JP3922726B2 - 分化抑制剤 - Google Patents

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Description

発明の属する技術分野
本発明は、未分化細胞の分化を抑制するための新規生理活性物質に関するものである。
従来の技術
ヒトの血液、リンパ液中には多種類の細胞があり、それぞれが重要な役割を担っている。例えば、赤血球は体内での酸素運搬を、血小板は止血作用を、白血球やリンパ球は感染を防御している。これらの多様な細胞は骨髄中の造血幹細胞に由来する。造血幹細胞は体内の種々のサイトカインや環境要因によって刺激されて、各種血液細胞、破骨細胞、肥満細胞などに分化することが近年明らかにされてきた。このサイトカインとして、赤血球への分化についてはエリスロポエチン(EPO)が、白血球への分化については顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)が、血小板産生細胞である巨核球への分化については血小板増殖因子(mplリガンド)が発見されて、前者2つは現在すでに臨床応用がなされている。
血液未分化細胞に関して、特定の血液系列に分化することが運命づけられた血液前駆細胞とすべての系列への分化能と自己複製能を有する造血幹細胞に概念的に分類されている。血液前駆細胞に関してコロニーアッセイによって同定が可能であるが、造血幹細胞の同定方法は確立されていない。これらの細胞に関して、ステムセルファクター(SCF)やインターロイキン3(IL−3)、顆粒球単球コロニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン6(IL−6)、インター口イキン1(IL−1)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、オンコスタチンMなどが細胞の分化増殖を促すことが報告されている。
骨髄移植療法に代替される造血幹細胞移植療法や遺伝子治療への応用のため、造血幹細胞を体外で増幅することが検討されている。しかし、この細胞を上記のようなサイトカインを用いて体外で増殖培養させると、造血幹細胞が本来有している多分化能および自己複製能が徐々に失われ、5週間培養後には特定の系列にのみ分化する血液前駆細胞へと変化し、造血幹細胞の特徴の一つである多分化能が失われることが報告されている(Rice et al.,Blood 86,512−523,1995)。
血液前駆細胞の増殖には単独のサイトカインのみでは効果が十分でなく、複数のサイトカインの共同作用(シナジー)が重要であることが明らかになっている。このことから造血幹細胞の特徴を維持したまま増殖させるためには、血液未分化細胞を増殖、分化させるサイトカインと共に分化を抑制するサイトカインが必要であると考えられている。しかし、一般に細胞の増殖や分化を促進するサイトカインが多数見いだされているのに対して、細胞の分化を抑制するサイトカインは少数しか見いだされていない。例えば、白血病細胞阻害因子(LIF)はマウス胚幹細胞を分化させずに増殖させる作用が報告されているが、造血幹細胞や血液前駆細胞に対し、そのような作用は有していない。また、腫瘍細胞増殖因子(TGF−β)は多様な細胞に対して増殖抑制の作用をするが、造血幹細胞や血液前駆細胞に対する作用は一定の見解が得られていない。
血液細胞のみならず、未分化細胞、特に幹細胞に関しては組織再生に強く関与すると考えられている。これらの組織再生、並びに各組織の未分化細胞を増幅させることは成書(吉里勝利著 再生−甦るしくみ、1996、羊土社)を参考にすることからその幅広い用途を知ることができる。
ノッチ(Notch)はショウジョウバエで発見された神経細胞の分化制御に関わるリセプター型膜蛋白質であり、ノッチのホモログは線虫(Lin−12)、アフリカツメガエル(Xotch)、マウス(Motch)、ヒト(TAN−1)などの無脊椎動物、脊椎動物の分類を越えた広い動物種から見いだされている。
一方、ショウジョウバエノッチのリガンドとしてショウジョウバエデルタ(Delta)およびショウジョウバエセレイト(Serrate)の2つが見いだされており、リセプターのノッチと同様に広い動物種からノッチリガンドホモログが見いだされている(Artavanis−Tsakonas et al.,Science 268,225−232,1995)。
特にヒトに関して、ヒトノッチホモログであるTAN−1は、幅広く体中の組織に発現されており(Ellisen et al.,Cell 66,649−661,1991)、またTAN−1以外に2つのノッチ類縁分子が存在することが報告されている(Artavanis−Tsakonas et al.,Science 268,225−232,1995)。血液細胞においてはPCR(Polymerase Chain Reaction)法にてCD34陽性細胞にTAN−1の発現が認められている(Milner et al.,Blood 83,2057−2062,1994)。しかしながら、ヒトに関して、ノッチのリガンドと考えられるヒトデルタ、ヒトセレイトの遺伝子のクローニングの報告はない。
ショウジョウバエノッチについて、そのリガンドとの結合性が詳細に調べられ、ノッチの細胞外部分に36あるEpidermal Growth Factor(EGF)様繰り返しアミノ酸配列のうち11番目と12番目の繰り返し配列を結合領域として、リガンドとCa++を介して結合し得ることが示された(文献のFehon et al.,Cell 61,523−534,1990およびRebay et al.,Cell 67,687−699,1991および特表平7−503123号公報)。他種のノッチホモログについてもEGF繰り返し配列は保存されており、リガンドとの結合に関して同様の機構が類推されている。
リガンドにおいても、アミノ酸末端の近くにDSL(Delta−Serrate−Lag−2)と呼ばれるアミノ酸配列とリセプターと同様にEGF様繰り返し配列が保存されている(Artavanis−Tsakonas et al.,Science 268,225−232,1995)。EGF様配列はトロンボモジュリン(Jackman et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83,8834−8838,1986)や低密度リポ蛋白質(LDL)リセプター(Russell et al.,Cell 37,577−585,1984)および血液凝固因子(Furie et al.,Cell 53,505−518,1989)で見いだされ、細胞外での凝集や接着に重要な役割を果たすと考えられている。
ショウジョウバエデルタの脊椎動物のホモログはニワトリ(C−デルタ−1)とアフリカツメガエル(X−デルタ−1)が見いだされており、X−デルタ−1は原始ニューロンの発生にXotchを介して作用することが報告されている(Henrique et al.,Nature 375,787−790,1995およびChitnis et al.,Nature 375,761−766,1995)。
一方、ショウジョウバエセレイトの脊椎動物のホモログはラットジャグド(Jagged)が見いだされている(Claire et al.,Cell 80,909−917,1995)。この報告によれば、ラットジャグドのmRNAは胎仔ラットの脊髄に検出される。またラットノッチを強制的に過剰発現させた筋芽細胞株とラットジャグド発現細胞株の共培養により、この筋芽細胞株の分化が抑制されることが見いだされているが、ラットノッチを強制発現させていない筋芽細胞株に対してはラットジャグドが作用しないことが見いだされている。
これらの報告から、ノッチおよびそれに対するリガンドは神経細胞の分化制御に関係していると考えられているが、一部筋芽細胞を除き、血液細胞を含む他の細胞、特にプライマリーな細胞への作用に関しては全く不明であった。
発明が解決しようとする課題
上記のように未分化細胞に関して、それらの特徴を保ったまま増殖させる方法は完成されていない。この最大の原因は未分化細胞の分化を抑制する因子が十分に見いだされていないことにある。本発明の課題は、未分化細胞の分化を抑制する新規な因子に由来する化合物を提供することにある。
課題を解決するための手段
本発明者らはノッチおよびそのリガンドが神経細胞の分化制御のみならず、広く未分化な細胞の分化制御を行なうとの仮説を立てた。しかしヒトへ臨床応用する際、既知のニワトリ型、アフリカツメガエル型などの異種の生物種のノッチリガンドでは種特異性、抗原性の問題がある。このため未だ報告のないヒト型のノッチリガンドを取得することは不可欠である。ヒト型ノッチ(TAN−1)の推定上のリガンドであるヒトデルタホモログ(以下ヒトデルタと呼称する)及びヒトセレイトホモログ(以下ヒトセレイトと呼称する)が存在し、これらの発見は未分化細胞の分化制御に有効な医薬品の候補となると本発明者らは考えその発見に努めた。
本発明者らはヒトノッチリガンドの探索のため、ヒト以外の動物で発見されているこれらのホモログの保存されたアミノ酸配列を解析し、対応するDNA配列の混合プライマーによるPCRによってこの遺伝子を発見すべく進めた。そして、鋭意研究の結果、新規ヒトデルタ、ヒトセレイトのアミノ酸配列をコードするcDNAの単離に成功し、このcDNAを用いて蛋白質の発現系を作製し、タンパクを精製し、生理活性を見いだし、既に特許出願を行った(国際公開番号WO97/19172)。
更に、本発明者らは脊椎動物においては前記の特許出願のヒトデルタ、ヒトセレイト(以下各々ヒトデルタ−1、ヒトセレイト−1と呼称する)以外にショウジョウバエデルタ、セレイト類似分子があると考え、その発見に努めた。
その方法として、本発明者らは遺伝子配列のデーターベース上を検索する手法を用いた。すなわち、本発明者らが初めて見いだしたヒトセレイト−1の遺伝子配列(配列表の配列番号5にアミノ酸配列と共に示す)を基に、遺伝子配列データーベースGenbankのランダムなヒトcDNA配列の遺伝子断片のデーターべースであるEST(Expressed Sequence Tag)を遺伝子配列検索ソフトウエアGenetyx/CD(ソフトウエア開発社製)を用いてホモロジーの高い遺伝子断片(200から350b程度の長さ)を複数個見いだした。
これらの短い遺伝子断片をPCRにてクローニングし、これらの遺伝子断片をプローブとして、ヒト胎児cDNAライブラリーなどからよりこれらより長い遺伝子断片のクローニングを試みた。その結果、この様にして分離され、遺伝子配列を決定したより長い遺伝子断片の遺伝子配列を再度ヒトセレイト−1の遺伝子配列と比較を行なったところ、その中からヒトセレイト−1と比較的高いホモロジーを有する遺伝子が単離されていることが明らかとなり、この分子をヒトセレイト−2と命名し、全長の遺伝子クローニングを行い、成功した。
更に、この全長遺伝子クローニングを行ったセレイト−2の発現ベクターを各種構築し、ついでこれらの蛋白質の精製法を確立し、精製を行い単離した。また、該ヒトセレイト−2を免疫原として抗体を作製し、精製法を確立し、血液未分化細胞に対する作用を確認し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は配列番号1、2もしくは3に記載のアミノ酸配列を含有するポリペプチドに関し、これらポリペプチドが未分化細胞の分化抑制作用を有するポリペプチドに関する。さらに、これらのポリペプチドに関し、未分化細胞が脳神経系または筋肉系未分化細胞以外の未分化細胞であるポリペプチド、また、未分化細胞が血液未分化細胞であるポリペプチド、更にポリペプチドが血管内皮細胞の増殖を抑制する作用を有するポリペプチドに関し、該ポリペプチドを含有する医薬組成物、該ポリペプチドを含有する細胞培養培地に関し、該細胞が血液未分化細胞である培地に関する。
さらに本発明は、配列番号1、2もしくは3に記載のアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするDNAに関し、これらDNAが配列番号4に記載のDNA配列の90番から731番、90番から3254番もしくは90番から3725番にあたる配列を有するDNAに関する。更に配列番号1、2もしくは3に記載のアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするDNAと宿主細胞中で発現可能なベクターDNAと連結してなる組換えDNA体に関し、さらにこれらDNA体により形質転換された細胞に関する。
また本発明は、さらにこれら該ポリペプチドを生産し得る細胞を培地にて培養し、産生された化合物を採取する化合物の製造方法に関し、さらに配列番号1〜3のいずれかのアミノ酸配列を有するポリペプチドを特異的に認識する抗体に関する。
以下、本発明を詳細に説明する。
遺伝子操作に必要なcDNAの作製、ノーザンブロットによる発現の検討、ハイブリダイゼーションによるスクリーニング、組換えDNAの作製、DNAの塩基配列の決定、cDNAライブラリーの作製等の一連の分子生物学的な実験は通常の実験書に記載の方法によって行うことができる。前記の通常の実験書としては、例えば、Maniatisらの編集したMolecular Cloning,A laborartory manual,1989,Eds.,Sambrook,J.,Fritsch,E.F.,and Maniatis,T.,Cold Spring Harbor Laboratory Pressを挙げることができる。
本発明の新規化合物は少なくとも配列表の配列番号1〜3のアミノ酸配列からなるポリペプチドを有するが、自然界で生じることが知られている生物種内変異、アレル変異等の突然変異及び人為的に作製可能な点変異による変異によって生じる改変体も、配列表の配列番号1、2または3のポリペプチドがそれらの性質を失わない限り本発明の新規化合物に含まれる。そのアミノ酸の改変、置換に関しては例えばBennettらの出願(国際公開番号WO96/2645)などに詳しく記載されており、これらを参考にして作製することができる。本発明での改変体とはこのようなアミノ酸置換に伴う改変体に関し、その改変体がアミノ酸配列において90%以上の類似性を有するアミノ酸配列と規定できる。
また、配列表の配列番号1〜3のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA配列については配列表の配列番号4にアミノ酸配列とともに示した。これらの遺伝子配列に関し、アミノ酸レベルの変異がなくとも、自然界から分離した、染色体DNA、またはcDNAにおいて、遺伝コードの縮重により、そのDNAがコードするアミノ酸配列を変化させることなくDNAの塩基配列が変異した例はしばしば認められる。また、5’非翻訳領域及び3’非翻訳領域はポリペプチドのアミノ酸配列の規定には関与しないので、それらの領域のDNA配列は変異しやすい。このような遺伝コードの縮重によって得られる塩基配列も本発明のDNAに含まれる。
