JP3924231B2 - 鉄筋コンクリート造部材の補強構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄筋コンクリート造部材の補強構造に係り、特に、貫通孔が設けられた鉄筋コンクリート造部材の補強構造に関する。
【0002】
【背景技術】
従来、貫通孔が設けられた鉄筋コンクリート造の部材として、例えば、建物における限られた階高の中で、天井内等の設備配管を有効に配設するために、梁の両側面を貫通する貫通孔を設けた有孔梁がある。このような鉄筋コンクリート造有孔梁の補強構造には、梁断面内の貫通孔周辺にせん断補強筋としてのあばら筋を密に配筋する補強構造や、貫通孔周辺に補強金物を配置する補強構造がある。
これら有孔梁の補強構造は、貫通孔による梁のコンクリート断面の欠損分に対応した鉄筋量を有するあばら筋や補強金物を配置することにより、貫通孔が無い場合と同等程度のせん断耐力を確保しようとするものである。
【0003】
近年において、上述の補強構造のうち、補強金物を用いた補強構造については、多種多様な形状や材料強度を有する補強金物が考案され、各々の補強金物について多くの研究や実験等に基づいた耐力算定式や施工要領等が提案されている。
そして、このような補強金物を用いた補強構造は、建設現場においてあばら筋を密に配筋する補強構造と比較し、施工の容易性や品質の安定性等の長所を有することから、非常に多くの建物において採用されている。
【0004】
図6、7に補強金物を用いた有孔梁の補強構造の一例を示す。図6(A)〜(C)はそれぞれ、鉄筋コンクリート造有孔梁80の水平断面図、材軸に沿った縦断面図、および材軸に交差する縦断面図である。すなわち、図6(A)は、図6(B)に示す矢視VIA−VIA線断面図であり、図6(B)は、図6(A)に示す矢視VIB−VIB線断面図であり、図6(C)は、図6(A),(B)に示す矢視VIC−VIC線断面図である。また、図7は、有孔梁80の断面内に設けられる補強金物86を示す斜視図である。
図6、7において、材軸Xに沿って延びる鉄筋コンクリート造梁の両側面間に渡って、材軸Xと略直交する孔軸Yに沿って当該梁を貫通する貫通孔85が設けられ、当該梁は有孔梁80とされている。貫通孔85の周辺において、上下の主筋82は材軸Xに沿って連続的に配筋されているが、貫通孔85にかかる部分のあばら筋83については、配筋不可能であるため省略されている。
【0005】
また、貫通孔85の周辺のコンクリート81断面内には、有孔梁80の両側面に沿い、上下の主筋82間に渡って2個の補強金物86が配置されている。この補強金物86は、所定の強度および径を有する鉄筋を曲げ加工することで、正面略菱形の二重巻状に形成され、二重巻き内側の鉄筋が貫通孔85の内周面から所定のかぶり厚さを確保する状態で配置されている。
このような有孔梁80の施工手順としては、主筋82およびあばら筋83を配筋した状態で、貫通孔85部分に紙製や塩化ビニール製の円筒管と補強金物86を配置する。そして、梁側面および底面部分を型枠で囲んだ状態でコンクリート81を打設し、このコンクリート81が硬化後、型枠および貫通孔85部分の円筒管を撤去して、有孔梁80が完成する。
【0006】
以上のような有孔梁80の補強構造では、貫通孔85を設けたことによるコンクリート81の断面欠損分の強度を補強するための補強金物86が配置されたことにより、有孔梁80のせん断耐力が確保されている。すなわち、特に有孔梁80がラーメン構造を構成する部材として用いられた場合、地震や強風等の水平外力が建物に作用した際に、有孔梁80には大きなせん断が作用するが、このせん断力に耐え得るだけのせん断耐力が補強金物86により確保されている。
また、このような補強構造は、施工時において、補強金物86を配置するだけの作業でよいため、施工が容易であるとともに、補強金物86は通常、気象条件や作業条件が一定した鉄筋加工工場等で加工されるため、品質が安定しているという長所を備えている。さらに、より大きなせん断耐力が必要とされる場合であっても、補強金物86の個数を増やすだけで、容易にせん断耐力を向上できるという長所も備えている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した補強金物を用いた補強構造では、地震時等に補強金物が応力を負担することで作用するせん断力に耐えようとするものであるため、補強金物の鉄筋には負担応力に応じただけの歪みが生じ、この歪みに相当するひび割れが貫通孔周辺に集中して発生することがある。
具体的には、図8(A),(B)の有孔梁の貫通孔周辺を拡大した側面図のうち、図8(A)に示すように、有孔梁80にせん断力91が作用した場合、貫通孔85の接線に沿った接線ひび割れ87や、貫通孔85の直径方向に沿った対角ひび割れ88等の材軸Xに関して略45度の傾きを有したせん断ひび割れが生じることがある。
