JP3921899B2 - インクジェット式記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、記録ヘッドを封止するキャッピング手段を具備したインクジェット式記録装置の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の装置として本出願人の先行出願に係る特願平11−275246号出願(先出願)がある。先出願の発明にあっては、図8に示すようにキャップ部材を搭載するスライダに装置フレームに形成した案内溝と係合する係止部材を設け、この係止部材をキャリッジに突設した係合体に係脱させる構成であるため、ノズルから記録に関係ないインクを吐出させるフラッシング処理の際にキャップ部材を記録ヘッドから離間させた際に図8の矢印Z方向にキャップ部材が変位して図9に示すように記録ヘッドとの関係配置が不整列状態となるものであって、フラッシングインクがキャッピング部材に受け入れられず、部分的に飛散し、又はインク吸収シートに直接インクが当たらないとキャッピング部材の縁にインクが溜まり、キャッピング部材で封止した時にノズル形成面にインクを転写して汚損させ、キャリッジ移動時に記録用紙に転写し、汚損させるおそれが危惧されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この発明が解決しようとする第1の課題点は、前記した先出願における不具合を解消することである。
【0004】
この発明が解決しようとする第2の課題点は、キャップとヘッドとが離間して行うフラッシング時にあっても、キャップ部材が記録ヘッドから吐出されたインクを確実に捕集するようにした記録装置を提供することである。
【0005】
この発明が解決しようとする第3の課題点は、簡単な構造でしかも誤動作を生じることのないキャッピング手段を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の各課題点を解決する手段は次の如くである。
【0007】
インクを吐出するノズル開口部を有し、キャリッジ上に搭載されて移動しながら記録を行う記録ヘッドと、
該記録ヘッドの前記ノズル開口部を封止可能なキャッピング手段と、
該キャッピング手段を前記記録ヘッド側へ付勢された状態で搭載し、前記記録ヘッド方向に昇降可能とするスライダと、をそなえたインクジェット式記録装置であって、
前記スライダが、前記キャリッジと当接した状態で上昇して前記キャッピング手段が前記記録ヘッドの前記ノズル開口部を封止する第1の位置と、前記スライダが、前記キャリッジと当接した状態で下降したときに該スライダが傾斜し、前記キャッピング手段が前記記録ヘッドと離間して該記録ヘッドから吐出された記録に関係しないインクを受ける第2の位置とを有し、
前記第1の位置と前記第2の位置において、前記記録ヘッドと前記キャッピング手段の相互間の相対的な中心位置が略同一であるように前記キャリッジと前記スライダの当接部には前記スライダが上昇した状態と下降した状態において前記キャリッジの移動方向での当接位置が変わる位置決め手段を設けている。
【0008】
前記位置決め手段は、前記スライダに連接した位置決め部材と前記キャリッジに設けた位置決め係合部とを具備し、
前記第2の位置における前記記録ヘッドと前記キャッピング手段の中心位置のずれを補正するように前記位置決め部材に段差のあるカム部を設けるのが望ましい。
【0009】
前記位置決め手段は、前記スライダに連接した位置決め部材と前記キャリッジに設けた位置決め係合部とを具備し、
前記第2の位置における前記記録ヘッドと前記キャッピング手段の中心位置のずれを補正するように前記位置決め係合部に段差のあるカム部を設けてもよい。
【0012】
従って、クリーニング時には、キャップ部材によってノズル形成面を確実に封止することが出来るばかりでなく、フラッシング時にあってもフラッシングインクがノズル形成面を汚損させたり、飛散されるおそれがないものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明のインクジェット式記録装置100について、図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0014】
(実施の形態1)
図1に示すように、記録ヘッド及びインクカートリッジを担持するキャリッジ1はガイドロッド2に案内されてプラテン3に対向して平行に移動するように構成され、図示されていないキャリッジモータにより往復動されるタイミングベルトの一部に結合されて、ガイドロッド2に沿って往復移動されるように構成されている。
【0015】