本発明で記載する未分化細胞とは、特定の刺激によって増殖可能な細胞であり、かつ特定の刺激によって特定の機能を有する細胞に分化可能な細胞と規定され、これらの中には皮膚組織系の未分化細胞、脳神経系の未分化細胞、筋肉系の未分化細胞、血液系の未分化細胞などが含まれ、各々幹細胞といわれる自己複製能力を有しかつその系統の細胞を生み出す能力を有する細胞を含む。また、分化抑制作用とは、これらの未分化細胞が自律的もしくは他律的に分化する現象を抑制する作用であり、具体的には未分化な状態を維持する作用である。また、脳神経系未分化細胞とは、特定の刺激に伴い、特定の機能を有する脳、神経の細胞にのみ分化する能力を有する細胞と規定できる。また、筋肉系未分化細胞とは特定の刺激に伴い、特定の機能を有する筋肉細胞にのみ分化する能力を有する細胞と規定される。また、本発明で記載する血液未分化細胞とは、血液コロニーアッセイで同定が可能な特定の血液系列に分化することが運命づけられた血液前駆細胞および全ての系列への分化能と自己複製能を有する造血幹細胞を含む細胞群と規定される。
配列表において、配列番号1のアミノ酸配列は、本発明のヒトセレイト−2のシグナルペプチドを除いた活性中心の配列であり、配列番号3に示した本発明のヒトセレイト−2の成熟型全長アミノ酸配列のアミノ酸番号1番から217番に相当している。配列番号2のアミノ酸配列は、本発明のヒトセレイト−2のシグナルペプチドを除いた細胞外ドメインの配列であり、配列番号3に示した本発明のヒトセレイト−2成熟型全長アミノ酸配列のアミノ酸番号1番から1058番に相当している。配列番号3のアミノ酸配列は、本発明のヒトセレイト−2の成熟型全長アミノ酸配列である。配列番号4の配列は本発明のヒトセレイト−2の全アミノ酸配列及びそれをコードしているcDNA配列である。また、配列表の配列番号5の配列は本発明で使用したヒトセレイト−1の全アミノ酸配列及びそれをコードしているcDNA配列である。
なお、配列表に記載されたアミノ酸配列の左端及び右端はそれぞれアミノ基末端(以下N末と呼称する)及びカルボキシル基末端(以下C末と呼称する)であり、また塩基配列の左端及び右端はそれぞれ5’末端及び3’末端である。
ヒトノッチリガンドの遺伝子をクローニングするために次の方法が考え得る。ヒトノッチリガンドは生物の進化の過程で一部のアミノ酸配列が保存されていることから、保存されたアミノ酸配列に対応したDNA配列を設計し、RT−PCR(Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction)のプライマーとして利用し、ヒト由来のPCRテンプレートをPCR反応によって増幅することにより、ヒトノッチリガンド遺伝子の断片が得られる可能性がある。またヒト以外の生物のノッチリガンドホモログの既知DNA配列情報からRT−PCRプライマーを作製し、その生物のPCRテンプレートから既知遺伝子断片を取得することは原理的に可能である。
ヒトノッチリガンド断片取得を目的としてPCRを行うに当たって、DSL配列に対するPCRがまず考えられたが、この領域に保存されたアミノ酸配列に対応するDNA配列の組み合わせは膨大であり、PCRプライマー設計が無理であったため、EGF様配列をPCRの対象としなければならなかった。先述のように多数の分子にEGF様配列は保存されているため、断片取得及び同定は極めて困難であった。本発明者らは参考例1に示した配列を例とする50組のPCRプライマーを設計、作製し、ヒト由来の様々な組織のpolyA+RNAから作製したcDNAをPCRテンプレートとして各々PCRを行い、各10種類以上のPCR産物をサブクローニングし、合計500種以上のシークエンスを行い、鋭意努力の結果、ヒトセレイト−1の目的とする配列を有するクローンを1種類同定できた。
すなわち参考例1のごとく、得られたPCR産物をクローニングベクターにクローニングし、このPCR産物を含む組換えプラスミドを用いて宿主細胞を形質変換し、組換えプラスミドを含む宿主細胞を大量培養し、組換えプラスミドを精製・単離し、クローニングベクターに挿入されたPCR産物のDNA配列を調べ、各々について既知の他種セレイトホモログのアミノ酸配列と比較し、ヒトセレイト−1の配列を有すると思われる遺伝子断片の取得に努めた。その結果、配列表の配列番号5に記載のDNA配列の1272番から1737番と同一の配列、すなわちヒトセレイト−1のcDNAの一部を含む遺伝子断片を見いだした。次に、参考例2に示したごとく、こうして得られたヒトセレイト−1遺伝子断片を用いて、ヒトcDNAライブラリーから各々の全長cDNAを得た。本発明者らはこれらの内容について既に特許出願を行った(国際公開番号WO97/19172)。
本発明においてはこのヒトセレイト−1分子以外に、他のリガンドが存在していると考え、そのリガンドの存在に関して、ヒトセレイト−1分子のアミノ酸配列をコードしている遺伝子配列、すなわち配列表の配列番号5の塩基配列の409番から4062番の遺伝子配列に対して、これとホモロジーの高い遺伝子断片の探索を遺伝子配列のデーターベース上を検索する手法にて行った。具体的には遺伝子配列データーベースとしてはGenbank(リリース91、1995)のランダムなヒトcDNA配列の遺伝子断片のデーターベースであるEST(Expressed Sequence Tag)を解析ソフトウエアとして遺伝子配列検索ソフトウエアGenetyx/CD(ソフトウエア開発社製)を用いて行った。
すなわち、近年、DNAシーケンス技術が向上し、ゲノムDNAやcDNAのライブラリーをランダムにシーケンスし、ヒト、線虫、シロイヌナズナなどの種の全ゲノムDNAおよび全cDNA配列の解明が試みられている(Genome Directory,Nature,377,3S,1995)。ヒトのcDNAに関して、TIGR(The Institute for Genomic Research)によるESTプロジェクト、ワシントン大学−メルクによるESTプロジェクト、コロラド大学によるSTSプロジェクトなどがこの事業に参入している。これらの機関から提出されたcDNAの部分塩基配列はGenbankおよびEMBLの遺伝子データベースに登録されており、開示されている。1995年10月発行のGenbankリリース91によれば、ESTクローンの累積登録数は約33万クローンで、平均長は346塩基対(bp)であることがわかる。
これらのデータベースのデータを、既知もしくは新たにクローニングした新規分子などの遺伝子配列、アミノ酸配列をもとにしてホモロジー検索を行い、その類似分子ファミリー分子の存在の可能性を知ることができ、部分遺伝子を配列情報を得ることができる。
その解析ソフトウエアとしては市販の解析ソフトでも構わないし、各々のデーターベースに付属している解析ソフトウエア、例えばGenbankに付属しているBLASTを用いて解析する、すなわち米国ナショナル・センター・オブ・バイオテクノロジー・インフォメーション、日本国京都大学化学研究所などにWWW(ワールド・ワイド・ウェブ)、電子メールなどでアクセスして計算することができる。
このような、操作を通して、目的の遺伝子に対して類似性の高い遺伝子断片(200から350b程度の長さ)の遺伝子配列情報を入手することができる。このように入手した遺伝子断片配列情報には一般に遺伝子配列情報とともに、その遺伝子のクローン名、存在した臓器、組織の情報が記載されている。遺伝子配列情報に関しては、DNAシークエンサーの生データ情報に近いため、遺伝子配列が未決定でNと記載されていたり、遺伝子配列情報が間違っているケースが多いため、これらの遺伝子配列情報は必ずしも確かではない。
これらの遺伝子情報から、遺伝子配列でNのデータが出てこない領域を最も確からしい遺伝子配列情報の部分と考えて、これら遺伝子配列の最も確からしい遺伝子配列をさらに比較して、この領域で有意なホモロジーのある(200b程度の遺伝子ならば、遺伝子配列の類似性として40%前後の値以上であることが望ましい)遺伝子断片の同定を行う。このように同定された遺伝子断片に関して、一部の遺伝子については、そのクローン名が明らかになれば米国ゲノムシステム社などから購入可能であるが、発現臓器が明示されているので、市販の発現臓器のcDNAからPCRによって分離することが出来る。
ただし、このようにして見出された遺伝子情報は部分的な情報であり、全体の情報が得られない限り、その部分遺伝子がコードしているであろう全長のアミノ酸がもともとホモロジーサーチに用いた分子の類似分子とは限らない。この情報だけからその分子に関して確実なことを示すことはできない。下記に示すように本発明者らは実際にホモロジーを有するプローブを多数調製して、プラークハイブリダイゼーションにてクローニングを行ったが、多くの遺伝子断片は目的の分子をコードしてはいなかった。したがって、この手法は技術的に可能ではあるが、容易な手法ではないと結論づけられる。
具体的には、ヒトセレイト−1cDNAと類似性を示す遺伝子断片をおよそ50種以上にわたってPCRにてプローブを作製した。最終的には下記に示すように、ライブラリースクリーニングにてクローニングを行い、遺伝子配列を決定した結果、実施例1に記載した3種のGenbankに登録されている遺伝子配列クローン(登録番号T08853、R50026、R46751)を基に作製した3種のDNAプローブ、すなわち配列表の配列番号8、9及び10に記載した配列を有するDNAプローブを用いて分離された遺伝子がヒトセレイト−2分子をコードしている遺伝子断片であった。
次に、このように分離されたcDNA遺伝子断片をプローブとして用い、その発現臓器などのcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、さらに長い遺伝子配列遺伝子、もしくは全長cDNA遺伝子をクローニングすることが出来る。その方法としては、前記の方法にて部分クローニングした遺伝子をアイソトープ標識、及び各種非アイソトープ標識し、ライブラリーをハイブリダイゼーションなどの方法にてスクリーニングすることによって得ることができる。アイソトープの標識法としては、たとえば[32P]γ−ATPとT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて末端をラベルする方法や、他のニックトランスレーション法またはプライマー伸長法などによる標識法が利用できる。
さらに、ライブラリーを用いない方法として5’−RACE法、3’−RACE法等で遺伝子を伸張する方法でも全長遺伝子をクローニングしたり、より長い遺伝子断片をクローニングすることが出来る。また今までに示したPCRを用いた方法、データーベースを検索する方法によらない別の方法として、ヒト由来のcDNAライブラリーを発現ベクターに組み込み、COS−7細胞などで発現させ、リセプターノッチ蛋白質を用いて、その結合分子を検索することにより、目的の遺伝子をスクリーニングする発現クローニングなどの手法でリガンドのcDNAを分離することもできる。発現クローニングには、TAN−1など今まで見出されている4種類のヒトノッチのアミノ酸配列を含有するポリペプチドの結合を利用したセルソーターによる分画法、ラジオアイソトープを用いたフィルムエマルジョンによる検出法、等の方法が挙げられる。
ここではヒトセレイト−2遺伝子取得の方法として述べたが、ヒトデルタ−1、ヒトセレイト−1のクローニングで行ったPCR法を含め本発明に明示した各種の手法は、いずれもまだクローニングされていない新しいノッチリガンドファミリー分子の取得に応用できる。たとえば、ヒトセレイト−1とヒトセレイト−2のアミノ酸配列、遺伝子配列を比較して保存されている領域をいくらか見いだしてPCRでクローニングしたり、ヒトデルタ−1、ヒトセレイト−2を基にESTをサーチして同様にクローニングしたりする事ができる。このようにクローニングした新しいノッチリガンドファミリー分子は、本発明で示したヒトセレイト−2同様に全長クローニング、発現ベクター作製、形質転換細胞作製、タンパク生産、抗体作製、生理活性探索を行うことができ、いずれも細胞の分化抑制作用を期待できる。
本発明者らは実施例2に示したごとく、これらの3種の遺伝子断片をラジオアイソトープでラベルし、ハイブリダイゼーションプローブとし、ヒト胎児脳cDNAライブラリーを用いてスクリーニングを行い、得られた複数のクローンのDNA配列を決定し、この結果、全体の遺伝子配列にわたってヒトセレイト−1と類似性が高いことが判明した。しかしながらこれらのクローンでは、全長のアミノ酸をコードしている全長cDNA遺伝子はクローニングできていなかったため、さらにこのクローニングされた遺伝子配列を基にDNAプローブを作製し、再度スクリーニングを行い、これでも全長遺伝子が同定できなかったため、最終的に5’−RACE法にてアミノ酸の翻訳開始メチオニンコドンを含む遺伝子をクローニングし、遺伝子配列を決定し、全長のヒトセレイト−2の遺伝子クローニングに成功した。このようにクローニングされたcDNAを実施例2に示したようにつなぎ合わせて、該ヒトセレイト−2の全長をコードするcDNAを得ることができる。
cDNAを組み込むプラスミドとしては、例えば大腸菌由来のpBR322、pUC18、pUC19、pUC118、pUC119(いずれも宝酒造社製)などが挙げられるが、その他のものであっても宿主内で複製増殖できるものであればいずれも用いることができる。またcDNAを組み込むファージベクターとしては、例えばλgt10、λgt11などが挙げられるが、その他のものであっても宿主内で増殖できるものであれば用いることができる。このようにして、得られたプラスミドは適当な宿主、例えばエシェリヒア(Escherichia)属菌、バチルス(Bacillus)属菌などにカルシウムクロライド法等を用いて導入する。
上記エシェリヒア属菌の例としては、エシェリヒア コリK12HB101、MC1061、LE392、JM109などが挙げられる。上記バチルス属菌の例としてはバチルス、サチリスMI114等が挙げられる。また、ファージベクターは、例えば増殖させた大腸菌にインビトロパッケージング法(Proc.Natl.Acad.Sci.,71:2442−、1978)を用いて導入することができる。
このクローニングされた全長の遺伝子配列をデータベース(Genbank、リリース93、1996)で比較したところ、部分的に先に挙げた3種のESTクローンとこれら以外にほぼ一致する部分配列としていくらかのESTクローンデータが存在したが、全体を通した配列に関しては新規な配列である。