【0008】
また、地震時等以外であってもコンクリート打設後の乾燥収縮によるひび割れが貫通孔周辺に集中して発生することがある。
具体的には、図8(B)に示すように、コンクリート81の乾燥収縮により有孔梁80に引張り力92が作用した場合、貫通孔85の上下位置から有孔梁80の上下面に向かって生じる乾燥収縮ひび割れ89のように、材軸Xに関して略直交するひび割れが生じることがある。このような乾燥収縮ひび割れ89は、コンクリート81と補強金物86との付着力を十分発揮できないコンクリート硬化途中に生じるため、補強金物86によって防止することは困難である。
【0009】
以上に述べたように、従来の補強構造では、貫通孔周辺のコンクリート部分に集中して生じることがある種々のひび割れを防止できず、これらのひび割れが発生することにより鉄筋コンクリート部材の剛性が低下し、コンクリートの中性化が早まる可能性があるため、鉄筋コンクリート部材の品質や耐久性が必ずしも十分に確保できないという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、貫通孔周辺にひび割れを集中して生じさせず、部材の品質や耐久性を向上できる鉄筋コンクリート造部材の補強構造を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の鉄筋コンクリート造部材の補強構造は、次の構成を採用する。
本発明の請求項1に記載の鉄筋コンクリート造部材の補強構造は、鉄筋コンクリート造部材の材軸と交差する方向の孔軸に沿って前記部材を貫通する貫通孔が設けられ、前記貫通孔を挟んで配置され、かつ、前記材軸に関して傾斜した方向のプレストレスを当該貫通孔の周辺コンクリートに導入する、プレストレス導入手段を備え、前記プレストレス導入手段は、前記部材の互いに対向する端面に両端部が定着され、所定の緊張力が加えられた緊張材により構成され、前記緊張材は、前記材軸に関して所定の傾斜角度を有して配設されるとともに、前記材軸および前記孔軸で構成される平面と略平行に配設されていることを特徴とする。
【0012】
なお、ここで、「鉄筋コンクリート造部材」には、鉄筋コンクリート造構築物における柱、梁が含まれる。この際、「材軸」としては、部材内部に配筋される主筋に沿った方向を意味する。
また、「緊張材」としては、PC鋼棒やPC鋼より線(ストランド)等の所定の引張り強度を有する線状材料が採用でき、この緊張材端部を定着する方法についても、定着板や定着金物等を用いて所定の定着性能を発揮できる方法が採用できる。
【0013】
この発明によれば、貫通孔の周辺コンクリートにプレストレスを導入することにより、コンクリートに圧縮応力を加えておくことで貫通孔周辺にひび割れが集中しにくくなり、鉄筋コンクリート造部材の品質や耐久性を向上できる。
また、プレストレスが材軸に関して傾斜して導入されることにより、材軸に沿った乾燥収縮および材軸に交差する方向のせん断力の両方に対して、プレストレスが有効に作用してひび割れを抑制できる。さらに、ひび割れが生じた場合でも、ひび割れを閉じる方向にプレストレスが作用するため、ひび割れ幅が拡大することがなく、ひび割れから部材内部への水の浸入を防止でき、部材の耐久性をさらに向上できる。
また、部材端面に端部が定着された緊張材に所定の緊張力を加えることにより、緊張材の定着部からの反力としての圧縮力を部材のコンクリート部分に作用させることができ、比較的簡便にプレストレスを導入できる。
また、緊張材が材軸に関して所定の傾斜角度を有して配設されていることにより、材軸に沿った乾燥収縮および材軸に交差する方向のせん断力の両方に対して、有効にプレストレスを作用させることでひび割れを抑制できるとともに、材軸に交差する方向に関する部材のせん断耐力を向上することができる。
さらに、線状材料からなる緊張材を用いることで、部材中に配筋された主筋やせん断補強筋との干渉を避けて配設することができ、容易かつ迅速に施工作業ができる。
また、材軸および孔軸を含む平面と平行に、かつ、材軸に関して所定の傾斜角度を有して緊張材を配設することにより、孔軸に沿った方向に関して緊張材が有効に作用し、この方向に作用するせん断力によるひび割れを防止し、部材のせん断耐力を向上できる。また、材軸に関して傾斜した緊張材によるプレストレスのうち、材軸方向成分の作用により、材軸に沿った方向の乾燥収縮によるひび割れをも有効に防止できる。
さらに、通常材軸に沿って配筋される主筋と緊張材との干渉がなくなり、また、貫通孔との間隔も容易に確保できるため、緊張材を配設しやすく、作業性を向上できる。
【0014】