又、キャリッジ1には、記録ヘッド4がプラテン3の上面に配置された記録用紙Sに対向するように搭載されており、記録ヘッド4に対してインクが導入され、印刷データに対応してプラテン3上の記録用紙Sにインク滴を吐出して印字することが出来るように構成されている。
【0016】
記録ヘッド4を封止するキャッピング手段5は、記録装置100の端部における非印字領域(ホームポジション)に配置されており、記録ヘッド4のノズル形成面4aに密封空間をもって封止出来るサイズのキャップ部材6を備え、非印字時に記録ヘッド4のノズル形成面4aを封止してノズル開口のインクの乾燥を防止する機能と、クリーニング操作時に図示しない吸引ポンプからの負圧を受けて記録ヘッド4からインクを強制的に排出させる機能とを備えている。
【0017】
キャッピング手段5に配置されたキャップ部材6の内底部には、図3に示すようにインク排出口6aが形成され、このインク排出口6aには図示しない吸引ポンプが接続されていて、非印字時にはキャップ部材6によって記録ヘッド4のノズル形成面4aを封止し、又クリーニング指令を受けた場合には、図2に示すようにキャッピング手段5が記録ヘッド4に密接するように位置を変えて吸引ポンプによる負圧がキャッピング手段5の内部空間に印加され、記録ヘッド4からインクを強制的に排出させることが出来るものであり、キャップ部材6内にはインク吸収シート7が収容され、吸引したインクをこれにより保持するように構成されている。
【0018】
キャップ部材6は、キャップホルダ8に対して一体成形されており、このキャップホルダ8の長手方向の両側壁には、それぞれ平板状のバネ受け部8aがそれぞれ水平方向に形成されている。
【0019】
又、キャップホルダ8は昇降機構を構成するスライダ9上に搭載され、スライダ9とバネ受け部8aとの間に介装された一対の圧縮バネ10によって、記録ヘッド4側に付勢された状態で取り付けられている。
【0020】
尚、キャップホルダ8は、スライダ9上に記録ヘッド4側への移動が規制されるように搭載されている。
【0021】
又、前記スライダ9の下底部には一対の長穴11がほぼ水平方向に形成されており、この各長穴11内にはフレーム12に対して回動可能に取り付けられたアーム13の自由端側に配置された一対の支持軸14が、それぞれ移動可能となるように収容され、スライダ9はアーム13を介してフレーム12に対して円弧状軌跡を描いて移動することが出来るものである。
【0022】
又、スライダ9の非印字領域側の端部両側には、それぞれガイド杆9aが形成されていて、この一対のガイド杆9aはフレーム12に形成された一対の案内溝15によって支持されるように構成されている。
【0023】
又、この案内溝15は一端部に形成された低所部15aと、他端部に形成された水平な高所部15bと、これらを連通させる傾斜部15cとにより構成されている。
【0024】
図2に示すように、ガイド杆9aには、一端がフレーム12に固定された引張りバネ16の他端が固定されていて、この引張りバネ16の作用により、スライダ9は印字領域方向、即ち記録ヘッド4から離間するように矢印X方向に移動するよう付勢されている。
【0025】
図1に示すように、キャップ部材6におけるシール面、即ち記録ヘッド4のノズル形成面4aに当接する上端面は、記録ヘッド4のノズル形成面4aに対してヘッドと離間した状態では非平行状態となるように構成されている。
【0026】
キャップ部材6のシール面はホームポジション側(図1における右側)端部に対して印字領域側に僅かに下降するように傾斜状態になされている。
【0027】
これは、スライダ9に形成された長穴11内の支持軸14の位置と、フレーム12に形成された一連の案内溝15内を摺動するガイド杆9aの配置位置との関係により構成されているが、その理由は小型化のため及びキャリッジ移動の力を利用するのでキャリッジモータの負荷を小さくするためであって水平状態を保って横にスライドしながら上下に昇降させようとすると、大型になるか、あるいは小型にしようとするとモータ負荷大となってしまうこととなる。
【0028】
図2に示すようにキャリッジ1がキャッピング手段5の直上に移動した際、キャリッジ1に配置された係合子1aがスライダ9に直立するように形成された位置決め部材9bに当接することで、図2に示すように引張りバネ16の引張力に抗しながら、スライダ9はアーム13を介して上昇し、キャップホルダ8に一体に形成されたキャップ部材6が、キャリッジ1に配置された記録ヘッド4のノズル形成面4aを封止することが出来るように構成されている。
【0029】