さらに、該ヒトセレイト−2のアミノ酸配列、すなわち配列表の配列番号1、2及び3のアミノ酸配列についても同様に、既知のアミノ酸配列のデーターベース(SWISS−PROT、リリース32、1995、及びGenbankCDS、リリース93、1996)で比較したところ、一致するアミノ酸配列はなく新規なアミノ酸配列であった。前述のヒトセレイト−1及び他生物のセレイトホモログとのアミノ酸配列の比較では、ヒトセレイト−1、ショウジョウバエセレイト、ラットジャグドとの相同性はそれぞれ53.1%、34.3%、52.3%であり、これらの物質とは異なる新規なアミノ酸配列を有する新規物質であり、本発明者らにより初めて明らかにされた物質である。
また、このヒトセレイト−2のアミノ酸配列をKyte−Doolittleの方法(J.Mol.Biol.,157:105、1982)にしたがって、アミノ酸配列から疎水性部分、親水性部分を解析した。その結果、配列表の配列番号4に記載したアミノ酸配列において、遺伝子に全長の前駆体アミノ酸配列は該アミノ酸配列の−26番から1212番からなる1238アミノ酸から構成されるポリペプチドであり、シグナルペプチド領域は、−26番のメチオニンから−1番のプロリンにあたる26アミノ酸から構成され、細胞外部分は1番のメチオニンから1055番のグリシンにあたる1055アミノ酸から構成され、細胞膜通過領域は1056番のロイシンから1079番のトリプトファンにあたる24アミノ酸から構成され、細胞内部分は1080番のスレオニンから1212番のグルタミン酸から構成されると各々推定される。ただし、これらの各部分はあくまでもアミノ酸配列から予想された各ドメイン構造であり、実際に細胞上並びに溶液中での存在形態は、上記の構成と若干異なることも十分考えられ、上記に一応規定された各ドメインの構成アミノ酸が5から10アミノ酸前後することも考えられる。
特にアミノ末端(N末端)に関しては、実施例6に記載したように精製された本発明リガンドポリペプチドEXS2Fc及びEXS2FLAGのN末端のアミノ酸配列を同定したところ配列表の配列番号1〜3の1番目のアミノ酸であるメチオニンである。したがって、少なくともシグナルペプチドは配列表の配列番号4の−26番のメチオニンから−1番のプロリンである。
特に細胞外領域に関して、ノッチのリガンドファミリー分子は進化論的に保存された共通の配列を有している。すなわちDSL配列と繰り返して存在するEGF様配列である。ヒトセレイト−2とヒトセレイト−1との比較により、ヒトセレイト−2のアミノ酸配列からこれらの保存された配列を推定した。すなわち、DSL配列は配列表の配列番号4のアミノ酸配列の172番のシステインから214番のシステインにあたる43アミノ酸残基に相当した。
EGF様配列は16回繰り返して存在し、配列表の配列番号4のアミノ酸配列のうち、第1EGF様配列は217番システインから247番システインまで、第2EGF様配列は250番システインから278番システインまで、第3EGF様配列は285番システインから318番システインまで、第4EGF様配列は325番システインから356番システインまで、第5EGF様配列は363番システインから394番システインまで、第6EGF様配列は401番システインから432番システインまで、第7EGF様配列は439番システインから469番システインまで、第8EGF様配列は476番システインから507番システインまで、第9EGF様配列は514番システインから545番システインまで、第10EGF様配列は563番システインから607番システインまで、第11EGF様配列は614番システインから645番システインまで、第12EGF様配列は652番システインから683番システインまで、第13EGF様配列は690番システインから721番システインまで、第14EGF様配列は729番システインから760番システインまで、第15EGF様配列は767番システインから798番システインまで、第16EGF様配列は805番システインから836番システインに該当した。
またシステイン残基に関して、第9EGF様配列と第10EGF様配列の間に2つのシステイン残基があり、DSL配列のN末端方向に6つのシステイン残基があり、第16EGF様配列のC末端方向に16個のシステイン残基が存在し、EGF様配列を含みいずれのシステイン残基もヒトセレイト−1とほぼ同様な位置に保存されていた。
アミノ酸配列から予想されることとして、糖鎖が付加される部分はN−アセチル−D−グルコサミンがN−グルコシド結合可能な部分として、配列表の配列番号3のアミノ酸配列の127番、544番、593番、726番及び1032番のアスパラギン残基が挙がられる。また、N−アセチル−D−ガラクトサミンのO−グリコシド結合を推定する部分として、セリンまたはスレオニン残基が頻出する部分が考えられる。これらの糖鎖が付加されたタンパクの方がポリペプチドそのものよりも一般に生体内での分解に対して安定であり、また強い生理活性を有していると考えられる。したがって、配列表の配列番号1、2または3の配列を含有するポリペプチドのアミノ酸配列の中にN−アセチル−D−グルコサミンがN−グルコシドやN−アセチル−D−ガラクトサミンなどの糖鎖がN−グルコシドあるいはO−グルコシド結合してなるポリペプチドも本発明に含まれる。
ショウジョウバエノッチおよびそのリガンドの結合に関する研究により、ショウジョウバエノッチのリガンドがノッチに結合するために必要なアミノ酸領域は、シグナルペプチドが切断された成熟体蛋白質のN末からDSL配列までであることが明らかにされている(特表平7−503121号公報)。また、同様に線虫を用いたFitzgeraldとGreenwald(Development、121、4275−4282、1995)の研究からノッチリガンド様分子APX−1はノッチ様リセプターの活性化にとって全長のアミノ末端からDSLドメインまでで十分であることが明らかにされている。このことから、ヒトセレイト−2のリガンド作用の発現に必要な領域は配列表の配列番号1に示した新規アミノ酸配列であることがわかる。
また、配列表の配列番号の4の遺伝子配列の一部もしくは全部をコードするDNAを用いれば、ノーザンブロットが可能である。従って、本遺伝子の発現を調べる方法として、配列表の配列番号4の一部の遺伝子配列を有する12merから16mer以上、さらに望ましくは18mer以上の相補し得る核酸、つまりアンチセンスDNA、RNA、及びそれらがメチル化、メチルフォスフェート化、脱アミノ化、またはチオフォスフェート化された誘導体を用い、ハイブリダイゼーション、PCR等の手法によって行うことが出来る。同様な方法でマウス等の他の生物の本遺伝子のホモログの検出や遺伝子クローニングができる。
さらに、ヒトを含めたゲノム上の遺伝子のクローニングも同様に可能である。従って、そのようにしてクローニングされたこれら遺伝子を用いれば、本ヒトセレイト−2の更に詳細な機能も明らかにすることが出来る。例えば、近年の遺伝子操作技術を用いれば、トランスジェニックマウス、ジーターゲッティングマウス、また、本遺伝子と関連する遺伝子を共に不活化したダブルノックアウトなどのあらゆる方法を用いることが出来る。また、本遺伝子のゲノム上の異常があれば、遺伝子診断、遺伝子治療への応用も可能である。
実施例3に記載したようにヒト正常組織における発現は、各組織にわたっており、発現されているmRNAの長さは約5kbの一種類であった。この様にして本分子のmRNAの発現を検出することは、正常臓器でこれらの発現が認められない部位における悪性腫瘍の検出などの診断に応用可能である。また、この発現臓器のパターンを参考にすれば本発明では具体的に指摘していないヒトセレイト−2の用途を見出すことができる。
尚、本発明のヒトセレイト−2の全アミノ酸配列をコードするcDNAを含むベクターpUCSR−2を大腸菌JM109に遺伝子導入した形質転換細胞は、E.coli:JM109−pUCSR−2として日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号に所在の通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されている。寄託日は平成8年10月28日であり、受託番号はFERM BP−5727である。
上記の方法にて分離したヒトセレイト−2のアミノ酸配列をコードするcDNAを用いた色々な形態を有したヒトセレイト−2の発現、精製には多数の方法が成書によって知られている(Kriegler,Gene Transfer and Expression−A Laboratory Manual Stockton Pres,1990および横田ら、バイオマニュアルシリーズ4,遺伝子導入と発現・解析法,羊土社、1994)。すなわち、分離した該ヒトセレイト−2のアミノ酸配列をコードするcDNAを適当な発現ベクターにつなぎ、動物細胞、昆虫細胞などの真核細胞、バクテリアなどの原核細胞を宿主として生産させることができる。
本発明分子を発現させる際に、本発明のポリペプチドをコードするDNAはその5’末端に翻訳開始コドンを有し、また、3’末端には翻訳終止コドンを有してもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは適当な合成DNAアダプターを用いて付加することもできる。更に該DNAを発現させるには上流にプロモーターを接続する。ベクターとしては上記の大腸菌由来プラスミド、枯草菌由来プラスミド、酵母由来プラスミド、あるいはλファージなどのバクテリオファージおよびレトロウィルス、ワクシニアウィルスなどの動物ウィルスなどが挙げられる。
本発明に用いられるプロモーターとしては、遺伝子発現に用いる宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。
形質転換する際の宿主がエシェリヒア属菌である場合はtacプロモーター、trpプロモーター、lacプロモーターなどが好ましく、宿主がバチルス属菌である場合にはSPO1プロモーター、SPO2プロモーターなどが好ましく、宿主が酵母である場合にはPGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターなどが好ましい。
宿主が動物細胞である場合には、SV40由来のプロモーター、レトロウィルスのプロモーター、メタルチオネインプロモーター、ヒートショックプロモーターなどが利用できる。
ポリペプチドを発現させるとき配列表の配列番号1、2または3のアミノ酸配列をコードするDNAのみでもかまわないが、産生されたポリペプチドの検出を容易にするための既知抗原エピトープをコードするcDNAを付加したり、該ヒトセレイト−2の多量体構造を形成させるためにイムノグロブリンFcをコードするcDNAを付加することで、特別の機能を付加した蛋白質を生産させることもできる。
本発明者らは実施例4に示したごとく、細胞外タンパク質を発現する発現ベクターとして、1)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列の1番から1055番のアミノ酸をコードするDNA、2)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列の1番から1055番のアミノ酸のC末側に8アミノ酸、すなわちAsp Tyr Lys Asp Asp Asp Asp Lysのアミノ酸配列(以下FLAG配列、配列表の配列番号22)を持つポリペプチドを付加したキメラタンパク質をコードするDNA、および3)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列の1番から1055番のアミノ酸のC末側にヒトIgG1のヒンジ部分以下のFc配列(国際公開番号WO94/02035に記載されている)を付加し、ヒンジ部分のジスルフィド結合により2量体構造を有するキメラタンパク質をコードするDNAを発現ベクターpMKITNeo(丸山ら、91年度日本分子生物学会予稿集、東京医科歯科大学丸山より入手可能)に各々別々につなぎ、ヒトセレイト−2の細胞外部分発現ベクターを作製した。
また、全長タンパク質を発現する発現ベクターとして、4)配列表の配列番号2の1番から1212番のアミノ酸をコードするDNA、および5)配列表の配列番号2の1番から1212番のアミノ酸のC末端側にFLAG配列を持つポリペプチドを付加したキメラタンパク質コードするDNAを発現ベクターpMKITNeoに各々別々につなぎ、ヒトセレイト−2の全長発現ベクターを作製した。このようにして構築された該ヒトセレイト−2をコードするDNAを含有する発現プラスミドを用いて、形質転換体を製造する。
宿主としては例えばエシェリヒア属菌、バチルス属菌、酵母、動物細胞などが挙げられる。動物細胞としては、例えばサル細胞であるCOS−7、Vero、チャイニーズハムスター細胞CHO、カイコ細胞SF9などが挙げられる。
実施例5に示したごとく、上記の5種類の発現ベクターをそれぞれ別々に遺伝子導入し、ヒトセレイト−2をCOS−7細胞(理化学研究所、細胞開発銀行から入手可能、RCB0539)で発現させ、これら発現プラスミドで形質転換された形質転換体が得られる。さらに、各形質転換体をそれぞれ公知の方法により、適当な培地中で適当な培養条件により培養することによって各種ヒトセレイト−2タンパクを製造することができる。
上記の培養物からヒトセレイト−2タンパクを分離精製するには、例えば下記の方法により行うことができる。
培養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方法、たとえば遠心分離法などで菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチーム及び/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破砕した後、遠心分離や濾過によりヒトセレイト−2タンパクの粗抽出液を得る方法などを適宜用いることができる。緩衝液の中に尿素、塩酸グアニジンなどのタンパク変性剤や、トリトンX−100などの界面活性剤が含まれていてもよい。培養溶液中に分泌される場合には、培養液を公知の方法、たとえば遠心分離法などで菌体あるいは細胞と分離し、上清を集める。
このようにして得られた細胞抽出液あるいは細胞上清に含まれるヒトセレイト−2タンパクは公知のタンパク質精製法を用いることで、精製できる。その精製の過程でタンパク質の存在を確認するために、上記に示したFLAG、ヒトIgGFcなどの融合タンパクの場合には、それら既知抗原エピトープに対する抗体を用いたイムノアッセイで検出して精製を進めることができる。また、このような融合タンパク質として発現させない場合には、実施例7に記載したヒトセレイト−2に対する抗体を用いて検出することができる。
精製方法としてより有効な方法としては抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィーが挙げられる。この際に用いる抗体としては実施例7に記載した各種ヒトセレイト−2に対する抗体を用いることができる。また、融合タンパクの場合には、実施例6に示したように、ヒトセレイト−2以外の部分に対する抗体、例えばFLAGであればFLAGに対する抗体、ヒトIgGFcであればProtein G、Protein Aを用いることができる。