請求項2に記載の鉄筋コンクリート造部材の補強構造は、請求項1に記載の鉄筋コンクリート造部材の補強構造において、前記緊張材は、略X字形に組み合わせた2本の当該緊張材が前記貫通孔を挟んで略対称に配設された4本を1組として構成されていることを特徴とする。
この発明によれば、略X字形に組み合わせた2本の緊張材を貫通孔を挟んで略対称に4本を1組として配設することにより、貫通孔の周辺コンクリートに対して偏ることなく、バランス良くプレストレスを導入することができるので、ひび割れの集中を防止し、部材の品質や耐久性をより良好にできる。
【0016】
この際、本発明の鉄筋コンクリート造部材の補強構造において、前記緊張材は、前記部材のコンクリートとの間に付着力を生じないアンボンド材であることを特徴とする。
この発明によれば、アンボンド材である緊張材とコンクリートとの間に付着力が作用しないことにより、緊張材に加えた緊張力の反力が全て定着部に作用するので、緊張材の途中部分に付着力が作用する場合と比較し、プレストレスの作用メカニズムが明快になり、より確実性の高い補強が実現できる。すなわち、緊張材の途中部分に付着力が作用する場合には、地震等により部材にせん断応力が作用すると、コンクリートとの間の付着が切れてプレストレスの作用メカニズムが変化してしまい、初期の性能が発揮できないことがあるが、定着部のみで反力を作用させるアンボンド材を用いれば、そのような変化は起きず、安定した性能を得ることができる。
【0017】
また通常、緊張材とコンクリートとの間に付着力を作用させるボンド工法には、コンクリート打設前に緊張材を緊張するプレテンション工法、または、緊張材をシース等の管に通して配設し、コンクリート打設後に緊張するとともにシース内にグラウト材を注入し、緊張材とコンクリートとを付着させるポストテンショングラウト工法等がある。
プレテンション工法では、緊張材を緊張した状態でコンクリートを打設しなければならないので、施工がしづらく、また、ポストテンショングラウト工法では、シースの外径が大きくなってしまい、部材中に配設する際に主筋やせん断補強筋と干渉し、配設しづらいため、いずれの工法においても作業に手間が掛かるという不都合がある。
本発明ではアンボンド材を用いたことにより、上述のような不都合を生じず、施工性に優れた補強構造とすることができる。
【0018】
一方、本発明の請求項3に記載の鉄筋コンクリート造部材の補強構造は、鉄筋コンクリート造部材の材軸と交差する方向の孔軸に沿って前記部材を貫通する貫通孔が設けられ、前記貫通孔を挟んで配置され、かつ、前記材軸に関して傾斜した方向のプレストレスを当該貫通孔の周辺コンクリートに導入する、プレストレス導入手段を備え、前記プレストレス導入手段は、前記部材の互いに対向する端面に両端部が定着され、所定の緊張力が加えられた緊張材により構成され、前記緊張材は、前記材軸に関して所定の傾斜角度を有して配設されるとともに、前記孔軸に直交する平面と略平行に配設されていることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、貫通孔の周辺コンクリートにプレストレスを導入することにより、コンクリートに圧縮応力を加えておくことで貫通孔周辺にひび割れが集中しにくくなり、鉄筋コンクリート造部材の品質や耐久性を向上できる。
また、プレストレスが材軸に関して傾斜して導入されることにより、材軸に沿った乾燥収縮および材軸に交差する方向のせん断力の両方に対して、プレストレスが有効に作用してひび割れを抑制できる。さらに、ひび割れが生じた場合でも、ひび割れを閉じる方向にプレストレスが作用するため、ひび割れ幅が拡大することがなく、ひび割れから部材内部への水の浸入を防止でき、部材の耐久性をさらに向上できる。
また、部材端面に端部が定着された緊張材に所定の緊張力を加えることにより、緊張材の定着部からの反力としての圧縮力を部材のコンクリート部分に作用させることができ、比較的簡便にプレストレスを導入できる。
また、緊張材が材軸に関して所定の傾斜角度を有して配設されていることにより、材軸に沿った乾燥収縮および材軸に交差する方向のせん断力の両方に対して、有効にプレストレスを作用させることでひび割れを抑制できるとともに、材軸に交差する方向に関する部材のせん断耐力を向上することができる。
さらに、線状材料からなる緊張材を用いることで、部材中に配筋された主筋やせん断補強筋との干渉を避けて配設することができ、容易かつ迅速に施工作業ができる。
【0020】
また、孔軸に直交する平面と平行に、かつ、材軸に関して所定の傾斜角度を有して緊張材を配設することにより、材軸および孔軸に直交する方向に関して緊張材が有効に作用し、この方向に作用するせん断力によるひび割れを防止し、部材のせん断耐力を向上できる。