一方、図1に示すようにキャッピング手段5に隣接する印字領域側には、キャリッジ1の移動に伴ってキャリッジ1に搭載された前記記録ヘッド4のノズル形成面4aをワイピングする、例えばゴム製のワイピング部材21を備えたクリーナ保持部材20が配置されており、このクリーナ保持部材20は水平方向に移動され、ワイピング部材21を記録ヘッド4の移動経路上のワイピング位置に対して進入、又は退避出来るように構成されている。
【0030】
従って、クリーニング操作時において、記録ヘッド4はこのワイピング部材21により、インク吸引前においてノズル形成面4aに付着している塵埃や紙粉等が除去され、インク吸引後においてノズル形成面4aに付着しているインクの払拭がなされるように構成されている。
【0031】
ところで、キャリッジ1とキャッピング手段5の相対的な関係配置を支配する構成としては、キャリッジ1に突設した前記の係合子1aと前記のスライダ9に連設した位置決め部材9bが設けられているが、図4及び図5に示すように係合子1aの弧状に形成された係合面1bが位置決め部材9bのカム部90に係合可能であって、このカム部90は傾斜縁91によって連続状に形成された上・下側直線縁92、93によって構成され、下側直線縁93は上側直線縁92よりもキャリッジ1方向に近接して配置された構成となっている。
【0032】
次に、その作用について説明する。
【0033】
先ず、印字操作の際に、キャリッジ1が印字領域側に移動した場合には、スライダ9に配置された位置決め部材9bに対してキャリッジ1側の係合子1aが解離され、スライダ9は引張りバネ16の引張力によってキャップ部材6による記録ヘッド4のノズル形成面4aの封止が解除されるものである。
【0034】
次に、ノズル形成面4aを封止する場合や、クリーニング処理する場合(第1の位置)等について説明する。
【0035】
即ち、キャップ部材6は、記録ヘッド4のノズル形成面4aを封止する状態においては、先ずホームポジション側よりノズル形成面4aに当接し、スライダ9の上昇に従って圧縮バネ10の縮小動作に従って、記録ヘッド4のノズル形成面4aの全面を封止するように作用するものであるが、この際に引張りバネ16に抗してスライダ9を図2において矢印X’方向に付勢させると案内溝15に案内されてガイド杆9aは低所部15aから傾斜部15cを経由して高所部15bに移動され、スライダ9の上向きの移動に伴って上昇される位置決め部材9bの変位に伴って、キャリッジ1に突設した係合子1aは位置決め部材9bのカム部90に当接されているため、見かけ上、図5に示す上側直線縁92から傾斜縁91を通過して下側直線縁93位置に移動し、キャップ部材6により記録ヘッド4を封止することとなるが、この際にはスライダ9は位置決め部材9bの上・下側直線縁92、93の間隔(D)の距離分だけキャリッジの移動方向である矢印Y方向に段階的に変移し、スライダ9に搭載したキャップ部材6も同様に移動されることとなって、図2に示すようにキャップ部材6は記録ヘッド4に整列されてこれを封止し、クリーニング処理をなしうるものである。
【0036】
次に、キャップ部材6を開放状態としてキャップ部材6内に記録と関係ないインクを吐出させて記録ヘッド4を再生処理する、又はキャップ部材の内部をノズル封止の前に湿潤させるいわゆるフラッシング処理の場合には、図2の状態から図1に示すようにキャップ部材6を移動させるものであり(第2の位置)、前記とは逆方向に引張りバネ16の付勢力により矢印X方向にスライダ9が移動するが、この際には位置決め部材9bのカム部90に当接された係合子1aは見かけ上、下側直線縁93から上側直線縁92に移動することとなり、結果的に前記の間隔(D)だけキャリッジの移動方向である矢印Y’方向に段階的に変位することとなり、スライダ9と共にキャップ部材6も間隔(D)だけ移動され、図1に示すようにキャップ部材6が記録ヘッド4を開放した状態にあってもその相対的な中心位置が変動されることはなく、図3に示すようにノズル開口位置4bがキャップ内の位置に納まるようにキャップ部材6と記録ヘッド4とが整列対向する。
【0037】
従って、この状態でフラッシングインク量が多くなっても誤りなくキャップ部材6内に収容されることとなり、インクがノズル形成面4aに付着するおそれがなく、結果としてノズル開口のインクメニスカスが損なわれることなく、均一性を保持出来、ドット抜けやインクの飛行曲がり等を安全に防止出来るものである。又、ノズルに付着したインクで記録紙を汚損することもない。
【0038】
(実施の形態2)
図6及び図7に示す記録装置100’が実施の形態1と相違する点は、キャリッジ1’にカム部90’を設け、位置決め部材9b’には直線縁95’を形成したものであって、前記カム部90’は上側高位部92’と下側低位部93’との間を凹入部91’で連続状に形成させた形状とされている。