このようにして精製されたヒトセレイト−2タンパク、またはヒトセレイト−2の生理機能を、各種細胞株、マウス、ラットなどの生物個体を用いた各種生理活性アッセイ法、分子生物学的手法に基づく細胞内シグナル伝達の各種アッセイ法、ノッチリセプターとの結合などの色々なアッセイ法にて知ることができる。
その作用としては細胞の分化を抑制する作用が主に期待でき、また組織再生を促す作用等が期待できる。
すなわち、実施例8に示したようにCD34陽性細胞画分を濃縮した臍帯血由来血液未分化細胞において、各種サイトカイン存在下でコロニー形成する血液未分化細胞に対してコロニー形成作用の抑制活性を有することを見いだした。
さらに、実施例9に示したように、サイトカイン存在下での液体培養へのヒトセレイト−2のIgG1キメラ蛋白質の添加により、ヒト血液未分化細胞の中で最も未分化な血液幹細胞と位置付けられているLTC−IC(Long−Term Culture−Initiating Cells)の数を有意に低下させる活性を有していることを見いだした。
これらの結果から、ヒトセレイト−2は血液未分化細胞の分化を抑制し、それらの作用は血液幹細胞からコロニー形成細胞にわたって作用することが明らかである。医薬品として用いた場合には、抗癌剤などの副作用で見られる骨髄抑制作用を保護し、軽減する作用がある。
またさらに、実施例10に示したように本発明分子は血液細胞以外で未だ生理活性の知られていない血管細胞に対する作用を調べたところ、ヒト血管内皮細胞の増殖を抑制する作用を見いだした。したがって、本発明には配列表の配列番号1〜3のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含有する血管細胞の増殖抑制剤、並びに各種血管新生を抑制することにより効果が期待される疾患(Folkman and Klagsbrun、Science 235、442−447、1987などを参照)を対象とした治療剤も本発明に含まれ、これらの治療薬として使用できる。
医薬品として用いるならば、上記に示した形態を有する本発明のポリペプチドを適当な安定化剤、例えばヒト血清アルブミンなどと共に凍結乾燥品を作製し、用時注射用蒸留水にて溶解もしくは懸濁して使用し得る形状が望ましい。例えば0.1から1000μg/mlの濃度に調製した注射剤、点滴剤として提供することができる。本発明者らは本発明の化合物1mg/ml、ヒト血清アルブミン5mg/mlとなるようにバイアルに小分けし、長期にわたって該化合物の活性は保持された。さらに、細胞を体外にて培養、活性化させる場合には医薬品同様に、凍結乾燥品、もしくは溶液剤を作製して、培地に加える、もしくは培養に使用する容器に固定化することができる。また、該化合物の毒性については、マウスに対して10mg/Kgを腹腔内投与したがマウスの死亡例は確認されなかった。
また、本発明のインビトロの生理活性は、あらゆる疾患モデルマウス、またはそれらに準ずる疾患に似た症状を呈するラット、サル等の動物をモデルとして投与を行い、その身体的、生理的な機能の回復、異常を調べることにより可能となる。例えば、造血細胞に関する異常であれば、5−FU系の抗癌剤を投与して、骨髄抑制モデルマウスを作製し、このマウスに本発明の化合物を投与した群としなかった群の骨髄細胞、末梢血細胞の数、生理的な機能を調べることで明らかになる。また更に、体外で造血幹細胞を含む造血未分化細胞の培養、増殖を調べる場合には、マウス骨髄細胞を培養器などを利用して、培養を行い、その際に本発明の化合物を加えた群と加えなかった群で培養後の細胞を致死量放射線照射マウスに細胞移植を行い、その結果の回復の度合いを、生存率、血球数の変動などを指標にすることで調べることが出来る。勿論、これらの結果が人にも外挿できるため、本化合物の薬効としての評価として有効なデータを得ることが出来る。
本発明の化合物を医薬品として利用する場合、その適応として、細胞の分化異常に伴う疾患、例えば白血病、悪性腫瘍の治療があげられ、体外でヒト由来細胞を培養して、その本来の機能を保ったまま増殖させる、もしくは新たな機能を持たせる等を行う細胞治療、組織損傷後の再生時に投与することにより本来その組織が有していた機能を損なうことなく再生させる治療法などの応用が可能である。その際の投与量としてはその形態などにもよるが、具体的には10μg/Kgから10mg/Kg程度投与すればよい。
また、さらに強い生理活性を有する形態として、多量体を形成し得る形態で発現させることが望ましい。実施例に記載したヒトIgGのFc部分とのキメラタンパク質として発現させて抗体のヒンジ部分によりジスルフィド結合をした多量体として発現させる方法、また、抗体認識部位をC末端もしくはN末端に発現するキメラタンパクとして発現させ、発現させた該ヒトセレイトの細胞外部分を含むポリペプチドをC末端もしくはN末端の抗体認識部位を特異的に認識する抗体と反応させることにより多量体を形成させる方法が挙げられる。
さらに、別の方法として、抗体のヒンジ領域部分のみとの融合タンパクを発現させて、ジスルフィド結合にて2量体を形成させる方法、もしくはその他の該ヒトセレイト−2の活性に何等影響を与えない方法でジスルフィド結合を生じさせる形のペプチドをC末端、N末端もしくはその他の部位に発現するように作成された融合タンパクから構成された2量体以上の高い比活性を有する多量体型該ヒトセレイト−2を得ることもできる。また、さらに配列表の配列番号1もしくは2のアミノ酸配列を含むポリペプチドを遺伝子工学的に2つ以上直列に並べ多量体構造を発現させる方法などもある。その他、現在知られている2量体以上の多量体構造を持たせるあらゆる方法が適応可能である。したがって、遺伝子工学的な技術により作製される2量体もしくはそれ以上の形態を有する形の配列表の配列番号1もしくは2に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む化合物に関しても本発明に含まれる。
また、その他の方法として、化学的な架橋剤を用いて多量体化する方法が挙げられる。例えば、リシン残基を架橋するジメチルスベロイミデート2塩酸塩など、システイン残基のチオール基で架橋するN−(γ−マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミドなど、アミノ基とアミノ基を架橋するグルタールアルデヒドなどが挙げられ、これらの架橋反応を利用して、2量体以上の多量体を形成させることができる。したがって、化学的な架橋剤により作製される2量体もしくはそれ以上の多量体の形態を有する形の配列表の配列番号1もしくは2に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む化合物に関しても本発明に含まれる。
体外において細胞を増殖、活性化し、体内に細胞を戻す医療方法への適応には、上記のような形態を有したヒトセレイト−2を直接培地中に加えることも可能だが、固定化する事も同様に可能である。固定化の方法としてはヒトセレイト−2のアミノ基、カルボキシル基を利用したり、適当なスペーサーを用いたり、上記の架橋剤を用いたりして、培養容器にリガンドを共有結合させることができる。したがって、固体表面に存在する形態を有する配列表の配列番号1もしくは2のアミノ酸配列を含有するポリペプチドに関しても本発明に含まれる。
また、ヒトセレイト−2分子はそのリセプターであるノッチリセプター分子と特異的な結合をするため、例えば上記のヒトセレイト−2の細胞外部分とヒトIgGFcの融合タンパクを用いれば、ノッチリセプターの発現を検出できる。ノッチは、ある種の白血病に関連していることが知られており(Ellisen et al.,Cell 66,649−661,1991)、したがって、配列表の配列番号1もしくは2のアミノ酸配列を含有するポリペプチドは体外もしくは体内の診断薬として使用が可能である。
該ヒトセレイト−2を特異的に認識する抗体は実施例7に示したように作製することができる。また成書(Antibodies a laboratory manual,E.Harlow et al.,Cold Spring Harbor Laboratory)に示された各種の方法ならびに遺伝子クローニング法などにより分離されたイムノグロブリン遺伝子を用いて、細胞に発現させた遺伝子組換え体抗体によっても作製することができる。このように作製された抗体はヒトセレイト−2の精製に利用できる。すなわち、実施例7に示したこれらのヒトセレイト−2を特異的に認識する抗体を用いれば、本発明のヒトセレイト−2の検出、測定が可能であり、細胞の分化異常に伴う疾患例えば悪性腫瘍など疾患の診断薬として使用でき得る。
発明の実施の形態
以下に本発明を実施する形態について参考例及び実施例として示すが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
参考例1
ヒトセレイト−1遺伝子プローブの作製
ショウジョウバエセレイトおよびラットジャグドに保存されたアミノ酸配列に対応した混合プライマー、すなわち配列表の配列番号6に記載のセンスプライマーおよび配列番号7に記載のアンチセンスプライマーを用いた。但しこれらの配列で使用した記号SはCおよびG、記号YはTおよびC、記号WはTおよびA、記号KはGおよびT、記号RはAおよびG、記号NはC、G、TおよびA、の各々等量混合物を示す。
合成オリゴヌクレオチドは固相法を原理とする全自動DNA合成機を使用して作成した。全自動DNA合成機としてはアプライドバイオシステム社391PCR−MATEを使用した。ヌクレオチド、3'-ヌクレオチドを固定した担体、溶液、および試薬は同社の指示に従って使用した。所定のカップリング反応を終了し、トリクロロ酢酸で5’末端の保護基を除去したオリゴヌクレオチド担体を濃アンモニア中にて室温で1時間放置することにより担体からオリゴヌクレオチドを遊離させた。次に核酸及びリン酸の保護基を遊離させるために、核酸を含む反応液を、封をしたバイアル内において濃アンモニア溶液中で55℃にて14時間以上放置した。担体及び保護基を遊離した各々のオリゴヌクレオチドの精製をアプライドバイオシステム社のOPCカートリッジを使用して行い、2%トリフルオロ酢酸で脱トリチル化した。精製後のプライマーは最終濃度が100pmol/μlとなるように脱イオン水に溶解してPCRに使用した。以下、オリゴヌクレオチドの合成は同様に行った。
PCRによる増幅は以下のように行った。ヒト胎児脳由来cDNA混合溶液(QUICK−Clone cDNA、CLONTECH社)1μlを使用し、10×緩衝液(500mM KCl、100mM Tris−HCl(pH8.3)、15mM MgCl2、0.01%ゼラチン)5μl、dNTP Mixture(宝酒造社製)4μl、前述のセレイトホモログに特異的なセンスプライマーDLTS1(100pmol/μl)5μlおよびアンチセンスプライマーDLTA2(100pmol/μl)5μl、及びTaqDNAポリメラーゼ(AmpliTaq:宝酒造社製、5U/μl)0.2μlを加え、最後に脱イオン水を加えて全量を50μlとして、95℃で45秒間、42℃で45秒間、72℃を2分間からなる行程を1サイクルとして、この行程を5サイクル行い、さらに95℃で45秒間、50℃で45秒間、72℃を2分間からなる行程を1サイクルとして、この行程を35サイクル行い、最後に72℃にて7分間放置してPCRを行った。このPCR産物の一部を2%アガロースゲル電気泳動を行い、エチジウムブロマイド(日本ジーン社製)にて染色後、紫外線下で観察し、約500bpのcDNAが増幅されていることを確認した。
このようにして得られたPCR産物の全量を低融点アガロース(GIBCO BRL社製)にて作製した2%アガロースゲルにて電気泳動し、エチジウムブロマイドにて染色後、紫外線照射下にて約500bpのバンドを切り出し、ゲルと同体積の蒸留水を加え、65℃にて10分間加熱し、ゲルを完全に溶かしたのち、等量のTE飽和フェノール(日本ジーン社製)を加えて、15000rpm、5分間遠心分離後上清を分離し、さらに同様な分離作業をTE飽和フェノール:クロロフォルム(1:1)溶液、さらにクロロフォルムにて行った。最終的に得られた溶液からDNAをエタノール沈澱して回収した。
ベクターとしてpCRII Vector(Invitorogen社製、以下pCRIIと呼称する)を用い、ベクターと先のDNAのモル比が1:3となるように混ぜ合わせて、T4 DNAリガーゼ(Invitorogen社製)にてベクターにDNAを組み込んだ。DNAが組み込まれたpCRIIを大腸菌One Shot Competent Cells(Invitrogen社製)に遺伝子導入し、アンピシリン(Sigma社製)を50μg/ml含むL−Broth(宝酒造社製)半固型培地のプレートに蒔き、12時間程度37℃に放置し、現れてきたコロニーを無作為選択し、同濃度のアンピシリンを含むL−Broth液体培地2mlに植え付け、18時間程度37℃で振盪培養し、菌体を回収し、ウィザードミニプレップ(Promega社製)を用いて添付の説明書に従ってプラスミドを分離し、このプラスミドを制限酵素EcoRIにて消化して、約500bpのDNAが切り出されてくることで該PCR産物が組み込まれていることを確認し、確認されたクローンについて、組み込まれているDNAの塩基配列をアプライドバイオシステム社の螢光DNAシークエンサー(モデル373S)にて決定した。このようにして遺伝子クローニングされた遺伝子断片を既知のノッチリガンド分子であるショウジョウバエセレイト、ラットジャグドのアミノ酸配列と比較し、有意な類似性を見出すことにより、ヒトセレイト−1をコードしているcDNA断片であることを確認した。
参考例2
ヒトセレイト−1遺伝子の全長クローニング
ヒト胎盤由来のcDNAライブラリー(λgt−11にcDNAが挿入されたもの、CLONTECH社製)からプラークハイブリダイゼーションにて全長cDNAを持ったクローンの検索を1×106相当のプラークから行った。出現したプラークをナイロンフィルター(Hybond N+:Amersham社製)に転写し、転写したナイロンフィルターをアルカリ処理(1.5M NaCl、0.5M NaOHを染み込ませたろ紙上に7分間放置)し、次いで、中和処理(1.5M NaCl、0.5M Tris−HCl(pH7.2)、1mM EDTAを染み込ませたろ紙上に3分間放置)を2回行い、次に、SSPE溶液(0.36M NaCl、0.02M リン酸ナトリウム(pH7.7)、2mM EDTA)の2倍溶液中で5分間振とう後洗浄し風乾した。その後、0.4M NaOHを染み込ませたろ紙上に20分間放置し、5倍濃度のSSPE溶液で5分間振とう後洗浄し、再度風乾した。このフィルターを用いて放射性同位元素32Pにて標識されたヒトセレイト−1プローブにてスクリーニングを行った。