また、材軸に関して傾斜した緊張材によるプレストレスのうち、材軸方向成分の作用により、材軸に沿った方向の乾燥収縮によるひび割れをも有効に防止できる。
【0021】
請求項4に記載の鉄筋コンクリート造部材の補強構造は、請求項3に記載の鉄筋コンクリート造部材の補強構造において、前記緊張材は、前記貫通孔を囲んで略井桁状に配設された4本を1組として構成されていることを特徴とする。
この発明によれば、4本の緊張材を1組とし、貫通孔を囲んで略井桁状に配設することにより、貫通孔の周辺コンクリートに対して偏ることなく、バランス良くプレストレスを導入することができるので、ひび割れの集中を防止し、部材の品質や耐久性をより良好にできる。また、緊張材を略井桁状に配設することで、部材に作用する正負両方向のせん断力に対して緊張材が有効に機能し、部材のせん断耐力を正負両方向に関して均等に向上できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下の説明にあたって、同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
図1ないし図4には、本発明の第1実施形態に係る鉄筋コンクリート造部材の補強構造が示され、図5には、第2実施形態に係る鉄筋コンクリート造部材の補強構造がそれぞれ示されている。
【0023】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態について説明する。図1(A)、(B)はそれぞれ、鉄筋コンクリート造有孔梁10の水平断面図、および材軸に沿った縦断面図である。すなわち、図1(A)は、図1(B)に示す矢視IA−IA線断面図であり、図1(B)は、図1(A)に示す矢視IB−IB線断面図である。また、図2は、有孔梁10の断面内に配設される緊張材の配設状態を示す斜視図であり、図3は、緊張材端部の定着部を拡大して示す斜視図である。
【0024】
図1ないし図3において、鉄筋コンクリート造部材としての有孔梁10は、材軸Xに沿って延びる断面矩形状の長尺部材であり、コンクリート11とその中に配筋された主筋12およびせん断補強筋としてのあばら筋13とを備えて構成されている。主筋12は、異径鉄筋等の材料が材軸Xに沿って連続して設けられ、本実施形態においては、上下に各3本ずつ配筋されている。あばら筋13は、上下の主筋12を囲むように矩形輪状に曲げ加工された異径鉄筋や丸鋼からなり、材軸Xに沿って所定の間隔ごとに配置されている。
【0025】
有孔梁10の両側面間には、材軸Xと略直交した孔軸Yに沿って有孔梁10を貫通する貫通孔15が設けられている。貫通孔15は、有孔梁10の両側に渡って配設される図示しない設備配管等を通すためのもので、この設備配管の外径より大きな内径を有する断面円形に形成されている。また、貫通孔15が設けられる位置において、配筋不可能であるため、あばら筋13は省略されている。
また、有孔梁10の上下面には、材軸Xと交差する方向に沿って、断面V字形の溝11Aが形成されている。
【0026】
有孔梁10の上下面間には、貫通孔15の周辺を囲むように4本の緊張材としてのPC鋼棒16が、主筋12およびあばら筋13の間を通して配設されている。4本のPC鋼棒16のうち、2本は図1(B)中右上がりに、他の2本は図1(B)中右下がりに、それぞれ材軸Xに関して略45度の傾斜角度を有して、すなわち、貫通孔15を囲む略井桁状に配設されている。
従って、PC鋼棒16は、孔軸Yに直交する平面としての鉛直面に略平行に、かつ、材軸Xに関する所定の傾斜角度として略45度の傾斜を有して配設されている。
なお、有孔梁10の上下方向に関してPC鋼棒16と材軸Xとの傾斜角度は、20度から60度の範囲に設定されることが望ましい。
【0027】
また、PC鋼棒16はそれぞれ、有孔梁10の対向する端面としての上下面において、溝11Aの片側面に設けられた定着部17によって両端部が定着され、所定の緊張力が加えられている。このPC鋼棒16に加えられた緊張力の反力が、定着部17を介してコンクリート11に圧縮力として作用している。すなわち、この作用する圧縮力が貫通孔15の周辺コンクリート11にプレストレスとして導入されていることとなる。
そして、各PC鋼棒16は、図示しない被覆が施され、この被覆とPC鋼棒との間にグリス等の潤滑性材料が充填されて、コンクリート11との間の付着が切られたアンボンド材とされている。
なお、緊張材としては、PC鋼棒に限らず、PC鋼より線(ストランド)であってもよい。
また、PC鋼棒16に導入する緊張力は、PC鋼棒16の軸方向伸び歪みで制御され、降伏歪みの50%〜80%の範囲に設定されていることが望ましい。
【0028】
