舟体における作用高さの違い及び車両走行方向の違いによる揚力変化を示すグラフである。
【図7】標準作用高さにおいて、釣り合い棒の長さと舟体に作用する揚力との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
P シングルアームパンタグラフ
F 舟体
Q リンク
1 下枠
2 上枠
3 釣り合い棒
4 接合リンク

Claims (1)

  1. 鉄道車両の屋根上に下端部が枢支された下枠と、前記下枠から適宜距離を置いた位置において同車両屋根に下端部が枢支された長さ調節が可能な釣り合い棒と、前記下枠と釣り合い棒それぞれの上端部をヒンジを介して連結する接合リンクと、下端部が前記下枠の上端部へ回動可能に連結され上端部に舟体が設けられた上枠とから構成されるリンク機構を備えたシングルアームパンタグラフに作用する揚力を調整するための方法であって、上下動に基づく舟体の移動軌跡の垂直方向に対する前後方向の変位量が±1mm以内となるように、下枠及び釣り合い棒を車両屋根へ設置するに際し下枠と釣り合い棒の各取付位置の水平方向間隔を所定寸法に設定したのち、釣り合い棒の長さを調節し、次いで、車両の進行方向を変えたときに標準作用高さにおける舟体に作用する揚力の大きさの差異が0.1kgf未満となるように釣り合い棒の長さを調節することを特徴とするシングルアームパンタグラフの揚力調整方法。
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