放射性同位元素32Pにて標識された先のDNAプローブは以下のように作成した。すなわち、ヒトセレイトプライマーによる精製PCR産物(約500bp)が組み込まれたpCRIIより、EcoRIにてベクターより切り出し、低融点アガロースゲルからDNA断片を精製回収した。得られたDNA断片をDNAラベリングキット(Megaprime DNA labeling system:Amersham社製)を用いて標識した。すなわち、DNA25ngにプライマー液5μl及び脱イオン水を加えて全量を33μlとして沸騰水浴を5分間行い、その後、dNTPを含む反応緩衝液10μl、α−32P−dCTP5μl、及びT4DNAポリヌクレオチドキナーゼ溶液2μlを加えて、37℃で10分間水浴し、更にその後、セファデックスカラム(Quick Spin Column Sephadex G−50:べーリンガーマンハイム社製)で精製し、5分間沸騰水浴をしたのち、2分間氷冷後使用した。
前述の方法にて作成したフィルターを、各々の成分の最終濃度が5倍濃度のSSPE溶液、5倍濃度のデンハルト液(和光純薬社製)、0.5%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、及び10μg/mlの沸騰水浴により変性したサケ精子DNA(Sigma社製)であるプレハイブリダイゼーション液中に浸し、65℃にて2時間振とうした後、前述の方法で32P標識されたプローブを含むプレハイブリダイゼーション液と同一組成のハイブリダイゼーション液に浸し、55℃にて16時間振盪し、ハイブリダイゼーションを行った。
次に、フィルターを0.1%SDSを含むSSPE溶液に浸し、55℃にて振盪し2回洗浄後、さらに0.1%SDSを含む10倍希釈したSSPE溶液に浸し、55℃にて4回洗浄した。洗浄を終了したフィルターを増感スクリーンを使用して、オートラジオグラフィーを行った。その結果、強く露光された部分のクローンを拾い、再度プラークを蒔き直し前述の方法にてスクリーニングを行い、完全に単独のクローンを分離した。
単離されたファージクローンは22クローンであった。成書の方法に従い、これらのすべてのクローンのファージを約1×109pfu調製し、ファージDNAを精製し、制限酵素EcoRIにて消化し、同様にEcoRIで消化したpBluescript(Stratagene社製)に組み込んだ。これらのクローンの両端のDNA配列をDNAシークエンサーにより解析したところ、S16およびS20の2クローンは共に配列表の配列番号4のDNA配列の1番から1873番の配列を含むクローンであり、S5およびS14の2クローンは配列表の配列番号4のDNA配列の990番から4005番を含むクローンであった。これらのクローンはキロシークエンス用デリションキット(宝酒造社製)を用いて添付の説明書に従ってデリションミュータントを作製し、DNAシークエンサー(アプライドバイオシステム社製)を用いて5’方向、3’方向の両方向から、本発明のポリペプチドをコードする全長のcDNA塩基配列を決定した。
この結果、C末端のアミノ酸配列をコードしている領域が100程度クローニングできていないことが判明したため、全長遺伝子のクローニングをGIBCO−BRL社製3’RACEシステムキットを用いて、添付のマニュアルに従って、ヒト胎盤由来polyA+RNA(CLONTECH社製)から3’方向の遺伝子のcDNAのクローニングを行い、遺伝子配列を決定した。
このように遺伝子クローニングした3つの遺伝子断片を配列表の配列番号5のDNA配列の1293番にある制限酵素Bgl 2サイトと3943番にあるAcc1サイトを利用し、配列表の配列番号5のDNA配列全長を含むプラスミドをpUC18のマルチクローニングサイトのEcoRIとXba1の間につなぎ込み、pUCSR−1を作製した。この遺伝子の配列を配列表の配列番号5にアミノ酸配列とともに示す。
実施例1
PCRによるプローブの作製
スクリーニング用いる遺伝子プローブすなわち、配列表の配列番号8、9及び10に記載の遺伝子は次のようにして取得した。これらの配列は各々Genbankの登録番号T08853、R50026及びR45751に記載の遺伝子配列の一部に当たる。以下、配列番号8の遺伝子配列を有するプローブを¥1、配列番号9の遺伝子配列を有するプローブを¥2、配列番号10の遺伝子配列を有するプローブを¥4とする。
すなわち、配列表の配列番号11及び12の配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーを用いたPCRにて配列番号8の遺伝子を、配列表の配列番号13及び14の配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーを用いたPCRにて配列番号9の遺伝子を、配列表の配列番号15及び16の配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーを用いたPCRにて配列番号10の遺伝子を各々分離した。
PCRによる増幅は、以下のように行った。ヒト胎児脳由来cDNA混合溶液(QUICK−Clone cDNA、CLONTECH社製)1μlを使用し、10×緩衝液(500mM KCl、100mM Tris−HCl(pH8.3)、15mM MgCl2、0.01%ゼラチン)5μl、dNTP Mixture(宝酒造社製)4μl、前述の組合せのプライマー20pmol/μlを1μlづっ、及びTaqDNAポリメラーゼ(AmpliTaq:宝酒造社製、5U/μl)0.2μlを加え、最後に脱イオン水を加えて全量を50μlとして、94℃で1分間、55℃で5分間、72℃を3分間からなる行程を1サイクルとして、この行程を40サイクル行い、最後に72℃にて7分間放置してPCRを行った。このPCR産物の一部を2%アガロースゲル電気泳動を行い、エチジウムブロマイド(日本ジーン社製)にて染色後、紫外線下で観察し、各々のPCR産物が目的のサイズの遺伝子が増幅されていることを確認した。
次に、これらのPCR産物の全量を低融点アガロース(GIBCO BRL社製)にて作製した2%アガロースゲルにて電気泳動し、エチジウムブロマイドにて染色後、紫外線照射下にて各々のバンドを切り出し、ゲルと同体積の蒸留水を加え、65℃にて10分間加熱し、ゲルを完全に溶かしたのち、等量のTE飽和フェノール(日本ジーン社製)を加えて、15000rpm、5分間遠心分離後上清を分離し、さらに同様な分離作業をTE飽和フェノール:クロロフォルム(1:1)溶液、さらにクロロフォルムにて行った。最終的に得られた溶液からDNAをエタノール沈澱して回収した。
ベクターとしてpCRII Vector(Invitorogen社製、以下pCRIIと呼称する)を用い、ベクターと先のDNAのモル比が1:3となるように混ぜ合わせて、T4 DNAリガーゼ(Invitorogen社製)にてベクターにDNAを組み込んだ。DNAが組み込まれたpCRIIを大腸菌〇ne Shot Competent Cells(Invitrogen社製)に遺伝子導入し、アンピシリン(Sigma社製)を50μg/ml含むL−Broth(宝酒造社製)半固型培地のプレートに蒔き、12時間程度37℃に放置し、現れてきたコロニーを無作為選択し、同濃度のアンピシリンを含むL−Broth液体培地2mlに植え付け、18時間程度37℃で振盪培養し、菌体を回収し、ウィザードミニプレップ(Promega社製)を用いて添付の説明書に従ってプラスミドを分離し、このプラスミドを制限酵素EcoRIにて消化して、各々の目的のザイズのDNAが切り出されてくることで各々該PCR産物が組み込まれていることを確認し、確認されたクローンについて、組み込まれているDNAの塩基配列をアプライドバイオシステム社の螢光DNAシークエンサー(モデル373S)にて決定し、前述のGenbankに登録されている遺伝子配列と比較して、目的の遺伝子、すなわち配列表の配列番号8、9及び10の遺伝子配列を有する遺伝子が分離されていることを確認した。
実施例2
ヒトセレイト−2遺伝子の全長クローニング
ヒト胎児脳由来のcDNAライブラリー(λgt−10にcDNAが挿入されたもの、CLONTECH社製)からプラークハイブリダイゼーションにて全長cDNAを持ったクローンの検索を1×106相当のプラークから行った。出現したプラークを参考例2に記載の方法と同様にアルカリ固定した。これらのフィルターを用いて参考例2に記載した方法で放射性同位元素32Pにて標識された実施例1にて分離された3種のプローブを用いて、各々別々にスクリーニングを行い、複数のクローンを分離した。
単離されたファージクローンは¥1をプローブとして用いた場合から2クローン、¥2をプローブとして用いた場合から6クローン、¥4をプローブとして用いた場合から4クローンであった。但し、¥4から分離されたクローンは全て¥2から分離されたクローンに含まれていた。これらのすべてのクローンのファージを約1×109pfu調製し、ウィザードラムダプレップ(Promega社製)を用いて添付の説明書に従ってファージDNAを精製し、制限酵素EcoRIにて消化し、同様にEcoRIで消化したpBluescript(Stratagene社製)もしくはpUC18(ファルマシア社製)に組み込んだ。
これらのクローンの全DNA配列を参考例2と同様にDNAシークエンサーにより決定し、同一配列部分を比較した結果、#5クローンは配列表の配列番号4のDNA配列の484番から2025番の配列を含むクローンであり、#21クローンは配列表の配列番号4のDNA配列の1882番から3537番の配列を含むクローンであり、#86クローンは配列表の配列番号4の2455番から3955番の配列を含むクローンであった。残りのクローンは、これらのクローンと配列が一致する部分のみからなる短いインサートしか有さないクローンであった。この結果、ヒトセレイト−1等のアミノ酸配列との比較からN末端のアミノ酸配列をコードしている領域がクローニングできていない事が判明した。そこで更に、配列表の配列番号17のDNA配列を有するプローブを作成し、5’領域のcDNAのクローニングをするために2回目のスクリーニングを行った。プローブの作成は実施例1に記載の方法と同様に配列表の配列番号18及び19のDNA配列を有するPCRプライマーで上記の#5クローンを鋳型にしてPCRを行い作成した。ライブラリーは1回目のスクリーニングと同様に調製したものを使用し、条件などは全く同じ方法で行った。
この様にして、2回目のスクリーニングにおいて単離されたクローンは6クローンであった。これらのすべてのクローンのファージを約1×109pfu調製し、ウィザードラムダプレップ(Promega社製)を用いて添付の説明書に従ってファージDNAを精製し、制限酵素EcoRIにて消化し、同様にEcoRIで消化したpUC18に組み込んだ。これらのクローンの全DNA配列を参考例2と同様にDNAシークエンサーにより決定し、同一配列部分を比較した結果、最も5’方向を含むと考えられたクローンとしてS43−1クローンが分離された。ただし、このクローンは配列表の配列番号4のDNA配列の38番から1538番の配列を含むクローンであった。残りのクローンは、1回目で分離されたクローン及び既に他のクローンで決定された配列と一致する部分のみからなる短いインサートしか有さないクローンであった。
この様に2回目のスクリーニングでも翻訳開始のメチオニンをコードするATGの配列が認められなかったので、さらに5’RACE法にて5’方向のcDNA配列のクローニングを行った。5’RACEはGIBCO−BRL社製5’RACEシステムキットを用いて、添付のマニュアルにしたがって、ヒト心臓由来polyA+RNA(CLONTECH社製)から5’方向の遺伝子のcDNAのクローニングを行い、配列表の配列番号4のDNA配列の1番から37番の遺伝子配列を決定した。
以上の結果、配列表の配列番号4のDNA配列、すなわちヒトセレイト−2の全長をコードするcDNA配列を決定した。
全長遺伝子をコードするcDNAを作成するために、他のクローンとライゲーションできる5’端のcDNAを得るために次のようなPCRを行い、クローニングした。すなわち、配列表の配列番号20のDNA配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号21のDNA配列を有するオリゴヌクレオチドを用い、S43−1クローンを鋳型にして実施例1に記載の方法でPCRを行い、同様にpCR−IIにサブクローニングして、遺伝子配列を決定して、配列表の配列番号4のDNA配列の1番から503番のDNA配列を有するクローンを作製した。このクローンをS2−5とする。
以上のクローン、すなわちS2−5、S43−1、#5、#21、#86のクローンの遺伝子をS2−5とS43−1は配列表の配列番号4のDNA配列の217番目の制限酵素SplIサイトで、S43−1と#5は同様に1453番目のKpnIサイトで、#5と#21は同様に2016番目のSacIサイト、#21と#86は同様に2991番目のBamHIサイトを各々利用し、最終的に配列表の配列番号4のDNA配列を有するDNAをpUC18のマルチクローニングサイトのEcoRIサイトとHindIIIサイトの間につなぎ込み、pUCSR−2を作製した。
実施例3
ヒトセレイト−2の発現臓器
ヒトセレイト−2のmRNAの発現を調べるため、あらかじめmRNAが転写されているフィルターである、Human Multiple Tissue Northern Blot、Human Multiple Tissue Northern BlotII、Human Multiple Tissue Northern BlotIII、Human Fetal Multiple Tissue Northern BlotII(すべてCLONTECH社製)を用い、実施例2に記載の配列表の配列番号17の配列を有するDNAをプローブとして前掲のDNAラベリングキット(MegaPrime DNA labeling system:Amersham社製)にて前述の方法で32P標識し、上記のフィルターの添付の取扱説明書にしたがってハイブリダイゼーションを行い発現を調べた。
その結果、発現されているmRNAの長さは約5kbの一種類であった。発現部位としてヒト成人組織のうち強い発現を認めたのは、心臓、骨格筋、甲状腺、脊髄、気管であり、明かな発現を認めたのは膵臓、前立腺、精巣、小腸、副腎であり、極めて弱くしか発現が認められなかったのは脳、胎盤、腎臓、胸腺、卵巣、胃、リンパ節であり、全く発現が認められなかったのは肺、肝臓、脾臓、結腸、末梢血リンパ球、骨髄であった。ヒト胎児組織においては胎児肺に発現が高く、胎児脳、胎児腎臓に明かな発現が認められ、胎児肝臓には発現は認められなかった。
実施例4
ヒトセレイト−2発現ベクターの作製
配列表の配列番号4に記載のDNA配列からなる遺伝子を用いて、次の1)から5)に挙げるヒトセレイト−2およびそのキメラタンパク質の発現ベクターを作製した。
1)分泌型細胞外ヒトセレイト−2の発現ベクター