PC鋼棒16の両端部が定着される定着部17は、図3に示すように、溝11Aの片側面に接して設けられる定着板17Aと、座金17Bと、ナット17Cとを備えて構成される。すなわち、PC鋼棒16は、定着板17Aの略中央に設けられた孔にPC鋼棒16の端部を挿通し、この端部に形成されたねじ16Aにナット17Cを螺合して定着、固定されている。
なお、PC鋼棒16を定着した状態で、溝11Aを必要に応じてモルタルや耐火断熱材等で埋め、有孔梁10の上下面がフラットに形成されてもよい。また、溝11Aを設けず、斜度を有する定着具を用いることとしてもよい。
【0029】
また、本実施形態において、有孔梁10の断面内に配設される緊張材の本数は、4本に限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定可能である。以下には、緊張材としてのPC鋼棒16の本数を8本とした場合について説明する。
図4は、上述した有孔梁10において、その断面内に配設される緊張材の本数を8本とした場合の緊張材の配設状態を示す斜視図である。
図4において、緊張材としての8本のPC鋼棒16のうち、4本ずつが1組とされ、各々の組のPC鋼棒16は、4本が貫通孔15を囲む略井桁状に組み合わされて有孔梁10の両側面に沿って配設されている。各PC鋼棒16は、材軸Xに関して上下方向に略45度の傾斜角度を有して配設されている。
なお、PC鋼棒16の本数以外の構成は、上述のPC鋼棒の本数が4本の場合と同様であり、説明を省略する。
【0030】
次に、以上のような構成を備える有孔梁10の施工手順を説明する。
先ず、主筋12およびあばら筋13が配筋された状態で、PC鋼棒16を所定位置に所定の傾斜角度となるように配設する。梁側面および下面の型枠を設置し、溝11Aを形成する型枠を別途取り付け、また、PC鋼棒16の両端部にコンクリートが付着しないように養生を施した状態で、コンクリート11を打設する。
コンクリート11の硬化後、型枠を撤去し、定着部17の定着板17A、座金17Bおよびナット17Cをセットし、PC鋼棒16の片側あるいは両端部を油圧ジャッキ等を用いて所定の緊張力で引張りながらナット17Cを締め、PC鋼棒16を固定する。
以上の手順により、所定の緊張力が導入されたPC鋼棒16により貫通孔15周辺にプレストレスが導入された有孔梁10の施工が完了する。
【0031】
以上のようにして貫通孔15周辺にプレストレスが導入された有孔梁10では、有孔梁10に加わる乾燥収縮やせん断力に対して、配設したPC鋼棒16およびPC鋼棒16により導入されたプレストレスが以下のように作用する。
(a) 有孔梁10のコンクリート11が材軸Xに沿って乾燥収縮した場合、収縮による材軸Xに沿った方向の引張り力と、コンクリート11に導入されたプレストレスとしての圧縮力のうち、材軸Xに沿った方向分の圧縮力とが互いに打ち消し合う。従って、材軸Xに沿った方向分の圧縮力を収縮による引張り力が超えない範囲であれば、図8(B)に示すような乾燥収縮ひび割れ89は発生しない。
【0032】
(b) 地震等により有孔梁10の上下方向にせん断力が加わった場合、材軸Xに関して上下方向に略45度傾斜した方向に生じる引張り力と、同方向逆向きのコンクリート11に導入されたプレストレスとしての圧縮力とが互いに打ち消し合う。従って、プレストレスとしての圧縮力をせん断力による引張り力が超えない範囲であれば、図8(A)に示す接線ひび割れ87や対角ひび割れ88のようなせん断ひび割れは発生しない。また、せん断ひび割れが発生した場合でも、地震等によるせん断力が加わらなくなれば、せん断ひび割れを閉じる方向にプレストレスが作用する。
【0033】
(c) 配設するPC鋼棒16の緊張力を調節することにより、貫通孔15の周辺コンクリート11に導入するプレストレスを調節できる。従って、図4に示すように、PC鋼棒16の配設本数を多くすることや、PC鋼棒16の径を大きくすることで大きなプレストレスを導入することが可能であり、より大きなせん断耐力が得られる。
【0034】
従って、本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(1)貫通孔15の周辺コンクリート11にプレストレスを導入することにより、コンクリート11に圧縮応力を加えておくことで、乾燥収縮やせん断力によるひび割れが貫通孔15周辺に発生しにくくなり、有孔梁10の品質や耐久性を向上できる。
【0035】
(2)地震等によって貫通孔15周辺にせん断ひび割れが生じた場合でも、ひび割れを閉じる方向にプレストレスが作用するため、ひび割れ幅が拡大することがなく、ひび割れから有孔梁10のコンクリート11中への水の浸入を防止でき、部材の耐久性をさらに向上できる。
【0036】