【0039】
図6は図4に、又図7は図5にそれぞれ対応するものであって、クリーニング時には上側高位部92’が、又フラッシング時には下側低位部93’がそれぞれ位置決め部材9b’に当接することとなるものであり、その機能については実施の形態1と共通しているので符号にダッシュを付して表示することで重ねての説明を省略する。
【0040】
【発明の効果】
この発明によってもたらされる特有の効果は次の如くである。
【0041】
▲1▼ フラッシング時においてキャップ部材が記録ヘッドから離間した際にもキャップ部材が記録ヘッドに整列されているのでフラッシングインクの飛散を防止出来る。
【0042】
▲2▼ フラッシングインクがノズル形成面に付着するのを防止出来る。
【0043】
▲3▼ 印刷時のドット抜けやインクの飛行曲がりを防止出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1のインクジェット式記録装置のフラッシング時の側面図。
【図2】図1のクリーニング時の側面図。
【図3】図1のキャッピング手段におけるノズル開口位置を表示した平面図。
【図4】図1の要部の側面図。
【図5】図2の要部の側面図。
【図6】実施の形態2の図4に対応する要部の側面図。
【図7】図5に対応する要部の側面図。
【図8】図2に対応する従来の技術の側面図。
【図9】図3に対応する従来の技術の平面図。
【符号の説明】
1、1’ キャリッジ
4 記録ヘッド
4a ノズル形成面
5、5’ キャッピング手段
6 キャップ部材
9 スライダ
90、90’ カム部
Claims (3)
- インクを吐出するノズル開口部を有し、キャリッジ上に搭載されて移動しながら記録を行う記録ヘッドと、
該記録ヘッドの前記ノズル開口部を封止可能なキャッピング手段と、
該キャッピング手段を前記記録ヘッド側へ付勢された状態で搭載し、前記記録ヘッド方向に昇降可能とするスライダと、をそなえたインクジェット式記録装置であって、
前記スライダが、前記キャリッジと当接した状態で上昇して前記キャッピング手段が前記記録ヘッドの前記ノズル開口部を封止する第1の位置と、前記スライダが、前記キャリッジと当接した状態で下降したときに該スライダが傾斜し、前記キャッピング手段が前記記録ヘッドと離間して該記録ヘッドから吐出された記録に関係しないインクを受ける第2の位置とを有し、
前記第1の位置と前記第2の位置において、前記記録ヘッドと前記キャッピング手段の相互間の相対的な中心位置が略同一であるように前記キャリッジと前記スライダの当接部には前記スライダが上昇した状態と下降した状態において前記キャリッジの移動方向での当接位置が変わる位置決め手段を設けていることを特徴とするインクジェット式記録装置。 - 前記位置決め手段は、前記スライダに連接した位置決め部材と前記キャリッジに設けた位置決め係合部とを具備し、
前記第2の位置における前記記録ヘッドと前記キャッピング手段の中心位置のずれを補正するように前記位置決め部材に段差のあるカム部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット式記録装置。 - 前記位置決め手段は、前記スライダに連接した位置決め部材と前記キャリッジに設けた位置決め係合部とを具備し、
前記第2の位置における前記記録ヘッドと前記キャッピング手段の中心位置のずれを補正するように前記位置決め係合部に段差のあるカム部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
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JP34635899A Expired - Fee Related JP3921899B2 (ja) | 1999-12-06 | 1999-12-06 | インクジェット式記録装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH03136858A (ja) * | 1989-10-22 | 1991-06-11 | Canon Inc | 液体噴射記録装置 |
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1999
- 1999-12-06 JP JP34635899A patent/JP3921899B2/ja not_active Expired - Fee Related
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