配列表の配列番号2のアミノ酸配列の1番から1055番のポリペプチドをコードするcDNAを、SRαのプロモーターとネオマイシン耐性遺伝子を含む発現ベクターpMKITNeo(丸山ら、91年度日本分子生物学会予稿集、東京医科歯科大学丸山より入手可能)につなぎ、発現ベクターを作製した。
すなわち、配列表の配列番号4に記載のDNA配列を有するベクターpUCSR−2を鋳型として配列表の配列番号23の配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号24の配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとして、上記の方法に従いPCRを行い、PCR産物をクローニングベクターpCRIIにつなぎ、PCR産物の遺伝子配列を決定して、配列表の配列番号4のDNA配列の2986番から3254番まで遺伝子配列でその3’端に終止コドンと制限酵素SalIサイトが付加されているDNAを作製した。
pUCSR−2を制限酵素EcoRIとBamHIで消化して得られるおよそ3kbpの遺伝子断片、上記のPCR産物をインサートとして含むpCRIIベクターを制限酵素BamHIとSalIで消化して得られるおよそ250bpの遺伝子断片、pMKITneoを制限酵素EcoRIとXhoIで消化して得られるおよそ4.3kbの遺伝子断片、これら3つの遺伝子断片を同時にライゲーションして、配列表の配列番号4にDNA配列の1番から3254番の遺伝子断片を含む発現ベクター、すなわち分泌型細胞外ヒトセレイト−2タンパク質(以下このタンパク質をEXS2と呼称する)発現ベクターpMEXS2を作製した。
2)分泌型細胞外ヒトセレイト−2のFLAGキメラタンパク質の発現ベクター
配列表の配列番号2のアミノ酸配列の1番から1055番のポリペプチドのC末端にFLAG配列(配列表の配列番号22)をコードするcDNAを付加したキメラタンパク質をコードするcDNAを、発現ベクターpMKITNeoにつなぎ、発現ベクターを作製した。
すなわち、配列表の配列番号4に記載のDNA配列を有するベクターpUCSR−2を鋳型として配列表の配列番号23の配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号25の配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとして、上記の方法に従いPCRを行い、PCR産物をクローニングベクターpCRIIにつなぎ、PCR産物の遺伝子配列を決定して、配列表の配列番号4のDNA配列の2986番から3254番まで遺伝子配列で、その3’端にFLAG配列をコードするDNA配列(配列表の配列番号22のDNA配列)と終止コドンと制限酵素SalIサイトが付加されているDNAを作製した。
pUCSR−2を制限酵素EcoRIとBamHIで消化して得られるおよそ3kbpの遺伝子断片、上記のPCR産物をインサートとして含むpCRIIベクターを制限酵素BamHIとSal1で消化して得られるおよそ300bpの遺伝子断片、pMKITneoを制限酵素EcoRIとXhoIで消化して得られるおよそ4.3kbの遺伝子断片、これら3つの遺伝子断片を同時にライゲーションして(制限酵素XhoIとSalIは認識配列は異なるが消化された末端遺伝子配列が相補的なためつなぐ事ができる)、配列表の配列番号4にDNA配列の1番から3254番の遺伝子断片とFLAG配列をコードする遺伝子断片を含む発現ベクター、すなわち分泌型細胞外ヒトセレイト−2のFLAGキメラ蛋白質(以下このタンパク質をEXS2FLAGと呼称する)発現ベクターpMEXS2FLAGを作製した。
3)分泌型細胞外ヒトセレイト−2のIgG1Fcキメラタンパク質発現ベクター
配列表の配列番号2のアミノ酸配列の1番から1055番のポリペプチドのC末端にヒトIgG1のヒンジ部分以下のFc部分のアミノ酸配列をコードするcDNAを付加したキメラタンパク質をコードするcDNAを、発現ベクターpMKITNeoにつなぎ、発現ベクターを作製した。
イムノグロブリンFcタンパクとの融合タンパクの作製は、Zettlmeisslらの方法(Zettlmeissl et al.,DNA cell Biol.,9,347−354,1990)にしたがって、イントロンを含むゲノムDNAを用いた遺伝子を利用し、その遺伝子をPCR法を用いて作製した。
すなわち、ヒトゲノムDNAをテンプレートとして使用して、ヒトIgG1Fc部分をコードする遺伝子配列を制限酵素BamHIサイトのついた配列表の配列番号28の配列を有するオリゴヌクレオチド、制限酵素XbaIサイトのついた配列表の配列番号29の配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いてPCRを行い、およそ1.4Kbpのバンドを精製し、制限酵素BamHI及びXbaI(宝酒造社製)で処理をして、同様の制限酵素処理をしたpBluescriptにT4DNAリガーゼにて遺伝子をつないでサブクローニングした。その後、このプラスミドDNAを精製して、シークエンスをして遺伝子配列を確認し、遺伝子配列が確かにひとIgG1の重鎖のヒンジ部分にあたるゲノムDNAであることを確認した(その配列はKabat et al.,Sequence of Immunological Interest,NIH publication No91−3242,1991参照のこと)。以下、このプラスミドをpBShIgFcとする。
配列表の配列番号4に記載のDNA配列を有するベクターpUCSR−2を鋳型として配列表の配列番号23の配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号26の配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとして、上記の方法に従いPCRを行い、PCR産物をクローニングベクターpCRIIにつなぎ、PCR産物の遺伝子配列を決定して、配列表の配列番号4のDNA配列の2986番から3254番まで遺伝子配列で、その3’端に制限酵素Bgl2サイトが付加されているDNAを作製した。
このPCR産物をインサートとして含むpCRIIベクターを制限酵素EcoRIとBgl2消化し得られるおよそ250bpの遺伝子断片を、上記のヒトIgG1FCをコードする遺伝子をインサートとして含むpBluescriptを制限酵素EcoRIとBamHIで消化したベクター(およそ4.3kbp)にライゲーションしてつなぐ。この際には制限酵素BamHIとBgl2は消化された末端遺伝子配列が相補的なためつなぐ事ができる。また、その後この部分はこれらの制限酵素によって消化されない。
次いで、このベクターを制限酵素BamHIとNot1で消化して得られるおよそ1.5kbpの遺伝子断片、pUCSR−2を制限酵素EcoRIとBamHIで消化して得られるおよそ3kbpの遺伝子断片、pMKITneoを制限酵素EcoRIとNot1で消化して得られるおよそ4.3kbの遺伝子断片、これら3つの遺伝子断片を同時にライゲーションして(制限酵素XhoIとSalIは認識配列は異なるが消化された末端遺伝子配列が相補的なためつなぐ事ができる)、配列表の配列番号4にDNA配列の1番から3254番の遺伝子断片とヒトIgG1Fcをコードする遺伝子断片を含む発現ベクター、すなわち分泌型細胞外ヒトセレイト−2のIgキメラタンパク質(以下このタンパク質をEXS2Fcと呼称する)発現ベクターpMEXS2Fcを作製した。
4)全長ヒトセレイト−2タンパク質の発現ベクター
配列表の配列番号3のアミノ酸配列の1番から1212番のポリペプチドをコードするcDNAを、発現ベクターpMKITNeoにつなぎ、発現ベクターを作製した。
すなわち、pUCSR−2を制限酵素EcoRIとHindIIIで消化して切り出されてくるおよそ4kbpの遺伝子断片を同様の制限酵素で消化したpBluescriptにライゲーションし、次いでこのベクターをEcoRIとXhoIで消化し切り出されてくるおよそ4kbpの遺伝子断片を、発現ベクターpMKITneoを制限酵素EcoRIとNot1で消化し得られるおよそ4.3kbの遺伝子断片にライゲーションして、配列表の配列番号4にDNA配列の1番から3955番の遺伝子断片を含む発現ベクター、すなわち全長ヒトセレイト−2タンパク質(以下このタンパク質をFS2と呼称する)発現ベクターpMFS2を作製した。
5)全長ヒトセレイト−2FLAGキメラタンパク質の発現ベクター
配列表の配列番号3のアミノ酸配列の1番から1212番のポリペプチドのC末端にFLAG配列(配列表の配列番号22)をコードするcDNAを付加したキメラタンパク質をコードするcDNAを、発現ベクターpMKITNeoにつなぎ、発現ベクターを作製した。
すなわち、配列表の配列番号4に記載のDNA配列を有するベクターpUCSR−2を鋳型として配列表の配列番号23の配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号27の配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとして、上記の方法に従いPCRを行い、PCR産物をクローニングベクターpCRIIにつなぎ、PCR産物の遺伝子配列を決定して、配列表の配列番号4のDNA配列の2986番から3725番まで遺伝子配列で、その3’端にFLAG配列をコードするDNA配列(配列表の配列番号22のDNA配列)と終止コドンと制限酵素SalIサイトが付加されているDNAを作製した。
pUCSR−2を制限酵素EcoRIとBamHIで消化して得られるおよそ3kbpの遺伝子断片、上記のPCR産物をインサートとして含むpCRIIベクターを制限酵素BamHIとSalIで消化して得られるおよそ700bpの遺伝子断片、pMKITneoを制限酵素EcoRIとXhoIで消化して得られるおよそ4.3kbの遺伝子断片、これら3つの遺伝子断片を同時にライゲーションして(制限酵素XhoIとSalIは認識配列は異なるが消化された末端遺伝子配列が相補的なためつなぐ事ができる)配列表の配列番号4にDNA配列の1番から3725番の遺伝子断片とFLAG配列をコードする遺伝子断片を含む発現ベクター、すなわち全長型ヒトセレイト−2のFLAGキメラタンパク質(以下このタンパク質をFS2FLAGと呼称する)発現ベクターpMFS2FLAGを作製した。
実施例5
ヒトセレイト−2発現ベクターの細胞への遺伝子導入と発現
実施例4で作製した発現ベクターはCOS−7細胞(理化学研究所、細胞開発銀行から入手可能、RCB0539)に遺伝子導入した。
遺伝子導入前の細胞の培養はD−MEM(ダルベッコ改変MEM培地、GIBCO−BRL社製)10%FCSにて培養した。遺伝子導入の前日に細胞の培地を交換し、細胞数を5×107cells/mlにして一晩培養した。遺伝子導入の当日、遠心分離にて細胞を沈澱させ、PBS(−)にて2回遠心洗浄後、1mM MgCl2、PBS(−)に1×107cells/mlとなるようにして細胞を調製した。遺伝子導入はBio−Rad社製遺伝子導入装置ジーンパルサーを用いたエレクトロポレーション法で行った。上記の細胞懸濁液を500μlエレクトロポレーション専用セル(0.4mm)に取り、発現ベクターを20μg加え、氷中で5分間放置した。その後、3μF,450Vの条件で2回電圧をかけ、その2回の間は1分間室温で放置した。その後、氷中で5分間放置後、上記の培地10mlをあらかじめ分注した直径10cm細胞培養用ディシュに細胞を播種し、37℃、5%炭酸ガスインキュベーターで培養した。
その翌日、培養上清を除去し、ディッシュに付着した細胞をPBS(−)10mlで2回洗浄し、無血清のD−MEM10mlを加えてさらに4日間培養し、発現ベクターpMEXS2、pMEXS2FLAG及びpMEXS2Fcを遺伝子導入した場合に関しては培養上清を回収し、セントリコン30(アミコン社製)にてバッファーをPBS(−)に置換すると同時に10倍濃縮を行った。
また、pMFS2及びpMFS2FLAGを遺伝子導入した場合に関しては、同様に4日間の培養後、細胞をPBS(−)10mlで洗浄し、セルスクレイパー(コースター社製)にて細胞を剥がし、再度PBS(−)を10ml加えて、1500rpmで5分間遠心分離し洗浄した。
この細胞沈殿物をセルリシスバッファー[50mM Hepes(pH7.5)、1% TritonX100、10% グリセロール、4mM EDTA、50μg/ml Aprotinin、100μM Leupeptin、25μM PepstatinA、1mM PMSF]500μlに懸濁し、氷中に20分間放置し、その後15000rpmで20分間遠心し上清を取り細胞抽出液を得た。
こうして得られたサンプルを用いてウェスタンブロッティング法にてFLAGキメラ蛋白とイムノグロブリンキメラ蛋白の発現を確認した。すなわち、上記の得られた細胞上清濃縮液もしくは細胞抽出液をACIジャパン社製のSDS−PAGE用電気泳動槽及びSDS−PAGE用ポリアクリルアミドゲル(グラジエントゲル5〜15%)を用い、添付の取扱い説明書に従ってSDS−PAGEをおこなった。サンプルは2−メルカプトエタノール(2−ME)を加えて5分間の沸騰水浴加熱処理により還元処理を行ったもの、もしくはこの処理を行わない非還元状態のものを用い、マーカーとしてはAmersham社製レインボーマーカー(高分子量用)を用い、サンプルバッファー、泳動バッファーについては添付の取扱い説明書に従って作製した。SDS−PAGE終了後、アクリルアミドゲルをPVDFメンブランフィルター(BioRad社製)にBioRad社製ミニトランスブロットセルにより転写した。
このように作製されたフィルターをブロックエース、TBS−T[20mM Tris、137mM NaCl(pH7.6)、0.1%Tween 20]に4℃一晩振盪してブロッキングした。ECLウェスタンブロッティング検出システム(Amersham社製)に添付の説明書に従い、目的のタンパク質がFLAGキメラの場合は一次抗体としてマウスモノクローナル抗体Anti−FLAG M2(コダック社製)、二次抗体としてペルオキシダーゼ標識抗マウスIg羊抗体(Amersham社製)を反応させた。また、ヒトIgG1Fcキメラの場合は、ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgヒツジ抗体(Amersham社製)を反応させた。抗体の反応時間は各々室温で一時間反応させ、各反応間は、TBS−Tにて10分間室温で振盪洗浄する操作を3回ずつ繰り返した。最後の洗浄後、フィルターをECLウエスタンブロッティング検出システム(Amersham社製)の反応液に1分間浸し、ポリ塩化ビニリデンラップに包んでX線フィルムに感光させた。