(3)有孔梁10の上下面の定着部17に両端部が定着されたPC鋼棒16に所定の緊張力を加えることにより、定着部17からの反力としての圧縮力をコンクリート11に作用させることができ、比較的簡便にプレストレスを導入できる。
【0037】
(4)PC鋼棒16は、棒状の直線部材であるため、有孔梁10に配筋された主筋12やあばら筋13との干渉を避けて配設することができ、容易かつ迅速に施工作業ができる。
【0038】
(5)PC鋼棒16は、アンボンド材であるため、PC鋼棒16に加えた緊張力の反力が全て定着部17に作用するので、プレストレスの作用メカニズムが明快になり、安定した性能を得ることができる。また、前述したボンド工法のような不都合を生じず、施工性に優れた補強構造とすることができる。
【0039】
(6)PC鋼棒16が材軸Xに関して上下方向に略45度傾斜して配設されていることにより、PC鋼棒16を有孔梁10のせん断耐力向上に寄与させることができるとともに、PC鋼棒16の傾斜角度が上下方向に関して20度から60度の範囲に設定されることにより、有孔梁10の断面形状や大きさ、貫通孔15の位置、内径等の種々の条件に応じて、適切な傾斜角度でPC鋼棒16を配設できる。
【0040】
(7)4本のPC鋼棒16を1組とし、貫通孔15を囲んで略井桁状に配設することにより、貫通孔の周辺コンクリートに対してバランス良くプレストレスを導入することができるので、ひび割れの集中を有効に防止できるとともに、有孔梁10に作用する正負両方向のせん断力に対してPC鋼棒16が有効に機能し、有孔梁10のせん断耐力を正負両方向に関して均等に向上できる。
【0041】
(8)PC鋼棒16の配設本数を増加することにより、有孔梁10のせん断耐力をより大きくできるとともに、PC鋼棒16の配設本数を必要に応じて適宜設定することにより、設計条件に適合した有孔梁10のせん断耐力が得られる。
【0042】
(9)PC鋼棒16の配設本数を8本とし、4本ずつを略井桁状に組み合わせて有孔梁10の両側面に沿って配置することにより、材軸Xに関して水平方向に略対称にPC鋼棒16を配設できるので、有孔梁10にバランスよくプレストレスを導入できる。
【0043】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図5は、第2実施形態に係る鉄筋コンクリート造部材の補強構造を示す斜視図である。
第2実施形態の補強構造は、緊張材の配設方向が前述の第1実施形態の場合と異なるもので、その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0044】
図5において、鉄筋コンクリート部材としての有孔梁20の両側面間には、材軸Xと略直交した孔軸Yに沿って貫通孔25が設けられている。また、有孔梁20の両側面には、上下方向に沿って、断面V字形の溝21Aが形成されている。
有孔梁20の両側面間には、緊張材としての4本のPC鋼棒26が2本ずつ平面略X字形に組み合わされて、貫通孔25の上下方向に関して略対称に配設されている。また、各PC鋼棒26は、水平面に関して略平行に、かつ材軸Xに関して略30度の傾斜角度を有して配設されている。
従って、PC鋼棒26は、材軸Xおよび孔軸Yを含む平面と略平行に、かつ、材軸Xに関して所定の傾斜角度として略30度の傾斜を有して配設されている。
なお、有孔梁20の水平方向に関してPC鋼棒26と材軸Xとの傾斜角度は、20度から60度の範囲に設定されることが望ましい。
【0045】
また、PC鋼棒26はそれぞれ、有孔梁20の対向する端面としての両側面において、溝21Aの片側面に設けられた定着部27によって両端部が定着され、所定の緊張力が加えられている。このPC鋼棒26に加えられた緊張力の反力が、定着部27を介してコンクリート21に圧縮力として作用している。すなわち、この作用する圧縮力が貫通孔25の周辺コンクリート21にプレストレスとして導入されていることとなる。
PC鋼棒26の両端部が定着される定着部27は、前述の第1実施形態と同様の構成を備えている。
なお、PC鋼棒26を定着した状態で、溝21Aを必要に応じてモルタルや耐火断熱材等で埋め、有孔梁20の両側面がフラットに形成されてもよく、溝21Aを設けずに斜度を有する定着具を用いてもよい。
また、PC鋼棒26に導入する緊張力は、PC鋼棒26の軸方向伸び歪みで制御され、降伏歪みの50%〜80%の範囲に設定されていることが望ましい。
【0046】
以上のような構成を備える有孔梁20の施工手順は、前述の第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
また、有孔梁20では、有孔梁20に加わる乾燥収縮やせん断力に対して、配設したPC鋼棒26およびPC鋼棒26により導入されたプレストレスが以下のように作用する。