その結果、発現ベクターpMEXS2FLAGを遺伝子導入したCOS上清からAnti−FLAG M2抗体によりおよそ135Kダルトンの分子量を有するバンドが検出され、目的のタンパクEXS2FLAGを産生していることが確認され、発現ベクターpMEXS2FLAGにより形質転換された細胞を得た。また、SDS−PAGEの際の還元処理の有無による分子量にほとんど変化は無かった。また、アミノ酸配列から予想される分子量に比べおよそ20Kダルトン程度大きく糖鎖が付加されていると考えられた。
また、発現ベクターpMEXS2Fcを遺伝子導入したCOS上清から抗ヒトIgヒツジ抗体により、SDS−PAGEにおいて還元条件下の場合にはおよそ165Kダルトンの分子量を有するバンドが検出され、非還元条件下ではおよそ330Kダルトンの分子量を有するバンドが目的のタンパクEXS2Fcを産生していることが確認され、発現ベクターpMEXS2Fcにより形質転換された細胞を得た。還元条件下のEXS2Fcの分子量が非還元条件下のそれのおよそ半分であることから、このEXS2Fcはジスルフィド結合を介した2量体を形成している。また、同様にアミノ酸配列から予想される分子量に比べおよそ40Kダルトン程度大きく糖鎖が付加されていると考えられた。
さらに、発現ベクターpMFS2FLAGを遺伝子導入したCOS細胞抽出液からAnti−FLAG M2抗体により、還元条件下でおよそ150Kダルトンの分子量を有するバンドが検出され、目的のタンパクFS2FLAGを産生していることが確認され、発現ベクターpMFS2FLAGにより形質転換された細胞を得た。また、同様にアミノ酸配列から予想される分子量に比べおよそ20Kダルトン程度大きく、細胞外部分に糖鎖が付加されていると考えられた。
また、キメラタンパク以外に関しては、ウエスタンブロットの際の1次抗体として、実施例7に記載の抗ヒトセレイト−2マウスモノクローナル抗体及び抗ヒトセレイト−2ウサギポリクローナル抗体を用い、二次抗体としてペルオキシダーゼ標識抗マウスIg羊抗体(Amersham社製)もしくはペルオキシダーゼ標識抗ウサギIg羊抗体(Amersham社製)を用い同様に行った。
その結果、発現ベクターpMEXS2を遺伝子導入したCOS上清中に、およそ135Kダルトンの分子量を有するバンドが検出され、目的のタンパクEXS2を産生していることが確認され、発現ベクターpMEXS2により形質転換された細胞を得た。また、SDS−PAGEの際の還元処理の有無による分子量にほとんど変化は無かった。また、発現ベクターpMFS2を遺伝子導入したCOS細胞抽出液から還元条件下でおよそ150Kダルトンの分子量を有するバンドが検出され、目的のタンパクFS2を産生していることが確認され、発現ベクターpMFS2により形質転換された細胞を得た。いずれの場合もアミノ酸配列から予想される分子量に比べおよそ20Kダルトン程度大きく、細胞外部分に糖鎖が付加されていると考えられた。
これらの実験では、コントロールとしてpMKITNeoベクターを導入したCOS−7細胞の細胞破砕物および培養上清を同様に試験したが、抗FLAG抗体、抗ヒトIg抗体、抗ヒトセレイト−2抗体に反応するバンドは検出されなかった。
実施例6
遺伝子導入細胞による分泌型細胞外ヒトセレイト−2キメラタンパク質の精製
実施例5の方法で発現ベクターpMEXS2FLAGもしくはpMEXS2Fcにより形質転換されたCOS−7細胞培養上清を大量調製し、アフィニティーカラムによってキメラタンパク質、すなわちEXS2FLAGもしくはEXS2Fcを精製した。
EXS2FLAGに関しては、実施例5に記載した方法によって取得した2リットルの培養上清をAnti−FLAG M2 Affinity Gel(コダック社製)を充填したカラムに通して、キメラタンパク質が有するFLAG配列とゲルのAnti−FLAG抗体のアフィニティーによりキメラ蛋白質をカラムに吸着させた。カラムは内径10mmのディスポカラム(Biorad社製)を用い、上記ゲルを5ml充填した。吸着は培地ボトル→カラム→ペリスターポンプ→培地ボトルの環流式回路を組み立て、流速1ml/分で72時間循環させた。その後、カラムをPBS(−)35mlで洗浄し、0.5MTris−グリシン(pH3.0)50mlで溶出した。あらかじめ小チューブ(ファルコン社製2063)に0.5MTris−HCl(pH9.5)を200μl分注しておき、溶出液は2mlずつ25画分をそのチューブに分取し、各々の画分を中和した。
上記の方法で精製されたEXS2FLAGの溶出画分の各10μlは実施例5に記載の還元処理を行い、5−15%濃度勾配ポリアクリルアミドゲルによるSDS−PAGE電気泳動を行い、電気泳動終了後、和光純薬社製ワコー銀染キットIIを用いて、添付の説明書に従って銀染色を行った。結果として、EXS2FLAGは第4番から第8番の溶出画分にバンドが検出され、この分子量は実施例5で得られた抗FLAG抗体によるウェスタンブロッティングの結果と一致した。この結果からEXS2FLAGの純品が精製された。
EXS2Fcに関しては、同様の操作で培養上清の2リットルをファルマシア社製Protein Aセファロースカラムに吸着させ、溶出画分を分取した。
EXS2FLAGと同様に溶出液の一部を用いて、還元条件でのSDS−PAGE電気泳動および銀染色により溶出画分の決定、サイズの確認、純度検定を行った。結果として、溶出画分の第4番から第15番にバンドが検出され、それらの分子量は実施例5の結果と一致した。この結果からEXS2Fcの純品が精製された。
実施例7
ヒトセレイト−2を認識する抗体作成
実施例6に記載の方法で精製されたEXS2FLAGを免疫原としてウサギに免疫して、抗体価の測定後、全血の採血を行い、血清を採取して、BioRad社製のエコノパック血清IgG精製キットを用いて、添付の取扱い説明書に従って、抗ヒトセレイト−2ウサギポリクローナル抗体を精製して作製した。
また、実施例6に記載した方法で精製されたEXS2FLAGを免疫原として、成書の方法に従いマウスモノクローナル抗体を作成した。すなわち、上記のように精製されたHSFLAGをBalb/cマウス(日本エスエルシー社製)に1匹あたり10μgを皮下・皮内に免疫した。2回の免疫後、眼底採血を行い血清中の抗体価の上昇を認めた後、3回目の免疫を行ってからマウスの脾臓細胞を取り出し、マウスミエローマ細胞株P3X63Ag8(ATCC TIB9)とポリエチレングリコール法にて細胞融合を行った。HAT培地(日本免疫生物研究所製)にてハイブリドーマを選択し、酵素抗体法にてヒトセレイトの細胞外部分を認識する抗体を培地中に産生しているハイブリドーマ株を分離し、ヒトセレイトを特異的に認識するマウスモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ産生株が樹立された。
このようにして樹立されたハイブリドーマの培養上清をファルマシア社製Mab TrapG IIを用いて、添付の取扱い説明書に従って、抗ヒトセレイト−2マウスモノクローナル抗体を精製し作製した。
このモノクローナル抗体を用いてアフィニティーカラムを作製した。アフィニティーカラムの作製はファルマシア社製CNBr活性化Sepharose4Bにて添付の取扱い説明書に従い行った。カップリング効率は99.6%であった。このゲルの2mlを2cm×1cmのサイズのカラムを作製した。
このカラムに対しEXS2を含む細胞培養上清を実施例5に記載の方法で作成し、その濃縮液を20ml/hrの速度で流し、その後同一速度でPBS(−)を15ml流して洗浄し、最終的に0.1M酢酸ナトリウム、0.5M NaCl(PH4.0)にて溶出した。この溶離液を1mlづつ分取し、各画分に1M Tris−HCl(pH9.5)を200μlづつ加えて、中和した。
さらに実施例5に記載の方法に従って、精製蛋白質を還元条件下でSDS−PAGEを行い、銀染色、及びウエスタンブロッティングを行ない、分子量の推定を行った。この結果、約140kダルトンのバンドが検出された。したがって、このモノクローナル抗体でウエスタンブロットが可能であり、またこのアフィニティーカラムでヒトセレイト−2が精製可能である。
実施例8
ヒトセレイト−2タンパクの血液未分化細胞のコロニー形成に対する作用
ヒトセレイト−2の血液未分化細胞に対する生理作用を観察するため、CD34陽性細胞をEXS2Fcおよび既存のサイトカイン存在下で無血清半固形培地で培養し、コロニー形成細胞の増減を観察した。
ヒト臍帯血もしくはヒト正常骨髄血のCD34陽性細胞は臍帯血もしくは成人正常骨髄血をシリカ液(日本国免疫生物研究所製)により添付の説明書にしたがって処理し、その後フィコールパック(スエーデン国ファルマシア社製)による比重遠心分離法により低密度細胞画分(<1.077g/ml)を分画した単核球より分離した。
CD34陽性細胞の分離は、ノルウェー国Dynal社製DynabeadsM−450 CD34とDETACHaBEADS CD34を用い、添付の取扱説明書に従って分離した。分離後、その純度はFITC標識抗CD34抗体HPCA2(米国ベクトンデッキンソン社製)で染色し、同社のフローサイトメーター(FACSCalibur)にて検定し、85%以上の純度を有していることを確認して用いた。
このようにして分離したCD34陽性細胞400個が下記の培地1ml中に存在するように均一に懸濁し、35mmディッシュ(米国ファルコン社製)にまき、37℃、5%炭酸ガス、5%酸素ガス、90%窒素ガス、100%湿度雰囲気下の炭酸ガスインキュベーターで2週間の培養後、形成された血球コロニーを倒立顕微鏡下で計測した。
培養に用いた培地は、α−medium(米国GIBCO−BRL製)に2%Deionized Bovine Serum Albumin(BSA、米国Sigma社製)、10μg/ml ヒトインスリン(米国Sigma社製)、200μg/ml トランスフェリン(米国Sigma社製)、10−5M 2−メルカプトエタノール(日本国ナカライテスク社製)、160μg/mlソイビーンレクチン(米国Sigma社製)、96μg/mlコレステロール(米国Sigma社製)、0.9%メチルセルロース(日本国和光純薬社製)で行った。
上記の培地に下記条件のサイトカイン存在下に対し、最終的に1μg/mlの濃度となるようにヒトセレイト−2細胞外Igキメラ蛋白質(EXS2Fc)を加え、比較区にはIgGFc部分の影響を見るため、ヒトIgG1(米国Athens Research and Technology社製)を同濃度加えた。サイトカイン条件は、100ng/mlヒトSCF、10ng/mlヒトIL−3、100ng/mlヒトIL−6、2U/ml Epo(日本国中外製薬社製)、10ng/mlヒトG−CSF(日本国中外製薬社製)で行った。その結果を第1表に示す。CD34+細胞400個当たりのコロニー数をn=3の平均値として示し、4種の異なったさい帯血由来細胞で行った。
Figure 0003922726
第1表の結果から、4種の異なった臍帯血由来血液未分化細胞に対していずれも作用し、本発明のヒトセレイト−2は血液幹細胞を含む血液未分化細胞の分化を抑制する活性を有していることが明らかとなった。
実施例9
ヒトセレイト−2の血液未分化細胞LTC−ICの液体培養に対する作用
ヒトセレイト−2の血液未分化細胞に対する生理作用を観察するため、臍帯血CD34陽性細胞をEXS2Fcおよび既存のサイトカイン存在下で無血清培地で2週間液体培養し、現在最も未分化な血液細胞群と考えられるLTC−ICの増減を観察した。
実施例8に記載した方法で分離した臍帯血単核球CD34陽性細胞を100000から20000個を下記の培地で2週間培養し、培養前区、EXS2Fc存在区、比較区の3つの実験区に存在するLTC−IC数の違いを調べた。
液体培養に用いた培地はα−mediumに2%BSA、10μg/mlヒトインスリン、200μg/mlトランスフェリン、40μg/ml低密度リポプロテイン、10−5M2−メルカプトエタノールを加え、更に100ng/mlヒトSCF、10ng/mlヒトIL−3、100ng/mlヒトIL−6加えた培地を用い、これにEXS2Fcを1μg/ml加え、比較区には前述のヒトIgG1を同濃度加えた。
LTC−ICに使用するヒト骨髄ストローマ細胞層の作製、限界希釈法によるLTC−ICの頻度の定量はSutherlandらの方法(Blood、74、1563−、1989;Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87、3584−、1990)に従って行った。
すなわち、実施例8で得られた分離前のシリカ液処理しない骨髄単核球を1〜2×107細胞を1μMハイドロコルチゾン(日本国日本アップジョン社製)添加したLTC培地(MyeloCult、カナダ国Stem Cell Technologies社製)5mlでT−25フラスコ(米国ファルコン社製)にて、37℃、5%炭酸ガス、100%湿度雰囲気下の炭酸ガスインキュベーター中で培養し、付着細胞層であるストローマ細胞形成が底面積の80%以上の状態になるまで培養し、その後トリプシンEDTA液(日本国コスモバイオ社製)で処理して剥がした。96穴プレート(米国ベクトンデッキンソン社製)に1ウェルあたり約2×104個蒔き、再度培養を同培地にて培養を続け、ストローマ細胞の再構成を行った後、250Kilovolt PeakのX線を15Gy照射して、ストローマ細胞の増殖とストローマ細胞中の血液細胞を除去した物をストローマ細胞層として実験に用いた。
上記の方法で培養した各実験区の細胞をLTC−ICアッセイに共するにあたって、1ウェルあたり培養前のCD34陽性細胞細胞は25〜400個、培養後の各実験区の細胞は625〜20000個の範囲で6段階希釈し、上記のストローマ細胞形成した96穴プレートにて、1希釈段階について16ウェルで共培養行った。培養の培地はストローマ形成で用いた培地、条件は37℃、5%炭酸ガス、100%湿度雰囲気下の炭酸ガスインキュベーター中で5週間にわたって培養を行った。培養後の細胞は1ウェルづつ浮遊細胞、付着細胞とも回収し、α−mediumに0.9%メチルセルロース、30%牛胎児血清(FCS、日本国ICNバイオメディカルジャパン社製)、1%BSA、10−5M2−メルカプトエタノール、100ng/mlヒトSCF、10ng/mlヒトIL−3、100ng/mlヒトIL−6、2U/ml Epo、10ng/mlヒトG−CSF添加した半固形培地に移し、2週間の培養後、実施例8同様のコロニー形成細胞の検出を行い、コロニー形成細胞が存在したウェル数を検出した。このデータをもとにTaswellらの方法(J.Immunol.,126、1614−、1981)に従ってLTC−ICの頻度の算出を行った。結果を第2表に示す。
Figure 0003922726
第2表の結果からヒトセレイト−2はLTC−ICに作用し、その数を減少させる作用を有していることが明らかとなった。
実施例10
ヒトセレイト−2の血管内皮細胞増殖に及ぼす変化