(d) 有孔梁20のコンクリート21が材軸Xに沿って乾燥収縮した場合、収縮による材軸Xに沿った方向の引張り力と、コンクリート21に導入されたプレストレスとしての圧縮力のうち、材軸Xに沿った方向分の圧縮力とが互いに打ち消し合う。従って、材軸Xに沿った方向分の圧縮力を収縮による引張り力が超えない範囲であれば、図8(B)に示すような乾燥収縮ひび割れ89は発生しない。
【0047】
(e) 地震等により有孔梁20の水平方向にせん断力が加わった場合、材軸Xに関して水平方向に略45度傾斜した方向に生じる引張り力と、同方向逆向きのコンクリート21に導入されたプレストレスとしての圧縮力とが互いに打ち消し合う。従って、プレストレスとしての圧縮力をせん断力による引張り力が超えない範囲であれば、せん断ひび割れは発生しない。また、せん断ひび割れが発生した場合でも、地震等によるせん断力が加わらなくなれば、せん断ひび割れを閉じる方向にプレストレスが作用する。
【0048】
(f) 地震等によるせん断力に対しては、材軸Xに関して水平方向に略30度の傾斜角度で配設したPC鋼棒26が前述の補強金物と同様に機能して応力を負担するので、配設するPC鋼棒26の断面積に応じた貫通孔25周辺のせん断耐力が得られる。
【0049】
従って、本実施形態によれば、前述の(1)〜(5)の効果に加えて、次のような効果が得られる。
(10)PC鋼棒26が材軸Xに関して水平方向に略30度傾斜して配設されていることにより、PC鋼棒26を有孔梁20のせん断耐力向上に寄与させることができるとともに、PC鋼棒26の傾斜角度が水平方向に関して20度から60度の範囲に設定されることにより、有孔梁20の断面形状や大きさや貫通孔25の位置等の種々の条件に応じて、適切な傾斜角度でPC鋼棒26を配設できる。
【0050】
(11)通常、材軸Xに沿って配筋される主筋とPC鋼棒26との干渉がなくなり、また、貫通孔25との間隔も容易に確保できるため、PC鋼棒26を配設しやすく、作業性を向上できる。
【0051】
(12)略X字形に組み合わせた2本のPC鋼棒26を貫通孔25を挟んで上下方向に略対称に配設することにより、貫通孔25の周辺コンクリート21に対してバランス良くプレストレスを導入することができるので、ひび割れの集中を防止し、有孔梁20の品質や耐久性をより良好にできる。
【0052】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前述の各実施形態では、鉄筋コンクリート造部材を有孔梁10,20としたが、これに限らず、柱等の所定の長さを有する部材等でもよい。
また、前述の各実施形態では、1つの部材に対して貫通孔15,25を1箇所のみに配置したが、これに限らず、2箇所以上に配置してもよい。
【0053】
また、前述の各実施形態では、緊張材としてのPC鋼棒16,26をアンボンド材としたが、これに限らず、コンクリート11,21との間に付着力が作用するボンド工法を採用することができる。この際、プレテンション工法やグラウト工法等が採用できる。
また、PC鋼棒16,26の定着部17を定着板17A、座金17B、ナット17Cで構成したが、これに限らず、定着金物や楔状定着具等を用いて定着部を構成することができる。その際、PC鋼棒16,26の一端側を固定端とし、他端側を緊張端とすることで片側から緊張し、定着することができ、作業性を向上できる。
【0054】
また、前述の各実施形態では、PC鋼棒16に導入する緊張力は、PC鋼棒16,26の軸方向伸び歪みを降伏歪みの50%〜80%の範囲に設定することで制御されるものとしたが、これに限らず、PC鋼棒の軸方向伸び歪みを降伏歪みの70%〜80%の範囲に設定することができる。さらに、PC鋼棒に導入する緊張力は、ジャッキ等により緊張する際の引張り力と降伏応力との割合により制御することができる。このようにすることで、緊張力導入作業を容易にし、施工の作業性を向上できる。
【0055】
また、前述の第1実施形態では、PC鋼棒16と材軸Xとの傾斜角度を有孔梁10の上下方向に関して20度から60度の範囲に設定したが、これに限らず、30度から50度の範囲に設定することができる。
また、前述の第2実施形態では、PC鋼棒26と材軸Xとの傾斜角度を有孔梁20の水平方向に関して20度から60度の範囲に設定したが、これに限らず、30度から50度の範囲に設定することができる。
【0056】
また、前述の第1実施形態では、PC鋼棒16を孔軸Yに直交する平面と略平行に配設し、前述の第2実施形態では、PC鋼棒26を材軸Xおよび孔軸Yを含む平面と略平行に配設したが、これに限らず、一つの部材中に当該異なる2つの平面のそれぞれに略平行にPC鋼棒を配設することもできる。このようにすることで、例えば、柱等の部材のように材軸に交差する二方向にせん断力が作用する部材において、当該二方向に関してせん断ひび割れを防止し、せん断耐力を向上することができる。
【0057】
また、前述の第2実施形態では、4本のPC鋼棒26を2本ずつ平面略X字形に組み合わせ、貫通孔25の上下方向に関して略対称に配設したが、これに限らず、貫通孔25の上下にそれぞれ4本ずつ、全部で8本のPC鋼棒26を配設することができる。
【0058】
【発明の効果】
本発明の鉄筋コンクリート造部材の補強構造によれば、次のような効果が得られる。
貫通孔を挟んで、貫通孔の周辺コンクリートにプレストレスを導入することにより、コンクリートに圧縮応力を予め加えることで貫通孔周辺にひび割れが集中しにくくなり、鉄筋コンクリート造部材の品質や耐久性を向上できる。また、プレストレスが材軸に関して傾斜して導入されることにより、材軸に沿った乾燥収縮および材軸に交差する方向のせん断力の両方に対して、プレストレスが有効に作用してひび割れを抑制できる。さらに、ひび割れが生じた場合でも、ひび割れを閉じる方向にプレストレスが作用するため、ひび割れ幅が拡大することがなく、ひび割れから部材内部への水の浸入を防止でき、部材の耐久性をさらに向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)、(B)は、本発明の第1実施形態に係る鉄筋コンクリート造部材の補強構造を示す有孔梁の水平断面図、および材軸に沿った縦断面図である。
【図2】第1実施形態の緊張材の配設状態を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態の緊張材の定着部を拡大して示す斜視図である。
【図4】第1実施形態の図2とは異なる緊張材の配設状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態の緊張材の配設状態を示す斜視図である。
【図6】 (A)〜(C)は、従来例に係る鉄筋コンクリート造部材の補強構造を示す水平断面図、材軸に沿った縦断面図、および材軸に交差する縦断面図である。
【図7】前記従来例の補強金物の設置状態を示す斜視図である。
【図8】 (A),(B)は、前記従来例の貫通孔周辺を拡大した側面図である。
【符号の説明】
10,20 有孔梁(鉄筋コンクリート造部材)
11,21 コンクリート
15,25 貫通孔
16,26 PC鋼棒(緊張材)
X 材軸
Y 孔軸
Claims (5)
- 鉄筋コンクリート造部材の材軸と交差する方向の孔軸に沿って前記部材を貫通する貫通孔が設けられ、
前記貫通孔を挟んで配置され、かつ、前記材軸に関して傾斜した方向のプレストレスを当該貫通孔の周辺コンクリートに導入する、プレストレス導入手段を備え、
前記プレストレス導入手段は、前記部材の互いに対向する端面に両端部が定着され、所定の緊張力が加えられた緊張材により構成され、
前記緊張材は、前記材軸に関して所定の傾斜角度を有して配設されるとともに、前記材軸および前記孔軸で構成される平面と略平行に配設されていることを特徴とする鉄筋コンクリート造部材の補強構造。 - 請求項1に記載の鉄筋コンクリート造部材の補強構造において、
前記緊張材は、略X字形に組み合わせた2本の当該緊張材が前記貫通孔を挟んで略対称に配設された4本を1組として構成されていることを特徴とする鉄筋コンクリート造部材の補強構造。 - 鉄筋コンクリート造部材の材軸と交差する方向の孔軸に沿って前記部材を貫通する貫通孔が設けられ、
前記貫通孔を挟んで配置され、かつ、前記材軸に関して傾斜した方向のプレストレスを当該貫通孔の周辺コンクリートに導入する、プレストレス導入手段を備え、
前記プレストレス導入手段は、前記部材の互いに対向する端面に両端部が定着され、所定の緊張力が加えられた緊張材により構成され、
前記緊張材は、前記材軸に関して所定の傾斜角度を有して配設されるとともに、前記孔軸に直交する平面と略平行に配設されていることを特徴とする鉄筋コンクリート造部材の補強構造。 - 請求項3に記載の鉄筋コンクリート造部材の補強構造において、
前記緊張材は、前記貫通孔を囲んで略井桁状に配設された4本を1組として構成されていることを特徴とする鉄筋コンクリート造部材の補強構造。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の鉄筋コンクリート造部材の補強構造において、
前記緊張材は、前記部材のコンクリートとの間に付着力を生じないアンボンド材であることを特徴とする鉄筋コンクリート造部材の補強構造。
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