血管内皮細胞は、日本国クラボウ社製の正常ヒト大動脈血管内皮細胞と正常ヒト肺動脈血管内皮細胞のそれぞれ4次継代培養細胞を用いた。細胞は、3次培養の継代時に組織培養用96ウエルプレート(米国フアルコン社製)に500細胞数/ウエルズずつ蒔き、日本国クラボウ社製のヒトリコンビナントEGFを100ng/ml、ヒトリコンビナントFGF−Bを5ng/ml各々含有する低血清血管内皮細胞増殖用培地(HuMedia−EG2、日本国クラボウ社製)中で培養し、その際、最終的に1μg/mlの濃度となるようにヒトセレイト−2細胞外Igキメラ蛋白質(EXS2Fc)を加え、比例区にはIgGFc部分の影響を見るため、ヒトIgG1(米国Athens Research and Technology社製)を同濃度加えた。尚、対照はHuMedia−EG2以外の添加蛋白質無しの条件で培養を行った。培養は37℃、5%炭酸ガス、100%湿度雰囲気下で3日間行った後に、細胞を計数した。
血管内皮細胞の計数は、BorenfreundとPuerner(Journal of Tissue Culture Methods 9(1),7−9,1984)によって開発された方法、すなわち、生体染色色素のneutral red(3−amino−7−dimethylamino−2−methylphenazine hydrochloride)が生きている細胞においてのみ原形質膜を通りリソソームに蓄積されることを利用したニューラルレッド法を原理とした日本国クラボウ社製のNR試薬セットを用い、540nmの吸光度は日本国日本インターメッド社製イムノリーダー(NJ−2000)で測定した。
その結果、大動脈血管内皮細胞の場合は、対照区では吸光度の値がOptical Density(OD)として0.21±0.02であり、ヒトIgG1添加区ではほぼ同様な0.20±0.01であったが、EXS2Fc添加区では0.10±0.02でありと著名に少なかった。また、肺動脈血管内皮細胞の場合は対照区では0.15±0.01であり、ヒトIgG1添加区ではほぼ同様な0.16±0.02であったが、EXS2Fc添加区では0.07±0.02でありと著名に少なかった。これらの結果から、EXS2Fcは血管内皮細胞の増殖を抑制することがわかった。
発明の効果
本発明のヒトセレイト−2は、未分化細胞の分化を制御する作用を有し、新しい細胞の分化制御剤として使用できる。
配列表
配列番号 :1
配列の長さ:214
配列の型 :アミノ酸
鎖の数 :一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:アミノ酸
起源
生物名 :ヒト
配列
Figure 0003922726
配列番号 :2
配列の長さ:1055
配列の型 :アミノ酸
鎖の数 :一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:アミノ酸
起源
生物名 :ヒト
配列
Figure 0003922726
Figure 0003922726
Figure 0003922726
Figure 0003922726
Figure 0003922726
Figure 0003922726
配列番号 :3
配列の長さ:1215
配列の型 :アミノ酸
鎖の数 :一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:アミノ酸
起源
生物名 :ヒト
配列
Figure 0003922726
Figure 0003922726
Figure 0003922726
Figure 0003922726
Figure 0003922726
Figure 0003922726
Figure 0003922726
配列番号 :4
配列の長さ:3955及び1238
配列の型 :核酸及びアミノ酸
鎖の数 :二本鎖及び一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA、及びアミノ酸
起源
生物名 :ヒト
配列
Figure 0003922726
Figure 0003922726
Figure 0003922726
Figure 0003922726
Figure 0003922726
Figure 0003922726
Figure 0003922726
Figure 0003922726
Figure 0003922726
配列番号 :5
配列の長さ:4005及び1199
配列の型 :核酸及びアミノ酸
鎖の数 :二本鎖及び一本鎖
トポロジー:直鎖状及び不明
配列の種類:cDNA to mRNA、及びアミノ酸
起源
生物名 :ヒト
配列
Figure 0003922726
Figure 0003922726
Figure 0003922726
Figure 0003922726
Figure 0003922726
Figure 0003922726
Figure 0003922726
Figure 0003922726
Figure 0003922726
配列番号 :6
配列の長さ:20
配列の型 :核酸
鎖の数 :一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:その他の核酸 合成DNA
配列
Figure 0003922726
配列番号 :7
配列の長さ:20
配列の型 :核酸
鎖の数 :一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:その他の核酸 合成DNA
配列
Figure 0003922726
配列番号 :8
配列の長さ:180
配列の型 :核酸
鎖の数 :二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
起源
生物名 :ヒト
配列
Figure 0003922726
配列番号 :9
配列の長さ:252
配列の型 :核酸
鎖の数 :二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
起源
生物名 :ヒト
配列
Figure 0003922726
配列番号 :10
配列の長さ:184
配列の型 :核酸
鎖の数 :二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
起源
生物名 :ヒト
配列
Figure 0003922726
配列番号 :11
配列の長さ:20
配列の型 :核酸
鎖の数 :一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:その他の核酸 合成DNA
配列
Figure 0003922726
配列番号 :12
配列の長さ:20
配列の型 :核酸
鎖の数 :一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:その他の核酸 合成DNA
配列
Figure 0003922726
配列番号 :13
配列の長さ:20
配列の型 :核酸
鎖の数 :一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:その他の核酸 合成DNA
配列
Figure 0003922726
配列番号 :14
配列の長さ:20
配列の型 :核酸
鎖の数 :一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:その他の核酸 合成DNA
配列
Figure 0003922726
配列番号 :15
配列の長さ:20
配列の型 :核酸
鎖の数 :一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:その他の核酸 合成DNA
配列
Figure 0003922726
配列番号 :16
配列の長さ:20
配列の型 :核酸
鎖の数 :一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:その他の核酸 合成DNA
配列
Figure 0003922726
配列番号 :17
配列の長さ:397
配列の型 :核酸
鎖の数 :二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
起源
生物名 :ヒト
配列
Figure 0003922726
配列番号 :18
配列の長さ:20
配列の型 :核酸
鎖の数 :一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:その他の核酸 合成DNA
配列
Figure 0003922726
配列番号 :19
配列の長さ:20
配列の型 :核酸
鎖の数 :一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:その他の核酸 合成DNA
配列
Figure 0003922726
配列番号 :20
配列の長さ:60
配列の型 :核酸
鎖の数 :一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:その他の核酸 合成DNA
配列
Figure 0003922726
配列番号 :21
配列の長さ:22
配列の型 :核酸
鎖の数 :一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:その他の核酸 合成DNA
配列
Figure 0003922726
配列番号 :22
配列の長さ:27及び8
配列の型 :核酸及びアミノ酸
鎖の数 :一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:その他の核酸 合成DNA及びアミノ酸
配列
Figure 0003922726
配列番号 :23
配列の長さ:20
配列の型 :核酸
鎖の数 :一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:その他の核酸 合成DNA
配列
Figure 0003922726
配列番号 :24
配列の長さ:33
配列の型 :核酸
鎖の数 :一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:その他の核酸 合成DNA
配列
Figure 0003922726
配列番号 :25
配列の長さ:58
配列の型 :核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:その他の核酸 合成DNA
配列
Figure 0003922726
配列番号 :26
配列の長さ:31
配列の型 :核酸
鎖の数 :一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:その他の核酸 合成DNA
配列
Figure 0003922726
配列番号 :27
配列の長さ:58
配列の型 :核酸
鎖の数 :一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:その他の核酸 合成DNA
配列
Figure 0003922726
配列番号 :28
配列の長さ:36
配列の型 :核酸
鎖の数 :一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:その他の核酸 合成DNA
配列
Figure 0003922726
配列番号 :29
配列の長さ:33
配列の型 :核酸
鎖の数 :一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:その他の核酸 合成DNA
配列
Figure 0003922726

Claims (24)

  1. 配列番号1に記載のアミノ酸配列を含有するポリペプチド。
  2. 配列番号2に記載のアミノ酸配列を含有する請求の範囲1項に記載のポリペプチド。
  3. 配列番号3に記載のアミノ酸配列を含有する請求の範囲1項に記載のポリペプチド。
  4. 未分化細胞の分化抑制作用を有する請求の範囲1項〜3項のいずれかに記載のポリペプチド。
  5. 未分化細胞が脳神経系または筋肉系未分化細胞以外の未分化細胞である請求の範囲4項に記載のポリペプチド。
  6. 未分化細胞が血液未分化細胞である請求の範囲4項に記載のポリペプチド。
  7. 血管内皮細胞の増殖を抑制する作用を有する請求の範囲1項〜3項のいずれかに記載のポリペプチド。
  8. 請求の範囲1項〜2項のいずれかに記載のポリペプチドを含有する医薬組成物。
  9. 請求の範囲1項〜2項のいずれかに記載のポリペプチドを含有する細胞培養培地。
  10. 細胞が、血液未分化細胞である請求の範囲9項に記載の細胞培養培地。
  11. 配列番号1に記載のアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするDNA。
  12. 配列表の配列番号4に記載のDNA配列の90番から731番にあたる配列を有する請求の範囲11項に記載のDNA。
  13. 配列番号2に記載のアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするDNA。
  14. 配列表の配列番号4に記載のDNA配列の90番から3254番にあたる配列を有する請求の範囲13項に記載のDNA。
  15. 配列番号3に記載のアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするDNA。
  16. 配列表の配列番号4に記載のDNA配列の90番から3725番にあたる配列を有する請求の範囲15項に記載のDNA。
  17. 配列番号1に記載のアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするDNAと、宿主細胞中で発現可能なベクターDNAと連結してなる組換えDNA体。
  18. 配列番号2に記載のアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするDNAと、宿主細胞中で発現可能なベクターDNAと連結してなる組換えDNA体。
  19. 配列番号3に記載のアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするDNAと、宿主細胞中で発現可能なベクターDNAと連結してなる組換えDNA体。
  20. 請求の範囲17項に記載した組換えDNA体により形質転換された細胞。
  21. 請求の範囲18項に記載した組換えDNA体により形質転換された細胞。
  22. 請求の範囲19項に記載した組換えDNA体により形質転換された細胞。
  23. 請求の範囲20項〜22項のいずれかに記載の細胞を培地に培養し、培養物中より産生された化合物を採取することを特徴とする請求の範囲1項〜3項のいずれかに記載のポリペプチドの製造方法。
  24. 配列番号1〜3のいずれかのアミノ酸配列を有するポリペプチドを特異的に認識する抗体。
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